説明

誘電体磁器組成物の製造方法

【課題】マイクロ波、ミリ波などの高周波用誘電体材料としての用途の拡大を図るべく、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値を簡易な方法でかつ確実に小さな値(より零ppm/℃に近づく小さな値)とでき、Q・f値の向上が図れる誘電体磁器組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】Al23−TiO2系の誘電体磁器組成物の製造方法であって、Al23−TiO2系の誘電体磁器組成物を製造する原料を準備する原料準備工程と、準備された原料を混合する原料混合工程と、混合された原料を使用し成形した後、成形物を1300℃以上の温度で焼成する焼成工程と、焼成後の成形物を920〜1170℃の温度で熱処理するアニ−ル工程とを含み、アニール工程におけるアニール時間は、2時間を越える時間で、アニール時間零におけるQ・fの初期値をN0とした場合に、アニール後のQ・fの値が0.9N0以上の値が得られるアニール時間とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体共振器などに用いられる誘電体磁器組成物の製造方法に関し、特に、マイクロ波、ミリ波などの高周波用誘電体材料としての用途の拡大を図るべく、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値を簡易な方法でかつ確実に小さくすることのでき、しかもQ・fの値をさらに向上させることのできる誘電体磁器組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信網の発達にともなって、使用波長がマイクロ波やミリ波領域などの高周波領域まで及びつつある。
【0003】
誘電体磁器組成物(誘電体磁器)は、これらの高周波領域において、共振器や集積回路基板、アンテナ、各種高周波回路のインピーダンス整合等に応用されている。
【0004】
マイクロ波用の誘電体材料の特性としては、損失を抑えるべく品質係数(Q値)、すなわち1/tanδの値が大きく、共振周波数の温度係数である(τf)の値を制御できることが必要とされている。
【0005】
また、誘電体内の波長をλ、空気中の波長をλ0、比誘電率をεrとしたとき、λ=λ0・εr-1/2の関係が成り立ち、共振器に用いられる誘電体の素子寸法はλで決まるので、素子の小型化を目的として比誘電率の大きな材料が開発されてきた。しかしながら、使用周波数の更なる高周波化に伴い、λの値が小さくなるため、比誘電率の高い誘電体を用いると素子寸法が小さくなり過ぎて、素子の加工性の面から比較的比誘電率の小さい材料が望まれている。
【0006】
従来のBa−Ti−O系のεr=30〜90、Ba−Mg−Ta−O系のεr=20〜40に比べてアルミナはεrが9.8と小さく、より高周波化には有利である。また、単結晶アルミナが非常に高いQ値を持つことから、アルミナ本来のQ値は高く、高周波誘電体材料として高い能力を持っているものと考えられる。さらに、アルミナ焼結体は、機械的強度、熱伝導性および化学的安定性に優れ、コストも低い点で有利である。
【0007】
しかしながら、従来のアルミナ焼結体は、共振周波数の温度係数が(τf)が−55ppm/℃と絶対値の大きな値をもつために、マイクロ波、ミリ波などの高周波用誘電体材料としてその用途が著しく制限されていた。また、Q値については、アルミナ原料粉末中の不純物や焼結助剤等の添加物によって大きく低下してしまい本来のアルミナ焼結体そのものが有する優れた特性が得られていないというのが現状であった。
【0008】
共振周波数の温度係数(τf)を±0ppm/℃付近に調整する方法としては、(τf)の符号の異なる物質を複合させる方法が知られている。その場合、複合体のQ値は、複合させる物質のQ値に支配される。したがって、大きな負の(τf)を持つアルミナと複合させる物質としては、(τf)が正で大きな値であり、かつ高いQ値を持つ物質が望ましい。そこで、(τf)が正の大きな値を有するTiO2が注目されている。
【0009】
しかしながら、一般的な手法でAl23にTiO2を添加して焼成すると、Al2TiO5が生成してしまうために目的とする特性が得られない。そのため、Al2TiO5の生成を抑制するために第3の添加物を添加することが試みられていたが、所望の特性値を得るまでには至っていない。
【0010】
このような実状のもと、特開平9−221355号(特許文献1)では、Al23−TiO2系材料についても添加物をあえて添加することなく、焼成温度を低く設定してAl2TiO5の生成反応を抑えるようにする旨の提案がなされている。より具体的には、焼成温度は1350℃以下、特に1300℃以下の温度で大気などの酸化性雰囲気中で1〜5時間焼成し、開気孔率が3%以下、特に2%以下となるように十分な時間焼結させる旨の提案がなされている。そして、このように得られたAl23-TiO2系複合材料は、緻密であれば、(τf)が小さく、さらに高いQ値を持つことができるとの報告がなされている。
【0011】
しかしながら、1300℃付近の温度条件では、相平衡図や後述する本発明者らの具体的な実験結果からも分かるようにAl2TiO5相が安定相として存在し、このものが負の(τf)をもつために、従来技術に開示されている手法、すなわち主として温度条件の操作のみで(τf)の値を零ppm/℃にすることは技術的にきわめて困難であるといえる。
【0012】
また、Al2TiO5相の析出を防止するために、より低温での焼成、例えば、1200〜1250℃程度の焼成を行なうことにより、(τf)の値は零ppm/℃に近づけることはできるが、焼結性が不十分となり焼結体の緻密性に欠け、Q値等の特性の劣化が生じてしまう。
【0013】
このような課題を解決すべく、本出願に係る出願人らは、すでに特願2003−203789号として、マイクロ波、ミリ波などの高周波用誘電体材料としての用途の拡大を図るべく、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値を簡易な方法でかつ確実に小さな値(より零ppm/℃に近づく小さな値)とすることができる誘電体磁器組成物の製造方法の提案を行なっている。
【0014】
しかしながら、この提案において、Q・fの値は、50000GHz程度以上付近の値を維持しているものの、誘電体磁器の性能向上への要求には際限がなく、損失を低減させるためにさらなるQ・fの値の向上が求められている。
【0015】
【特許文献1】特開平9−221355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、マイクロ波、ミリ波などの高周波用誘電体材料としての用途の拡大を図るべく、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値を簡易な方法でかつ確実に小さな値(より零ppm/℃に近づく小さな値)とすることができ、しかもQ・f値のさらなる向上が図れる誘電体磁器組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような実状のもと、本発明者らが焼成後のアニ−ル処理ついて鋭意研究を進めた結果、Al2TiO5相が1200℃以下の温度では熱力学的に安定に存在せず、分解することを利用し、一旦焼結最適温度で焼結させた磁器組成物を分解温度以下でアニ−ルすることによって、Al2TiO5相をAl23とTiO2に分解させ、緻密性がよくQ値を高く保つと同時に、分解によって生成したTiO2相(τfがプラスに大きい)の効果で共振周波数の温度係数(τf)の絶対値を格段に小さくできることを見出し、さらに、アニ−ル処理の時間を従来行なわれていなかった所定の時間以上に設定することにより、Q・f値の向上も図れることを見出し、本発明に想到したものである。
【0018】
すなわち、本発明は、Al23−TiO2系の誘電体磁器組成物の製造方法であって、当該方法は、Al23−TiO2系の誘電体磁器組成物を製造するための原料を準備する原料準備工程と、前記準備された原料を混合する原料混合工程と、前記混合された原料を使用して成形した後に、当該成形物を1300℃以上の温度で焼成する焼成工程と、前記焼成後の成形物を920〜1170℃の温度で熱処理するアニ−ル工程と、を含み、前記アニール工程におけるアニール時間は、2時間を越える時間であって、かつ、アニール時間零におけるQ・fの初期値をN0とした場合に、アニール後のQ・fの値が0.9N0以上の値が得られるアニール時間とされる。
【0019】
また、本発明の好ましい態様として、前記アニール工程におけるアニール時間は、3.5時間以上となるように構成される。
【0020】
また、本発明の好ましい態様として、前記焼成工程の焼成温度が1300〜1700℃となるように構成される。
【0021】
また、本発明の好ましい態様として前記原料準備工程において準備される主原料が、酸化アルミニウムと酸化チタンであり、前記酸化アルミニウムは、Al23換算で88〜93モル%であり、前記酸化チタンは、TiO2換算で7〜12モル%となるように構成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、Al23−TiO2系の誘電体磁器組成物の製造方法であって、当該方法は、Al23−TiO2系の誘電体磁器組成物を製造するための原料を準備する原料準備工程と、前記準備された原料を混合する原料混合工程と、前記混合された原料を使用して成形した後に、当該成形物を1300℃以上の温度で焼成する焼成工程と、Al2TiO5相を分解する目的で前記焼成後の成形物を920〜1170℃の温度で熱処理するアニ−ル工程とを含み、前記アニール工程におけるアニール時間は、2時間を越える時間であって、かつ、アニール時間零におけるQ・fの初期値をN0とした場合に、アニール後のQ・fの値が0.9N0以上の値が得られるアニール時間とされるように構成されているので、共振周波数の温度係数(τf)の絶対値を簡易な方法でかつ確実に小さな値(より零ppm/℃に近づく小さな値)とすることができるとともに、損失を抑えるべくQ・f値のさらなる向上が図れる。これによって、マイクロ波、ミリ波などの高周波用誘電体材料としてのさらなる用途の拡大を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の誘電体磁器組成物の製造方法について工程順に従い説明する。
【0024】
〔Al23−TiO2系の誘電体磁器組成物を製造するための原料準備工程〕
原料準備工程において準備される主原料は、酸化アルミニウム(一般には、純度99.9%以上のAl23)と酸化チタン(一般には純度99.9%以上のTiO2)の粉末である。
【0025】
酸化アルミニウムは、Al23換算で88〜93モル%、好ましくは89〜92モル%とされ、酸化チタンは、TiO2換算で7〜12モル%、好ましくは8〜11モル%とされる。酸化チタンの含有量が7モル%未満となると、τfが負に大きくなるという不都合が生じる傾向にあり、またこの値が12モル%を超えるとτfが正に大きくなるという不都合が生じる傾向にある。
【0026】
酸化アルミニウム粉末のBET比表面積は、10〜18m2/g程度とされ、酸化チタン粉末のBET比表面積は、3〜10m2/g程度とされる。
【0027】
〔主原料粉末を混合する工程〕
上記酸化アルミニウム粉末と酸化チタン粉末とを、所定のモル比となるように秤量して、混合する。
【0028】
混合に際しては、上記原料粉末にアルコールを添加して行なう湿式混合が好適例として挙げられる。より具体的には、上記混合対象粉末をアルコールおよびアルミナボールとともにボールミルに入れて、湿式で、8〜24時間程度、混合することが望ましい。
【0029】
このような混合により得られたスラリーは、通常、乾燥させられて混合粉体が形成される。乾燥条件としては、例えば、100〜140℃程度の温度で、16〜30時間程度の処理時間とされる。
【0030】
このようにして乾燥された混合粉体は、仮焼き処理されることなく、造粒処理された後に後述の成形ー焼成工程に至ることができる。仮焼き処理を行なわない場合は、原料として酸化物原料を使用する。ただし、原料として酸化物原料を使用しないこともあり、この場合には、途中工程として、仮焼き処理が適宜行なわれる。また、造粒処理にはバインダの添加は必須ではないが、状況に応じて適宜、バインダの添加をしてもよい。
【0031】
〔成形−焼成工程〕
上記乾燥された混合粉体を用いて所定の形状(例えば、円筒状)に成型した後に、この成形物を1300℃以上の温度、特に、1300〜1700℃、さらに好ましくは、1350〜1500℃の温度で焼成する。
【0032】
焼成温度が1300℃未満となると、焼結性が不十分となり、焼結体の緻密性に欠け、Q値等の特性が劣化するという不都合が生じてしまう。
【0033】
また、一般には焼成温度が1700℃を超えるとエネルギー的または装置的にコストアップするという不都合が生じる傾向があり、1700℃を超える温度はなるべく選択しないようにすることが望ましい。
【0034】
焼成時間は、1〜6時間程度、好ましくは2〜5時間程度とすればよい。また、焼成雰囲気は、空気等の酸素雰囲気とすればよい。焼成雰囲気の全圧力は、通常、大気圧とされる。
【0035】
〔焼成後の成形物(焼成物)を熱処理するアニ−ル工程〕
焼成後の成形物(焼成物)は、920〜1170℃、より好ましくは950〜1100℃の温度範囲で熱処理(アニ−ル処理)される。熱処理雰囲気は、空気等の酸素雰囲気とされる。アニール時間は、2時間を越える時間(特に3.5時間以上、好ましくは4.0時間以上、さらに好ましくは6.0時間以上)であって、かつ、アニール時間零におけるQ・fの初期値をN0とした場合に、アニール後のQ・fの値が0.9N0以上の値が得られるアニール時間とされる。
【0036】
上記熱処理温度が920℃未満となると、アニ−ル処理そのものの効果が発現せず、ほぼ、アニ−ル処理をしないのと同じ結果となってしまう。また、熱処理温度が1170℃を超えると、Al2TiO5の相が分解しないという不都合が生じてしまう。
【0037】
また、上記アニール時間が、2時間以下であると、上記の処理温度範囲ではさらに改善された良好なQ・fの値を得ることができない。
【0038】
また、アニール時間を設定するに際し、アニール時間零におけるQ・fの初期値をN0とした場合に、アニール後のQ・fの値が0.9N0以上(好ましくは、0.95N0以上)の値が得られるアニール時間とすることである。すなわち、本発明らがアニール時間とアニール後のQ・fの値との関係について鋭意研究した結果、アニールを開始して最初の2時間ぐらいまでの間、Q・f値は下がり続けてしまい、この一方で、2時間を越えるとQ・f値は上昇し始めて、アニール時間零におけるQ・fの初期値N0に向かってQ・f値が回復するような挙動を示すことが分かってきた。
【0039】
このような挙動を示す原因は、現時点では明確に説明できないが、アニールの初期におけるAl2TiO5の相の分解に伴う成形物(焼成物)の結晶性の悪さが、アニール時間を2時間超することで結晶性が良くなるためではないかと推測される。
【0040】
アニール後のQ・f値=0.9N0以上という設定における数値『0.9』は、いわゆる回復率と考えることができる。後の実験例から分かるように、アニール時間によっては、この数値は1を超えて、アニール前の特性を上回る場合もある。
【0041】
なお、アニール時間の設定は、アニール温度の設定仕様によっても、異なってくるために、本発明では単に、2時間越えという要件だけでなく、これにいわゆる回復率のごとく要件(初期値に対して、90%以上の値)をさらに付加し、上記のようなアニール時間の設定手法を定めている。
【0042】
なお、アニール時間の上限は、特に制限はないが、得られる効果および経済性を考慮すると、12時間程度が好ましい。
【0043】
上記の要領で作製された誘電体磁器組成物は、マイクロ波やミリ波用の誘電体共振器の材料として好適に用いられる。
【実施例】
【0044】
以下、具体的実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
〔実験例1〕
主原料粉末として、Al23粉末(BET比表面積:13.4m2/g;純度99.99%)とTiO2(BET比表面積:6.46m2/g;純度99.9%)を準備した。これらの粉末を下記表1に示されるような所定のモル%となるように秤量して、混合した。なお、表1中は、TiO2モル%のみ表示している。
【0045】
混合に際しては、混合対象粉末をアルコールおよびアルミナボールとともにボールミルに入れて、湿式で24時間混合した。
【0046】
得られたスラリーを、120℃の温度で24時間、乾燥処理した。
次いで、乾燥した粉末を造粒し、造粒した粉末を用いて12mmφの円柱状成形物を加圧力196MPaで成形した。
【0047】
次いで、成型したペレット状物を、下記表1に示すような焼成温度および焼成時間で焼成した。焼成雰囲気は、大気圧の空気雰囲気とした。
【0048】
次いで、焼成後の成形物(焼成物)を、下記表1に示すようなアニ−ル温度、アニ−ル時間でアニ−ル処理した。アニ−ル処理雰囲気は、大気圧の空気雰囲気とした。
【0049】
このようにして下記表1に示されるような種々のサンプルを作製し、これらの各サンプルについて、下記の特性を評価した。なお、これらの評価項目は、表1に示されるようにアニ−ル処理をする前のサンプル、およびアニ−ル処理をした後のサンプルの双方で測定した。
【0050】
(1)比誘電率(εr)および品質係数(Q・f)
サンプルを10mmφ×5mmの大きさに加工した後、誘電体共振法にて測定した。なお、Q値は一般にQ・fで評価される。
【0051】
(2)共振周波数温度係数(τf)
JIS R 1627に準拠して共振周波数温度係数(τf)を求めた。
【0052】
(3)(Q・f)回復率
焼成後のサンプル(アニール時間零)のQ・f値=N0に対して、所定時間のアニール処理をした場合のQ・f値を求め、初期値N0に対する回復率を%で表示した。
【0053】
回復率100%は、アニール後のQ・f値が、アニール前のQ・f値=N0にまで回復していることを表している。また、回復率は100%を超える場合もあり、この場合には、アニール後のQ・f値が、アニール前のQ・f値=N0をさらに上回る値となっていることを表している。
【0054】
結果を下記表1に示した。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
表1に示される結果より、焼成温度が1300℃以上(1350℃、1450℃、1550℃)であり、アニ−ル温度が920〜1170℃の範囲内である本願製造方法により得られた磁器組成物は、+1.8ppm/℃〜−15.6ppm/℃と良好なτf値をもつことがわかる。一方、焼成温度が1250℃と低くなると、その後のアニ−ル処理の効果が発現せず、また、焼成温度が1300℃以上であっても、適切な温度でのアニ−ル処理が行なわれないとアニ−ル処理の効果が発現しないことがわかる。
【0058】
また、アニール時間とアニール後のQ・fの値との関係については、アニールを開始して最初の2時間ぐらいまでの間、Q・f値は下がり続けてしまい、逆に2時間を越えるとQ・f値は上昇し始めて、約4〜6時間のアニール時間で、本願所望のQ・f値特性を備えるサンプルが得られることがわかる。
【0059】
このような現象はさらに、図1のグラフにより容易に理解できる。すなわち、図1には、表1のデータ(最初の表1のページに示されるI,II,およびIII群のデータ)からアニール時間とQ・f値との関係を示すデータを抽出してグラフにしたものであり、パラメータの1350℃、1450℃、および1550℃は焼成温度である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の誘電体磁器組成物(誘電体磁器)は、高周波領域において、共振器や集積回路基板、アンテナ、各種高周波回路のインピーダンス整合等に応用される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、表1のデータからアニール時間とQ・f値との関係を示すデータを抽出してグラフにしたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al23−TiO2系の誘電体磁器組成物の製造方法であって、
当該方法は、
Al23−TiO2系の誘電体磁器組成物を製造するための原料を準備する原料準備工程と、
前記準備された原料を混合する原料混合工程と、
前記混合された原料を使用して成形した後に、当該成形物を1300℃以上の温度で焼成する焼成工程と、
前記焼成後の成形物を920〜1170℃の温度で熱処理するアニ−ル工程と、
を含み、
前記アニール工程におけるアニール時間は、2時間を越える時間であって、かつ、アニール時間零におけるQ・fの初期値をN0とした場合に、アニール処理後のQ・fの値が0.9N0以上の値が得られるアニール時間とされることを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
【請求項2】
前記アニール工程におけるアニール時間は、3.5時間以上である請求項1に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
【請求項3】
前記焼成工程の焼成温度が1300〜1700℃である請求項1または請求項2に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
【請求項4】
前記原料準備工程において準備される主原料が、酸化アルミニウムと酸化チタンであり、
前記酸化アルミニウムは、Al23換算で88〜93モル%であり、
前記酸化チタンは、TiO2換算で7〜12モル%である請求項1ないし請求項3のいすれかに記載の誘電体磁器組成物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−117479(P2006−117479A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307949(P2004−307949)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】