説明

診断画像形成における特徴検出のためにユーザ入力を利用する方法

診断用の超音波画像形成におけるセグメント化及び特徴検出のためにユーザ入力を利用するための方法が提供される。本方法は、境界検出方法が遅延なしに実時間ビデオ画像形成に適用されるのを可能にする、迅速に実行される境界検出を提供する。境界検出方法は、診断用の超音波画像形成システムに組み込まれるか、超音波画像形成システムによりインストールされ、実行可能なユーザインストール可能なソフトウェアアプリケーションとして組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断画像形成に関し、特に、本発明は、診断画像形成における特徴検出のためにユーザ入力を利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波は、医療診断における重要なツールとなってきている。超音波の非破壊及び一般的に良好な放射線を使用しない画像形成は、特に、胎児の画像形成及び拡張された露光のビデオ画像形成において、広く普及して使用されている。超音波は人体の柔らかい組織を通して浸透するが、重なっている構造の反射が画像形成プロセスの間に関心のある領域を曖昧にすることを妨げる方法は存在しない。これは、3D又はライブの3Dについて特に重要となってきており、重なっている構造の関係は、観察されているビューイングプレーン又はボリュームと複雑な関係を有する。
【0003】
超音波画像及びボリュームからはっきりしない領域又は散乱した領域を除く方法を提供するための試みがなされている。1つのかかる方法は、超音波画像形成の用途での曖昧な領域をオペレータが手動で選択及び除去するのを必要とする。この方法は、適切な精度を提供するものの、非常に時間のかかるプロセスであって、実時間の超音波画像形成の用途について適切ではない。
【0004】
第二の方法は、自動的な選択プロセスを提供するものであって、オペレータは、おそらく選択のメニューから選択するか又は領域を手動で選択することで関心のある領域をはじめに識別し、超音波画像形成ソフトウェアのそのポイントから、超音波画像の曖昧な部分を検出し、除去又は減衰する。この方法は、著しく高速であり、したがって実時間の用途で非常に有効であるという潜在能力を有する。しかし、この方法は、その問題点をも有する。物質的な構造は、ある人から別の人にまで同じ基本形状を有するが、サイズは異なる場合があり、病気は構造の形状を変更させる場合があり、画像形成の間の超音波トランスデューサの特定の位置には、構造がその典型的に許容された形状から変形される場合がある。これらの形状における変形は、自動的な選択プロセスにより領域の誤った識別につながる可能性がある。この誤った識別の可能性は、自動選択プロセスに依存するオペレータのリラクタンスに寄与し、超音波画像形成ソフトウェアにおいてかかるプロセスを供給する目的を台無しにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オペレータからの信用を吸い上げるに十分な正確さと実時間の画像形成の応用で適用可能となるように十分に高速である選択プロセスが必要とされる。
本発明の目的は、オペレータからの制限された入力により、静止又はライブの両者での超音波画像又はボリュームにおける関心のある領域を識別し、そこでの障害を除去又はデエンファシスするのが可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、診断画像形成におけるセグメンテーション及び特徴検出のためにユーザ入力を利用するための方法を提供することにある。本発明の検出の方法論を使用することで、構造を識別し、オペレータが指定した関心のある領域でのそれらの位置に基づいて、エンファシス又はデエンファシスすることができる。
【0007】
医療用の超音波画像における内部構造の境界を定義するための本発明の方法は、幾つかのステップを含んでいる。はじめに、関心のある領域を有する超音波画像又はボリューム領域が取得される。関心のある特徴は、超音波画像又はボリュームのプレーンに位置され、少なくとも1つのサイドの形状は、特徴に対して近い関係で配置される。少なくとも1つの形状での少なくとも1つの開始ポイントが識別される。開始ポイントは、超音波画像内での組織の境界又はボリューム内での組織の表面を検出及び輪郭を描くために使用される。組織の境界の検出は、実線の線形な境界の代わりにぼやけた境界領域を有する内部で記憶された複雑な形状を使用して実行される。より多くのポイントが位置されるとき、現在の位置されたポイントに基づく最良のフィットを生成するために調整される場合がある。超音波画像での組織の境界を識別及びハイライト表示するためにインジケータがオペレータに供給される。インジケータは、検出された組織の構造により境界付けされた領域のコントラストを色付けするか、又はエンハンスすることで組織の構造を強調することを含む。さらに、本発明により、オペレータは、特徴に対して近接した関係で配置される形状を対話的に変更するのを可能にする。オペレータは、関心のある領域に更に接近して整合又は近似するように形状を変更する。すなわち、関心のある領域が一般的に卵型又は楕円形の形状である場合、オペレータは、円形の形状を選択し、その形状を関心のある領域にわたり配置し、関心のある領域と近似的に類似の寸法の卵型を得る止めの円形の形状を変形する。
【0008】
本発明の上述された目的及び利点は、添付図面と共に行われる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な説明が参照され、当業者により更に容易に理解される場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の幾つかの実施の形態は、添付図面と共に伴われる説明で開示される。本発明の好適な実施の形態では、同じ参照符号が類似又は同一のエレメントを識別する添付図面を参照して詳細に記載される。
【0010】
図1に示される、本発明の実施の形態は、医療用の超音波画像における内部の構造的な境界を定義するための方法を提供する。ステップ101では、超音波画像形成システムは、超音波エネルギーにより画像形成されるのが適切に可能な患者又は他の対象物を画像形成する。超音波画像形成システムは、ステップ102で、たとえば、揮発性及び不揮発性のメモリ、磁気メディア、光メディア等といった電子的なデータストレージ装置に超音波画像又はボリュームデータを伝達する。画像データは、オペレータが制御可能な画像処理及び分析機能を提供するために構成されるインタフェースを有するディスプレイスクリーンに表示される。
【0011】
ステップ104では、オペレータは、所望の開始ポイント(seed)として表示される画像データの1以上の関心のある領域(RoI)を選択する。インタフェースにより、オペレータは、たとえば円、正方形、多角形、スライス、キューブ、球形等といったシンプルな各種の幾何学的なモデルのなかから1以上の形状を選択し、モデルがRoIを境界付けするように画像に選択されたモデルを配置することで、(2次元又は3次元のいずれかにおける)RoIを示すのを可能にする。さらに、インタフェースは、たとえば心臓、胎児等といった超音波画像のタイプをオペレータが示すための方法を提供する。
【0012】
画像タイプ及び境界付けされたRoIは、ステップ105で関心のある領域での領域を分析するためのシステムにより使用される。RoIでの輪郭及び構造は、ステップ106で検出される。これらの輪郭及び構造を描写する方法は、予め定義又はオペレータが定義可能な好みに従ってコントラストを調節し、構造を色付けすることを含んでおり、ディスプレイスクリーンで結果的に得られる画像データの表示は、ステップ108で提供される。超音波画像のRoIに適用されるべき描写の好みは、ステップ108の実行の前にステップ107で設定される。
【0013】
ステップ109では、オペレータには、検討して、ステップ108で表示された画像処理を受けるか、又はRoIが許容できる程度に表示されない場合に拒否する機会が与えられる。ステップ108の結果が許容できる程度である場合、処理が完了される。しかし、オペレータがステップ108の結果を拒否する場合、ステップ104は再び実行され、ステップ108で結果的に得られる画像データをリファインする試みにおいて画像タイプと同様にRoI選択を調節する機会をオペレータに与える。その後のステップは、先に記載されたように実行される。
【0014】
更なる特徴は本発明の実施の形態に組み込まれる場合があり、たとえば、本方法は、ステップ109でオペレータから受信されたフィードバックに基づいて時間を通してシステムが学習及び適合することのできるプロセスを含む場合がある。さらに、RoIを拡大、回転及び採取するような画像処理及びマニピュレーション機能は、システムにより提供される場合がある。
【0015】
分析及び検出ステップは、分析的なアルゴリズムを通して本実施の形態により実行され、この分析的なアルゴリズムは、各種の人体の組織及び構造の一般的な形状を近似している予め決定され内部に位置される複雑な形状を使用する。示される画像のタイプは、各種の複雑な形状のどれがRoI分析に適用されるべきかを識別するために使用される。しかし、先に記載されたように、人体の組織又は構造の画像形成された形状は、超音波画像形成ユニットの角度及び位置のような様々なファクタのために組織及び構造の典型的に関連付けされる形状とは異なって見える場合がある。この理由のため、本実施の形態は、これら組織及び構造のファジーモデルを利用する。このケースでは、ファジーとは、複雑な形状がそれらの境界としてシャープに定義された境界の代わりに予め定義された許容可能なレンジ(たとえば最大のサイズの制限)を有することを示すことが意味され、したがって組織の境界ポイントが対応する複雑な形状の境界に直接ある必要はないが、許容可能なレンジにあることが必要である。さらに、多くの組織の境界ポイントが画像で検出されたとき、複雑な形状の境界の許容可能なレンジは、検出されたポイントの位置に基づいて「オンザフライ」又はリアルタイムで適切なように調節される場合がある。これらの検出及び調節は、本実施の形態により自動的に実行される。
【0016】
本発明の代替的な実施の形態は、ステップ104の実行に続き、各種のシンプルな幾何学的なモデルから選択された形状をオペレータが調節するのを可能にする。したがって、RoIを示すために使用される形状は、その領域の実際の形状に更に密に整合し、分析及び検出ステップの精度及び速度を増加することができる。さらに、ステップ109で、ステップ108からの結果が拒否された場合、ステップ104のオリジナルに選択された形状は、ステップ108からの成功した最後の結果の可能性を増加するために変更することができる。
【0017】
先に記載された方法は、ソフトウェアアプリケーション又はプロセッサコマンドのセットとして実現される場合があり、前に存在する超音波診断システムにインストール可能である。本実施の形態では、ソフトウェアアプリケーションは、コンパクトディスク、DVD、及び磁気メディア、又はネットワークでダウンロード可能なソフトウェアパッケージのような各種の一般に使用されるコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶される場合がある。
【0018】
図2に示されるように、別の実施の形態は、先に記載された本発明のステップを実行するための構成及び配置される超音波診断システム200を提供する。システム200は、超音波プローブのような超音波画像形成装置206と接続され、超音波画像形成装置を制御するために構成される、キーボード、マウス、音声認識装置等のようなユーザ入力装置202、ストレージ装置203、及びディスプレイスクリーン204を有するコントローラ/プロセッサユニット201を含む。プリンターのような任意のハードコピー出力装置205が存在し、コントローラ/プロセッサユニット201に接続される場合がある。
【0019】
コントローラ/プロセッサユニット201にあるか、ストレージ装置203に記憶されるソフトウェアアプリケーション又はプロセッサコマンドのセットは、図1に示され、先に記載されるように本発明の方法のステップを実行するために構成される。ユーザ入力装置202を介してオペレータから作動信号を受信することに応じて、コントローラ/プロセッサユニット201は、超音波画像形成装置206を作動する。作動信号は、超音波画像形成装置206のパラメータを調整するため、コントローラ/プロセッサユニット201により使用されるオペレータが調整可能な好みの信号のセットを含むか、該セットにより先行される場合がある。超音波画像形成装置206は、当該技術分野で公知のやり方で、画像形成される患者又は対象物(図示せず)に高周波オーディオ信号を送信し、スキャンされた患者又は対象物に対して内部の構造から反射された信号を受信する。受信された信号は、更なる処理のためにコントローラ/プロセッサユニット201に転送される。
【0020】
コントローラ/プロセッサユニット201は、信号を処理し、ディスプレイスクリーン204で対応する画像208を表示する。さらに、コントローラ/プロセッサユニット201は、好ましくはグラフィカルユーザインタフェース(GUI)207といったインタフェースを提供し、このインタフェースは、表示された画像208に関心のある領域(RoI)をオペレータが選択的に示すのを可能にする。インタフェースは、予め決定された機能を提供するために構成されるメニュー209、ボタン210及びアイコン(図示せず)のようなインタフェースエレメントの如何なる組み合わせから構成される場合がある。オペレータは、インタフェース207により供給される各種のシンプルな幾何学的形状、正方形、スライス、サークル、キューブ、球面等から1以上の形状を選択し、RoIが形状の境界に近似的に境界設定されるようにRoIにわたる形状、方向及びサイズを位置合わせすることでRoIを選択する。さらに、オペレータは、インタフェースエレメント209,210等の操作を通して表示されている超音波画像のタイプを示す。オペレータからのこれら幾つかの入力に基づいて、コントローラ/プロセッサユニット201は、RoIに含まれる様々な構造を拡張するためにRoIに予め定義されたアルゴリズムを適用する。
【0021】
本発明の記載される実施の形態は、限定的よりはむしろ例示的であることが意図され、本発明のそれぞれの実施の形態を表現することが意図されていない。特許請求の範囲に述べられるような本発明の精神又は範囲から逸脱することなしに様々な変更及び変形がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る診断用画像形成における境界検出のためにユーザ入力を利用するための方法により実行されるステップを説明するフローチャートである。
【図2】本発明に係る診断用画像形成における境界検出のためのシステムのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用超音波画像で内部構造の境界を画定する方法であって、
超音波画像における特徴に近い関係にある少なくとも1つの幾何学的な形状を配置するステップと、
少なくとも1つの幾何学的形状で少なくとも1つの開始ポイントを位置決めするステップと、
前記少なくとも1つの幾何学的形状により境界設定される超音波画像の一部にある組織の境界及び/又は構造を検出するステップとを含み、
前記検出するステップは、それぞれの形状が人体の組織又は構造及び曖昧な境界領域の形状を一般に有する予め決定された形状のセットから選択された1以上の形状を使用して実行される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
検出された組織の境界及び/又は構造を識別する描写により超音波画像を表示するステップを更に含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記配置するステップは、前記特徴の形状を近似するため、少なくとも1つの選択された幾何学的な形状のパラメータのセットから少なくとも1つのパラメータを調節するステップを更に含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータのセットは、サイズ、位置及び向きを含む、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
医療用の超音波画像で内部構造の境界を画定するために構成及び配置される超音波画像形成システムであって、
超音波信号を生成し、前記超音波信号を画像形成されるべきターゲットに向け、前記ターゲットから反射される超音波信号を検出する超音波トランスデューサプローブと、
オペレータが見ることのできるフォーマットで反射された超音波信号を表示するためのディスプレイスクリーンと、
関心のある領域に近い関係にある少なくとも1つの幾何学的形状を配置することで、関心のある領域をオペレータが示すのを可能にする手段と、
少なくとも1つの形状で少なくとも1つの開始ポイントを位置決めする手段、及び、それぞれの形状が人体の組織又は構造及び曖昧な境界領域の形状を一般に有する予め決定された形状のセットから選択された1以上の形状を使用することで前記少なくとも1つの形状により境界設定される超音波画像の一部にある組織の境界及び/又は構造を検出する手段を有するプロセッサと、
を有することを特徴とする超音波画像形成システム。
【請求項6】
前記ディスプレイスクリーンは、該ディスプレイスクリーンで組織の境界及び/又は構造を識別する複数の描写により超音波画像を表示する、
請求項5記載の超音波画像形成システム。
【請求項7】
前記特徴の形状を近似するため、少なくとも1つの選択された幾何学的な形状のパラメータのセットから少なくとも1つのパラメータを調節するステップを更に含む、
請求項5記載の超音波画像形成システム。
【請求項8】
前記パラメータのセットは、サイズ、位置及び向きを含む、
請求項6記載の超音波画像形成システム。
【請求項9】
医療用の超音波画像で内部構造の境界を画定するために、少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコンピュータ読取り可能な命令を含むコンピュータ読取り可能な媒体であって、
超音波画像における特徴に近い関係にある少なくとも1つの幾何学的な形状を配置するステップと、
少なくとも1つの幾何学的形状で少なくとも1つの開始ポイントを位置決めするステップと、
それぞれの形状が人体の組織又は構造及び曖昧な境界領域の形状を一般に有する予め決定された形状のセットから選択された1以上の形状を使用して、前記少なくとも1つの幾何学的形状により境界設定される超音波画像の一部にある組織の境界及び/又は構造を検出するステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータ読取り可能な媒体。







【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−512042(P2007−512042A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539064(P2006−539064)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052431
【国際公開番号】WO2005/048194
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】