説明

試薬カートリッジ、該カートリッジを含む微細流動装置、該微細流動装置の製造方法、及び該微細流動装置を用いた生化学的試料分析方法

プラットホーム及びカートリッジを含む微細流動装置を提供する。このプラットホームは、流体を収容するチャンバーを含む。前記試薬カートリッジは、前記プラットホームに装着され、前記流体中の物質を検出するための固相試薬を収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一つ以上の実施例は、試薬を収容するカートリッジ、該カートリッジを含む微細流動装置、該微細流動装置の製造方法、及び該微細流動装置を用いた生化学的試料分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境モニタリング、食品検査、患者の病状診断などを含む様々な応用分野において試料を分析する種々の方法が開発されてきているが、既存の検査方法は、多数の手作業及び様々な装備を必要とする。定められたプロトコル(protocol)による分析及び検査を行うためには、熟練した実験者が試薬注入、混合、分離及び移動、反応、遠心分離などの様々な段階を反復して手作業で行わなければならない。しかし、このような反復的な手作業は“人的過誤(human error)”による検査結果の誤りを誘発する原因となる。
【0003】
検査を迅速に行うには熟練した臨床病理医が必要である。しかし、熟練した臨床病理医にあっても種々の検査を同時に行うことは困難である。さらに、救急患者の適時処置のためには、迅速な検査結果が要求される。このため、状況に応じて必要な様々な病理学的検査を同時にそして迅速で正確に行える分析装置が要求されている。
【0004】
既存の病理学的検査には高価で大きい自動化装備が使用されるが、この自動化装備は、多量の血液などの検査物質が要求され、総じて病理学的分析結果を得るまでに数日〜数週がかかる。
【0005】
そこで、一名の患者から採取した一つの試料、または必要によっては一名または異なる患者から採取した複数の試料を分析することができる、小型化され且つ自動化された装備が開発されてきている。このようなシステムの一例には、微細流動装置の使用が含まれ、この場合、ディスク状の微細流動装置に血液を注入し、この微細流動装置を回転させると、遠心力によって血液から血清の分離が起きる。分離された血清を一定量の希釈液または緩衝液と混合し、この混合物をディスク状の微細流動装置内の多数の反応チャンバーに流入させる。一般に、多数の反応チャンバーには、混合物の流入する前に試薬があらかじめ注入されており、これらの試薬は様々な目的に応じてそれぞれ使用されることができる。それぞれの試薬と血清が反応すると、混合物の色が変わることとなる。この色の変化から、試料が特定成分を含むことを判断することができる。
【0006】
しかしながら、試薬を液状に保管することは容易でない。例えば、アメリカ特許5,776,563号には、凍結乾燥された試薬を保管しておき、血液分析の際に、必要な量だけディスク状の微細流動装置内の反応チャンバーに注入するシステムが提示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一つ以上の実施例は、試薬を収容するカートリッジ、該カートリッジを含む微細流動装置、該微細流動装置の製造方法、及び該微細流動装置を用いた生化学的試料分析方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の及び/またはその他様態及び利点を達成するために、一つ以上の実施例は、流体を収容するチャンバーを含むプラットホーム;及び、前記プラットホームに装着され、閉鎖された第1端部、閉鎖された第2端部、前記第1端部及び前記第2端部を連結する側壁、前記側壁に形成された開口部、及び前記流体に含有されている物質を検出するための固相試薬を収容するウェル(well)を含む試薬カートリッジ;を含む微細流動装置を提供することができる。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記固相試薬は、前記流体に溶解可能な凍結乾燥された固相試薬である。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記微細流動装置は、凍結乾燥された互いに同一であるまたは異なる試薬がそれぞれ収容される2つ以上の試薬カートリッジを含むことができる。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記試薬カートリッジは、別のウェルと異なる試薬をそれぞれ収容する複数の収容部(compartment)またはウェル(well)を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記カートリッジは、閉鎖された第1端部、閉鎖された第2端部、前記第1端部及び前記第2端部を連結する側壁、前記側壁に形成される開口部、及び前記開口部を介して接近可能なウェルを含むボディー;及び、前記ウェルに収容される固相試薬;を含む。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記プラットホームは、前記試薬カートリッジの装着される1つ以上の検出チャンバーを含む。この検出チャンバーは、前記試薬カートリッジを収容する装着部を含み、該検出チャンバーの少なくとも一部は透明物質からなる。
【0014】
前記試薬カートリッジは、該試薬カートリッジの前記開口部が前記検出チャンバーと対面するように装着され、前記検出チャンバーに流れる流体を前記試薬カートリッジに取り込むことができる。前記検出チャンバー及び/または試薬カートリッジに取り込まれた流体は、前記試薬カートリッジに収容された試薬と接触して溶解させる。
【0015】
本発明の一実施例によれば、前記プラットホームは、前記試料を収容するための試料チャンバー;希釈液を収容するための希釈チャンバー;前記試薬カートリッジを収容するための検出チャンバー;及び、前記チャンバー同士間の少なくとも一地点に位置して、前記流体の流れを制御するバルブ;を含む。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記バルブは、前記流体の圧力によって制御されることができる。前記圧力は、前記微細流動装置が回転する際に発生することができる。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記バルブは、電磁気波エネルギーによって開放されるバルブ物質から形成されることができる。前記バルブ物質は、電磁気波エネルギーによって相が変化する相転移物質または熱可塑性樹脂から選択されることができる。
【0018】
本発明の一実施例によれば、前記バルブ物質は、前記相転移物質に分散され、電磁気波のエネルギーを吸収して発熱する微細発熱粒子を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施例によれば、前記微細流動装置は、前記プラットホームに結合されて前記希釈液を前記希釈チャンバーに供給するコンテナをさらに含むことができる。
【0020】
本発明の一実施例によれば、前記試薬は、血清(serum)、AST(aspartate aminotransferase)、ALB(Albumin)、ALP(Alkaline Aminotransferese)、ALT(alanine aminotransferase)、AMY(Amylase)、BUN(Blood Urea Nitrogen)、Ca++(calcium)、CHOL(Total Cholesterol)、CK(Creatine Kinase)、Cl(Chloide)、CREA(Creatinine)、D−BIL(Direct Bilirubin)、GGT(Gamma Glutamyl Transferase)、GLU(Glucose)、HDL(High-Density Lipoprotein cholesterol)、K(Potassium)、LDH(Lactate Dehydrogenase)、LDL(Low-Density Lipoprotein cholesterol)、Mg(Magnesium)、PHOS(Phosphorus)、Na(Sodium)、TCO(Total Carbon Dioxide)、T−BIL(Total Bilirubin)、TRIG(Triglycerides)、UA(Uric Acid)、TP(Total Protein)を検査するための試薬からなる群より選ばれる1つ以上の試薬を含むことができる。
【0021】
本発明の一実施例によれば、前記凍結乾燥された試薬はフィラーを含むことができる。前記フィラーは、BSA(bovine serum albumin)、PEG(polyethylene glycol)、デキストラン(dextran)、マンニトール(mannitol)、ポリアルコール(polyalcohol)、ミオ−イノシトール(myo-inositol)、クエン酸(citric acid)、EDTA2Na(ethylene diamine tetra acetic acid disodium salt)、BRIJ−35(polyoxyethylene glycol dodecyl ether)からなる群より選ばれる1つ以上の物質を含む水溶性物質とすることができる。
【0022】
本発明の一実施例によれば、前記固相試薬は、界面活性剤を含むことができる。この界面活性剤は、ポリオキシエチレン(polyoxyethylene)、ラウリルエーテル(lauryl ether)、オクトキシノール(octoxynol)、ポリエチレンアルキルアルコール(polyethylene alkyl alcohol)、ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル(nonylphenol polyethylene glycol ether)、エチレンオキサイド(ethylene oxide)、エトキシ化トリデシルアルコール(ethoxylated tridecyl alcohol)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルフォスファートナトリウム塩(polyoxyethylene nonylphenyl ether phosphate sodium salt)、及びドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate)からなる群より選ばれる1つ以上の物質を含むことができる。
【0023】
前記固相試薬の形状の少なくとも一部は、前記1つ以上の試薬カートリッジの形状の少なくとも一部に相応することができる。
【0024】
上記の及び/またはその他様態及び利点を達成するために、1つ以上の本発明の実施例は、ボディー;前記ボディーに形成される少なくとも1つの試薬収容部;及び、前記試薬収容部に収容される固相試薬を含み、前記ボディーは、側壁、第1端部、第2端部、及び前記側壁に形成される開口部を有するカートリッジを含むことができる。
【0025】
前記カートリッジは、異なる試薬をそれぞれ収容する少なくとも2つの試薬収容部を含むことができる。
【0026】
本発明の一実施例によれば、前記固相試薬は、凍結乾燥された固相試薬とすることができる。前記凍結乾燥された固相試薬の形状の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの試薬収容部の形状の少なくとも一部と一致する。
【0027】
上記の及び/またはその他様態及び利点を達成するために、1つ以上の本発明の実施例は、流体を収容するチャンバーを有するプラットホームを用意する段階;単位使用量の固相試薬を収容する試薬カートリッジを用意する段階;及び、前記試薬カートリッジを前記プラットホームに装着する段階;を含む微細流動装置の製造方法を提供することができる。前記固相試薬は、液状試薬の凍結乾燥によって生成されることができる。
【0028】
収容された試薬の凍結乾燥は、液状の第1試薬及び液状の第2試薬を前記試薬カートリッジのそれぞれの試薬収容部(または、ウェル)にそれぞれ注入し、前記液状の第1試薬及び液状の第2試薬を凍結乾燥する過程を含むことができる。
【0029】
上記の及び/またはその他様態及び利点を達成するために、1つ以上の本発明の実施例は、流体を収容するチャンバーを含む微細流動装置を用意する段階;試薬を収容している試薬カートリッジを前記チャンバーのうち一つ(“第1チャンバー”)内に装着する段階;前記流体を前記チャンバーのうち一つ(“第2チャンバー”)に流入させる段階;前記流体を前記第1チャンバー内の前記試薬と接触させる段階;及び、前記試薬が前記流体と反応するか否かを判断する段階;を含む試料分析方法を提供することができる。
【0030】
本発明の一実施例によれば、凍結乾燥された前記第1試薬の形状の少なくとも一部が、前記第1及び第2試薬カートリッジの形状の少なくとも一部に相応し、凍結乾燥された前記第2試薬の形状の少なくとも一部が、前記第2試薬カートリッジの形状の少なくとも一部と一致する。
【0031】
前記試薬カートリッジは、前記凍結乾燥された試薬の保持及び固定をサポートする少なくとも1つの構造を有することができる。この構造は、前記試薬カートリッジのウェルの内部に形成されることができ、突起形状を有することができる。前記突起構造は、前記開口部に形成されることができる。
【0032】
前記検出チャンバーは、該検出チャンバー内に前記試薬を保持する構造を有することができる。
【発明の効果】
【0033】
上記の通り、本発明の一実施例によれば、同時に小さい(正確に制御された)体積の凍結乾燥試薬ビーズを作るのに要される多くの努力無しに、また、固体状態の試薬ビーズを微細流動装置に注入する困難さ無しに、微細流動装置を製造することができる。また、微細流動装置よりも小さいサイズの試薬カートリッジに液状試薬を定量注入した後に凍結乾燥するから、定量の凍結乾燥された試薬が収容されている試薬カートリッジを大量に製造することができる。したがって、凍結乾燥された定量の試薬があらかじめ収容されている微細流動装置を大量に生産することができ、低い製造コスト及び高い互換性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
上記の及び/またはその他様態及び利点は、添付の図面と共に説明される下記の実施例の説明から明らかになり、より容易に理解できるであろう。添付の図面は下記の通りである:
【図1】本発明の実施例による微細流動装置を示す平面図である。
【図2】図1の微細流動装置の断面図で、本発明の一実施例による2層構造の微細流動装置を示す図である。
【図3】図1の微細流動装置の断面図で、本発明の他の実施例による3層構造の微細流動装置のこと例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例による、試薬を収容する試薬カートリッジを示す斜視図である。
【図5】バルブによって開放されるチャンネルを示す断面図である。
【図6】図1の微細流動装置を用いる分析機の概略構成図である。
【図7】本発明の他の実施例による、試薬を収容する試薬カートリッジを示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施例による微細流動装置の平面図で、ディスク状のプラットホームを備える場合を示す図である。
【図9】微細流動装置の他の実施例を示す平面図である。
【図10】本発明の他の実施例による微細流動装置を示す平面図で、遠心分離ユニットを備える場合を示す図である。
【図11】図10に示す微細流動装置を用いてマルチ−ステップ反応を含む検出動作を説明するための図である。
【図12】本発明の他の実施例による微細流動装置を示す平面図で、希釈液を供給するためのコンテナを備える場合を示す図である。
【図13】図12の微細流動装置を示す断面図である。
【図14】図12の微細流動装置を示す断面図である。
【図15】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図16】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図17】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図18】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図19】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図20】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図21】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図22】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図23】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図24】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【図25】試薬カートリッジを収納する装置の平面図及び試薬カートリッジの様々な構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施例を詳細に説明する。図面中、同一の構成要素には同一の参照番号を付する。ただし、本発明は、以下に説明される実施例に限定されものではなく、様々な形態に実施可能である。したがって、以下の実施例は、本発明の様態を図面を参照して説明する例示的なものに過ぎない。
【0036】
図1には、本発明の一実施例による微細流動装置100の平面図であり、図2及び図3は、本発明の2つの異なる実施例による、図1に示す微細流動装置100の断面図である。
【0037】
図1及び図2を参照すると、微細流動装置100は、流体を貯蔵するためのチャンバーと、流体が流れるチャンネルと、を備えるプラットホーム1を有する。プラットホーム1は、成形がしやすく、生物学的に非活性である、アクリル、PMMA(polymethyl methacrylate)、COC(cyclic olefin copolymer)などのプラスチック素材からなることができる。ただし、プラットホーム1の素材は、これに限定されるものではなく、化学的・生物学的安全性、光学的透明性そして機械的加工性を有する素材であればいずれも可能である。プラットホーム1は、図2に示すように、下板11と上板12とを含む2層構造とすることができる。また、プラットホーム1は、図3に示すように、下板11、上板12、及び下板11と上板12との間に配置される区画板13を含む3層構造とすることもできる。区画板13は、流体を収容可能な空間と流体が流れうるチャンネルを定義する。下板11、上板12、区画板13は、両面接着テープまたは接着剤を用いて互いに接合したり、超音波融着によって互いに接合したりすることができる。その他にも、プラットホーム1は様々な形態を有することができる。
【0038】
プラットホーム1内に配置された血液検査のための構造物についてより詳細に説明する。プラットホーム1には、試料チャンバー10が設けられる。試料チャンバー10は、試料、例えば、血液、血清などを収容する役割を果たす。希釈チャンバー20は、試料を、検査に必要な濃度に希釈するための希釈液を収容する役割を果たす。希釈液は、例えば、バッファー液またはDI(distilled water:蒸留水)とすることができる。検出チャンバー30は、希釈液と混合された試料を、試料中の特定(または、目標)成分と相互反応可能な試薬と接触させるチャンバーであり、この相互反応は、色変化検出を含む様々な方法により検出することができる。この検出チャンバー30は、試薬の収容される試薬カートリッジ200を備える。
【0039】
試料チャンバー10は希釈チャンバー20と流体連通可能に連結され、希釈チャンバー20は検出チャンバー30と流体連通可能に連結される。以下、チャンバー及び/またはチャンネル間の“連結”という用語は、これらのチャンバー及び/またはチャンネルが互いに流体連通することを意味し、流体の流れは、流路、例えば、チャンネル上に位置するバルブによって制御されることができる。例えば、バルブ51は、試料チャンバー10と希釈チャンバー20との間に配置されて、試料チャンバー10と希釈チャンバー20間の流体の流れを制御する。バルブ52は、希釈チャンバー20と検出チャンバー30との間に配置されて、希釈チャンバー20と検出チャンバー30間の流体の流れを制御する。プラットホーム1には、図面に示してはいないが、試料、希釈液、試薬などを注入するための注入口と、空気を排出するためのエアーベントが設けられることができる。
【0040】
図4は、本発明の一実施例による、試薬を収容する試薬カートリッジ200の斜視図である。図4を参照すると、試薬カートリッジ200は、第1端部231、第2端部233、及び第1端部231と第2端部233とを連結する側壁232からなるボディーを含む。この側壁は、図4に示すように、部分的な円筒形状を有することができる。第1端部の表面積及び第2端部の表面積を同一のものにしても良く(図4)、異なるものにしても良い(図15)。この試薬カートリッジの構造は特に限定されず、製造の容易性及び実現可能性によって決定すれば良い。
【0041】
試薬カートリッジ200のボディーは、試薬を収容する試薬収容部(または、試薬ウェル)201をさらに含む。開口部210は、側壁232に形成されて、試薬収容部201に収容された試薬に接近できるようにする。第1端部231、第2端部233及び側壁232はいずれも閉鎖されているので、試薬収容部201に収容された試薬は、図4に示す実施例の開口部210を通してのみ接近可能である。
【0042】
“試薬収容部”及び“試薬ウェル”という用語は、明細書全体を通じて同一の意味として混用する。試薬ウェル201は、様々な内部形状を有することができる。なお、試薬ウェル201は、その内部に収容される試薬の体積を表示するマーキング(marking)を有することができる。本発明の実施例において、試薬カートリッジ200は、チャンバー(試薬カートリッジ収納チャンバーまたは検出チャンバー)30に嵌着、挿着、または固着されることができる。チャンバー30内への試薬カートリッジの装着は、緩く(または、楽に)または固くすることができる。複数の試薬ハウジングチャンバーが提供され、これらのチャンバーのそれぞれが異なる試薬を収容する試薬カートリッジを有する場合、少なくとも1つ、例えば、これらのチャンバーのうち最後のチャンバーを、試料(試験成分及び試料に含有されていると予想される成分)と試薬との反応を検出するのに使用することができる。
【0043】
試薬ウェルは、その内部の凍結乾燥された固相試薬の保持をサポートする少なくとも1つの構造を有する。例えば、図22、図23、図24及び図25に示すように、試薬ウェルは、ウェル内で試薬が保持されるようにサポートする突起211a、211b、211cまたは211dを有する。突起の形態及び位置は、ウェル内の凍結乾燥された試薬の保持を向上させるものであれば、特に限定されることはない。
【0044】
検出チャンバー30には、後述する試料分析過程で光が照射され、プラットホーム1の少なくとも検出チャンバー30の位置している領域は、光を通過させうるような材料で形成される。試薬カートリッジ200を光を通過させうるような材料とすれば、試薬カートリッジ200を検出チャンバー30内に緩くまたは固く固定されるように製造することができる。試薬カートリッジ200は、図1に示すように、その投影面積を検出チャンバー30の投影面積よりも小さくすることができる。試薬カートリッジ200の投影面積が検出チャンバー30の投影面積よりも小さいと、検出チャンバー30の占めている領域のうち、試薬カートリッジ200の占めている領域以外の領域に光を照射することによって、より高い光透過率を得ることができ、より高精度の検出結果が得られる。試薬が光に敏感な試薬であれば、光に晒されないようにしなければならず、よって、試薬カートリッジ200は、光を通過させない材料で製造することができる。
【0045】
このため、図1に示すように、検出チャンバー30には、試薬カートリッジ200を収納する装着部31と、試薬と試料中の目標成分との反応を検出するための検出部32が設けられる。検出チャンバー30の少なくとも検出部32に該当する領域は、光を通過させる領域である。試薬カートリッジ200を装着部31に装着する際に、開口部210を検出チャンバーの検出部32に対面させることができる。また、試薬カートリッジ200を、開口部210が検出チャンバー30に流入する流体の通路、すなわち、バルブ52に対向するようにして装着することができる。したがって、希釈液と混合された試料を希釈チャンバー(図1の20)から検出チャンバーに取り込まれると、試料は、検出チャンバー(図1の30)に収納された試薬カートリッジ200中の凍結乾燥された試薬と接触して溶解させる。
【0046】
検出チャンバーは、このチャンバー内で試薬カートリッジが自由に動くことを防止する構造を有することができる。例えば、図17に示すように、検出チャンバー30は、試薬カートリッジ200aが元の収納位置から移動することを防止するように湾入部301を有することができる。図18は、このような検出チャンバーを有する微細流動装置の平面図である。図19は、このような構造の他の実施例であって、検出チャンバー30がその内壁内に突起302を備えて、試薬カートリッジの固定を確実にする構造を示している。図20は、このような図19の実施例を示す平面図である。図17乃至図20では特定の構造を示したが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
バルブ51,52には、様々な形態の微細流動バルブを用いることができる。バルブは、微細流動構造内における流体の移動速度によって開閉されるバルブとすることができる。言い換えると、流体の流れにより発生する圧力が一定レベル以上になると、受動的に開放されるバルブとすることができる。例えば、このようなバルブの例には、微細チャンネル構造を用いる毛細管バルブ、サイフォンバルブ、表面を疏水性処理した疏水性バルブ(hydrophobic valve)等がある。このようなバルブは、微細流動装置の回転速度によって制御することができる。すなわち、微細流動装置の回転速度が増加すると、微細流動構造内の流体にかかる圧力が増加し、この圧力が一定レベル以上になると、バルブが開放されて流体が流れることとなる。
【0048】
また、バルブ51,52は、作動信号によって外部から動力を受けて能動的に作動するバルブとすることもできる。本実施例では、バルブ物質が外部のソースから照射される電磁気波エネルギーを吸収して作動するバルブ51,52を採用する。バルブ51,52は、電磁気波エネルギーを吸収する前には流体の流れを遮断する、“通常閉バルブ(normally closed valve)”とも呼ばれる。
【0049】
バルブ物質には、COC(cyclic olefin copolymer)、PMMA(polymethyl methacrylate)、PC(polycarbonate)、PS(polystyrene)、POM(polyoxymethylene)、PFA(perfluoralkoxy)、PVC(polyvinylchloride)、PP(polypropylene)、PET(polyethylene terephthalate)、PEEK(polyetheretherketone)、PA(polyamide)、PSU(polysulfone)、またはPVDF(polyvinylidene fluoride)のような熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0050】
また、バルブ物質として、常温で固体状態である相転移物質を採用することができる。相転移物質は、チャンネルに溶融された状態で注入され、凝固されることで流体の流れを遮断する。相転移物質はワックス(wax)とすることができる。ワックスには、加熱によって溶融して液体状態に変わり、体積膨脹する。ワックスには、例えば、パラフィンワックス(paraffin wax)、微結晶ワックス(microcrystalline wax)、合成ワックス(synthetic wax)、または天然ワックス(natural wax)などを用いることができる。相転移物質には、ゲル(gel)または熱可塑性樹脂を用いることもできる。ゲルには、ポリアクリルアミド(polyacryl amide)、ポリアクリレート(polyacrylates)、ポリメタクリレート(polymethacrylates)、またはポリビニルアミド(polyvinylamides)などを用いることができる。
【0051】
相転移物質には、電磁気波エネルギーを吸収して発熱する多数の微細発熱粒子を分散することができる。微細発熱粒子は略0.1mmの深さと1mmの幅を有する微細な流体通路を自由に通過できるように、1nm乃至100μmの直径を有する。微細発熱粒子は、例えば、レーザー光などによって電磁気波エネルギーが供給されると温度が急に上昇して発熱する性質を有し、ワックスに均一に分散される性質を有する。このような性質を有する微細発熱粒子はそれぞれ、金属成分を含むコア(core)と、疏水性のシェル(shell)とを有することができる。例えば、各微細発熱粒子は、Feからなるコアと、このコアを包囲するシェル層と、を含むことができる。このシェル層は、分子がFeに結合されてFeを包む界面活性成分(surfactant)からなることができる。これら微細発熱粒子は、キャリアオイル(carrier oil)に分散された状態で保管することができる。疏水性表面構造を有する微細発熱粒子が均一に分散可能なように、キャリアオイルも疏水性を有することができる。溶融された相転移物質に、微細発熱粒子の分散されているキャリアオイルを混合し、この混合物質をチャンバーの間に注入して凝固させることによって、チャンバー同士間の流体の流れを遮断することができる。
【0052】
微細発熱粒子は上述した重合体(polymer)粒子に限定されるものではなく、量子ドット(quantum dot)または磁性ビーズ(magnetic bead)の形態も可能である。また、微細発熱粒子は、例えば、Al、TiO、Ta、Fe、Feまたは、HfOのような微細粒子の金属酸化物とすることができる。一方、バルブ51,52は、微細発熱粒子を必ずしも含むわけではなく、微細発熱粒子無しで相転移物質のみからなっても良い。外部ソースから投射された電磁気波がバルブ51,52に当たるように、バルブ51,52に該当するプラットホーム1の部分は透明にする。
【0053】
微細流体の分析において、凍結乾燥された固相の試薬を検出チャンバー30に定量注入することは容易でない。これは、凍結乾燥によって試薬を均一な大きさのビーズの形態にすることが困難なためである。たとえ、凍結乾燥によって試薬を同一大きさのビーズ形態に製造したとしても、凍結乾燥された試薬ビーズがくずれることがある。また、試薬ビーズを検出チャンバー30に注入する過程で試薬が湿気に晒されて試薬の性能が低下することもある。このような点から、本実施例では、単位使用量の試薬を試薬カートリッジ200のウェルに収容した後にそれを凍結乾燥する。これによって、凍結乾燥された試薬は、固相ケーキの形状を有するとともに水分を含有することができる。単位使用量の凍結乾燥された固相試薬を収容した試薬カートリッジ200を、微細流動装置内に装着することができる。試薬が試薬カートリッジのウェル内に現場(in-situ)凍結乾燥されるので、固相の凍結乾燥された試薬の少なくとも一部形状が、試薬カートリッジ200の内部形状の一部、特に、少なくとも試薬ウェル201の内部形状の一部に相応するようになる。試薬の現場凍結乾燥方式を以下に詳細に説明する。
【0054】
まず、試薬カートリッジ200の試薬ウェル201に液状試薬を注入する。試薬ウェル201に注入される試薬の体積を小さくするために、液状試薬は、分析試験に適合する濃度や力価よりも高くすることができる。
【0055】
血液検査のための試薬は、例えば、血清(serum)、AST(aspartate aminotransferase)、ALB(Albumin)、ALP(Alkaline Phosphatase)、ALT(alanine aminotransferase)、AMY(Amylase)、BUN(Blood Urea Nitrogen)、Ca++(calcium)、CHOL(Total Cholesterol)、CK(Creatine Kinase)、Cl(Chloide)、CREA(Creatinine)、D−BIL(Direct Bilirubin)、GGT(Gamma Glutamyl Transferase)、GLU(Glucose)、HDL(High-Density Lipoprotein cholesterol)、K(Potassium)、LDH(Lactate Dehydrogenase)、LDL(Low-Density Lipoprotein cholesterol)、Mg(Magnesium)、PHOS(Phosphorus)、Na(Sodium)、TCO(Total Carbon Dioxide)、T−BIL(Total Bilirubin)、TRIG(Triglycerides)、UA(Uric Acid)、TP(Total Protein)を検査するための試薬とすることができる。これに限定されず、本発明の微細流動装置は、人体または生物体から採取可能な種々の検査物質を分析するのに用いることもできる。
【0056】
液状試薬には添加剤を添加することができる。例えば、凍結乾燥された試薬の分散性を向上させるために、該試薬が希釈液に混合された試料と接触する時、凍結乾燥された試薬に多孔性を付与したり、この試薬の多孔性を増加させるフィラーを使用することができる。これにより、試料希釈液(すなわち、希釈液に混合された試料)が検出チャンバー30に投入された時に、凍結乾燥された試薬はよく溶解される。例えば、フィラーは、BSA(bovine serum albumin)、PEG(polyethylene glycol)、デキストラン(dextran)、マンニトール(mannitol)、ポリアルコール(polyalcohol)、ミオ−イノシトール(myo-inositol)、クエン酸(citric acid)、EDTA2Na(ethylene diamine tetra acetic acid disodium salt)、BRIJ−35(polyoxyethylene glycol dodecyl ether)から選択された少なくとも1つを含むことができる。このフィラーの種類と量は、試薬の種類にしたがって別々にすることができる。
【0057】
液状試薬には界面活性剤(surfactant)を添加することができる。例えば、界面活性剤は、ポリオキシエチレン(polyoxyethylene)、ラウリルエーテル(lauryl ether)、オクトキシノール(octoxynol)、ポリエチレンアルキルアルコール(polyethylene alkyl alcohol)、ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル(nonylphenol polyethylene glycol ether)、エチレンオキサイド(ethylene oxide)、エトキシ化トリデシルアルコール(ethoxylated tridecyl alcohol)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルフォスファートナトリウム塩(polyoxyethylene nonylphenyl ether phosphate sodium salt)、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate)から選択された1つ以上を含むことができる。この界面活性剤の量と種類は、試薬の種類にしたがって別々にすることができる。
【0058】
上記の通り、液状の試薬が注入されている複数の試薬カートリッジ200を凍結乾燥器に入れ、凍結乾燥プログラムによる適切な方法を行う。この時、試薬の量や種類を容易に識別できるように、試薬の種類別に異なる色の試薬カートリッジ200を使用したり、または、試薬カートリッジ200にマーカー、バーコードなど、試薬の種類を識別できるような識別表示を付加したりすることもできる。
【0059】
凍結乾燥プログラムは、液状試薬の量や種類にしたがって別々に設定することができる。凍結乾燥とは、凍結過程によって物質に含まれた水分を凍結させた後に、凍結された水分を除去する乾燥のことを意味する。一般に、乾燥過程には、凍結された水分が直接水蒸気に化する昇華を用いるが、乾燥の全体過程を通じて必ずしも昇華を用いる必要はなく、一部分でのみ昇華を用いても良い。昇華のために乾燥過程の圧力を水の3重点(6mbarまたは4.6Torr)以下に下げることはできるが、常に一定の圧力を保持する必要があるわけではない。乾燥過程において、温度は変わることができ、例えば、凍結が完了した後に、温度を徐々に増加させることができる。
【0060】
上記の過程によって、その形状の少なくとも一部が、試薬カートリッジ200の形状の少なくとも一部、厳密には試薬ウェル201の内部形状の少なくとも一部に相応する凍結乾燥された固相試薬を製造することができる。凍結乾燥時に、試薬カートリッジ200は試薬ウェル201の開口部210が上方に向くように凍結乾燥器に収容され、よって、凍結乾燥された試薬の形状は、開口部(図4の210)の反対側の試薬ウェル201の一部形状に相応することができる。
【0061】
上記の通り、液状の試薬を試薬カートリッジ200に注入するから、試薬の量を正確に調節することができる。また、液状試薬を試薬カートリッジ200に注入した状態で凍結乾燥するから、同じ検査対象物質を分析するための凍結乾燥された試薬が収容されている試薬カートリッジ200を大量に製造することができる。
【0062】
ここで、試薬の“単位使用量”という用語は、1回の試験に使われる試薬の量を意味するもので、単位使用量の試薬を収容する試薬カートリッジが分析のために微細流動装置に装着された後に、希釈液と希釈されたまたは希釈されない状態で所望のまたは要求される量及び濃度の試薬を生成する。
【0063】
上記の過程によって製造された単位使用量の凍結乾燥された試薬が収容されている試薬カートリッジ200は、下板11に設けられた検出チャンバー30または下板11及び区画板13によって定義される検出チャンバー30の装着部31に装着される。その後、上板12を下板11または区画板13と接合することで、本発明の一実施例による微細流動装置の製造が完了する。検出チャンバー30に装着された試薬カートリッジ200を固定させるために、試薬カートリッジ200を検出チャンバー30に接着させることもでき、締まりばめ(interference fitting)することもできる。それ以外にも、試薬カートリッジ200を固定させるための様々な方法を用いることができる。
【0064】
図6は、図1の微細流動装置100を用いる分析機の概略構成図である。図6を参照すると、回転駆動部510は、微細流動装置100を回転させ、遠心力によって試料、希釈液及び試薬を混合する。また、回転駆動部510は、検出チャンバー30を検出器520と対面させるために、微細流動装置100を所定位置に移動させる。回転駆動部510は、図面に完全に示してはいないが、微細流動装置100の角位置(angular position)を制御できるモータードライブ(motor drive)装置(図示せず)を含むことができる。例えば、モータードライブ装置は、ステップモーターにすることもでき、直流モーターにすることもできる。検出器520は、例えば、検出しようとする物質の蛍光、発光特性及び/または吸光特性などの光学的特性を検出する。電磁気波発生器530は、バルブ51,52を作動させる役割を果たすもので、例えば、レーザー光を照射する。
【0065】
試料分析は次のような方法で行うことができる。微細流動装置100の希釈チャンバー20にバッファー液または蒸留水などの希釈液を注入し、試料チャンバー10に被検者から採取した血液またはこの血液から分離された血清などの試料を注入する。
【0066】
その後、微細流動装置100を、図6に示すような分析機に装着する。回転駆動部510に直接装着することができないチップタイプの微細流動装置100であれば、アダプター540に微細流動装置100を装着し、アダプター540を回転駆動部510に装着することができる。この場合、流体は、試料チャンバー10側から検出チャンバー30側へと流れなければならず、よって、アダプター540の回転中心を基準にして、試料チャンバー10が内側に位置し、検出チャンバー30は外側に位置するように微細流動装置100を装着することが好ましい。回転駆動部510は、微細流動装置100を回転させて、バルブ51を電磁気波発生器530と対面させる。電磁気波がバルブ51に照射されると、電磁気波エネルギーによってバルブ51を構成するバルブ物質が溶融されながら、図5に示すように、試料チャンバー10と希釈チャンバー20間のチャンネルが開放される。試料は、遠心力によって希釈チャンバー20に流入する。回転駆動部510は、微細流動装置100を左右に往復運動させて試料と希釈液とを混合することで、試料希釈液を形成する。明細書において“試料希釈液”は試料と希釈液との混合物を指す用語として用いる。その後、同様に、電磁気波をバルブ52に照射して希釈チャンバー20と検出チャンバー30間のチャンネルを開放し、試料希釈液を検出チャンバー30に供給する。すると、試薬カートリッジ200に収容されている凍結乾燥された試薬が試料希釈液と混合して溶解される。凍結乾燥された試薬を試料希釈液と混合して溶解させるために、回転駆動部510は、微細流動装置100を繰り返して左右に往復運動させることができる。これによって、検出チャンバー30内には試薬混合物が形成される。
【0067】
その後、検出チャンバー30、好ましくは検出部32を検出器520と対面させて、検出しようとする物質が検出チャンバー30内の試薬混合物に存在するか否かを確認し、この物質の量を検出することによって、試料分析を完了する。
【0068】
試薬が、所望の反応のために共用可能な2つ以上の試薬の混合物である場合もありうる。酵素と気質の場合のように、このような共用が試薬の活性を低下または変性させるとすれば、試料希釈液が検出チャンバーでそれらの試薬と接触されるようにするとき、2つ以上のウェルを有する試薬カートリッジを、共に混合されるそれらの試薬を収容するために使用することができる。このような試薬の例には、例えば、ALP(Alkaline Aminotransferese)、ALT(alanine aminotransferase)、HDL(High-Density Lipoprotein cholesterol)、LDL(Low-Density Lipoprotein cholesterol)などを検出するための試薬がある。特に、ALPを検出するための試薬を取り上げると、気質であるPNPP(p-nirophenolphosphate)は、pH10以上では不安定であり、反応系で必須とされる緩衝液であるAMP(aminomethanpropanol)及びDEA(diethanolamin)は、pH11〜11.5を有するので、気質と緩衝液を分離して凍結乾燥して貯蔵しなければならない。
【0069】
AMYを検出するための試薬の場合、塩化ナトリウム(NaCl)が使用される。ところが、NaClは潮解性が強くてよく凍結乾燥されないし、たとえ凍結乾燥されたとしても直ちに湿気を含有するから、形状の歪み、力価の低下がおきるので、NaClを気質から分離する必要がある。
【0070】
そこで、図7に示すように、試薬カートリッジ200aは、2つの試薬収容部201,202を備える。2つの試薬収容部201,202に、分離して凍結乾燥されなければならない液状の試薬1及び試薬2を分離して注入し、上述の凍結乾燥過程を行う。これによって、試薬収容部201,202にそれぞれ凍結乾燥された試薬1及び試薬2の収容されている試薬カートリッジ200aが製造される。図7には2つのウェルを有する試薬カートリッジを示したが、本発明はこれに限定されず、3つ以上のウェルを有する試薬カートリッジを構成することもできる。
【0071】
図7を参照すると、試薬カートリッジ200aは、第1端部231、第2端部233、第1端部231と第2端部233とを連結する側壁232、及び開口部210を備えて試薬ウェル201,202を形成することができる。この側壁は、図7に示すように、部分的な円筒形状を有することができる。第1端部の表面積及び第2端部の表面積は同一なものにしてもよく(図7)、異なるものにしても良い(図16)。この試薬カートリッジの構造は限定されず、製造の容易性及び実現可能性によって決定することができる。
【0072】
図8は、本発明の他の実施例による微細流動装置102bの平面図で、ディスク状のプラットホームを備える。図8を参照すると、本実施例の微細流動装置102bは、ディスク形態を有し、回転駆動部510に直接装着することができる。図8には、微細流動装置102bの一部のみを示したが、プラットホーム1は、円盤状のものである。プラットホーム1は、図2に示すような2層構造または図3に示すような3層構造とすることができる。
【0073】
プラットホーム1には、試料チャンバー10、希釈チャンバー20、及び検出チャンバー30が設けられる。検出チャンバー30は、試料チャンバー10及び希釈チャンバー20に比べて、プラットホーム1の回転中心から遠い位置に位置する。試料チャンバー10と希釈チャンバー20との間及び希釈チャンバー20と検出チャンバー30との間にはそれぞれバルブ51,52が設けられる。検出チャンバー30の装着部31には、凍結乾燥された試薬の収容されている試薬カートリッジ200(図4参照)または凍結乾燥された試薬の収容されている試薬カートリッジ200a(図7参照)が装着される。
【0074】
図9は、図8に示す微細流動装置102bの変形例を示す平面図である。図9に示す微細流動装置102aにおいて、試料チャンバー10と希釈チャンバー20が検出チャンバー30に連結される。試料チャンバー10と検出チャンバー30との間及び希釈チャンバー20と検出チャンバー30との間にはそれぞれバルブ51,52が設けられる。検出チャンバー30の装着部31には、凍結乾燥された試薬の収容されている試薬カートリッジ200(図4参照)または凍結乾燥された試薬の収容されている試薬カートリッジ200a(図7参照)が装着される。
【0075】
試料分析は次のような方法で行うことができる。微細流動装置102aまたは102bの希釈チャンバー20に、バッファー液または蒸留水などの液状の希釈液を注入する。試料チャンバー10には、被検者から採取した血液またはこの血液から分離した血清などの試料を注入する。試料はこれに限定されない。
【0076】
その後、微細流動装置102aまたは102bを、図6に示すような分析機の回転駆動部510に装着する。回転駆動部510は、微細流動装置102aまたは102bを回転させる。
【0077】
続いて、回転駆動部510は、バルブ51,52をそれぞれ電磁気波発生器530と対面するように回転させる。電磁気波がバルブ51,52に照射されると、電磁気波エネルギーによって、バルブ51,52を構成するバルブ物質が溶融される。微細流動装置102aまたは102bが回転すると、遠心力によって試料と希釈液は検出チャンバー30に流入する。試薬カートリッジ200または200aに収容されている凍結乾燥された試薬は、試料と希釈液とが混合された試料希釈液と混合して溶ける。その後、検出チャンバー30、厳密には検出部32を検出器520と対面するように移動させ、検出しようとする物質が検出チャンバー30内の試薬混合物に存在するか否かを確認し、この物質の量を確認することによって、試料分析を完了する。
【0078】
図10には、本発明のさらに他の実施例による微細流動装置の平面図で、遠心分離ユニットを備える。図10を参照すると、本実施例の微細流動装置103はディスク形態を有し、分析機の回転駆動部510(図6参照)に直接装着することができる。微細流動装置103は、試料を上澄み液と沈降物とに分離するための遠心分離ユニット70を備える。例えば、試料として全血(whole blood)が注入されると、遠心分離ユニット70によって血清(上澄み液)と沈降物とに分離される。プラットホーム1は円盤状を有する。プラットホーム1は、図2に示すような2層構造または図3に示すような3層構造とすることができる。
【0079】
プラットホーム1の中心に近い側を内側(“半径方向内側”とも称する)とし、中心から遠い側を外側(“半径方向外側”とも称する)とする。試料チャンバー10は、微細流動装置103を形成するいかなる他の要素よりも、プラットホーム1の内側に配置される。遠心分離ユニット70は、試料チャンバー10の半径方向外側に位置する遠心分離部71と、遠心分離部71の末端には位置する沈降物収集部72と、を備える。試料を遠心分離すると、上澄み液は試料チャンバー10に残されたり遠心分離部71で流入したりし、質量の大きい沈降物は沈降物収集部72で流入する。
【0080】
希釈チャンバー20には希釈液が収容される。遠心分離部71及び希釈チャンバー20は混合チャンバー80に連結される。遠心分離部71と混合チャンバー80との間及び希釈チャンバー20と混合チャンバー80との間にはバルブ51,52がそれぞれ設けられる。
【0081】
プラットホーム1の周方向に沿って複数の検出チャンバー30が設けられる。混合チャンバー80は、チャンネル45を介して複数の検出チャンバー30に連結される。チャンネル45にはバルブ55が設けられる。バルブ55は、バルブ51,52と同じ物質から形成されることができる。それぞれの検出チャンバー30の装着部31には、凍結乾燥された試薬の収容されている試薬カートリッジ200または200aが装着される。この場合、試薬カートリッジ200または200aには、それぞれ異なる試薬を収容することもでき、同一試薬を収容することもできる。
【0082】
図10及び図12は、複数の試薬カートリッジが試料希釈液を分配する共通チャンネルに並列連結されるように整列された場合を示しているが、複数の試薬カートリッジは、図21に示すように、一側から他側へと直列に連結さることもできる。このような配列は、目標成分検出において多重反応を必要とする場合に有利である。
【0083】
試料分析は次のような方法で行うことができる。微細流動装置103の希釈チャンバー20にバッファー液または蒸留水などの液状の希釈液を注入する。試料チャンバー10に被検者から採取した血液及びこの血液から分離した血清などの試料を注入する。
【0084】
その後、微細流動装置103を図6に示すような分析機の回転駆動部510に装着する。回転駆動部110は、微細流動装置103を回転させる。すると、試料チャンバー10に収容された試料は、遠心力によって、上澄み液は試料チャンバー10に残されたり遠心分離部71で流入し、相対的に質量の大きい沈降物は沈降物収集部72に流入する。
【0085】
続いて、回転駆動部510は、バルブ51,52をそれぞれ電磁気波発生器530と対面するように移動させる。電磁気波がバルブ51,52に照射されると、電磁気波エネルギーによって、バルブ51,52を構成するバルブ物質が溶融される。微細流動装置103が回転すると、遠心力によって試料と希釈液は混合チャンバー80に流入する。これによって、混合チャンバー80には試料と希釈液とが混合された試料希釈液が形成される。試料と希釈液とを混合するために、回転駆動部510は微細流動装置103を繰り返して左右に往復運動させることができる。
【0086】
続いて、回転駆動部510は、バルブ55を電磁気波発生器530と対面するように移動させる。電磁気波がバルブ55に照射されると、電磁気波エネルギーによって、バルブ55を構成するバルブ物質が溶融されながらチャンネル45が開放される。微細流動装置103が回転すると、遠心力によって試料希釈液はチャンネル45を通して検出チャンバー30に流入する。凍結乾燥された試薬は、試料希釈液と混合して溶解され、これで試薬混合物が形成される。凍結乾燥された試薬を溶解させるために、回転駆動部510は微細流動装置103を繰り返して左右に往復運動させることができる。
【0087】
その後、検出チャンバー30を検出器520と対面するように移動させ、検出しようとする物質が検出チャンバー30内の試薬混合物に存在するか否かを確認し、この検出物質の量を測定することで、試料分析を完了する。
【0088】
図10に示す微細流動装置103を用いて2−ステップの反応を必要とする検出過程、例えば、試料からHDLを検出する過程について説明する。この場合、図11に示すように、試薬1の収容されている第1試薬カートリッジ200または200aが第1検出チャンバー33に装着される。第2検出チャンバー34には、試薬1及び試薬2の収容されている第2試薬カートリッジ200aが装着される。試薬1と試薬2の構成は、下記の通りである。
【0089】
<試薬1>
PIPES(Piperazine-1,4-bis(2-ethanesulfonic acid)):30 MMOL/L
4-AAP(4-aminoantipyrine):0.9 MMOL/L
POD(peroxidese):240 U/L
ASOD(ascorbic oxidase):2700 U/L
Anti human b-lipoprotein antibody
<試薬2>
PIPES(Piperazine-1,4-bis(2-ethanesulfonic acid)):30 MMOL/L
CHE(cholesterol esterase):4000 U/L
COD(cholesterol oxidase):20000 U/L
H-DASO(N-(2-hydrox-3sulfopropyl)-3.5-dimethoxyaniline):0.8 MMOL/L
第1検出チャンバー33では、試薬1と試料希釈液とが混合され、約37℃で5分間放置される。その結果、HDL、LDL、VLDL(very low density lipoprotein)、カイロミクロン(chylomicron)は可溶性HDLにされ、可溶性HDLは、コレステロールと過酸化水素とに分解される。過酸化水素は、水と酸素とに分解される。
【0090】
第2検出チャンバー34では、試薬1、試薬2及び試料希釈液が混合され、約37℃で5分間放置される。その結果、HDL、LDL、VLDL、カイロミクロンは試薬1による酵素反応によって可溶性HDLとされ、可溶性HDLはコレステノン(cholestenone)と過酸化水素とに分解される。過酸化水素は、水と酸素とに分解される。残されたHDLは試薬2との酵素反応によって色素を形成する。検出器520(図6参照)を用いて第1及び第2検出チャンバー33,34に光を照射し、これらチャンバーの吸光度を測定する。
【0091】
上記の2段階の吸光度の測定結果から、HDLの有無を確認し、HDLの量を測定することができる。
【0092】
図12は、本発明のさらに他の実施例による微細流動装置104の平面図で、希釈液を収容するコンテナ90を含む。図13及び図14は、図12に示す微細流動装置104の断面図である。本実施例の微細流動装置104は、プラットホーム1に、希釈液を収容するコンテナ90が結合され、このコンテナ90がチャンネル43を介して希釈チャンバー20と連結されている以外は、図10に示す微細流動装置103と略同様に構成される。チャンネル43にはバルブ53を設けることができる。バルブ53は、上記のバルブ51,52と同じバルブ物質からなることができる。ただし、実施例によっては、膜95によって希釈液の流れが制御されることもできるので、チャンネル43にバルブ53を設けなくても良い。
【0093】
図12、図13及び図14を参照すると、プラットホーム1は、上板12と、この上板12に結合する下板11と、を含む。コンテナ90は、希釈液を収容することのできる収容空間91を備える。コンテナ90は、例えば、熱可塑性樹脂を射出成形して製造することができ、プラットホーム1に固定される。収容空間91は、膜(membrane)95により封止される。コンテナ90を転倒して収容空間91に希釈液を充填し、膜95をコンテナ90の開口部93に接着することで希釈液の漏れを防止する。コンテナ90の内部に、希釈液を収容し、破裂可能に封止された流体パウチ(pouch)を備えることもできる。
【0094】
膜95は、コンテナ90からチャンネル43への希釈液の流れを制御する制御手段の一例であって、収容空間91に収容された希釈液の漏れを防止し、外部から供給されるエネルギー、例えば、レーザー光のような電磁気波のエネルギーによって破裂または溶融されることができる。
【0095】
例えば、膜95は、薄膜と、該薄膜上に形成された電磁気波吸収層とを含むことができる。電磁気波吸収層は、電磁気波吸収物質を塗布して形成する。電磁気波吸収層によって膜95は外部から投射される電磁気波を吸収して破裂または溶融される。薄膜は、電磁気波照射により破裂または溶融可能なものであれば、金属の他に、ポリマー(polymer)等のいかなる素材を採用しても良い。コンテナ90の外部から投射された電磁気波がコンテナ90を通過して膜95に照射されるように、コンテナ90の少なくとも一部を透明にする。
【0096】
微細流動装置104を、図6に示す分析機の回転駆動部510に装着し、電磁気波発生器530(図6参照)を用いて電磁気波を膜95に一定時間照射すると、図14に示すように膜95が破裂または溶融される。
【0097】
次に、電磁気波発生器530(図6参照)を用いてバルブ53に電磁気波を照射すると、バルブ53を構成するバルブ物質が溶融されてチャンネル43が開放される。収容空間91に収容されている希釈液は、チャンネル43を通過して希釈チャンバー20に移動して収容される。以降、分析過程は、図10の微細流動装置103を用いた分析過程と同一に行われる。
【0098】
以上、本発明の様態を異なる実施例を参照して具体的に図示及び説明したが、これらの実施例は単に説明的なもので、限定的なものとして解釈してはならない。各実施例における特徴または様態の説明は、一般に、他の実施例においてその他類似の特徴または様態にも利用可能なものとして考慮しなければならない。
【0099】
以上では本発明の好適な実施例について説明してきたが、当該技術分野における通常の知識を有する者にとっては、本発明の原理と精神を逸脱しない限度内で、それら実施例に対する様々な変形が可能であるということは明らかであり、したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により定められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を収容するチャンバーを含むプラットホームと、
前記プラットホームに装着され、閉鎖された第1端部、閉鎖された第2端部、前記第1端部と前記第2端部とを連結する側壁、前記側壁に形成された開口部、及び前記流体に含有されている物質を検出するための固相試薬を収容するウェルを含む試薬カートリッジと、
を含む微細流動装置。
【請求項2】
前記固相試薬は、凍結乾燥された固相試薬である、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項3】
凍結乾燥された同一のまたは異なる試薬がそれぞれ収容される2つ以上の試薬カートリッジを含む、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項4】
前記試薬カートリッジは、異なる試薬をそれぞれ収容する複数の試薬ウェルを含む、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項5】
前記プラットホームは、前記試薬カートリッジが装着される1つ以上の検出チャンバーを含む、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項6】
前記検出チャンバーの少なくとも一部は透明物質からなり、前記検出チャンバーの少なくとも一部は、前記試薬カートリッジが収納されない部分である、請求項5に記載の微細流動装置。
【請求項7】
前記試薬カートリッジは、前記開口部が前記検出チャンバーに流れる流体と対面するように前記検出チャンバーに装着される、請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項8】
前記プラットホームは、
前記試料を収容するための試料チャンバーと、
希釈液を収容するための希釈チャンバーと、
前記試薬カートリッジを収容するための検出チャンバーと、
前記チャンバー間の少なくとも一地点に位置し、前記流体の流れを制御するバルブと、
を含む、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項9】
前記バルブは、前記流体の圧力によって制御される、請求項8に記載の微細流動装置。
【請求項10】
前記圧力は、前記微細流動装置が回転する際に発生する、請求項9に記載の微細流動装置。
【請求項11】
前記バルブは、電磁気波エネルギーによって開放されるバルブ物質から形成される、請求項8に記載の微細流動装置。
【請求項12】
前記バルブ物質は、電磁気波エネルギーによって相か変化する相転移物質または熱可塑性樹脂から選択される、請求項11に記載の微細流動装置。
【請求項13】
前記バルブ物質は、前記相転移物質に分散され、電磁気波のエネルギーを吸収して発熱する微細発熱粒子を含む、請求項11に記載の微細流動装置。
【請求項14】
前記プラットホームに結合され、前記希釈液を前記希釈チャンバーに供給するコンテナをさらに含む、請求項8に記載の微細流動装置。
【請求項15】
前記固相試薬は、血清(serum)、AST(aspartate aminotransferase)、ALB(Albumin)、ALP(Alkaline Aminotransferese)、ALT(alanine aminotransferase)、AMY(Amylase)、BUN(Blood Urea Nitrogen)、Ca++(calcium)、CHOL(Total Cholesterol)、CK(Creatine Kinase)、Cl(Chloide)、CREA(Creatinine)、D−BIL(Direct Bilirubin)、GGT(Gamma Glutamyl Transferase)、GLU(Glucose)、HDL(High-Density Lipoprotein cholesterol)、K(Potassium)、LDH(Lactate Dehydrogenase)、LDL(Low-Density Lipoprotein cholesterol)、Mg(Magnesium)、PHOS(Phosphorus)、Na(Sodium)、TCO(Total Carbon Dioxide)、T−BIL(Total Bilirubin)、TRIG(Triglycerides)、UA(Uric Acid)、TP(Total Protein)を検査するための試薬からなる群より選ばれる1つ以上の試薬を含む、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項16】
前記固相試薬は、添加剤を含む、請求項15に記載の微細流動装置。
【請求項17】
前記添加剤は、BSA(bovine serum albumin)、PEG(polyethylene glycol)、デキストラン(dextran)、マンニトール(mannitol)、ポリアルコール(polyalcohol)、ミオ−イノシトール(myo-inositol)、クエン酸(citric acid)、EDTA2Na(ethylene diamine tetra acetic acid disodium salt)、BRIJ−35(polyoxyethylene glycol dodecyl ether)からなる群より選ばれる1つ以上の物質を含むフィラーである、請求項16に記載の微細流動装置。
【請求項18】
前記添加剤は、ポリオキシエチレン(polyoxyethylene)、ラウリルエーテル(lauryl ether)、オクトキシノール(octoxynol)、ポリエチレンアルキルアルコール(polyethylene alkyl alcohol)、ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル(nonylphenol polyethylene glycol ether)、エチレンオキサイド(ethylene oxide)、エトキシ化トリデシルアルコール(ethoxylated tridecyl alcohol)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルフォスファートナトリウム塩(polyoxyethylene nonylphenyl ether phosphate sodium salt)、及びドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate)からなる群より選ばれる1つ以上の物質を含む界面活性剤である、請求項16に記載の微細流動装置。
【請求項19】
前記固相試薬の形状の少なくとも一部が、前記試薬カートリッジのウェルの内部形状の少なくとも一部に相応する、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項20】
前記検出チャンバーは、前記試薬カートリッジが前記検出チャンバー内で自由に動くことを防止するための構造を含む、請求項8に記載の微細流動装置。
【請求項21】
前記試薬カートリッジのウェルは、前記試薬カートリッジ内の前記固相試薬の保持力を増大させる構造を含む、請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項22】
チャンバー及びチャンネルを含むプラットホームと、
前記チャンバーのうち少なくとも1つに収容され、閉鎖された第1端部、閉鎖された第2端部、前記第1端部と前記第2端部とを連結する側壁、及び前記側壁に形成されてウェルを形成する開口部を含む試薬カートリッジと、
前記試薬カートリッジのウェル内に収容される可溶性の固相試薬と、
を含む微細流動装置。
【請求項23】
前記試薬カートリッジは、前記チャンバー内に固定される、請求項22に記載の微細流動装置。
【請求項24】
前記微細流動装置は、第1試薬カートリッジを収納する第1チャンバー、及び前記第2試薬カートリッジを収納する第2チャンバーを含み、
前記第1試薬カートリッジは第1試薬を収容し、
前記第2試薬カートリッジは第2試薬を収容し、
前記第1試薬及び第2試薬は、互いに同一のものであるかまたは異なるものである、請求項22に記載の微細流動装置。
【請求項25】
前記第1試薬及び前記第2試薬は互いに異なるものであり、
前記第1チャンバーは、前記第1試薬カートリッジに収容される前記第1試薬と接触する流体を取り込んで第1反応混合物を形成し、前記第2チャンバーは、前記第2試薬カートリッジに収容される前記第2試薬と接触する前記第1反応混合物を取り込んで第2反応混合物を形成する、請求項24に記載の微細流動装置。
【請求項26】
前記試薬カートリッジは、試薬をそれぞれ収容する少なくとも2つのウェルを含む、請求項22に記載の微細流動装置。
【請求項27】
前記試薬カートリッジのウェルは、前記試薬カートリッジに収容された試薬を保持する構造を含む、請求項22に記載の微細流動装置。
【請求項28】
前記構造は、前記ウェルの内部に形成された少なくとも1つの突起である、請求項27に記載の微細流動装置。
【請求項29】
前記チャンバーは、前記チャンバー内の試薬カートリッジを保持する湾入部を有する、請求項22に記載の微細流動装置。
【請求項30】
前記チャンバーは、前記チャンバー内で試薬カートリッジを保持する突起を含む、請求項22に記載の微細流動装置。
【請求項31】
微細流動装置に装着されるように構成されるカートリッジであって、
第1端部、第2端部、前記第1端部と前記第2端部とを連結する側壁、及び前記側壁に形成されてボディーにウェルを形成する開口部を含む前記ボディーと、
前記ウェルに単位使用量だけ収容される固相試薬と、
を含むカートリッジ。
【請求項32】
前記試薬の少なくとも一部の形状は、ウェルの内部形状の一部に相応する、請求項31に記載のカートリッジ。
【請求項33】
前記ボディーは、固相試薬をそれぞれ収容する少なくとも2つのウェルを含む、請求項31に記載のカートリッジ。
【請求項34】
前記ウェルに収容されている前記固相試薬を保持するように前記ウェルに提供される構造をさらに含む、請求項31に記載のカートリッジ。
【請求項35】
前記構造は、前記ウェルの内部に形成される少なくとも1つの突起である、請求項34に記載のカートリッジ。
【請求項36】
流体が入るように構成される流入口を含むチャンバーと、
前記チャンバー内に装着され、前記チャンバーに流入した流体と相互作用可能な固相試薬を収容するカートリッジと、
を含む微細流動装置。
【請求項37】
チャンネルと、
前記チャンネルから流体を取り込むように前記チャンネルと流体連通可能に形成されるチャンバーと、
前記チャンバーの内部に位置し、前記チャンバーに流入する流体により溶解可能な固相試薬を収容するカートリッジと、
を含む微細流動装置。
【請求項38】
チャンバーを含む微細流動装置に適しているカートリッジであって、
前記微細流動装置の前記チャンバー内に装着されるように構成され、ウェルと、該ウェルと関連して前記ウェルへの接近を可能にする単一開口部を含むボディーと、
前記ウェルに収容される固相試薬と、
を含むカートリッジ。
【請求項39】
微細流動装置に適しているカートリッジであって、
閉鎖された第1端部、閉鎖された第2端部、前記第1端部と前記第2端部とを連結する閉鎖された壁、前記壁に形成される開口部、及び前記開口部を介して接近可能なウェルを含むボディーと、
前記ウェルに収容される固相試薬と、
を含むカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2011−527753(P2011−527753A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517336(P2011−517336)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003523
【国際公開番号】WO2010/005197
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】