説明

試料分析装置

【課題】複数の保持場所にそれぞれ保持された複数の試薬を同一の分析項目に必要な試薬として容易に管理することが可能な試料分析装置を提供する。
【解決手段】この試料分析装置(免疫分析装置1)は、第1試薬管理情報が記録された試薬収用具200を複数保持可能な試薬設置部6と、第2試薬管理情報が記録された試薬収用具300を複数保持可能な試薬設置部7と、第1試薬管理情報を読み出すバーコードリーダ6aと、第2試薬管理情報を読み出すバーコードリーダ7aと、第1試薬管理情報および第2試薬管理情報に基づいて、複数の試薬収用具200のうちの所定の試薬収用具200に収容されたR1/R3試薬と複数の試薬収用具300のうちの所定の試薬収用具300に収容されたR2試薬とを測定試薬セットとして登録する登録手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試料分析装置に関し、特に、少なくとも第1試薬と第2試薬とを用いて所定の分析項目の分析を行う試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1試薬と第2試薬とを用いて所定の分析項目の分析を行う試料分析装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1では、複数の試薬を用いて分析する分析項目を分析する際に、その分析項目の分析に必要な複数の試薬をそれぞれ収容する複数の試薬容器が互いに固定されたカセットを用いて分析が行われる。また、このカセットは、試薬ディスクに保持されている。また、従来では、分析項目によっては、攪拌などの所定の処理を行うことが必要な試薬と、所定の処理を行うことが必要でない試薬とを用いて分析する場合がある。所定の処理が必要でない試薬に対して所定の処理を行った場合、測定結果に悪影響を与える場合がある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−121492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、複数の試薬容器が互いに固定されたカセットを用いて分析を行うため、カセットに含まれる複数の試薬を同一の分析項目に必要な試薬として管理することが容易である一方、所定の処理が必要な試薬のみに対して所定の処理を行うことが困難であるという不都合がある。
【0006】
そこで、所定の処理を行うことが必要な試薬を収容する試薬容器と、所定の処理を行うことが必要でない試薬を収容する試薬容器とを互いに別の保持場所に保持することも考えられる。しかし、その場合には、所定の処理を行うことが必要な試薬のみに対して所定の処理を容易に行うことができる一方、所定の処理を行うことが必要な試薬と所定の処理を行うことが必要でない試薬とを同一の分析項目に用いる試薬として管理することが困難であるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数の保持場所にそれぞれ保持された複数の試薬を同一の分析項目に必要な試薬として容易に管理することが可能な試料分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
この発明の第一の局面による試料分析装置は、少なくとも第1試薬と第2試薬とを用いて所定の分析項目の分析を行う試料分析装置であって、第1試薬を収容し、第1試薬の管理に用いられる第1試薬管理情報が記録された第1記録部を有する第1試薬容器を複数保持可能な第1試薬容器保持部と、第2試薬を収容し、第2試薬の管理に用いられる第2試薬管理情報が記録された第2記録部を有する第2試薬容器を複数保持可能な第2試薬容器保持部と、第1試薬容器保持部に保持された第1試薬容器の第1記録部から、第1試薬管理情報を読み出す第1読出部と、第2試薬容器保持部に保持された第2試薬容器の第2記録部から、第2試薬管理情報を読み出す第2読出部と、第1読出部および第2読出部によってそれぞれ読み出された第1試薬管理情報および第2試薬管理情報に基づいて、前記第1試薬と前記第2試薬とを測定試薬セットとして登録する登録手段と、登録手段によって登録された測定試薬セットを用いて所定の分析項目の測定を行う測定部と、測定部による測定結果を処理し、試料の分析結果を取得する処理手段とを備えている。
【0009】
この第一の局面による試料分析装置では、上記のように、第1読出部および第2読出部によってそれぞれ読み出された第1試薬管理情報および第2試薬管理情報に基づいて、第1試薬と第2試薬とを測定試薬セットとして登録する登録手段を設けることによって、第1試薬容器保持部に保持された第1試薬と第2試薬容器保持部に保持された第2試薬とを自動的に測定試薬セットとして管理することができる。これにより、複数の保持場所にそれぞれ保持された複数の試薬を同一の分析項目に必要な試薬として容易に管理することができる。
【0010】
上記第一の局面による試料分析装置において、好ましくは、第1試薬管理情報と第2試薬管理情報とが対応するか否かを判定する判定手段を備えるように構成されている。このように構成すれば、第1試薬管理情報と第2試薬管理情報とが対応するか否かを判定することができる。
【0011】
上記第一の局面による試料分析装置において、好ましくは、第1試薬管理情報および第2試薬管理情報は、それぞれ、第1分析項目情報および第2分析項目情報を含み、判定手段は第1分析項目情報と第2分析項目情報とが対応するか否かを判定する。このように構成すれば、判定手段により、第1試薬の分析項目と第2試薬の分析項目とが対応するか否かを判定することができる。
【0012】
上記第一の局面による試料分析装置において、好ましくは、第1試薬管理情報および第2試薬管理情報は、それぞれ、第1ロット番号情報および第2ロット番号情報を含み、判定手段は、第1ロット番号情報と第2ロット番号情報とが対応するか否かを判定するように構成されている。このように構成すれば、判定手段により、第1試薬の分析項目と第2試薬の分析項目とが対応するか否かを判定することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、第1試薬管理情報および第2試薬管理情報は、それぞれ、第1ロット番号情報および第2ロット番号情報をさらに含み、判定手段は、少なくとも、第1分析項目情報および第1ロット番号情報と、第2分析項目情報および第2ロット番号情報とがそれぞれ対応するか否かを判定し、登録手段は、第1分析項目情報および第1ロット番号情報と、第2分析項目情報および第2ロット番号情報とが対応すると判定手段により判定された場合に、第1試薬と第2試薬とを測定試薬セットとして登録するように構成されている。このように構成すれば、分析項目およびロット番号が互いに対応する第1試薬と第2試薬とを測定試薬セットとして自動的に登録することができる。また、分析項目だけでなく、ロット番号の対応関係をも判定することにより、ロット番号が同一の試薬により分析が行われるので、正確な測定結果を得ることができる。
【0014】
また、好ましくは、判定手段が、第1試薬管理情報と第2試薬管理情報とが対応しないと判定した場合、登録手段が、第1試薬と第2試薬とを測定試薬セットとして登録することを禁止するように構成されている。このように構成すれば、試薬管理情報が互いに対応しない第1試薬と第2試薬とを測定試薬セットとして登録されないので、不適切な試薬の組み合わせで測定を行なうことが防止できる。
【0015】
上記第一の局面による試料分析装置において、好ましくは、第1試薬管理情報および第2試薬管理情報は、それぞれ、第1試薬容器の第1シリアル番号情報および第2試薬容器の第2シリアル番号情報をさらに含み、登録手段は、第1試薬と第2試薬とを測定試薬セットとして登録する際に、第1シリアル番号情報と第2シリアル番号情報との対応関係をも登録するように構成されている。このように構成すれば、測定試薬セットを構成した第1試薬と第2試薬とが、重複する番号のないシリアル番号により管理されるので、登録された測定試薬セット以外の第1試薬と第2試薬との組み合わせによる測定が行われるのを防止することができる。
【0016】
上記第一の局面による試料分析装置において、好ましくは、測定のオーダを受け付けるオーダ受付手段と、オーダ受付手段が受け付けたオーダに対応する測定を行なうための試薬セットの有無を判定する試薬セット有無判定手段と、試薬セット有無判定手段が、オーダ受付手段が受け付けたオーダに対応する測定を行なうための試薬セットが無いと判定した場合に、オーダに基づく測定を禁止する測定禁止手段とをさらに備える。このように構成すれば、オーダ受付手段が受け付けたオーダに対応する測定を行なうための試薬セットが無い場合に、そのオーダに基づく測定を禁止することができる。
【0017】
この場合、試薬セット有無判定手段が、オーダ受付手段が受け付けたオーダに対応する測定を行なうための試薬セットが無いと判定した場合に、オーダに基づく測定が禁止された旨を使用者に警告する警告手段をさらに備えるように構成されていることが好ましい。このように構成すれば、オーダに対応する測定を行なうための試薬セットが無い場合に、使用者に対し警告が発せられるので、測定が禁止された旨を使用者が容易に知ることができる。
【0018】
上記第一の局面による試料分析装置において、好ましくは、使用者から交換または取出し対象の測定試薬セットの指定を受け付ける受付部をさらに備え、第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部は、それぞれ、複数の第1試薬容器および複数の第2試薬容器を移動可能に保持するように構成されており、受付部によって交換または取出し対象の測定試薬セットが指定された場合、第1試薬容器保持部は、測定試薬セットの第1試薬に対応する第1試薬容器を、第1試薬容器保持部に保持された試薬容器の取出しが可能な第1取出位置に移動させるとともに、第2試薬容器保持部は、測定試薬セットの第2試薬に対応する第2試薬容器を、第2試薬容器保持部に保持された試薬容器の取出しが可能な第2取出位置に移動させるように構成されている。このように構成すれば、第1試薬容器保持部により第1取出位置に移動された交換または取出し対象の測定試薬セットの第1試薬容器、および、第2試薬容器保持部により第2取出位置に移動された交換または取出し対象の測定試薬セットの第2試薬容器のそれぞれを、同時に取り出すことができる。これにより、測定試薬セット毎に試薬の交換または取出しを行うことができるので、試薬の管理を容易に行うことができる。
【0019】
この場合、好ましくは、第1試薬容器を、第1試薬容器保持部の第1取出位置から第1試薬容器保持部の外部へ搬送するための第1搬送手段と、第2試薬容器を、第2試薬容器保持部の第2取出位置から第2試薬容器保持部の外部へ搬送するための第2搬送手段とをさらに備え、受付部によって交換または取出し対象の測定試薬セットが指定された場合、第1搬送手段は、測定試薬セットの第1試薬に対応する第1試薬容器を第1取出位置から第1試薬容器保持部の外部へ搬送するとともに、第2搬送手段は、測定試薬セットの第2試薬に対応する第2試薬容器を第2取出位置から第2試薬容器保持部の外部へ搬送するように構成されている。このように構成すれば、第1試薬容器および第2試薬容器のそれぞれを、第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部から第1搬送手段および第2搬送手段により自動的に取り出すことができる。
【0020】
上記第1搬送手段と第2搬送手段とを備える構成において、好ましくは、受付部によって交換対象の測定試薬セットが指定された場合に、第1搬送手段は、第1試薬容器保持部の外部に設けられた第1セット位置に配置された第1試薬容器を、第1セット位置から第1取出位置に搬送し、第1試薬容器保持部は、交換対象の測定試薬セットの第1試薬容器を第1取出位置に移動させ、第1搬送手段は、交換対象の測定試薬セットの第1試薬容器を第1取出位置から第1試薬容器保持部の外部へ搬送し、第2搬送手段は、第1試薬容器保持部の外部に設けられた第2セット位置に配置された第2試薬容器を、第2セット位置から第2取出位置に搬送し、第2試薬容器保持部は、交換対象の測定試薬セットの第2試薬容器を第2取出位置に移動させ、第2搬送手段は、交換対象の測定試薬セットの第2試薬容器を第2取出位置から第2試薬容器保持部の外部へ搬送するように構成されている。このように構成すれば、第1搬送手段および第2搬送手段により、第1試薬容器および第2試薬容器を自動的に交換することができる。
【0021】
上記第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部が、それぞれ、複数の第1試薬容器および複数の第2試薬容器を移動可能に保持する構成において、好ましくは、第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部は、それぞれ、複数の第1試薬容器および複数の第2試薬容器を回転移動可能に環状に保持するように構成されており、第1取出位置および第2取出位置は、それぞれ、第1試薬容器の回転移動経路上および第2試薬容器の回転移動経路上に位置する。このように構成すれば、交換または取出し対象の試薬(試薬容器)を容易に第1取出位置および第2取出位置に移動させることができる。
【0022】
上記使用者から交換または取出し対象の測定試薬セットの指定を受け付ける受付部を備えた構成において、好ましくは、交換または取出し対象の測定試薬セットの第1試薬に対応する第1試薬容器、および、交換対象の測定試薬セットの第2試薬に対応する第2試薬容器の交換または取出しが終了したことを通知する通知手段をさらに備える。このように構成すれば、使用者は、測定試薬セットの交換または取出しが終了したことを容易に認識することができる。
【0023】
上記第一の局面による試料分析装置において、好ましくは、表示部と、第1試薬容器保持部および第2試薬容器保持部にそれぞれ保持された複数の第1試薬容器および複数の第2試薬容器の配置状態を表示部に表示するように制御する表示制御部とをさらに備える。このように構成すれば、使用者は、表示部を見ることによって試薬容器の配置状態を認識することができる。
【0024】
この場合、好ましくは、第1試薬および第2試薬から測定試薬セットが構成されない場合、表示制御部は、測定試薬セットを構成しない第1試薬および第2試薬を、測定試薬セットが構成された第1試薬および第2試薬と識別可能に表示するように表示部を制御するように構成されている。このように構成すれば、使用者は、表示部を見ることによって測定試薬セットを構成しない試薬を認識することができる。これにより、表示部上で認識した測定試薬セットを構成しない試薬に対して交換または取出しなどを行うことができるので、試薬の管理を容易に行うことができる。
【0025】
上記表示部を備える構成において、好ましくは、第1試薬容器および第2試薬容器の配置が表示された表示部において、試薬容器を選択する選択手段をさらに備え、選択手段により測定試薬セットを構成しない第1試薬または第2試薬が選択された場合、表示制御部は、試薬容器が測定試薬セットを構成しない理由を表す表示がなされるように表示部を制御するように構成されている。このように構成すれば、使用者は、試薬容器が測定試薬セットを構成しない理由を、表示部を見ることにより容易に認識することができる。
【0026】
この発明の第二の局面による試料分析装置は、少なくとも第1試薬と第2試薬とを用いて所定の分析項目の分析を行う試料分析装置であって、第1試薬を収容し、第1試薬の管理に用いられる第1試薬管理情報が記録された第1記録部を有する第1試薬容器を複数保持可能な第1試薬容器保持部と、第2試薬を収容し、第2試薬の管理に用いられる第2試薬管理情報が記録された第2記録部を有する第2試薬容器を複数保持可能な第2試薬容器保持部と、第1試薬容器保持部に保持された第1試薬容器の第1記録部から、第1試薬管理情報を読み出す第1読出部と、第2試薬容器保持部に保持された第2試薬容器の第2記録部から、第2試薬管理情報を読み出す第2読出部と、第1読出部および第2読出部によってそれぞれ読み出された第1試薬管理情報および第2試薬管理情報が対応するか否かを判定する判定手段と、判定手段が第1試薬管理情報および第2試薬管理情報が対応すると判定した場合に第1試薬と第2試薬とを用いて所定の分析項目の測定を行う測定部と、測定部による測定結果を処理し、試料の分析結果を取得する処理手段と、判定手段が第1試薬管理情報および第2試薬管理情報が対応しないと判定した場合に、第1試薬と第2試薬とを用いた前記測定部による所定の分析項目の測定を禁止する測定禁止部と、を備えている。
【0027】
この第二の局面による試料分析装置では、上記のように、第1読出部および第2読出部によってそれぞれ読み出された第1試薬管理情報および第2試薬管理情報に基づいて、第1試薬と第2試薬とを測定試薬セットとして登録する登録手段を設けることによって、第1試薬容器保持部に保持された第1試薬と第2試薬容器保持部に保持された第2試薬とを自動的に測定試薬セットとして管理することができる。また判定手段が第1試薬管理情報および第2試薬管理情報が対応しないと判定した場合に、第1試薬と第2試薬とを用いた前記測定部による所定の分析項目の測定を禁止する測定禁止部を設けることによって、測定試薬セットとして登録されていない試薬を組み合わせて測定に用いることを防止することができる。
【0028】
上記第二の局面による試料分析装置において、好ましくは、第1試薬管理情報および第2試薬管理情報は、それぞれ、第1ロット番号情報および第2ロット番号情報を含み、判定手段は、第1ロット番号情報と第2ロット番号情報とが対応するか否かを判定するように構成されている。このように構成すれば、判定手段により、第1試薬の分析項目と第2試薬の分析項目とが対応するか否かを判定することができる。また判定の結果に応じて、測定部による測定を禁止することができる。
【0029】
この場合、好ましくは、前記判定手段が、第1ロット番号情報と第2ロット番号情報とが対応しないと判定した場合、測定部による測定が禁止された旨を使用者に警告する警告手段をさらに備えるように構成されている。このように構成すれば、オーダに対応する測定を行なうための試薬セットが無い場合に、使用者に対し警告が発せられるので、測定が禁止された旨を使用者が容易に知ることができる。
【0030】
また、上記第一の局面および第二の局面による試料分析装置は、免疫分析装置であり、第1試薬及び第2試薬は、それぞれ、測定対象である抗原または抗体に結合して補足する補足抗体または補足抗原、磁性粒子、標識抗体または標識抗原、分散液、および発光基質からなる群から選択される試薬であるよう構成することができる。
【0031】
また、上記第一の局面および第二の局面による試料分析装置は、血球計数装置であり、第1試薬及び第2試薬は、それぞれ、希釈液、溶血剤、染色液、およびシース液からなる群から選択される試薬であるよう構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
まず、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による免疫分析装置1の全体構成について説明する。
【0034】
本発明の一実施形態による免疫分析装置1は、血液などの検体を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行うための装置である。この免疫分析装置1では、測定対象である血液などの検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体および磁性粒子をBF(Bound Free)分離部14(図1および図2参照)の磁石(図示せず)に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去する。そして、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原および標識抗体をBF分離部14の磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。この磁性粒子、抗原、標識抗体の複合体を分散液(R4試薬)に分散させる。さらに、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原または抗体を定量的に測定している。このように、免疫分析装置1では、R1〜R5の5種類の試薬を用いて測定が行われる。この5種類の試薬の内、R4試薬およびR5試薬は、各測定項目に共通して用いられる。また、R1試薬、R2試薬およびR3試薬は、各測定項目毎に専用の試薬が用いられる。本実施形態では、R1/R3試薬とR2試薬とは互いに別の場所に保持されているとともに、同一の測定項目に用いられるR1/R3試薬とR2試薬とがセットとして管理されている。
【0035】
この免疫分析装置1は、図1および図2に示すように、測定機構部2と、測定機構部2の前面側に配置された検体搬送部(サンプラ)3と、測定機構部2に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置4とを備えている。また、測定機構部2は、検体分注アーム5と、試薬設置部6および7と、試薬分注アーム8、9および10と、1次反応部11および2次反応部12と、キュベット供給部13と、BF分離部14と、検出部15とから構成されている。また、図3に示すように、測定機構部2における各機構(各種分注アーム、試薬設置部6および試薬設置部7など)は、測定機構部2に設けられた制御部2aにより制御されている。具体的には、制御部2aは、試薬設置部7に設けられた各種センサ(蓋部60に含まれるセンサ60d、60gおよび原点検知センサ60e、および、昇降部70に含まれるセンサ70a、70bおよび70cなど)の信号を受信するとともに、試薬設置部7に設けられた各種駆動源(ステッピングモータ53およびモータ76など)の駆動を制御している。また、同様に、制御部2aは、試薬設置部6の蓋部30および昇降部40などを制御している。また、試薬設置部6および7に設置された試薬の試薬情報は、バーコードリーダ6aおよび7aにより読み取られて制御部2aに入力されるように構成されている。また、搬送機構部3も制御部2aによって制御される。なお、各種分注アーム、各種センサおよび各種駆動源については後に詳細に説明する。
【0036】
制御部2aは、図4に示すように、CPU2bと、ROM2cと、RAM2dと、通信インターフェース2eとから主として構成されている。
【0037】
CPU2bは、ROM2cに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM2dに読み出されたコンピュータプログラムを実行することが可能である。ROM2cは、CPU2bに実行させるためのコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータなどを記憶している。RAM2dは、ROM2cに記憶しているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU2bの作業領域として利用される。また、RAM2dには、試薬設置部6および7に設置された各試薬の試薬情報と各試薬の試薬設置部6および7における位置情報とからなる試薬セットテーブルが記憶されている。この試薬セットテーブルは、試薬設置部6および7に設置された試薬毎に、試薬の試薬設置部6または7における位置情報、測定項目、試薬の種類、ロット番号、後述する試薬収容具のシリアル番号、現時点での測定可能回数、使用期限、セットを構成する相手の有無、および、セットを構成した相手の試薬のシリアル番号が含まれている。この試薬セットテーブルは、装置の起動時に作成されるとともに、測定時および試薬の交換または取出し時において、順次更新されるように構成されている。この試薬セットテーブルの作成処理および更新処理については、後に詳細に説明する。
【0038】
通信インターフェース2eは、制御装置4に接続されており、検体の光学的な情報(標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量のデータ)を制御装置4に送信するとともに、制御装置4の制御部4aからの信号を受信するための機能を果たす。また、通信インターフェース2eは、搬送機構部3および測定機構部2の各部を駆動するためのCPU2bからの指令を送信するための機能を有する。
【0039】
検体搬送部3は、図1および図2に示すように、検体を収容した複数の試験管100が載置されたラック101を、検体分注アーム5が検体を吸引する吸引位置1aに対応する位置まで搬送するように構成されている。この検体搬送部3は、未処理の検体を収容した試験管100が載置されたラック101をセットするためのラックセット部3aと、分注処理済みの検体を収容した試験管100が載置されたラック101を貯留するためのラック貯留部3bとを有している。そして、未処理の検体を収容した試験管100を検体分注アーム5の吸引位置1aに対応する位置まで搬送することにより、検体分注アーム5により試験管100内の血液などの検体の吸引が行われ、その後、その試験管100を載置したラック101がラック貯留部3bに貯留されるように構成されている。
【0040】
制御装置4(図1参照)は、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとを含んでいる。また、表示部4bは、検出部15から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果などを表示するために設けられている。また、表示部4bは、試薬設置部6および7における各試薬の配置状態、および、試薬設置部6に設置された試薬と試薬設置部7に設置された試薬とがセットを構成することにより測定が可能になった測定項目のリストなどをも表示することが可能に構成されている。また、本実施形態では、制御装置4において、後述する試薬収容具の交換および取出しの指示を行うことが可能に構成されている。
【0041】
次に、制御装置4の構成について説明する。制御装置4は、図5に示すように、制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとから主として構成されたコンピュータ401によって構成されている。制御部4aは、CPU401aと、ROM401bと、RAM401cと、ハードディスク401dと、読出装置401eと、入出力インタフェース401fと、通信インタフェース401gと、画像出力インタフェース401hとから主として構成されている。CPU401a、ROM401b、RAM401c、ハードディスク401d、読出装置401e、入出力インタフェース401f、通信インタフェース401g、および画像出力インタフェース401hは、バス401iによって接続されている。
【0042】
CPU401aは、ROM401bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM401cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム404aをCPU401aが実行することにより、コンピュータ401が制御装置4として機能する。
【0043】
ROM401bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU401aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0044】
RAM401cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM401cは、ROM401bおよびハードディスク401dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401aの作業領域として利用される。
【0045】
ハードディスク401dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。本実施形態に係る免疫分析用のアプリケーションプログラム404aも、このハードディスク401dにインストールされている。また、ハードディスク401dには、試薬設置部6および7に設置された試薬の試薬情報と、試薬設置部6および7における試薬の位置情報とに関するデータベース(試薬DB)が構築されている。この試薬DBには、試薬設置部6および7に設置された試薬毎に、試薬の試薬設置部6または7における位置情報、測定項目、試薬の種類、ロット番号、試薬収容具のシリアル番号、現時点での測定可能回数、使用期限、セットを構成する相手の有無、および、セットを構成した相手の試薬のシリアル番号が格納されている。この試薬DBも、上述した試薬セットテーブルと同様に、装置の起動時に作成されるとともに、測定時および試薬の交換または取出し時において、順次更新されるように構成されている。試薬DBの作成処理および更新処理については、後に詳細に説明する。
【0046】
読出装置401eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体404に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体404には、免疫分析用のアプリケーションプログラム404aが格納されており、コンピュータ401がその可搬型記録媒体404からアプリケーションプログラム404aを読み出し、そのアプリケーションプログラム404aをハードディスク401dにインストールすることが可能である。
【0047】
なお、上記アプリケーションプログラム404aは、可搬型記録媒体404によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ401と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム404aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ401がアクセスして、そのアプリケーションプログラム404aをダウンロードし、これをハードディスク401dにインストールすることも可能である。
【0048】
また、ハードディスク401dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、第1実施形態に係るアプリケーションプログラム404aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0049】
入出力インタフェース401fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース401fには、キーボード4cが接続されており、ユーザがそのキーボード4cを使用することにより、コンピュータ401にデータを入力することが可能である。
【0050】
通信インタフェース401gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ401は、その通信インタフェース401gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定機構部2との間でデータの送受信が可能である。
【0051】
画像出力インタフェース401hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部4bに接続されており、CPU401aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部4bに出力するようになっている。表示部4bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。表示部4bは、装置に各種指示を行うためのボタンを表示するように構成されており、このボタンが選択されることにより、装置はそのボタンに対応する処理を行うように構成されている。この表示部4bにおいて、使用者は装置に対する測定開始または中止の指示、装置の設定、および、試薬の交換または取出しの指示などの操作を行うことができる。表示部4bは、タッチパネルにより構成されており、使用者が表示部4bに表示されたボタンを直接触れることによりボタンを選択することが可能である。また、ボタンは、マウスなど(図示せず)により移動可能なポインタにより選択することも可能に構成されている。
【0052】
また、制御部4aのハードディスク401dにインストールされた免疫分析用のアプリケーションプログラム404aは、測定機構部2の検出部15から送信された測定用試料の発光量(デジタル信号のデータ)を用いて、測定用試料の抗原または抗体の量を測定している。
【0053】
検体分注アーム5(図1および図2参照)は、検体搬送部3により吸引位置1aに搬送された試験管100内の検体を、後述する1次反応部11の回転テーブル部11aの保持部11bに保持されるキュベット150内に分注する機能を有している。この検体分注アーム5は、図1および図2に示すように、モータ5aと、モータ5aに接続される駆動伝達部5bと、駆動伝達部5bに軸5cを介して取り付けられるアーム部5dとを含んでいる。駆動伝達部5bは、モータ5aからの駆動力によりアーム部5dを、軸5cを中心に回動させるとともに、上下方向(Z方向)に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部5dの先端部には、検体の吸引および吐出を行うピペット5eが設けられている。
【0054】
試薬設置部6(図1および図2参照)は、捕捉抗体を含むR1試薬が収容される試薬容器および標識抗体を含むR3試薬がそれぞれ収容される試薬容器を保持する試薬収容具を設置するために設けられている。この試薬設置部6は、図1に示すように、試薬収容具が保持される試薬保持部20と、試薬保持部20に取り付けられる蓋部30と、試薬保持部20内の試薬収容具を蓋部30に設けられた孔30aを介して交換するための昇降部40とを含んでいる。昇降部40は、試薬収容具の交換などを行う場合に試薬収容具が載置される載置台41を含んでいる。また、蓋部30は、試薬保持部20に保持された試薬収容具からR1試薬を吸引するための孔30bとR3試薬を吸引するための孔30cとを含んでいる。また、本実施形態では、試薬設置部6には、試薬収容具に付されたバーコードを読み取るためのバーコードリーダ6aが設けられている。
【0055】
試薬設置部7(図1および図2参照)は、磁性粒子を含むR2試薬が収容される試薬容器を保持する試薬収容具300(図6参照)を設置するために設けられている。試薬設置部7の構造については後に詳細に説明する。
【0056】
試薬分注アーム8(図1および図2参照)は、試薬設置部6に設置される試薬収容具内のR1試薬を吸引するとともに、その吸引したR1試薬を1次反応部11の検体が分注されたキュベット150内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム8は、モータ8aと、モータ8aに接続される駆動伝達部8bと、駆動伝達部8bに軸8cを介して取り付けられたアーム部8dとを含んでいる。駆動伝達部8bは、モータ8aからの駆動力により軸8cを中心にアーム部8dを回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部8dの先端部には、試薬収容具内のR1試薬の吸引および吐出を行うためのピペット8e(図1参照)が取り付けられている。すなわち、ピペット8eは、試薬設置部6に設置された試薬収容具内のR1試薬を吸引した後、吸引したR1試薬を1次反応部11の検体が分注されたキュベット150内に分注するように構成されている。
【0057】
試薬分注アーム9(図1および図2参照)は、試薬設置部7に設置される試薬収容具300内のR2試薬を1次反応部11の検体およびR1試薬が分注されたキュベット150内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム9は、モータ9aと、モータ9aに接続される駆動伝達部9bと、駆動伝達部9bに軸9cを介して取り付けられたアーム部9dとを含んでいる。駆動伝達部9bは、モータ9aからの駆動力により、軸9cを中心にアーム部9dを回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部9dの先端部には、試薬収容具300内のR2試薬の吸引および吐出を行うためのピペット9e(図1参照)が取り付けられている。したがって、ピペット9eは、試薬設置部7の試薬収容具300内のR2試薬を吸引した後、吸引したR2試薬を1次反応部11の検体およびR1試薬が分注されたキュベット150内に分注するように構成されている。
【0058】
試薬分注アーム10(図1および図2参照)は、試薬設置部6に設置される試薬収容具内のR3試薬を吸引するとともに、その吸引されたR3試薬を2次反応部12の検体、R1試薬およびR2試薬が分注されたキュベット150内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム10は、モータ10aと、モータ10aに接続される駆動伝達部10bと、駆動伝達部10bに軸10cを介して取り付けられたアーム部10dとを含んでいる。駆動伝達部10bは、モータ10aからの駆動力により、軸10cを中心にアーム部10dを回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部10dの先端部には、試薬設置部6に設置される試薬収容具内のR3試薬の吸引および吐出を行うためのピペット10e(図1参照)が取り付けられている。すなわち、ピペット10eは、試薬設置部6の試薬収容具内のR3試薬を吸引した後、吸引したR3試薬を2次反応部12の検体、R1試薬およびR2試薬が分注されたキュベット150内に分注される。
【0059】
1次反応部11は、図1および図2に示すように、回転テーブル部11aの保持部11bに保持されるキュベット150を所定の期間(本実施形態では、18秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット150内の検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌するために設けられている。つまり、1次反応部11は、キュベット150内で磁性粒子を有するR2試薬と検体中の抗原とを反応させるために設けられている。この1次反応部11は、検体とR1試薬およびR2試薬とが収容されるキュベット150を回転方向に搬送するための回転テーブル部11aと、キュベット150内の検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体、R1試薬およびR2試薬が収容されたキュベット150を後述するBF分離部14(図1および図2参照)に搬送する容器搬送部11cとから構成されている。
【0060】
また、回転テーブル部11aは、保持部11bに保持されたキュベット150を18秒毎に所定の角度だけ回転移送するように構成されている。そのため、免疫分析装置1の各種装置(検体分注アーム5や試薬分注アーム8および9など)は、回転テーブル部11aにより所定の位置に移送されたタイミングで、移送された所定の位置のキュベット150に対して動作するように制御されている。
【0061】
また、容器搬送部11cは、回転テーブル部11aの中心部分に回転可能に設置されている。この容器搬送部11cは、回転テーブル部11aの保持部11bに保持されるキュベット150を把持するとともにキュベット150内の試料を攪拌する機能を有している。さらに、容器搬送部11cは、検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌してインキュベーションした試料を収容したキュベット150をBF分離部14(図1および図2参照)に搬送する機能も有している。
【0062】
2次反応部12(図1および図2参照)は、1次反応部11と同様の構成を有しており、回転テーブル部12aの保持部12bに保持されるキュベット150を所定の期間(本実施形態では、18秒)毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット150内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬を攪拌するために設けられている。つまり、2次反応部12は、キュベット150内で標識抗体を有するR3試薬と検体中の抗原とを反応させるとともに、発光基質を有するR5試薬とR3試薬の標識抗体とを反応させるために設けられている。なお、R5試薬は、2次反応部12の近傍に設けられたR5試薬分注アーム(図示せず)により、2次反応部12の検体、R1試薬、R2試薬およびR3試薬が収容されたキュベット150内に分注されるように構成されている。この2次反応部12は、検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬が収容されるキュベット150を回転方向に搬送するための回転テーブル部12aと、キュベット150内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体などが収容されたキュベット150をBF分離部14に搬送する容器搬送部12cとから構成されている。さらに、容器搬送部12cは、BF分離部14により処理されたキュベット150を再び回転テーブル部12aの保持部12bに搬送する機能を有している。なお、2次反応部12の詳細構造は、1次反応部11と同様であるので、その説明を省略する。
【0063】
キュベット供給部13(図1および図2参照)は、複数のキュベット150を1次反応部11の回転テーブル部11aの保持部11bに順次供給することが可能なように構成されている。
【0064】
BF分離部14は、1次反応部11の容器搬送部11cによって搬送されたキュベット150内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離する機能と、2次反応部12の容器搬送部12cによって搬送されたキュベット150(図1参照)内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離する機能とを有する。
【0065】
検出部15(図1および図2参照)は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定するために設けられている。
【0066】
図7〜図11は、図6に示した試薬設置部の詳細を説明するための図である。図12および図13は、それぞれ、R2試薬が収容される試薬収容具およびR1/R3試薬が収容される試薬収容具を示す斜視図である。次に、図1、図2および図6〜図13を参照して、本発明の一実施形態による免疫分析装置1の試薬設置部7、試薬設置部7に設置される試薬収容具300、および、試薬設置部6に設置される試薬収容具200の構造を説明する。
【0067】
この試薬設置部7は、図6に示すように、試薬収容具300を円環状に並べて保持する円筒形状の試薬保持部50と、試薬保持部50に開閉可能に取り付けられる蓋部60と、円筒形状の試薬保持部50の側面(外壁部51)に取り付けられる昇降部70とを含んでいる。また、試薬設置部7の側面(外壁部51)には、試薬設置部7に設置された試薬収容具300に貼付されたバーコード300a(図12参照)を読み取るためのバーコードリーダ7aが設けられている。また、試薬設置部7の底部にはペルチエ素子(図示せず)が取り付けられており、試薬設置部7の内部は約15℃に保たれている。
【0068】
試薬保持部50は、図7および図8に示すように、円筒状の外壁部51と、中心に設けられる回転可能な回転軸52と、回転軸52を回転させるためのステッピングモータ53と、ステッピングモータ53の駆動力を回転軸52に伝達するためのベルト54(図8参照)とを含んでいる。外壁部51の内面には全面に渡って断熱材(図示せず)が取り付けられており、試薬保持部50内部の温度を低温(約15℃)に保っている。また、ステッピングモータ53の駆動力は、図8に示すように、ステッピングモータ53により回転するプーリ53aと、回転軸52に同軸上に固定されるプーリ52aとにより、ベルト54を介して回転軸52に伝達されるように構成されている。
【0069】
また、回転軸52には、複数の試薬収容具300を円環状に保持するためのラック600が固定的に取り付けられている。ラック600に試薬収容具300を保持させた状態で回転軸52を回転させることにより、試薬収容具300が保持されたラック600が回転されるので、吸引する試薬を保持する試薬収容具300を後述する蓋部60の孔60bおよび入出孔60cの下方に移動させることが可能である。このラック600は、図9に示すように、ラック600の中心に設けられ、回転軸52が挿入される挿入部601と、挿入部601を中心に円環状に形成され、試薬収容具300を保持するための複数の保持部602と、挿入部601の上方に突出するように設けられた原点検知片603とを含む。保持部602は、仕切板602aと支持部602bとにより構成されている。仕切板602aは、挿入部601から半径方向に放射状に延びるように所定の角度間隔で複数設けられている。支持部602bは、仕切板602aの互いに対向する部分の下部および挿入部501の下部に、内側に突出するように設けられている。各試薬収容具300は、一対の仕切板602aにより挟まれる空間に支持部602bにより底部323(図12参照)の周縁部が支持されるように配置される。また、図8に示すように、保持部602の上部、下部および半径方向の外側部を開放端とすることにより、試薬収容具300を昇降させるための昇降部70の載置台71およびアーム72がラック600の保持部602に接触することなく昇降可能に構成されている。
【0070】
また、蓋部60は、図6に示すように、試薬保持部50にヒンジ部60aを介して開閉可能に取り付けられている。この蓋部60は、試薬設置部7内の温度が低温(15℃)に保たれるように外気を遮断するとともに、試薬設置部7内の試薬を外部から吸引可能で、かつ、試薬収容具300を試薬設置部7内に出し入れ可能なように構成されている。具体的には、蓋部60は、試薬収容具300の試薬容器310(図12参照)から試薬を吸引する際に試薬分注アーム9のピペット9eが挿入される孔60bと、試薬収容具300を試薬設置部7から昇降部70によって出し入れするための入出孔60cとを含んでいる。また、蓋部60には、試薬収容具300がラック600の保持部602に保持されているか否かを検知するための反射型のセンサ60dと、ラック600の原点位置を検知するための透過型の原点検知センサ60eと、後述する昇降部70の載置台71に載置された試薬収容具300を検知するための透過型のセンサ60g(図10参照)とが設けられている。原点検知センサ60eは、蓋部60の裏面側に配置されており、センサ60fは、蓋部60の表面側に配置されている。また、センサ60gは、入出孔60cを跨ぐように蓋部60の表面側に配置されている。また、透過型の原点検知センサ60eは、ラック600に設けられた原点検知片603を検知することにより、回転するラック600の原点位置を検知する機能を有する。
【0071】
ここで、本実施形態では、昇降部70は、試薬設置部7内に試薬収容具300を出し入れするために設けられている。昇降部70は、図11に示すように、試薬収容具300が載置される載置台71と、載置台71を支持するアーム72と、アーム72を支持する支持部材73と、支持部材73が固定されるスライダ74およびスライダ74を上下方向にスライド可能に支持するガイドレール75からなる直動ガイドと、モータ76と、モータ76の駆動力を伝達するためのベルト77と、ブラケット78とを含んでいる。また、ブラケット78には、3つの透過型のセンサ70a、70bおよび70cが取り付けられている。
【0072】
載置台71は、試薬収容具300を載置した状態で下降することにより、ラック600の保持部602に試薬収容具300を保持させる機能を有する。また、載置台71は、試薬収容具300を保持する保持部602の下方から上昇することにより、保持部602の試薬収容具300を持ち上げて、蓋部60の入出孔60cから取り出す機能を有する。また、載置台71には、試薬収容具300の底部323に設けられたリブ323aと係合可能な十字形状の溝71aが設けられている。
【0073】
また、図11に示すように、支持部材73に設けられた二股の固定片73aがベルト77を挟んでベルト77に固定されている。これにより、モータ76の駆動力がベルト77を介して支持部材73に伝達される。また、支持部材73には検知片73bが突出して設けられている。この検知片73bがセンサ70a、70bおよび70cに検知されることにより、載置台71の上下方向の位置が検知されるように構成されている。具体的には、検知片73bがセンサ70aに検知された時には、載置台71は、試薬収容具300の載置および取出が可能な載置・取出位置(上死点)に位置している。また、検知片73bがセンサ70bに検知された時には、載置台71は、ラック600の保持部602の下方(下死点)に位置している。載置台71は、下死点に位置するときにラック600に保持された試薬収容具300の下方に配置され、これにより、ラック600が回転することが可能に構成されている。また、ラック600と下死点との間には、所定のクリアランス領域が設けられており、センサ70cは、検知片73bを検知する。これにより、制御部2aは、載置台71が、ラック600の保持部602と下死点との間のクリアランス領域に位置することを認識することができる。これにより、載置台71がクリアランス領域に位置するときに、ラック600を回転させることにより載置台71とラック600とが接触することが回避される。また、ベルト77は、モータ76の回転軸(図示せず)と同軸上に設けられたプーリ(図示せず)と、上方に設けられたプーリ77aとにより回転駆動されるように構成されている。
【0074】
また、バーコードリーダ7aは、バーコード読取位置7b(図8参照)に位置する試薬収容具300のバーコード300a(図12参照)を読み取るように構成されている。
【0075】
また、試薬収容具300は、図12に示すように、磁性粒子を含むR2試薬が収容される試薬容器310と、試薬容器310を収納するケース320とからなる。ケース320の上面321には、試薬容器310を密閉するためのスライド蓋322が設けられている。スライド蓋322は、蓋部60に設けられたスライド蓋開閉機構(図示せず)により開閉される。また、ケース320の底面323には、昇降部70の載置台71の溝71aと係合するリブ323aが設けられている。また、試薬収容具300の側面には、バーコード300aが貼付されている。このバーコード300aには、試薬収容具300の試薬容器310に収容されるR2試薬に関する試薬情報が含まれている。具体的には、試薬情報は、測定項目、試薬の種類、ロット番号、試薬収容具300のシリアル番号、試薬の初期測定可能回数および試薬の使用期限を含んでいる。
【0076】
また、試薬収容具200は、図13に示すように、R1試薬が収容される試薬容器210と、R3試薬が収容される試薬容器220と、試薬容器210および220を収納するケース230とからなる。ケース230の上面231には、試薬容器210および220をそれぞれ密閉するためのスライド蓋232および233が設けられている。また、ケース230の底面234には、昇降部40の載置台41の溝41a(図1および図2参照)と係合するリブ234aが設けられている。また、試薬収容具200の側面には、試薬収容具300と同様に、試薬収容具200に収容される試薬(R1試薬およびR3試薬)に関する試薬情報が含まれるバーコード200aが貼付されている。
【0077】
なお、試薬設置部6は、試薬収容具200が2つのR1試薬およびR2試薬の2つの試薬容器を含むことに対応して蓋部30にスライド蓋開閉機構(図示せず)が2つ設けられていることなどを除き、試薬設置部7と同様の構成を有するので詳細な説明を省略する。
【0078】
また、本実施形態では、磁性粒子が重く、沈降し易いため、R2試薬を収容する試薬設置部7において、試薬収容具300を保持するラック600を往復回転させることにより、試薬収容具300内のR2試薬を攪拌している。また、試薬設置部6においては、R1試薬およびR3試薬を攪拌する必要がないため、試薬設置部7と異なり、ラックを往復回転させることによる試薬の攪拌は行われない。試薬設置部6に設置された複数のR1試薬およびR3試薬と、試薬設置部7に設置されたR2試薬を用いて1つの測定項目の測定が行われる。本実施形態による免疫分析装置1では、1つの測定項目の測定に用いられるR1試薬およびR3試薬を収容した試薬収容具200と、その測定項目と同一の測定項目に用いられるR2試薬を収容した試薬収容具300とを、バーコード200aおよび300aによる試薬情報に基づいてセットとして認識することが可能である。具体的には、試薬収容具200に収容された試薬の測定項目およびロット番号と、試薬収容具300に収容された試薬の測定項目およびロット番号とが一致した場合に、免疫分析装置1は、これらの試薬をセットして認識するように構成されている。また、この免疫分析装置1では、R1試薬、R2試薬およびR3試薬のセット単位での交換などの試薬の管理を行うことが可能である。試薬の管理については、後に詳細に説明する。
【0079】
図14〜図18は、制御装置の表示部に表示される画面を示す図である。次に、図14〜図18を参照して、表示部に表示される画面の構成を説明する。
【0080】
本実施形態では、図14に示すように、制御装置4は、試薬の管理を行うための試薬管理画面410を表示部4bに表示することが可能に構成されている。この試薬管理画面410において、タブ(試薬セット状態)410aを選択することにより、試薬設置部6における試薬収容具200(R1試薬およびR3試薬)の配置状態、および、試薬設置部7における試薬収容具300(R2試薬)の配置状態を示す試薬配置状態画面420が表示される。
【0081】
試薬配置状態画面420は、試薬設置部6に対応する試薬配置表示領域421と、試薬設置部7に対応する試薬配置表示領域422とを含んでいる。試薬配置表示領域421は、試薬設置部6に実際に配置された試薬収容具200の配置状態に対応して、各位置に保持された試薬収容具200を示すマーク421aを円環状に表示している。それぞれのマーク421aに対応して、試薬設置部6における位置情報を示す1〜N(本実施形態では、N=13)までの数字が割振られている。このマーク421a内には、試薬収容具200に収容された試薬(R1試薬およびR3試薬)の測定項目が表示されている。また、試薬配置表示領域422には、試薬配置表示領域421と同様に、試薬設置部7に対応して、試薬収容具300に収容された試薬(R2試薬)の測定項目を含むマーク422aが円環状に表示されている。
【0082】
この試薬配置状態画面420では、試薬収容具200に収容された試薬と、試薬収容具300に収容された試薬とがセットとして装置に認識されて、測定に使用することが可能であると判断された場合(測定に問題がない場合)には、それらの試薬収容具に対応するマーク421aおよび422aは、所定の色(本実施形態では、白色)で表示される。たとえば、図14においては、試薬配置表示領域422における位置情報「1」(測定項目「HBsAg」)のマーク422a(以下、試薬「1」)は、白色で表示されており、この試薬「1」に対応する試薬収容具300とセットを構成する試薬収容具200が試薬設置部6に設置されていることを示している。同様に、試薬配置表示領域422の試薬「2」〜試薬「4」、試薬「7」、試薬「10」および試薬「11」についても、セットを構成する試薬収容具200が試薬設置部6に設置されていることを示している。
【0083】
また、この試薬配置状態画面420では、試薬自体には問題がないが、警告が必要な場合(最終的な分析結果を出すために必要な検量線が引かれていない場合、および、残量(測定可能回数)が10回よりも少ない場合)には、それらの試薬収容具に対応するマーク421aおよび422aは、所定の色(本実施形態では黄色、但し図中では広間隔の斜線)で表示される。たとえば、試薬配置表示領域422の試薬「6」(測定項目「HIV」)、および、試薬配置表示領域421の試薬「3」(測定項目「HIV」)は、黄色で表示されており、検量線が引かれていないか、または、残量(測定可能回数)が10回よりも少ないことを示している。
【0084】
また、この試薬配置状態画面420では、試薬自体に問題がある場合(試薬の残量(測定可能回数)が0回の場合、および、使用期限が過ぎた場合)には、それらの試薬収容具に対応するマーク421aおよび422aは、所定の色(本実施形態では赤色、但し図中では狭間隔の斜線)で表示される。たとえば、試薬配置表示領域422の試薬「12」(測定項目「HBsAg」)、および、試薬配置表示領域421の試薬「11」(測定項目「HBsAg」)は、赤色で表示されており、試薬の残量(測定可能回数)が0回であるか、または、使用期限が過ぎていることを示している。
【0085】
また、この試薬配置状態画面420では、バーコード(バーコード200aおよび300a)の読取りが失敗した場合には、それらの試薬収容具に対応するマーク421aおよび422aは、周縁が所定の色(本実施形態では、赤色、但し図中では、マークの周縁を太線で示す)で表示されるとともに、マーク内の表示が測定項目に替わり、「ERR」となる。たとえば、試薬配置表示領域422の試薬「9」、および、試薬配置表示領域421の試薬「9」は、周縁が赤色で表示されているとともに、マーク内の表示が「ERR」であり、試薬収容具に貼付されたバーコードの読取りが失敗して試薬情報が装置に認識されなかったことを示している。
【0086】
また、この試薬配置状態画面420では、一方の試薬設置部に設置された試薬収容具の試薬とセットを構成する試薬が他方の試薬設置部に存在しない場合には、その一方の試薬設置部に設置された試薬収容具に対応するマーク421aおよび422aは、周縁が所定の色(本実施形態では、赤色)で表示される。たとえば、試薬配置表示領域422の試薬「5」(測定項目「HCV」)、および、試薬配置表示領域421の試薬「7」(測定項目「HCV」)は、周縁が赤色で表示されており、それらの試薬とセットを構成する試薬(測定項目およびロット番号が一致する試薬)が存在していないことを示している。このように、セットを構成する試薬が存在しない場合のマーク(周縁のみ赤色)は、セットを構成する試薬が存在する場合のマーク(白色、黄色、赤色、または周縁が赤色で、かつ、マーク内の表示が「ERR」)と識別可能に表示されるように構成されている。
【0087】
また、図15に示すように、ポインタPなどによってマーク421aまたは422aを選択することにより、選択されたマークに対応する試薬の状態を説明する表示がなされるように構成されている。たとえば、試薬配置表示領域422の試薬「9」を選択することにより、「バーコード読取りエラー」と表示される。また、試薬配置表示領域422の試薬「12」を選択することにより、たとえば、「測定可能回数0」と表示される。
【0088】
また、本実施形態では、図16に示すように、制御装置4は、測定可能な測定項目を示す測定可能項目画面430を表示部4bに表示することが可能に構成されている。測定可能項目画面430は、タブ(測定可能試薬)410bを選択することにより表示される。
【0089】
この測定可能項目画面430には、試薬収容具200の試薬(R1試薬およびR3試薬)と、試薬収容具300の試薬(R2試薬)との測定項目およびロット番号が一致することによりセットが構成された測定可能な測定項目が表示される。この測定可能項目画面420を参照することにより、ユーザは、現時点で測定可能な測定項目を確認することが可能である。また、測定可能項目画面420においても、検量線が引かれていない場合、および、残量(測定可能回数)が10回よりも少ない場合には、それらの測定項目に対応する部分は、所定の色(本実施形態では黄色、但し図中では斜線)で表示される。たとえば、測定項目が「HCV」で、ロット番号が「QQ0006」の測定項目では、検量線が引かれていないため、項目、ロット番号および検量線の部分が黄色で表示されている。また、測定項目が「HIV」で、ロット番号が「QQ0010」の項目では、測定可能回数が9回である(10回よりも少ない)ため、項目、ロット番号および測定可能回数の部分が黄色で表示されている。
【0090】
また、試薬管理画面410は、測定の開始を装置に指示するための測定開始ボタン411と、測定の中止を装置に指示するための測定中止ボタン412と、試薬の交換を装置に指示するための試薬交換ボタン413とを含んでいる。図17に示すように、制御装置4は、使用者により試薬交換ボタン413が選択された場合に、試薬交換画面440を表示するように構成されている。
【0091】
試薬交換画面440は、セットを構成する試薬を一度に交換するためのセット試薬交換画面450と、試薬設置部6の試薬のみを交換するための個別試薬交換画面(図示せず)と、試薬設置部7の試薬のみを交換するための個別試薬交換画面(図示せず)とを含んでいる。セット試薬交換画面450は、タブ(R1/R3、R2(Set))440aが選択されることにより表示されるように構成されている。また、試薬設置部6の試薬のみを交換するための個別試薬交換画面(図示せず)、および、試薬設置部7の試薬のみを交換するための個別試薬交換画面(図示せず)は、それぞれ、タブ(R1/R3(Indivisual))440bおよびタブ(R2(Indivisual))440cが選択されることにより表示されるように構成されている。また、試薬交換画面440は、交換ボタン441と、取出しボタン442と、キャンセルボタン443とを有する。
【0092】
セット試薬交換画面450には、セットを構成した試薬であって、交換または取出しが可能な試薬のセットが表示される。セット試薬交換画面450においても、試薬配置状態画面420と同様に、試薬のセットの状態を色分けで表示するように構成されている。たとえば、測定項目が「HBsAg」で、ロット番号が「ZA9999」の試薬セットは、残量(測定可能回数)が0であるので、赤色(但し、図中では狭間隔の斜線)で表示されている。また、測定項目が「HIV」で、ロット番号が「QQ0009」の試薬セットは、残量(測定可能回数)が9(10より少ない)であるので、黄色(但し、図中では広間隔の斜線)で表示されている。
【0093】
このセット試薬交換画面450において、交換対象のセット試薬を選択した状態で、交換ボタン441または取出しボタン442を選択することにより、試薬セットの交換または取出しが行われるように構成されている。この交換または取出しの動作については後に詳細に説明する。
【0094】
また、R1/R3試薬の個別試薬交換画面およびR2試薬の個別試薬交換画面については、セットを構成していない試薬のリストが表示される点以外はセット試薬交換画面450と同様であるので、詳細な説明を省略する。個別試薬交換画面では、個別の試薬の交換または取出しを行うことが可能である。
【0095】
また、図18に示すように、試薬の交換または取出しが終了した後には、制御装置4は、表示部4bに交換終了通知画面460を表示させるように構成されている。この交換終了通知画面460により、使用者は、試薬の交換が終了したことを認識することが可能である。
【0096】
図19〜図22は、試薬の交換動作を説明するための図である。次に、図8、図10および図19〜図22を参照して、本実施形態による免疫分析装置1の試薬設置部7におけるセットを構成する試薬収容具200および300の交換および取出動作を説明する。なお、この説明では、セットを構成した試薬の交換または取出しを行う場合について説明する。
【0097】
図10に示すように、載置台71は、待機状態において、載置・取出位置(センサ70aがONの状態)に配置されている。また、同様に、載置台41も、載置・取出位置に配置されている。試薬収容具200および300を交換する場合には、まず、図19および図20に示すように、ユーザが載置台41および載置台71のそれぞれに、追加する試薬収容具200および300を載置する。
【0098】
この状態で、ユーザが制御装置4により試薬の交換の指示を行う。具体的には、セット試薬交換画面450において、交換対象の試薬セットを選択した状態で、交換ボタン441を選択する。これにより、セットを構成する試薬収容具200および300の交換が開始される。
【0099】
この時、試薬設置部7においては、ステッピングモータ53(図8参照)の駆動によりラック600が回転されて、試薬収容具300が保持されていない保持部602が蓋部60の入出孔60cの下方に移動される。その後、図20に示すように、モータ76の駆動により載置台71の下方への移動が開始される。そして、図21および図22に示すように、載置台71が保持部602の支持部602bを通過する際に、試薬収容具300の底面323の周縁部が支持部602bによって支持されて、試薬収容具300は保持部602に保持される。
【0100】
そして、検知片73bがセンサ70bにより検知されると、モータ76の駆動が停止される。この状態で、ステッピングモータ53の駆動によりラック600が回転されて、試薬交換画面450において選択した試薬を収容する試薬収容具300を保持する保持部602が入出孔60cの下方(下死点にある載置台71の上方)の待機位置に移動される。また、試薬交換画面450において選択した試薬を収容する試薬収容具200を保持する保持部も入出孔30aの下方の待機位置に移動される。そして、試薬設置部7においては、モータ76の駆動により載置台71の上方への移動が開始される。上昇する載置台71は、保持部602の支持部602bに支持されている試薬収容具300を持ち上げて、さらに上昇する。そして、載置台71は、センサ70aが検知片73bを検知するまで上昇されて、載置・取出位置に配置される。これにより、交換対象の試薬収容具300が、試薬設置部7の外部に取り出される。また、試薬設置部6においても、同様の動作により交換対象の試薬収容具200が、試薬設置部6の外部に取り出される。本実施形態では、このようにしてセットを構成した試薬(試薬収容具200および試薬収容具300)の交換が行われる。また、セットの試薬の交換が終了した後、表示部4bに交換終了通知画面460が表示される。
【0101】
また、試薬セットを取り出す場合には、載置・取出位置に配置された載置台41および載置台71に試薬収容具を載置しない状態で、ユーザが制御装置4により試薬の取出しの指示を行う。すなわち、セット試薬交換画面450において、取出し対象の試薬セットを選択した状態で、取出しボタン442を選択する。これにより、セットを構成する試薬収容具200および300の取出しが行われる。取出しの動作は、交換の場合と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0102】
図23は、測定機構部の制御部および制御装置の制御部の測定動作を説明するためのフローチャートである。まず、図14、図16、図17および図23を参照して、本発明の一実施形態による免疫分析装置1の測定動作を説明する。
【0103】
まず、測定機構部2の制御部2aにおいては、測定機構部2の電源(図示しない)を入れると、ステップS1において、制御部501の初期化(プログラムの初期化)が行われるとともに、測定機構部2の各部の動作チェックが行われる。また、制御装置4の電源(図示しない)を入れると、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS101において、制御部4aの初期化(プログラムの初期化)が行われる。
【0104】
この後、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS2において、試薬セットテーブルの作成処理が行われる。この試薬セットテーブルの作成処理については、後に詳細に説明する。また、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS102において、試薬登録リスト作成処理が行われる。この試薬登録リスト作成処理については、後に詳細に説明する。
【0105】
この後、ユーザが表示部4bの試薬配置状態画面420(図14参照)および測定可能項目画面430(図16参照)などにおいて、測定開始ボタン412を選択すると、測定の開始が制御装置4に指示される。また、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS103において、測定開始の指示を受け付けたか否かが判断される。測定開始の指示を受け付けない場合には、ステップS106に進む。また、測定開始の指示を受け付けた場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS104において、測定開始の指示信号を測定機構部2の制御部2aに送信する。この後、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS105において、データの解析処理が行われる。この解析処理については、後に詳細に説明する。
【0106】
また、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS3において、測定開始の信号を制御装置4から受信したか否かが判断される。測定開始の信号を受信しない場合には、ステップS6に進む。また、測定開始の信号を受信した場合には、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS4において、測定処理が行われる。この測定処理については、後に詳細に説明する。
【0107】
また、ユーザは、試薬交換画面440(図17参照)または個別試薬交換画面(図示せず)において、交換または取出し対象の試薬セットまたは個別の試薬を選択した状態で交換ボタン441を選択することにより、選択した試薬セットまたは個別の試薬の交換を制御装置4に指示する。
【0108】
また、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS106において、試薬の交換指示を受け付けたか否かが判断される。交換指示を受け付けない場合には、ステップS109に進む。また、交換指示を受け付けた場合には、ステップS107において、制御装置4の制御部4aは、試薬の交換を指示する信号を測定機構部2の制御部2aに送信する。
【0109】
この後、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS108において、試薬の交換に伴う試薬登録リストの更新処理が行われる。この試薬登録リストの更新処理については、後に詳細に説明する。
【0110】
また、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS5において、試薬交換を指示する信号を制御装置4から受信したか否かが判断される。試薬交換を指示する信号を受信しない場合には、ステップS7に進む。また、試薬交換を指示する信号を受信した場合には、ステップS6において、試薬セットテーブルの更新処理が行われる。この試薬セットテーブルの更新処理については、後に詳細に説明する。
【0111】
また、ユーザは、制御装置4の表示部4bにおいて、シャットダウンの指示を行う。この時、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS109において、シャットダウンの指示を受け付けたか否かが判断される。シャットダウンの指示を受け付けない場合には、ステップS103に戻る。また、シャットダウンの指示を受け付けた場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS110において、シャットダウンを指示する信号を測定機構部2の制御部2aに送信する。以上のようにして、制御装置4の制御部4aの測定動作は終了する。
【0112】
また、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS7において、シャットダウン信号を制御装置4から受信したか否かが判断される。シャットダウン信号を受信しない場合には、ステップS3に戻る。また、シャットダウン信号を受信した場合には、ステップS8において、シャットダウンが実行される。このようにして、測定機構部2の制御部2aの測定動作が終了する。
【0113】
図24は、図23に示した測定機構部の制御部の試薬セットテーブルの作成処理、および、図23に示した制御装置の制御部の試薬登録リストの作成処理を説明するためのフローチャートである。次に、図24を参照して、図23のステップS2における試薬セットテーブルの作成処理、および、図23のステップS102における試薬登録リストの作成処理の詳細を説明する。
【0114】
測定機構部2の試薬セットテーブルの作成処理としては、まず、ステップS11において、ラック600を回転させることにより、試薬設置部7の1番目の試薬容器(図14の「1」(測定項目「HBsAg」に対応する位置の試薬収容具300)をバーコード読取位置7b(図8参照)に移動させる。
【0115】
そして、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS12において、試薬収容具300の側面に貼付されたバーコード300aがバーコードリーダ7aにより読み取られる。このバーコード300aに記録された情報(バーコード情報)は、測定項目、ロット番号、試薬容器のシリアル番号、および初期測定可能回数などが含まれている。この後、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS13において、バーコードリーダ7aにより取得されたバーコード情報と、試薬のセット位置情報とを対応付けて制御装置4の制御部4aに送信する。
【0116】
この後、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS14において、上記ステップS12およびステップS13のバーコード情報の読取りおよび送信が試薬設置部7に設置された全ての試薬収容具300について行われたか否かが判断される。上記処理が全ての試薬収容具300について行われていない場合には、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS15において、次(2番目)のセット位置の試薬収容具300をラック600を回転させることによってバーコード読取位置7bに移動させるとともに、2番目のセット位置の試薬収容具300について、上記ステップS12およびステップS13の処理が行われる。同様にして、3番目〜N番目の試薬収容具300についても上記ステップS12およびステップS13の処理が行われる。
【0117】
また、制御装置4の制御部4aにおいては、まず、ステップS111において、セット位置情報およびバーコード情報を測定機構部2の制御部2aから受信したか否かが判断される。受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、受信した場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS112において、バーコード情報に対応する試薬情報が試薬DBにあるか否かが判断される。すなわち、制御装置4に記憶されている前の測定時のデータ(試薬情報)と、装置の起動後に改めて読み直したバーコード情報とが一致するか否かが判断される。バーコード情報に対応する試薬情報が試薬DBにある場合には、ステップS115に進む。また、バーコード情報に対応する試薬情報が試薬DBにない場合には、そのバーコード情報を有する試薬収容具が前の測定時にはなかったものであるので、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS113において、バーコード情報を解析することにより、その試薬収容具の試薬の試薬情報が生成される。そして、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS114において、上記ステップS113において生成した試薬情報を試薬DBに登録する。
【0118】
その後、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS115において、上記ステップS111において受信したバーコード情報に対応する試薬情報が試薬DBから読み出されるとともに、ステップS116において、その試薬情報にセット位置情報が追加される。
【0119】
この後、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS117において、上記ステップS111〜ステップS116が試薬設置部6および7に設置された全部の試薬(試薬収容具)について終了したか否かが判断される。全部の試薬について終了していない場合には、ステップS111に戻る。また、全部の試薬について終了した場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS118において、セットを構成する試薬を判定する第1使用可能試薬判定処理が行われる。この第1使用可能試薬判定処理は、後に詳細に説明する。
【0120】
この後、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS119において、セットを構成する試薬収容具(測定項目の測定が可能な試薬)の互いのシリアル番号が試薬DBの試薬情報に追加されて更新される。この後、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS120において、更新後の試薬情報が測定機構部2の制御部2aに送信される。
【0121】
また、ステップS14において、全ての試薬収容具300について上記処理が終了した場合には、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS16において、制御装置4から試薬情報を受信したか否かが判断される。この試薬情報には、バーコード情報に加えて、現時点での測定可能回数の情報、セットを構成する相手の有無、セットを構成した場合の相手の試薬が収容される試薬収容具300のシリアル番号、および、使用優先順位が含まれている。試薬情報を受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、試薬情報を受信した場合には、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS17において、上記ステップS16において受信した試薬情報に基づいて、試薬セットテーブルが作成される。
【0122】
次に、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS18において、制御装置4の表示部4bの画面の更新を要求する更新要求信号が制御装置4の制御部4aに送信される。このようにして、試薬セットテーブルの作成処理が行われる。なお、上記説明では、試薬設置部7に設置された試薬について説明したが、試薬設置部6に設置された試薬についても、同様に試薬セットテーブルの作成処理が行われる。
【0123】
また、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS121において、画面の更新要求信号を受信したか否かが判断される。画面の更新要求信号を受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、画面の更新要求信号を受信した場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS122において、試薬配置状態画面420および測定可能試薬画面430が更新される。このようにして、試薬登録リストの作成処理が行われる。
【0124】
図25は、図24に示した制御装置の制御部の第1使用可能試薬判定処理を説明するためのフローチャートである。次に、図25を参照して、図24のステップS118における第1使用可能試薬判定処理の詳細を説明する。
【0125】
第1使用可能試薬判定処理においては、まず、ステップS131において、試薬設置部7における試薬収容具300のセット位置を表す番号i(iは、1以上N以下の整数)が、i=1にセットされる。本実施形態では、N=13である。
【0126】
次に、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS132において、試薬設置部7におけるセット位置が「1」の試薬収容具300に収容される試薬(以下、試薬「i=1」)がR1/R3試薬であるか否かが判断される。試薬「i=1」がR1/R3試薬でない場合には、ステップS152に進む。また、試薬「i=1」がR1/R3試薬である場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS133において、試薬「i=1」の試薬情報にセットを構成する相手の試薬のシリアル番号が含まれているか否かが判断される。相手のシリアル番号が試薬情報に含まれている場合には、ステップS134において、そのシリアル番号で特定されるR2試薬(試薬収容具300)が試薬設置部7に設置されているか否かが判断される。設置されている場合には、ステップS135において、試薬「i=1」の試薬情報のうち、セットを構成する相手の有無を「有」にセットして、ステップS152に進む。また、設置されていない場合には、相手のシリアル番号が試薬情報に含まれていない場合には、ステップS136において、試薬「i=1」の試薬情報のうち、セットを構成する相手の有無を「無」にセットして、ステップS152に進む。
【0127】
また、ステップS133において、相手のシリアル番号が試薬情報に含まれていない場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS137において、試薬設置部6における試薬収容具のセット位置を表す番号j(jは、1以上N以下の整数)が、j=1にセットされる。
【0128】
次に、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS138において、試薬設置部6におけるセット位置が「1」の試薬収容具200に収容される試薬(以下、試薬「j=1」)がR2試薬であるか否かが判断される。試薬「j=1」がR2試薬でない場合には、ステップS143に進む。また、試薬「j=1」がR2試薬である場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS139において、試薬「j=1」の試薬情報にセットを構成する相手の試薬のシリアル番号が含まれているか否かが判断される。相手のシリアル番号が試薬情報に含まれていない場合には、ステップS145に進む。
【0129】
また、ステップS139において、相手のシリアル番号が試薬情報に含まれている場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS140において、その相手のシリアル番号で特定されるR1/R3試薬(試薬収容具200)が試薬設置部6に設置されているか否かが判断される。相手のR1/R3試薬が試薬設置部6に設置されている場合には、ステップS142において、試薬「j=1」の試薬情報のうち、相手の有無を「有」にして、ステップS143に進む。また、ステップS140において、シリアル番号で特定される試薬収容具200が設置されていない場合には、ステップS141において、「j=1」の試薬情報のうち、相手の有無を「無」にセットして、ステップS143に進む。
【0130】
ステップS143においては、j=Nを満たすか否かが判断される。j=Nを満たさない場合には、ステップS144において、jの値がインクリメントされる。すなわち、j=2にセットされる。この後、ステップS138〜ステップS144がj=Nを満たすまで繰り返される。そして、ステップS143において、j=Nを満たす場合には、ステップS152に進む。
【0131】
また、ステップS145においては、試薬「i」と試薬「j」との分析項目が一致するか否かが判断される。試薬「i」と試薬「j」との分析項目が一致しない場合には、ステップS147において、試薬「i」と試薬「j」との試薬情報の相手の有無を「無」にセットした後、ステップS143に進む。また、試薬「i」と試薬「j」との分析項目が一致する場合には、ステップS146において、試薬「i」と試薬「j」とのロット番号が一致するか否かが判断される。試薬「i」と試薬「j」とのロット番号が一致しない場合には、ステップS147において、試薬「i」と試薬「j」との試薬情報の相手の有無を「無」にセットした後、ステップS143に進む。また、試薬「i」と試薬「j」とのロット番号が一致する場合には、試薬「i」と試薬「j」とがセットを構成すると判断されるとともに、ステップS148に進む。
【0132】
ステップS148においては、試薬「i」の試薬情報にセットを構成する相手のシリアル番号として、試薬「j」のシリアル番号が付加される。そして、ステップS149において、試薬「i」の試薬情報のうち、相手の有無が「有」にセットされる。次に、ステップS150において、試薬「j」の試薬情報にセットを構成する相手のシリアル番号として、試薬「i」のシリアル番号が付加される。そして、ステップS151において、試薬「j」の試薬情報のうち、相手の有無が「有」にセットされる。
【0133】
その後、ステップS152において、i=Nであるか否かが判断される。i=Nでない場合には、ステップS153において、iの値がインクリメントされるとともに、ステップS132に進む。そして、i=Nを満たすまで、ステップS132〜ステップS153が繰り返される。ステップS152において、i=Nを満たす場合には、第1使用可能試薬判定処理が終了する。
【0134】
この第1使用可能試薬判定処理では、上記のように、試薬設置部6に収容されている複数の試薬と試薬設置部7に収容されている複数の試薬との全ての組み合わせに対して、分析項目およびロット番号が一致するか否かを判断することによって、セットを構成する試薬「i」および試薬「j」を判別している。そして、判別されたセットを構成する試薬「i」および試薬「j」の試薬情報に互いのシリアル番号を付加している。また、分析項目が一致しない、もしくはロット番号が一致しない、と判定された試薬「i」および試薬「j」については、試薬登録リストにおいて試薬「i」および試薬「j」のそれぞれにつき、セットを構成する相手の試薬の有無が「無」にセットされる。これにより、前記試薬「i」および前記試薬「j」が試薬セットとして登録されることを禁止している。
【0135】
図26は、図23に示した測定機構部の制御部の測定処理、および、図23に示した制御装置の制御部のデータ解析処理を説明するためのフローチャートである。次に、図1、図2および図26を参照して、図23のステップS4における測定処理、および、図23のステップS105におけるデータ解析処理の詳細を説明する。
【0136】
まず、測定機構部2の測定処理2aとしては、ステップS21において、検体が収容されたラック101が搬送されて、検体吸引位置1a(図1および図2参照)に移動される。また、ステップS22において、ラック101が搬送される際に、図示しないバーコードリーダにより各検体を収容する試験管100に貼付されたバーコードが読み取られる。そして、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS23において、このバーコードに記録されている検体番号が制御装置4の制御部4aに送信される。
【0137】
また、制御装置4の制御部4aにおいては、まず、ステップS161において、検体番号を測定機構部2の制御部2aから受信したか否かが判断される。検体番号を受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、検体番号を受信した場合には、ステップS162において、オーダを取得する。なお、オーダとは、検体を特定する情報に対応付けられた分析項目を含む情報である。このオーダにより、測定機構部2は、どの検体のどの測定項目を測定するのかを認識する。オーダは、制御装置4に接続されたホストコンピュータ(図示せず)に登録されたり、制御装置4にユーザがマニュアル入力することで記憶されるようになっている。検体のバーコード情報を取得した後、制御装置4は、内部に記憶しているオーダから該当するものを検索したり、ホストコンピュータへ検体IDをキーとして問い合わせたりすることでオーダを取得する。その後、ステップS163において、制御装置4の制御部4aは、オーダを測定機構部2の制御部2aに送信する。
【0138】
また、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS24において、オーダを受信したか否かが判断される。オーダを受信していない場合には、この判断が繰り返される。
【0139】
また、オーダを受信した場合には、ステップS25において、当該オーダに対応する分析項目の測定を行なうのに適切な試薬セットが存在するか否か、制御部2aに記憶されている試薬セットテーブルに基づいて判定する。適切な試薬セットが存在すると判定された場合、ステップS27に進み、測定が行なわれる。すなわち、オーダに基づいて、R1/R3試薬とR2試薬とのセット、R4試薬およびR5試薬を用いて、検体に含まれる抗原の量を測定する。
【0140】
一方、ステップS25において、当該オーダに対応する分析項目の測定を行なうのに適切な試薬セットが存在しないと判断された場合、試薬セットを構成していない試薬が測定に用いられることを禁止するため、ステップ27には進まない。その代わり、ステップS26に進み、ユーザに対する警告を表示するよう制御装置4の制御部4aに警告指示を送信する。その後、後述するステップS31に進む。
【0141】
制御装置4の制御部4aは、ステップS164において、測定機構部2の制御部2aから警告指示を受信したか否か判断する。警告指示を受信しない場合には、後述するステップS166に進む。警告指示を受信した場合には、ステップS165にて、表示部4bに、オーダに対応する分析項目の測定を行なうのに適切な試薬セットが存在しない旨を警告する警告画面が表示される。図28にその例を示す。警告画面480は、警告の内容を示す警告内容表示領域481と、警告に関する説明と警告への対処方法を示す説明領域482を含んでいる。本例では、警告内容表示領域481に、オーダに対応する使用可能な試薬セットが無いことが表示されている。また説明領域482に、分析項目のうちHBsAgにつき、使用可能な試薬セットが無いことが表示されている。警告画面480は、試薬管理画面410、試薬配置状態画面420など、別の画面が表示部4bに表示されている時であっても、それらの前面に優先的に表示される。
【0142】
この後、ステップS28において、使用した試薬の残量(測定可能回数)がデクリメントされる。そして、ステップS29において、使用した試薬のステップS28におけるデクリメント後の残量情報がセット位置情報と対応付けて制御装置4の制御部4aに送信される。
【0143】
また、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS166において、残量情報およびセット位置情報を受信したか否かが判断される。残量情報およびセット位置情報を受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、残量情報およびセット位置情報を受信した場合には、ステップS167において、その受信した情報に基づいて、該当する試薬の試薬情報を更新する。
【0144】
また、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS168において、画面の更新が必要か否かが判断される。すなわち、測定に伴い、試薬の残量が減少した場合に、試薬配置状態画面420などにおいて、警告(マークを黄色または赤色にする)が必要か否かが判断される。具体的には、測定可能回数が10回以上であるか、1回以上9回以下であるか、または0回であるかが判断される。画面の更新が必要でない場合には、ステップS170に進む。また、画面の更新が必要である場合には、ステップS169において、試薬配置状態画面および測定可能試薬画面の更新が行われる。すなわち、測定可能回数が10回から9回に減った場合、および、1回から0回に減った場合には、それぞれ、マークの色を白から黄色、および、黄色から赤色に更新する。
【0145】
また、この後、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS30において、測定結果が制御装置4の制御部4aに送信される。そして、ステップS31において、オーダに基づいて、全検体に対して測定が終了したか否かが判断される。全検体に対する測定が終了していない場合には、ステップS32において、検体を収容したラック101がさらに搬送されるとともに、ステップS22に進む。この後、全検体に対する測定が終了するまでステップS22〜ステップS32が繰り返される。そして、ステップS31において、全検体に対する測定が終了したと判断された場合には、測定機構部2の制御部2aの測定処理が終了する。
【0146】
また、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS170において、測定機構部2の制御部2aから測定結果を受信したか否かが判断される。測定結果を受信していない場合には、この判断が繰り返される。また、測定結果を受信した場合には、ステップS171において、測定結果に基づいて解析処理が行われる。その後、制御装置4の制御部4aは、ステップS172において、表示部4bに分析結果(解析結果)を表示する。そして、ステップS173において、全検体に対して分析が行われたか否かが判断される。全検体に対して分析が行われていない場合には、ステップS161に進み、全検体に対して分析が行われるまで、ステップS161〜ステップS173が繰り返される。そして、ステップS173において、全検体に対して分析が行われたと判断された場合には、制御装置4の制御部4aによるデータ解析処理が終了する。
【0147】
図27は、図23に示した測定機構部の制御部の試薬セットテーブル更新処理、および、図23に示した制御装置の制御部の試薬登録リスト更新処理を説明するためのフローチャートである。次に、図27を参照して、図23のステップS6における試薬セットテーブル更新処理、および、図23のステップS108における試薬登録リスト更新処理の詳細を説明する。なお、この説明では、試薬を交換する場合について説明する。
【0148】
試薬セットテーブル更新処理としては、まず、ステップS41において、上述のように、試薬の交換が行われる。
【0149】
この後、試薬設置部7においては、ステップS42において、新しくセット(追加)された試薬収容具300をバーコード読取位置7bに移動する。この後、ステップS43およびステップS44において、上記ステップS12およびステップS13と同様に、試薬収容具300のバーコード300aが読み取られるとともに、バーコード情報が試薬収容具300の位置情報と関連付けられて制御装置4の制御部4aに送信される。
【0150】
この後、ステップS45において、追加された試薬収容具300が複数ある場合には、追加された全ての試薬収容具300について、バーコード情報および位置情報の送信が行われたか否かが判断される。追加された全ての試薬収容具300について、バーコード情報および位置情報の送信が行われていない場合には、ステップS46において、新しくセット(追加)された試薬収容具300をバーコード読取位置7bに移動するように試薬設置部7を駆動する。この後、全ての追加された試薬収容具300についてバーコード情報および位置情報の送信が行われるまで、ステップS43〜ステップS46が繰り返される。
【0151】
また、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS181において、交換された試薬のセット位置情報およびバーコード情報を測定機構部2の制御部2aから受信したか否かが判断される。受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、受信した場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS182において、図24のステップS112と同様に、バーコード情報に対応する試薬情報が試薬DBにあるか否かが判断される。バーコード情報に対応する試薬情報が試薬DBにある場合には、ステップS185に進む。また、バーコード情報に対応する試薬情報が試薬DBにない場合には、ステップS183およびステップS184において、図24のステップS113およびステップS114と同様の処理が行われる。
【0152】
その後、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS185およびステップS186において、図24のステップS115およびステップS116と同様の処理が行われる。
【0153】
この後、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS187において、上記ステップS181〜ステップS186が交換された試薬(試薬収容具)の全てについて終了したか否かが判断される。全部の試薬について終了していない場合には、ステップS181に戻る。また、全部の試薬について終了した場合には、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS188において、交換した試薬に対して、図25に示した第1使用可能試薬判定処理と同様の処理による第2使用可能試薬判定処理が行われる。この後、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS189およびステップS190において、図24の上記ステップS119およびステップS120と同様に、試薬情報の更新が行われるとともに、その試薬情報が測定機構部2の制御部2aに送信される。
【0154】
この後、測定機構部2の制御部2aにおいては、ステップS47において、制御装置4の制御部4aから交換した試薬の試薬情報を受信したか否かが判断される。受信しない場合には、この判断が繰り返される。また、受信した場合には、ステップS48において、受信した試薬情報に基づいて、試薬セットテーブルが更新される。この後、ステップS49において、図24のステップS18と同様に、画面の更新要求信号を制御装置4の制御部4aに送信する。このようにして、測定機構部2の制御部2aによる試薬セットテーブルの更新処理が行われる。なお、上記説明では、試薬設置部7の場合を説明したが、試薬設置部6においても同様の処理が行われる。
【0155】
また、制御装置4の制御部4aにおいては、ステップS191およびステップS192において、図24のステップS121およびステップS122と同様に、画面更新要求を受信したか否かが判断されるとともに、試薬配置状態画面420および測定可能項目画面430の更新が交換された試薬の分に対して行われる。このようにして、試薬登録リストの更新処理が行われる。
【0156】
本実施形態では、上記のように、バーコードリーダ6aおよび7aによって読み出された試薬情報に基づいて、複数の試薬収容具200のうちの所定の試薬収容具200に収容された試薬と複数の試薬収容具300のうちの所定の試薬収容具300に収容された試薬とをセットとして登録することによって、試薬設置部6に保持された試薬と試薬設置部7に保持された試薬とを自動的にセットとして管理することができる。これにより、2つの保持場所にそれぞれ保持された複数の試薬を同一の分析項目に必要な試薬として容易に管理することができる。
【0157】
また、本実施形態では、上記のように、分析項目およびロット番号が互いに対応する試薬をセットとして登録することによって、分析項目だけでなく、ロット番号の対応関係をも判定することにより、ロット番号が同一の試薬により分析が行われるので、測定結果を正確に出すことができる。すなわち、試薬の製造者は、複数種類の試薬を用いて測定を行なう分析項目に関する試薬を製造し出荷する場合、複数の種類の試薬について同一ロット番号を有する組み合わせにて試薬性能の確認試験を行い、出荷する。従って、出荷後の試薬を試料分析装置上で使用して試料の分析を行う際、複数種類の試薬を用いて測定を行なう分析項目については、同一ロット番号を有する試薬を組み合わせて用いる方が、測定結果の信頼性がより向上する。
【0158】
また、本実施形態では、上記のように、試薬をセットとして登録する際に、シリアル番号情報の対応関係も登録することによって、セットを構成した試薬が、重複する番号のないシリアル番号により管理されるので、登録されたセットの組み合わせ以外の組み合わせによる測定が行われるのを防止することができる。
【0159】
また、本実施形態では、上記のように、試薬設置部6および7にそれぞれ保持された複数の試薬収容具200および300の配置状態を表す試薬配置状態画面420を表示部4bに表示することによって、使用者は、表示部4bを見ることによって試薬収容具の配置状態を認識することができる。
【0160】
また、本実施形態では、上記のように、セットを構成しない試薬を、セットが構成された試薬と識別可能に表示することによって、使用者は、表示部4bを見ることによってセットを構成しない試薬を認識することができる。これにより、表示部4b上で認識したセットを構成しない試薬に対して交換または取出しなどを行うことができるので、試薬の管理を容易に行うことができる。
【0161】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0162】
たとえば、上記実施形態では、試薬を試薬設置部6および試薬設置部7の2つの試薬設置部に設置した例を示したが、本発明はこれに限らず、3つ以上の試薬設置部に設置してもよい。あるいは、1つの試薬設置部に複数種類の試薬が設置されるようにしてもよい。
【0163】
また、上記実施形態では、R1/R3試薬を設置するための第1の試薬設置部(試薬設置部6)と、R2試薬を設置するための第2の試薬設置部(試薬設置部7)とを、それぞれ別個に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、一台の試薬設置部が、第1の試薬設置部と第2の試薬設置部との機能を兼ねるように構成してもよい。
【0164】
また、上記実施形態では、R1/R3試薬のバーコードを読み取るための第1のバーコードリーダ(バーコードリーダ6a)と、R2試薬のバーコードを読み取るための第2のバーコードリーダ(バーコードリーダ7a)とを、それぞれ別個に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、一台のバーコードリーダが第1のバーコードリーダと第2のバーコードリーダとの機能を兼ねるよう構成してもよい。
【0165】
また、上記実施形態では、測定機構部2の制御部2aにおいて、オーダに対応する分析項目の測定を行なうのに適切な試薬セットが存在しないと判断された場合、試薬セットを構成していない試薬が測定に用いられることを禁止する構成とした。これは、オーダのあった分析項目について、R1/R3試薬が存在するか否か、当該分析項目に対応するR2試薬が存在するか否かの判定を行ないR1/R3試薬またはR2試薬のいずれか一方でも欠ける場合には前記分析項目の測定を禁止する構成を含んでもよい。またR1/R3試薬およびR2試薬のいずれもが存在する場合にそれらのロット番号が一致しているか否かの判定を行ない、R1/R3試薬のロット番号と、R2試薬のロット番号とが一致しない場合は、それらの試薬を組み合わせて前記分析項目の測定に用いることを禁止する構成を含んでもよい。
【0166】
また、上記実施形態では、試薬の交換または取出しが終了したことを表示部4bに表示される交換終了通知画面460によりユーザに通知するように構成された例を示したが、本発明はこれに限らず、試薬の交換または取出しが終了した場合に発光するインジケータを測定機構部に設けてもよいし、音声などの音により通知してもよい。
【0167】
また、上記実施形態では、オーダに対応する測定を行なうのに適切な試薬セットが存在しないと判断された場合に、当該測定項目の測定を禁止する旨を警告画面480によりユーザに警告するよう構成された例を示したが、本発明はこれに限らず、適切な試薬セットが無い場合に発光するインジケータを測定機構部に設けてもよいし、音声などの音により警告してもよい。
【0168】
また、上記実施形態では、試薬セットの交換が指示された場合に、載置台41および載置台71がそれぞれの試薬保持部の待機位置へ下降することで、載置台41および載置台71に配置された新しい試薬収容具200および300を2つの試薬保持部へそれぞれ搬送し、試薬保持部が回転移動することにより、交換対象の試薬収容具200および300がそれぞれの試薬保持部の待機位置に移動し、それぞれの試薬保持部の待機位置から載置台41および載置台71が上昇することにより交換対象の試薬収容具200および300を自動的に試薬保持部の外部へ搬送する構成を示したが、本発明はこれに限らず、試薬保持部に対して試薬収容具を出し入れする載置台およびそれを昇降する機構を設けず、試薬保持部に対してユーザが手作業で試薬収容具を出し入れする構成にしてもよい。この構成においては、交換対象の試薬セットの交換が指示された場合に、試薬保持部が回転移動することにより、2つの試薬収容具をそれぞれの試薬保持部の所定の出入位置へ移動させ、ユーザが出入位置にある試薬収容具を取出し、新しい試薬収容具を出入位置に配置することで、試薬の交換が行われる。なお、試薬セットの取出が指示された場合には、試薬保持部が回転移動することによりそれぞれの試薬保持部の出入位置へ移動した試薬収容具をユーザが取り出すことになる。
【0169】
また、上記実施形態では、免疫分析装置1において所定の分析項目の測定を行なう際、R1/R3試薬(R1は補足抗体試薬、R3は標識抗体試薬)のロット番号と、R2試薬(R2は磁性粒子試薬)のロット番号について一致の有無を監視し、一致する場合にはそれら試薬を試薬セットとして登録している。しかし、ロット番号の一致が監視されるべき試薬の種類や組み合わせは、これらに限定されない。たとえば、免疫分析装置1においては、測定対象である抗原に結合して補足する補足抗体(R1)、磁性粒子(R2)、標識抗体(R3)、分散液(R4)、および発光基質(R5)などさまざまな試薬が用いられる。これらの試薬から、同一のロット番号を有する試薬の組み合わせを測定に用いることにより測定精度の向上が期待される任意の試薬の種類の組み合わせについてロット番号の一致を監視するよう構成してもよい。
【0170】
また、上記実施形態では、測定対象が抗原であるために、それを補足するための補足試薬(R1)を抗体試薬とする例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、測定対象が抗体である場合には、補足試薬を抗原試薬としてもよい。同様に、標識抗体(R3)は標識抗原であってもよい。
【0171】
また、上記実施形態では、本発明を免疫分析装置1に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、単数または複数の試薬設置部を有する生化学分析装置および血液凝固測定装置などの他の分析装置に適用してもよい。さらに本発明は、血球計数装置に適用してもよい。たとえば、血球計数装置用の試薬として、血液試料を希釈するための希釈液、赤血球を溶血させるための赤血球用溶血剤、特定の種類の白血球の細胞膜にダメージを与えるための白血球用溶血剤、特定の血球を染色するための染色液などが知られている。またフローサイトメトリーを応用した血球計数装置においては、フローセル中で試料液流の周囲を包むように流すためのシース液が用いられる。
【0172】
これらの試薬の中から、同一のロット番号を有する試薬の組み合わせを測定に用いることにより測定精度の向上が期待される任意の試薬の種類の組み合わせについてロット番号の一致を監視するよう構成してもよい。
【0173】
また、上記実施形態では、異なる種類の試薬の互いのロット番号が一致する場合に、それらの試薬を試薬セットとして組み合わせて用いる構成とした。しかし、ロット番号に限らず、試薬の製造者が任意に各試薬に割り当てた識別情報を用いてもよい。試薬の製造者が、セットを構成すべき試薬の識別情報の組み合わせを予め定めておき、その組み合わせに該当する試薬同士を測定に用いるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の一実施形態による免疫分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した免疫分析装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態による免疫分析装置の測定機構部の制御部を含むブロック図である。
【図4】図3に示した測定機構部の制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による免疫分析装置の制御装置を示すブロック図である。
【図6】図1に示した試薬設置部の全体構成を示す斜視図である。
【図7】図6に示した試薬設置部の試薬保持部を示す斜視図である。
【図8】図7に示した試薬設置部の試薬保持部の平面図である。
【図9】本発明の一実施形態による免疫分析装置において使用される試薬収容具を保持するためのラックを示す斜視図である。
【図10】図6に示した試薬設置部を示す斜視図である。
【図11】一実施形態による昇降部を示す斜視図である。
【図12】R2試薬を収容する試薬収容具を示す斜視図である。
【図13】R1/R3試薬を収容する試薬収容具を示す斜視図である。
【図14】試薬管理画面の試薬配置状態画面を示す図である。
【図15】試薬管理画面の試薬配置状態画面を示す図である。
【図16】試薬管理画面の測定可能項目画面を示す図である。
【図17】試薬交換画面を示す図である。
【図18】交換終了通知画面を示す図である。
【図19】試薬の交換動作を説明するための斜視図である。
【図20】図19の100−100線に沿った断面図である。
【図21】試薬の交換動作を説明するための斜視図である。
【図22】図21の200−200線に沿った断面図である。
【図23】一実施形態による免疫分析装置の測定動作を説明するためのフローチャートである。
【図24】図23に示した試薬セットテーブル作成処理、および、試薬登録リスト作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図25】図24に示した第1使用可能試薬判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図26】図23に示した測定処理、および、データ解析処理を説明するためのフローチャートである。
【図27】図23に示した試薬セットテーブル更新処理、および、試薬登録リスト更新処理を説明するためのフローチャートである。
【図28】警告画面を示す図である。
【符号の説明】
【0175】
1 免疫分析装置(試料分析装置)
4 制御装置(受付部、処理手段)
4b 表示部
6 試薬設置部(第1試薬容器保持部)
6a バーコードリーダ(第1読出部)
7 試薬設置部(第2試薬容器保持部)
7a バーコードリーダ(第2読出部)
40 昇降部(第1搬送手段)
70 昇降部(第2搬送手段)
200 試薬収容具(第1試薬容器)
200a バーコード(第1記録部)
300 試薬収容具(第2試薬容器)
300a バーコード(第2記録部)
460 交換終了通知画面(通知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1試薬と第2試薬とを用いて所定の分析項目の分析を行う試料分析装置であって、
前記第1試薬を収容し、前記第1試薬の管理に用いられる第1試薬管理情報が記録された第1記録部を有する第1試薬容器を複数保持可能な第1試薬容器保持部と、
前記第2試薬を収容し、前記第2試薬の管理に用いられる第2試薬管理情報が記録された第2記録部を有する第2試薬容器を複数保持可能な第2試薬容器保持部と、
前記第1試薬容器保持部に保持された前記第1試薬容器の第1記録部から、前記第1試薬管理情報を読み出す第1読出部と、
前記第2試薬容器保持部に保持された前記第2試薬容器の第2記録部から、前記第2試薬管理情報を読み出す第2読出部と、
前記第1読出部および前記第2読出部によってそれぞれ読み出された前記第1試薬管理情報および前記第2試薬管理情報に基づいて、前記第1試薬と前記第2試薬とを測定試薬セットとして登録する登録手段と、
前記登録手段によって登録された前記測定試薬セットを用いて所定の分析項目の測定を行う測定部と、
前記測定部による測定結果を処理し、試料の分析結果を取得する処理手段とを備える、試料分析装置。
【請求項2】
前記第1試薬管理情報と前記第2試薬管理情報とが対応するか否かを判定する判定手段をさらに備える、請求項1に記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記第1試薬管理情報および前記第2試薬管理情報は、それぞれ、第1分析項目情報および第2分析項目情報を含み、
前記判定手段は第1分析項目情報と第2分析項目情報とが対応するか否かを判定する、請求項2に記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記第1試薬管理情報および前記第2試薬管理情報は、それぞれ、第1ロット番号情報および第2ロット番号情報を含み、
前記判定手段は第1ロット情報と前記第2ロット情報とが対応するか否かを判定する、請求項2に記載の試料分析装置。
【請求項5】
前記判定手段は、第1分析項目情報および第1ロット番号情報と、第2分析項目情報および第2ロット番号情報とがそれぞれ対応するか否かを判定し、
前記登録手段は、第1分析項目情報および第1ロット番号情報と、第2分析項目情報および第2ロット番号情報とが対応すると前記判定手段により判定された場合に、前記第1試薬と前記第2試薬とを前記測定試薬セットとして登録するように構成されている、請求項2に記載の試料分析装置。
【請求項6】
前記判定手段が、前記第1試薬管理情報と前記第2試薬管理情報とが対応しないと判定した場合に、前記登録手段は、前記第1試薬と前記第2試薬とを測定試薬セットとして登録することを禁止するように構成されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項7】
前記第1試薬管理情報および前記第2試薬管理情報は、それぞれ、前記第1試薬容器の第1シリアル番号情報および前記第2試薬容器の第2シリアル番号情報をさらに含み、
前記登録手段は、前記第1試薬と前記第2試薬とを前記測定試薬セットとして登録する際に、前記第1シリアル番号情報と前記第2シリアル番号情報との対応関係をも登録するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項8】
測定のオーダを受け付けるオーダ受付手段と、
前記オーダ受付手段が受け付けたオーダに対応する測定を行なうための試薬セットの有無を判定する試薬セット有無判定手段と、
前記試薬セット有無判定手段が、前記オーダ受付手段が受け付けたオーダに対応する測定を行なうための試薬セットが無いと判定した場合に、前記オーダに基づく測定を禁止する測定禁止手段とをさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項9】
前記試薬セット有無判定手段が、前記オーダ受付手段が受け付けたオーダに対応する測定を行なうための試薬セットが無いと判定した場合に、前記オーダに基づく測定が禁止された旨を使用者に警告する警告手段をさらに備える、請求項8に記載の試料分析装置。
【請求項10】
使用者から交換または取出し対象の前記測定試薬セットの指定を受け付ける受付部をさらに備え、
前記第1試薬容器保持部および前記第2試薬容器保持部は、それぞれ、複数の前記第1試薬容器および複数の前記第2試薬容器を移動可能に保持するように構成されており、
前記受付部によって交換または取出し対象の前記測定試薬セットが指定された場合、前記第1試薬容器保持部は、前記測定試薬セットの第1試薬に対応する第1試薬容器を、前記第1試薬容器保持部に保持された試薬容器の取出しが可能な第1取出位置に移動させるとともに、前記第2試薬容器保持部は、前記測定試薬セットの第2試薬に対応する第2試薬容器を、前記第2試薬容器保持部に保持された試薬容器の取出しが可能な第2取出位置に移動させるように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項11】
前記第1試薬容器を、前記第1試薬容器保持部の前記第1取出位置から前記第1試薬容器保持部の外部へ搬送するための第1搬送手段と、
前記第2試薬容器を、前記第2試薬容器保持部の前記第2取出位置から前記第2試薬容器保持部の外部へ搬送するための第2搬送手段とをさらに備え、
前記受付部によって交換または取出し対象の前記測定試薬セットが指定された場合、前記第1搬送手段は、前記測定試薬セットの第1試薬に対応する第1試薬容器を前記第1取出位置から前記第1試薬容器保持部の外部へ搬送するとともに、前記第2搬送手段は、前記測定試薬セットの第2試薬に対応する第2試薬容器を前記第2取出位置から前記第2試薬容器保持部の外部へ搬送するように構成されている、請求項10に記載の試料分析装置。
【請求項12】
前記受付部によって交換対象の前記測定試薬セットが指定された場合に、
前記第1搬送手段は、前記第1試薬容器保持部の外部に設けられた第1セット位置に配置された第1試薬容器を、前記第1セット位置から前記第1取出位置に搬送し、
前記第1試薬容器保持部は、前記交換対象の測定試薬セットの第1試薬容器を前記第1取出位置に移動させ、
前記第1搬送手段は、前記交換対象の測定試薬セットの第1試薬容器を前記第1取出位置から前記第1試薬容器保持部の外部へ搬送し、
前記第2搬送手段は、前記第1試薬容器保持部の外部に設けられた第2セット位置に配置された第2試薬容器を、前記第2セット位置から前記第2取出位置に搬送し、
前記第2試薬容器保持部は、前記交換対象の測定試薬セットの第2試薬容器を前記第2取出位置に移動させ、
前記第2搬送手段は、前記交換対象の測定試薬セットの第2試薬容器を前記第2取出位置から前記第2試薬容器保持部の外部へ搬送するように構成されている、請求項11に記載の試料分析装置。
【請求項13】
前記第1試薬容器保持部および前記第2試薬容器保持部は、それぞれ、複数の前記第1試薬容器および複数の前記第2試薬容器を回転移動可能に環状に保持するように構成されており、
前記第1取出位置および前記第2取出位置は、それぞれ、前記第1試薬容器の回転移動経路上および前記第2試薬容器の回転移動経路上に位置する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項14】
交換または取出し対象の前記測定試薬セットの第1試薬に対応する第1試薬容器、および、交換対象の前記測定試薬セットの第2試薬に対応する第2試薬容器の交換または取出しが終了したことを通知する通知手段をさらに備える、請求項10〜13のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項15】
表示部と、
前記第1試薬容器保持部および前記第2試薬容器保持部にそれぞれ保持された複数の第1試薬容器および複数の第2試薬容器の配置状態を前記表示部に表示するように制御する表示制御部とをさらに備える、請求項1〜14のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項16】
前記第1試薬および前記第2試薬から前記測定試薬セットが構成されない場合、前記表示制御部は、前記測定試薬セットを構成しない第1試薬および第2試薬を、前記測定試薬セットが構成された第1試薬および第2試薬と識別可能に表示するように前記表示部を制御するように構成されている、請求項15に記載の試料分析装置。
【請求項17】
前記第1試薬容器および前記第2試薬容器の配置が表示された前記表示部において、試薬容器を選択する選択手段をさらに備え、
前記選択手段により前記測定試薬セットを構成しない前記第1試薬または前記第2試薬が選択された場合、前記表示制御部は、前記試薬容器が前記測定試薬セットを構成しない理由を表す表示がなされるように前記表示部を制御するように構成されている、請求項16に記載の試料分析装置。
【請求項18】
少なくとも第1試薬と第2試薬とを用いて所定の分析項目の分析を行う試料分析装置であって、
前記第1試薬を収容し、前記第1試薬の管理に用いられる第1試薬管理情報が記録された第1記録部を有する第1試薬容器を複数保持可能な第1試薬容器保持部と、
前記第2試薬を収容し、前記第2試薬の管理に用いられる第2試薬管理情報が記録された第2記録部を有する第2試薬容器を複数保持可能な第2試薬容器保持部と、
前記第1試薬容器保持部に保持された前記第1試薬容器の第1記録部から、前記第1試薬管理情報を読み出す第1読出部と、
前記第2試薬容器保持部に保持された前記第2試薬容器の第2記録部から、前記第2試薬管理情報を読み出す第2読出部と、
前記第1読出部および前記第2読出部によってそれぞれ読み出された前記第1試薬管理情報および前記第2試薬管理情報が対応するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記第1試薬管理情報および前記第2試薬管理情報が対応すると判定した場合に前記第1試薬と前記第2試薬とを用いて所定の分析項目の測定を行う測定部と、
前記測定部による測定結果を処理し、試料の分析結果を取得する処理手段と、
前記判定手段が前記第1試薬管理情報および前記第2試薬管理情報が対応しないと判定した場合に、前記第1試薬と前記第2試薬とを用いた前記測定部による所定の分析項目の測定を禁止する測定禁止部とを備える、試料分析装置。
【請求項19】
前記第1試薬管理情報および前記第2試薬管理情報は、それぞれ、第1ロット番号情報および第2ロット番号情報を含み、
前記判定手段は、第1ロット番号情報と第2ロット番号情報とが対応するか否かを判定する、請求項18に記載の試料分析装置。
【請求項20】
前記判定手段が、第1ロット番号情報と第2ロット番号情報とが対応しないと判定した場合に、前記測定部による測定が禁止された旨を使用者に警告する警告手段をさらに備える、請求項19に記載の試料分析装置。
【請求項21】
前記試料分析装置は免疫分析装置であり、
前記第1試薬及び前記第2試薬は、それぞれ、測定対象である抗原または抗体に結合して補足する補足抗体または補足抗原、磁性粒子、標識抗体または標識抗原、分散液、および発光基質からなる群から選択される試薬である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項22】
前記試料分析装置は血球計数装置であり、
前記第1試薬及び前記第2試薬は、それぞれ、希釈液、溶血剤、染色液、およびシース液からなる群から選択される試薬である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の試料分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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