説明

試料高さ調整方法と試料観察方法と試料加工方法および荷電粒子ビーム装置

【課題】二つの荷電粒子ビームが同一の観察点に集束するための試料の高さを算出して、試料台を傾斜することなく、短時間で精度良くかつ容易に試料の高さ調整を行う。
【解決手段】イオンビーム2b照射による二次電子像と電子ビーム12b照射による二次電子像の倍率と、イオンビーム2b照射による二次電子像の観察点と電子ビーム12b照射による二次電子像の観察点との距離から、イオンビーム2bと電子ビーム12bが同一の観察点に集束するための前記試料の高さを計算手段14で算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビームを用いて半導体ウエハの加工、観察を行う装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの高集積化、微細化に伴い、半導体デバイス中の不良解析においても、微細な加工観察技術が要求されている。半導体デバイス中の不良箇所の微細な加工観察技術として、例えば、FIB−SEM装置を用いて、FIBによるエッチング加工で断面形成後、SEMで断面を観察する断面観察方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
FIB−SEM装置を用いて試料の断面観察を行う場合、集束イオビームで加工して形成される断面に電子ビームを照射して観察するため、集束イオンビームと電子ビームが試料上の同一の観察点(ユーセントリック位置)に集束するように試料台の高さを調整する必要がある。試料台の高さが調整されていないと電子ビームの照射範囲に集束イオンビームで加工した断面部分が入らなくなってしまい、断面を観察するためには試料台を移動させなければならないことがあり、作業効率が低下してしまうからである。試料台の高さ調整方法としては、従来、次のような手順が用いられていた。試料上の特定の位置に荷電粒子ビームを走査照射し、二次電子像を取得する。そして、試料台を傾斜させ、傾斜した状態で荷電粒子ビームを走査照射し、二次電子像を取得する。ここで取得した二次電子像内の特定位置が傾斜する前に取得した二次電子像内の特定位置から移動した移動量を求め、移動量が少なくなるように試料台の高さを調整する。(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
ところで、近年、300mmφウエハが半導体プロセスに導入されているが、300mmφウエハのような直径の大きな試料では、試料高さ方向にそりが生じる場合がある。この場合、同じウエハ内においても試料高さが変化するので、試料台の高さ調整を行ってもウエハ内の異なる場所では集束イオンビームと電子ビームがウエハ上の同一の観察点に集束しないこともある。
【特許文献1】特開平11−213935
【特許文献2】特開2000−251823
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
不良解析の工程ではスループットの向上、解析したい部分の微細化に伴う観察精度の向上への要求があり、観察、加工プロセスが短時間で精度良くかつ容易にできることが望まれている。
【0006】
ところが、上記の試料を傾斜させて画像の移動量から試料の高さを調整する方法では、試料を傾斜させなければならないため、作業効率が低下する。さらに、300mmφウエハなど試料高さ方向にそりがある場合には、観察、加工の精度が低下することや、加工と観察を切り替える時毎に試料台を移動させなければならないため作業効率が低下することがある。
【0007】
本発明はこのような従来の方法および装置が有していた問題点を解決しようとするものであり、短時間で精度良くかつ容易に観察、加工を行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は上記目的を達成するために、以下の手段を提供している。
第1の課題解決手段として、本発明の試料高さ調整方法は、二つの荷電粒子ビームを異なる角度から試料上の一つの観察点に照射できる装置において、前記試料上の前記観察点を含む領域に第一の荷電粒子ビームを走査照射し、前記観察点を含む第一の二次電子像を取得する工程と、前記試料上の前記観察点を含む領域に第二の荷電粒子ビームを走査照射し、前記観察点を含む第二の二次電子像を取得する工程と、前記第一の二次電子像と前記第二の二次電子像の倍率と、前記第一の二次電子像内の前記観察点と前記第二の二次電子像内の前記観察点との距離から前記第一の荷電粒子ビームと前記第二の荷電粒子ビームが前記観察点に集束するための前記試料の高さを算出する工程と、算出した前記試料の高さに前記試料を配置するために試料台を移動させる工程を含むことを特徴するものである。
【0009】
また、第2の課題解決手段として、本発明の試料観察方法は、所望の観察部分または該観察部分近傍で第1の課題解決手段に記載の試料高さ調整方法を行う工程と、前記観察部分に前記電子ビームを走査照射して、前記観察部分の二次電子像を取得する工程を含むことを特徴とするものである。
【0010】
また、第3の課題解決手段は、第1の課題解決手段に記載の試料高さ調整方法において、第一の荷電粒子ビームと第二の荷電粒子ビームは、それぞれ電子ビームとイオンビームであることを特徴とする試料高さ調整方法を用いるものである。
【0011】
また、第4の課題解決手段として、本発明の試料加工方法は、所望の加工部分または該加工部分近傍で第3の課題解決手段に記載の試料高さ調整方法を行う工程と、
前記加工部分に前記イオンビームを走査照射して、前記加工部分をエッチング加工する工程を含むことを特徴とするものである。
【0012】
また、第5の課題解決手段は、所望の加工部分または該加工部分近傍で第3の課題解決手段の試料高さ調整方法を行う工程と、前記加工部分に前記イオンビームを走査照射してエッチング加工を行う工程と、エッチング加工によって作製した断面部分に前記電子ビームを走査照射して前記断面部分を観察する工程を含むことを特徴とする試料加工方法を用いるものである。
【0013】
また、第6の課題解決手段として、本発明の荷電粒子ビーム装置は、第一の荷電粒子を発生するための第一の荷電粒子発生源と、前記第一の荷電粒子を集束させて第一の荷電粒子ビームにし、該第一の荷電粒子ビームを走査させながら試料表面に照射するための第一の荷電粒子光学系と、第二の荷電粒子を発生するための第ニの荷電粒子発生源と、前記第二の荷電粒子を集束させて第二の荷電粒子ビームにし、該第ニの荷電粒子ビームを走査させながら前記試料表面に照射するための第ニの荷電粒子光学系と、前記第一の荷電粒子ビームまたは第二の荷電粒子ビームを前記試料表面に照射して発生する二次電子を検出する二次電子検出器と、前記二次電子検出器で検出した前記二次電子から二次電子像を表示する表示手段と、前記第一の荷電粒子ビームと前記第二の荷電粒子ビームが前記試料上の一つの観察点に集束する前記試料の高さを算出する計算手段と、前記試料を支持するための試料台と、前記試料台を前記計算手段で算出した高さに移動するための移動手段を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
また、第7の課題解決手段として、第6の課題解決手段に記載の荷電粒子ビーム装置の前記計算手段は、前記試料上の前記観察点に前記第一の荷電粒子ビームを走査照射して取得した第一の二次電子像と、前記試料上の前記観察点に前記第二の荷電粒子ビームを走査照射して取得した第二の二次電子像より、前記第一の二次電子像と前記第二の二次電子像の倍率および、前記第一の二次電子像内の前記観察点と前記第二の二次電子像内の前記観察点との距離から前記第一の荷電粒子ビームと前記第二の荷電粒子ビームが前記試料上の前記観察点に集束する前記試料の高さを算出する計算手段であることを特徴とする荷電粒子ビーム装置を用いるものである。
【0015】
また、第8の課題解決手段として、第6の課題解決手段に記載の荷電粒子ビーム装置において、第一の荷電粒子ビームと第二の荷電粒子ビームは、それぞれ電子ビームとイオンビームであることを特徴とする荷電粒子ビーム装置を用いるものである。
【0016】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。前記第一の二次電子像と前記第二の二次電子像の倍率と、前記第一の二次電子像内の前記観察点と前記第二の二次電子像内の前記観察点との距離から前記第一の荷電粒子ビームと前記第二の荷電粒子ビームが前記観察点に集束するための前記試料の高さを算出する工程と、算出した前記試料の高さに前記試料を配置するために試料台を移動させることで、前記二つの荷電粒子ビームを試料上の一つの観察点に照射できる位置に試料を配置することができる。
【0017】
上記第4の課題解決手段による作用は次の通りである。所望の加工部分または該加工部分近傍で第3の課題解決手段に記載の試料高さ調整方法を行い、前記加工部分をエッチング加工することで、前記二つの荷電粒子ビームを試料上の一つの観察点に照射できる試料の高さで前記加工部分のエッチング加工を実施することができる。
【0018】
上記第5の課題解決手段による作用は次の通りである。所望の加工部分または該加工部分近傍で第3の課題解決手段の試料高さ調整方法を行う工程と、前記加工部分に前記イオンビームを走査照射してエッチング加工を行う工程と、エッチング加工によって作製した断面部分に前記電子ビームを走査照射して前記断面部分を観察することで、前記イオンビームで加工した断面部分を前記電子ビームの照射範囲内で観察することができる。
【0019】
上記第6の課題解決手段による作用は次の通りである。前記第一の荷電粒子ビームと前記第二の荷電粒子ビームが前記試料上の一つの観察点に集束する前記試料の高さを算出する計算手段を用いることで、前記二つの荷電粒子ビームを試料上の一つの観察点に照射できる位置を算出することができる。
【発明の効果】
【0020】
異なる角度から二つの荷電粒子ビームを照射して取得した二つの二次電子像の倍率と二つの二次電子像内の観察点間の距離から二つの荷電粒子ビームが同一の観察点に集束するための試料の高さを算出することで、試料台を傾斜することなく、短時間で精度良くかつ容易に試料の高さ調整を行うことができる。
【0021】
さらに、観察または加工部分もしくは、観察または加工部分付近で試料の高さ調整を行うことで、試料内に試料高さ方向にそりがある場合でも精度良く、容易に観察または加工を行うことができる。
【0022】
また、精度良く、容易に試料の高さ調整と観察および加工をすることができるので、試料高さ方向にそりがある試料で複数箇所の観察または加工したい場合でも、上述の試料高さ調整、加工、観察のプロセスを荷電粒子ビーム装置にプログラミングすることで精度良く自動的に観察または加工を実施することできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を図1、図2、図3、図4および図5に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の実施形態を示す荷電粒子ビーム装置の概略図である。イオン発生源1で発生したイオン2aはイオン光学系3で細く絞られイオンビーム2bとなり、試料であるウエハ5上に走査照射される。また、電子発生源11で発生した電子12aは電子光学系13で細く絞られ電子ビーム12bとなり、ウエハ5上に走査照射される。ウエハ5は試料台6に支持され試料台制御手段7によって移動することができる。イオンビーム2bもしくは電子ビーム12bをウエハ5に照射することで発生する二次電子4は二次電子検出器8で検出される。検出された二次電子4は輝度信号に変換され二次電子像を表示体10に表示する。また、計算手段14はイオンビーム2b照射による二次電子像と電子ビーム12b照射による二次電子像からウエハ5の高さの調整値を算出する。
【0025】
図2は本発明の実施形態を示す試料模式図で、(a)はウエハ、(b)はウエハ内にあるダイの模式図である。ダイはウエハ内にあるデバイスの集合体の一単位である。ここでウエハ5はφ300mmのウエハであり、ダイ16a、16b、16c、16d内に、ダイリファレンスポイント17a、17b、17c、17dがあり、所望の加工位置18a、18bがある。
【0026】
図3は本発明による加工方法を示すフローチャートである。フローチャートに従って所望の加工部分を含むウエハを加工するプロセスを説明する。
【0027】
図2に示される、予め他の装置で検出したウエハ5のリファレンスポイント15a、15b、15c、15dの座標、所望の加工部分18a、18bの座標を荷電粒子ビーム装置に入力しておく。ここで、リファレンスポイントとは、ウエハ上にあるマークである。また、第1のビームとしてイオンビーム2bを、第2のビームとして電子ビーム12bを用いて、イオンビーム2bと電子ビーム12bがウエハ上の同一点に集束するようにイオン光学系3と電子光学系13と試料台6の高さを予め調整しておく。
【0028】
はじめに、荷電粒子ビーム装置にウエハ5を導入する。続いて、荷電粒子ビーム装置に予め入力したリファレンスポイント15aの座標に基づいて、リファレンスポイント15aにイオンビーム2bが照射できる位置に試料台6を移動させる。そして、リファレンスポイント15aを含む領域にイオンビーム2bを走査照射して、二次電子像を取得する。取得した二次電子像からリファレンスポイント15aの座標を記憶する。この工程をリファレンスポイント15b、15c、15dでも実施する。これにより他の装置の座標系から試料加工装置の座標系に変換する変換係数を求めて装置間の座標系を対応させる。次に、上記工程で求めた変換係数を用いて、他の装置の座標系で記憶されている所望の加工部分の座標から、荷電粒子ビーム装置の座標系における所望の加工部分18a、18bの座標を算出する。また、同様にしてダイリファレンスポイント17a、17b、17c、17dの座標を算出する。ここで、ダイリファレンスポイントとは、ウエハ内の各ダイ上にあるマークである。
【0029】
次に、加工部分18aがあるダイ16aのダイリファレンスポイント17aの二次電子像を取得して、ダイリファレンスポイント17aのより正確な位置を認識する。まず、ダイリファレンスポイント17aにイオンビーム2bが照射できる位置に試料台6を移動させる。そして、イオンビーム2bを用いてウエハ5表面に走査照射して、二次電子像を取得する。取得した二次電子像のダイリファレンスポイント17aの位置と上記算出したダイリファレンスポイント17aの位置のズレ量からXY平面の調整値を算出し記憶する。次に、電子ビーム12bをウエハ5表面に走査照射しての二次電子像を取得する。電子ビーム12bを照射して取得した二次電子像のダイリファレンスポイント17aの位置と上記イオンビーム2bを照射して取得した二次電子像のダイリファレンスポイント17aの位置とを比較し、そのズレ量からZ軸方向の調整値を計算手段14で算出し記憶する。これより、加工部分18aに近いダイリファレンスポイント17aの位置を認識し、補正値を算出することができる。ここで、取得した二次電子像から調整値を算出する方法を、図4を用いて説明する。
【0030】
図4は本発明による高さ位置合せ方法を説明する図である。図4(a)、(b)はウエハとイオンビームと電子ビームの位置関係を示した模式図、図4(c)、(d)、(e)、(f)はダイリファレンスポイント17aを含む領域の二次電子像である。図4(a)はイオンビーム2bと電子ビーム12bがウエハ5上で同一点に集束する高さにウエハ5が設置されたときの模式図である。水平な面を有する試料ステージ上に水平な面を有するウエハ5が載置されている。イオンビーム2bはウエハ面に対して垂直方向に入射する。電子ビーム12bは水平面から角度θ傾けて入射される。図4(c)はこのときにイオンビーム2bの照射によって得られたダイリファレンスポイント17aを含んだ領域の二次電子像である。19は上記リファレンスポイントによる位置認識の工程で算出したダイリファレンスポイント17aの位置で、二次電子像のダイリファレンスポイント17aとのX軸方向、Y軸方向のズレ量がそれぞれδΔX1、ΔY1である。このズレ量を補正する値
をXY平面の調整値として算出し記憶することができる。
【0031】
次に、図4(d)はイオンビーム2b照射によって得られたダイリファレンスポイント17aが画面の中央にある二次電子像である。図4(e)はこのときに電子ビーム12b照射によって得られた二次電子像である。電子ビーム12bはウエハ5に対して角度θで入射しているため、二次電子像はウエハ5を斜め方向から観察した像になる。点線は上記図4(d)の二次電子像のダイリファレンスポイント17aの位置であり、イオンビーム2bと電子ビーム12bがウエハ5上で同一の観察点に集束する高さにウエハが設置されたときは、イオンビーム2b照射と電子ビーム12b照射による二次電子像のダイリファレンスポイント17aの中心位置は一致している。
【0032】
一方、図4(b)はイオンビーム2bと電子ビーム12bがウエハ5上で同一の観察点に集束する位置よりもΔZだけ低い位置にウエハ5が設置された時の模式図である。点線
はイオンビーム2bと電子ビーム12bがウエハ5上で同一の観察点に集束するような高さにウエハがある時のウエハ5と試料台6である。ΔX0はイオンビーム2bがウエハ5
上に集束する位置と電子ビーム12bがウエハ5上に集束する位置とのズレ量である。図4(f)はこのときに電子ビーム12b照射によって得られた二次電子像である。点線はイオンビーム2b照射により得られる二次電子像のダイリファレンスポイント17aの位置であり、電子ビーム12b照射によって得られた二次電子像のダイリファレンスポイント17aの位置とはΔX2離れた位置に表示される。これは、図4(b)で示すように、
イオンビーム2bと電子ビーム12bがウエハ5上で同一の観察点に集束する点線で示したウエハ5の高さに比べて、ΔZ低い位置にウエハ5があるため、イオンビーム2bが集
束する位置からΔX0離れた位置に電子ビーム12bは集束する。よって、電子ビーム1
2bを照射することによって得られる二次電子像では、ダイリファレンスポイント17aは画面の中央からΔX2離れた位置に表示される。
【0033】
ここで、ΔX0、ΔX2、ΔZの関係は、次の通りである。
【0034】
ΔZ=ΔX0・tanθ
ΔX2=k・ΔX0・sinθ
ここでkは図4(f)二次電子像の表示倍率とする。
【0035】
これより、ΔX2は次のように表すことができる。
【0036】
ΔX2=k・ΔZ・cosθ
従って,図4(f)のように電子ビーム12bの照射による二次電子像からΔX2を算
出することで、イオンビーム2bと電子ビーム12bがウエハ5上で同一の観察点に集束する高さとのズレ量ΔZを算出することができる。このズレ量を調整する値をZ軸方向の
調整値として算出し記憶することができる。
【0037】
次に上記リファレンスポイントによる位置認識の工程で算出した加工部分18aの座標に、ダイリファレンスポイントによる位置認識の工程で算出したXY平面の調整値ΔX1
、ΔY1とZ軸方向の調整値ΔZを用いて正確な加工部分18aの位置を算出し、算出し
た位置にイオンビーム2bを照射できるように試料台6を移動する。そしてイオンビーム2bを加工部分18aに走査照射してエッチング加工と、電子ビーム12bを照射して断面観察を実施する。
【0038】
ここで、上記位置合せを行った後の、試料加工及び断面観察方法について図5を用いて説明する。
【0039】
図5は本発明の試料加工及び断面観察方法を説明するための試料模式図である。まずイオンビーム2bをウエハ5表面に走査照射してエッチング加工を行う。すると、図5(a)のように加工溝5aが形成される。ここで、電子ビーム12bを加工溝5aの断面部分に走査照射して、断面部分の二次電子像を取得する。そして再びイオンビーム2bを加工溝5aの隣に走査照射して加工溝5aを広げるように加工を行う。すると、図5(b)のような加工溝5bが形成される。ここで電子ビーム12bを加工溝5bの断面部分に走査照射して断面部分の二次電子像を取得する。この工程を繰り返すことで、エッチング加工によって作製される断面部分の観察像を連続的に取得することができるため、加工位置の確認や二次電子像を足し合わせることで加工した部分の三次元的な二次電子像を取得することができる。
【0040】
加工が終了したら、他に加工したい部分がある場合は加工部分を含むダイリファレンスポイントにイオンビーム2bが照射できる位置へ試料台6を移動し、上記の工程を繰り返し行う。
【0041】
上記のとおり加工部分に近いダイリファレンスでXY平面、Z軸方向の補正値を算出し、これを用いて加工位置の位置認識をすることで正確に加工位置にイオンビームを照射して加工することができ、また、加工した断面部分に電子ビームを正確に照射することができる。従って、上記のプロセスを荷電粒子ビーム装置にプログラミングすれば、自動化することができるので、容易にかつ正確に加工および加工した断面の観察像の取得を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態を示す荷電粒子ビーム装置の概略図。
【図2】本発明の実施形態を示す試料模式図で、(a)ウエハ(b)ダイ。
【図3】本発明による加工方法を示すフローチャート。
【図4】本発明による高さ位置合せ方法を説明する図で、(a)はウエハとイオンビームと電子ビームの位置関係を示した模式図、(b)はウエハとイオンビームと電子ビームの位置関係を示した模式図、(c)〜(f)は、ダイリファレンスポイントの二次電子像。
【図5】(a),(b)は、本発明の試料加工及び断面観察方法を説明するための試料模式図。
【符号の説明】
【0043】
1 イオン発生源
2a イオン
2b イオンビーム
3 イオン光学系
4 二次電子
5 ウエハ
5a 加工溝
5b 加工溝
6 試料台
7 試料台制御手段
8 二次電子検出器
9 制御手段
10 表示手段
11 電子発生源
12a 電子
12b 電子ビーム
13 電子光学系
14 計算手段
15a リファレンスポイント
15b リファレンスポイント
15c リファレンスポイント
15d リファレンスポイント
16a ダイ
16b ダイ
16c ダイ
16d ダイ
17a ダイリファレンスポイント
17b ダイリファレンスポイント
17c ダイリファレンスポイント
17d ダイリファレンスポイント
18a 加工部分
18b 加工部分
19 算出したダイリファレンスポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの荷電粒子ビームを異なる角度から試料上の一つの観察点に照射するための試料高さ調整方法であって、
前記試料上の前記観察点を含む領域に第一の荷電粒子ビームを走査照射し、前記観察点を含む第一の二次電子像を取得する工程と、
前記試料上の前記観察点を含む領域に第二の荷電粒子ビームを走査照射し、前記観察点を含む第二の二次電子像を取得する工程と、
前記第一の二次電子像と前記第二の二次電子像の倍率と、前記第一の二次電子像内の前記観察点と前記第二の二次電子像内の前記観察点との距離から前記第一の荷電粒子ビームと前記第二の荷電粒子ビームが前記観察点に集束するための前記試料の高さを算出する工程と、
算出した前記試料の高さに前記試料を配置するために試料台を移動させる工程を含むことを特徴とする試料高さ調整方法。
【請求項2】
所望の観察部分または該観察部分近傍で請求項1記載の試料高さ調整方法を行う工程と、
前記観察部分に前記第一の荷電粒子ビームを走査照射して、前記観察部分の二次電子像を取得する工程を含むことを特徴とする試料観察方法。
【請求項3】
請求項1記載の試料高さ調整方法において、第一の荷電粒子ビームと第二の荷電粒子ビームは、それぞれ電子ビームとイオンビームであることを特徴とする試料高さ調整方法。
【請求項4】
所望の加工部分または該加工部分近傍で請求項3記載の試料高さ調整方法を行う工程と、
前記加工部分に前記イオンビームを走査照射して、前記加工部分をエッチング加工する工程を含むことを特徴とする試料加工方法。
【請求項5】
所望の加工部分または該加工部分近傍で請求項3記載の試料高さ調整方法を行う工程と、
前記加工部分に前記イオンビームを走査照射してエッチング加工を行う工程と、
エッチング加工によって作製した断面部分に前記電子ビームを走査照射して前記断面部分を観察する工程を含むことを特徴とする試料加工方法。
【請求項6】
第一の荷電粒子を発生するための第一の荷電粒子発生源と、
前記第一の荷電粒子を集束させて第一の荷電粒子ビームにし、該第一の荷電粒子ビームを走査させながら試料表面に照射するための第一の荷電粒子光学系と、
第二の荷電粒子を発生するための第二の荷電粒子発生源と、
前記第二の荷電粒子を集束させて第二の荷電粒子ビームにし、該第二の荷電粒子ビームを走査させながら前記試料表面に照射するための第二の荷電粒子光学系と、
前記第一の荷電粒子ビームまたは第二の荷電粒子ビームを前記試料表面に照射して発生する二次電子を検出する二次電子検出器と、
前記二次電子検出器で検出した前記二次電子から二次電子像を表示する表示手段と、
前記第一の荷電粒子ビームと前記第二の荷電粒子ビームが前記試料上の一つの観察点に集束する前記試料の高さを算出する計算手段と、
前記試料を支持するための試料台と、
前記試料台を前記計算手段で算出した高さに移動するための移動手段を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
請求項6記載の荷電粒子ビーム装置において、前記計算手段は、前記試料上の前記観察点に前記第一の荷電粒子ビームを走査照射して取得した第一の二次電子像と、前記試料上の前記観察点に前記第二の荷電粒子ビームを走査照射して取得した第二の二次電子像より、前記第一の二次電子像と前記第二の二次電子像の倍率、および前記第一の二次電子像内の前記観察点と前記第二の二次電子像内の前記観察点との距離から前記第一の荷電粒子ビームと前記第二の荷電粒子ビームが前記試料上の前記観察点に集束する前記試料の高さを算出する計算手段であることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
請求項6記載の荷電粒子ビーム装置において、前記第一の荷電粒子ビームと第二の荷電粒子ビームは、それぞれ電子ビームとイオンビームであることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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