説明

試験センサ移送機構及び方法

【課題】試験センサ又は試験片を測定システムの内部カセット又はカートリッジから使用者が試験片のサンプルの塗布窓及び測定システムの視覚的表示の両方を同時に見ることができる方向に送給できる測定システム用移送機構を提供すること。
【解決手段】試験センサを試験センサが第1の平面方向を向く格納位置から試験センサが第1の平面方向とは異なる第2の平面方向を向く試験位置へ移送する移送機構。本移送装置は、フレーム部と、駆動部と、連結器と、試験センサをそれぞれの軸を中心として回転させる第1及び第2方向転換システムを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、「試験センサ送給機構及び使用方法」と題する2004年9月30日に出願され、参照によりその全開示内容が本明細書に援用される米国仮出願第60/615,555号の優先権を主張する。
本発明は、広義には、流体サンプル内の検体濃度測定用試験装置に関するものである。本発明は、具体的には、かかる試験装置と共に用いられ、試験センサなどを格納位置及び試験位置など様々な試験装置の動作位置へ移動する移送機構に関する。本発明はまた、かかる移送機構及び試験装置の製造及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体液(例えば、血液、間質液(ISF)、尿)等の流体中の検体又は指示薬(例えば、グルコース、HbA1c、ラクテート、コレステロール)を測定する測定システムは、通常、使い捨て試験センサを使用する。測定システムに対象とする検体又は指示薬に対応する特定の試験センサを挿入すると、測定システム内部で測定システムの測定回路と物理的又は電気的に接続できる。このようにして、サンプルを試験センサに供給すると、サンプル内の検体又は指示薬の数量を示す測定結果が得られる。
【0003】
試験センサを測定システムに挿入する工程は、しばしば手作業で行われ、測定システムの使用者が試験センサを薬瓶又は格納容器から測定システムの連結器注入口まで運ぶ必要のある場合が多い。試験センサを格納する薬瓶は、試験センサの有効性を維持するために必要な制御された雰囲気を供給している。したがって、測定システムの使用者は、測定を行う都度、薬瓶を開き、試験センサを取り出し、薬瓶を再び封じる必要がある。この工程は、使用する薬瓶と測定システムの種類によっては、時間を要し、手間のかかることがあり、結果として試験手順を劣悪化し、及び/又は試験結果を不正確にすることもある。
【0004】
このような測定システムの改良型として、測定システム内の試験センサ用に脱着可能で交換可能なカセット又はカートリッジを用いたものがある。この改良型では、試験片を、ある種の手動で作動するシステムを用いてカートリッジから試験位置に直接搬送できるため、測定を行う前に使用者が手作業で試験センサを薬瓶から連結器に運ぶ手間はなくなっている。この種のシステムは、使用者がサンプルをその上に付着できるように、試験片の一部を測定器ケース外側に配置できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カートリッジ又はその他の複数の試験片を格納する部品を用いた測定システムは、通常、測定する毎に一枚の試験片を手作業で挿入するように設計されたシステムと比較して幾分大型になる。カートリッジを備えた測定システムの寸法が大きくなる理由として、カートリッジの寸法と、試験片をカートリッジから試験位置まで移動するために装置内で使用される、モータ、搬送機などの、機構系の寸法の両方があげられる。これらの測定システムの寸法を最小にするため、所定の向き(例えば、装置の表示面に対して垂直方向の位置)に配置した試験片を、試験位置と同一の向きにして移送することが一般的である。各試験片のこの移動と向きは多くの状況で許容されるものであるが、いくつかの状況では、カートリッジの位置と試験位置の間で試験片の向きを変更できる測定システムがより都合のよい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、試験センサ又は試験片を測定システム内部のカセット又はカートリッジから使用者が試験片のサンプルの塗布窓と測定システムの視覚的表示の両方を同時に見ることができる方向で送給できる測定システム用移送機構を提供する。これは、例えば、測定システムをテーブル又は平坦面上で使用して、使用者が傷つけた指先を試験センサに近づけ、サンプルとする血液を塗布する場合には特に有利である。
【0007】
本発明の一態様は、試験センサを、試験センサが検体測定システムに対して第1の平面方向を向く第1の位置と、前記試験センサが前記第1の平面方向とは異なる第2の平面方向を向く第2の位置との間で、移送する移送装置を提供する。移送装置は、フレーム部と、駆動部と、連結器と第1及び第2方向転換システムを含んでなる。駆動部は前記フレーム部と一体に動作できる。連結器は、試験センサを搬送できるようになっており、例えば、グリッパー、ジョー、保持機構又は連結器などを含むことができる。連結器は駆動部によって移送方向に沿って駆動され、前記連結器の面と係合する試験センサを第1の平面方向を向く第1の位置に位置させることができる。第1方向転換システムは、前記駆動部と協調して前記連結器を、前記移送方向と垂直の回転軸を有する第1回転方向に回転させる。第1方向転換システムは、例えば、ラックギアによって駆動されるピニオンギアを有してもよい。第2方向転換システムは、前記駆動部と協調して、前記連結器を第2回転方向に回転させる。第2回転方向は、前記移送方向に沿って延在する回転軸を有し、前記連結器をもって、前記連結器の面と係合する前記試験センサが前記第1の平面方向とは異なる第2の平面方向を向く第2の位置に位置させることができる。第2方向転換システムは、例えば、連結器及びフレーム部に形成された1以上のガイド面を有してもよい。
【0008】
本発明の他の態様は、検体測定システムを提供する。一般的に、検体測定システムは、筐体と、割出し装置((indexing device)と、移送器とを備える。割り出し装置は、筐体の少なくとも一部に含まれる。割出し装置は、複数の試験センサを有するカセットを収納し、前記複数の試験センサから一枚の試験センサを、該試験センサが第1の平面方向を向く格納位置に位置させることができる。移送器は、筐体の少なくとも一部に含まれ、試験センサを前記格納位置と、前記試験センサが前記第1の平面方向とは異なる第2の平面方向に向く試験位置との間を移送可能である。
【0009】
更に、本発明の他の態様は、試験センサを検体測定システムに対して試験位置に配置する方法を提供する。本方法は、検体測定システムに一つ以上の試験センサを有するカセットを用意するステップと、前記カセットの前記一つ以上の試験センサから一枚の試験センサを、前記試験センサが第1の平面方向を向く格納位置に配置するステップと、前記検体測定システムの移送器によって前記試験センサを前記カセットから取り出すステップと、前記試験センサを前記移送器によって第1回転軸を中心として、前記格納位置における前記試験センサの位置に対して第1の角度回転するステップと、前記試験センサを前記移送器によって前記第1回転軸と垂直の第2回転軸を中心として、前記格納位置における前記試験センサの位置に対して第2の角度回転するステップと、前記試験センサを、該試験センサが前記第1の平面方向とは異なる第2の平面方向を向く試験位置に位置させるステップとを含んでなる。
【0010】
本発明の特長、態様及び長所は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び図面を参照してより理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図2を参照して、本発明の代表的な測定システム100について説明する。測定システム100は、例えば、血液などの体液サンプル中の検体を測定するように構成され、電気化学的分析装置及び/又は光度分析装置、関連する回路(図示されてない)等を備えてもよい。測定システム100を用いて測定できる検体として、例えば、グルコース、HbA1c、ラクテート、及びコレステロール等が挙げられるが、但し、これに限定されることはない。本発明によると、測定システム100は、移送機構110と、複数の試験センサ130を保持するカートリッジ組立体136とを備える。移送機構110は一枚の試験センサ130を、試験センサ130がある空間的向きを有するカートリッジ組立体136の格納位置129から、試験センサ130が別の空間的向きを有する試験位置135へ移送するように機能し、試験装置と動的に連携している。移送機構110は、必要な場合、試験を実行した後、使用済みの試験センサをカートリッジ組立体136に戻し、試験センサを廃棄するまで格納できる。
【0012】
図示するように、カートリッジ組立体136は、放射状に連続して配置された複数の試験センサ130を有する。動作時、カートリッジ組立体136は回転して、所望の試験センサ130を移送機構110による操作が可能な格納位置129に割出せる。図3に示すように、試験センサ130は、試験センサ130の遠端140にサンプル塗布領域150を有する。図示されるように、サンプル塗布領域150は、試験センサ130の最端部であり、試験センサ130を試験位置135へ移送して取り出す際、カートリッジ組立体136から離れるようになっている。図示される実施の形態では、サンプル塗布領域150が図1に示すように測定システム100から延伸できるように、移送機構110は、試験センサ130の方向を転換し(第1の軸の周りをほぼ180度回転)、試験センサ130し第2の軸の周りをほぼ90度回転するように機能する。本発明によると、個別のカートリッジ組立体の構成及び測定システムの設計に応じて、様々な回転運動及び/又は直線運動を独立して、或いは組み合わせて行うことにより、試験センサを所望の位置の間で移動させることができる。
【0013】
試験センサ又は試験片は既知のものであっても、或いは今後開発されるものであっても、切開機能、カートリッジ、カセット、送出器等を統合したものも含めて全て本発明に従って使用可能である。本発明は、格納時の格納位置、使用時の試験位置等、試験センサを様々な位置に移動するために、試験センサの方向を変えることが好ましい用途で特に適用可能である。このことから、試験センサ130は、以下に記載する代表的な移送機構110と共に説明する、所望の移送及び回転を行えるように設計されていることが好ましい。使用可能な代表的なカートリッジ組立体については、本願と同日に出願され、参照によりその全開示内容が本明細書に援用される、出願人の同時係属中の「Cassette Assemblies for Testing Devices and Methods」と題した、LifeScan社代理人整理番号DDI 5058 USNPlの米国特許出願に記載されている。
【0014】
図3を参照して、本発明と共に使用可能な代表的な試験センサ130について説明する。コンタクト電極154は、試験センサ130の近端138に配置され、所望の試験手順の間、試験センサ130と測定装置又は測定システム100の回路と電気的な接続を形成できるようになっている。図示されるように、サンプル塗布領域150及びサンプル充填表示窓152は、試験センサ130の遠端140に配置されている。試験センサ130は電気化学を基本としてもよく、又は光度分析を基本としてもよく、その両者は、参照によりその全開示内容が本明細書に援用される、米国特許出願第10/860,180号(LifeScan社代理人整理番号DDI 5009 USNP、2004年6月2日出願)、及び米国仮特許出願第60/516,252号(LifeScan社代理人整理番号DDI 5015、2003年10月31日出願)に開示されている。更に、試験センサ130は、参照によりその全開示内容が本明細書に援用される、国際出願第PCT/GBOl/05634号(WO02/49507、2002年6月27日公開)及び米国特許出願第10/143,399号に開示された、試験センサと皮膚組織穿通部材を含む一体型試験センサでもよい。
【0015】
図2に示すように、測定システム100は、外側筐体124と、上部筐体部分112と、第1長手側面116と、第2長手側面118と、遠端120と、近端122と、センサ取出口126と、ユーザインタフェース128とを含む。センサ取出口126は、好ましくは、測定システム100の近端122に位置し、図示される実施の形態では、第2長手側面118に隣接して、或いは、最も近接して配設される。ユーザインタフェース128は、測定システム100の外側筐体124の上部筐体部分112に位置し、使用者の操作システム100の操作を支援する、例えば、複数のボタン131、132、133と、液晶又はその他の種類の表示部からなる視覚的表示部134とを含む。測定システム100の移送機構110にカートリッジ組立体136が装着された状態で、例えば、ボタン132を押下すると、移送機構110は、試験センサ130をセンサ取出口126に送り出し、以下に詳細に説明するように、試験を実行するために使用者が試験センサ130を取り出せるようにする。図2に示すように、測定システム100の外側筐体124は、移送機構110及びカートリッジ組立体136を完全に格納し、支持するために十分な大きさの内部空洞部146を画成する。移送機構110は、測定システム100の内部空洞部146内に、移送機構110の遠端156、近端158、第1長手側面164、第2長手側面166が、測定システム100の遠端120、近端122、第1長手側面116、第2長手側面118にそれぞれ対応するように、収納される。移送機構110は、試験センサ130をカートリッジ組立体136の格納位置129から取り外し、続いて、試験センサ130の向きを変え、試験位置135に移動させ、使用者が有利に試験センサ130の充填表示窓152と測定システム100のユーザインタフェース128の両方を同時に見ることができるようにする。このようにして、使用者は、測定システム100を水平面上で有利に使用することができる。
【0016】
図4及び図5に示すように、移送機構110は、遠端156と、近端158と、上部面160と、下部面162と、第1長手側面164と、第2長手側面166とを有する。図示されるように、移送機構110は更に、カートリッジ安定器168と、親ネジ170と、連結器172と、キャリッジ174と、フレーム部176と、ベルト178と、モータ180とを有する。
【0017】
カートリッジ組立体136を測定システム100に配置すると、カートリッジ安定器168は、好ましくは、カートリッジ組立体136を移送機構110に対して動作可能に位置調整するプラットフォームとなる。図示されるように、カートリッジ安定器168は、長方形平面の形状であり、カートリッジ組立体136と移送機構110との間の位置関係を調整する。このため、測定システム100は、移送機構110に対してカートリッジ組立体136などの試験センサの個別の送給源を動作可能に位置調整するための、受容部、ハブ、係合機構などを備えてもよい。更に、カートリッジ安定器168は、カートリッジ組立体136と測定システム100との間の通信に使用できるように、カートリッジ組立体136と測定システム100との間をリード線などで電気的接続(図示されてない)するように設計してもよい。何れの場合も、本発明によると、所望の取り付けプラットフォーム、フレーム部、構造体、装置、機構等を用いて、試験センサの所望の送給源を移送機構110に対して位置調整することにより、所望の試験センサをカートリッジ組立体の格納位置等と測定システムの試験位置との間を移動可能にできる。
【0018】
一般的に、フレーム部176は親ネジ170を、親ネジ170がフレーム部176に対して回転可能となるように、動作可能に支持する。キャリッジ174は、親ネジ170と駆動係合し、移送機構110に対して連結器172を搬送し、連結器172は試験センサを移送するように機能する。動作時、親ネジ170はモータ180とベルト178によって駆動されて回転し、キャリッジ174、そして連結器172を移送方向175に沿って駆動する。ここで、親ネジ170は、既知のもの、或いは今後開発されるものも含めて如何なる駆動技術を用いて回転駆動してもよい。
【0019】
フレーム部176から分離した状態の親ネジ170を図6に示す。親ネジ170は、親ネジをフレーム部176内に回転可能に支持する軸受183と、ベルト178を遠端182で駆動するための間隙となる溝部186とを含む。近端184には親ネジ170をフレーム部176内に回転可能に支持するもう一つの軸受188が備えられている。
【0020】
親ネジ170は、好ましくは、収集用ピッチ190、移送用ピッチ192、提示用ピッチ194を有する。収集用ピッチ190は、親ネジ170の遠端182方向に形成され、連結器172がカートリッジ組立体136から試験センサ130を取り出す際に、連結器172の移動を制御するために用いる。移送用ピッチ192は、親ネジ内の中心部に形成され、以下に詳細に説明するが、試験センサ130の回転時に連結器172を制御するために用いる。提示用ピッチ194は、親ネジ170の近端184方向に形成され、連結器172が試験センサ130を測定システム100のサンプル取出口126から押し出す際に、連結器172を介してスムーズに導く制御を行うために用いる。移送用ピッチ192は通常、収集用ピッチ190及び提示用ピッチ194より長い(すなわち、ネジの回転間隔がより広い)。収集用ピッチ190と提示用ピッチ194は移送用ピッチ192と異なることが好ましい。このようにして、収集用ピッチ190は制御と動力伝達をより大きくし、試験センサ130をカートリッジ組立体136から収集する際に、例えば、ホイル保護膜を破る等することができる。収集用ピッチ190と提示用ピッチ194は同じであっても、異なっていてもよい。
【0021】
図7に、移送機構110のフレーム部176の斜視図を示す。図示されるように、フレーム部176は、遠端196に、親ネジ170の軸受183を受ける軸受面202と、近端216に親ネジ170の軸受188を受ける軸受面214とを含む。図示されるように、フレーム部176は、親ネジ170を収納するスロット204を有する。移送機構110の上部面160のガイド開口部205は、軸受面202から第1及び第2カム面208、210へ延在している。ガイド開口部205は、キャリッジ174がスロット204内を移動しながら、搬送する連結器172を駆動することができる十分な幅を有している。フレーム部176は更に、ガイドスロット204と隣接する位置にラックギア206を有する。キャリッジ174が親ネジ170により移送方向175に駆動される際、ラックギア206は、連結器172のピニオンギア228と共に、連結器を回転させるように機能する。図示されるように、親ネジ170、ピニオンギア228、ラックギア206は、連結器172を180度回転させるように設計されている。この運動は基本的に、カートリッジ組立体136から取り外された(或いはカートリッジ組立体136に戻る)試験センサの向きを、親ネジ170により駆動される移送方向175に対して反転させる。
【0022】
図示されるように、第1及び第2カム面208、210は曲線を形成し、好ましくは約30度から45度の範囲の角度αを成す。ガイドスロット開口部205は方向を変え、移送機構110の第2長手側面166に開口部を形成する。図示されるように、このガイドスロット開口部205の上部面160から第2長手側面166への方向の変化は、キャリッジ174と連結器172が試験センサ130を第1の位置(例えば、試験位置に対して垂直の位置)から第2の位置(試験位置に対して平行な位置)へ回転させることを可能にする。フレーム部176はまた、親ネジ170とモータ180とを連結するベルト178のための間隙として機能する開口部198を有する。
【0023】
図8は、フレーム部176と親ネジ170から分離した状態の移送機構110の連結器172とキャリッジ174の分解斜視図である。連結器172は、遠端220、近端222、スリーブ224、226、ピニオンギア228、上部センサ係合アーム230、下部センサ係合アーム232、試験片係合部材(図示されてない)を有する。連結器172はまた、試験片係合部材と測定装置、或いは回路測定システム100を電気的に接続する導線(図示されてない)を有することが好ましい。この導線は、例えば、試験片係合部材と測定装置、或いは回路測定システム100との間を結ぶ導電性トラックでもよい。上部センサ係合アーム230と下部センサ係合アーム232が離間する空間236は、試験センサ130が連結器172と係合する際に、試験センサ130の近端138が接触する空間を形成する。
【0024】
図示されるように、キャリッジ174は、ロッド238と連結器240とを有する。連結器240はロッド238と、ロッド238が連結器240の長手方向軸A−A’に対してほぼ垂直となるように連結する。ロッド238と連結器240とは、ロッド238と連結器240との間で回転が起こらないように固定して連結することが好ましい。ロッド238はまたスリーブ224及び226と係合し、ピニオンギア228がラックギア206と係合して駆動される際に、連結器172が連結器240に対して回転できるようになっている。ロッド238と連結器240の間での回転を可能として、ロッド238とスリーブ224、226との間の連結を固定していてよいことも考えられる。連結器240はまた、モータ180が作動し、親ネジ170が回転する際に、親ネジ170の移動方向に応じて、キャリッジ174が親ネジ170の両方の移動方向に対して直線的な移動を継続するように、親ネジ170と係合する雌ネジを有する。
【0025】
親ネジにより駆動されるキャリッジを含む本発明の代表的な実施の形態の移送機構について説明したが、その他の駆動機構又は装置も想到可能である。キャリッジを直線的な経路に沿って移動させることが可能であれば、既知のもの、或いは今後開発されるものも含めて如何なる機構、装置又はシステムを使用してもよい。例えば、親ネジの代わりに、キャリッジはベルト又はプーリなどにより駆動されるベルトにより移送することができる。更に本発明によると、駆動ギアにより直線的に延伸可能なラックギアを用いてキャリッジを駆動することができる。一般的に、本発明によると、キャリッジ及び/又は連結器を駆動可能であれば如何なる機構又は装置も使用することができる。
【0026】
動作時、移送機構110は、試験センサ130をカートリッジ組立体136の格納位置129と試験位置135との間を移送できる。図9から図13を参照して、単一の試験センサの代表的な一連の移送位置について以下、詳細に説明する。試験センサ130を送給する方法において試験センサ130が取り得る様々な位置について説明するが、試験の後、試験センサ130を格納し、更に廃棄するため、試験センサ130をカートリッジ組立体136に戻す場合については反対の手順で行える。図示された実施の形態において、試験センサの移送は、試験センサを第1の軸を中心に約180度回転させ、更に試験センサを第1の回転軸に対して好ましくは垂直な第2の軸を中心に約90度回転させて行われる。こうして試験センサ130は、カートリッジ組立体内の格納位置からサンプル取出口126の試験位置まで移送される際に回転によって試験センサ130のサンプル塗布領域150の測定システム100の視覚的表示部134に対する向きを変える。こうして使用者が自ら測定システム100を移動したり、回転したりすることなく、視覚的表示部134上の指示を読み取ることが可能になる。
【0027】
特に図9を参照して、移送機構110の連結器172が、試験センサ130と試験センサチャンバ278内の格納位置129で係合する場合について説明する。連結器172は、センサチャンバ278から試験センサ130を取り出すために十分な力で試験センサ130を把持又は試験センサ130と係合する係合部材(図示されてない)を有してもよい。すなわち、係合部材は試験センサを、試験センサがカートリッジ内で保持されている力よりも強い力で握持又は把持する。使用可能な係合部材の代表的な例については、2003年9月19日に出願され、参照によりその全開示内容が本明細書に援用される、米国特許出願第10/666,154号に記載されている。キャリッジ174により搬送される連結器172は、親ネジ170によってこの位置まで駆動される。親ネジ170の収集用ピッチ190は、試験センサ130との係合を行えるように運動を制御可能であることが好ましい。使用するカートリッジ組立体の個別の種類に応じて、試験センサを保護するカートリッジ外側のホイルシール等を、連結器172が破断又は破砕することが必要な場合もある。この場合、連結器172は、そのようなシールを破断できるように設計されていることが好ましく、切断部材又は穿孔部材、或いは刃などを具備してもよい。一般的な用途において、連結器172が試験センサ130と係合するために必要な力は、約2Nである。
【0028】
連結器172と係合した試験センサ130は、図10に示すように、チャンバ278から抜き取られる。試験センサ130をチャンバ278から抜き取る際、親ネジ170はキャリッジ174を移送方向175に沿って移送機構110の近端158方向へ直線的に駆動する。こうして試験センサ130は、図示されるように、「先端」の方向、すなわち試験位置135に対して垂直な位置に配置される。
【0029】
図10に示すように、キャリッジ174が移送方向175に沿って移送機構110の近端158の方向に駆動されると、ピニオンギア228はラックギア206と係合する。係合したピニオンギア228とラックギア206は協調して、連結器172と試験センサ130を、矢印177で示す回転方向に回転軸173を中心として約180度回転する。これにより、試験センサ130の遠端140に形成されたサンプル塗布領域150は、図示されるように、移送機構110の近端158の方向を向く。ガイドスロット204はこの経路に沿って、キャリッジ174を少なくとも部分的にガイドするように機能することが好ましい。
【0030】
キャリッジ174が移送方向175に沿って駆動されると、図11に示すように、キャリッジ174はカム面208、210と接触し、方向が変わるようにガイドされる。このガイド動作により、キャリッジ174は親ネジ170に対して矢印179で示す回転方向に回転し、試験センサ130は、図12に示す位置へ約90度回転する。試験センサ130は親ネジ170により継続して駆動され、図13に示す試験位置135に移動する。試験終了後、試験センサ130をカートリッジ組立体136の格納位置129に戻すことができる。これは、親ネジ170の方向を反転し、キャリッジ174と連結器172を、概して上述と反対の経路に沿って駆動して行う。連結器172は試験センサ130をカートリッジ組立体136に戻るように押圧し、カートリッジ組立体136が試験センサ130を把持する力が、連結器172が試験センサ130を把持する力より大きくなるようにする。これは、カートリッジ組立体136の戻り位置をカートリッジ組立体136の試験センサの元の位置とは異なるようにしてできる。例えば、連結器は試験センサ130を、カートリッジ組立体136から最初に取り外した時の位置よりも更にカートリッジ組立体136内に押圧できるようにしてもよい。
【0031】
以上、本発明について複数の実施の形態を参照して説明した。本明細書中で特定された特許又は特許出願は参照によりその全開示内容が本明細書に援用され、本明細書の一部を構成する。上記の詳細な説明と実施例は、理解を明確にするためのみのものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。当業者には、本発明の範囲を逸脱せずに実施の形態を変更可能であることは明らかである。本発明の範囲はここに記載した構造体に限定されることはく、特許請求の範囲の文言により説明される構造体と、それらと等価の構成を含むものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の代表的な測定システムの上面図であって、試験センサが測定システムの筐体から部分的に外部へ延伸し、測定システムの表示画面と共に見やすい方向を向いた試験位置にある状態を示す図。
【図2】図1に示す測定システムの上面図であって、測定システムの上部筐体部分を取り外し、試験センサを、試験センサが第1の平面方向を向くカートリッジ組立体内の格納位置から試験センサが第1の平面方向とは異なる第2の平面方向を向く測定システムの試験位置へ移送するために使用できる移送機構及びカートリッジ組立体を示す図。
【図3】図1及び図2に示す本発明の測定システムと共に使用できる試験センサの斜視図。
【図4】測定システムの筐体から分離した状態の、図1及び図2に示す本発明の測定システムのカートリッジ組立体と移送機構の斜視図。
【図5】カートリッジ組立体から分離した状態の、図4に示す移送機構の斜視図。
【図6】移送機構のキャリッジ及び関連する連結器を移送方向に沿って駆動するために用いる、図5に示す移送機構の親ネジの斜視図。
【図7】図5に示す移送機構のフレーム部の斜視図であって、移送機構の親ネジにより駆動されるキャリッジをガイドするガイド面を有するガイドスロットを示す図。
【図8】図5に示す移送機構の連結器とキャリッジの分解斜視図。
【図9】本発明のカートリッジ組立体と移送機構の斜視図であって、第1の平面方向を向く試験センサをカートリッジ組立体の格納位置から、試験センサと係合して取り出すことができる位置にある移送機構の連結器を示す図。
【図10】図9に示すカートリッジ組立体と移送機構の斜視図であって、連結器がカートリッジ組立体から試験片を取り外した状態を示す図。
【図11】図10に示すカートリッジ組立体と移送機構の斜視図であって、連結器が直線的に移動し、更に試験片を図10に示す位置から約180度回転した状態を示す図。
【図12】図11に示すカートリッジ組立体と移送機構の斜視図であって、連結器が試験片を図11に示す位置から約90度回転した状態を示す図。
【図13】図11に示すカートリッジ組立体と移送機構の斜視図であって、連結器が試験片を図12に示す位置から試験位置へ直線的に移送した状態を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験センサが検体測定システムに対して第1の平面方向を向く第1の位置と、前記試験センサが前記第1の平面方向とは異なる第2の平面方向を向く第2の位置との間で、試験センサを移送する移送装置であって、当該移送装置は、
フレーム部と、
前記フレーム部と一体に動作する駆動部と、
試験センサを搬送する連結器であって、該連結器は、前記駆動部によって移送方向に沿って駆動され、前記連結器の面と係合する試験センサが第1の平面方向を向く第1の位置に位置することができる連結器と、
前記駆動部と協調して前記連結器を、前記移送方向と垂直の回転軸を有する第1回転方向に回転させる第1方向転換システムと、
前記駆動部と協調して前記連結器を、前記移送方向に沿って延在する回転軸を有する第2回転方向に回転させ、前記連結器をもって、前記連結器の面と係合する前記試験センサが前記第1の平面方向とは異なる第2の平面方向を向く第2の位置に位置させることができる第2方向転換システムとを含んでなる移送装置。
【請求項2】
前記連結器が前記駆動部と動作可能に係合したキャリッジに回転可能に取り付けられた、請求項1記載の移送装置。
【請求項3】
前記駆動部が前記移送方向に沿って延在する駆動軸を有する親ネジを有する、請求項2記載の移送装置。
【請求項4】
前記第1方向転換システムが前記キャリッジと一体で、前記フレーム部と一体のラックギアと係合するピニオンギアを有し、前記ピニオンギアが前記連結器が前記駆動部によって前記移送方向に沿って駆動されるに従って前記連結器を前記第1回転方向に回転させる、請求項2記載の移送装置。
【請求項5】
前記ラックギアと前記ピニオンギアが前記連結器を前記第1回転方向に約180度回転できる、請求項4記載の移送装置。
【請求項6】
前記第2方向転換システムが前記フレーム部と一体のガイド面と摺動して接触するキャリッジのガイド面を有し、前記キャリッジのガイド面が前記連結器が前記駆動部により前記移送方向に沿って駆動されるに従って前記連結器を前記第2回転方向に回転させる、請求項2記載の移送装置。
【請求項7】
前記キャリッジの前記ガイド面と前記フレーム部と一体の前記ガイド面が前記連結器を前記第2回転方向に約90度回転できる、請求項6記載の移送装置。
【請求項8】
前記連結器が前記連結器によって搬送される試験センサを保持する1以上の係合部材を含む、請求項1記載の移送装置。
【請求項9】
前記1以上の係合部材が前記連結器によって保持された試験センサと検体測定システムとを電気的に接続できる、請求項8記載の移送装置。
【請求項10】
筐体と、
前記筐体の少なくとも一部に含まれ、複数の試験センサを有するカセットを収納し、前記複数の試験センサから一つの試験センサを、該試験センサが第1の平面方向を向く格納位置に配置できる割出し装置と、
前記筐体の少なくとも一部に含まれ、試験センサを前記格納位置と、前記試験センサが前記第1の平面方向とは異なる第2の平面方向に向く試験位置との間を移送可能な移送器とを含んでなる検体測定システム。
【請求項11】
前記移送器が、前記試験センサを前記格納位置にある前記試験センサの位置に対して第1回転軸を中心として約180度回転できる、請求項10記載の検体測定システム。
【請求項12】
前記移送器が、前記試験センサを前記格納位置にある前記試験センサの位置に対して前記第1回転軸と垂直の第2回転軸を中心として約90度回転できる、請求項10記載の検体測定システム。
【請求項13】
前記第2の平面方向が検体測定システムの表示画面の平面方向と同様である、請求項10記載の検体測定システム。
【請求項14】
前記移送器が、
フレーム部と、
前記フレーム部と一体に動作する駆動部と、
試験センサを搬送する連結器であって、該連結器は、前記駆動部によって移送方向に沿って駆動され、前記連結器の面と係合する試験センサを第1の平面方向を向く第1の位置に位置することができる連結器と、
前記駆動部と協調して前記連結器を、前記移送方向と垂直の回転軸を有する第1回転方向に回転させる第1回転装置と、
前記駆動部と協調して前記連結器を、前記移送方向に沿って延在する回転軸を有する第2回転方向に回転させ、前記連結器によって、前記連結器の面と係合する前記試験センサを前記第1の平面方向とは異なる第2の平面方向を向く第2の位置に位置することができる第2回転装置とを含む、請求項10記載の検体測定システム。
【請求項15】
更に、少なくとも一つの試験センサを有するカセットと組み合わせた、請求項10記載の検体測定システム。
【請求項16】
試験センサを検体測定システムに対して試験位置に配置する方法において、当該方法は、
検体測定システムに一つ以上の試験センサを有するカセットを用意するステップと、
前記カセットの前記一つ以上の試験センサから一つの試験センサを、前記試験センサが第1の平面方向を向く格納位置に配置するステップと、
前記検体測定システムの移送器によって前記試験センサを前記カセットから取り出すステップと、
前記試験センサを前記移送器によって第1回転軸を中心として、前記格納位置における前記試験センサの位置に対して第1の角度回転するステップと、
前記試験センサを前記移送器によって前記第1回転軸と垂直の第2回転軸を中心として、前記格納位置における前記試験センサの位置に対して第2の角度回転するステップと、
前記試験センサを、該試験センサが前記第1の平面方向とは異なる第2の平面方向を向く試験位置に位置させるステップとを含んでなる方法。
【請求項17】
更に、前記試験センサを前記移送器によって前記第1回転軸を中心に回転させながら、前記試験センサを移送方向に沿って直線的に移送するステップを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
更に、前記試験センサを前記移送器によって前記第2回転軸を中心に回転させながら、前記試験センサを前記移送方向に沿って直線的に移送するステップを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
更に、前記試験センサを前記移送器によって前記第2回転軸を中心に回転させる前に、前記試験センサを前記第1回転軸を中心に回転させるステップを含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
更に、前記試験センサを前記格納位置に戻すステップを含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記第1の回転角度が約180度を含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
前記第2の回転角度が約90度を含む、請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−514948(P2008−514948A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534115(P2007−534115)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/IB2005/004021
【国際公開番号】WO2006/035322
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(502328710)ライフスキャン・スコットランド・リミテッド (70)
【住所又は居所原語表記】Beechwood Park North,Inverness IV2 3ED
【Fターム(参考)】