説明

試験装置および試験方法

【課題】 配電系統への影響を実際に近い形で効率的に評価できる試験装置及び試験方法を提供する。
【解決手段】実施形態の試験装置は、配電線側電圧模擬装置、配電線模擬回路、電圧検出器、電圧指令生成器、変換装置、三相電流アンプを備える。前記配電線側電圧模擬装置は実配電用変圧器の配電線側電圧を、指定された倍率で縮小した電圧を発生する。前記配電線模擬回路は前記配電線側電圧模擬装置に接続され、実配電線の長さに応じた電力の損失量を電気的に模擬する。前記電圧指令生成器は前記配電線模擬回路に接続され、実試験対象の被試験装置が接続された接続端子を有し、前記電圧検出器により検出された前記配電線模擬回路の電圧値から電圧指令値を生成する。前記変換装置は前記電圧指令値に応じて、入力された交流電圧を三相交流電圧に変換して前記接続端子から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、配電系統に連系する自然エネルギーを利用する分散電源や需要家内の負荷装置および配電系統の運用を多種多様な系統条件の下で所定期間連続して、省スペース、省コストで試験する試験装置および試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の試験装置として、特許文献1には多種多様な配電系統を模擬して配電機器の総合動作試験を行うことができる試験装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に示されている試験装置は任意の配電系統に配置された配電機器の総合動作試験を行うもので、電源を模擬する電源ユニットと変電所を模擬する変電所ユニットと配電線を模擬する配電線ユニットと負荷を模擬する負荷ユニットとから構成されている。
【0004】
この試験装置は、電源ユニット、変電所ユニット、配電線ユニットおよび負荷ユニットを適宜組合せて相互間を適宜配線で接続することにより任意の配電系統を模擬する配電系統模擬回路を形成し、これに配電機器として例えば区分開閉器とこの区分開閉器を制御する開閉器子局とを接続して、区分開閉器および開閉器子局の総合動作試験を行う。
【0005】
また、特許文献2には、配電系統に接続して使用される実機器を、省スペース、低コストで試験できる配電系統に接続する実機器の試験装置が開示されている。
【0006】
配電系統を電子回路で模擬した配電系統模擬回路と実機器との間に設けるアクティブパワーインタフェースを、実機器側の電圧、電流を検出する電圧センサ及び電流センサと、この電圧VR、電流IRをn/m倍、N/M倍した電圧(n/m)VR、電流(N/M)IRが配電系統模擬回路側の電圧、電流となるように制御する電圧制御ユニットと、配電系統模擬回路側の電圧、電流を検出する電圧センサおよび電流センサと、この電圧VS、電流ISをそれぞれm/n倍、M/N倍した電圧(m/n)VS、電流(M/N)ISが電圧VR、電流IRとなるように制御する電流制御ユニットとで構成する。
【0007】
また、特許文献3には分散型電源を連系した配電系統の運用を所定期間にわたり実験的に試験することができる試験装置が開示されている。
【0008】
送り出し電圧調整部は模擬的な配電系統へ送り出し電圧を供給する。複数の配電線路は、配電線として用いられる架空線を模擬的に等価な回路で表している。複数の開閉器は、送り出し電圧調整部と複数の配電線路との間、及び複数の配電線路間に接続される。また計測部は、複数の負荷回路と分散型電源部と、送り出し電圧調整部、配線線路、開閉器、負荷回路及び分散型電源出力部によりなる配電系統における電圧及び電流に関する値を計測する。制御部は、計測部からの電圧及び電流に関する計算値に基づいた試験をするために配電系統を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−205334号公報
【特許文献2】特開2005−134280号公報
【特許文献3】特開2008−8766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1で開示された従来の試験装置は、分散型電源や蓄電池を試験対象とした試験装置について開示したものではなく、分散型電源や蓄電池の系統連系による配電系統への影響や効果の検証という点での記載はない。
【0011】
また、上記特許文献2は太陽光発電システムの実機器を電子回路で構成した配電系統模擬回路に直接接続して試験する試験装置について開示しているが、実機器と配電系統模擬回路との間に設けるアクティブパワーインタフェースをオペアンプや抵抗等の電子回路で構成しているため、容量の大きい実機器を接続した試験ができない課題がある。また配電系統模擬回路の負荷の大きさや場所等の設定条件変更等の開示がなく、配電系統の模擬条件を変更した場合の太陽光発電システムの実機器の試験を容易にできないという問題がある。
【0012】
また、上記特許文献3は、配電系統を模擬する配電線路手段に、分散型電源出力を模擬的に発生する分散型電源出力手段を接続して分散型電源を連系した配電系統の運用を所定期間で試験する試験装置を開示しており、分散型電源や負荷装置の実機器を接続した試験ができないという問題がある。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、配電系統の構成や負荷の条件を容易に変更できる省スペースの模擬配電系統に、容量の大きい分散型電源や負荷装置の実機器を接続でき、さらに分散型電源や負荷装置の実機器の模擬配電系統への接続点を容易に変更して、所定期間の分散型電源や負荷装置の実機器の試験や分散型電源や負荷の出力変化等による配電系統への影響を実際に近い形で効率的に評価できる試験装置及び試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施形態の試験装置は、配電線側電圧模擬装置、配電線模擬回路、電圧検出器、電圧指令生成器、変換装置、電流検出器、電流指令生成器、三相電流アンプを備える。前記配電線側電圧模擬装置は実配電用変圧器の配電線側電圧を、指定された倍率で縮小した電圧を発生する。前記配電線模擬回路は前記配電線側電圧模擬装置に接続され、実配電線の長さに応じた電力の損失量を電気的に模擬する。前記電圧検出器は前記配電線模擬回路の電圧値を検出する。前記電圧指令生成器は前記配電線模擬回路に接続され、実試験対象の被試験装置が接続された接続端子を有し、前記電圧検出器により検出された電圧値から電圧指令値を生成する。前記変換装置は前記電圧指令生成器により生成された前記電圧指令値に応じて、入力された交流電圧を三相交流電圧に変換して前記接続端子から出力する。前記電流検出器は前記接続端子を流れる電流値を検出する。前記電流指令生成器は前記電流検出器により検出された電流値から三相電流指令値を生成する。前記三相電流アンプは前記三相電流指令値に応じた三相電流を前記配電線模擬回路との間で入出力する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の試験装置の構成を示す図である。
【図2】配電線模擬回路の一例を示す構成図である。
【図3】負荷分散電源模擬装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。図1は実施形態の試験装置の構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、この実施形態の試験装置は、可変模擬電圧発生装置1と、配電線路を模擬する配電線模擬回路2と、負荷や分散型電源の電気入出力を模擬する1つ以上の負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dと、三相または単相の電圧源4と、連系装置5と、接続選択スイッチ6と、単相変圧器7と、三相被試験対象の三相被試験装置8と、単相被試験対象の単相被試験装置9と、運用管理装置50とを有している。
【0018】
可変模擬電圧発生装置1は、配電用変圧器の配電線側電圧を模擬する装置であり、実際の配電用変圧器の配電線側電圧を、運用管理装置50から指定された倍率で縮小した電圧を発生する配電線側電圧模擬装置として機能する。可変模擬電圧発生装置1は、実際の配電用変圧器の配電線側電圧が三相6.6kVとし、運用管理装置50から指定された倍率が例えば1/33倍とすると、単相200Vなどの電圧を発生する。
【0019】
配電線模擬回路2は、可変模擬電圧発生装置1と連系装置10および被試験対象の装置(三相被試験装置8および単相被試験装置9など)との間に接続されている。すなわち、配電線模擬回路2は可変模擬電圧発生装置1と被試験対象の装置(三相被試験装置8および単相被試験装置9など)との間に配線されるべき実際の配電線の長さに応じた電力の損失量(電力の減衰量または電力負荷)を電気的に模擬する回路である。配電線模擬回路2は、3つの配電線模擬回路2a、2b、2cから構成されている。
【0020】
負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dは、各配電線のエリア内の負荷や分散電源を模擬するものとする。
【0021】
電圧源4は、連系装置5内の交直変換器20aに接続される。交直変換器20aが単相変換器の場合、電圧源4は単相交流を発生するものとする。また交直変換器20aが三相変換器の場合、電圧源4は三相交流を発生するものとする。連系装置5内の交直変換器20bは三相交流変換器とし、単相変圧器7に三相交流で接続される。
【0022】
接続選択スイッチ6は、連系装置5と配電線模擬回路2の3つの回路2a、2b、2cとの接続先を切り替えて(選択して)接続する。つまり接続選択スイッチ6は、配電線模擬回路2a、2b、2cを切り替える回路切換スイッチである。これにより配電線模擬回路2全体としての抵抗とリアクタンスの値が可変される。
【0023】
単相変圧器7は、三相回路と単相回路を連系する回路である。三相被試験装置8および単相被試験装置9は、被試験対象となる実機または実機相当の装置である。
【0024】
運用管理装置50は、この試験装置における試験データの設定や各回路および装置間の時刻同期、試験中の計測データの収集および評価、試験の開始/停止の制御、接続選択スイッチ6の切替制御などの制御動作を行う。
【0025】
運用管理装置50と、可変模擬電圧発生装置1と、配電線模擬回路2a、2b、2cと、負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dと、連系装置5と、接続選択スイッチ6と、三相被試験対象の三相被試験装置8と、単相被試験対象の単相被試験装置9とは、互いに情報を通信可能な通信網、例えばローカルネットワーク等の通信線60で接続されている。
【0026】
連系装置5は、変換装置10と、電流検出器11と、電流指令生成器12と、三相電流アンプ13と、電圧検出器14と、電圧指令生成器15とを有している。
【0027】
連系装置5は、被試験対象の装置(三相被試験装置8および単相被試験装置9など)が接続された接続端子5aを有している。
【0028】
変換装置10は、電圧指令生成器15により生成された電圧指令値に応じて、電圧源4から入力された交流電圧を三相交流電圧に変換して接続端子5aから出力する。
【0029】
電流検出器11は、接続端子5aに接続されており、接続端子5aに流れる電流を計測する。つまり電流検出器11は接続端子5aを流れる電流値を検出する。
【0030】
電流指令生成器12は、電流検出器11により計測(検出)された電流値から三相電流指令値を生成する。三相電流アンプ13は、三相電流指令値に応じた三相電流を配電線模擬回路2a、2b、2cとの間で入出力する。
【0031】
電圧検出器14は、三相電流アンプ13と配電線模擬回路2a、2b、2cとの間に発生する電圧を検出する。つまり電圧検出器14は配電線模擬回路2の電圧値を検出する。
【0032】
電圧指令生成器15は、電圧検出器14により計測(検出)された電圧値から電圧指令値を生成する。
【0033】
変換装置10は、2つの交直変換器20a、20bと直流コンデンサ21を有しており、交流電圧を直流電圧に変換する。変換装置10は、電圧指令生成器15により生成された電圧指令値に応じて、電圧源4から入力された交流電圧を三相交流電圧に変換して接続端子5aから出力する。
【0034】
運用管理装置50は、予め設定された試験条件に応じて接続選択スイッチ6を切り替える。
【0035】
運用管理装置50は、変換装置10の接続端子5aに接続された三相被試験装置8および単相被試験装置9から、試験期間における配電電圧値の時系列データを取得して試験データとしてメモリなどの記憶装置に記憶しておき、記憶装置に記憶した時系列データを参照して需要電力と供給電力の関係がある一定の範囲に入るように可変模擬電圧発生装置1を制御して可変模擬電圧発生装置1が発生する電圧を配電線模擬回路2a、2b、2cに印加する。また記憶装置には試験用に各装置に提供するためのデータが記憶されているものとする。
【0036】
また、運用管理装置50は、試験期間に対応する負荷や分散電源出力の有効電力値と無効電力値の時系列データを参照して、負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dに有効電力と無効電力を発生させて配線線模擬回路2a、2b、2cに印加し、三相被試験装置8および単相被試験装置9の電流出力および配線線模擬回路2a、2b、2cの電圧値を取得し、予め設定された閾値と比較し、比較結果を出力する。
【0037】
続いて、この実施形態の試験装置の動作を説明する。
この実施形態の場合、可変模擬電圧発生装置1と1つ以上の配電線模擬回路2a、2b、2cのそれぞれは直列に接続されており、可変模擬電圧発生装置1で発生する三相交流電圧を三相の配電線模擬回路2a、2b、2cに印加する。
【0038】
可変模擬電圧発生装置1の三相交流電圧は配電線模擬回路2a、2b、2cの定格電圧を考慮して電圧を発生させる。
【0039】
可変模擬電圧発生装置1は試験開始前に運用管理装置50から通信線60を介して時刻同期信号と時系列電圧指令値データを入力して可変模擬電圧発生装置1内の時刻を運用管理装置50と同期させ時系列電圧指令値データを装置内に保存する。
【0040】
次に運用管理装置50が発信する試験開始信号を入力した後、時刻に対応した時系列電圧指令値データに一致する電圧を出力すると同時に可変模擬電圧発生装置1の出力端で電圧値を計測し運用管理装置50で設定する計測時間毎に通信線60を介して運用管理装置50に送出する。運用管理装置50から通信線60を介して試験停止信号を入力すると可変模擬電圧発生装置1は停止し電圧出力値をゼロとする。
【0041】
可変模擬電圧発生装置1は、この可変模擬電圧発生装置1から配電線模擬回路2a、2b、2c側への有効電力の出力と、配電線模擬回路2a、2b、2c側から可変模擬電圧発生装置1への有効電力の入力とが可能であるものとする。すなわち可変模擬電圧発生装置1は有効電力の出力と入力にそれぞれ対応できる。
【0042】
配電線模擬回路2a、2b、2cは定格電圧を実配電線の定格電圧の1/Mとし、定格電流を実配電線の定格電流の1/N倍とし、定格容量を実配電線の定格容量の1/(M×N)としたものとする。
【0043】
例えば、実配電線の定格電圧を6.6kV、定格電流を300Aとして、配電線模擬回路2a、2b、2cの定格電圧を200V、定格電流を10Aとすると、Mは33でNは30となり、配電線模擬回路2a、2b、2cの定格容量は実配電線の定格容量の1/990となる。
【0044】
また、実配電用変圧器の配電線側電圧が、例えば6.7kVの場合の模擬は、6.7k/6.6k×200=203.03となるので、実効値203.3Vの交流線間電圧を可変模擬電圧発生装置1で発生する。
【0045】
図2に示すように、例えば配電線模擬回路2aは、リアクトル31a、31b、31cと抵抗32a、32b、32cと距離変更スイッチ33a、33b、33cと電圧電流周波数センサ34a、34bとを有している。配電線模擬回路2a、2b、2cはそれぞれ実配電線の線路長akm相当の電力減衰量を実配電線と等価的に模擬する。
【0046】
つまり、この配電線模擬回路2aには、模擬する定格電圧を実配電線の定格電圧の1/M、模擬する定格容量を実配電線の定格容量の1/(M×N)とするように抵抗値とリアクタンス値が設定されている。配電線模擬回路2a、2b、2cはこの条件下で実配電線を等価的に模擬する。
リアクトル31a、31b、31cと抵抗32a、32B、32cは電力減衰回路であり、距離変更スイッチ33a、33b、33cを開閉することで、リアクトル31a、31b、31cと抵抗32a、32B、32cの値の比率を一定に保持したまま、それぞれの素子の値を可変可能である。
【0047】
配電線模擬回路2a、2b、2cは、リアクトル31a、31b、31cと抵抗32a、32B、32cの値を可変することで、配電線の長さを変えた場合の配電線を模擬する。なお他の配電線模擬回路2b,2cの構成も同様である。
【0048】
配電線模擬回路2aはリアクトル31aとリアクトル31bとリアクトル31cとで実配電線のakm相当のリアクトルを等価的に模擬する。
【0049】
同様に抵抗32aと抵抗32bと抵抗32cとで実配電線のakm相当の抵抗を等価的に模擬する。すなわち、配電線模擬回路2aは実配電線の長さに応じた電力の損失量(電力負荷)を電気的に模擬するものである。
【0050】
ここでは、説明を簡易化するため、リアクトル31aとリアクトル31bとリアクトル31cの各リアクタンス値は等値とし、また抵抗32aと抵抗32bと抵抗32cの各抵抗値は等値とする。
【0051】
図2の構成では、3つの距離変更スイッチ33a、33b、33cの開閉状態に応じて実配電線の線路長akm相当の配電線模擬を3等分した(a/3)km単位で、実配電線の線路長を離散的に変更できる。
【0052】
例えば距離変更スイッチ33aを閉とし、距離変更スイッチ33bと距離変更スイッチ33cを開放する(「開」とする)と、リアクトル31aと抵抗32aは短絡され(2a/3)Kmの配電線模擬回路となる。
【0053】
なお、図2の例では、3つの距離変更スイッチ33a、33b、33cを持つ構成について説明したが、距離変更スイッチの数は2つでも4つ以上であってもよく、距離変更スイッチは1つ以上あればよい。
【0054】
このように配電線模擬回路2a、2b、2cでは、配電線模擬回路2a、2b、2c内それぞれのn個の距離変更スイッチの開閉を行う(選択する)ことで、各配電線の線路長a km相当の模擬をn等分した0kmからakmを(a/n)km単位で各々離散的に変更でき、3つの配電線模擬回路2a、2b、2cで 0Kmらa kmまでの配電線路を(a/3)km刻みで模擬できる。
【0055】
配電線模擬回路2a、2b、2cの距離設定は試験開始前に運用管理装置50から配電線模擬回路2a、2b、2c内の距離変更スイッチ(配電線模擬回路2aの場合は33a、33b、33c)に対してスイッチ開閉指令を送り、距離変更スイッチ33a、33b、33cはスイッチ開閉指令に従いスイッチを開または閉の状態にする。
【0056】
また試験中は、配電線模擬回路2a、2b、2c内の電圧電流周波数センサ(配電線模擬回路2aの場合は電圧電流周波数センサ34a、34b)で計測される3相線間電圧と3相線電流と周波数の計測値とを運用管理装置50に予め設定された計測時間毎に運用管理装置50に通信線60を介して送出する。
【0057】
1つ以上の配電線模擬回路2a、2b、2cに対し1つ以上の負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dが並列に接続される。
【0058】
負荷分散電源模擬装置3a、3b、3cは、配電線に接続される負荷や分散電源の時系列の有効電力と無効電力を地域毎に時刻毎に合算した有効電力と無効電力を目標値として設定し、この有効電力目標値と無効電力目標値に相当する有効電力と無効電力とを配電線模擬回路2a、2b、2cとの接続点に発生するものである。
【0059】
図3に示すように、負荷分散電源模擬装置3aは、データ保存装置41と、PQV検出器42と、電流指令生成器43と、三相電流アンプ44とを有している。
なおPQVとはPが有効電力を表しQが無効電力を表しVが三相線間電圧を表す略称である。
【0060】
データ保存装置41には、試験開始前に運用管理装置50から通信線60を介して送出される負荷分散電源模擬装置3aが時刻に応じて入力または出力する有効電力値と無効電力値の試験期間に対応する時系列データが保存される。
【0061】
また、データ保存装置41には、運用管理装置50からの時刻同期信号が入力されることで、運用管理装置50の時刻とデータ保存装置41の時刻との時刻同期が行われる。
【0062】
運用管理装置50が発信する試験開始信号が電流指令生成器43に入力されると、電流指令生成器43は、PQV検出器42で検出される負荷分散電源模擬装置3aの出力端子での有効電力計測値と無効電力計測値と、三相線間電圧計測値と、データ保存装置41から現時刻に負荷分散電源模擬装置3aが出力する有効電力の目標値と無効電力の目標値とを取り込む。
【0063】
電流指令生成器43は、三相線間電圧値から有効電力目標値と無効電力目標値に追従する有効電力と無効電力を出力するに必要となる三相電流の振幅と三相線間電圧に対する三相電流の位相とからなる三相電流指令値を算出する。
【0064】
試験中は、負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dで各々計測された有効電力計測値と無効電力計測値と三相線間電圧値とが、運用管理装置50で設定する計測時間毎に負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dから通信線60を介して運用管理装置50に送出される。
【0065】
三相電流アンプ44は三相電流指令値に相当する三相電流を出力する。なおこの三相電流アンプ44は電流を出力または入力でき、負荷分散電源模擬装置3aは有効電力出力と無効電力出力とをそれぞれ独立に正または負を組合せた4象限内の出力ができるものする。
【0066】
負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dは保存する有効電力値と無効電力値の時系列データの現時刻に対応する目標値を読み出しながら入力あるいは出力する有効電力と無効電力を発生する。
【0067】
負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dから配電線模擬回路2a、2b、2c側へ有効電力を出力すると負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dは配電系統へ有効電力を出力する分散電源発電装置の模擬装置となり、配電線模擬回路2a、2b、2c側から負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dへ有効電力を入力すると負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dは配電系統から有効電力を入力する負荷の模擬装置となる。
【0068】
負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dの定格線間電圧は、配電線模擬回路2a、2b、2cの定格電圧と同等とし、配電線模擬回路2a、2b、2cの定格容量を実配電線の定格容量の1/(M×N)としたのと同様に運用管理装置50から負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dへ送信して保存する有効電力目標値と無効電力目標値の時系列データは実配電線での地域内の負荷や分散電源の有効電力と無効電力をそれぞれ時刻毎に合算した有効電力値と無効電力値の1/(M×N)とする。
【0069】
単相変圧器7は1次側を三相交流とし2次側を単相交流とし、連系装置5に接続されない単相変圧器7のもう一方の端子は単相交流とする。
【0070】
ここでは説明を簡単化するため単相変圧器7の変圧比は1:1とする。単相変圧器7の連系装置5側の端子には三相交流の被試験対象となる三相被試験装置8を接続し、単相変圧器7のもう一方の端子には単相の被試験対象となる単相被試験装置9を接続する。
【0071】
三相被試験装置8と単相被試験装置9との合計容量は変換装置10の容量以下とすればよく、三相被試験装置8と単相被試験装置9を同時に接続することや、複数の負荷機器を同時に接続する、例えば単相被試験装置を戸建て需要家内の複数の家電品としてもよい。また三相被試験装置8と単相被試験装置9は冷蔵庫やテレビやエアコンや電子レンジなどの家電機器、および家庭用の太陽光発電装置や燃料電池等の自家発電装置であってもよい。
【0072】
この構成の試験装置では、運用管理装置50からの試験開始信号を通信線60を介して連系装置5に入力することで連系装置5は運転開始し、電圧源4の交流電圧を交直変換器20aで直流コンデンサ21の直流電圧が一定になるように制御しながら直流電圧に変換し、交直変換器20bは直流電圧から後述する交流電圧指令値に応じた交流電圧を出力する。
【0073】
この交流電圧は三相被試験装置8に印加され、また単相変圧器7を介して単相交流に変換されて単相被試験装置9に印加される。三相被試験装置8と単相被試験装置9に流れる電流は変換装置10を介して電圧源4から入力あるいは電圧源4へ入力される。
【0074】
連系装置5内の電流検出器11では交直変換器20bと単相変圧器7との間を流れる三相電流を計測する。三相電流の計測値は各相毎に計測した3つの単相電流値とする。三相電流の計測値は電流指令生成器12へ送られる。
【0075】
電流指令生成器12では、入力された3つの単相電流計測値から三相電流アンプ13の三相電流の指令値を生成する。三相電流指令値は、U相、V相、W相の各相に対応する3つの指令値で構成される。
ここで、交直変換器20bと単相変圧器7の間の三相交流の線間定格電圧をA[V]とし、配電線模擬回路2a、2b、2cの三相交流の線間定格電圧をB[V]とした場合、電流指令生成器12で生成される三相電流アンプ13の三相電流指令値は、
三相電流アンプ13の三相電流指令値 (U相、V相、W相)=
電流指令生成器12で入力した単相電流計測値
(U相、V相、W相)/(M×N)×A/B
とする。
【0076】
三相電流指令値は三相電流アンプ13に送られ、三相電流アンプ13は三相電流指令値に相当する3つの単相電流からなる三相電流を出力する。
【0077】
なお、電流指令生成器12で入力した3つの単相電流計測値が不平衡状態の場合には、三相電流アンプ13から出力される三相電流は不平衡状態となる。この三相電流は接続選択スイッチ6で接続されている配電線模擬回路2a、2b、2cのいずれかの端子へ入力される。
【0078】
接続選択スイッチ6の接点は、試験開始前に運用管理装置50から通信線60を介して接続選択スイッチ6に送信される接続情報に従い切り替えられ、接続される。つまり運用管理装置50からの制御により接続選択スイッチ6が切り替えられて、配電線模擬回路2a、2b、2cのいずれかが連系装置5と接続される。
【0079】
接続選択スイッチ6の接続点は、三相被試験装置8または単相被試験装置9を接続したい配電線上での接続点となる配電線模擬回路2のいずれかの端子に決定され、接続選択スイッチ6の接点を変更すると、三相被試験装置8や単相被試験装置9の配電線の接続位置を変更できる。
【0080】
電圧検出器14は三相電流アンプ13の三相交流電圧値を計測し三相交流電圧値を電圧指令生成器15へ送る。三相交流電圧値は接続選択スイッチ6で接続されている配電線模擬回路2a、2b、2cのいずれかの端子の三相相線間電圧の実効値と等値である。
【0081】
電圧指令生成器15は、三相交流電圧値から交直変換器20bの交流電圧指令値を算出する。
【0082】
交直変換器20bと単相変圧器7の間の三相交流の線間定格電圧をA[V]とし、配電線模擬回路2a、2b、2cの三相交流の線間定格電圧をB[V]とすると、
電圧指令生成器15の交流電圧指令値=
(A/B)×三相電流アンプ13の三相交流電圧値………式
で示すことができ、この式により交流変換器20bの交流電圧指令値を算出する。
【0083】
このように三相被試験装置8または単相被試験装置9には連系装置5を接続する配電線模擬回路2a、2b、2cの接続端の線間電圧値を(A/B)倍に等価変換した線間電圧が印加される。
【0084】
すなわち電圧指令生成器15は、配電線模擬回路の電圧検出器14により検出された電圧値を(B/A)倍して変換装置10の電圧指令値を生成する。
【0085】
また電流指令生成器12は、連系装置5内の電流検出器11により検出された接続端子5aの電流値を(B/(A×M×N))倍して三相電流アンプ13の三相電流指令値を生成する。
【0086】
また三相被試験装置8または単相被試験装置9が電力供給源の場合、被試験装置からの電流は、各相電流値をA/(M×N×B)倍に等価変換した各相電流が接続選択スイッチ6で切り替えられて接点に接続された配電線模擬回路(配電線模擬回路2a、2b、2cのいずれか)から配電線模擬回路2へ入力される。
【0087】
試験中は三相被試験装置8や単相被試験装置9には三相被試験装置8や単相被試験装置9が接続される配電線位置の配電線電圧が連系装置5を介して等価変換されて三相被試験装置8や単相被試験装置9に印加され、電圧印加により生じる負荷電流が連系装置5を介して等価変換されて配電線模擬回路2に注入される。
【0088】
試験中には、接続選択スイッチ6の三相交流電圧と三相交流電流及び、交直変換器20b端の三相交流電圧と三相交流電流と、三相被試験装置8と単相被試験装置9の交流電圧と交流電流の各計測値(計測データ)が、運用管理装置50に予め設定された計測時間毎に通信線60を介して運用管理装置50へ送出され、内部の記憶装置に蓄積される。
【0089】
運用管理装置50は、試験後に記憶装置に蓄積された試験時の計測データから、各時刻毎の配電線模擬回路2a、2b、2cの電圧値が規定範囲内であるかを確認し、負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3d及び三相被試験装置8や単相被試験装置9の有効電力と無効電力の変化および配電線への接続点による配電線電圧への影響の有無を確認する。さらに三相被試験装置8や単相被試験装置9などの被試験装置の交流電圧と交流電流の各計測値を確認して被試験装置の故障や停止の有無を確認し、試験期間に渡る被試験装置の配電線接続時の問題発生の有無を確認する。なお、問題発生の有無の確認は自動であっても手動であってもよい。
【0090】
このように運用管理装置50から送出して設定する試験条件(可変模擬電圧発生装置1の電圧値、配電線模擬装置2a、2b、2cの配電線距離、負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dの時系列の有効電力値と無効電力値、接続選択スイッチ6の接続点など)を試験毎に変更して配電線の条件(電力負荷:距離)を変更しながら三相被試験装置8や単相被試験装置9の系統接続試験を実施する。
【0091】
このようにこの実施形態によれば、可変模擬電圧発生装置1に配電線模擬回路2a、2b、2cをm個直列に接続し、負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dをそれぞれ配電線模擬回路2a、2b、2cの端子にk個並列に接続し、可変模擬電圧発生装置で電圧を印加する構成では、配電線模擬回路2a、2b、2cの定格電圧を実配電線定格電圧の1/Mとし、配電線模擬回路2a、2b、2cの定格電流を実配電線定格電圧の1/Nとし、配電線の線路長を最長a×m kmとして刻みa/n kmで自由に変更でき、多様な配電線構成を自由に等価模擬することができる。
【0092】
負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dで有効電力値と無効電力値の時系列データを実配電線での有効電力と無効電力の1/(M×N)として与えることで、定格容量が実配電線の定格容量に対して1/(M×N)の有効電力や無効電力を入出力する負荷や分散電源を配電線模擬回路2a、2b、2cの任意の端子にn個接続した配電系統を模擬することができる。
【0093】
このように配線線の線路長や配電線での負荷や分散電源の分布とその大きさを自由に変更でき、実配電線に対して容量を等価変換した多様な配電線構成を模擬できる。
【0094】
負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dの有効電力値と無効電力値の時系列データを所定期間に対応する時間長分準備し、この時系列データを参照しながら負荷分散電源模擬装置3a、3b、3c、3dの有効電力値と無効電力値の入出力を時々刻々変化させ、かつ所定期間の実配電用変電所の電圧変化に対応するように可変模擬電圧発生装置1の電圧値を時々刻々変化させると実配電系統を等価的に容量変換した配電系統を所定期間模擬できる。
【0095】
さらに接続選択スイッチ6を介して連系装置5を配線線模擬回路2a、2b、2cの任意の端子に接続し、この接続点の線間電圧を配電線模擬回路2a、2b、2cの三相交流の線間定格電圧と交直変換器20bと単相変圧器7の間の三相交流の線間定格電圧との比率を考慮して等価変換した三相電圧を発生して三相被試験対象8に印加し、また単相変圧器7を介して単相化した単相電圧を単相被試験対象9に印加し、三相被試験対象8や単相被試験対象9への電圧印加時に発生する交直変換器20bと単相変圧器7の間の3相電流を配電線模擬回路2a、2b、2cの三相交流の定格電流と交直変換器20bと単相変圧器7の間の三相交流の定格電流との比率を考慮して接続選択スイッチ6で接続される配電線模擬回路2a、2b、2cの端子へ電流を注入することができる。
【0096】
これにより、配電線模擬回路2a、2b、2cで実配電線を等価的に模擬し実機相当の三相被試験装置8や単相被試験装置9を接続し、さらに実配電線の電圧変化に対応して等価的に変化する配電線模擬回路2a、2b、2cの電圧を三相被試験装置8や単相被試験装置9の定格電圧相当に等価変換して三相被試験装置8や単相被試験装置9に印加できるので、実配電線に三相被試験装置8や単相被試験装置9を接続した際の三相被試験装置8や単相被試験装置9の応答や特性を配電線模擬回路2a、2b、2cで試験し、その動作や性能を検証することができる。なお配電線模擬回路2a、2b、2cは上記のように配線線路長や負荷分布等の条件を変更できるので、様々な配電線構成で三相被試験装置8や単相被試験装置9を接続した試験を効率的に実施することができる。
【0097】
また配電線を等価模擬した回路を使用するので、実配電線相当の試験に比して省スペースで試験が可能である。
【0098】
さらに、実機相当の三相被試験装置8や単相被試験装置9に電圧を印加した際の電流を配電線模擬回路2の定格電流を考慮して等価変換して配電線模擬回路2に注入できる。これにより配電線模擬回路2では三相被試験装置8や単相被試験装置9の電圧と電流との関係である負荷特性を反映できるので、配電線模擬回路2での模擬精度を高く評価できる。
【0099】
また各装置からデータを収集して制御する運用管理装置50を設け、運用管理装置50は、変換装置10の接続端子5aに接続された被試験装置(三相被試験装置8や単相被試験装置9)から、試験期間における配電電圧値の時系列データを取得し、取得した時系列データを参照して需要電力と供給電力の関係がある一定の範囲に入るように可変模擬電圧発生装置1を制御して可変模擬電圧発生装置1が発生する電圧を配電線模擬回路に印加すると共に、試験期間に対応する負荷や分散電源出力の有効電力値と無効電力値の時系列データを参照して、負荷分散電源模擬装置3a,3b,3c,3dに有効電力と無効電力を発生させて配線線模擬回路2に印加し、三相被試験装置8や単相被試験装置9の電流出力および配電線模擬回路2の電圧値を取得し、予め設定された評価用の閾値と比較し、比較結果を出力する。これにより、配電線を模擬した配電線模擬回路2を実機に接続して試験を所定期間行うことで、実配線に、より近い形で試験の結果を総合的に評価することができる。
【0100】
すなわち、配電系統の構成や負荷の条件を容易に変更できる省スペースの模擬配電系統に、容量の大きい分散型電源や負荷装置の実機器を接続でき、さらに分散型電源や負荷装置の実機器の模擬配電系統への接続点を容易に変更して、所定期間の分散型電源や負荷装置の実機器の試験や分散型電源や負荷の出力変化等による配電系統への影響を実際に近い形で効率的に評価することができる。
【0101】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0102】
また上記実施形態に示した各構成要素を、コンピュータのハードディスク装置などのストレージにインストールしたプログラムで実現してもよく、また上記プログラムを、コンピュータ読取可能な電子媒体:electronic mediaに記憶しておき、プログラムを電子媒体からコンピュータに読み取らせることで本発明の機能をコンピュータが実現するようにしてもよい。電子媒体としては、例えばCD−ROM等の記録媒体やフラッシュメモリ、リムーバブルメディア:Removable media等が含まれる。さらに、ネットワークを介して接続した異なるコンピュータに構成要素を分散して記憶し、各構成要素を機能させたコンピュータ間で通信することで実現してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…可変電圧発生装置、2a、2b、2c…配電線模擬回路、3a、3b、3c、3d…負荷分散電源模擬装置、4…電圧源、5…連系装置、6…接続選択スイッチ、7…単相変圧器、8…被試験対象の三相被試験装置、9…被試験対象の単相被試験装置、10…変換装置、11…電流検出器、12…電流指令生成器、13…三相電流アンプ、14…電圧検出器、15…電圧指令生成器、20a、20b…交直変換器、21…直流コンデンサ、31a、31b、31c…リアクトル、32a、32B、32c…抵抗、33a、33b、33c…距離変更スイッチ、34a、34b…電圧電流周波数センサ、41…データ保存装置、42…PQV検出器、43…電流指令生成器、44…三相電流アンプ、50…運用管理装置、60…通信線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実際の配電用変圧器の配電線側電圧を、指定倍率で縮小した電圧を発生する配電線側電圧模擬装置と、
前記配電線側電圧模擬装置に接続され、実際の配電線の長さに応じた電力の損失量を電気的に模擬する配電線模擬回路と、
前記配電線模擬回路の電圧値を検出する電圧検出器と、
前記配電線模擬回路に接続され、試験対象の被試験装置が接続された接続端子を有し、前記電圧検出器により検出された電圧値から電圧指令値を生成する電圧指令生成器と、
前記電圧指令生成器により生成された前記電圧指令値に応じて、入力された交流電圧を三相交流電圧に変換して前記接続端子から出力する変換装置と、
前記接続端子を流れる電流値を検出する電流検出器と、
前記電流検出器により検出された電流値から三相電流指令値を生成する電流指令生成器と、
前記三相電流指令値に応じた三相電流を前記配電線模擬回路との間で入出力する三相電流アンプと
を具備する試験装置。
【請求項2】
前記配電線模擬回路の定格電圧を実配電線の定格電圧の1/Mとし、定格電流を実配電線の定格電流の1/Nとし、前記配電線模擬回路の定格電圧をA[V]とし、前記変換装置の前記接続端子の定格電圧をB[V]とした場合、
前記電圧指令生成器は、
前記電圧検出器により検出された前記配電線模擬回路の電圧値を(B/A)倍して前記変換装置の電圧指令値を生成し、
前記電流指令生成器は、
前記電流検出器により検出された前記接続端子の電流値を(B/(A×M×N))倍して三相電流アンプの三相電流指令値を生成する
請求項1記載の試験装置。
【請求項3】
有効電力値と無効電力値の時系列データを参照し、時刻に応じた有効電力と無効電力を発生する負荷や分散電源の出力を模擬する負荷分散電源模擬装置を具備する請求項1記載の試験装置。
【請求項4】
前記配電線模擬回路は、
抵抗およびリアクタンスで構成された電力減衰回路を有し、前記抵抗と前記リアクタンスとの値の比率を一定に保持したまま、それぞれの素子の値を可変可能であり、前記抵抗と前記リアクタンスの値を可変することで、配電線の長さを変えた場合の配電線を模擬する請求項1記載の試験装置。
【請求項5】
前記配電線模擬回路の抵抗とリアクタンスの値を可変するための回路切換スイッチと、
予め設定された試験条件に応じて前記回路切換スイッチを切り替える運用管理装置と
を具備する請求項1記載の試験装置。
【請求項6】
前記運用管理装置は、
前記接続端子に接続された前記被試験装置から、試験期間における配電電圧値の時系列データを取得し、取得した時系列データを参照して需要電力と供給電力の関係がある一定の範囲に入るように前記配電線側電圧模擬装置を制御して前記配電線側電圧模擬装置が発生する電圧を前記配電線模擬回路に印加すると共に、前記試験期間に対応する負荷や分散電源出力の有効電力値と無効電力値の時系列データを参照して、前記負荷分散電源模擬装置に有効電力と無効電力を発生させて前記配線線模擬回路に印加し、前記被試験装置の電流出力および前記配電線模擬回路の電圧値を取得し、予め設定された閾値と比較し、比較結果を出力すること特徴とする請求項5記載の試験装置。
【請求項7】
実際の配電用変圧器の配電線側電圧を、指定倍率で縮小した電圧を、配電線側電圧模擬装置が発生し、
前記配電線側電圧模擬装置に接続された配電線模擬回路が、実際の配電線の長さに応じた電力の損失量を電気的に模擬し、
前記配電線模擬回路の電圧値を電圧検出器が検出し、
前記配電線模擬回路に接続された電圧指令生成器が、試験対象の被試験装置が接続された接続端子を有し、前記検出された電圧値から電圧指令値を生成し、
生成された前記電圧指令値に応じて、入力された交流電圧を三相交流電圧に変換して前記被試験装置へ出力し、
前記接続端子を流れる電流値を電流検出器が検出し、
前記検出された電流値から電流指令生成器が三相電流指令値を生成し、
前記生成された三相電流指令値に応じた三相電流を三相電流アンプが前記配電線模擬回路との間で入出力する
ことを特徴とする試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−40833(P2013−40833A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177384(P2011−177384)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】