説明

診断装置用動物固定器具およびそれを用いた手術支援システム

【課題】
麻酔薬を使用したり体温を低下させたりすることなく、動物の動きを抑制した状態で診断を可能とするとともに、外部からのアプローチや手術等の処置ができる診断装置用動物固定器具を提供する。
【解決手段】
被検体である動物をMRI装置等の診断装置を用いて診断する際に用いる診断装置用動物固定器具100において、剛性材料からなる枠体101を備え、その内部に被検体である動物108を入れられる構造であり、その内側に、柔軟材料から構成され、被検体である動物を押圧して固定する部材109を備え、その頭部に、外部からの光を遮光する部材を備えている。また、MRI用受信コイル120を、取り外し可能に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核磁気共鳴撮像装置、X線CT装置等の診断装置を用いて犬、猫等の動物を診断する際に用いる動物固定器具に関し、特に、動物を無麻酔で局所固定して撮像可能とし、また、生体情報をモニタリングしながら固定器具窓から術具等のアプローチを可能にした診断装置用動物固定器具に関する。
【背景技術】
【0002】
核磁気共鳴撮像装置(以下、「MRI装置」と称する。)は、連続的に被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴信号(以下、「MR信号」と称する。)を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を映像化するものである。現在、臨床で普及しているMRI装置の撮像対象は、被検体の主たる構成物質、プロトンである。MRI装置は、プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和現象の空間分布を画像化することで、被検体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0003】
MRI装置を用いて動物を撮像する技術について、特許文献1には、被検体を動かすことなく、MRI用コイルの位置を移動可能にする方法であり、被検体の腕または脚を内部空洞に挿入でき被検体の腕または脚に固定される円筒体と円筒体に支持された状態で移動することが出来るソレノイドコイルとを具備したMRI用コイル装置が示されている。
【0004】
また、特許文献2には、麻酔薬を使用することなく体内の動きを抑制した状態で核磁気共鳴測定を行うことのできる測定方法が記載されている。磁場内に置かれた動物に核磁気共鳴用プローブを用いて核磁気共鳴測定を行うにあたり、前記動物の体温を低下させて体内の動きを抑制した状態で測定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−116808号公報
【特許文献2】特開平5−309080号公報
【特許文献3】特開2009−45361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載のMRI用コイル装置は、被検体の腕または脚に円筒体を固定するもので、被検体である動物自体を固定するものではない。
【0007】
また、特許文献2に記載されたような、体温を低下させて体内の動きを抑制した状態で核磁気共鳴測定を行う方法は、容器内に入れて薬剤・生命管理をしなければならないため、外部からのアプローチや手術等の処置が不可能なだけでなく、緊急救急等のとっさの対応が遅れる問題がある。また、温度制御装置を使用して大気の温度を徐々に下げることで小動物の心拍数や呼吸数を減少させて体内の動きを緩慢にさせることから、動物への負荷が大きいとの懸念がある。
【0008】
本発明は、麻酔薬を使用したり体温を低下させたりすることなく、動物の動きを抑制した状態で診断を可能とするとともに、外部からのアプローチや手術等の処置ができる診断装置用動物固定器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の診断装置用動物固定器具は、被検体である動物を診断装置を用いて診断する際に用いる診断装置用動物固定器具において、剛性材料からなる枠体を備え、その内部に被検体である動物を入れられる構造であり、その内側に、柔軟材料から構成され、被検体である動物を押圧して固定する部材を備え、その頭部側に、外部からの光を遮光する部材を備えたものである。
【0010】
本発明の診断装置用動物固定器具において、前記被検体である動物を押圧して固定する部材は、スポンジまたは綿からなるものでよい。
また、本発明の診断装置用動物固定器具において、前記被検体である動物を押圧して固定する部材は、空気袋を備え、当該空気袋への空気の挿入・排出により圧迫度を変更するように構成したものでよい。
また、本発明の診断装置用動物固定器具において、前記診断装置用動物固定器具は、被検体の口や手足に対応する部分が開口部を備えているものでよい。
また、本発明の診断装置用動物固定器具において、前記外部からの光を遮光する部材はマジックミラーまたは液晶から構成されているものでよい。
また、本発明の診断装置用動物固定器具において、被検体である動物の頭頂部が位置する部分に、外部雑音を遮断する防音部材を設けたものでよい。
また、本発明の診断装置用動物固定器具において、局所的に被検体にアプローチ可能なオープン窓を備えているものでよい。
【0011】
また、本発明の診断装置用動物固定器具において、前記動物固定器具に着脱可能な、MRI装置用の受信コイルを備えているものでよい。
また、本発明の診断装置用動物固定器具において、前記診断装置用動物固定器具は、生体情報を取得する手段が内蔵されており、前記動物固定器具に設けた電気線を介して、外部表示ユニットに接続するように構成したものでよい。
また、本発明の診断装置用動物固定器具において、前記剛性材料からなる枠体は、複数のジョイント部を備え、前記ジョイント部で分割できるとともに、前記ジョイント部で折れ曲がるように構成されているものでよい。
【0012】
本発明の手術支援システムは、前記の診断装置用動物固定器具と、前記診断装置用動物固定器具を用いて被検体である動物を固定しつつ被検体を撮像する診断装置と、撮像結果を表示する表示装置とから構成されるものである。
【0013】
また、本発明の手術支援システムにおいて、前記診断装置はMRI装置であり、当該MRI装置は、被検体の複数の領域のボリュームデータを収集するように構成したものでよい。
また、本発明の手術支援システムにおいて、前記MRI装置は、術具位置に応じたISC撮像を行ない、術具位置に応じてナビゲーションに適用するボリュームデータをリアルタイムに変更するように構成したものでよい。
また、本発明の手術支援システムにおいて、手術前に、前記表示装置は、被検体の前記複数の領域のボリュームデータを表示するとともに、参照画面上で、領域を特定するように構成したものでよい。
また、本発明の手術支援システムにおいて、臨床時に、前記表示装置は、前記ボリュームデータに基づき被検体の3D画像を表示すると共に、ISC撮像による術具位置に応じたリアルタイム画像を表示するように構成したものでよい。
また、本発明の手術支援システムにおいて、前記表示装置は、前記3D画像および前記術具位置に応じたリアルタイム画像上に、シミュレーションによる手術経路と実際の術具位置を表示するように構成したものでよい。
【発明の効果】
【0014】
動物、例えばネコは暗い所、狭い所に置かれた場合には、縮こまり動かない習性がある。そこで、目の部分である動物の頭部を遮光し、また四肢を柔軟材料で押圧固定することにより、動物の動きを抑制することができる。
【0015】
本発明によれば、麻酔薬を使用したり体温を低下させたりすることなく、動物の動きを抑制した状態で画像診断が可能となるだけでなく、外部からのアプローチや手術等の処置や緊急救急等のとっさの対応も早くなる利点があることから、動物への負荷(ストレス)を大幅に削減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の診断装置用動物固定器具の一例を示す図である。
【図2】本発明の手術支援システムの一例を示す図である。
【図3A】本発明の診断装置用動物固定器具の一例を示す正面図である。
【図3B】本発明の診断装置用動物固定器具の一例を示す上面図である。
【図3C】本発明の診断装置用動物固定器具の一例を示す側面図である。
【図4】本発明の動物固定器具におけるコイルパターン構成を示す図である。
【図5】本発明の動物固定器具を用いた実施フローを示す図である。
【図6】手術時における術具位置に応じた自動ボリューム変更例を示す図である。
【図7】手術前のGUI構成の一例を示す図である。
【図8】臨床時のGUI構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図2に、本発明の診断装置用動物固定器具が適用される手術支援システムの一例を示す。MRI装置1は、例えば、垂直磁場方式0.3T永久磁石MRI装置であり、垂直な静磁場を発生させる上部磁石3と下部磁石5、これら磁石を連結するとともに上部磁石3を支持する支柱7、位置検出デバイス9、アーム11、モニタ13、モニタ支持部15、基準ツール17、パーソナルコンピュータ19、ベッド21、制御部23などを含んで構成されている。MRI装置1の図示しない傾斜磁場発生部は、領斜磁場をパルス的に発生させ、最大傾磁場強度は15mT/mで、スルーレートは20mT/m/msである。更に、MRI装置1は、静磁場中の被検体24に核磁気共鳴を生じさせるための図示しないRF送信器、被検体24からの核磁気共鳴信号を受信する図示しないRF受信器を備え、これらは12.8MHzの共振型コイルである。
【0019】
位置検出デバイス9は、2台の赤外線カメラ25と、赤外線を発光する図示しない発光ダイオードを含んで構成され、断層面指示デバイスであるポインタ27の位置及び姿勢を検出するものである。また、位置検出デバイス9は、アーム11により移動可能に上部磁石3に連結され、MRI装置1に対する配置を適宜変更することができる。モニタ13は、操作者29が把持するポインタ27により指示された被検体24の断層面の画像を表示するもので、モニタ支持部15により、赤外線カメラ25と同様に上部磁石3に連結されている。基準ツール17は、赤外線カメラ25の座標系とMRI装置1の座標系を関連づけるもので、3つの反射球35を備え、上部磁石3の側面に設けられている。パーソナルコンピュータ19には、赤外線カメラ25が検出し算出したポインタ27の情報が、術具位置データとして、例えば、RS232Cケーブル33を介して送信される。制御部23は、ワークステーションで構成され、図示しないRF送信器、RF受信器などを制御する。また、制御部23は、パーソナルコンピュータ19と接続されている。パーソナルコンピュータ19では、赤外線カメラ25が検出し算出したポインタ27の位置から術具(治療器具)36が取り付く位置を考慮してMRI装置1で利用可能な位置データに変換し、制御部23へ送信する。位置データは、撮像シーケンスの撮像断面へ反映される。新たな撮像断面で取得された画像はモニタに表示される。また、画像は映像記録装置34に同時記録される。例えば断層面指示デバイスであるポインタを穿刺針などにとりつけ、穿刺針のある位置を常に撮像断面とする様に構成した場合、モニタには針を常に含む断面が表示されることになる。生体情報(呼吸、脈波、心電)は専用の生体モニタ装置38から取得される。
【0020】
本発明の診断装置用動物固定器具の実施例を図3に示す。図3Aは診断装置用動物固定器具の動物の頭部が配置される正面側から見た図で、図3A(a)が動物を入れない状態、図3A(b)が動物を入れた状態を示す図、図3Bは診断装置用動物固定器具の動物が腹這いに配置される上面側から見た図で、図3B(a)が動物を入れない状態、図3B(b)が動物を入れた状態を示す図、図3Cは診断装置用動物固定器具の側面側から見た図で、図3C(a)が動物を入れない状態、図3C(b)が動物を入れた状態を示す図ある。
【0021】
動物固定器具300は、動物の大きさに応じて大小さまざまな大きさがある。ここでは、小型動物308を想定した固定器具であり、剛性材料からなる枠体301で構成され、該枠体301は、内部に動物を入れられるようにジョイント部302で分割できるように構成されている。また、ジョイント部302は折れ曲がる構造になっており、動物の形状に応じてストレスがない形状にすることができる。
【0022】
固定器具には術者がアプローチできるように枠体301から窓303〜307、321〜329が取り外される構造をしており、窓が取り外されてできる穴を通して治療等の処置ができるようになっている。図3Aにおいて、符号303〜307で示される太線は、窓を表している。図3Bや図3Cに示されるように、例えば、枠体301の方形の部分に窓321〜329をはめ込むことにより、着脱可能に取り付けられる。窓は後に説明する動物の頭部にあたる部分を除いてアクリル樹脂などの透明な素材から成っている。窓が透明である理由は、動物の容態の急変などを獣医がいち早く察知するためである。また、固定器具には口や手足の部分に開口部310が設けられている。開口部310が設けられる理由は、符号315で示されるように、口は必要に応じて挿管(気道確保)することを、符号313、314で示されるように、手足部分は注射・留置針等を設置することを想定しているためである。固定器具の頭部333は遮光を目的として、マジックミラーや液晶構成になっており、外部からの光を遮光しつつ内部(動物)の様子を観察可能である。なお、先に説明した窓の素材は動物を獣医が外部から観察できればよいので、窓の全てがマジックミラー等で形成されてもよい。
【0023】
図3Aに示すように、枠体301の下部フレーム上に犬などの動物308を置き、下部フレーム上に置いた状態の動物308の周りにスポンジや綿などの柔軟部材309を配置し、さらに、枠体301の上部フレームの間に窓303〜307を設けたU字状の収容部で、柔軟部材309を周りに配置した動物308を覆う構造となっており、柔軟部材309は動物を押圧するものの、動物に圧迫感を軽減するように構成されている。柔軟部材309は、診断の都度、動物の形に添うように配置しても良いが、予め動物の大きさや形に応じた種々の形のものを揃えておき、診断する動物に応じて選択するようにしてもよい。特に、動物頭頂部においては、柔軟部材309として外部雑音を遮断する防音材料を用いることにより、或いは、U字状の収容部を防音機能を有する構造とすることで、MRI撮像音等の外部音を遮断する機能も有する(耳栓を用いても良い)。また、空気袋を設け、空気の挿入・排出により圧迫度を変更できるようにし、造影機器等の附属機器と連動して瞬間的な圧迫や解放を予めプログラミングすることもできる。固定器具内部には電気線が張り巡らされており、図2において符号38で示される、生体情報を取得する内蔵する生体モニタ装置に接続することができ、また、端子334から外部表示ユニットに接続することができる。
動物、例えばネコは暗く通常とは異なる環境に置かれた(ストレスを感じる)場合には、縮こまり動かない習性がある。そこで、外界との光と雑音を遮断することで、ストレスを低減し、リラックスさせる効果がある。その間にMRIやCT等の撮像を無麻酔で行うことができる。
【0024】
図1に、MRI装置の受信コイルを併用した動物固定器具の実施例を示す。全体構成として、動物固定器具100およびオプション品であるMRI用受信コイル120で構成されている。図1においては、図3と同様に、符号101は枠体、符号102はジョイント部、符号103〜107は窓、符号108は被検体である小型動物、符号109は柔軟部材、符号110は開口部を示す。
【0025】
図1(a)はMRI撮像時の動物固定器具の構成を示すもので、上側の図が動物を入れない状態を、下側の図が動物を入れた状態を示す。MRI撮像は、動物固定器具100にMRI用コイル120を外側から覆うことで可能となる。このときの遮光部材は、非磁性体や非導電性の物質(色つきフィルム、ミラーフィルム等)で構成されている。また、受信コイル内部には電気線が張り巡らされており、MRI受信コイルの他に生体モニタに接続することができ、生体情報を取得し電気信号として外部表示ユニットに接続することができる。
【0026】
また、図1(b)はX線またはCT撮像時の動物固定器具の構成を示すもので、上側の図が動物を入れない状態を、下側の図が動物を入れた状態を示す。CT撮像は、MRIコイル120で覆うことなく、動物固定器具100の状態で撮像する。その理由として、X線やCT撮像は、金属アーチファクトの混入を避けるためであり、X線透過の妨げとなる物質を除外するためである。ただし、このときの遮光部材は、磁性体や導電性のある物質でもよく、色つきフィルム、ミラーフィルムの他にたとえば液晶や有機EL等による材質を用いても良い。つまり、X線透過を阻害する金属でなければ、磁性を帯びた物質でも良い。
【0027】
図4に、動物固定器具およびコイルパターンの概観を示す。動物固定器具には、MRI信号を取得するための電気線が干渉しないように張り巡らされている。たとえばコイル全体図401に対して、3つの領域411、412、413に分割されているとすると、斜め配線402、403、横配線404〜407、水平配線408〜410の9通りの配線がなされている。これより、特許文献3に記載されているようなパラレルイメージング等の広範囲かつ高速撮像が対応可能となる。
【0028】
図5に、本発明の動物固定器具を用いた実施フローを示す。動物の大きさに合った形状の動物固定器具を選択し、動物を固定する(S501)。この動物固定器具は内部に動物への圧迫の強弱が変更可能な柔軟部材を備えている。また、動物固定器具の頭部はマジックミラー構成になっており、外部からの光を遮光しつつ内部(動物)の様子を観察可能とし、さらに外部からの雑音を遮音する遮音材料で構成されており、動物が外部要因により、驚いて動かないような機能を備えている(S502)。動物固定器具を含めた動物を医療用画像診断装置に移動し(S503)、MRI・CT撮像および三次元再構成をする(S504)。動物固定器具は口や手足の部分は開口部になっており、口からの呼吸は自然呼吸または挿管のどちらにも対応可能であり、手足部分は注射・留置針等を設置できるから、無麻酔で撮像可能である。また、必要に応じて麻酔を使うことができる。必要に応じて生体情報をモニタリングしながら(S505)、S504で取得した3次元画像上で特定領域描出(セグメンテーション)を行う(S506)。準備が出来次第手術開始となり(S507)、生体モニタによる監視を続けながら(S508)、術具を用いて処置を行う。このとき、術具位置を患部に誘導する手段として、ナビゲーション画像情報を見ながら行うことが一般的である(S509)。穿刺等の処置(S510)および治療(S511)が行われ、診断装置による画像確認が終了したら、手術終了となる(S512)。
【0029】
図6に、ISC(Interactive Scan Control、2Dナビゲーション)時における術具位置に応じた自動ボリューム変更例を示す。図6(a)はMRI装置によるマルチボリューム(スラブ)撮像を示す図、図6(b)は各ボリュームデータと各領域の対応関係を示す図、図6(c)は術具位置に応じたISC撮像を示す図である。図6(a)に示すように、患者601に対してターゲット領域605を含む3つの領域602〜604を撮像する。図6(b)に示すように、領域1〜3(領域602〜604)に対するボリューム画像・補償画像を610〜612とすると、ターゲット領域605を含むボリューム画像は611となる。一方、図6(c)に示すように、手術時のISC撮像は、符号606〜608で示されるように術具36の位置に応じて任意の撮像断面を得ることができるが、術具36の位置に応じてナビゲーションに適用されるボリューム画像610〜612が領域1〜3に応じてリアルタイムに変更・更新されることとなる。術具36の位置に応じて撮像時に使用される、図4に示すコイルパターンは変更してもよいが、当然ながら全て使用してもよい。
【0030】
図7に、手術前のGUI構成の一例を示す。3D Scanボタン701および生体モニタボタン702を押下することで、ボリュームデータに基づき領域1のMRI画像710が表示される。基本的には、息止め撮像ができる範囲なので、複数領域の撮像を繰り返す。そこで、複数領域指定(ベッド移動)ボタン703を押下して異なる領域に患者を移動し、再度3D Scanボタン701および生体モニタボタン702の押下を繰り返すことで、領域2〜6のMRI画像711〜715が別画面に表示される。ここで、必要に応じて体動(動き)検出ボタン704を押下することで、動物がどのような状態になっているかをモニタする。この方法は画像またはカメラの何れでも良い。このとき、動物がリラックス状態で、動いていないのを確認してCTやMRI撮像を行う。画像取得後は特定領域抽出(セグメンテーション)ボタン705を押下し、参照画面731を見てマウスやペンを用いて領域736を特定する。特定領域情報は別画面737に詳細表示されており、本例では4つの領域732〜735に関する情報を記載している。また、ボリューム画像はスラブ領域が分かるように色分け等により区別されている。その他、情報画面720上には装置情報、患者情報、各種機能情報、術具情報の詳細情報が表示されており、手術に必要な情報が一目で分かるようになっている。
【0031】
図8に、臨床時のGUI構成の一例を示す。画面構成は画像表示部801、手術支援メッセージ部802及びボタン構成によって成り立っており、ボタン構成は手術前に使用する術前プラニング部、手術時に使用する手術支援機能部、オプションとして使用する手術支援付加機能部によって構成されている。まず手術前において、3D Scanボタン803を押下して3D撮像を行い、Axial 813、Sagittal 814、Coronal 815、Volume Rendering 816画面上に画像が表示される。Planningボタン804を押下することで、3D画像上にて手術経路のシミュレーションを行う。手術時にはナビゲーションボタン806を押下することで、Axial 813、Sagittal 814、Coronal 815、Volume Rendering 816画面上に手術シミュレーション情報821と実際の術具位置820が表示され、術者は視覚的に手術経路を補償することができる。また、ISCボタン 805を押下することで、二次元のリアルタイム画像817が撮像・表示され、シミュレーションによる手術経路823と実際の術具位置822が表示される。メッセージ部819には、装置情報、患者情報、各種機能情報、術具情報がリアルタイムに表示される。
【0032】
オプション機能として、Volume Rendering 807のAxial 808、Sagittal 809、Coronal 810方向の表示切り替え機能や術具位置確認ボタン811を押下することで、立体構成表示部818に手術経路825と実際の術具位置824が表示される。さらに事前に登録したターゲット部位826も表示されていることから、立体的かつ術具との相対距離が一目で把握できるようになっている。また、治療効果確認ボタン812を押下することで、仮想的に針先先端からの治療領域827を表示する機能を設けている。これは、Radio Frequency Ablation(RFA)やCryotherapy等の温熱治療を想定したものであり、仮想治療領域827がターゲット部位826を包み込めれば治療が可能ということを示している。術者はこれらの機能を有効に利用して手術を進めることになる。また、複数の3D画像を領域別に使用する場合には、現在適用している3D画像のスライス画像がどのようなものかを別画面830〜834に表示する。この画像内には特定領域抽出(セグメンテーション)した領域835〜837も重畳表示されている。
【0033】
本発明における画像補償機能は異なるパラメータによるMRI画像でも対応可能である。また、術者自身(手技)による治療、ロボット/マニピュレータを用いた間接的な手術の何れにも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…MRI装置、3…上部磁石、5…下部磁石、7…支柱、9…位置検出デバイス、11…アーム、13…モニタ、15…モニタ支持部、17…基準ツール、19…パーソナルコンピュータ、21…ベッド、23…制御部、24…被検体、25…赤外線カメラ、27…ポインタ、29…操作者、33…RS232Cケーブル、34…映像記録装置、35…反射球、36…術具(治療器具)、38…生体モニタ装置、
100…動物固定器具、101…枠体、102…ジョイント部、103〜107…窓、108…小型動物、109…柔軟材料、110…開口部、
300…動物固定具、301…枠体、302…ジョイント部、303〜307…窓、308…小型動物、309…柔軟材料、310…開口部、321〜329…窓、333…動物固定器具の頭部、334…端子、
401…コイル全体図、402,403…斜め配線、404〜407…横配線、408〜410…横配線、411,412,413…領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体である動物を診断装置を用いて診断する際に用いる診断装置用動物固定器具において、
剛性材料からなる枠体を備え、
その内部に被検体である動物を入れられる構造であり、
その内側に、柔軟材料から構成され、被検体である動物を押圧して固定する部材を備え、
その頭部側に、外部からの光を遮光する部材を備えた診断装置用動物固定器具。
【請求項2】
請求項1記載の診断装置用動物固定器具において、
前記被検体である動物を押圧して固定する部材は、スポンジまたは綿からなることを特徴とする診断装置用動物固定器具。
【請求項3】
請求項1記載の診断装置用動物固定器具において、
前記被検体である動物を押圧して固定する部材は、空気袋を備え、当該空気袋への空気の挿入・排出により圧迫度を変更するように構成したことを特徴とする診断装置用動物固定器具。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一つに記載の診断装置用動物固定器具において、
前記診断装置用動物固定器具は、被検体の口や手足に対応する部分が開口部を備えていることを特徴とする診断装置用動物固定器具。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一つに記載の診断装置用動物固定器具において、
前記外部からの光を遮光する部材はマジックミラーまたは液晶から構成されていることを特徴とする診断装置用動物固定器具。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一つに記載の診断装置用動物固定器具において、
被検体である動物の頭頂部が位置する部分に、外部雑音を遮断する防音部材を設けたことを特徴とする診断装置用動物固定器具。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一つに記載の診断装置用動物固定器具において、
局所的に被検体にアプローチ可能なオープン窓を備えていることを特徴とする診断装置用動物固定器具。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一つに記載の診断装置用動物固定器具において、
前記動物固定器具に着脱可能な、MRI装置用の受信コイルを備えていることを特徴とする診断装置用動物固定器具。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一つに記載の診断装置用動物固定器具において、
前記診断装置用動物固定器具は、生体情報を取得する手段が内蔵されており、前記動物固定器具に設けた電気線を介して、外部表示ユニットに接続するように構成したことを特徴とする診断装置用動物固定器具。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一つに記載の診断装置用動物固定器具において、
前記剛性材料からなる枠体は、複数のジョイント部を備え、
前記ジョイント部で分割できるとともに、前記ジョイント部で折れ曲がるように構成されていることを特徴とする診断装置用動物固定器具。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一つに記載の診断装置用動物固定器具と、
前記診断装置用動物固定器具を用いて被検体である動物を固定しつつ被検体を撮像する診断装置と、
撮像結果を表示する表示装置とから構成される手術支援システム。
【請求項12】
請求項11に記載の手術支援システムにおいて、
前記診断装置はMRI装置であり、当該MRI装置は、被検体の複数の領域のボリュームデータを収集するように構成したことを特徴とする手術支援システム。
【請求項13】
請求項12に記載の手術支援システムにおいて、
前記MRI装置は、術具位置に応じたISC撮像を行ない、術具位置に応じてナビゲーションに適用するボリュームデータをリアルタイムに変更するように構成したことを特徴とする手術支援システム。
【請求項14】
請求項13に記載の手術支援システムにおいて、手術前に、
前記表示装置は、被検体の前記複数の領域のボリュームデータを表示するとともに、参照画面上で、領域を特定するように構成したことを特徴とする手術支援システム。
【請求項15】
請求項13に記載の手術支援システムにおいて、臨床時に、
前記表示装置は、前記ボリュームデータに基づき被検体の3D画像を表示すると共に、ISC撮像による術具位置に応じたリアルタイム画像を表示するように構成したことを特徴とする手術支援システム。
【請求項16】
請求項15に記載の手術支援システムにおいて、
前記表示装置は、前記3D画像および前記術具位置に応じたリアルタイム画像上に、シミュレーションによる手術経路と実際の術具位置を表示するように構成したことを特徴とする手術支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−85679(P2012−85679A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232555(P2010−232555)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発/橋渡し促進技術開発/疾患動物を用いた新規治療機器の安全性・有効性評価手法の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】