説明

詰替え容器

【課題】基材フィルムが薄くても開口予定線に沿って注出口を手で容易に開封することが可能であり、注出口の腰の強さも確保され、しかも印刷表現上の制約が少ない詰替え容器を提供する。
【解決手段】基材フィルム、印刷インキ層、シーラント層を有する積層体からなる、本体表面積層体2と本体裏面積層3体を、それぞれのシーラント層を内側にして対向させ、上辺と左右の側辺および底辺を巡る周辺部をシールして内部に収納部6を形成し、上辺と一方の側辺とによって挟まれた上隅部に、斜め上方に向く注出用ノズル10をシール形成してなる詰替え容器1であって、該注出用ノズル10は、注出口を開口するための開封部13を有し、該開封部13には、易開封加工14が施されており、該開封部13における印刷インキ層は、透明無機顔料を含むことを特徴とする詰替え容器1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品等を収納する詰め替え容器に関し、特に注出口を手で容易に開封することができる、注出性に優れた詰替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤や柔軟仕上げ剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品は、それぞれ使いやすい形状の専用容器に収納されている。専用容器は、構造もしっかりしており、従って高価であることから、内容物が無くなった段階でも、専用容器を繰り返し使用することができるように、内容物を詰替えるための詰替え容器入りの製品が別途販売されていることが多い。
【0003】
例えば液体洗剤の容器は、洗剤を使用する時にその都度適切な量を計量して取り出す必要があるため、軽量カップに注ぎやすいように、注出口にノズルを備えた剛性のあるプラスチック容器が、繰り返し使用する容器として一般的に用いられている。
【0004】
この繰り返し使用する剛性の容器に対して、内容物を補充するための詰替え用の容器としては、コスト面のみならず、地球環境保護の立場からも、なるべく薄くて軽量の軟包装フィルムからなる柔軟な容器が求められている。
【0005】
一方、これらの詰替え容器は、注出口を開口するに当って、鋏等の道具を用いることなく、手で容易に開口することができることが望ましいことは言うまでもない。
【0006】
そこで手による開封を容易にするために、開封開始部にV字状あるいはU字状、I字状等のノッチを設けたり、開封予定線に沿ってレーザーや刃物によるハーフカット線を設けたりすることが一般的に行われている。
【0007】
しかしこれらの易開封加工を施したとしても、容器を構成するフィルムの材質によっては、これらが有効に機能しないことがある。例えば、フィルムの構成として従来一般的に用いられている延伸ポリアミド(ナイロン)/ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリオレフィン系シーラントのような構成を用いた場合、フィルムの腰もしっかりしており手で切れやすいが、この構成からPETを省略すると、フィルムの剛性が失われる結果、かえって切れにくくなってしまうのである。
【0008】
切れにくくなる原因としては、フィルムの腰の問題もさることながら、フィルム同士を貼り合せるための接着剤層に対する印刷インキの影響も見逃すことはできない。
【0009】
通常容器の外側に位置する基材フィルムには、裏面側に印刷インキ層を形成し、このインキ層面とシーラント層とを接着剤を用いて貼り合わせることが一般的に行われている。しかし基材フィルムとシーラント層の接着力を調べると、印刷インキ層の有無によって接着力が異なり、印刷インキ層が存在しない方が、一般的に接着力が上がることが分っている。これは、印刷インキ層が、着色力を重視するために、着色顔料の含有量を多くせざるを得ないため、インキ層内の凝集力が不足するためと考えられている。
【0010】
注出口部分の開封予定線上に通常の印刷インキ層が存在すると、インキ層が凝集破壊を生じ易くなる結果、基材フィルムとシーラント層との接着力が弱まり、これに伴って開封時の手切れ性も阻害されることが分っている。
【0011】
引用文献1〜3に記載された易開封性包装袋は、いずれもこの問題に対処するためになされたものであり、引用文献1に記載の包装袋においては、包装袋の開封予定位置の開封開始点側における印刷インキの存在割合が面積比で70%未満である疎印刷領域を設けたものである。また引用文献2においては、同様に開封予定位置に部分的に印刷インキが存在しない領域を10%以上設けたものである。また引用文献3においては、開封開始位置を3つの領域に分け、一次開封領域内においては、印刷インキの存在率が面積比で0%以上30%未満である疎印刷領域を設け、二次開封領域においては、30%以上70%未満としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3785989号公報
【特許文献2】特許第3864700号公報
【特許文献3】特許第4325359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1〜3に示されたような包装袋の場合、どうしても印刷インキが存在しない部分が生じるため、印刷表現上制約が生じるという問題があった。また別の問題として、基材フィルムを可能な限り薄くして行くと、印刷インキの有無が積層フィルム全体の腰の強さに与える影響が無視できなくなり、印刷インキの存在しない部分における積層フィルムの腰の弱さが注出口の腰の弱さにつながり、これが詰替え時の操作性の悪さとなって表れるという新たな問題が発生することが判明したのである。
【0014】
本発明の解決しようとする課題は、基材フィルムが薄くても開口予定線に沿って注出口を手で容易に開封することが可能であり、注出口の腰の強さも確保され、しかも印刷表現上の制約が少ない詰替え容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基材フィルム、印刷インキ層、シーラント層を有する積層体からなる、本体表面積層体と本体裏面積層体を、それぞれのシーラント層を内側にして対向させ、基材フィルムとシーラント層を有する積層体からなる底テープを、シーラント層を外側にして折り曲げて、前記本体表面積層体と本体裏面積層体の間に挿入して底面を形成し、上辺と左右の側辺および底辺を巡る周辺部をシールして内部に収納部を形成し、上辺と一方の側辺とによって挟まれた上隅部に、斜め上方に向く注出用ノズルをシール形成してなる詰替え容器であって、該注出用ノズルは、注出口を開口するための開封部を有し、該開封部には、易開封加工が施されており、該開封部における印刷インキ層は、透明無機顔料を含むことを特徴とする詰替え容器である。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、前記開封部における印刷インキ層に含まれる透明無機顔料が、二酸化珪素であることを特徴とする請求項1に記載の詰替え容器である。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、前記開封部における印刷インキ層が、透明無機顔料を含むインキと着色顔料を含むインキを混合したインキにより形成され、前記着色顔料を含むインキの割合は10%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器である。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、前記本体表面積層体および本体裏面積層体を構成する
基材フィルムが、ポリアミド樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の詰替え容器である。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、前記易開封加工が、ハーフカット加工、レーザー加工、放電加工、機械加工、熱加工のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の詰替え容器である。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、前記注出ノズル部における本体表面積層体および本体裏面積層体から選択される1以上に、エンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の詰替え容器である。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、前記本体表面積層体と本体裏面積層体が、1枚の積層体をシーラント層を内側にして、折り曲げ部において折り曲げることによって形成したものであり、該折り曲げ部は、前記注出用ノズルの上辺のシール部を代替したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の詰替え容器である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、開封部に透明無機顔料を含む印刷インキ層が存在することによって、注出用ノズルの腰が強くなり、注出操作性が良好となった。また通常の印刷インキが存在する場合に、手による開封部の開封性が、低下する現象を防止することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、開封部における印刷インキ層に含まれる透明無機顔料として、二酸化珪素を用いたことにより、易開封性と注出用ノズルの腰の強さに関して、最も優れた効果がもたらされる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、開封部における印刷インキ層が、透明無機顔料を含むインキと着色顔料を含むインキを混合したインキにより形成され、前記着色顔料を含むインキの割合が10%未満であることにより、易開封性を保ちながら、ある程度の印刷表現を可能とし、印刷表現の幅が広がる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、本体表面積層体および本体裏面積層体を構成する基材フィルムを、ポリアミド樹脂フィルムとすることにより、薄くてしなやかな積層体とすることが可能となり、低コストでありながら開封性の良い詰替え容器とすることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、積層体の材質や詰替え容器の形状に応じて、最適な易開封加工を選択することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、注出ノズル部における本体表面積層体および本体裏面積層体のいずれか一方または両方に、エンボス加工が施されているので、注出時において、注出ノズル部の表裏積層体の付着による注出ノズル部の閉塞を防止する効果がある。また注出ノズル部の剛性を増し、詰替え操作時における注出ノズルの折れ曲りを防止する効果もある。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、1枚の積層体を二つ折りして、折り曲げ部を形成して上辺とし、上辺と一方の側辺との上隅部に斜め上方に向くように下側のみシールして注出用ノズルを形成したので、折り曲げ部の広がろうとする弾性の働きにより、表裏面の積層体が付着して注出用ノズルが閉塞する現象が生じ難くなる。
【0029】
本発明のいずれの実施態様においても、注出口を手で開封して容易かつ確実に形成でき
、詰替え操作を容易かつ確実に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明に係る詰替え容器の一実施態様を示した平面模式図である。
【図2】図2は、本発明に係る詰替え容器に用いる積層体の断面模式図である。
【図3】図3は、図1のX−X’断面を示した断面模式図である。
【図4】図4は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した平面模式図である。
【図5】図5は、図4に示した詰替え容器の注出用ノズル部分の拡大図である。
【図6】図6は、図5のY−Y’断面を示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下本発明に係る詰替え容器について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る詰替え容器(1)の一実施態様を示した平面模式図である。また図2は、本発明に係る詰替え容器に用いる積層体(20)の断面模式図である。また図3は、図1のX−X’断面を示した断面模式図である。
【0032】
図2に示したように本発明に係る詰替え容器(1)は、基材フィルム(21)、印刷インキ層(22)、シーラント層(24)を有する積層体からなる。図2では、基材フィルム(21)とシーラント層(24)を貼り合せるための接着剤層(23)が示されている。この他、図示しないが、詰替え容器の用途やサイズに応じて、積層体の厚さや強度を増すための中間層やガスバリア性を高めるためのガスバリア層等を追加しても良い。
【0033】
本発明に係る詰替え容器(1)は、本体表面積層体(2)と本体裏面積層体(3)を、それぞれのシーラント層を内側にして対向させ、基材フィルムとシーラント層を有する積層体からなる底テープ(4)を、シーラント層を外側にして折り曲げて、本体表面積層体(2)と本体裏面積層体(3)の間に挿入して底面を形成し、上辺と左右の側辺および底辺を巡る周辺部をシールして内部に収納部(6)を形成し、上辺と一方の側辺とによって挟まれた上隅部に、斜め上方に向く注出用ノズル(10)をシール形成してなる。
【0034】
注出用ノズル(10)は、上辺側のノズル上側シール部(11)と側辺側のノズル下側シール部(12)とによって挟まれる形で形成されている。この実施態様においては、注出用ノズル(10)の先端部分のシール部が開封する時に手で摘む部分である開封つまみ(18)になっている。
【0035】
注出用ノズル(10)は、注出口を開口するための開封部(13)を有し、開封部(13)には、易開封加工(14)が施されており、開封部(13)における印刷インキ層(22)は、透明無機顔料を含むことを特徴とする。
【0036】
開封部(13)には、印刷インキ層が存在しない方が、開封性の点からは好ましいが、印刷インキ層(22)が存在しないと、特に基材フィルムが薄い場合には、注出用ノズル(10)の腰の強さが損われ、注出操作時に注出用ノズルが折れ曲ったりする問題が発生することがある。
【0037】
開封部(13)に透明無機顔料を含む印刷インキ層を設けると、開封性をあまり損わず
に、注出用ノズル部の腰の強さを増しうることが分り、本発明を完成したものである。
透明無機顔料を含む印刷インキとしては、通常軟包材用に用いられるインキの中で、有色インキの濃度を下げる目的で添加されるインキが用いられる。これらは通常メジウムあるいは、レデューサーと呼ばれるものであり、バインダーと体質顔料と溶剤(または水)を含み、着色顔料を含まないインキである。
【0038】
本発明において、透明無機顔料として使用される顔料として、(沈降性)硫酸バリウム、(沈降)炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、シリカ、クレー、アルミナホワイト等が挙げられるが、これらの中で、本発明の目的にはシリカ(二酸化珪素)が最も効果が高い。
【0039】
本発明において、インキに添加するシリカの添加量としては、総固形分に対して1.3%〜10%程度が好ましい。
【0040】
開封部(13)における印刷インキ層(22)には、透明無機顔料以外にも、少量であれば、通常の着色顔料を添加することができる。許容される着色顔料の添加量の目安としては、着色インキの量として、総インキ量の10%未満である。10%以上の着色インキを添加した場合、開封性において問題が生じる可能性がある。
【0041】
開封部(13)には、ノズル上側シール部(11)に開封開始ノッチ(15)が設けられており、これに加えて易開封加工(14)が施されている。易開封加工としては、ハーフカット加工、レーザー加工、放電加工、機械加工、熱加工などが用いられる。
【0042】
ハーフカット加工、レーザー加工のいずれによっても、ハーフカット線を形成することができるが、レーザー加工による方法の方が均一で安定した切れ目を形成できるので好ましい。レーザーの種類としては、炭酸ガスレーザーがより好ましい。
【0043】
易開封加工(14)が施されていると、開封開始ノッチ(15)から出発した積層体の裂目がそれることなくまっすぐ進むため、開封性が向上する。
【0044】
図3は、図1のX−X’断面を示した断面模式図である。図3に示した断面は、注出用ノズル(10)における開封部(13)の直近部分である。上部は本体表面積層体(2)と本体裏面積層体(3)とがシールされてノズル上側シール部(11)を形成しており、下部は、同様にノズル下側シール部(12)を形成している。
【0045】
図3に示した実施態様においては、本体表面積層体(2)と本体裏面積層体(3)の両方にエンボス加工部(17)が形成されている。エンボス加工部(17)が存在すると、抽出時に内容物の液体によって表裏の積層体フィルムが付着し、注出口が閉塞するのを防止する効果がある。
【0046】
エンボス加工部(17)は、表裏の積層体フィルムのいずれかに設けられていても良いし、図3のように、両面に設けられていても良い。エンボス加工部は、型押しあるいは真空成形法、真空圧空成形法等によって形成される。
【0047】
本発明に係る詰替え容器に使用する積層体の材質について説明する。
基材フィルムとしては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC
)等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂フィルムが用いられる。
【0048】
上記の各種合成樹脂フィルムの中で、ポリアミド樹脂フィルムは、薄くても丈夫でしなやかであり、詰替え容器の材料として好ましいものであるが、従来は開封部の開封性に問題があり、単体では使いにくいものであった。しかし、本発明により、ポリアミドフィルム単体でも使用することが可能となった。
【0049】
シーラント層としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが使用される。またこれらの樹脂を複合した多層フィルムが使用されることもある。
【0050】
積層体(20)の具体的な構成例としては、PET/印刷インキ層/接着剤層/延伸ポリアミド樹脂フィルム(以下ONYと略す)/接着剤層/LLDPEからなる構成のフィルムや、ONY/印刷インキ層/接着剤層/LLDPE、ONY/印刷インキ層/接着剤層/ONY/接着剤層/LLDPEなどが挙げられる。
【0051】
図4は、本発明に係る詰替え容器の他の実施態様を示した平面模式図である。図5は、図4に示した詰替え容器の注出用ノズル部分の拡大図であり、図6は、図5のY−Y’断面を示した断面模式図である。
【0052】
図4〜6に示した実施態様においては、本体表面積層体(2)と本体裏面積層体(3)が、1枚の積層体をシーラント層を内側にして、折り曲げ部(5)において折り曲げることによって形成したものであり、折り曲げ部(5)は、注出用ノズル(10)の上辺のシール部(ノズル上側シール部(11))を代替していることを特徴とする。
【0053】
この実施態様においては、1枚のフィルムを二つ折りして、折り曲げ部(5)を形成して上辺とし、上辺と一方の側辺との上隅部に斜め上方に向くように下側のみシールして注出用ノズル(10)を形成したので、折り曲げ部(5)の広がろうとする弾性の働きにより、表裏面の積層体フィルムが付着して注出用ノズルが閉塞する現象が基本的に生じ難いという特徴がある。
【0054】
この実施態様においては、図1〜3の実施態様とは異なり、開封開始位置がノズル下側シール部(12)に設けた切込み線(16)の尖端となっている。切込み線(16)は、開封つまみ(18)を形成する役割を兼ねている。開封部(13)には、同様に易開封加工(14)が施されている。
【0055】
注出用ノズル(10)を形成する表裏フィルムには、エンボス加工部(17)が設けられている。
【0056】
図4〜6に示した実施態様においては、1枚のフィルムを2つ折りして形成した折り曲げ部(5)(上辺)の一部を切り開き、内容物充填用開口部(7)としてある。このように、容器の天部に充填用の開口部が存在すると、内容物の充填操作がやり易くなる利点がある。さらに、2つ折りした上辺の一部を切り開いて内容物充填用開口部(7)を形成す
る際には、内容物充填用開口部(7)の端部にポイントシール部(8)を設けることが有効である。ポイントシール部(8)を設けることで、充填の際、内容物充填用開口部(7)を開いても、内容物充填用開口部(7)の端部から2つ折りした上辺が破けたり、伸びたりすることがない。
【0057】
図5、6に示したように、この実施態様においても、注出用ノズル(10)を形成する表裏面のフィルムにエンボス加工部(17)が設けられている。エンボス加工部(17)におけるエンボス形状は、図1〜3の実施態様におけるものとは異なり、立上がり角度の急な部分と緩やかな部分とが交互に組合わされている。このようにしたことにより、注出用ノズル(10)における表裏フィルムの付着防止効果や補強効果がさらに向上する。
【0058】
図4〜6に示した詰替え容器(1)を製造するには、容器の高さに相当する巾のほぼ2倍の巾にスリットした積層体をシーラント層面を内側にして上部で折り曲げて対向させ、本体表面積層体(2)及び本体裏面積層体(3)とし、これを連続的に供給し、この間にシーラント層面が外側になるように二つ折りにした底テープ(4)を連続的に供給し、必要なシールを行った後に、打ち抜いて容器とする。
【0059】
なお易開封加工(14)とエンボス加工(17)は、折り曲げ部(5)を形成する前に形成しておく必要がある。
以下実施例に基づいて、本発明に係る詰替え容器についてさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0060】
本体表面積層体(2)および本体裏面積層体(3)として、次の構成からなる積層体を使用した。
延伸ポリアミド樹脂フィルム(ONY)(厚さ15μm)/印刷インキ層/接着剤層/LLDPE(厚さ120μm)
底テープとして次の構成からなる積層体を使用した。
ONY(厚さ15μm)/接着剤層/LLDPE(厚さ120μm)
上記の各積層体を用いて、図1に示したようなスタンディングパウチ形状の詰替え容器を作成した。
【0061】
なお開封部(13)には、レーザー加工によるハーフカット線を施した。また開封部における印刷インキとして、下記のインキを使用した。
インキ名:東洋インキ製造(株)製 ラミスターメジウム
インキ組成:バインダー樹脂系:ウレタン、透明無機顔料の種類:シリカ(含有量:5%(総固形分比))
インキ膜厚:2μm
【実施例2】
【0062】
開封部における印刷インキとして、下記のインキを使用した以外は、実施例1と同様にして、詰替え容器を作成した。
インキ名:東洋インキ製造(株)製 ラミスターメジウム、ラミスター着色インキ(黄、赤、藍、墨、白)
インキ配合:メジウム90重量部+着色インキ10重量部(混合)
インキ膜厚:2μm
【0063】
<比較例1>
開封部に印刷インキ層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、詰替え容器を作成した。
【0064】
<比較例2>
開封部における印刷インキとして、下記のインキを使用した以外は、実施例1と同様にして、詰替え容器を作成した。
インキ名:東洋インキ製造(株)製 ラミスターメジウム、ラミスター着色インキ(黄、赤、藍、墨、白)
インキ配合:メジウム50重量部+着色インキ50重量部(混合)
インキ膜厚:2μm
【0065】
実施例1、2および比較例の詰替え容器について、手による開封性と開封後の注出操作性およびデザイン性について評価した。評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

比較例1のサンプルは、開封性は良好であるが、注出ノズル部分の剛性が不足し、ふにゃふにゃするため注出操作性が悪かった。また比較例2のサンプルは、デザイン性、注出操作性においては優れるが、開封性が劣っていた。
【0067】
以上のように、本発明に係る詰替え容器は、開封性と開封後の注出操作性において優れている。また実施例2のように着色インキを添加したものでは、デザイン性についても向上が見られる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・詰替え容器
2・・・本体表面積層体
3・・・本体裏面積層体
4・・・底テープ
5・・・折り曲げ部
6・・・収納部
7・・・内容物充填用開口部
8・・・ポイントシール部
10・・・注出用ノズル
11・・・ノズル上側シール部
12・・・ノズル下側シール部
13・・・開封部
14・・・易開封加工
15・・・開封開始ノッチ
16・・・切込み線
17・・・エンボス加工部
18・・・開封つまみ
20・・・積層体
21・・・基材フィルム
22・・・印刷インキ層
23・・・接着剤層
24・・・シーラント層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム、印刷インキ層、シーラント層を有する積層体からなる、本体表面積層体と本体裏面積層体を、それぞれのシーラント層を内側にして対向させ、基材フィルムとシーラント層を有する積層体からなる底テープを、シーラント層を外側にして折り曲げて、前記本体表面積層体と本体裏面積層体の間に挿入して底面を形成し、上辺と左右の側辺および底辺を巡る周辺部をシールして内部に収納部を形成し、上辺と一方の側辺とによって挟まれた上隅部に、斜め上方に向く注出用ノズルをシール形成してなる詰替え容器であって、該注出用ノズルは、注出口を開口するための開封部を有し、該開封部には、易開封加工が施されており、該開封部における印刷インキ層は、透明無機顔料を含むことを特徴とする詰替え容器。
【請求項2】
前記開封部における印刷インキ層に含まれる透明無機顔料は、二酸化珪素であることを特徴とする請求項1に記載の詰替え容器。
【請求項3】
前記開封部における印刷インキ層は、透明無機顔料を含むインキと着色顔料を含むインキを混合したインキにより形成され、前記着色顔料を含むインキの割合は10%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の詰替え容器。
【請求項4】
前記本体表面積層体および本体裏面積層体を構成する基材フィルムは、ポリアミド樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の詰替え容器。
【請求項5】
前記易開封加工は、ハーフカット加工、レーザー加工、放電加工、機械加工、熱加工のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の詰替え容器。
【請求項6】
前記注出ノズル部における本体表面積層体および本体裏面積層体から選択される1以上に、エンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の詰替え容器。
【請求項7】
前記本体表面積層体と本体裏面積層体は、1枚の積層体をシーラント層を内側にして、折り曲げ部において折り曲げることによって形成したものであり、該折り曲げ部は、前記注出用ノズルの上辺のシール部を代替したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の詰替え容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−35560(P2013−35560A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172276(P2011−172276)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】