説明

試料ガス採取装置及び危険物探知装置

【課題】危険物探知装置における従来技術は検出感度が十分でなく、危険物の
蒸気圧が低い場合や、危険物の量が微量である場合には、濃縮過程を設けない限
り検出できないという欠点があった。
【解決手段】上記従来技術の問題を解決するためには、ニトロ化合物に代表さ
れる危険物を負のコロナ放電を用いて効率的にイオン化し、生成した負イオンを
質量分析計を用いて高感度に検出する。
【効果】危険物の蒸気を高感度に検出することにより、危険物の有無を高速に
判定することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は危険物検知に関し、詳しくは爆発物などから発生する蒸気を高感度に検出し、荷物や貨物などにおける爆発物の有無を判定するための危険物探知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ニトロ化合物に代表される爆発物のような危険物の蒸気を検出して危険物の有無を検出するための従来技術としては、米国特許4,987,767、さらには5,109,691に開示されている方法がある。これらの方法では、検査する人や物から蒸気を採取して集め、それをいったん濃縮した後脱着して、電子捕獲検出器を備えたガスクロマトグラフやイオン移動度分析計などの検出器により検出するという方法が取られていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術では、用いている検出器の感度が十分でないため、化学的な濃縮過程を経て検出を行っていた。しかし、化学的な濃縮過程を設けると、濃縮の程度にもよるが、化学的な濃縮に多大な時間がかかるため(数分から数十分)、ひとつの分析に多くの時間を要し、多数の検体を高速に処理することができないという問題があった。
【0004】
空港での手荷物や貨物の危険物探知には短時間で処理することが要求されていいたが実現することができないという問題があった。また、手荷物や貨物から如何に試料ガスを採取するかが問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来技術を解決するため、測定すべき気体試料を導入する試料導入部と、導入された上記気体試料を負のコロナ放電させるコロナ放電部と、上記コロナ放電部によって生じたイオンを質量分析する質量分析部を有している。すなわち、本発明によれば、ニトロ化合物に代表される危険物が負のイオンになりやすいことを利用して、負のコロナ放電を用いてイオン化され、生成された負のイオンは質量分析計によって測定される。負のコロナ放電による負イオン生成効率は、非常に高いので検出感度も十分高く、そのため、上記従来技術のような煩雑な化学的な濃縮過程は不要となる。
【発明の効果】
【0006】
ほぼ密閉された容器、例えばトランクケースのような荷物に収納されている危険物を検知することが可能となる。特に微量の蒸発ガスを発生する物質を効率良く検出するためにガスをイオン化し小型のイオン蓄積型の質量分離器を用いて高速に検知する。これにより、大量に搬入される荷物を個別単位で開放すること無く危険物の有無の判別が可能となる。また、荷物を個々に検査するのではなくブロック単位即ち複数の荷物を収納した容器単位で危険物の有無の確認も行うことが可能となる。これにより検出スピードの向上がはかられる。金属探知装置やX線検査装置と併用することによりより危険物の検出感度を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明によれば、ニトロ基を複数有するニトロ化合物の検出を高感度に行うことができる。これらのニトロ化合物は、負のイオンになりやすく、負のコロナ放電によって容易に負のイオンが生成される。従って、非常に高い感度が得られる。しかも、質量分析計として、イオンを内部に溜め込むことができるイオントラップ型質量分析計を用いることにより、この質量分析計において試料の高倍率濃縮を行うことができるので、爆発物のように測定対象の蒸気圧が極めて低い場合でも、確実に分析を行うことができる。ただし、四重極質量分析計や磁場型質量分析計を用いることは可能である。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明の実施例の危険物探知システムの構成を示す図である。後述するように、本発明においては、ニトロ化合物に代表される爆発物のような危険物の蒸気を採取した後、負のコロナ放電を用いてイオン化し、それを質量分析計により検出するが、本実施例は、検査官が測定対象である荷物等からサンプリングプローブで漏洩してくる危険物の蒸気をを吸引して分析し、その分析結果から危険物の有無を探知検査する場合である。また、このような方法に加えて、荷物内の危険物の形態を荷物を開放することなく外部より撮影するX線検査装置とを同時に併用することにより危険物の位置が確認されそれに基づいてサンプリングプローブを近ずけることにより検出感度さらに一層上げることができる。
【0009】
本実施例における詳細を図1等を用いて説明する。空港、港等の公共施設において、搭乗に際して荷物等の検査が行われる。バッグ等の検査体1aは、ベルトコンベア2aに乗せられ、まずX線検査装置3aに送られる。ここで、金属を中心とした危険物の検査を受けた荷物1bは、さらに危険物の蒸気検出を目的とした、オフライン分析用危険物探知装置4により検査される。図1の場合では、検査官が、オフライン分析用サンプリングプローブ5を用いて、バッグ等の検査体1aの鍵穴等の開口部又は上蓋と下蓋の隙間に、オフライン分析用サンプリングプローブ5を近づけ、内部の蒸気を採取して検査を行う。このとき、オフライン分析用サンプリングプローブ5の先端を細くしておけば、隙間を利用して、バッグ等の内部の蒸気を直接採取することも可能となる。検査官は、図24に示したような、表示器64により検出結果を確認する。表示器64では、ある検出すべきイオンに対応する物質のインジケータ65を表示しておき、例えば、Aが検出されたとすれば、Aを点滅させることによって、Aが検出されたことを知らせる。このとき、どの程度の濃度か(簡単には、量が多いか少ないかといった程度の情報でよい)を知らせる量のインジケータ66や、アラーム67を同時に設けてもよい。
【0010】
上記のような検査での検査フローは、図26のようになる。X線検査装置3aやオフライン分析用危険物探知装置4で異常が検出できなかった場合には荷物を通過させることになるが、異常が検出された場合には、詳細な再検査を行うことになる。図1では、X線検査装置3aとオフライン分析用危険物探知装置4を併用しているが、オフライン分析用危険物探知装置4を単独で使用することも可能である。また、オフライン分析用危険物探知装置4の後にX線検査装置3を通過させても良い。この場合は、危険物が有る場合にはX線検査装置3での検査時間が短縮される。更にまた、オフライン分析用危険物探知装置4だけで行う場合が有る。この場合はX線により感光して又は変色、変形してしまう物が内部収納されている場合などに効果的である。
【0011】
なお、このようなオフライン分析用危険物探知装置4は、トランク内に危険物がないかどうか検査するための車両検査にも応用できる。
【0012】
このような検査装置構成にすることによって、次のような効果がある。すなわち、プラスチック爆弾のような場合、荷物内部に爆発物が厚い固まりとして存在すればX線検査装置により観測される可能性もあるが、薄いシート状で存在すると、X線はほとんど透過してしまい観測されにくい。このとき、次の段階として検査官がオフライン分析用危険物探知装置により検査を行うと、爆発物がシート状であったとしてもその蒸気が荷物内部あるいは荷物外部に漏れていれば危険物を探知できることになり、危険物を検出する可能性はX線検査装置単独の場合よりもさらに高くなる。また、再検査の場合にも、荷物内部にある物質が爆発物であるかどうかをその蒸気の分析からその場ですぐにチェックでき、しかもその種類をも分析できる。この場合、X線検査装置よりも有用である。
【0013】
以下に、実際の分析部での動作を主に図7を用いて説明する。測定対象の気体試料は、気体試料導入プローブにおける気体試料導入口17から導入される。
【0014】
気体試料導入プローブの詳細は、図9と図10に示した。まず、図9の場合について説明する。気体試料が気体試料導入口17から導入されるためには、気体試料導入ポンプ27が必要となる。この気体試料導入ポンプ27には、ダイアフラムポンプのようなメカニカルな機構を有する気体導入ポンプを用い、その気体試料導入流量は毎分数リットルから数十リットル程度である。使用する気体試料導入ポンプ27の能力は、気体試料導入パイプ24の長さに強く依存する。気体試料導入パイプ24が長くなれば、それだけ高い能力を持つ気体試料導入ポンプ27を用いる必要がある。気体試料が気体試料導入パイプ24の内壁に吸着されにくくするには、気体試料を導入する際の気体試料導入パイプ24内部の温度を上げる必要がある。気体試料導入パイプ24には、柔軟性のあるパイプを用い、その周りには蛇腹パイプのような硬いが折り曲げ可能なパイプ25を設け、その内部にある気体試料導入パイプ24を構造的に補強する。気体試料導入パイプ24の周りには、その内壁への気体試料の吸着を防ぐため、気体試料導入パイプ用ヒータ26を巻いて温度制御する。通常、この温度は室温(10から30℃)以上の温度とし、最高で200℃程度の温度とする。一方、気体試料導入ポンプ27を用いて気体試料を導入する場合、プローブ先端には、手に持ちやすいように取っ手19を設けたり、気体試料導入ポンプ27のスイッチ18を取っ手19の近傍に設けると便利である。プローブ先端には、プローブ先端加熱ヒータ20を設け、プローブ先端部分での気体試料の吸着防止を行ったり、大きな粒子やゴミが直接気体試料導入パイプ24の方に吸引されないように、フィルタ22を設けることも重要なポイントとなる。このとき、フィルタ22に詰まったゴミを取り出しやすいように、定期的に内部をクリーニングするためのゴミ取り出し口23を設けると良い。さらに、目的とするものが固体試料の場合、固体試料を加熱した方がより蒸気が発生し検出も容易となるので、赤外線ランプやハロゲンランプなどのような固体試料加熱手段21を設けてもよい。固体試料をサンプリングする場合には、この固体試料加熱手段により固体試料を加熱することも、装置を運用する際の大きなポイントとなる。
【0015】
一方、図9のような構造にすると、気体試料導入パイプ24の長さが数メートルを越えるような場合、そのだけ気体試料導入パイプ用ヒータ26も長く巻く必要が生じ、製造コストが上昇する。そこで、この欠点を解消するために、次のような構造にすることも可能である。すなわち、図10に示すように、ある一定の間隔毎に、通過する気体試料を通電加熱するための多重に巻いた金属線ヒータ28a(複数設ける場合には、図10のように、28aに加えて28bを試料導入パイプ24の途中に設けたような構造とし、気体試料導入パイプ24が長い場合には、この数をさらに増やすことも可能である)を設ければよい。実際の運転に当たっては、気体試料導入ポンプ27により気体試料の吸引を開始してから、金属線ヒータ28の通電加熱を開始し、金属線ヒータ28が十分に加熱された一定時間後に、測定を開始することになる。このようなシーケンスにすることによって、温度の低い気体状試料が気体試料導入パイプ内に導入されて吸着するなどの問題も軽減される。また、このような構造を採用することによって、長い気体試料導入パイプ24を使用する場合でも、ある一定距離毎にこの金属線ヒータ28を設ければ良い。また、通電加熱であれば金属線ヒータの温度が数秒程度で所定の温度に上昇するので、この金属線ヒータを常に加熱しておく必要がなく、製造コストに加えて運転コストを下げることができるという大きなメリットがある。
さらに、気体試料導入パイプ24の先端には、水分を含む大きな粒子の導入を防ぐ観点から、金属線ヒータ28aを設けるとよい。高温に加熱された金属線ヒータが気体試料導入口17の直後にあれば、水分を含む粒子も加熱気化される可能性が高くなる。もちろん、この後に、図9に示したようなフィルタ6やゴミ取り出し口7を設けることも可能である。
【0016】
図8に示すように、気体試料導入ポンプ27により、気体試料導入パイプ24内に強制的に導入された気体試料は、まず気体試料加熱炉29に導入される。このとき、気体試料導入ポンプ27を連続で動かす場合には駆動部分を冷却するために、ポンプ冷却用ファン63を用いてもよい。この気体試料加熱炉29では、金属製のブロックの中に設けられた、石英のような高温に耐える材質でできた絶縁パイプ30の中に設けた、気体試料加熱用金属線ヒータ31を通電加熱して、この領域を通過する気体試料を高温に加熱する。気体試料加熱用金属線ヒータ31には、ニクロム線などの金属製のワイヤを多重に巻いたものを使用する。絶縁パイプの径は、流入する気体量にも依存するが、毎分2リットル程度の気体が導入される場合では、5mm程度である。絶縁パイプの長さは、10cm程度である。気体試料加熱用金属線ヒータ31の加熱温度は、測定する試料にも依存するが、30から400℃程度である。導入された気体試料が後で述べるコロナ放電領域に直接行かないようにすることが重要となる。これは、粒子(水分などをも含む)などが直接コロナ放電領域に導入されると、コロナ放電が不安定になったりするためである。コロナ放電領域の前に、図8に示したような気体試料加熱用金属線ヒータ31などによる気体試料の加熱領域があれば、粒子が導入されたとしても、高温に加熱された気体試料加熱用金属線ヒータ31に衝突しこの領域で気化される。この気体試料加熱用金属線ヒータ31は金属線ヒータ加熱電源32により温度制御される。通常、この領域の温度は50から400℃程度に保たれる。なお、気体試料加熱炉29は、その前段の気体試料導入パイプ24の部分で十分に加熱されていれば、必要ない場合もある。
【0017】
試料加熱炉29を通過した気体試料は、イオン化のためのコロナ放電部33に導入される。導入された気体試料は効率的にコロナ放電用針電極37先端のコロナ放電領域に送られるように、コロナ放電用針電極37の近傍に絞り付き気体試料導入経路58の先端が置かれている。例えば、途中までの経路の内径が5mm程度あるとき、その先端の内径を1mm程度にしておけば、導入された気体試料が確実にしかも効率的にコロナ放電用針電極37先端のコロナ放電領域に導入されることになる。このとき、気体試料導入経路58の長さは5cm程度である。
コロナ放電用針電極37近傍に存在する気体試料導入経路58は、コロナ放電用針電極37先端での電界を弱めないため、テフロン(登録商標)、マコールガラス、セラミック等の絶縁材でできている。この領域も気体試料加熱炉29と同様に、コロナ放電部加熱ヒータ35により加熱できるようになっている。通常、この領域の温度は、コロナ放電部加熱ヒータ電源36により50から300℃程度に保たれる。
コロナ放電部33には、コロナ放電用針電極37が設けられており、コロナ放電用電源38により負の高電圧(−2から−5kV程度)が印加できるようになっている。このとき、まわりの対向電極33との距離は1から10mm程度である。第1細孔40より導入されるイオンや分子以外の余剰ガスは余剰ガス出口39より系外に排出される。
【0018】
コロナ放電部33で生成したイオンを分析するに当たっては、いろいろな種類の質量分析計を使用できるが、以下では、イオン溜め込み型のイオントラップ質量分析計を用いた場合について、図7を用いて述べる。四重極質量分析計や磁場型質量分析計などの他の質量分析計を用いた場合でも同様である。コロナ放電部33で生成したイオンは、ヒータにより加熱された差動排気部の第1細孔40(直径0.3mm程度、長さ20mm程度)、第2細孔41(直径0.2mm程度、長さ0.5mm程度)、第3細孔42(直径0.3mm程度、長さ0.5mm程度)を通過する過程で、加熱や中性分子との衝突などによりクラスターイオンの開裂が起こり試料分子のイオンが生成する。また、第1細孔40と第2細孔41、第2細孔41と第3細孔42間には電圧が印加できるようになっており、イオン透過率を向上させると同時に、残留する分子との衝突によりクラスタの開裂を行う。差動排気部は、通常、ロータリポンプ、スクロールポンプ、またはメカニカルブースタポンプなどの荒引きポンプ56により排気される。この領域の排気にターボ分子ポンプを使用することも可能である。第2細孔41と第3細孔42間の圧力は0.1から10Torrの間にある。生成したイオンは第3細孔42を通過後、静電レンズ43により収束される。この静電レンズ43には、通常、3枚の電極からなるアインツエルレンズなどが用いられる。イオンはさらにスリット44を通過後、偏向器45で偏向されて、ゲート電極46を経て、一対のお椀状のエンドキャップ電極47a、47bとリング電極48よりなるイオントラップ質量分析計に導入される。スリット44はスキマーから流入する中性粒子などを含むジェットの立体角を制限し、余計な粒子等がイオントラップ質量分析計内に導入されるのを防ぐ。偏向器45を用いているのは、スキマーを通過した中性粒子がエンドキャップ電極47aの細孔を通して直接イオントラップ質量分析部に導入されないようにするためである。ここでは、多数の開口部を設けた内筒、外筒よりなる二重円筒型の偏向器45を用いており、内筒の開口部より滲みだした外筒の電界を用いて偏向している。ゲート電極46は、イオントラップ質量分析部内に溜め込んだイオンを系外に取り出す際に、外部からイオンが質量分析部内に導入されないようにする役目をする。このイオントラップ質量分析部内に導入されたイオンは、イオントラップ質量分析部内部に導入されたヘリウムなどのガスと衝突してその軌道が小さくなった後、リング電極48に印加された高周波電界を走査することによって系外に排出され、引き出しレンズ49を経てイオン検出器により検出される。ヘリウムなどのガスは、ボンベ54などの供給源からレギュレータ55を通して供給される。イオントラップ質量分析計のメリットのひとつは、イオンを溜め込む特性を有するので、試料の濃度が希薄でも溜め込む時間を伸ばせば検出できる点である。従って、試料濃度が低い場合でも、イオントラップ質量分析部のところでイオンの高倍率濃縮が可能となるので、試料の前処理を非常に簡便化できる。イオントラップ質量分析部より取り出されたイオンの検出に当たっては、コンバージョンダイノード50でイオンが電子に変換され、その電子をシンチレーションカウンタ51で検出している。得られた信号は増幅器52で増幅後、データ処理装置53に送られる。
静電レンズ43、スリット44、偏向器45、ゲート電極46、イオントラップ質量分析部、イオン検出器の存在するチャンバーは、ターボ分子ポンプ57で排気される。なお、ターボ分子ポンプ57には背圧側に補助ポンプが必要となるが、これを差動排気部に用いている荒引きポンプ56と兼用することは可能である。この実施例では、差動排気部に排気容量900リットル/分程度のスクロールポンプを、チャンバー用の排気装置として200リットル/秒程度のターボ分子ポンプを使用しており、このターボ分子ポンプの補助ポンプとしてスクロールポンプを兼用している。このような系にすることによって、複雑になりがちな大気圧イオン化質量分析装置の排気系を非常に単純化できる。この装置では偏向器45を用いているが、イオンを偏向しない場合も当然考えられ、この場合には、静電レンズ43の直後に、イオントラップ質量分析部が配置される構造となる。
図7の例では、2段差動排気を用いているが、これを3段以上の差動排気系を用いてもよい。この場合には、第1段目の差動排気に用いている細孔を3個から2個に減らし、2段目以降の高真空側における差動排気の段数を増やすことも可能である。
【0019】
通常、このデータ処理装置53では、質量数/電荷とイオン強度の関係(マススペクトル)や、ある質量数/電荷のイオン強度の時間変化(マスクロマトグラム)などを表示する。また、データ処理装置53では、上述したように、最終的な表示をマススペクトルやマスクロマトグラムではなく、さらに簡略化されたものにしてもよい。すなわち、危険物探知装置のような場合には、問題となるニトロ化合物が検出されたかどうかを表示するだけでもよい。また、荷物の特定するために、図示していないがバーコードリーダで読み込んだコードから搭乗者割り出し画面に表示することにより持ち主を素早く特定できる。例えば、図25のように、ある検出すべき特定のイオン(この場合はTNTを示しており、検出されたイオンはTNT分子に電子がついた負のイオンで、その質量数は227)におけるノイズレベルに対して、ある閾値を設けそのレベル以上にシグナルが検出されたとき、このイオンが検出されたとする。このとき、単なるスパイクノイズと区別するために、ある一定時間以上観測されれば、例えば1秒から5秒の間積算すればそれをシグナルとみなすようなアルゴリズムを用いる。このようなアルゴリズムを加えることによって、誤作動を低減することができる。また高速に荷物の処理を行う場合できるだけ短時間に検知することが要求されこの方式は十分対応可能とするものである。このとき、最終表示としては、図24に示すような場合が考えられる。表示器64に、ある検出すべきイオンに対応する物質のインジケータ65を表示しておき、上記のようなアルゴリズムによって、例えば、Aが検出されたとすれば、Aを点滅させることによって、Aが検出されたことを知らせる。このとき、どの程度の濃度か(簡単には、量が多いか少ないかといった程度の情報でよい)を知らせる量のインジケータ66や、アラーム67を同時に設けてもよい。
【0020】
以上説明してきたような気体試料加熱炉29を設けることの重要性は、図14、15に示すデータからもわかる。図14は、気体試料加熱炉29で加熱した場合に得られる、気体試料の温度とイオン強度との関係を示したものである。ガス温度が上昇すると、急激にイオン強度が上昇することがわかり、特に100℃を越えた場合の変化は著しい。図15には、気体試料の温度が(a)150℃と(b)30℃の場合に得られるイオン強度の差を示した。使用した試料はモノニトロトルエンで、室温での試料からの蒸気を気体試料吸引ポンプ27で吸引して得られたピークである。同じコロナ放電電圧(−2.5kV)のとき、加熱した場合の方が加熱しない場合より2.5倍程度電流値が増えていることがわかる。しかも、電流の安定度も加熱した場合の方がはるかに良い。気体試料の温度が高温になっている、例えば100℃以上に上がっていれば、導入された気体状試料の水分も気化しコロナ放電によるイオン化が効率的に、しかも安定に行われる。また、高温に加熱された気体試料により、間接的にコロナ放電用針電極21の温度が上がると、同じ放電電圧でも高いコロナ放電電流が得られるため、イオンの生成効率も上がることになる。
【0021】
一方、コロナ放電によりイオンの生成する領域の圧力も重要となる。通常、コロナ放電を利用するような大気圧イオン源では、イオンを真空中に取り込む細孔から流入されない余剰ガスをイオン源の外に出すための余剰ガス出口39が設けられている。従って、常に、この余剰ガス出口39が開放状態であるため、コロナ放電領域はほぼ大気圧(760Torr程度)となっている。しかし、実際には、コロナ放電領域における分子密度が高い方がそれだけイオン化効率が高くなり、コロナ放電領域の圧力の最適値は大気圧の760Torrよりも高いところにある。しかし、その一方で、イオンを真空中に取り込む細孔(直径0.2−0.5mm程度)付近での圧力が高すぎると、細孔を通して高真空下の質量分析部に流入する分子の数が多くなりすぎ、質量分析部における高真空を維持するのが困難となる。そこで、図13に示すように、余剰ガス出口39を塞ぎ、気体試料導入ポンプ27により気体を連続的に導入して、コロナ放電部33内部の圧力を高めるようにする。このとき、図13に示すような構造とする。すなわち、図13(a)に示したのは、余剰ガス出口のところに、そのコンダクタンスを悪くするための軽い素材でできた重り59を置き、コロナ放電部33内部の圧力を制御する方法である。コロナ放電部33内部の圧力が高くなりすぎると、重り59が浮き余剰ガスが余剰ガス出口より出る。コロナ放電部33に流入する気体量と重りの重さの関係で、コロナ放電領域の圧力を最適値付近に制御することができる。また、図7(b)に示すように、余剰ガス出口のところに圧力調整部60を設け、気体試料導入ポンプ27が作動している間、この圧力調整部60によって、コロナ放電領域の圧力を制御することも可能である。図16には、イオン源圧力とイオン強度との関係を示した。イオン強度の最大は、760Torrより高いところにあることは明確である。図17には、余剰ガス出口に重りを置いてコロナ放電領域の圧力を高めて測定した場合(1.2気圧程度)、余剰ガス出口をオープンにしてほぼ大気圧下で測定した場合(1気圧程度)との感度比較を示した。使用した試料はモノニトロトルエンで、室温での試料からの蒸気を気体試料吸引ポンプ27で吸引して得られたピークである。前者の方が後者の場合より感度は3倍程度高くなっており、コロナ放電部33内部の圧力を高くすることが有効であることがわかる。
【0022】
図12に示すような、気体試料導入ポンプ27により気体試料を連続的に導入して検出する場合について述べてきた。この場合には、図21のような結果(試料はモノニトロトルエン(MNT))が得られる。一方、図11に示すように、シリンジ61に気体試料を採取しセプタム62を通して、オフラインで直接導入することも可能である。このとき、図18に示すようなサンプリング方法を用いることができる。すなわち、試料瓶72中に固体試料70を置き、気体試料導入ポート68からシリンジ69を用いて、固体試料70の蒸気をサンプリングする。このとき、粉末の固体試料の場合には巻き上げないように、空気取り入れ口71を設けてある。このような条件下で、シリンジを用いて、固体試料の蒸気を含む空気を数十cc採取し、それを図11のようにして、分析計に直接導入する。
【0023】
これまで述べてきたような分析装置を用いると、蒸気圧の低いニトロ化合物をも高感度に測定できる。これは、負のコロナ放電によるニトロ化合物の負イオン生成効率が高いためである。ニトロ化合物では、ニトロ基の数が増えるとそれだけ負イオン生成効率が高くなる傾向がある。図19に示すようなトリニトロトルエン(TNT)、図20に示すようなアールディーエックス(RDX)のように、ニトロ基を三つ以上有するような、蒸気圧の低い物質でも十分に検出することができる。この測定では、図11に示したシリンジ導入モードを用いた。もちろん、本発明の方法を用いれば、ニトロ基がひとつ(図13に示したモノニトロベンゼンのような物質)、あるいはふたつのニトロ化合物(ジニトロトルエンのようなニトロ化合物)でも高感度に測定できることは言うまでもない。
【0024】
一方、測定試料の温度を上げる工夫の重要性は、図22、23の結果からわかる。図22は、試料温度(TNTの場合)とイオン強度との関係を示したもの、図23は、試料温度が異なる場合(40℃と140℃の場合)に、蒸気を希釈していった場合に得られるイオン強度の変化を示したものである。試料自体の温度が上昇すると、イオン強度は急激に上昇し、室温と140℃ではイオン強度が2桁以上異なる。従って、図23に示すように、試料温度が高い方が試料自体が高倍率に希釈されてしまっている場合でも検出することが可能となる。図9、10における固体試料加熱手段21の意味はまさにここにある。
【実施例2】
【0025】
図2は、本発明の実施例の危険物探知システムの構成を示す図である。本実施例は、図1の場合と異なり、ベルトコンベアにより流れてくる荷物等から自動的にガスを連続して吸引して分析し、その分析結果から危険物の有無を検査する場合である。また、このとき、X線検査装置を同時に使用することも可能である。
【0026】
詳細を図2等を用いて説明する。空港、港等の公共施設において、搭乗に際して荷物等の検査が行われる。バッグ等の検査体1cは、ベルトコンベア2bに乗せられ、まずX線検査装置3bに送られる。ここで、金属を中心とした危険物の検査を受けた荷物は、さらに危険物の蒸気検出を目的とした、オンライン分析用危険物探知装置6により検査される。オンライン分析用危険物探知装置6では、図3に示すように、バッグ等の検査体1eの近傍に複数の開口部又は隙間を有するオンライン分析用サンプリングプローブ7aにより、バッグ等の検査体1eより漏洩してくる危険物の蒸気を吸引して分析部に送る。このとき、図4のように、バッグ等の検査体1eから漏洩してくる蒸気の量を増やすため、ベルトコンベア2dとベルトコンベア2e間に、検査体を圧迫するような検査体圧迫器8を設け、危険物蒸気のサンプリング時には検査体を押して蒸気の排出をうながすような仕組みを設けてもよい。検査体圧迫は、図にあるような下からの場合に加えて、左右両方向から行うことも効果がある。検査官は、図24に示したような、表示器64により検出結果を確認する。表示器64では、ある検出すべきイオンに対応する物質のインジケータ65を表示しておき、上記のようなアルゴリズムによって、例えば、Aが検出されたとすれば、Aを点滅させることによって、Aが検出されたことを知らせる。このとき、どの程度の濃度か(簡単には、量が多いか少ないかといった程度の情報でよい)を知らせる量のインジケータ66や、アラーム67を同時に設けてもよい。
【0027】
上記のような検査での検査フローは、図27のようになる。X線検査装置3bやオンライン分析用危険物探知装置6で異常が検出できなかった場合には荷物を通過させることになるが、異常が検出された場合には、詳細な再検査を行うことになる。
【0028】
また、トランクケース等の荷物の中から試料ガスを採取するやり方として、トランクケースをベルトコンベヤーで搬送する際、コンベヤーの容器が凹状に成っていてその底部にトランクケースが収納され上蓋がベルトコンベヤーとほぼ同期して覆われその後1秒以下でポンプにより負圧にすることによりケース内部の試料ガスが外に排出される。この排出されたガスを検知することにより達成される。コンベヤーが目的地へ到達する前に上蓋が取られ凹部底部のトランクケースが取り出される。
【0029】
このことは何も移動中に限る物ではなく受付した際にトランクケースを収納する部屋を設けそこに収納した後若干負圧にしてトランクケースからの試料ガスを試料採取装置で採取し分析部で検知する。このように負圧にして試料ガスを検出することにより荷物に傷を付けることなく素早く検出ができる。
【0030】
このような検査装置構成にすることによって、(実施例1)と同様な効果がある。さらに、この場合、X線検査装置、危険物探知装置とも全数検査となるので、X線検査装置の結果と危険物探知装置の結果とをあわせて検査でき危険物探知の確率が向上すると同時に、検査官の手をわずらわせることがないので検査を効率的に行うことができる。
【実施例3】
【0031】
図3は、本発明の実施例の危険物探知システムの構成を示す図である。本実施例は、コンテナのような巨大な貨物等に、検査管がサンプリングプローブをコンテナの隅にある開口部にセットして、一定時間を貨物内部のガスを吸引して分析し、その分析結果から危険物の有無を検査する場合である。また、このとき、X線検査装置を同時に使用することも可能である。
【0032】
詳細を図5等を用いて説明する。空港、港等の公共施設において、コンテナのような大型の貨物等の検査が行われる。コンテナのような大型の貨物では、隅にある開口部を利用して、コンテナ分析用サンプリングプローブ10を用いて内部の気体を連続して吸引し、コンテナ分析用危険物探知装置11に送る。このとき、ひとつの開口部以外を密閉したり、全ての開口部から同時に、サンプリングする場合もある。検査官は、図24に示したような、表示器64により検出結果を確認する。表示器64では、ある検出すべきイオンに対応する物質のインジケータ65を表示しておき、上記のようなアルゴリズムによって、例えば、Aが検出されたとすれば、Aを点滅させることによって、Aが検出されたことを知らせる。このとき、どの程度の濃度か(簡単には、量が多いか少ないかといった程度の情報でよい)を知らせる量のインジケータ66や、アラーム67を同時に設けてもよい。
【0033】
上記のような検査での検査フローは、図28のようになる。コンテナ分析用危険物探知装置11で異常が検出できなかった場合には荷物を通過させることになるが、異常が検出された場合には、詳細な再検査を行うことになる。
このような装置構成にすることによって、コンテナ内部に爆発物が存在してその 蒸気が漏れている場合、危険物探知装置により検出を容易に行うことができ、コンテナの安全性を分析できる。
【実施例4】
【0034】
図4は、本発明の実施例の危険物探知システムの構成を示す図である。本実施例は、原子力などの機関における入室管理ゲート等において、一定時間ガスを吸引して分析し、その分析結果から入室者における危険物の保有の有無を検査する場合である。また、このとき、金属探知装置やX線検査装置を同時に使用することも可能である。
詳細を図6等を用いて説明する。原子力施設等の公共施設において、入室者のゲート管理が行われる。入室者管理ゲート12では、蒸気サンプリング室13において、一定時間(数秒から数十秒)被検者からガスを集め、蒸気ガイド14を通して、入室者管理ゲート用危険物探知装置15に送り分析する。検査官は、入室管理ゲート用危険物探知装置のモニタ16により検出結果を確認する。このモニタ16では、ある検出すべきイオンに対応する物質のインジケータ65を表示しておき、上記のようなアルゴリズムによって、例えば、Aが検出されたとすれば、Aを点滅させることによって、Aが検出されたことを知らせる。このとき、どの程度の濃度か(簡単には、量が多いか少ないかといった程度の情報でよい)を知らせる量のインジケータ66や、アラーム67を同時に設けてもよい。
【0035】
上記のような検査での検査フローは、図29のようになる。入室者管理ゲート用危険物探知装置15で異常が検出できなかった場合には通過させることになるが、異常が検出された場合には、詳細な再検査を行うことになる。
【0036】
このような装置構成にすることによって、爆発物を施設内部に持ち込もうとした場合にも検出することができ、それを阻止することができる。
【実施例5】
【0037】
荷物を空港から飛行機へ搬送する際、温度調節できる温度調節器と、負圧にする圧力調節器と、試料ガスを採取する採取器と、採取したガスをイオン化して分析するイオン蓄積型質量分析計と分析結果を知らせる表示器とを備えた搬送車により搬送する。もしこの搬送中に危険物ガスが検知された時には車単位で検査が行こなわれるため検出のスピードアップ化がはかられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による危険物探知システムの構成図。
【図2】本発明による危険物探知システムの構成図。
【図3】蒸気吸引部の構成図。
【図4】蒸気吸引部の構成図。
【図5】本発明による危険物探知システムの構成図。
【図6】本発明による危険物探知システムの構成図。
【図7】本発明による装置構成図。
【図8】本発明による装置構成図。
【図9】本発明による装置構成図。
【図10】本発明による装置構成図。
【図11】シリンジ導入モードにおける装置構成図。
【図12】連続導入モードにおける装置構成図。
【図13】圧力調整機構を備えた装置の構成図。
【図14】ガス温度とイオン強度との関係を示す図。
【図15】ガスを加熱した場合と加熱しない場合のイオン強度差を示す図。
【図16】イオン源内部の圧力とイオン強度との関係を示す図。
【図17】イオン源内部を密閉した場合と開放状態でのイオン強度差を示す図。
【図18】シリンジ導入モードにおける試料蒸気の採取方法を示す図。
【図19】シリンジ導入モードによるTNTの化学記号とTNT蒸気の検出例を示す図。
【図20】シリンジ導入モードによるRDXの化学記号とRDX蒸気の検出例を示す図。
【図21】連続導入モードによるMNT化学記号とMNT蒸気の検出例を示す図。
【図22】TNT試料の温度とイオン強度との関係を示す図。
【図23】TNT蒸気の希釈率とイオン強度との関係を示す図。
【図24】危険物探知装置における表示器の一例を示す図。
【図25】危険物探知装置における検出方法を示す図。
【図26】X線検査装置と組み合わせた場合のオフライン型危険物探知システムの運用方法を示すフローチャート図。
【図27】X線検査装置と組み合わせた場合のオンライン型危険物探知システムの運用方法を示すフローチャート図。
【図28】ウオークスルー型危険物探知システムの運用方法を示すフローチャート図。
【図29】コンテナ用危険物探知システムの運用方法を示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0039】
1a、1b、1c、1d、1e−−−バッグ等の検査体、2a、2b、2c、2d、2e−−−ベルトコンベア、3a、3b−−−X線検査装置、4−−−オフライン分析用危険物探知装置、5−−−オフライン分析用サンプリングプローブ、6−−−オンライン分析用危険物探知装置、7a、7b−−−オンライン分析用サンプリングプローブ、8−−−検査体圧迫器、9a、9b−−−コンテナ、10−−−コンテナ分析用サンプリングプローブ、11−−−コンテナ分析用危険物探知装置、12−−−入室管理ゲート、13−−−蒸気サンプリング室、14−−−蒸気ガイド、15−−−入室管理ゲート用危険物探知装置、16−−−入室管理ゲート用危険物探知装置のモニタ、17−−−気体試料導入口、18−−−スイッチ、19−−−取っ手、20−−−プローブ先端加熱ヒータ、21−−−固体試料加熱手段、22−−−フィルタ、23−−−ゴミ取り出し口、24−−−気体試料導入パイプ、25−−−折り曲げ可能なパイプ、26−−−気体試料導入パイプ用ヒータ、27−−−気体試料導入ポンプ、28a、28b−−−金属線ヒータ、29−−−気体試料加熱炉、30−−−絶縁パイプ、31−−−気体試料加熱用金属線ヒータ、32−−−金属線ヒータ加熱電源、33−−−コロナ放電部、34−−−気体試料導入経路、35−−−コロナ放電部加熱ヒータ、36−−−コロナ放電部加熱ヒータ電源、37−−−コロナ放電用針電極、38−−−コロナ放電用電源、39−−−余剰ガス出口、40−−−第1細孔、41−−−第2細孔、42−−−第3細孔、43−−−静電レンズ、44−−−スリット、45−−−偏向器、46−−−ゲート電極、47a、47b−−−エンドキャップ電極、48−−−リング電極、49−−−引き出しレンズ、50−−−コンバージョンダイノード、51−−−シンチレーションカウンタ、52−−−増幅器、53−−−データ処理装置、54−−−ボンベ、55−−−レギュレータ、56−−−荒引きポンプ、57−−−ターボ分子ポンプ、58−−−絞り付き気体試料導入経路、59−−−重り、60−−−圧力調整部、61−−−シリンジ、62−−−セプタム、63−−−ポンプ冷却用ファン、64−−−表示器、65−−−物質のインジケータ、66−−−量のインジケータ、67−−−アラーム、68−−−気体試料導入ポート、69−−−ガスサンプリング用シリンジ、70−−−固体試料、71−−−空気取り入れ口、72−−−試料瓶。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物から漏洩した危険物の蒸気をサンプリングプローブにより採取しそれを負のコロナ放電を用いてイオン化し質量分析計を用いて検出することにより、危険物の有無を判定することを特徴とする危険物探知装置。
【請求項2】
透過あるいは反射によるX線検査装置と、荷物から漏洩した危険物の蒸気をサンプリングプローブにより採取しそれをイオン化してイオン蓄積型質量分析計を用いて検出することにより、危険物の有無を判定する危険物探知装置。
【請求項3】
透過あるいは反射によるX線検査装置と、荷物から漏洩した危険物の蒸気をオンラインで採取する試料ガス採取器と、前記試料ガス採取器からのガスをを負の放電を用いてイオン化して質量分析計を用いて検出することにより、危険物の有無を判定することを特徴とする危険物探知装置。
【請求項4】
コンテナ等の大型の貨物から漏洩した危険物の蒸気をコンテナの隙間部からサンプリングプローブで採取しそれを放電を用いてイオン化して質量分析計で分析しすることにより、危険物の有無を判定を行うことを特徴とする危険物探知装置。
【請求項5】
人間、荷物から漏洩した危険物の蒸気を密閉された空間内で一定時間ガスをサンプリングしそれを負の放電を用いてイオン化して質量分析計を用いて検出することにより、危険物の有無を判定することを特徴とする危険物探知装置。
【請求項6】
試料ガスを検体から導く管と前記管の一端に接続されたポンプと、前記ポンプの前記管とは反対側に位置する加熱炉とを具備した試料採取装置。
【請求項7】
温度調節できる温度調節器と、負圧にする圧力調節器と、試料ガスを採取する採取器と、採取したガスをイオン化して分析するイオン蓄積型質量分析計と分析結果を知らせる表示器とを備えたことを特徴とする搬送車。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過あるいは反射によるX線検査装置と、荷物から漏洩した危険物の蒸気をサンプリングプローブにより採取しそれをイオン化してイオン蓄積型質量分析計を用いて検出することにより、危険物の有無を判定する危険物探知装置。
【請求項2】
大型の貨物から漏洩した危険物の蒸気をコンテナの隙間部からサンプリングプローブで採取しそれを放電を用いてイオン化して質量分析計で分析することにより、危険物の有無の判定を行うことを特徴とする危険物探知装置。
【請求項3】
試料ガスを検体から導く管と前記管の一端に接続されたポンプと、前記ポンプの前記管とは反対側に位置する加熱炉とを具備した試料採取装置。
【請求項4】
温度調節できる温度調節器と、負圧にする圧力調節器と、試料ガスを採取する採取器と、採取したガスをイオン化して分析するイオン蓄積型質量分析計と分析結果を知らせる表示器とを備えたことを特徴とする搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−58318(P2006−58318A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321691(P2005−321691)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【分割の表示】特願平10−192662の分割
【原出願日】平成10年7月8日(1998.7.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】