説明

認証装置、認証方法、認証プログラム

【課題】認証に適した特徴情報を登録することができ、高精度に対象物を認証することができる認証装置を提供する。
【解決手段】特徴情報抽出部2は、登録しようとする対象物を撮影した第1のフレームの画像から複数の第1の特徴情報を抽出する。仮登録情報保持部3は第1の特徴情報を保持する。特徴情報照合部5は、第1の特徴情報と、特徴情報抽出部2が第2のフレームの画像から抽出した第2の特徴情報とを照合して類似度を算出する。本人類似度検出部6は平均類似度を検出する。制御部1は、第1の特徴情報の内、平均類似度が最も大きい1つの特徴情報を登録情報として保持情報保持部4に保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め登録した顔特徴情報等の対象物の特徴情報を用いて、人物等の対象物を認証する認証装置、認証方法、認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
認証装置の一例として、カメラ等で撮影した顔画像を用いて人物を個人認証する顔認証装置は、従来から種々の製品に搭載されて利用されている。顔認証装置においては、所定人物の顔画像から生成した顔特徴情報を予めデータベースに登録しておき、認証対象の人物の顔画像から生成した顔特徴情報とデータベースに登録されている顔特徴情報との類似度を求めることによって、認証対象が登録された人物と同一であるかどうかを判定するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−35068号公報
【特許文献2】特開2006−127236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顔認証装置において、所定人物の顔画像の顔特徴情報をデータベースに登録する際に、撮影された顔画像の顔の向き、表情、照明の状態、ピントぼけ、露光ずれ、手ぶれ等によって、登録しようとする顔画像の顔特徴情報が認証に適さない状態で登録されてしまう場合がある。この場合には、認証対象の顔画像が本人のものであっても本人であると判定できないことがある。そこで、認証に適した顔特徴情報を登録することができ、高精度に顔画像を認証することができる顔認証装置、顔認証方法、顔認証プログラムが求められている。
【0005】
ここでは、顔認証装置を例としたが、手(掌紋)、指(指紋)、目(網膜)等の画像を用いて人物を認証する場合も同様である。さらに、人物に限らず、人以外の動物や物体を認証する場合も同様である。即ち、認証に適した特徴情報を登録することができ、高精度に対象物を認証することができる認証装置が求められている。本発明はこのような要望に対応するため、認証に適した特徴情報を登録することができ、高精度に対象物を認証することができる認証装置、認証方法、認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、登録しようとする対象物を撮影した画像から特徴情報を抽出する特徴情報抽出部(2)と、前記対象物を撮影した複数の第1のフレームの画像それぞれから前記特徴情報抽出部が抽出した複数の第1の特徴情報を保持する保持部(3)と、前記複数の第1の特徴情報と、前記第1のフレームとは異なるフレームであり、前記対象物を撮影した1または複数の第2のフレームの画像から前記特徴情報抽出部が抽出した第2の特徴情報とを照合して第1の類似度を算出する特徴情報照合部(5)と、前記複数の第1の特徴情報の内、第1の類似度が最も大きい1つの特徴情報を登録情報として保持部(4)に保持させる制御部(1)とを備えることを特徴とする認証装置を提供する。
【0007】
上記の認証装置において、前記第2のフレームは複数であり、前記特徴情報照合部は、前記複数の第1の特徴情報それぞれと複数の第2の特徴情報それぞれとの類似度を算出し、前記複数の第1の特徴情報それぞれに対して、前記複数の第2の特徴情報との類似度を平均した平均類似度を検出する検出部(6)をさらに備え、前記制御部は、前記複数の第1の特徴情報の内、前記検出部が検出した平均類似度が最も大きい特徴情報を登録情報として保持部に保持させることが好ましい。
【0008】
上記の認証装置において、前記特徴情報照合部は、前記複数の第1の特徴情報と、前記登録しようとする対象物とは異なる対象物の第3の特徴情報との第2の類似度を算出し、前記制御部は、前記複数の第1の特徴情報の内、前記第1の類似度と前記第2の類似度との差が最も大きい特徴情報を登録情報として保持部に保持させるようにしてもよい。
【0009】
また、本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、登録しようとする対象物を撮影した複数の第1のフレームの画像それぞれから特徴情報を抽出し、複数の第1の特徴情報として保持する保持ステップ(S101〜S103,S201〜S203)と、前記第1のフレームとは異なるフレームであり、前記対象物を撮影した1または複数の第2のフレームの画像から第2の特徴情報を抽出する抽出ステップ(S104,S204)と、前記複数の第1の特徴情報と前記第2の特徴情報とを照合して第1の類似度を算出する第1の算出ステップ(S105,S205)と、前記複数の第1の特徴情報の内、第1の類似度が最も大きい1つの特徴情報を登録情報として登録する登録ステップ(S110,S216)とを含むことを特徴とする認証方法を提供する。
【0010】
上記の認証方法において、前記第2のフレームは複数であり、前記第1の算出ステップは、前記複数の第1の特徴情報それぞれと複数の第2の特徴情報それぞれとの類似度を算出し、前記複数の第1の特徴情報それぞれに対して、前記複数の第2の特徴情報との類似度を平均した平均類似度を検出する検出ステップ(S108,S208)をさらに含み、前記登録ステップは、前記複数の第1の特徴情報の内、前記検出ステップにて検出した平均類似度が最も大きい特徴情報を登録情報として登録することが好ましい。
【0011】
上記の認証方法において、前記複数の第1の特徴情報と、前記登録しようとする対象物とは異なる対象物の第3の特徴情報との第2の類似度を算出する第2の算出ステップ(S212)をさらに含み、前記登録ステップは、前記複数の第1の特徴情報の内、前記第1の類似度と前記第2の類似度との差が最も大きい特徴情報を登録情報として登録するようにしてもよい。
【0012】
さらに、本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、コンピュータに、
登録しようとする対象物を撮影した複数の第1のフレームの画像それぞれから特徴情報を抽出し、複数の第1の特徴情報として保持する保持ステップ(S101〜S103,S201〜S203)と、前記第1のフレームとは異なるフレームであり、前記対象物を撮影した1または複数の第2のフレームの画像から第2の特徴情報を抽出する抽出ステップ(S104,S204)と、前記複数の第1の特徴情報と前記第2の特徴情報とを照合して第1の類似度を算出する第1の算出ステップ(S105,S205)と、前記複数の第1の特徴情報の内、第1の類似度が最も大きい1つの特徴情報を登録情報として登録する登録ステップ(S110,S216)とを実行させることを特徴とする認証プログラムを提供する。
【0013】
上記の認証プログラムにおいて、前記第2のフレームは複数であり、コンピュータに、
前記第1の算出ステップとして、前記複数の第1の特徴情報それぞれと複数の第2の特徴情報それぞれとの類似度を算出する処理を実行させ、前記複数の第1の特徴情報それぞれに対して、前記複数の第2の特徴情報との類似度を平均した平均類似度を検出する検出ステップ(S108,S208)をさらに実行させ、前記登録ステップとして、前記複数の第1の特徴情報の内、前記検出ステップにて検出した平均類似度が最も大きい特徴情報を登録情報として登録する処理を実行させることが好ましい。
【0014】
上記の認証プログラムにおいて、コンピュータに、前記複数の第1の特徴情報と、前記登録しようとする対象物とは異なる対象物の第3の特徴情報との第2の類似度を算出する第2の算出ステップ(S212)をさらに実行させ、前記登録ステップとして、前記複数の第1の特徴情報の内、前記第1の類似度と前記第2の類似度との差が最も大きい特徴情報を登録情報として登録する処理を実行させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の顔認証装置、認証方法、認証プログラムによれば、認証に適した特徴情報を登録することができ、高精度に対象物を認証することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の認証装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】各実施形態の動作を説明するための図である。
【図3】第1実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の認証装置の第2実施形態を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図6】変形例1の動作を説明するための図である。
【図7】変形例2の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の認証装置、認証方法、認証プログラムの各実施形態について、添付図面を参照して説明する。各実施形態は、認証装置、認証方法、認証プログラムの好適な例として、人物の顔を撮影した顔画像を登録して、顔特徴情報により人物を個人認証する顔認証装置、認証方法、認証プログラムについて説明する。但し、登録する画像は顔画像に限定されることはなく、認証する対象物も人物に限定されるものではない。本発明は、予め登録した対象物の特徴情報を用いて対象物を認証する任意の認証装置、認証方法、認証プログラムでよい。
【0018】
≪第1実施形態≫
第1実施形態においては、所定人物の顔画像を登録する際に、顔画像から抽出した顔特徴情報を仮登録し、仮登録に続けてさらに顔画像から顔特徴情報を抽出して、顔特徴情報を本登録するように構成している。顔特徴情報の本登録が完了すると、不定人物の顔特徴情報を本登録した顔特徴情報と照合して個人認証を行う。以下、図1を用いて、仮登録動作、本登録動作、認証動作の順で説明する。
【0019】
<仮登録動作>
図1において、顔画像を登録しようとする所定人物を図示していないカメラで撮影した顔画像データは、顔特徴情報抽出部2に入力される。ここでの人物を人物Paとする。顔特徴情報抽出部2は、制御部1による制御に基づいて、所定人物の顔を撮影した所定のNフレーム分の各顔画像データから顔特徴情報を抽出する。Nは自然数であり、好ましくは2以上である。第1実施形態では、Nを6とする。顔特徴情報抽出部2は、6フレーム分の各顔画像データから顔特徴情報を抽出するので、6個の顔特徴情報を生成して、仮登録情報保持部3へと出力する。仮登録情報保持部3は、制御部1による制御に基づいて、入力された6個の顔特徴情報を仮登録情報として保持する。ここでは顔特徴情報の数を個で表現したが、それぞれの顔特徴情報は、顔を特定するための特徴を示す1または複数の情報を含むものである。
【0020】
<本登録動作>
前述のように、本登録動作は仮登録動作に続けて一連の動作として実行される。本登録動作では、顔特徴情報抽出部2は、制御部1による制御に基づいて、仮登録動作を行った人物と同じ人物である所定人物(人物Pa)の顔を撮影した所定のMフレーム分の各顔画像データから顔特徴情報を抽出する。Mは自然数であり、好ましくは2以上である。MはNよりも大きいことがさらに好ましい。第1実施形態では、Mを12とする。顔特徴情報抽出部2は、12フレーム分の各顔画像データから顔特徴情報を抽出するので、12個の顔特徴情報を生成して、顔特徴情報照合部5へと出力する。仮登録情報保持部3は、制御部1による制御に基づいて、保持しておいた6個の顔特徴情報を顔特徴情報照合部5へと出力する。
【0021】
図2(A)に示すように、仮登録情報保持部3から顔特徴情報照合部5へと供給される6個の顔特徴情報を概念的にFI1〜FI6で表し、顔特徴情報抽出部2から顔特徴情報照合部5へと供給される12個の顔特徴情報の顔特徴情報を概念的にFI11〜FI22で表すこととする。顔特徴情報FI1〜FI6と顔特徴情報FI11〜FI22はいずれも人物Paの顔特徴情報である。顔特徴情報照合部5には、仮登録動作から本登録動作までの一連の動作によって、顔特徴情報FI1〜FI6と顔特徴情報FI11〜FI22とが入力されることになる。
【0022】
顔特徴情報照合部5は、制御部1による制御に基づいて、図2(A)に示すように、顔特徴情報FI1〜FI6のそれぞれを基準として、顔特徴情報FI11〜FI22それぞれと照合して類似度を算出する。図2(A)では顔特徴情報FI1と顔特徴情報FI11〜FI22との照合しか示していないが、顔特徴情報FI2〜FI6も同様に照合する。
【0023】
図2(B)は、顔特徴情報照合部5が求めた類似度を概念的に示している。図2(B)に示すように、顔特徴情報照合部5は、顔特徴情報FI1に対して、顔特徴情報FI1と顔特徴情報FI11〜FI22それぞれとの類似度を示す類似度情報S111〜S122を生成する。顔特徴情報照合部5は、顔特徴情報FI2に対して、顔特徴情報FI2と顔特徴情報FI11〜FI22それぞれとの類似度を示す類似度情報S211〜S222を生成する。顔特徴情報照合部5は、顔特徴情報FI3に対して、顔特徴情報FI3と顔特徴情報FI11〜FI22それぞれとの類似度を示す類似度情報S311〜S322を生成する。
【0024】
顔特徴情報照合部5は、顔特徴情報FI4に対して、顔特徴情報FI4と顔特徴情報FI11〜FI22それぞれとの類似度を示す類似度情報S411〜S422を生成する。顔特徴情報照合部5は、顔特徴情報FI5に対して、顔特徴情報FI5と顔特徴情報FI11〜FI22それぞれとの類似度を示す類似度情報S511〜S522を生成する。顔特徴情報照合部5は、顔特徴情報FI6に対して、顔特徴情報FI5と顔特徴情報FI11〜FI22それぞれとの類似度を示す類似度情報S611〜S622を生成する。
【0025】
顔特徴情報照合部5が生成した図2(B)に示す顔特徴情報FI1〜FI6それぞれに対する類似度情報S111〜S122,S211〜S222,S311〜S322,S411〜S422,S511〜S522,S611〜S622は、本人類似度検出部6へと出力される。本人類似度検出部6は、制御部1による制御に基づいて、図2(C)に示すように、類似度情報S111〜S122,S211〜S222,S311〜S322,S411〜S422,S511〜S522,S611〜S622それぞれを累計して平均を取ることにより、顔特徴情報FI1〜FI6それぞれに対して平均類似度を示す平均類似度情報Savg1〜Savg6を算出する。平均類似度情報Savg1〜Savg6は、仮登録動作と本登録動作とで同一人物を撮影した場合の類似度を示すので、本人類似度である。本人類似度を示す平均類似度情報Savg1〜Savg6は制御部1へと出力される。
【0026】
制御部1は、顔特徴情報FI1〜FI6の中から、入力された本人類似度(平均類似度情報Savg1〜Savg6)の内、認証閾値よりも大きい値に設定した所定の登録閾値以上で本人類似度が最も大きい平均類似度情報を示す顔特徴情報を1つ特定する。そして、制御部1は、仮登録情報保持部3が保持している6個の顔特徴情報FI1〜FI6の内、特定した平均類似度情報を示す顔特徴情報を登録情報保持部4へと出力させる。登録情報保持部4は、制御部1による制御に基づいて、入力された顔特徴情報を本登録情報として保持する。
【0027】
図2(D)は、仮登録情報保持部3から登録情報保持部4へと出力される顔特徴情報の例を示している。例えば、平均類似度情報Savg1〜Savg6の内、顔特徴情報FI3の平均類似度情報Savg3が最大であったとする。登録情報保持部4には、人物Paに対する以上の一連の仮登録動作から本登録動作までの動作によって顔特徴情報FI3が保持されて登録される。他の人物Pb,Pc…に対しても同様の動作を行うと、登録情報保持部4には、人物Pbに対して例えば顔特徴情報FI5が登録され、人物Pcに対して例えば顔特徴情報FI1が登録される。
【0028】
制御部1は、平均類似度情報Savg1〜Savg6がいずれも登録閾値未満であれば、顔特徴情報FI1〜FI6のいずれも本登録しないよう仮登録情報保持部3及び登録情報保持部4を制御する。即ち、顔特徴情報FI1〜FI6のいずれかを仮登録情報保持部3より出力させず、登録情報保持部4に保持させないようにする。
【0029】
制御部1は、本登録が完了した場合には、表示部9に登録が成功した旨を表示させ、本登録が完了しなかった場合には、表示部9に登録が成功しなかった旨を表示させる。
【0030】
<認証動作>
顔特徴情報抽出部2は、制御部1による制御に基づいて、不定人物の顔を撮影した顔画像データから顔特徴情報を抽出する。認証動作の際は、1または複数フレームから顔特徴情報を抽出すればよい。複数フレームから顔特徴情報を抽出した方が認証精度が高くなるので、複数フレームから顔特徴情報を抽出するのが好ましい。ここでの不定人物は、上述した人物Pa,Pb,Pcのいずれかまたはその他の任意の人物である。顔特徴情報抽出部2は、不定人物の顔特徴情報を顔特徴情報照合部5へと出力する。
【0031】
登録情報保持部4は、制御部1による制御に基づいて、保持している1または複数の顔特徴情報を顔特徴情報照合部5へと出力する。図2(D)の例では、人物Paに対する顔特徴情報FI3、人物Pbに対する顔特徴情報FI5、人物Pcに対する顔特徴情報FI1…が顔特徴情報照合部5へと出力される。顔特徴情報照合部5は、制御部1による制御に基づいて、顔特徴情報抽出部2から出力された不定人物の顔特徴情報と登録情報保持部4から出力された顔特徴情報とをそれぞれ照合して類似度を算出し、算出した類似度を認証結果判定部7へと出力する。
【0032】
認証結果判定部7は、顔特徴情報照合部5から出力された不定人物の顔特徴情報と登録情報保持部4に保持されている登録情報である顔特徴情報との類似度が制御部1から指定された所定の認証閾値以上の顔特徴情報があるか否かを判定する。認証結果判定部7は、認証閾値以上の顔特徴情報があると判定した場合には、不定人物が登録情報保持部4に登録されている人物に該当すると判定し、認証閾値以上の顔特徴情報がないと判定した場合には、不定人物が登録されている人物には該当しないと判定する。認証結果判定部7は、判定結果を顔認証結果として外部へと出力する。外部とは顔認証装置による顔認証結果を利用する外部装置であり、例えば扉のロックを解除する解除装置等である。
【0033】
図3を用いて、第1実施形態による仮登録動作から本登録動作までの一連の動作についてさらに説明する。図3に示すフローチャートの各動作は制御部1による制御に基づいて実行される。図3において、顔特徴情報抽出部2は、ステップS101にて、所定人物の顔画像データから顔特徴情報を抽出する。仮登録情報保持部3は、ステップS102にて、ステップS101にて抽出した顔特徴情報を仮登録情報として仮登録する。制御部1は、ステップS103にて、Nフレーム分の顔特徴情報の仮登録が終了したかどうかを判定する。終了したと判定しなかったら(NO)ステップS101に処理を戻し、ステップS101〜S103を繰り返す。ステップS103にてNフレーム分の顔特徴情報の仮登録が終了したと判定したら(YES)、処理をステップS104に移行させる。ステップS101〜S103は、仮登録動作である。
【0034】
次に、顔特徴情報抽出部2は、ステップS104にて、新たに入力された同じ所定人物の顔画像データから新たに顔特徴情報を抽出する。顔特徴情報照合部5は、ステップS105にて、ステップS104にて抽出した顔特徴情報とステップS102にて仮登録した複数の仮登録情報とをそれぞれ照合して類似度を算出する。本人類似度検出部6は、ステップS106にて、ステップS105にて算出した類似度を累計する。制御部1は、ステップS107にて、Mフレーム分の顔特徴情報の照合が終了したかどうかを判定する。終了したと判定しなかったらステップS104に処理を戻し、ステップS104〜S107を繰り返す。ステップS107にてMフレーム分の顔特徴情報の照合が終了したと判定したら、処理をステップS108に移行させる。
【0035】
本人類似度検出部6は、ステップS108にて、仮登録情報毎に累計した類似度をフレーム数Mで割った平均類似度Savg1〜Savg6を算出し、算出した平均類似度Savg1〜Savg6を各仮登録情報の本人類似度とする。制御部1は、ステップS109にて、本人類似度が所定の登録閾値以上である仮登録情報があるか否かを判定する。本人類似度が所定の登録閾値以上である仮登録情報があると判定されれば(YES)、制御部1は、ステップS110にて、本人類似度が最も大きい仮登録情報を選択し、選択した仮登録情報(顔特徴情報)を登録情報保持部4に本登録する。ステップS110にて選択した顔特徴情報は、所定人物の顔の特徴を最も適切に表した顔特徴情報であり、所定人物を本人として認証するのに最適な顔特徴情報である。制御部1は、ステップS111にて、表示部9による画面表示によって操作者に対して登録成功を通知して終了する。
【0036】
一方、ステップS109にて、本人類似度が所定の登録閾値以上である仮登録情報があると判定されなければ(NO)、制御部1は、ステップS112にて、表示部9による画面表示によって操作者に対して登録失敗を通知して終了する。ステップS109にて登録閾値以上である仮登録情報がなかったということは、入力された顔画像からは所定人物の顔の特徴を適切に表した顔特徴情報が得られなかったということであり、即ち、認証に適した顔特徴情報が抽出できなかったということである。この場合は、再度ステップS101からの処理を行えばよい。ステップS104〜S112は、本登録動作である。
【0037】
≪第2実施形態≫
図4を用いて第2実施形態の構成及び動作について説明する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様、仮登録動作、本登録動作、認証動作を行う。第2実施形態における仮登録動作と認証動作は第1実施形態におけるそれらの動作と同一であり、本登録動作のみが異なる。従って、仮登録動作と認証動作の説明を省略し、本登録動作を中心に説明する。
【0038】
<本登録動作>
第2実施形態は、顔画像を登録しようとする所定人物の名前等、人物を特定する情報を登録時に入力する。図4において、顔特徴情報抽出部2は、12フレーム分の各顔画像データから顔特徴情報を抽出し、顔特徴情報照合部5へと出力する。仮登録情報保持部3は、仮登録情報である顔特徴情報を顔特徴情報照合部5へと出力する。登録情報保持部4は、制御部1による制御に基づいて、登録しようとしている所定人物とは異なる人物の登録情報を保持している場合には、異なる人物の登録情報を顔特徴情報照合部5へと出力する。
【0039】
顔特徴情報照合部5は、制御部1による制御に基づいて、顔特徴情報抽出部2から出力された所定人物の顔特徴情報と仮登録情報保持部3から出力された所定人物の複数の仮登録情報とをそれぞれ照合して類似度を算出し、算出した類似度を本人類似度検出部6へと出力する。また、顔特徴情報照合部5は、制御部1による制御に基づいて、仮登録情報保持部3から出力された所定人物の仮登録情報と登録情報保持部4から出力された所定人物とは異なる人物の登録情報とをそれぞれ照合して類似度を算出し、算出した類似度を他人類似度検出部8へと出力する。
【0040】
本人類似度検出部6は、制御部1による制御に基づいて、顔特徴情報照合部5から出力された所定人物の顔特徴情報と仮登録情報との類似度を仮登録情報毎に累計して平均類似度Savg1〜Savg6を算出し、平均類似度Savg1〜Savg6を各仮登録情報の本人類似度として制御部1へと出力する。他人類似度検出部8は、顔特徴情報照合部5から出力された所定人物の仮登録情報と所定人物とは異なる人物の登録情報との類似度の中から仮登録情報毎に最大となる類似度を検出し、最大の類似度を各仮登録情報の他人類似度として制御部1へと出力する。
【0041】
制御部1は、本人類似度検出部6から出力された各仮登録情報の本人類似度と他人類似度検出部8から出力された各仮登録情報の他人類似度とに応じて、本人類似度が所定の登録閾値以上の仮登録情報の中で本人類似度と他人類似度との差が最も大きい仮登録情報を本登録する。登録情報保持部4が登録しようとしている所定人物とは異なる人物の登録情報を保持してない場合には、他人類似度検出部8は他人類似度を検出することはできないので、制御部1は、第1実施形態と同様、本人類似度が所定の登録閾値以上の仮登録情報の中で本人類似度が最も大きい仮登録情報を本登録する。また、制御部1は、本人類似度が登録閾値未満であれば、いずれの仮登録情報も本登録しないよう仮登録情報保持部3及び登録情報保持部4を制御する。
【0042】
図5を用いて、第2実施形態による本登録動作についてさらに説明する。図5におけるステップS201〜S209の処理は図3におけるステップS101〜S109の処理と同一であり、ここでは説明は省略する。図5において、制御部1は、ステップS209にて、本人類似度が所定の登録閾値以上である仮登録情報があると判定したら(YES)、ステップS210にて、登録しようとしている所定人物とは異なる人物、即ち他人の登録情報があるか否かを判定する。他人の登録情報があると判定されれば(YES)、制御部1は、ステップS211にて、本人類似度が所定の登録閾値以上である仮登録情報を選択する。
【0043】
顔特徴情報照合部5は、ステップS212にて、選択した仮登録情報と他人の登録情報とをそれぞれ照合して類似度を算出する。他人類似度検出部8は、ステップS213にて、ステップS212にて算出した類似度の最大値を検出し、検出した最大値を各仮登録情報の他人類似度とする。制御部1は、ステップS214にて、各仮登録情報の本人類似度と他人類似度との差を算出する。制御部1は、ステップS215にて、本人類似度と他人類似度との差が最も大きい仮登録情報を選択して本登録する。ステップS215にて選択した仮登録情報は、所定人物の顔特徴を適切に表し、かつ他人の顔特徴との区別が最もつきやすい顔特徴情報、即ち、所定人物を本人として認証するのに適し、かつ他人と誤判定しにくい顔特徴情報である。
【0044】
一方、ステップS210にて、他人の登録情報があると判定されなければ(NO)、制御部1は、ステップS216にて、本人類似度が最も大きい仮登録情報を選択して本登録する。ステップS216にて選択した仮登録情報は、他人の顔の特徴との区別がつきやすいかどうかは分からないものの、所定人物の顔特徴を最も適切に表した顔特徴情報、即ち、所定人物を本人として認証するのに適した顔特徴情報である。
【0045】
ステップS215及びS216の後、制御部1は、ステップS218にて、表示部9による画面表示によって操作者に対して登録成功を通知して終了する。一方、制御部1は、ステップS209にて、本人類似度が所定の登録閾値以上である仮登録情報があると判定されなければ(NO)、ステップS217にて、表示部9による画面表示によって操作者に対して登録失敗を通知して終了する。
【0046】
以上説明した第1,第2実施形態においては、仮登録動作で6フレーム分の各顔画像データから6個の顔特徴情報を抽出して仮登録し、本登録動作で12フレーム分の各顔画像データから12個の顔特徴情報を抽出して、6個の顔特徴情報と12個の顔特徴情報との類似度を算出する例について説明した。簡略化のため、仮登録動作で6フレーム分の各顔画像データから6個の顔特徴情報を抽出して仮登録し、本登録動作で1フレーム分の各顔画像データから1個の顔特徴情報を抽出して、6個の顔特徴情報と1個の顔特徴情報との類似度を算出するよう構成することもできる。
【0047】
≪変形例1≫
図6を用いて、6個の顔特徴情報と1個の顔特徴情報との類似度を算出する構成を変形例1として説明する。顔特徴情報照合部5には、仮登録情報保持部3から仮登録動作による6個の顔特徴情報FI1〜FI6が入力され、顔特徴情報抽出部2から本登録動作による1個の顔特徴情報の顔特徴情報FI10が入力される。図6(A)に示すように、顔特徴情報照合部5は、顔特徴情報FI1〜FI6それぞれと顔特徴情報FI10とを照合して類似度を算出する。この場合、顔特徴情報照合部5は、図6(B)に示すように、顔特徴情報FI1〜FI6それぞれに対して、類似度情報S10〜S60を生成する。
【0048】
変形例1では、顔特徴情報FI1〜FI6それぞれに対して1つの類似度情報S10〜S60が対応するので、本人類似度検出部6における平均類似度を求める処理は不要である。従って、変形例1では本人類似度検出部6は削除可能である。図6(C)に示すように、制御部1は、顔特徴情報FI1〜FI6の中から、類似度情報S10〜S60の内で最も類似度が大きい顔特徴情報を抽出して、抽出した顔特徴情報を仮登録情報保持部3から読み出して、登録情報保持部4に保持させる。ここでは、人物Paにおいて顔特徴情報FI3の類似度情報S30が最大であった場合を示している。
【0049】
第1,第2実施形態及び変形例1においては、仮登録動作にて抽出した顔特徴情報FI1〜FI6を基準として、本登録動作にて抽出した顔特徴情報FI11〜FI22または顔特徴情報FI10との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて顔特徴情報FI1〜FI6の内の1つを本登録情報として登録情報保持部4に保持させるよう構成している。本登録動作にて抽出した顔特徴情報を基準とし、登録情報保持部4に登録する顔特徴情報を本登録動作にて抽出した顔特徴情報の中から選択するように構成してもよい。
【0050】
≪変形例2≫
図7を用いて、本登録動作にて抽出した顔特徴情報を基準とし、登録情報保持部4に登録する顔特徴情報を本登録動作にて抽出した顔特徴情報の中から選択するようにした構成を変形例2として説明する。顔特徴情報照合部5には、仮登録情報保持部3から仮登録動作による1個の顔特徴情報FI0が入力され、顔特徴情報抽出部2から本登録動作による6個の顔特徴情報の顔特徴情報FI11〜FI16が入力される。図7に示すように、顔特徴情報照合部5は、顔特徴情報FI0と顔特徴情報FI11〜FI16それぞれとを照合して類似度を算出する。変形例2においては、顔特徴情報FI11〜FI16も仮登録情報保持部3に保持しておく。
【0051】
制御部1は、変形例1と同様、顔特徴情報FI11〜FI16の中から、顔特徴情報FI0との類似度が大きい顔特徴情報を抽出して、抽出した顔特徴情報を仮登録情報保持部3から読み出して、登録情報保持部4に保持させる。図7においては、簡略化のため仮登録動作で1フレームのみで顔特徴情報FI0を抽出したが、図2と同様、複数フレームから複数の顔特徴情報を抽出してもよい。
【0052】
以上の説明より分かるように、仮登録動作におけるNフレームと本登録動作におけるMフレームはそれぞれ複数であることが好ましい。簡略化のため、仮登録動作で顔特徴情報を抽出するフレームと、本登録動作で顔特徴情報を抽出するフレームとの内の一方を1フレームとしてもよい。この場合には、仮登録動作と本登録動作との内、最終的に登録情報保持部4に登録する顔特徴情報を選択するための複数の顔特徴情報を生成する方を複数フレームとすればよい。
【0053】
本発明は以上説明した第1実施形態、第2実施形態、変形例1、変形例2に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。図1,図4では、仮登録情報保持部3と登録情報保持部4とを便宜的に分けて記載したが、1つの保持部(メモリ)であってもよい。仮登録情報保持部3に保持させた顔特徴情報FI1〜FI6の内の1つを選択して登録情報保持部4に保持させると説明したが、本登録する顔特徴情報を保持部内に残し、他の顔特徴情報を消去してもよい。図1,図4は本発明の概念的なブロック構成図であり、図1,図4の構成に限定されるものではない。
【0054】
認証装置に搭載するコンピュータに認証プログラムをインストールして、図3または図4で説明した処理を実行させることもできる。認証プログラムは光ディスク等の記録媒体に記録して提供することができ、インターネット等の通信回線によって提供することもできる。認証プログラムによるソフトウェアによる処理とハードウェアによる処理とを適宜混在させることも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 制御部
2 顔特徴情報抽出部
3 仮登録情報保持部
4 登録情報保持部
5 顔特徴情報照合部
6 本人類似度検出部
7 認証結果判定部
8 他人類似度検出部
9 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録しようとする対象物を撮影した画像から特徴情報を抽出する特徴情報抽出部と、
前記対象物を撮影した複数の第1のフレームの画像それぞれから前記特徴情報抽出部が抽出した複数の第1の特徴情報を保持する保持部と、
前記複数の第1の特徴情報と、前記第1のフレームとは異なるフレームであり、前記対象物を撮影した1または複数の第2のフレームの画像から前記特徴情報抽出部が抽出した第2の特徴情報とを照合して第1の類似度を算出する特徴情報照合部と、
前記複数の第1の特徴情報の内、第1の類似度が最も大きい1つの特徴情報を登録情報として保持部に保持させる制御部と、
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記第2のフレームは複数であり、
前記特徴情報照合部は、前記複数の第1の特徴情報それぞれと複数の第2の特徴情報それぞれとの類似度を算出し、
前記複数の第1の特徴情報それぞれに対して、前記複数の第2の特徴情報との類似度を平均した平均類似度を検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の第1の特徴情報の内、前記検出部が検出した平均類似度が最も大きい特徴情報を登録情報として保持部に保持させる
ことを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項3】
前記特徴情報照合部は、前記複数の第1の特徴情報と、前記登録しようとする対象物とは異なる対象物の第3の特徴情報との第2の類似度を算出し、
前記制御部は、前記複数の第1の特徴情報の内、前記第1の類似度と前記第2の類似度との差が最も大きい特徴情報を登録情報として保持部に保持させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の認証装置。
【請求項4】
登録しようとする対象物を撮影した複数の第1のフレームの画像それぞれから特徴情報を抽出し、複数の第1の特徴情報として保持する保持ステップと、
前記第1のフレームとは異なるフレームであり、前記対象物を撮影した1または複数の第2のフレームの画像から第2の特徴情報を抽出する抽出ステップと、
前記複数の第1の特徴情報と前記第2の特徴情報とを照合して第1の類似度を算出する第1の算出ステップと、
前記複数の第1の特徴情報の内、第1の類似度が最も大きい1つの特徴情報を登録情報として登録する登録ステップと、
を含むことを特徴とする認証方法。
【請求項5】
前記第2のフレームは複数であり、
前記第1の算出ステップは、前記複数の第1の特徴情報それぞれと複数の第2の特徴情報それぞれとの類似度を算出し、
前記複数の第1の特徴情報それぞれに対して、前記複数の第2の特徴情報との類似度を平均した平均類似度を検出する検出ステップをさらに含み、
前記登録ステップは、前記複数の第1の特徴情報の内、前記検出ステップにて検出した平均類似度が最も大きい特徴情報を登録情報として登録する
ことを特徴とする請求項4記載の認証方法。
【請求項6】
前記複数の第1の特徴情報と、前記登録しようとする対象物とは異なる対象物の第3の特徴情報との第2の類似度を算出する第2の算出ステップをさらに含み、
前記登録ステップは、前記複数の第1の特徴情報の内、前記第1の類似度と前記第2の類似度との差が最も大きい特徴情報を登録情報として登録する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の認証方法。
【請求項7】
コンピュータに、
登録しようとする対象物を撮影した複数の第1のフレームの画像それぞれから特徴情報を抽出し、複数の第1の特徴情報として保持する保持ステップと、
前記第1のフレームとは異なるフレームであり、前記対象物を撮影した1または複数の第2のフレームの画像から第2の特徴情報を抽出する抽出ステップと、
前記複数の第1の特徴情報と前記第2の特徴情報とを照合して第1の類似度を算出する第1の算出ステップと、
前記複数の第1の特徴情報の内、第1の類似度が最も大きい1つの特徴情報を登録情報として登録する登録ステップと、
を実行させることを特徴とする認証プログラム。
【請求項8】
前記第2のフレームは複数であり、
コンピュータに、
前記第1の算出ステップとして、前記複数の第1の特徴情報それぞれと複数の第2の特徴情報それぞれとの類似度を算出する処理を実行させ、
前記複数の第1の特徴情報それぞれに対して、前記複数の第2の特徴情報との類似度を平均した平均類似度を検出する検出ステップをさらに実行させ、
前記登録ステップとして、前記複数の第1の特徴情報の内、前記検出ステップにて検出した平均類似度が最も大きい特徴情報を登録情報として登録する処理を実行させる
ことを特徴とする請求項7記載の認証プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
前記複数の第1の特徴情報と、前記登録しようとする対象物とは異なる対象物の第3の特徴情報との第2の類似度を算出する第2の算出ステップをさらに実行させ、
前記登録ステップとして、前記複数の第1の特徴情報の内、前記第1の類似度と前記第2の類似度との差が最も大きい特徴情報を登録情報として登録する処理を実行させる
ことを特徴とする請求項7または8に記載の認証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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