試験的大腿骨プロテーゼ及びその使用
【課題】試験下処理工程で取り除かれる必要がないコンポーネントを提供すること。
【解決手段】本願の形態は、一時的な整形外科コンポーネント、具体的には、関節置換術中に使用されるカムモジュール(10)及び試験大腿骨コンポーネント(100)を有する試験システムに関する。記載されたシステム及び方法は、外科医が患者の骨を下処理してシステムを設けることによって恒久的なインプラントを収容することを補助し、システムは、下処理的な箱状の切除部を案内するために使用され、かつ−患者の骨から取り除くことなく−カムモジュール(10)と共に完成され、同一のコンポーネントは、試験工程のために使用される。
【解決手段】本願の形態は、一時的な整形外科コンポーネント、具体的には、関節置換術中に使用されるカムモジュール(10)及び試験大腿骨コンポーネント(100)を有する試験システムに関する。記載されたシステム及び方法は、外科医が患者の骨を下処理してシステムを設けることによって恒久的なインプラントを収容することを補助し、システムは、下処理的な箱状の切除部を案内するために使用され、かつ−患者の骨から取り除くことなく−カムモジュール(10)と共に完成され、同一のコンポーネントは、試験工程のために使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の形態は、一般的には一時的な整形外科コンポーネント、より具体的には関節置換術中に使用される試験システムに関する。記載されたシステム及び方法は、下処理的な切除に使用されるシステムを提供することによって患者の骨を下処理して恒久的なインプラントを収容し、並びに使用されるインプラントの嵌め合わせを正確に判断することを補助する。
【0002】
インプラントの一時的なコンポーネント(同様に「試験コンポーネント」と称する)は、一般に関節置換術中に使用される。これらは、外科医によって形を整えられた骨へのインプラントの嵌め合わせ及び位置合わせを試験するために使用される。しかし、使用される実際のインプラントは、これらの目的を果たし、試験的すなわち一時的なコンポーネントの使用は、実際のインプラントが損傷する危険性を排除せる。また、試験コンポーネントは、必要とされるコンポーネントの正確なサイズが判断されるまで外科医が手術部位に実際のコンポーネントを導入しなければならないこと、外科医が殺菌するコストを節約すること、及び外科医がインプラントを保護すること、を回避する。
【背景技術】
【0003】
1つの一般的なタイプの関節置換術は、膝の手術である。膝関節置換術において、外科医は、主として、2つのプロテーゼコンポーネントを患者の骨構造、第1に患者の大腿骨(大腿骨コンポーネント)、第2に患者の脛骨(脛骨コンポーネント)、に添える。大腿骨コンポーネントは、主として適切な切除後に患者の大腿骨の先端部に配置され、脛骨コンポーネントは、主として適切な下処理後に患者の脛骨プラトーに配置される。さまざまな調節は、脛骨または大腿骨表面のいずれかに切除部を形成し、さまざまなコンポーネントのサイズは、考慮される。この処理中において、膝は、コンポーネントについての適切なサイズ、嵌め合わせ及び調節を判断するために曲げられかつ伸張される。外科医は、インプラントについての適切なサイズ及び嵌め合わせを判断するためにさまざまな脛骨コンポーネントを入れ替える。
【0004】
より具体的には、試験プロテーゼは、実際のプロテーゼまたはインプラントコンポーネントを関節のそれぞれの部分に嵌合することを試すために使用される。大腿骨及び脛骨を形付けた後、外科医は、実際のプロテーゼコンポーネントに替えて脛骨コンポーネントを大腿骨及び/または脛骨に一時的に嵌合する。これにより、外科医は、所望の運動範囲で完全に静的及び動的の双方でコンポーネントの嵌め合わせ及び性能を試すことができる。実際のインプラントに替えて試験的プロテーゼを使用することにより、外科医は、この試験を実行することができ、手術部位に実際のプロテーゼコンポーネントを導入することなく実際のコンポーネントのより完全な嵌め合わせ及びより正確な性能を得ることができる。外科医がさまざまな画像技術及び触診を使用して手術前に詳細な患者の組織を観察するが、彼らは、それにもかかわらず、膝が外科的に露出されて手術が開始した後にプロテーゼコンポーネントを嵌合させるのに必要な重要な情報を得る。
【0005】
プロテーゼコンポーネントを正確に位置付けかつ嵌合することは、多くの理由により重要である。まず、患者それぞれは、異なる骨の構造及び幾何形状を有する。また、すべての軸回りにおける大腿骨に対する脛骨の運動は、患者ごとに異なる。さらに、一部の膝置換患者は、中間の/側方の、前方の/後方の、または内反の/外反の靭帯について機能的な問題を有し、膝関節の運動を規制するインプラントは、安定性を高めるために必要である。これらの事実により、外科医は、いったん靭帯を切除すると、膝の安定性を確保するために規制箱部の幾何形状と共に大腿骨インプラントを使用する必要がある。
【0006】
このような十字靭帯を犠牲にする手術のためのさまざまなシステムは、骨を下処理して恒久的なインプラントを受け入れて嵌め合わせを試すために、規制箱部の幾何形状の切除ブロック部/ガイド部と、別個の大腿骨試験コンポーネントと、を用いる。この処理において、外科医は、大腿骨に配置された切除ブロック部を用いて最初の切除部を形成する。このような切除ブロック部は、主として正方形であり(すなわち、これらは、実際のインプラントのように形付けられていない)、切除された大腿骨の適所に固定される。そして、前方及び後方の面取り切除は、骨を形付けて大腿骨コンポーネントの内方部分(すなわち、「箱状部分」)を収容する。そして、大腿骨の箱状切除である切除部は、形成される必要がある。主として、別個の大腿骨の箱状の切除案内部は、大腿骨の表面に固定されており、往復鋸(reciprocating saw)及び/または箱ノミ(box chisel)は、ノッチ部にある骨の中間の、側方のかつ近接した(かつ一部の場合において後方の)部分を取り除くことに使用される。そして、試験短縮のために、切除案内部は、取り除かれ、大腿骨試験コンポーネントであってコンポーネントに組み込まれた箱状の幾何形状を有するコンポーネントは、下処理された大腿骨に固定される。頚骨トレイは、下処理された脛骨に配置され、必要ならば、試験膝コンポーネントは、同様に選択される。いったんコンポーネントが所定位置にあると、外科医は、運動範囲及び膝の安定性を確認する。
【0007】
しかしながら、別個の規制する箱切除案内部それから別個の試験コンポーネントを使用することは、手術時間を追加し、外科医がさらに推測することを強制し、切除及び試験工程が単一のコンポーネントで実施される場合よりも一般的に効率が悪い。一部のインプラントの設計者は、大腿骨脛骨コンポーネントに螺着されるさまざまなサイズのアダプタを提供することによってこの問題を解決しようとしており、一部のアダプタは、十字靭帯を保持する手術を可能とし、他のアダプタは、十字靭帯を犠牲にする手術を可能とする。1998年7月7日にJohnson & Johnson Professional株式会社に付与された例えば特許文献1を参照されたい。他のものは、スライド保持部材と共に所定位置にロックされるスパン部材を提供している。2004年12月7日にZimmer Technology株式会社に付与された特許文献2を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5776201号明細書
【特許文献2】米国特許第6827739号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらシステムを使用するため、大腿骨試験コンポーネントは、アダプタ及びスパン部材をコンポーネントに組み込むために操作エンベロープ(operating envelope)から取り除かれる必要がある。要するに、これらシステムの双方は、大腿骨試験コンポーネントの内方または基端側の部分と協働する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の形態は、大腿骨試験コンポーネントを提供することによってこれら問題の解決を補助し、大腿骨試験コンポーネントは、箱状の切除部のための案内部として使用され、そして−患者の骨から取り除かれることなく−カムモジュールを用いて完成され、同一のコンポーネントは、試験工程のために使用される。これを達成する方法の1つは、カムモジュールを提供することであり、カムモジュールは、大腿骨試験コンポーネントの外方先端面、部分、側部と協働し、コンポーネントは、試験下処理工程で取り除かれる必要がない。
【0011】
記載されたシステム及び方法は、外科医が患者の骨を下処理してシステムを提供することによって恒久的なインプラントを収容することを補助し、システムは、下処理の箱状の切除部を案内するために使用され、そして患者の骨からシステムを取り除くことなくカムモジュールを用いて完成され、同一のコンポーネントは、試験工程に使用される。
【0012】
本発明の一態様は、大腿骨試験コンポーネントを提供し、大腿骨試験コンポーネントは、
(a) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(b) 中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成された1以上の肩部と、
(c) 中間壁部及び側壁部の後部分の間で延在するカム部材と、
を備える。
【0013】
一形態において、カムモジュールは、前壁部をさらに備え、1以上の肩部は、中間壁部、側壁部または前壁部から延在する。
【0014】
他の形態において、カムモジュールは、中間壁部及び側壁部の間にあるベース部分をさらに備える。
【0015】
さらなる形態において、1以上の肩部は、回動杭部をさらに備える。
【0016】
さらなる形態は、中間壁部及び側壁部の間に開口部を提供する。
【0017】
他の形態は、カムモジュールの開口部によって収容されるように構成された柱部を有する試験脛骨コンポーネントをさらに備える。
【0018】
さらなる形態において、カムモジュールは、大腿骨試験コンポーネントの先端面と協働する保持システムをさらに備える。
【0019】
一部の形態において、保持システムは、少なくとも1つの弾性腕部と、弾性腕部に関連付けられた少なくとも1つの保持部材と、を備え、使用時において、弾性腕部は、大腿骨試験コンポーネントへ当該カムモジュールを挿入すると押圧され、保持部材が大腿骨試験コンポーネントにある対応する構造体と協働することとを可能とする。
【0020】
他の形態において、保持システムは、バネ負荷システムを備える。
【0021】
さらなる形態は、回転停止部をさらに備える。一部の形態において、回転停止部は、中間壁部及び側壁部の上部分から延在し、使用時において大腿骨コンポーネントに当接するリッジ部を形成する。さらなる形態において、回転停止部は、大腿骨コンポーネントにある経路部に当接する。
【0022】
他の形態は、大腿骨コンポーネントであって、これに形成された1以上の切断スロットを有する大腿骨コンポーネントを提供する。また、大腿骨コンポーネントは、カムモジュールの1以上の肩部を収容する1以上の収容部分を備える。大腿骨コンポーネントは、これに形成された1以上の固定穴部をさらに備える。
【0023】
本発明の他の形態は、1以上の大腿骨試験コンポーネント、1以上の脛骨試験コンポーネント、1以上の実際の大腿骨インプラント、1以上の実際の脛骨インプラント、またはこれらの組み合わせを備えるキットのコンポーネントとしてのカムモジュールを提供する。
【0024】
他の形態は、患者の骨から大腿骨試験コンポーネントを取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントの先端面と協働するように構成されたカムモジュールを提供する。
【0025】
本発明の他の態様は、大腿骨を下処理して最終的なインプラントを収容する方法を提供し、当該方法は、
(a) 外方先端側部及び内方基端側部を有する大腿骨試験コンポーネントを準備する工程であって、大腿骨試験コンポーネントは、
(i) 大腿骨試験コンポーネントに形成された切除スロットと、
(ii) 開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、
(iii) 外方先端側部にある1以上の収容部分であって、カムモジュールの肩部を収容するための1以上の収容部分と、
を備える工程と、
(b) 切除された大腿骨に大腿骨試験コンポーネントを配置し、さらなる切除部を下処理する工程であって箱状の切除部を下処理するために開口部を使用する工程を有する工程と、
(c) カムモジュールを準備する工程であって、カムモジュールは、
(i) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(ii) 中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分と協働するように構成された1以上の肩部と、
(iii) 中間壁部及び側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、
を有する工程と、
(d) カムモジュールの1以上の肩部を大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分内に配置し、カムモジュールが大腿骨試験コンポーネントの開口部に嵌合する工程と、
を備える。
【0026】
これら方法の一部の形態は、大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されたカムモジュールを有する。
【0027】
他の形態は、
(e) 柱部を有する脛骨コンポーネントを準備する工程と、
(f) 脛骨コンポーネントを下処理された脛骨プラトーに配置する工程と、
(g) 脛骨コンポーネントの柱部をカムモジュールの中間壁部及び側壁部の間に挿入する工程と、
(h) 患者の膝を伸張、屈曲することによって大腿骨コンポーネント及び脛骨コンポーネントを試験する工程と、
をさらに備える。
【0028】
本発明の他の態様は、大腿骨を下処理して最終的なインプラントを収容するためのシステムに関し、当該システムは、
(a) 大腿骨試験コンポーネントであって、
(i) 開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、
(ii) 当該大腿骨試験コンポーネントの先端面にある1以上の収容部分であって、カムモジュールの肩部を収容するための1以上の収容部分と、
を備える大腿骨試験コンポーネントと、
(b) カムモジュールであって、
(i) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(ii) 中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が大腿骨コンポーネントと協働するように構成された1以上の肩部と、
(iii) 中間壁部及び側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、
を備えるカムモジュールと、
を備え、カムモジュールの1以上の肩部は、大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分によって固定され、カムモジュールが大腿骨試験コンポーネントの開口部に嵌合するように構成されている。
【0029】
このようなシステムの形態は、さまざまなサイズの複数の大腿骨試験コンポーネント、さまざまなサイズの複数のカムモジュール、または、これらの組合せを提供する。
【0030】
他の形態は、柱部を有する脛骨試験コンポーネントをさらに備え、柱部は、カムモジュールにおいてカム部材の前方に位置する開口部によって収容されるように構成されている。
【0031】
システムの他の形態は、さまざまなサイズの複数の大腿骨試験コンポーネント、さまざまなサイズの複数のカムモジュール、さまざまなサイズの複数の脛骨試験コンポーネント、またはこれらの組合せを提供する。
【0032】
さらなる形態は、大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されているカムモジュールを提供する。
【0033】
他の形態は、大腿骨試験コンポーネントであって、そこに形成された切除スロットを有する大腿骨試験コンポーネントを提供する。
【0034】
本発明の1つの具体的な態様は、大腿骨試験コンポーネントのカムモジュールを提供し、当該カムモジュールは、
(a) 中間壁部、側壁部、前壁部及び開口部を有する本体部分と、
(b) 中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されかつ回動杭部を有する1以上の肩部と、
(c) 中間壁部及び側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、
(d) 当該カムモジュールを大腿骨コンポーネントの外方先端側部に固定する保持システムと、
(e) 中間壁部及び側壁部の上部分から延在する回転停止部であって、上部分が、大腿骨コンポーネントの経路部に当接するリッジ部を形成する回転停止部と、
を備え、当該カムモジュールは、大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されている。
【0035】
本明細書で使用される「形態」は、「態様」または「本発明の目的」を意味し、その逆も意味するとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】大腿骨試験コンポーネントに位置決めされたカムモジュールを示す正面斜視図である。
【図2】本発明のさまざまな形態におけるカムモジュールの一実施形態を示す頂面斜視図である。
【図3】図2のカムモジュールを示す底面斜視図である。
【図4】大腿骨試験コンポーネントに位置決めされたカムモジュールを示す背面斜視図である。
【図5】大腿骨試験コンポーネントに対して固定されたカムモジュールを示す頂面斜視図である。
【図6】大腿骨試験コンポーネントに位置決めされたカムモジュールの別の実施形態を示す図である。
【図7】大腿骨コンポーネントに対してバネ負荷システムを介して所定位置に保持されたカムモジュールを示す正面断面図である。
【図8】図7のバネ負荷システムを示す拡大図であってカムモジュールが所定位置に固定される前のバネ負荷システムを示す拡大図である。
【図9】図7のバネ負荷システムを示す拡大図であってカムモジュールが所定位置に固定した後のバネ負荷システムを示す拡大図である。
【図10】大腿骨に配置される恒久的なインプラントの例を示す図であって、いったん大腿骨が下処理されかつ試験によって正確なコンポーネントの嵌め合わせが判断されたことを示す図である。
【図11】試験中におけるカムモジュール及び脛骨試験柱部の間の相互作用を示す図である。
【図12】患者の骨の適所にある大腿骨試験コンポーネント及び脛骨試験コンポーネントを示す正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態は、外科医が患者の大腿骨を下処理して大腿骨コンポーネントをより効率よく受け入れることを可能とするシステム及び方法を提供する。一実施形態は、規制箱部の幾何形状を有する切除部を形成するために使用されかつ試験工程のために試験コンポーネントを取り除くことなくカムモジュールを備える大腿骨試験コンポーネントを提供する。このシステムは、まず切除案内部を使用して大腿骨を下処理し、そして切除案内部を取り除いて切除案内部を試験工程のための試験コンポーネントと置換する必要性をなくす。これは、手術室の期間を短縮し、また手術エンベロープ(コンポーネントを置換し、取り除く)の複数の侵入の必要性を低減し、感染及び他の合併症の可能性を低減する。
【0038】
図1に示すように、大腿骨試験コンポーネント100と、カムモジュール10のコンポーネントと、がある。これらコンポーネントは、例えばジルコニウム、コバルト−クロム、ステンレス鋼、チタンもしくはポリエチレンまたはグラファイト及びポリマのような強固なプラスチックまたは合成物のような試験目的に適切な任意の材料で形成されている。大腿骨試験コンポーネント100は、J字状の断面を有し、「J」字の上部分は、前方部分120を形成し、「J」字のフック部は、コンポーネント100の顆状部108を形成している。これは、おそらく図4の斜視図においてより明確に示される。図4に示すように、試験コンポーネント100は、ステム部分112を有し、開口部116を有してコンポーネント100を所定位置に固定するために患者の脊髄管(intramedullary canal)に受け入れられるステム(図示略)を受け入れる突出部114となる。これにより、試験コンポーネント100は、オフセットステム、角張ったステム及びさまざまな長さ、直径のステムのようなさまざまなタイプのステムを試すことが可能となる。
【0039】
試験コンポーネント100は、さまざまな切除スロット102を有して示される。複数のスロットが特定の方向で示されているが、1以上のスロットの方向が本発明の範囲内であると考慮されることは理解すべきである。手術中において、外科医は、必要に応じて大腿骨のさまざまな切除部を形成する。外科医は、試験コンポーネント100にあるスロット102を用いてこれら切除部の切除を案内する。さらに、モジュール10が適所にない場合、開口部106は、顆状コンポーネント108間に形成される。試験コンポーネント100の開口部106は、大腿骨に箱状の切除部を下処理するために器具が通過するアクセス領域を形成する。試験コンポーネント100にある経路部110は、箱状の切除案内部、ノミ及び/またはリーマを案内するために使用される。下処理は、インプラント150の箱状部分152について骨に適切に嵌合するために必要とされる。最終的なインプラント150の例は、参照として図10に示される。以下で示されてより詳細に説明されるように、インプラント150の箱状部分152は、膝に固定するために、試験コンポーネント160の柱部162と協働する。
【0040】
図1を再び参照すると、切除スロット102に加えて、試験コンポーネント100は、1以上の固定穴部122を有する。固定穴部122は、手術中に患者の骨の適所に試験コンポーネント100を保持する留具またはピンを収容することを目的としている。
【0041】
実際のインプラントと同様に形作られている試験コンポーネントであってこれを通って切除部が形成される試験コンポーネントが使用できることは、試験コンポーネントが前方の/後方の、中間の/側方の、及び内方の/外方の大腿骨コンポーネントの回転に対して視覚的な手がかりを外科医に付与するため、便利である。そして、試験コンポーネント100を患者の骨から取り除くことなくいったん切除部が下処理されると、カムモジュール10は、開口部106に挿入され、試験目的のための試験コンポーネント100の十字靭帯を規制する幾何形状を達成する。これは、手術時間を短縮し、別のタイプの切除案内部及び試験コンポーネントのための複数の配置及び除去工程であって上述した合併症を引き起こしうる複数の配置及び除去工程の必要性を低減する。
【0042】
説明したように、カムモジュール10は、試験コンポーネント100と協働し、かつ試験コンポーネント100を完成する。カムモジュール10の一実施形態の例は、図2に示される。モジュール10は、中間及び側壁部14によって形成される本体部分12と、ベース部分16と、後壁部18と、開口部20と、カム部材22と、を有して示される。(モジュールには、説明されたこれらよりも少ない壁部が設けられてもよい。)異なるサイズのインプラントに対応して、壁部14及び18、ベース部分16及びカム部材22間の異なる間隔及び高さを有するさまざまな形態のモジュールを提供することが可能である。しかしながら、異なるサイズの大腿骨試験コンポーネント100であってすべてが同一のサイズのカムモジュール10と協働する大腿骨試験コンポーネント100を提供することも可能であり、これにより、手術中において追加の複数のカムモジュールコンポーネントが必要となることを防止する。以下でより詳細に説明するように、カムモジュール10の本体部分12は、基本的に1以上の壁部を規定し、十字靭帯を犠牲にする膝置換術における膝の運動を安定化するまたは規制する箱部を形成する。
【0043】
肩部24は、本体部分12から、一部の実施形態において中間及び側壁部14から前方に延在する。肩部24は、図1に示すように試験コンポーネント100の収容部分104に配置し固定することを補助する選択的な回動杭部26を有する。回動杭部26が有用であるが、図6に示すようにこのような杭部のないカムモジュールを提供することは可能である。回動杭部に替えて、図6に示すカムモジュールの肩部24は、試験コンポーネント100の収容部分104内に嵌合しかつ収容部分104と協働する翼部50のように形作られてもよい。蟻継ぎ型のスロット、J字状のフックのロック、ボール及び移動止め機構、磁石ロック、スナップまたはプッシュロックもしくは他の適切なロックまたは固定機構のような他の固定機構が使用されて試験コンポーネント100及びカムモジュール10の間の協働を達成してもよいことは、理解すべきである。他の固定機構が使用される場合、カムモジュール10の肩部24及び試験コンポーネント100の収容部分104が適切に形付けられてこれらが互いに嵌合することは、理解すべきである。一般的な目的は、カムモジュール10が試験コンポーネント100に容易かつ安定して保持されることと、追加の骨の下処理が必要な場合に比較的容易に取り除かれることと、である。
【0044】
肩部24及び任意の回動杭部26は、試験コンポーネント100の収容部分104に位置合わせされており、肩部及び回動杭部は、これらが回動杭部26回りにおけるモジュール10の前方の/上の回転を可能とすることを除いて、すべての方向においてカムモジュール10の運動を制限する。カムモジュール10の回転は、図3に示すように、カムモジュールの底面にある回転停止部34によって停止される。使用時において、回転停止部34は、図4に示すように、試験コンポーネント100の経路部110に当接し、モジュール10のさらなる回転運動を停止する。
【0045】
そして、カムモジュール10は、保持システム28によって試験コンポーネント100において所定位置に保持、固定される。保持システム28及び肩部24/収容部分104の界面の双方は、内方基端面(例えば骨と適合する内方部分)とは反対側で、カムモジュールが大腿骨試験コンポーネント100の(同様に外方先端側部または先端部分と称される)外方先端面118(例えば先端部における試験コンポーネントの外面)において保持されるように設計される。外方先端面118においてカムモジュールを固定することにより、カムモジュール10は、試験コンポーネントが患者の骨の適所にあると試験コンポーネント100に組み立てられることを可能とする。(これは、現在入手可能なシステムと対照的であり、このシステムは、例えば特許文献1に示すようにアダプタを試験コンポーネントに固定するネジによって大腿骨試験コンポーネントの基端面のみと協働するアダプタを提供する。この従来技術の構造の問題の1つは、実際には試験コンポーネントが大腿骨の所望位置にあるときに試験コンポーネントの基端面が骨によって隠れ、手術中にアダプタを使用するために挿入されたアダプタと骨に配置された試験コンポーネントとを患者の骨から取り除く必要があることであり、上述した問題の一部を引き起こす。)モジュール10及び試験コンポーネント100の先端面118における保持システムの一例は、図2に示される。保持システム28の別の例は、図7から図9に示される。
【0046】
ここで図2を参照すると、保持システム28の一実施形態は、弾性腕部30及び保持部材32を特徴とする。使用時において、弾性腕部30は、内方に(中間及び側壁部14に向けて)押圧される。いったんカムモジュール10が完全に挿入されると、腕部30は、腕部の中間位置に弛緩して復帰し、試験コンポーネント100に当接してモジュール10を適所に固定する。保持部材32は、同様に設けられており、試験コンポーネント100に当接して押圧し、モジュール10を適所に保持することによってさらなる固定のためのタブとして機能する。使用時におけるこのシステム28の例は、図5に示される。
【0047】
別の保持システムは、図7から図9に示される。そのシステムは、図示のように、大腿骨試験コンポーネントの顆状部分108に組み込まれた1以上のバネ62を有するバネ負荷システム60を特徴とする。バネの端部は、突出部64である。図8に示すように、カムモジュール10は、下レッジ部68、凹部分70及び上レッジ部72を有する収容部分66を有する。カムモジュール10が所定位置に回転されるにしたがって、下レッジ部68は、バネ62を外からに押圧し、モジュールが所定位置に押圧されるにしたがって、バネ62の端部の突出部64は、下レッジ部68上をスライドしてカムモジュールの収容部分における凹部分70内に置かれることが可能とされる。バネ62が弾性を有するので、モジュール10は、必要に応じて容易に取り外され、交換されることができる。使用時におけるこのシステムの例は、図9に示される。
【0048】
2つの例示的な接続機構が説明されたが、大腿骨試験コンポーネント100によってカムモジュール10が取り外し可能にロックされ、固定されまたは収容されてその肩部24回りでもはや回転できなくなることを可能とする任意の接続システムは、本発明の範囲内であると考慮すべきである。例えば、コンポーネントは、互いにスナップし、互いに固定するために磁化され、ボール及び移動止め機構によって固定され、J字状のフックのロックを有し、蟻継ぎ型のスロット及び経路部を有し、または、任意の他の適切な方法によってこの後退位置において接続してもよい。
【0049】
再び図2を参照すると、カムモジュール10は、同様にその後端部においてカム部材22を有する。カム部材22は、本質的に中間及び側壁部14の後端部の間に延在する薄棒部40である。図示のように、カム部材22は、その中間部分42においてその外端部44よりも小さい円周を有する(またはより偏心している)。これにより、膝の運動を実際のインプラントを用いて達成される膝の運動と同様にすることが補助される。端部における薄い部分は、同様に、外端部44を壁部14に固定することを補助する。カム部材22は、図10に示すように、実際のインプラントのカムを複製するように設けられている。
【0050】
図10は、インプラント150を示しており、いったん実際のコンポーネントが適所にあるとインプラント150がどのように脛骨コンポーネント(または支持インサート)160と協働するかを示している。斜視図により、図11は、試験中におけるカムモジュール及び脛骨試験柱部の間の相互作用を示す。図示のように、大腿骨試験コンポーネント100の顆状部108は、試験脛骨コンポーネントまたは支持インサート170(利便のために双方をコンポーネント170と称する)の支持面172に当接載置している。コンポーネント170は、その上面176、すなわち使用時において患者の骨と向かい合わない面から上方に延在する。大腿骨試験コンポーネント100のカム部材22は、柱部174の後部分178に当接載置する。試験中において、大腿骨試験コンポーネント100は、最適な嵌め合わせを判断するために(カム部材22を柱部174と協働させながら)回転後退される。中間、側方及び前壁部14、18すべては、柱部174を所定位置に拘束することを補助する。
【0051】
具体的には、試験中において、外方先端側部及び内方基端側部を有する大腿骨試験コンポーネントが提供され、大腿骨試験コンポーネントは、(i)試験コンポーネントに形成された切除スロットと、(ii)開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、(iii)外方先端側部にある1以上の収容部分であってカムモジュールの肩部を収容する1以上の収容部分と、を有する。外科医は、大腿骨試験コンポーネントを切除された大腿骨に配置し、箱状の切除部を下処理するための開口部を用いながら、さらなる切除を下処理する。外科医は、(i)中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、(ii)中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の肩部が大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分と協働するように構成されている1以上の肩部と、(iii)中間壁部及び側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、を有するカムモジュールを選択する。外科医は、カムモジュールの1以上の肩部を大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分内に配置し、カムモジュールは、外方先端側部において大腿骨試験コンポーネントの開口部に嵌合する。
【0052】
これら方法の一部の実施形態は、大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されたカムモジュールを有する。
【0053】
他の実施形態は、(e)柱部を有する脛骨コンポーネントを準備する工程と、(f)脛骨コンポーネントを下処理された脛骨プラトーに配置する工程と、(g)脛骨コンポーネントの柱部をカムモジュールの中間壁部及び側壁部の間に挿入する工程と、(h)患者の膝を伸張、屈曲することによって大腿骨コンポーネント及び脛骨コンポーネントを試験する工程と、をさらに備える。
【0054】
図12は、患者の膝の所定位置にあり使用中の完成された試験システムを示す正面図である。
【0055】
試験工程がいったん遂行されると、外科医は、使用される正確なインプラントのサイズを判断する。大腿骨コンポーネントは、通常金属製であり、非常に研磨された外方の顆状関節面を有している。例えば、これらは、ジルコニウム、チタン、ステンレス鋼、コバルト−クロムまたは十分な安定性及び生体適合性をもたらす任意の他の適切な金属である。稀ではあるが、セラミックスが同様に使用されることを留意すべきである。また、脛骨コンポーネントは、任意の上述の材料で形成されてもよく、支持インサートは、しばしばポリエチレン(例えば摩耗粒子を低減する超高分子量のポリエチレン)または一部の他の高密度プラスチック形態である。
【0056】
大腿骨コンポーネントが移動可能な支持インサートの脛骨コンポーネントのいずれかと協働するため、双方のコンポーネントは、この説明及び図10においてコンポーネント160と称され、いずれかがさまざまな実施形態で使用されかつ本発明の範囲内であるとみなされることは、明確である。コンポーネント160は、上方に向けられた柱部分162であって使用時において箱状部分152の開口部156を通って延在し、使用時においてインプラント150のカム154と協働する柱部分162を有して示されている。柱部162の前部分は、(モジュール10の中間及び側壁部14と基本的に対応する)インプラント150の中間及び側壁部に当接する。このシステムは、手術中に患者本来の後十字靭帯を切除した場合に後十字靭帯を置換し、インプラントの安定性を維持することを補助する。カム部材22及び開口部106を試験コンポーネント100に設ける目的は、カム154と支持部160の柱部162との協働と開口部156の柱部162との協働との間で発生する膝の運動を複製することである。試験中において、カム部材22は、膝が屈曲して脛骨を前方に亜脱臼する(押し出す)ときに脛骨柱部と係合し、中間及び側壁部14は、脛骨柱部と係合して脛骨及び大腿骨コンポーネントの過剰な側方への運動を防止する。例えば、構造の規制に基づいて、前壁部分18は、試験柱部と係合し、過剰な過伸展を防止する。
【0057】
(適所に配置されたカムモジュール10を有する)試験コンポーネント100は、試験支持コンポーネントまたは脛骨試験コンポーネントを用いて試験される。(図示されていないが、さまざまな試験支持部及び/または脛骨試験コンポーネントは、使用される最終的なコンポーネントの正確なサイズを判断するために、試験コンポーネント100と共に使用される。)システムは、所定の運動範囲を受け、この運動範囲は、安定度の差を見積もる。中間及び側壁部14は、試験コンポーネント100及び脛骨試験コンポーネントまたは支持部の間における内反/外反の安定性と部分的に回転安定性とを規制する。カム部材22は、後十字靭帯のような規制を複製するようにそもそも設けられている。前壁部18は、過伸展の安定性をもたらす。
【0058】
膝の構造、幾何形状及び動力の多様性は、プロテーゼコンポーネントのサプライヤの大部分が膝置換術のためのプロテーゼの広い選択範囲を提供することを強制する。これらは、例えば一次手術及び修正手術のための大腿骨及び脛骨コンポーネント、多孔性被覆及び非多孔性被覆のコンポーネント、さまざまな脛骨コンポーネントのプレート、一次及び修正術のためのさまざまな大腿骨コンポーネントのインタフェース、及び移動可能な支持部を特徴とする及び特徴としないプロテーゼを含む。本発明は、これら選択肢のいずれかと共に使用することを目的としている。
【0059】
変更及び改良、追加及び削除は、本発明及び以下の特許請求の範囲の範囲及び精神から逸脱することなく、上述したかつ図に示された構造及び方法になされてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 カムモジュール,モジュール、12 本体部分、14 側壁部,壁部、16 ベース部分、18 前壁部,前壁部分、20 開口部、22 カム部材、24 肩部、26 回動杭部、28 保持システム,システム、30 弾性腕部,腕部、32 保持部材、34 回転停止部、60 バネ負荷システム、66,104 収容部分、68 下レッジ部、72 上レッジ部、100 大腿骨試験コンポーネント,試験コンポーネント,コンポーネント、102 切除スロット,スロット、106,116,156 開口部、108 顆状部分,顆状部,顆状コンポーネント、110 経路部、118 外方先端面,先端面、122 固定穴部、150 インプラント、152 箱状部分、160 支持部,試験コンポーネント,コンポーネント、162,174 柱部,柱部分、170 支持インサート,コンポーネント、176 上面、178 後部分
【技術分野】
【0001】
本発明の形態は、一般的には一時的な整形外科コンポーネント、より具体的には関節置換術中に使用される試験システムに関する。記載されたシステム及び方法は、下処理的な切除に使用されるシステムを提供することによって患者の骨を下処理して恒久的なインプラントを収容し、並びに使用されるインプラントの嵌め合わせを正確に判断することを補助する。
【0002】
インプラントの一時的なコンポーネント(同様に「試験コンポーネント」と称する)は、一般に関節置換術中に使用される。これらは、外科医によって形を整えられた骨へのインプラントの嵌め合わせ及び位置合わせを試験するために使用される。しかし、使用される実際のインプラントは、これらの目的を果たし、試験的すなわち一時的なコンポーネントの使用は、実際のインプラントが損傷する危険性を排除せる。また、試験コンポーネントは、必要とされるコンポーネントの正確なサイズが判断されるまで外科医が手術部位に実際のコンポーネントを導入しなければならないこと、外科医が殺菌するコストを節約すること、及び外科医がインプラントを保護すること、を回避する。
【背景技術】
【0003】
1つの一般的なタイプの関節置換術は、膝の手術である。膝関節置換術において、外科医は、主として、2つのプロテーゼコンポーネントを患者の骨構造、第1に患者の大腿骨(大腿骨コンポーネント)、第2に患者の脛骨(脛骨コンポーネント)、に添える。大腿骨コンポーネントは、主として適切な切除後に患者の大腿骨の先端部に配置され、脛骨コンポーネントは、主として適切な下処理後に患者の脛骨プラトーに配置される。さまざまな調節は、脛骨または大腿骨表面のいずれかに切除部を形成し、さまざまなコンポーネントのサイズは、考慮される。この処理中において、膝は、コンポーネントについての適切なサイズ、嵌め合わせ及び調節を判断するために曲げられかつ伸張される。外科医は、インプラントについての適切なサイズ及び嵌め合わせを判断するためにさまざまな脛骨コンポーネントを入れ替える。
【0004】
より具体的には、試験プロテーゼは、実際のプロテーゼまたはインプラントコンポーネントを関節のそれぞれの部分に嵌合することを試すために使用される。大腿骨及び脛骨を形付けた後、外科医は、実際のプロテーゼコンポーネントに替えて脛骨コンポーネントを大腿骨及び/または脛骨に一時的に嵌合する。これにより、外科医は、所望の運動範囲で完全に静的及び動的の双方でコンポーネントの嵌め合わせ及び性能を試すことができる。実際のインプラントに替えて試験的プロテーゼを使用することにより、外科医は、この試験を実行することができ、手術部位に実際のプロテーゼコンポーネントを導入することなく実際のコンポーネントのより完全な嵌め合わせ及びより正確な性能を得ることができる。外科医がさまざまな画像技術及び触診を使用して手術前に詳細な患者の組織を観察するが、彼らは、それにもかかわらず、膝が外科的に露出されて手術が開始した後にプロテーゼコンポーネントを嵌合させるのに必要な重要な情報を得る。
【0005】
プロテーゼコンポーネントを正確に位置付けかつ嵌合することは、多くの理由により重要である。まず、患者それぞれは、異なる骨の構造及び幾何形状を有する。また、すべての軸回りにおける大腿骨に対する脛骨の運動は、患者ごとに異なる。さらに、一部の膝置換患者は、中間の/側方の、前方の/後方の、または内反の/外反の靭帯について機能的な問題を有し、膝関節の運動を規制するインプラントは、安定性を高めるために必要である。これらの事実により、外科医は、いったん靭帯を切除すると、膝の安定性を確保するために規制箱部の幾何形状と共に大腿骨インプラントを使用する必要がある。
【0006】
このような十字靭帯を犠牲にする手術のためのさまざまなシステムは、骨を下処理して恒久的なインプラントを受け入れて嵌め合わせを試すために、規制箱部の幾何形状の切除ブロック部/ガイド部と、別個の大腿骨試験コンポーネントと、を用いる。この処理において、外科医は、大腿骨に配置された切除ブロック部を用いて最初の切除部を形成する。このような切除ブロック部は、主として正方形であり(すなわち、これらは、実際のインプラントのように形付けられていない)、切除された大腿骨の適所に固定される。そして、前方及び後方の面取り切除は、骨を形付けて大腿骨コンポーネントの内方部分(すなわち、「箱状部分」)を収容する。そして、大腿骨の箱状切除である切除部は、形成される必要がある。主として、別個の大腿骨の箱状の切除案内部は、大腿骨の表面に固定されており、往復鋸(reciprocating saw)及び/または箱ノミ(box chisel)は、ノッチ部にある骨の中間の、側方のかつ近接した(かつ一部の場合において後方の)部分を取り除くことに使用される。そして、試験短縮のために、切除案内部は、取り除かれ、大腿骨試験コンポーネントであってコンポーネントに組み込まれた箱状の幾何形状を有するコンポーネントは、下処理された大腿骨に固定される。頚骨トレイは、下処理された脛骨に配置され、必要ならば、試験膝コンポーネントは、同様に選択される。いったんコンポーネントが所定位置にあると、外科医は、運動範囲及び膝の安定性を確認する。
【0007】
しかしながら、別個の規制する箱切除案内部それから別個の試験コンポーネントを使用することは、手術時間を追加し、外科医がさらに推測することを強制し、切除及び試験工程が単一のコンポーネントで実施される場合よりも一般的に効率が悪い。一部のインプラントの設計者は、大腿骨脛骨コンポーネントに螺着されるさまざまなサイズのアダプタを提供することによってこの問題を解決しようとしており、一部のアダプタは、十字靭帯を保持する手術を可能とし、他のアダプタは、十字靭帯を犠牲にする手術を可能とする。1998年7月7日にJohnson & Johnson Professional株式会社に付与された例えば特許文献1を参照されたい。他のものは、スライド保持部材と共に所定位置にロックされるスパン部材を提供している。2004年12月7日にZimmer Technology株式会社に付与された特許文献2を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5776201号明細書
【特許文献2】米国特許第6827739号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらシステムを使用するため、大腿骨試験コンポーネントは、アダプタ及びスパン部材をコンポーネントに組み込むために操作エンベロープ(operating envelope)から取り除かれる必要がある。要するに、これらシステムの双方は、大腿骨試験コンポーネントの内方または基端側の部分と協働する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の形態は、大腿骨試験コンポーネントを提供することによってこれら問題の解決を補助し、大腿骨試験コンポーネントは、箱状の切除部のための案内部として使用され、そして−患者の骨から取り除かれることなく−カムモジュールを用いて完成され、同一のコンポーネントは、試験工程のために使用される。これを達成する方法の1つは、カムモジュールを提供することであり、カムモジュールは、大腿骨試験コンポーネントの外方先端面、部分、側部と協働し、コンポーネントは、試験下処理工程で取り除かれる必要がない。
【0011】
記載されたシステム及び方法は、外科医が患者の骨を下処理してシステムを提供することによって恒久的なインプラントを収容することを補助し、システムは、下処理の箱状の切除部を案内するために使用され、そして患者の骨からシステムを取り除くことなくカムモジュールを用いて完成され、同一のコンポーネントは、試験工程に使用される。
【0012】
本発明の一態様は、大腿骨試験コンポーネントを提供し、大腿骨試験コンポーネントは、
(a) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(b) 中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成された1以上の肩部と、
(c) 中間壁部及び側壁部の後部分の間で延在するカム部材と、
を備える。
【0013】
一形態において、カムモジュールは、前壁部をさらに備え、1以上の肩部は、中間壁部、側壁部または前壁部から延在する。
【0014】
他の形態において、カムモジュールは、中間壁部及び側壁部の間にあるベース部分をさらに備える。
【0015】
さらなる形態において、1以上の肩部は、回動杭部をさらに備える。
【0016】
さらなる形態は、中間壁部及び側壁部の間に開口部を提供する。
【0017】
他の形態は、カムモジュールの開口部によって収容されるように構成された柱部を有する試験脛骨コンポーネントをさらに備える。
【0018】
さらなる形態において、カムモジュールは、大腿骨試験コンポーネントの先端面と協働する保持システムをさらに備える。
【0019】
一部の形態において、保持システムは、少なくとも1つの弾性腕部と、弾性腕部に関連付けられた少なくとも1つの保持部材と、を備え、使用時において、弾性腕部は、大腿骨試験コンポーネントへ当該カムモジュールを挿入すると押圧され、保持部材が大腿骨試験コンポーネントにある対応する構造体と協働することとを可能とする。
【0020】
他の形態において、保持システムは、バネ負荷システムを備える。
【0021】
さらなる形態は、回転停止部をさらに備える。一部の形態において、回転停止部は、中間壁部及び側壁部の上部分から延在し、使用時において大腿骨コンポーネントに当接するリッジ部を形成する。さらなる形態において、回転停止部は、大腿骨コンポーネントにある経路部に当接する。
【0022】
他の形態は、大腿骨コンポーネントであって、これに形成された1以上の切断スロットを有する大腿骨コンポーネントを提供する。また、大腿骨コンポーネントは、カムモジュールの1以上の肩部を収容する1以上の収容部分を備える。大腿骨コンポーネントは、これに形成された1以上の固定穴部をさらに備える。
【0023】
本発明の他の形態は、1以上の大腿骨試験コンポーネント、1以上の脛骨試験コンポーネント、1以上の実際の大腿骨インプラント、1以上の実際の脛骨インプラント、またはこれらの組み合わせを備えるキットのコンポーネントとしてのカムモジュールを提供する。
【0024】
他の形態は、患者の骨から大腿骨試験コンポーネントを取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントの先端面と協働するように構成されたカムモジュールを提供する。
【0025】
本発明の他の態様は、大腿骨を下処理して最終的なインプラントを収容する方法を提供し、当該方法は、
(a) 外方先端側部及び内方基端側部を有する大腿骨試験コンポーネントを準備する工程であって、大腿骨試験コンポーネントは、
(i) 大腿骨試験コンポーネントに形成された切除スロットと、
(ii) 開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、
(iii) 外方先端側部にある1以上の収容部分であって、カムモジュールの肩部を収容するための1以上の収容部分と、
を備える工程と、
(b) 切除された大腿骨に大腿骨試験コンポーネントを配置し、さらなる切除部を下処理する工程であって箱状の切除部を下処理するために開口部を使用する工程を有する工程と、
(c) カムモジュールを準備する工程であって、カムモジュールは、
(i) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(ii) 中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分と協働するように構成された1以上の肩部と、
(iii) 中間壁部及び側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、
を有する工程と、
(d) カムモジュールの1以上の肩部を大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分内に配置し、カムモジュールが大腿骨試験コンポーネントの開口部に嵌合する工程と、
を備える。
【0026】
これら方法の一部の形態は、大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されたカムモジュールを有する。
【0027】
他の形態は、
(e) 柱部を有する脛骨コンポーネントを準備する工程と、
(f) 脛骨コンポーネントを下処理された脛骨プラトーに配置する工程と、
(g) 脛骨コンポーネントの柱部をカムモジュールの中間壁部及び側壁部の間に挿入する工程と、
(h) 患者の膝を伸張、屈曲することによって大腿骨コンポーネント及び脛骨コンポーネントを試験する工程と、
をさらに備える。
【0028】
本発明の他の態様は、大腿骨を下処理して最終的なインプラントを収容するためのシステムに関し、当該システムは、
(a) 大腿骨試験コンポーネントであって、
(i) 開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、
(ii) 当該大腿骨試験コンポーネントの先端面にある1以上の収容部分であって、カムモジュールの肩部を収容するための1以上の収容部分と、
を備える大腿骨試験コンポーネントと、
(b) カムモジュールであって、
(i) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(ii) 中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が大腿骨コンポーネントと協働するように構成された1以上の肩部と、
(iii) 中間壁部及び側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、
を備えるカムモジュールと、
を備え、カムモジュールの1以上の肩部は、大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分によって固定され、カムモジュールが大腿骨試験コンポーネントの開口部に嵌合するように構成されている。
【0029】
このようなシステムの形態は、さまざまなサイズの複数の大腿骨試験コンポーネント、さまざまなサイズの複数のカムモジュール、または、これらの組合せを提供する。
【0030】
他の形態は、柱部を有する脛骨試験コンポーネントをさらに備え、柱部は、カムモジュールにおいてカム部材の前方に位置する開口部によって収容されるように構成されている。
【0031】
システムの他の形態は、さまざまなサイズの複数の大腿骨試験コンポーネント、さまざまなサイズの複数のカムモジュール、さまざまなサイズの複数の脛骨試験コンポーネント、またはこれらの組合せを提供する。
【0032】
さらなる形態は、大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されているカムモジュールを提供する。
【0033】
他の形態は、大腿骨試験コンポーネントであって、そこに形成された切除スロットを有する大腿骨試験コンポーネントを提供する。
【0034】
本発明の1つの具体的な態様は、大腿骨試験コンポーネントのカムモジュールを提供し、当該カムモジュールは、
(a) 中間壁部、側壁部、前壁部及び開口部を有する本体部分と、
(b) 中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されかつ回動杭部を有する1以上の肩部と、
(c) 中間壁部及び側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、
(d) 当該カムモジュールを大腿骨コンポーネントの外方先端側部に固定する保持システムと、
(e) 中間壁部及び側壁部の上部分から延在する回転停止部であって、上部分が、大腿骨コンポーネントの経路部に当接するリッジ部を形成する回転停止部と、
を備え、当該カムモジュールは、大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されている。
【0035】
本明細書で使用される「形態」は、「態様」または「本発明の目的」を意味し、その逆も意味するとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】大腿骨試験コンポーネントに位置決めされたカムモジュールを示す正面斜視図である。
【図2】本発明のさまざまな形態におけるカムモジュールの一実施形態を示す頂面斜視図である。
【図3】図2のカムモジュールを示す底面斜視図である。
【図4】大腿骨試験コンポーネントに位置決めされたカムモジュールを示す背面斜視図である。
【図5】大腿骨試験コンポーネントに対して固定されたカムモジュールを示す頂面斜視図である。
【図6】大腿骨試験コンポーネントに位置決めされたカムモジュールの別の実施形態を示す図である。
【図7】大腿骨コンポーネントに対してバネ負荷システムを介して所定位置に保持されたカムモジュールを示す正面断面図である。
【図8】図7のバネ負荷システムを示す拡大図であってカムモジュールが所定位置に固定される前のバネ負荷システムを示す拡大図である。
【図9】図7のバネ負荷システムを示す拡大図であってカムモジュールが所定位置に固定した後のバネ負荷システムを示す拡大図である。
【図10】大腿骨に配置される恒久的なインプラントの例を示す図であって、いったん大腿骨が下処理されかつ試験によって正確なコンポーネントの嵌め合わせが判断されたことを示す図である。
【図11】試験中におけるカムモジュール及び脛骨試験柱部の間の相互作用を示す図である。
【図12】患者の骨の適所にある大腿骨試験コンポーネント及び脛骨試験コンポーネントを示す正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態は、外科医が患者の大腿骨を下処理して大腿骨コンポーネントをより効率よく受け入れることを可能とするシステム及び方法を提供する。一実施形態は、規制箱部の幾何形状を有する切除部を形成するために使用されかつ試験工程のために試験コンポーネントを取り除くことなくカムモジュールを備える大腿骨試験コンポーネントを提供する。このシステムは、まず切除案内部を使用して大腿骨を下処理し、そして切除案内部を取り除いて切除案内部を試験工程のための試験コンポーネントと置換する必要性をなくす。これは、手術室の期間を短縮し、また手術エンベロープ(コンポーネントを置換し、取り除く)の複数の侵入の必要性を低減し、感染及び他の合併症の可能性を低減する。
【0038】
図1に示すように、大腿骨試験コンポーネント100と、カムモジュール10のコンポーネントと、がある。これらコンポーネントは、例えばジルコニウム、コバルト−クロム、ステンレス鋼、チタンもしくはポリエチレンまたはグラファイト及びポリマのような強固なプラスチックまたは合成物のような試験目的に適切な任意の材料で形成されている。大腿骨試験コンポーネント100は、J字状の断面を有し、「J」字の上部分は、前方部分120を形成し、「J」字のフック部は、コンポーネント100の顆状部108を形成している。これは、おそらく図4の斜視図においてより明確に示される。図4に示すように、試験コンポーネント100は、ステム部分112を有し、開口部116を有してコンポーネント100を所定位置に固定するために患者の脊髄管(intramedullary canal)に受け入れられるステム(図示略)を受け入れる突出部114となる。これにより、試験コンポーネント100は、オフセットステム、角張ったステム及びさまざまな長さ、直径のステムのようなさまざまなタイプのステムを試すことが可能となる。
【0039】
試験コンポーネント100は、さまざまな切除スロット102を有して示される。複数のスロットが特定の方向で示されているが、1以上のスロットの方向が本発明の範囲内であると考慮されることは理解すべきである。手術中において、外科医は、必要に応じて大腿骨のさまざまな切除部を形成する。外科医は、試験コンポーネント100にあるスロット102を用いてこれら切除部の切除を案内する。さらに、モジュール10が適所にない場合、開口部106は、顆状コンポーネント108間に形成される。試験コンポーネント100の開口部106は、大腿骨に箱状の切除部を下処理するために器具が通過するアクセス領域を形成する。試験コンポーネント100にある経路部110は、箱状の切除案内部、ノミ及び/またはリーマを案内するために使用される。下処理は、インプラント150の箱状部分152について骨に適切に嵌合するために必要とされる。最終的なインプラント150の例は、参照として図10に示される。以下で示されてより詳細に説明されるように、インプラント150の箱状部分152は、膝に固定するために、試験コンポーネント160の柱部162と協働する。
【0040】
図1を再び参照すると、切除スロット102に加えて、試験コンポーネント100は、1以上の固定穴部122を有する。固定穴部122は、手術中に患者の骨の適所に試験コンポーネント100を保持する留具またはピンを収容することを目的としている。
【0041】
実際のインプラントと同様に形作られている試験コンポーネントであってこれを通って切除部が形成される試験コンポーネントが使用できることは、試験コンポーネントが前方の/後方の、中間の/側方の、及び内方の/外方の大腿骨コンポーネントの回転に対して視覚的な手がかりを外科医に付与するため、便利である。そして、試験コンポーネント100を患者の骨から取り除くことなくいったん切除部が下処理されると、カムモジュール10は、開口部106に挿入され、試験目的のための試験コンポーネント100の十字靭帯を規制する幾何形状を達成する。これは、手術時間を短縮し、別のタイプの切除案内部及び試験コンポーネントのための複数の配置及び除去工程であって上述した合併症を引き起こしうる複数の配置及び除去工程の必要性を低減する。
【0042】
説明したように、カムモジュール10は、試験コンポーネント100と協働し、かつ試験コンポーネント100を完成する。カムモジュール10の一実施形態の例は、図2に示される。モジュール10は、中間及び側壁部14によって形成される本体部分12と、ベース部分16と、後壁部18と、開口部20と、カム部材22と、を有して示される。(モジュールには、説明されたこれらよりも少ない壁部が設けられてもよい。)異なるサイズのインプラントに対応して、壁部14及び18、ベース部分16及びカム部材22間の異なる間隔及び高さを有するさまざまな形態のモジュールを提供することが可能である。しかしながら、異なるサイズの大腿骨試験コンポーネント100であってすべてが同一のサイズのカムモジュール10と協働する大腿骨試験コンポーネント100を提供することも可能であり、これにより、手術中において追加の複数のカムモジュールコンポーネントが必要となることを防止する。以下でより詳細に説明するように、カムモジュール10の本体部分12は、基本的に1以上の壁部を規定し、十字靭帯を犠牲にする膝置換術における膝の運動を安定化するまたは規制する箱部を形成する。
【0043】
肩部24は、本体部分12から、一部の実施形態において中間及び側壁部14から前方に延在する。肩部24は、図1に示すように試験コンポーネント100の収容部分104に配置し固定することを補助する選択的な回動杭部26を有する。回動杭部26が有用であるが、図6に示すようにこのような杭部のないカムモジュールを提供することは可能である。回動杭部に替えて、図6に示すカムモジュールの肩部24は、試験コンポーネント100の収容部分104内に嵌合しかつ収容部分104と協働する翼部50のように形作られてもよい。蟻継ぎ型のスロット、J字状のフックのロック、ボール及び移動止め機構、磁石ロック、スナップまたはプッシュロックもしくは他の適切なロックまたは固定機構のような他の固定機構が使用されて試験コンポーネント100及びカムモジュール10の間の協働を達成してもよいことは、理解すべきである。他の固定機構が使用される場合、カムモジュール10の肩部24及び試験コンポーネント100の収容部分104が適切に形付けられてこれらが互いに嵌合することは、理解すべきである。一般的な目的は、カムモジュール10が試験コンポーネント100に容易かつ安定して保持されることと、追加の骨の下処理が必要な場合に比較的容易に取り除かれることと、である。
【0044】
肩部24及び任意の回動杭部26は、試験コンポーネント100の収容部分104に位置合わせされており、肩部及び回動杭部は、これらが回動杭部26回りにおけるモジュール10の前方の/上の回転を可能とすることを除いて、すべての方向においてカムモジュール10の運動を制限する。カムモジュール10の回転は、図3に示すように、カムモジュールの底面にある回転停止部34によって停止される。使用時において、回転停止部34は、図4に示すように、試験コンポーネント100の経路部110に当接し、モジュール10のさらなる回転運動を停止する。
【0045】
そして、カムモジュール10は、保持システム28によって試験コンポーネント100において所定位置に保持、固定される。保持システム28及び肩部24/収容部分104の界面の双方は、内方基端面(例えば骨と適合する内方部分)とは反対側で、カムモジュールが大腿骨試験コンポーネント100の(同様に外方先端側部または先端部分と称される)外方先端面118(例えば先端部における試験コンポーネントの外面)において保持されるように設計される。外方先端面118においてカムモジュールを固定することにより、カムモジュール10は、試験コンポーネントが患者の骨の適所にあると試験コンポーネント100に組み立てられることを可能とする。(これは、現在入手可能なシステムと対照的であり、このシステムは、例えば特許文献1に示すようにアダプタを試験コンポーネントに固定するネジによって大腿骨試験コンポーネントの基端面のみと協働するアダプタを提供する。この従来技術の構造の問題の1つは、実際には試験コンポーネントが大腿骨の所望位置にあるときに試験コンポーネントの基端面が骨によって隠れ、手術中にアダプタを使用するために挿入されたアダプタと骨に配置された試験コンポーネントとを患者の骨から取り除く必要があることであり、上述した問題の一部を引き起こす。)モジュール10及び試験コンポーネント100の先端面118における保持システムの一例は、図2に示される。保持システム28の別の例は、図7から図9に示される。
【0046】
ここで図2を参照すると、保持システム28の一実施形態は、弾性腕部30及び保持部材32を特徴とする。使用時において、弾性腕部30は、内方に(中間及び側壁部14に向けて)押圧される。いったんカムモジュール10が完全に挿入されると、腕部30は、腕部の中間位置に弛緩して復帰し、試験コンポーネント100に当接してモジュール10を適所に固定する。保持部材32は、同様に設けられており、試験コンポーネント100に当接して押圧し、モジュール10を適所に保持することによってさらなる固定のためのタブとして機能する。使用時におけるこのシステム28の例は、図5に示される。
【0047】
別の保持システムは、図7から図9に示される。そのシステムは、図示のように、大腿骨試験コンポーネントの顆状部分108に組み込まれた1以上のバネ62を有するバネ負荷システム60を特徴とする。バネの端部は、突出部64である。図8に示すように、カムモジュール10は、下レッジ部68、凹部分70及び上レッジ部72を有する収容部分66を有する。カムモジュール10が所定位置に回転されるにしたがって、下レッジ部68は、バネ62を外からに押圧し、モジュールが所定位置に押圧されるにしたがって、バネ62の端部の突出部64は、下レッジ部68上をスライドしてカムモジュールの収容部分における凹部分70内に置かれることが可能とされる。バネ62が弾性を有するので、モジュール10は、必要に応じて容易に取り外され、交換されることができる。使用時におけるこのシステムの例は、図9に示される。
【0048】
2つの例示的な接続機構が説明されたが、大腿骨試験コンポーネント100によってカムモジュール10が取り外し可能にロックされ、固定されまたは収容されてその肩部24回りでもはや回転できなくなることを可能とする任意の接続システムは、本発明の範囲内であると考慮すべきである。例えば、コンポーネントは、互いにスナップし、互いに固定するために磁化され、ボール及び移動止め機構によって固定され、J字状のフックのロックを有し、蟻継ぎ型のスロット及び経路部を有し、または、任意の他の適切な方法によってこの後退位置において接続してもよい。
【0049】
再び図2を参照すると、カムモジュール10は、同様にその後端部においてカム部材22を有する。カム部材22は、本質的に中間及び側壁部14の後端部の間に延在する薄棒部40である。図示のように、カム部材22は、その中間部分42においてその外端部44よりも小さい円周を有する(またはより偏心している)。これにより、膝の運動を実際のインプラントを用いて達成される膝の運動と同様にすることが補助される。端部における薄い部分は、同様に、外端部44を壁部14に固定することを補助する。カム部材22は、図10に示すように、実際のインプラントのカムを複製するように設けられている。
【0050】
図10は、インプラント150を示しており、いったん実際のコンポーネントが適所にあるとインプラント150がどのように脛骨コンポーネント(または支持インサート)160と協働するかを示している。斜視図により、図11は、試験中におけるカムモジュール及び脛骨試験柱部の間の相互作用を示す。図示のように、大腿骨試験コンポーネント100の顆状部108は、試験脛骨コンポーネントまたは支持インサート170(利便のために双方をコンポーネント170と称する)の支持面172に当接載置している。コンポーネント170は、その上面176、すなわち使用時において患者の骨と向かい合わない面から上方に延在する。大腿骨試験コンポーネント100のカム部材22は、柱部174の後部分178に当接載置する。試験中において、大腿骨試験コンポーネント100は、最適な嵌め合わせを判断するために(カム部材22を柱部174と協働させながら)回転後退される。中間、側方及び前壁部14、18すべては、柱部174を所定位置に拘束することを補助する。
【0051】
具体的には、試験中において、外方先端側部及び内方基端側部を有する大腿骨試験コンポーネントが提供され、大腿骨試験コンポーネントは、(i)試験コンポーネントに形成された切除スロットと、(ii)開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、(iii)外方先端側部にある1以上の収容部分であってカムモジュールの肩部を収容する1以上の収容部分と、を有する。外科医は、大腿骨試験コンポーネントを切除された大腿骨に配置し、箱状の切除部を下処理するための開口部を用いながら、さらなる切除を下処理する。外科医は、(i)中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、(ii)中間壁部または側壁部の上部分から延在する1以上の肩部であって、1以上の肩部が大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分と協働するように構成されている1以上の肩部と、(iii)中間壁部及び側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、を有するカムモジュールを選択する。外科医は、カムモジュールの1以上の肩部を大腿骨試験コンポーネントの1以上の収容部分内に配置し、カムモジュールは、外方先端側部において大腿骨試験コンポーネントの開口部に嵌合する。
【0052】
これら方法の一部の実施形態は、大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されたカムモジュールを有する。
【0053】
他の実施形態は、(e)柱部を有する脛骨コンポーネントを準備する工程と、(f)脛骨コンポーネントを下処理された脛骨プラトーに配置する工程と、(g)脛骨コンポーネントの柱部をカムモジュールの中間壁部及び側壁部の間に挿入する工程と、(h)患者の膝を伸張、屈曲することによって大腿骨コンポーネント及び脛骨コンポーネントを試験する工程と、をさらに備える。
【0054】
図12は、患者の膝の所定位置にあり使用中の完成された試験システムを示す正面図である。
【0055】
試験工程がいったん遂行されると、外科医は、使用される正確なインプラントのサイズを判断する。大腿骨コンポーネントは、通常金属製であり、非常に研磨された外方の顆状関節面を有している。例えば、これらは、ジルコニウム、チタン、ステンレス鋼、コバルト−クロムまたは十分な安定性及び生体適合性をもたらす任意の他の適切な金属である。稀ではあるが、セラミックスが同様に使用されることを留意すべきである。また、脛骨コンポーネントは、任意の上述の材料で形成されてもよく、支持インサートは、しばしばポリエチレン(例えば摩耗粒子を低減する超高分子量のポリエチレン)または一部の他の高密度プラスチック形態である。
【0056】
大腿骨コンポーネントが移動可能な支持インサートの脛骨コンポーネントのいずれかと協働するため、双方のコンポーネントは、この説明及び図10においてコンポーネント160と称され、いずれかがさまざまな実施形態で使用されかつ本発明の範囲内であるとみなされることは、明確である。コンポーネント160は、上方に向けられた柱部分162であって使用時において箱状部分152の開口部156を通って延在し、使用時においてインプラント150のカム154と協働する柱部分162を有して示されている。柱部162の前部分は、(モジュール10の中間及び側壁部14と基本的に対応する)インプラント150の中間及び側壁部に当接する。このシステムは、手術中に患者本来の後十字靭帯を切除した場合に後十字靭帯を置換し、インプラントの安定性を維持することを補助する。カム部材22及び開口部106を試験コンポーネント100に設ける目的は、カム154と支持部160の柱部162との協働と開口部156の柱部162との協働との間で発生する膝の運動を複製することである。試験中において、カム部材22は、膝が屈曲して脛骨を前方に亜脱臼する(押し出す)ときに脛骨柱部と係合し、中間及び側壁部14は、脛骨柱部と係合して脛骨及び大腿骨コンポーネントの過剰な側方への運動を防止する。例えば、構造の規制に基づいて、前壁部分18は、試験柱部と係合し、過剰な過伸展を防止する。
【0057】
(適所に配置されたカムモジュール10を有する)試験コンポーネント100は、試験支持コンポーネントまたは脛骨試験コンポーネントを用いて試験される。(図示されていないが、さまざまな試験支持部及び/または脛骨試験コンポーネントは、使用される最終的なコンポーネントの正確なサイズを判断するために、試験コンポーネント100と共に使用される。)システムは、所定の運動範囲を受け、この運動範囲は、安定度の差を見積もる。中間及び側壁部14は、試験コンポーネント100及び脛骨試験コンポーネントまたは支持部の間における内反/外反の安定性と部分的に回転安定性とを規制する。カム部材22は、後十字靭帯のような規制を複製するようにそもそも設けられている。前壁部18は、過伸展の安定性をもたらす。
【0058】
膝の構造、幾何形状及び動力の多様性は、プロテーゼコンポーネントのサプライヤの大部分が膝置換術のためのプロテーゼの広い選択範囲を提供することを強制する。これらは、例えば一次手術及び修正手術のための大腿骨及び脛骨コンポーネント、多孔性被覆及び非多孔性被覆のコンポーネント、さまざまな脛骨コンポーネントのプレート、一次及び修正術のためのさまざまな大腿骨コンポーネントのインタフェース、及び移動可能な支持部を特徴とする及び特徴としないプロテーゼを含む。本発明は、これら選択肢のいずれかと共に使用することを目的としている。
【0059】
変更及び改良、追加及び削除は、本発明及び以下の特許請求の範囲の範囲及び精神から逸脱することなく、上述したかつ図に示された構造及び方法になされてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 カムモジュール,モジュール、12 本体部分、14 側壁部,壁部、16 ベース部分、18 前壁部,前壁部分、20 開口部、22 カム部材、24 肩部、26 回動杭部、28 保持システム,システム、30 弾性腕部,腕部、32 保持部材、34 回転停止部、60 バネ負荷システム、66,104 収容部分、68 下レッジ部、72 上レッジ部、100 大腿骨試験コンポーネント,試験コンポーネント,コンポーネント、102 切除スロット,スロット、106,116,156 開口部、108 顆状部分,顆状部,顆状コンポーネント、110 経路部、118 外方先端面,先端面、122 固定穴部、150 インプラント、152 箱状部分、160 支持部,試験コンポーネント,コンポーネント、162,174 柱部,柱部分、170 支持インサート,コンポーネント、176 上面、178 後部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨試験コンポーネントのモジュールであって、
(a) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(b) 前記中間壁部または前記側壁部の上部分から前方に延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成され、このため、当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントに対して当該モジュールを所定位置に回転させる、1以上の肩部と、
を備えることを特徴とするモジュール。
【請求項2】
前壁部をさらに備え、
1以上の前記肩部は、前記中間壁部、前記側壁部または前記前壁部から延在することを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記中間壁部及び前記側壁部の間にあるベース部分をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
1以上の前記肩部は、回動杭部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記中間壁部及び前記側壁部の間に開口部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記開口部によって収容されるように構成された柱部を有する試験脛骨コンポーネントをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記大腿骨試験コンポーネントの先端面と協働する保持システムをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項8】
前記保持システムは、少なくとも1つの弾性腕部と、前記弾性腕部に関連付けられた少なくとも1つの保持部材と、を備え、
使用時において、前記弾性腕部は、前記大腿骨試験コンポーネントへ当該モジュールを挿入すると押圧され、前記保持部材が前記大腿骨試験コンポーネントにある対応する構造体と協働することとを可能とすることを特徴とする請求項7に記載のモジュール。
【請求項9】
前記保持システムは、バネ負荷システムを備えることを特徴とする請求項7に記載のモジュール。
【請求項10】
回転停止部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項11】
前記回転停止部は、前記中間壁部及び前記側壁部の上部分から延在し、使用時において大腿骨コンポーネントに当接するリッジ部を形成することを特徴とする請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
前記回転停止部は、大腿骨コンポーネントにある経路部に当接することを特徴とする請求項10に記載のモジュール。
【請求項13】
大腿骨コンポーネントは、これに形成された1以上の切断スロットを有することを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項14】
前記大腿骨コンポーネントは、当該モジュールの1以上の前記肩部を収容する1以上の収容部分を備えることを特徴とする請求項13に記載のモジュール。
【請求項15】
前記大腿骨コンポーネントは、これに形成された1以上の固定穴部をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のモジュール。
【請求項16】
当該モジュールは、1以上の大腿骨試験コンポーネント、1以上の脛骨試験コンポーネント、1以上の実際の大腿骨インプラント、1以上の実際の脛骨インプラント、またはこれらの組み合わせを備えるキットのコンポーネントとして提供されることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項17】
当該モジュールは、患者の骨から大腿骨試験コンポーネントを取り除くことなく前記大腿骨試験コンポーネントの先端面と協働するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項18】
大腿骨を下処理して最終的なインプラントを収容する方法であって、
(a) 外方先端側部及び内方基端側部を有する大腿骨試験コンポーネントを準備する工程であって、前記大腿骨試験コンポーネントは、
(i) 前記大腿骨試験コンポーネントに形成された切除スロットと、
(ii) 開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、
(iii) 前記外方先端側部にあり、モジュールの肩部を収容するための1以上の収容部分と、
を備える工程と、
(b) 切除された前記大腿骨に前記大腿骨試験コンポーネントを配置し、さらなる切除部を下処理する工程であって箱状の切除部を下処理するために前記開口部を使用する工程を有する工程と、
(c) モジュールを準備する工程であって、前記モジュールは、
(i) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(ii) 前記中間壁部または側壁部の上部分から前方に延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントの1以上の前記収容部分と協働するように構成され、このため、当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントに対して当該モジュールを所定位置に回転させる、1以上の肩部と、
(d) 前記モジュールの1以上の前記肩部を前記大腿骨試験コンポーネントの1以上の前記収容部分内に回転させ、前記モジュールが前記大腿骨試験コンポーネントの前記開口部に嵌合する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記モジュールは、前記大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく前記大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されている請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(e) 柱部を有する脛骨コンポーネントを準備する工程と、
(f) 前記脛骨コンポーネントを下処理された脛骨プラトーに配置する工程と、
(g) 前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材を有するモジュールを準備する工程と、
(h) 前記脛骨コンポーネントの前記柱部を前記カム部材の前記中間壁部及び前記側壁部の間に挿入する工程と、
(i) 患者の膝を伸張、屈曲することによって前記大腿骨コンポーネント及び前記脛骨コンポーネントを試験する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
大腿骨を下処理して最終的なインプラントを収容するためのシステムであって、
(a) 大腿骨試験コンポーネントであって、
(i) 開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、
(ii) 当該大腿骨試験コンポーネントの先端面にある1以上の収容部分であって、モジュールの肩部を収容するための1以上の収容部分と、
を備える大腿骨試験コンポーネントと、
(b) モジュールであって、
(i) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(ii) 前記中間壁部または前記側壁部の上部分から前方に延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が前記大腿骨コンポーネントと協働するように構成され、このため、当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントに対して前記モジュールを所定位置に回転させる、1以上の肩部と、
を備えるモジュールと、
を備え、
前記モジュールの1以上の前記肩部は、前記大腿骨試験コンポーネントの1以上の前記収容部分によって固定され、前記モジュールが前記大腿骨試験コンポーネントの前記開口部に嵌合するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項22】
さまざまなサイズの複数の大腿骨試験コンポーネント、さまざまなサイズの複数のモジュール、または、これらの組合せが提供されていることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
柱部を有する脛骨試験コンポーネントと、
前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材を有するモジュールと、
をさらに備え、
前記柱部は、前記モジュールにおいて前記カム部材の前方に位置する開口部によって収容されるように構成されていることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
さまざまなサイズの複数の大腿骨試験コンポーネント、さまざまなサイズの複数のモジュール、さまざまなサイズの複数の脛骨試験コンポーネント、またはこれらの組合せが提供されていることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記モジュールは、前記大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく前記大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されていることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記大腿骨試験コンポーネントは、そこに形成された切除スロットを有することを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
大腿骨試験コンポーネントのカムモジュールであって、
(a) 中間壁部、側壁部、前壁部及び開口部を有する本体部分と、
(b) 前記中間壁部または前記側壁部の上部分から前方に延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されかつ回動杭部を有し、このため、当該カムモジュールが、前記大腿骨試験コンポーネントの所定位置に回動する、1以上の肩部と、
(c) 前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、
(d) 当該カムモジュールを大腿骨コンポーネントの外方先端側部に固定する保持システムと、
(e) 前記中間壁部及び前記側壁部の上部分から延在する回転停止部であって、前記上部分が、前記大腿骨コンポーネントの経路部に当接するリッジ部を形成する回転停止部と、
を備え、
当該カムモジュールは、前記大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく前記大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されていることを特徴とするカムモジュール。
【請求項28】
前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項29】
前記モジュールが、
(iii) 前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材、
をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記モジュールが、
(iii) 前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材、
をさらに備えることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項1】
大腿骨試験コンポーネントのモジュールであって、
(a) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(b) 前記中間壁部または前記側壁部の上部分から前方に延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成され、このため、当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントに対して当該モジュールを所定位置に回転させる、1以上の肩部と、
を備えることを特徴とするモジュール。
【請求項2】
前壁部をさらに備え、
1以上の前記肩部は、前記中間壁部、前記側壁部または前記前壁部から延在することを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記中間壁部及び前記側壁部の間にあるベース部分をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
1以上の前記肩部は、回動杭部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記中間壁部及び前記側壁部の間に開口部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記開口部によって収容されるように構成された柱部を有する試験脛骨コンポーネントをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記大腿骨試験コンポーネントの先端面と協働する保持システムをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項8】
前記保持システムは、少なくとも1つの弾性腕部と、前記弾性腕部に関連付けられた少なくとも1つの保持部材と、を備え、
使用時において、前記弾性腕部は、前記大腿骨試験コンポーネントへ当該モジュールを挿入すると押圧され、前記保持部材が前記大腿骨試験コンポーネントにある対応する構造体と協働することとを可能とすることを特徴とする請求項7に記載のモジュール。
【請求項9】
前記保持システムは、バネ負荷システムを備えることを特徴とする請求項7に記載のモジュール。
【請求項10】
回転停止部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項11】
前記回転停止部は、前記中間壁部及び前記側壁部の上部分から延在し、使用時において大腿骨コンポーネントに当接するリッジ部を形成することを特徴とする請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
前記回転停止部は、大腿骨コンポーネントにある経路部に当接することを特徴とする請求項10に記載のモジュール。
【請求項13】
大腿骨コンポーネントは、これに形成された1以上の切断スロットを有することを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項14】
前記大腿骨コンポーネントは、当該モジュールの1以上の前記肩部を収容する1以上の収容部分を備えることを特徴とする請求項13に記載のモジュール。
【請求項15】
前記大腿骨コンポーネントは、これに形成された1以上の固定穴部をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のモジュール。
【請求項16】
当該モジュールは、1以上の大腿骨試験コンポーネント、1以上の脛骨試験コンポーネント、1以上の実際の大腿骨インプラント、1以上の実際の脛骨インプラント、またはこれらの組み合わせを備えるキットのコンポーネントとして提供されることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項17】
当該モジュールは、患者の骨から大腿骨試験コンポーネントを取り除くことなく前記大腿骨試験コンポーネントの先端面と協働するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項18】
大腿骨を下処理して最終的なインプラントを収容する方法であって、
(a) 外方先端側部及び内方基端側部を有する大腿骨試験コンポーネントを準備する工程であって、前記大腿骨試験コンポーネントは、
(i) 前記大腿骨試験コンポーネントに形成された切除スロットと、
(ii) 開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、
(iii) 前記外方先端側部にあり、モジュールの肩部を収容するための1以上の収容部分と、
を備える工程と、
(b) 切除された前記大腿骨に前記大腿骨試験コンポーネントを配置し、さらなる切除部を下処理する工程であって箱状の切除部を下処理するために前記開口部を使用する工程を有する工程と、
(c) モジュールを準備する工程であって、前記モジュールは、
(i) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(ii) 前記中間壁部または側壁部の上部分から前方に延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントの1以上の前記収容部分と協働するように構成され、このため、当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントに対して当該モジュールを所定位置に回転させる、1以上の肩部と、
(d) 前記モジュールの1以上の前記肩部を前記大腿骨試験コンポーネントの1以上の前記収容部分内に回転させ、前記モジュールが前記大腿骨試験コンポーネントの前記開口部に嵌合する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記モジュールは、前記大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく前記大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されている請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(e) 柱部を有する脛骨コンポーネントを準備する工程と、
(f) 前記脛骨コンポーネントを下処理された脛骨プラトーに配置する工程と、
(g) 前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材を有するモジュールを準備する工程と、
(h) 前記脛骨コンポーネントの前記柱部を前記カム部材の前記中間壁部及び前記側壁部の間に挿入する工程と、
(i) 患者の膝を伸張、屈曲することによって前記大腿骨コンポーネント及び前記脛骨コンポーネントを試験する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
大腿骨を下処理して最終的なインプラントを収容するためのシステムであって、
(a) 大腿骨試験コンポーネントであって、
(i) 開口部によって分離された大腿骨顆状コンポーネントと、
(ii) 当該大腿骨試験コンポーネントの先端面にある1以上の収容部分であって、モジュールの肩部を収容するための1以上の収容部分と、
を備える大腿骨試験コンポーネントと、
(b) モジュールであって、
(i) 中間壁部及び側壁部を有する本体部分と、
(ii) 前記中間壁部または前記側壁部の上部分から前方に延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が前記大腿骨コンポーネントと協働するように構成され、このため、当該肩部が、前記大腿骨試験コンポーネントに対して前記モジュールを所定位置に回転させる、1以上の肩部と、
を備えるモジュールと、
を備え、
前記モジュールの1以上の前記肩部は、前記大腿骨試験コンポーネントの1以上の前記収容部分によって固定され、前記モジュールが前記大腿骨試験コンポーネントの前記開口部に嵌合するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項22】
さまざまなサイズの複数の大腿骨試験コンポーネント、さまざまなサイズの複数のモジュール、または、これらの組合せが提供されていることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
柱部を有する脛骨試験コンポーネントと、
前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材を有するモジュールと、
をさらに備え、
前記柱部は、前記モジュールにおいて前記カム部材の前方に位置する開口部によって収容されるように構成されていることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
さまざまなサイズの複数の大腿骨試験コンポーネント、さまざまなサイズの複数のモジュール、さまざまなサイズの複数の脛骨試験コンポーネント、またはこれらの組合せが提供されていることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記モジュールは、前記大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく前記大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されていることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記大腿骨試験コンポーネントは、そこに形成された切除スロットを有することを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
大腿骨試験コンポーネントのカムモジュールであって、
(a) 中間壁部、側壁部、前壁部及び開口部を有する本体部分と、
(b) 前記中間壁部または前記側壁部の上部分から前方に延在する1以上の肩部であって、1以上の当該肩部が、大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されかつ回動杭部を有し、このため、当該カムモジュールが、前記大腿骨試験コンポーネントの所定位置に回動する、1以上の肩部と、
(c) 前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材と、
(d) 当該カムモジュールを大腿骨コンポーネントの外方先端側部に固定する保持システムと、
(e) 前記中間壁部及び前記側壁部の上部分から延在する回転停止部であって、前記上部分が、前記大腿骨コンポーネントの経路部に当接するリッジ部を形成する回転停止部と、
を備え、
当該カムモジュールは、前記大腿骨試験コンポーネントを患者の骨から取り除くことなく前記大腿骨試験コンポーネントと協働するように構成されていることを特徴とするカムモジュール。
【請求項28】
前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項29】
前記モジュールが、
(iii) 前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材、
をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記モジュールが、
(iii) 前記中間壁部及び前記側壁部の後部分の間に延在するカム部材、
をさらに備えることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−6079(P2013−6079A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223078(P2012−223078)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2009−534557(P2009−534557)の分割
【原出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(397071355)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (186)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2009−534557(P2009−534557)の分割
【原出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(397071355)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (186)
【Fターム(参考)】
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