説明

詰替え容器

【課題】本発明の解決しようとする課題は、口栓等の別部材を使用することなく、注出口の形成が容易かつ確実にでき、しかも開封時に内容液が飛び跳ねたりしにくく、詰め替え操作が容易かつ迅速で確実にできる詰替え容器を提案するものである。
【解決手段】基材とシーラント層を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、1枚の積層体をシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と本体表面積層体と本体裏面積層体を形成し、該折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており、該注出ノズルの先端は注出口先端シール部によってシールされており、開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成し、該開封予定線は、前記注出口先端シール部の際から5mm以下の距離に設けられたことを特徴とする詰替え容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品等を収納する詰め替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤や柔軟仕上げ剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品は、それぞれ使いやすいような形状の専用容器に収納されている。専用容器は、構造もしっかりしており、従って高価であることから、内容物が無くなった段階で、繰り返し使用することができるように、内容物のみを詰替える詰替え容器入りの製品が別途販売されていることが多い。
【0003】
例えば液体洗剤の容器は、洗剤を使用する時にその都度適切な量を計量して取り出す必要があるため、軽量カップに注ぎやすいように、注出口にノズルを備えた剛性のあるプラスチック容器が、繰り返し使用容器として用いられている。この容器に対して、内容物を補充するための詰め替え用の容器としては、軟包装フィルムからなる柔軟な容器に、注出口を形成した容器や、口栓を取付けた容器が一般的に使用されている。
【0004】
繰り返し使用する剛性の容器は、もっぱら注出し易いように設計されているため、繰り返し使用する容器に対して、詰替え容器から内容物を補充する詰替え操作の利便性を考慮したものでは、必ずしもなかった。
【0005】
また一方、詰替え容器も、もっぱら安価に製造することに重点を置くあまり、必ずしも詰替え操作の利便性を考慮したものではなかった。
【0006】
繰り返し使用する容器に設けられたノズルを利用して、詰替え容器の開封を行うことができ、さらに詰替え中に、詰替え容器が自立するために、手で保持しなくてもよい詰替え容器が提案されている。この手放し詰め替え容器は、繰り返し使用する容器の開口部に着脱可能かつ脱落不能に連結される結合部材と、詰め替え容器本体を密封する容器密封部材とを備えた詰め替え容器である(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に記載された詰め替え容器は、繰り返し使用する容器と詰め替え容器を結合するために、口栓部に、結合部材と容器密封部材という2つの部材を用いているため、容器のコストが高いものとならざるを得ない。また詰め替え容器を、繰り返し使用する容器の開口部にねじ込んで使用する構造であるため、両者の結合は確実であるが、反面、操作が面倒であるばかりでなく、口栓のコスト面においても不利であるという欠点があった。
【0008】
コストの面からは、図7に示したような表裏2枚の包装フィルムの周縁をシールしてなる包装袋が有利である。この詰替え用包装袋は、容器の口径に見合った任意の巾の注出口を設けることができるが、表裏2枚のフィルムの端縁部をシールして注出口部を形成した場合、内容物を注出する際、開口部がシールされた両端に引張られ、表裏のフィルムが疑似密着状態となり、注出口が閉塞してしまうという問題がある。
【0009】
この注出口が閉塞する問題を解決するために、注出口部にフィルムとは別部材のパーツを挿入したり(特許文献2参照)、注出口部付近のフィルムを膨らませて立体形状とすることで、開口面積を確保したりするものが多く提案されている。
【0010】
しかしこれらの包装袋は、別部材を取り付ける工程や、フィルムにエンボス加工を施す
工程などが増加するという問題の他、表裏2枚のフィルムをシールしてなる開口部は、両端にシール部が存在するため、その分だけ開口巾が狭くなり、十分な開口面積を確保することができないという基本的な問題があった。
【0011】
この問題を解決するために、包装袋を構成するフィルムを折り曲げて、注出口の片側を形成し、注出口のシール部を片側だけとする包装袋が提案されている(特許文献3、4参照)。これらの包装袋においては、注出口が閉塞する問題や、注出口部の開口面積が不足するという問題は解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-99082号公報
【特許文献2】特開平5-132069号公報
【特許文献3】特開平11-236053号公報
【特許文献4】特開2008-18991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献3、4に示されたような、注出口の片側が折り曲げられたフィルムで構成されている包装袋の場合、注出口を開口するために開封線に沿って開封する際に、注出口内部に残留した内容液がはねて飛び散ったり、手に付着するという問題があることが判明した。この現象は、内容液の粘性が高いほど顕著であることも分った。これは、両端がシールされた注出口と異なり、片側が折り曲げられているため、未開封の状態であってもそこには空間が存在し、この空間に内溶液が残留しているため、開封時に飛び散るものと考えられる。
【0014】
本発明の解決しようとする課題は、口栓等の別部材を使用することなく、注出口の形成が容易かつ確実にでき、しかも開封時に内容液が飛び跳ねたりしにくく、詰め替え操作が容易かつ迅速で確実にできる詰替え容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基材とシーラント層を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、本体表面積層体と本体裏面積層体を有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体をシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し、該折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており、該注出ノズルの先端は注出口先端シール部によってシールされており、開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成し、該開封予定線は、前記注出口先端シール部の際から5mm以下の距離に設けられたことを特徴とする詰替え容器である。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、基材とシーラント層を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、本体表面積層体と本体裏面積層体と底テープを有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体をシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し、前記底テープは、容器の下部にあって折り曲げられており、底テープの一端は本体表面積層体と、他端は本体裏面積層体とそれぞれボトムシール部を形成して容器底面を構成し、前記折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており、該注出ノズルの先端は注出口先端シール部によってシールされており、開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成し、該開封予定線は、前記注出口先端シール
部の際から5mm以下の距離に設けられたことを特徴とする詰替え容器である。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、前記開封予定線上に、レーザーによる易カット加工が施されていることを特徴とする請求項1または2記載の詰替え容器である。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、前記注出ノズルを形成する注出口シール部の抜き加工部と反対の側に、該抜き加工部に納まる形状の把手を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の詰替え容器である。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、前記折り曲げ部の一部を切り開き、内容物充填用開口部としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の詰替え容器である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る詰替え容器は、基材とシーラント層を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、本体表面積層体と本体裏面積層体を有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなるものであるから、プラスチックボトルや、プラスチック製の口栓を使用した容器などと異なり、軟包装用積層体のみから製造することができるため、安価に製造することができる。
【0021】
また、本発明に係る詰替え容器は、1枚の積層体をシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し、該折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成したので、大面積の直線状の流出路を安定して確保することが可能となり、その結果円滑かつ迅速な詰め替え操作が可能となった。
【0022】
また、開封予定線を、前記注出口先端シール部の際から5mm以下の距離に設けたので、開封時に開封予定線上に残留する内容液量が少なくなり、このため開封時に内溶液が飛び散ったり、手を汚したりする恐れが少なくなった。
【0023】
前記開封予定線上に、レーザーによる易カット加工が施されている場合には、開封予定線に沿った正確な開封が容易に可能となる。
【0024】
また、請求項2に記載した発明においては、本体表面積層体と本体裏面積層体と底テープを有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、前記底テープは、容器の下部にあって折り曲げられており、底テープの一端は本体表面積層体と、他端は本体裏面積層体とそれぞれボトムシール部を形成して容器底面を構成したいわゆるスタンディングパウチとしたので、大容量の詰替え容器とすることが可能となる。
【0025】
また前記注出ノズルを形成する注出口シール部の抜き加工部と反対の側に、該抜き加工部に納まる形状の把手を設けた場合には、この把手を持って詰替え操作を行うことができるので、より安全にまた容易に詰替え操作を行うことができる。また把手は抜き加工部に納まる形状であるから、連続したフィルムから打ち抜いて製造する場合に、フィルムの無駄が生じない。
【0026】
また、前記折り曲げ部の一部を切り開き、内容物充填用開口部とした場合には、他のシール部分を充填用開口部とすることができないような形状の容器であっても、安定した充填操作が可能となる。
【0027】
本発明に係る詰替え容器は、ノズルキャップを有する繰り返し使用する容器のノズルを前記注出ノズルに挿入可能とした場合、水平に保持した注出ノズルに前記繰り返し使用す
る容器のノズルを挿入した後に、注出ノズルが垂直になるように容器を傾けることにより、迅速な詰め替えを可能とした詰替え容器となり、本発明の効果が最大限に発揮される。すなわち、本発明に係る詰替え容器は、1枚の積層体を折り曲げた折り曲げ部の存在によって、注出口が自然に開くので、目的とする容器のノズルを挿入し易く、またノズルに合わせて注出口の寸法を設計することにより、ノズルにぴったり合った注出口とすることができる。このため、水平に保持した注出ノズルに繰り返し使用する容器のノズルを挿入した後に、注出ノズルが垂直になるように傾けることにより、迅速な詰替え操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明に係る詰替え容器の一実施態様を示した模式図である。
【図2】図2(1)は、図1のCC断面を示した断面模式図である。また(2)は、詰替え容器を構成する積層体の層構成を示した断面模式図である。
【図3】図3(1)は、本発明に係る詰替え容器の注出ノズル部の拡大図である。また(2)は、注出口部の先端を切り取り、注出口を開口した状態を示した拡大図である。また(3)は、注出口部の断面模式図である。
【図4】図4は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図である。
【図5】図5(1)は、図4のDD断面を示した断面模式図である。また(2)は、容器本体を開いた状態を示した断面模式図である。
【図6】図6は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図である。
【図7】図7は、従来の詰替え容器の一例を示した模式図である。
【図8】図8〜10は、本発明に係る詰替え容器を用いた一連の詰替え操作を示した模式図であり、図8は、詰替え容器を開封し、繰返し使用する容器本体のノズルを詰替え容器の注出口に挿入しようとする状態を示した模式図である。
【図9】図9は、容器本体のノズルが詰替え容器の注出口に完全に挿入された状態を示した模式図である。
【図10】図10は、容器本体と詰替え容器全体を引き起こし、一気に詰替える状態を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下本発明に係る詰替え容器について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る詰替え容器の一実施態様を示した模式図である。また図2(1)は、図1のCC断面を示した断面模式図である。また(2)は、詰替え容器を構成する積層体の層構成を示した断面模式図である。また図3(1)は、本発明に係る詰替え容器の注出ノズル部32の拡大図である。また(2)は、注出口部の先端を切り取り、注出口を開口した状態を示した拡大図である。また(3)は、注出口部31の断面模式図である。
【0030】
本発明に係る詰替え容器1は、図2(2)に示したように、基材11とシーラント層12を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、図1、図2(1)に示したように本体表面積層体2と本体裏面積層体3を有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体をシーラント層12を内側にして折り曲げて、折り曲げ部6と前記本体表面積層体2と前記本体裏面積層体3を形成し、該折り曲げ部6は、注出口シール部24aと共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズル32を形成しており、該注出ノズル32の先端は開封予定線34に沿って切り離すことにより注出口31を形成することができる。また開封予定線34は、前記注出口先端シール部24bの際から5mm以下の距離に設けられたことを特徴とする。
【0031】
本発明に係る詰替え容器における第一の特徴は、折り曲げ部6を有することである。折り曲げ部6は、1枚の積層体をシーラント層12を内側にして天部で折り曲げて形成したものであり、折り曲げ部6は、折り曲げ部6の下部に設けた注出口シール部24aおよび抜き加工部25と共に、注出口31に至る内容物の流出路33を形成している。折り曲げ部6における積層体の戻ろうとする弾性の働きにより、流出路33の断面は、常に上部が膨らんだ状態となる。このため、注出口31の断面積を広く確保することが可能となり、一度に大量の内容物を排出することが可能となる。
【0032】
また本発明に係る詰替え容器における第二の特徴は、開封予定線34が、前記注出口先端シール部24bの際から5mm以下の距離に設けられたことである。図3(1)に示した注出ノズル部32の拡大図において、開封つまみ8を持って開封した時、注出口シール部24aから出発した表面積層体の裂け目と裏面積層体の裂け目は、それぞれ開封予定線34に沿って上昇し、注出ノズル32の上部付近で出会い、図3(2)に示したように注出口31を形成する。この時、開封予定線34が、前記注出口先端シール部24bの際から5mm以下の距離に設けられていると、開封時に内溶液が飛び散ったり、内容液で手を汚したりする危険性が大幅に低減することが分った。
【0033】
開封予定線34は、開封位置を示す仮想的な線であるが、開封位置を明らかにするために、実際に印刷表示等を行っても良い。また、開封予定線34は、本体表面積層体2および本体裏面積層体3の外側面に連続して設けたハーフカット線であることが好ましい。このようにすることにより、開封予定線34の部分を手で引き裂いて注出口31を容易に形成することが可能となる。ハーフカット線は、刃物によって形成する方法と、レーザー加工によって形成する方法が一般に用いられているが、レーザー加工による方法の方が均一で安定した切れ目を形成できるので好ましい。レーザーの種類としては、炭酸ガスレーザーがより好ましい。
【0034】
図3(1)に示した注出口先端シール部24bの際から開封予定線34までの距離Aが5mm以下である場合には、開封時の内容液の飛び散り等が発生しにくいことが実験的に確認されている。Aの値は、小さいほど良いが、あまりに小さく設定すると、裂け目が注出口先端シール部24b内に侵入し、うまく開口されない恐れがあるので、0.1mm以上が好ましい。Aの値のより好ましい範囲は、0.1mm以上1mm以下である。
【0035】
図1に示した実施態様においては、本体表面積層体2と本体裏面積層体3は、サイドシール部22とボトムシール部23においてシールされて袋状となっている。実際の容器では、内容物を充填するための充填用開口部が必要であるが図1では省略されている。図1に示された実施態様においては、ボトムシール部23ないしはサイドシール部22に充填用開口部を設けることができる。
【0036】
開封予定線34に相当する注出口シール部にV字型やU字型のノッチや切込み線を設けたり、注出口シール部の先端部を広巾に加工して開封つまみ8を設けたりすることにより、開封のし易さが向上する。
【0037】
本発明に係る詰替え容器に使用する積層体としては、通常軟包装袋に使用される積層体
を用いることができる。基材11としては、1層ないしは数層からなる紙や金属箔や合成樹脂フィルムを使用する。一例を挙げれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂フィルムおよび紙、金属箔等が単体または、複合して使用される。基材11には、必要に応じて印刷層や接着剤層が含まれる。
【0038】
紙としては、上質紙、片アート紙、コート紙、キャストコート紙、模造紙などを用いることができる。通常、注出口を安定して開口させるために、注出ノズルにエンボス加工を施すことがあるが、積層体に紙を用いた場合には、エンボス加工により紙に割れが生じるといった不具合が生じていた。しかしながら、本発明では、1枚の積層体を折り曲げることで、注出口を安定して開口させており、エンボス加工を必要としていないため、環境配慮の点からも、紙を用いることは有効である。
【0039】
シーラント層12としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが使用される。またこれらの樹脂を複合した多層フィルムが使用されることもある。
【0040】
積層体の具体的な構成例としては、PET/印刷層/接着剤層/延伸ポリアミド樹脂フィルム(以下ONYと略す)/接着剤層/LLDPEからなる構成のフィルムや、ONY/接着剤層/LLDPE、ONY/接着剤層/ONY/接着剤層/LLDPE、紙/LDPE/アルミニウム箔/LDPE、紙/LDPEなどが挙げられる。
【0041】
図4は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図であり、図5(1)は、図4のDD断面を示した断面模式図である。また図5(2)は、容器本体を開いた状態を示した断面模式図である。
【0042】
この実施態様においては、詰替え容器1は、本体表面積層体2と本体裏面積層体3と底テープ4を有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなる。底テープ4は、容器の下部にあってシーラント層が外側になるように折り曲げられており、底テープ4の一端は本体表面積層体2と共にボトムシール部23を形成し、他の端は本体裏面積層体3と共にボトムシール部23を形成して容器底面を構成する。この形式の包装袋は、いわゆるスタンディングパウチと称されるものであり、底面が大きく広がるため大容量の容器を実現できる特徴を有している。
【0043】
折り曲げ部6は、1枚の積層体をシーラント層を内側にして天部で折り曲げて、形成されており、折り曲げ部6は注出口シール部24aおよび抜き加工部25と共に、注出口31に至る内容物の流出路33を形成している。このようにすることにより、特に内容物が液体の場合には、内容物を注出する際、内容物が直線状の流出路33を円滑に流れるために、迅速な注出を可能とする。この特徴は、この実施態様においては、容器が大容量であるためにより一層効果的なものとなっている。
【0044】
またこの実施態様においては、折り曲げ部6の一部を切り開き、内容物を充填するための充填用開口部41としている。図3では、充填用開口部41をシールしてトップシール部21を形成した状態を示している。このように、容器の天部に充填用の開口部が存在すると、内容物の充填操作がやり易くなる利点がある。
【0045】
図6は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した模式図である。
この実施態様においては、注出ノズル32を形成する注出口シール部24aの抜き加工部25と反対の側に、抜き加工部25に納まる形状の把手26を設けたことを特徴とする。注出口シール部24aに抜き加工部25を形成することにより、流出路33は、突出した注出ノズル32として形成されることになる。抜き加工部25の形状は、繰り返し使用する容器の口栓部周辺の構造に応じて、適当な形状を選択することができる。
【0046】
図6に示した詰替え容器を製造するには、容器の高さに相当する巾のほぼ2倍の巾にスリットした積層体をシーラント層面を内側にして天部で折り曲げて対向させ、本体表面積層体2と本体裏面積層体3とし、これを連続的に供給し、この間にシーラント層面が外側になるように二つ折りにした底テープ4を連続的に供給し、必要なシールを行った後に、打ち抜いて容器とする。
【0047】
抜き加工部25は、本来廃棄される部分であるが、図7に示したように、把手26を、隣の詰替え容器27の抜き加工部25に納まるような形状とすれば、特に材料の増加もなく、把手26を付加することができる。把手26が存在することにより、この把手26を持って詰替え操作を行うことができるので、より安全にまた容易に詰替え操作を行うことができる。
【0048】
またこの実施態様においては、折り曲げ部6の一部を切り開き、内容物を充填するための充填用開口部41としている。この例では、サイドシール部22に抜き加工部25や把手26が存在するために、折り曲げ部6以外に、十分な巾をもった充填用開口部を設けることが困難である。従って、充填用開口部41の位置としては、折り曲げ部6に設けるのが好ましい。
【0049】
図8〜10は、本発明に係る詰替え容器を用いた一連の詰替え操作の例を示した模式図である。図8に示したように、本発明に係る詰替え容器1を保持し、注出ノズル32の先端をカットして注出口31を開く。この注出口31に空になった繰り返し使用容器51のノズル52を挿入する。この図では、繰り返し使用容器51は、ノズル52を有するノズルキャップ53を備えたプラスチック容器である。
【0050】
次に図9に示したように詰替え容器1の注出ノズル32を繰り返し使用容器51のノズルキャップ53に確実に挿入した状態とする。次に図10に示したように、繰り返し使用容器51と詰替え容器1の位置関係を一定に保ちながら、注出ノズル32が垂直になるように全体を引き起こすと、詰替え容器1中の内容物が一気に繰り返し使用容器51に注入される。
【0051】
このように、本発明に係る詰替え容器は、特別のプラスチック製の口栓等を使用せずに、大面積の注出口を確保することが可能であり、またこの注出口の大きさは、目的とする繰り返し使用容器の口栓の形状に合わせて自由に設計することができるので、迅速な詰替え操作が可能な専用詰替え容器として極めて価値の高いものである。
以下実施例に基づいて、本発明に係る詰替え容器についてさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0052】
本体表面積層体および本体裏面積層体として以下の構成からなる積層体を使用した。
<積層体の構成>
PET(東レ社製P60、12μm)/印刷層/接着剤層(東洋モートン社製TM272、3g/m(dry))/ONY(ユニチカ社製ONMB、15μm)/接着剤層(同上)/LLDPE(東セロ社製TUX−FCS、150μm)
底テープとして以下の構成からなる積層体を使用した。
<積層体の構成>
ONY(ユニチカ社製ONM、25μm)/LLDPE(同上、120μm)
【0053】
上記の積層体を用いて、図4に示した形状のスタンディングパウチを作製した。なお充填用開口部としては、折り曲げ部の一部をカットし、充填用開口部とした。また注出ノズル先端部の注出口となるべき開封予定線をレーザー加工によるハーフカット線とした。こうして得られた詰替え容器に液体洗剤、シャンプー、消臭剤を充填し、充填開口部をヒートシールして評価用容器とした。この時、開封予定線の位置について、図3に示したA寸法が0.1mmとなるようにした。
【実施例2】
【0054】
A寸法を0.5mmとした以外は、実施例1と同様にして詰替え容器を作製し、同様の内容物を充填した。
【実施例3】
【0055】
A寸法を1mmとした以外は、実施例1と同様にして詰替え容器を作製し、同様の内容物を充填した。
【実施例4】
【0056】
A寸法を2mmとした以外は、実施例1と同様にして詰替え容器を作製し、同様の内容物を充填した。
【実施例5】
【0057】
A寸法を5mmとした以外は、実施例1と同様にして詰替え容器を作製し、同様の内容物を充填した。
<比較例1>
【0058】
A寸法を6mmとした以外は、実施例1と同様にして、詰替え容器を作製し、同様の内容物を充填した。
<比較例2>
【0059】
A寸法を10mmとした以外は、実施例1と同様にして、詰替え容器を作製し、同様の内容物を充填した。
【0060】
上記の各評価用容器の注出ノズル先端を開封予定線に沿って手で切り取り、開封時の内容液の液はねの有無を評価した。これらの実験結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1の結果において、Aの値が5mm以下であれば液はねの発生がなく、1mm以下の時に最も安定した結果を示していることが分る。
【符号の説明】
【0063】
1・・・詰替え容器
2・・・本体表面積層体
3・・・本体裏面積層体
4・・・底テープ
6・・・折り曲げ部
8・・・開封つまみ
11・・・基材
12・・・シーラント層
21・・・トップシール部
22・・・サイドシール部
23・・・ボトムシール部
24a・・・注出口シール部
24b・・・注出口先端シール部
25・・・抜き加工部
26・・・把手
27・・・隣の詰替え容器
31・・・注出口
32・・・注出ノズル
33・・・流出路
34・・・開封予定線
A・・・注出口先端シール部際から開封予定線までの距離(mm)
41・・・充填用開口部
51・・・繰り返し使用容器
52・・・ノズル
53・・・ノズルキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材とシーラント層を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、本体表面積層体と本体裏面積層体を有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体をシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し、
該折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており、
該注出ノズルの先端は注出口先端シール部によってシールされており、開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成し、
該開封予定線は、前記注出口先端シール部の際から5mm以下の距離に設けられた
ことを特徴とする詰替え容器。
【請求項2】
基材とシーラント層を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、本体表面積層体と本体裏面積層体と底テープを有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体をシーラント層を内側にして折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し、前記底テープは、容器の下部にあって折り曲げられており、底テープの一端は本体表面積層体と、他端は本体裏面積層体とそれぞれボトムシール部を形成して容器底面を構成し、
前記折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており、
該注出ノズルの先端は注出口先端シール部によってシールされており、開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成し、
該開封予定線は、前記注出口先端シール部の際から5mm以下の距離に設けられた
ことを特徴とする詰替え容器。
【請求項3】
前記開封予定線上に、レーザーによる易カット加工が施されていることを特徴とする請求項1または2記載の詰替え容器。
【請求項4】
前記注出ノズルを形成する注出口シール部の抜き加工部と反対の側に、該抜き加工部に納まる形状の把手を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の詰替え容器。
【請求項5】
前記折り曲げ部の一部を切り開き、内容物充填用開口部としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の詰替え容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−148505(P2011−148505A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9117(P2010−9117)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】