説明

試料をエバネッセント照明する装置および方法

本発明は、少なくとも2つの異なる波長を有する光放射を含む供給された光ビームを用いて試料をエバネッセント照明するための、光学補正素子(3)を備えた光照明素子と、該補正素子の下流に配置された対物レンズ(4)とからなる、試料をエバネッセント照明する装置に関する。補正光学部品(3)は、横色収差を有し、この横色収差により、照明中に光放射が対物レンズ(4)の瞳(14)を波長に応じて異なる高さで透過することになり、またこの横色収差は、エバネッセント照明中に試料中への放射の透過深度の波長に関連した差が縮小するように選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料をエバネッセント照明する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料のエバネッセント照明では、試料を照明する光束は、全反射が試料との境界面で起こるように供給される。こうして定在エバネッセント波が試料中に形成され、その強度は、境界面との距離と共に指数関数的に減少する。
【0003】
強度がe分の1に低下した距離は、エバネッセント波の透過深度を示す距離として定義することができる。典型的な値は、100〜200nmの範囲にある。
エバネッセント放射は、例えば試料中に蛍光を励起するために用いられる。その場合、励起された蛍光放射は顕微鏡を用いて検出することができる。
【0004】
異なる波長を有するいくつかの蛍光が励起されることがますます増える。これは、当然ながら、可能な限り高い程度まで同じ条件下で行なわれるべきであり、その結果、個々の蛍光像は有意であり、互いに組み合わせること、または互いに定量的に比較することができる。これに関連して、透過深度が波長および入射角に依存するという難点が生じる。透過深度は、同じ入射角の異なる波長に対し大きさが異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このことに基づいて、本発明の目的は、波長に関連した透過深度の差が縮小される、試料をエバネッセント照明する装置を提供することである。さらに、試料のエバネッセント照明のそれぞれの方法が提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、試料をエバネッセント照明する装置によって達成され、この装置は、補正光学部品を備えた照明光学部品と、該補正光学部品の下流に配置され、少なくとも二つの異なる波長を有する光放射を含む供給された光束で試料をエバネッセント照明する対物レンズとからなり、補正光学部品は横色収差を有し、この横色収差により、照明の間、光放射が波長に応じて異なる高さで対物レンズの瞳を横切ることになり、またこの横色収差は、エバネッセント照明の間、試料中への放射の透過深度の、波長に関連した差が縮小するように選択される。
【0007】
この結果、本発明による装置は、例えば蛍光検査の場合に有利である少なくとも二つの異なる波長を有する光放射、または二つの異なる波長を有する光線束を用いて同時に試料を照明するために使用することができる。透過深度の差を大幅に縮小することが可能であり、それによって、例えば同時または順次に実施された周波数励起によるマルチスペクトル像を評価することができる。
【0008】
すなわち、エバネッセント照明時のスペクトル透過深度は、本発明による装置によって一様になる。したがって、有利なことには装置内にスペクトル透過深度を整合させるための調整オプションを用意する必要がもはやない。
【0009】
本発明による装置では、対物レンズ瞳の高さが照明角度に影響を及ぼし、それによってエバネッセント照明時の透過深度に影響を及ぼすことが有利に利用される。これは、本発明によれば、エバネッセント照明中に同じ透過深度を得るために、必要とされる対物レンズ瞳の波長依存高さが存在するように、補正光学部品の意図的な倍率色収差により利用される。
【0010】
本発明による装置の結果として、例えばそれぞれ異なる蛍光色素分子または染料が、異なる波長で同時または順次に励起されるべき実験の場合、測定または検査は、かなり高頻度で実施することができるようになる。というのは、同じ透過深度または同じ励起量に到達するのに、以前に必要であったように機械要素を2つの検査(またはスナップショット)の間で移動させる必要がもはやないからである。
【0011】
補正光学部品は、回折素子、および屈折素子の少なくとも一方を備えることができる。具体的には、これは、斜めに配置された平板、ウェッジ、プリズム、回折素子、および斜めに配置できるレンズの少なくとも一つ、およびこれらの素子の組合せとすることができる。補正光学部品によって引き起こされる横色収差は特にまた、対物レンズの倍率を考慮して選択することもできる。もしも対物レンズに照明時の色収差がある場合には、これは、補正光学部品の横色収差または倍率色収差の選択の際に考慮に入れることができる。
【0012】
補正光学部品は、対物レンズ瞳と共役の面を有することができ、供給された光束がこの面を通って進む。具体的には、供給された光束は、補正光学部品の光軸と平行に共役面を通って進む。この場合、光学部品の配置は簡単に実現可能である。
【0013】
さらに、光束は、対物レンズ瞳内の主光線の必要な進路に一致するように、ある距離の、ある角度で光軸から外れてこの面を通過することができる。波長の異なる光は、この面に例えば光ファイバ内部で供給することができ、この光は、本発明によれば、規定された横色収差により対物レンズ瞳内に結像され、それによって透過深度のスペクトル差を意図的に縮小することができる。
【0014】
具体的には、試料をエバネッセント照明する本発明による装置は供給ユニットを備えることができ、このユニットは、補正光学部品の光束を軸から外れて、かつ/または光束が補正光学部品の光軸に平行に延びないようにして供給する。供給ユニットは光ファイバを備えることもあり、そのファイバ端は、所望の光束供給が実現されるように配置される。供給ユニットはまた、ビーム・スプリッタ、レンズ、格子など他の光学素子を含むこともできることを理解されたい。
【0015】
供給される光束には、異なる波長を有する複数の線束が、互いに特に同軸上で含まれる。これにより、補正光学部品の構成が簡単になる。
試料をエバネッセント照明する本発明による装置は、さらに駆動素子を有することができ、この素子は、例えば供給ユニットの一部とすることができ、この素子を用いて、光束が共役面を通過する位置、および光束が共役面を通過する光束の角度の少なくとも一方を設定することができる。具体的には、光束から補正光学部品の光軸までの距離を変更することができる。したがって、すべての波長に対し透過深度を同時に変更することが可能である。
【0016】
駆動素子はまた、対物レンズ瞳における、すべての波長依存高さを同時に変更することが可能なように配置することもできる。この変更は、透過深度を波長に依存しないで変更するように行われることが好ましい。わずかに波長に依存するスペクトル透過深度の変化が、駆動素子によって透過深度を変更する場合には生じうる。残った差は、非補正の場合と比較して少なくとも1桁だけ小さい。
【0017】
供給された光束が異なる波長を有する2つ以上の光線束を含むとき、透過深度の波長に依存する差を最小にすることができる。特に、2つ、3つ、またはそれより多い波長に対し各透過深度が同じになることが実現可能である。中間にある波長の場合には、何らの透過深度の補正も実施されない場合と比較して大幅な縮小が可能である。残った差は、非補正の場合と比較して1桁または数桁だけ小さくなりうる。
【0018】
2つまたは3つを超える異なる波長の場合では、補正光学素子は、例えばスペクトル差がすべての波長に対し最小化されるように配置することができる。例えば、スペクトル差がどの波長でも既定の限度値を超えないことが求められることがある。他の任意の種類の最小化もまた実現可能である。
【0019】
光放射または光線束は特に、本明細書では光学法則に従って挙動する電磁放射と理解されたい。具体的には、これは可視波長領域の放射にかかわる。赤外線領域または紫外線領域の放射もまた可能性がある。
【0020】
試料をエバネッセント照明する本発明による装置は顕微鏡の構成要素になりうる。この場合、試料中の放射透過深度の波長に関連した差が縮小されるように試料をエバネッセント照明することができる顕微鏡が実現される。
【0021】
この場合には、補正光学部品は、顕微鏡の照明光学部品の一部を利用することができる。この補正光学部品は、対物レンズの下流に配置された入射垂直照明の一部を含むことができる。この場合、補正光学部品は、例えば補正モジュールを含み、これは顕微鏡に付加することができ、照明光学部品の一部と共に本発明による補正光学部品を実現する。この場合には、補正光学部品は、利用される照明光学部品の一部と共に補正光学部品の所望の横色収差が実現されるように配置されることが好ましい。
【0022】
このような顕微鏡を用いて蛍光放射が検出されるとき、これはTIRF(全反射照明蛍光)顕微鏡と呼ばれることも多い。TIRF顕微鏡では、落射蛍光で知られる背景蛍光が大幅に低減され、像コントラストが大幅に改善される。その結果、それぞれ高いz解像度が得られる。エバネッセント場は、100〜200nmの典型的な厚さを有する。
【0023】
本発明による装置は、TIRF顕微鏡においてスペクトル励起量を最適化することを可能にし、またいくつかの波長を利用することによってより鮮明でより良質のTIRFカラー画像を得るためにいくつか異なる波長を用いる方法を可能にする。
【0024】
結像原理のために、本発明による装置を照明する方法は特に、細胞膜の環境中の動的過程を調べるのに、また無細胞系において分子間の相互作用を調べるのに適している。さらに、TIRF顕微鏡法では、以前には間接的な測定しか可能でなかった場合でも像を提示することができるので、電気生理学と薬理学の実験(試料の操作)の組合せもまた、重要な役割を果たす。
【0025】
試料をエバネッセント照明する本発明による装置はさらに、光束の発生源を含むことができる。その放射は、特にレーザ放射と関係がありうる。
試料をエバネッセント照明する本発明による装置、およびそのような装置を備えた顕微鏡は、当業者に知られた制御装置を含むことができる。この顕微鏡は特に、従来の方法で構成することができる。
【0026】
この目的はさらに、少なくとも2つの異なる波長を有する光放射を含む光束からなり、この光束が補正光学部品と、試料がエバネッセント照明されるように補正光学部品の下流に配置された対物レンズとを介して試料に向けられ、補正光学部品が横色収差を有し、この横色収差により、照明中に光放射が対物レンズの瞳を波長に応じて異なる高さで横切ることになり、またこの横色収差が、エバネッセント照明中に試料中への放射の透過深度の波長に関連した差が縮小するように選択される、試料をエバネッセント照明する方法によって達成される。
【0027】
本発明による方法は、試料を異なる波長で同時にエバネッセント照明すること、および透過深度がわずかしか違わないように保証することを可能にする。透過深度は特に同じにすることができる。
【0028】
同じ照明状態を異なる波長で、このような方法を用いて優れた方法で実現することができる。
補正光学部品は、少なくとも1つの屈折素子および/または少なくとも1つの回折素子を備えることができる。
【0029】
具体的には、補正光学部品は、対物レンズの瞳と共役の面を備えることができ、供給された光束がこの面を通過する。光束は、この共役面をそれぞれ異なる波長で同軸光ビームとして通過することが好ましい。
【0030】
この方法では、試料は、異なる波長を有する光放射で同時に照明されることが好ましい。
この方法を用いて、光束を補正光学部品に軸から外れて、かつ/または光束が補正光学部品の光軸に平行に延びないようにして供給することができる。こうして補正光学部品の横色収差を意図的に、それぞれ異なる波長が対物レンズの瞳を所望の異なる高さで通過するように利用することができる。
【0031】
本発明による照明方法は、顕微鏡検査で用いることができる。こうしてそれぞれの顕微鏡法、例えばTIRF顕微鏡法が提供される。この顕微鏡法は、当業者に知られた方法でさらに発展させることができる。
【0032】
上記および以下でさらに説明する特徴は、提示した組合せで使用できるだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組合せでも単独でも使用できることを理解されたい。
【0033】
本発明を以下で、本発明に関連する特徴の開示もする添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】試料をエバネッセント照明する本発明による装置の一実施形態の概略図である。
【図2】図1の試料11を伴った対物レンズ4の拡大図である。
【図3】試料をエバネッセント照明する本発明による装置の別の一実施形態の図である。
【図4】図1乃至3の実施形態における現在の透過深度を説明するグラフである。
【図5】回折光学部品を使用することにより試料をエバネッセント照明する、本発明による装置の別の一実施形態の図である。
【図6】回折を生じるように作用する格子を使用することにより試料をエバネッセント照明する、本発明による装置の別の一実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1および図2に示された実施形態では、試料をエバネッセント照明する本発明による装置1は、顕微鏡2に組み込まれ、補正光学部品3と、補正光学部品3の下流に配置された対物レンズ4とを備える。
【0036】
補正光学部品3は、3つのレンズL1、L2およびL3を有する補正ユニット5、下流偏向プリズム6、2つのレンズL4およびL5を有する入射光光学部品7、ならびに反射鏡8を備える。
【0037】
入射光光学部品7は、顕微鏡2の従来の入射垂直照明の構成要素とすることができる。入射垂直照明の他の要素は、図を簡単にするためにここでは示されていない。入射垂直照明用の光は、プリズム6が除去されたとすれば、矢印P1で示された方向から入射光光学部品7に当たり、次に、反射鏡8を介して顕微鏡ビーム経路に送り込まれる。反射鏡8は、ある程度透明の反射鏡、およびダイクロイック反射鏡の少なくとも一方として(用途に応じて)構成することができる。
【0038】
顕微鏡2はさらに、管光学部品9およびイメージ・センサ10を備えることができる。
図1および図2による実施形態では、試料11のエバネッセント照明が、波長450nmおよび575nmの放射15を用いて、2つの波長にかかわらず、それぞれの場合で透過深度が93nmになるように実施される。供給される光束15は、図1に矢印で示されている。矢印の先端は面16にあり、例えばファイバ端とすることができ、そこから放射15が出射される。
【0039】
この場合、補正光学部品3は、面16が、対物レンズ4の、図1に矢印14で位置が示されている出口瞳14に共役の面になるように配置される。さらに、補正光学部品3は横色収差を含み、検査されるべき試料11のエバネッセント照明時の透過深度d(図2)の波長に依存する差がこのようにして、2つの波長450nmおよび575nmに対して補償されるように構成される。
【0040】
2つの波長450nmおよび575nmに対して同じ既定の93nmの透過深度dを得るために、補正光学部品3の補正ユニット5は、それが強い横色収差を有するように構成される。この横色収差は、図2に概略的に示されるように、検出側において、波長450nmを有する光放射または光線束S1が、575nmの波長を有する光放射S2よりも低い高さh1(光軸OAまでの距離)で、対物レンズ4の瞳14を通過するように選択される。異なる高さh1、h2(光軸OAまでの距離)は、従って得られる試料11上の放射S1、S2の異なる入射角の結果として、透過深度dが両方の波長に対しそれぞれ93nmになるように、補正ユニット5によってあらかじめ設定される。
【0041】
補正ユニット5は、高さhに応じて構成され、この高さは、所望の透過深度dに基づいて以下のように計算することができる。
透過深度dは、次の式1により表すことができる。
【0042】
【数1】

λは使用される光放射の波長、αは現在のビーム入射角、αは全反射に移行する臨界ビーム入射角、またnは試料(すなわち、エバネッセント照明される媒体)の屈折率を表す。
【0043】
全反射の臨界角αは、次の式2により表すことができる。
【0044】
【数2】

ここで、nはカバーガラス12の屈折率である。
【0045】
式1と2を一緒に組み合わせると、試料11に入るエバネッセント波の透過深度は以下のように表すことができる。
【0046】
【数3】

異なる波長に対し、透過深度dが同じであるべき場合、以下の数式が一定でなければならないことが式3から必要とされる。
【0047】
【数4】

値n・sinαは、対物レンズ4の対物側の開口数に相当する。これにより、無限大の像距離での正弦条件を含む状態で次式が導かれる。
【0048】
【数5】

ここで、hは対物レンズ4の出口瞳14内のそれぞれの開口ビームの高さ、fは対物レンズ4の焦点距離である。
【0049】
決められた、または所望の透過深度に対する対物側の必要な開口数(n・sinα)は、式3により個々の波長について計算することができる。式5により、対物レンズ4の出口瞳14に入射する光について、波長に依存する高さhが得られる。波長に依存する高さhが既知の場合、補正ユニット5により生じる色倍率収差は、補正ユニット5に供給される光束15のそれぞれ異なる波長を有する光線S1、S2が、計算された高さhで出口瞳14を通過するように設計することができる。
【0050】
さらに、光束15の補正光学部品3の光軸からの軸方向距離は、図1の装置内で、双方向矢印P2で示されているように変更することができる。透過深度は、この距離の変更によって変えることができる。距離の変更は、特にアクチュエータ(図示せず)によって行うことができる。
【0051】
透過深度がこのようにして、ここで想定された93nm以外の値に設定された場合でも、波長に依存する透過深度の差を縮小することがやはり、補正ユニット5を用いて実現される。しかし、透過深度がもはや全く同じにならないことも起こりうる。しかし、透過深度の差は、本発明による補正ユニット5を用いない場合と比較して、大幅に小さくなる。
【0052】
次の表1は、レンズL1〜L5の個々の領域の半径および間隔と、使用されたレンズ材料のそれぞれの屈折率とを示す。
【0053】
【表1】

別の実現可能な補正ユニット5が図3に示されている。この場合、補正ユニットは、傾斜した平板17を備え、425nmと575nmでの透過dの色収差を補償する。
【0054】
さらに別の実現可能な補正ユニットが図5および図6に示されている。図5で、補正光学部品に供給される光束は、回折光学部品(20)を通過し、そのため波長に依存して放射が分割されることになる。この光は、回折光学部品上の、供給された光束の衝突点に焦点がある下流レンズ21によって平行にされる。
【0055】
図6で、補正光学部品に供給された光束は、回折作用をする格子25に当たって、波長に依存して放射が分割されることになる。この光は、回折格子上の、供給された光束の衝突点に焦点がある下流レンズ26によって平行にされる。
【0056】
波長425nmと575nmで得られるべき高さの差Δh(λ)は、対物レンズ4を使用する場合、93nmの透過深度で0.0989mmになる。このような高さの差は、光放射を有する光束15が、これら2つの波長を有して37.149°の角度γで平板17に当たる場合に得られる。光放射が、その波長に応じて様々に屈折されるので、様々な波長を有する光線では、平行オフセットのようにそれぞれ異なる高さh(λ)で平板17から出射される。ここで必要な高さの差には、17.775mmの平板17の厚さDで到達する。
【0057】
図4は、様々な場合でのエバネッセント照明時の透過深度を示す。曲線K1は、本発明による補正なしでの、波長に依存する透過深度を示す。曲線K2は、図1の実施形態の透過深度を示す。破線の曲線K3は、瞳高さの最適化が400から650nmの間の8つの波長で実施された補正光学部品(図示せず)での透過深度を示す。このような補正光学部品は、図1の補正光学部品3と比較して追加のレンズを備える。最後に、波長に依存しない93nmの透過深度が曲線K4で示されている。
【0058】
透過深度の調整の実現が透過深度の図から明白に理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料をエバネッセント照明するための装置であって、補正光学部品(3)を有する照明光学部品と、少なくとも二つの異なる波長を有する光放射(S1、S2)を含む供給された光束(15)を用いて試料をエバネッセント照明するために、該補正光学部品の下流に配置された対物レンズ(4)とを備え、該補正光学部品(3)が横色収差を有し、該横色収差により、前記光放射(S1、S2)が、照明中に前記対物レンズ(4)の瞳(14)を波長に応じて異なる高さで横切ることになり、該横色収差は、エバネッセント照明中の、前記試料(11)内への前記放射の透過深度の波長に関連した差が縮小するように選択される、試料をエバネッセント照明するための装置。
【請求項2】
前記補正光学部品(3)は、少なくとも一つの屈折素子(L1、L2、L3)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記補正光学部品(3)は、少なくとも1つの、斜めに配置された平板(17)、および斜めに配置されたレンズの少なくとも一方を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記補正光学部品(3)は、前記対物レンズの瞳(14)と共役の面(16)を含み、前記供給された光束(15)が前記面を通過する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記光束(15)を前記補正光学部品(3)に軸から外して供給する供給ユニットを備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記供給ユニットは、前記補正光学部品(3)の光束(15)を、該光束(15)が前記補正光学部品(3)の光軸に平行に延びないように供給する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも二つの異なる波長を有する光放射を含む光束を用いて試料をエバネッセント照明するための方法であって、前記光束は補正光学部品を介して試料へ向けられ、対物レンズは、試料がエバネッセント照明されるように、前記補正光学部品の下流に配置され、
前記補正光学部品は横色収差を有し、該横色収差により、前記光放射が照明中に前記対物レンズの瞳を波長に応じて異なる高さで横切ることになり、該横色収差は、エバネッセント照明中の、前記試料内への前記放射の透過深度の波長に関連した差が縮小するように選択される、試料をエバネッセント照明するための方法。
【請求項8】
前記補正光学部品は、少なくとも1つの屈折素子を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記補正光学部品は、少なくとも1つの、斜めに配置された平板、および斜めに配置されたレンズの少なくとも一方を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記補正光学部品は、前記対物レンズの瞳と共役の面を有し、前記供給された光束が前記面を通過する、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記光束は、同軸光束として該光束が前記共役の面を通過するように、前記光放射を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記試料は、少なくとも二つの波長を有する光放射で同時に照明される、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記光束は、前記補正光学部品に軸から外れて供給される、請求項7乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記光束は、該光束が前記補正光学部品の光軸に平行に延びないように、前記補正光学部品に供給される、請求項7乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記補正光学部品(3)は、少なくとも一つの回折素子(20、25)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記補正光学部品は、少なくとも一つの回折素子(20、25)を有する、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−520144(P2011−520144A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507814(P2011−507814)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003056
【国際公開番号】WO2009/135607
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(506151659)カール ツァイス マイクロイメージング ゲーエムベーハー (71)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss MicroImaging GmbH
【Fターム(参考)】