説明

誘導システム

【課題】目に障害のある人の誘導システムの送信機として、街路灯、商店などの照明や工事現場の仮説照明などが活用することにより、安価且つ通路の状況変化にも細やかに対応した誘導システムを構築する。
【解決手段】送信器1はLED照明光2を光通信の媒体とし、かつ伝達したい情報である情報信号を該情報信号の属性を示す制御信号とともに送信し、受信器4は該制御信号で示される該情報信号の属性の分類に従い該情報信号を判読することにより位置情報及び道路工事などの通路情報を取得する。この現在位置情報及び通路情報を携帯電話機42のナビゲーション機能に取り込むことにより、より確実な目的地までの誘導が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光通信システムを活用した誘導システムに関し、特
に視力に障害のある歩行者を利便性良く誘導するものである。
【背景技術】
【0002】
所謂盲人用杖を用いた誘導システムは、電波を利用した送
信器や RF タグなどを用いた方法が種々提案されているが、
いずれも情報送信源を歩道の地中に埋設し、盲人用杖の下
端に受信部を設けこれらからの情報を受信するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−309305公報
【特許文献2】実開平6−37994公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
旧来の誘導システムにおいては情報の発信源は街路の地下に埋設する
ものであり、例えば数十メートルおきに情報源を敷設しようとしたと
きには莫大な費用が掛かり、また道路工事など随時変化するの街路状
況変化の情報を発信することが困難であることなどの不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以前本特許の発明者は、照明光通信システムにおいて、伝達したい情
報である情報信号を、該情報信号の属性を示す制御信号とともに送信
するシステムを特許出願している(特願20 10−55118)。これ
を用いると送信される該情報信号が、例えば該送信器が設置されてい
る場所を特定する位置情報であるのか、該送信器 1 の周辺の道路や隣
接する建築物などの工事情報である通路情報であるのかなどを区別す
ることが容易となり、1 つの送信器から多種多様の情報を送信するこ
とが可能となる。
【0006】
誘導システム全体としては、該送信器は LED 照明光を光通信の媒体と
し伝達したい情報である該情報信号と該情報信号の属性を示す該制御
信号を送信し、受信器は該制御信号で示される属性で区別した上で該
情報信号を判読し再生 / 出力することにより、例えば位置情報や通路
情報を取得する。該位置情報及び該通路情報を携帯電話機のナビゲー
ション機能に取り込むことにより、携帯電話機のナビゲーション機能
による目的地までの誘導がより確実なものとなる。
【発明の効果】
【0007】
以上の様に構成することにより、該送信器は、街路灯、商店などの照明や
工事現場の仮説照明などが活用できるため、該送信器の敷設は容易であり、
且つ道路工事などによる状況変化 (通路情報) の情報発信も容易であり、
結果として安価且つ通路の状況変化にも細やかに対応した誘導システムの
構築が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態でシステムの概念図。
【図2】本発明の第1の実施形態で送信される信号の概念図。
【図3】本発明の第1の実施形態で送信される信号の発展形の概念図。
【図4】本発明の第2の実施形態で受信器の概念図。
【図5】本発明の第2の実施形態で受信器の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明に係る誘導システムの実施形態について、
盲人用杖を例に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第 1 の実施形態として図 1〜図3を用いて説明する。送信器 1 からは送
信情報101が送信されるが、該送信情報101は送信順に属性を示す制
御信号 102、伝達したい情報である情報信号 103 から構成され、LED 照明
光 2 を媒体として送信される。該情報信号 103 は伝達したい具体的な情
報である。該制御信号 102 は、該情報信号 103 の内容が、例えば音声信
号なのか画像信号なのか該携帯電話機 42 用のデータフォーマットなのか
や、現在位置の情報であるのか道路工事やビル工事などの周辺の通路情報
であるのかなどの区分を表している(図 2)。
【0011】
該送信器 1 には概略、該制御信号 102 と該情報信号 103 に相当する電気
信号の発生部と、この電気信号を LED 照明光 2 に変換し LED を発光させ
る発光部が必要である (ともに図示せず)。該送信器 1 の具体例としては、
街路灯、信号機、商店や駅の照明、工事現場の足元を照らす仮設照明など
が挙げられる。
【0012】
受信器 4 は受光部 41、該受光部 41 に接続された携帯電話機 42、該
携帯電話機 42 に接続されたイヤホン 43 から成り立つ。該受光部 41
は PD などの受光素子と処理回路 (ともに図示せず) が主要な部品で
あり、盲人用杖 3 に内蔵され該盲人用杖 3 の上端部に該受光素子の
受光面を上方に露出させ設置されている。該受光部 41 の電源は該携
帯電話機 42 から供給しても良いし、該受光部 41 部内に電池を内蔵
しても良く、また太陽光発電パネルなどの活用も考えられる。
【0013】
該制御信号 102 が音声信号であった場合は、直接または該携帯電話機
42 を介して該イヤホン 43 により該情報信号 103 の内容を出力する。
該制御信号 102 が画像信号であった場合は、全盲の方には不向きであ
るが該イヤホン 43 により着信のビーピングとともに該携帯電話機 42
の画面に該情報信号 103 の内容を表示する。該制御信号 102 が該携
帯電話機 42 用のデータフォーマットであった場合は、該携帯電話機
42 のナビゲーシュン機能のデータ更新を行うとともに、例えば現在位
置の修正などを該携帯電話機 42 から該イヤホン 43 を介し該情報信
号 103 の内容を出力する。
【0014】
上記の例では、該制御信号 102 は例えば音声信号は現在位置情報と通
路情報の 2 カテゴリに分類されているが、該受信器 4 は利用者が必
要なカテゴリのみ受信する(または不必要なカテゴリは受信しない)
よう設定できる様にすることにより、膨大な情報着信 (情報洪水) を
回避できる。該制御信号 102 のカテゴリ分類は、例えば街路灯 、 商
店、駅…など細分化しておくと利用者の利便性は高まる。
【0015】
該送信器 1 からは該制御信号 102 と該情報信号 103 が1セットとな
り繰り返し送信される。ここで、1セットの終了を示す符号(図 3 の
104)を該情報信号 103 の後に付加すると、該受信器 4 での読み込み
の際に情報信号101'の終了が明確になるので該受信器 4 の処理が
安易になる。また、該制御信号 102 に読み込みの反復回数を設定して
おけば (設定した回数より多い回数受信しても出力しない、または設
定した回数より少ない回数しか受信できない時は受信済みの情報を設
定した回数まで反復し出力)、該送信器 1 の近くにいる間絶えず同一
の情報を聞かされ続けるとか、該送信器 1 の近くを早く通過したため
に1回しか聞くことができないなどの不都合を回避できる。
【0016】
また、該受光部 41 の処理回路の機能を該携帯電話機 42 に負担させ
該盲人用杖 3 の軽量化をしたり、逆に該受光部 41 (処理回路は必要)
から直接該イヤホン 43 に音声を出力できる様にすることで該携帯電
話機 42 がなくても利用できるよう図るのことも利便性の向上となる。
【0017】
図 2 では該制御信号 102 の幾つかの具体例を示したが、該制御信号
102 の分類はこれに限定するものではなく、例えば近接する公共施設
や商店への案内や天気予報など場面に適したものを自由設定して良い。
【0018】
(第 2 の実施形態)
第 2 の実施形態として図4、図5を用いて説明する。上記第1の実施
形態(図 1)では該受光部 41 は、該盲人用杖 3 の上端に配置され直
上を向いているが、通常該送信器 1 は該盲人用杖 3 から見て進行方
向斜め上方に存在するのが一般的であり、また該盲人用杖 3 はその下
部先端を進行方法に向けて傾けて握られ、且つその角度は個人差があ
る。
【0019】
そこで、該受信器 4 を受光素子ユニット 411 と受光部本体 412 に分
割し、該受光素子ユニット 411 は旋回軸 413 を中心に任意の角度
(θ)傾けられ、その角度のまま固定できる様 (固定機構は図示せず)
にしたものである。これにより、杖の利用者が望む任意の角度(θ)
に該受光素子ユニット 411 をセットすることができる。(図中電気ケー
ブル 414 は概念的に一本の線で表されているが、実際には必要に応じ
た本数で構成される。)
【0020】
ここでは、屈曲角αを大きく取るために該受光素子ユニット 411 と該
受光部本体 412 を分離した形で説明したが、初期状態が既にある角度
βを持っており調整する旋回角γを微小にしたり(β+γ=α)、多く
の機能を該携帯電話機 42 に負担させることにより受光部本体 412'自
身を微小化したり、該盲人用杖 3 の最上部のみ太くしたり、例えば旋
回軸やフレキシブルチューブにより該盲人用杖 3 自身が屈曲する構造
としたりすることで、該受光素子ユニット 411 と該受光部本体 412
を一体化しても良い。図 5 は、該盲人用杖 3 のが初期状態が既に角
度βを持ち更に該受光部本体 412'自身を微小化し、該受光素子ユニッ
ト 411 と該受光部本体 412 を一体化した時の説明図である。
【0021】
以上該盲人用杖 3 の断面は円筒形で説明してきたが、該盲人用杖 3
は円筒形以外の形状 (例えば矩形) でも良く、また一部分が異形状で
あっても良い。
【符号の説明】
【0022】
1:送信器
2:LED照明光
3:盲人用杖
4:受信器
41:受信部
42:携帯電話機
43:イヤホン
101: 送信情報
102:制御信号
103:情報信号
104:終了信号
411:受光素子ユニット
412:受信部本体
413:旋回軸
414:電気ケーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光通信を活用した誘導システムであって、伝達したい情報である情報信号と
該情報信号の属性を示す制御信号とからなる送信情報を送信する送信器と、該送信
情報を受信し、該制御信号で示される該情報信号の属性の分類に従い該情報信号を
判読し出力する受信器とからなることを特徴とする誘導システム。
【請求項2】
上記請求項 1 において、該情報信号は該送信器が設置されている場所の位置情報を
示す信号を含み構成されることを特徴とする誘導方法および誘導システム。
【請求項3】
上記請求項 1 において、該情報信号は該送信器が設置されている場所周辺での道路
工事などの状況変化を示す通路情報の信号を含み構成されることを特徴とする誘導
システム。
【請求項4】
伝達したい情報である情報信号と該情報信号の属性を示す制御信号とからなる送信
情報を送信する送信器と、該送信情報を受信し現在位置を把握し、この現在位置情
報と携帯電話機のナビゲーション機能とを連動させることにより誘導する受信器か
らなることを特徴とする誘導方法および誘導システム。
【請求項5】
受信器の構成要素である受光部が杖の上端に配置されたことを特徴とする照明光通
信用受信器。
【請求項6】
上記請求項5において、該杖の上端に配置された該受光部の受光面が、斜め上方の
任意の方向に向けてセットできるよう構成されることを特徴とする照明光通信用受
信器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate