説明

誤操作検出装置及び誤操作検出方法

【課題】ドライバの誤操作による車両の暴走を防止する。
【解決手段】挙動解析部112で解析したドライバの仕草(挙動)に基づいて、意図推定部113がドライバの意図(ドライバが車両を前進させようとしているのか、あるいは、後進させようとしているのか)を推定する。そして、誤操作判定部140において、推定されたドライバの意図に基づいて、そのドライバの意図を実現するようなギアのレンジ位置やアクセルペダルの踏み込み量が実行されているかを判定し、ドライバの意図とは異なるギアのレンジ位置やアクセルペダルの踏み込み量が検出された場合には、誤操作が生じていると判断して、警報報知や車両の駆動制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの誤操作による車両の暴走を防止するための誤操作検出装置及び誤操作検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバが車両を運転する際に、操作を誤って車両が暴走し、事故を起こしてしまう場合がある。ドライバが車両を運転する際の誤操作としては、例えば、ブレーキペダルと、アクセルペダルとを踏み間違えてしまうペダル操作ミスや、ギアのシフト位置を間違えて入力したまま発進してしまうシフト操作ミスが挙げられる。
【0003】
ペダル操作ミスは、例えば、ドライバが、ブレーキペダルを踏もうとして、間違ってアクセルペダルを踏んでしまう行為である。この踏み間違いでは、車両を止めようという意識に反して車両が急加速してしまうため、ドライバがパニック状態となって暴走に至る場合がある。昨今、高齢者や女性のブレーキ/アクセルのペダル操作ミスによる暴走事故が多発している。
【0004】
また、シフト操作ミスは、例えば、ドライバがAT(オートマチック)のギアのレンジ入れ間違えてしまう行為である。ギアのレンジ入れ間違いでは、ドライバが車両を前進させようとする意識に反してギアの位置がリアに入っているため、発進しようとしている方向と逆方向に車両が発進して暴走に至る場合がある。
【0005】
従来、こうしたドライバの誤操作を抑止するための技術が存在する。例えば、アクセルペダルとブレーキペダルとの踏み間違いを無くすために、ペダル機構そのものを変えてしまうアイデアが存在する。下記の特許文献1には、前後の踏み込みによって駆動するブレーキ機構と、横方向に操作することによって駆動するアクセル機構とが一体となったペダル装置が開示されている。
【0006】
また、下記の特許文献2には、アクセルペダルが所定の踏力で踏み込まれた場合には、車両の急発進が行われないよう駆動制御を行う暴走防止装置が開示されている。
【0007】
また、下記の特許文献3には、車両周辺の障害物を検出する障害物検出器の検出結果に基づいて、進行方向に障害物がある状態では、アクセルペダルの踏み込みという単一の操作だけでは、アクセルペダル踏み込みに応じた加速を行わないように制御する暴走防止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−335506号公報(要約書、図1)
【特許文献2】特開平11−278092号公報(要約書、図3)
【特許文献3】特開2006−188200号公報(要約書、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ハードウェア構成によって、ブレーキとアクセルの踏み間違いが生じないように工夫されており、ペダル操作ミスには対応しているが、シフト操作ミスには対応していない。すなわち、ドライバが、例えば、車両を前進させようとしているときにリアレンジにギアを入れてしまったり、あるいは、後進させようとしているときにドライブレンジにギアを入れてしまったりした場合には、ドライバの意図とは異なる方向に車両が暴走してしまうという問題を解決することはできない。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術では、アクセルペダルの踏力(あるいは、踏み込み速度)が所定の値より大きい場合に、ドライバがブレーキペダルを踏むつもりで誤ってアクセルペダルを踏み込んだものと判断するが、この技術もペダル操作ミスには対応しているが、シフト操作ミスには対応していない。また、アクセルペダルの踏力だけでは、ドライバが誤ってアクセルペダルを踏み込んでしまったのかどうかを必ずしも正確に判断できるわけではない。
【0011】
また、特許文献3に記載の技術では、障害物の有無に応じてドライバの操作ミスを検出しており、ペダル操作ミス及びシフト操作ミスの両方に対応している。しかしながら、車両の小移動(例えば、駐車位置の微調整)などにおいて、例えば、壁や柱などの障害物を常に検知しながら車両を移動させるような場合(すなわち、障害物が常に検知されているような状態)では、適切に動作しない。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑み、より正確にドライバの誤操作を検出して、誤操作による車両の暴走を防止できるようにするための誤操作検出装置及び誤操作検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するため、ドライバの仕草からドライバの意図(ドライバが車両を前進させようとしているのか、あるいは、後進させようとしているのか)を推定し、推定されたドライバの意図に基づいて、ドライバによる誤操作の検出を行う。具体的には、本発明では、ドライバの意図を推定し、そのドライバの意図と、ギアのレンジ位置やアクセルペダルの踏み込み量とを照合して、一致していない場合に誤操作が生じていると判断する。
【0014】
すなわち、本発明によれば、
車両を運転するドライバの運転に係る誤操作を検出する誤操作検出装置であって、
前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果に基づいて、前記ドライバの仕草を解析する挙動解析部と、
前記挙動解析部で解析された前記ドライバの仕草から、前記ドライバが前記車両を前進させようとしているか、あるいは、後進させようとしているかという前記ドライバの意図を推定する意図推定部と、
前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果と、前記意図推定部で推定された前記ドライバの意図とを比較し、前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果が、前記ドライバの意図を実現するものではない場合には、前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定する誤操作判定部とを、
有する誤操作検出装置が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、車両を運転するドライバの運転に係る誤操作を検出する誤操作検出方法であって、
前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果に基づいて、前記ドライバの仕草を解析する挙動解析ステップと、
前記挙動解析ステップにおいて解析された前記ドライバの仕草から、前記ドライバが前記車両を前進させようとしているか、あるいは、後進させようとしているかという前記ドライバの意図を推定する意図推定ステップと、
前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果と、前記意図推定ステップにおいて推定された前記ドライバの意図とを比較し、前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果が、前記ドライバの意図を実現するものではない場合には、前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定する誤操作判定ステップとを、
有する誤操作検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記構成を有しており、ドライバによるシフト操作ミスやペダル操作ミスを検出して、車両の暴走を防止できるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における誤操作検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における誤操作検出装置の動作の概要を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、ドライバの前後進の意図推定の処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、後進時のギア入力間違い判定の処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、前進時のギア入力間違い判定の処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、後進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、前進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、ドライバの運動モデルを作成する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
まず、図1を参照しながら、本発明の実施の形態における誤操作検出装置の構成の一例について説明する。図1は、本発明の実施の形態における誤操作検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
図1に図示されている誤操作検出装置100は、ドライバ監視部110、車両状態監視部120、衝突予測判定部130、誤操作判定部140、誤操作抑止部150、運動モデル格納部160を有している。なお、ここでは、誤操作検出装置100が有する各機能をブロックで表しているが、これらの各機能は、ハードウェア又はソフトウェア(コンピュータによって実行可能なプログラム)によって実現可能である。
【0021】
ドライバ監視部110は、ドライバの仕草(本明細書では、ドライバの挙動と記載することもある)を監視する機能を有している。ドライバ監視部110には、例えば、ドライバがどのような動作を行っているかを検出するドライバ動作検出センサ191から、その検出結果が供給される。ドライバ動作検出センサ191は、例えばドライバの動作を撮像する車内カメラや、ドライバが座っているシートにかかる圧力を検出するシート圧センサなどが利用可能である。ドライバ動作検出センサ191として車内カメラを利用する場合には車内カメラによる撮像画像が、ドライバ動作検出センサ191としてシート圧センサを利用する場合にはシート圧(例えば、シート座面と背面の圧力)が、検出結果としてドライバ監視部110に供給される。
【0022】
ドライバ監視部110は、画像認識部111、挙動解析部112、意図推定部113を有している。画像認識部111は、ドライバ動作検出センサ191として利用されている車内カメラで撮像された撮像画像の画像認識処理を行う機能を有している。また、挙動解析部112は、画像認識部111で画像認識処理された結果から、ドライバの挙動(仕草)を解析し推定する機能を有している。また、意図推定部113は、挙動解析部113で解析されたドライバの仕草から、ドライバの意図(すなわち、ドライバが車両を前進させようとしているのか、あるいは、後進させようとしているのか)を推定する機能を有している。
【0023】
なお、図1では、意図推定部113は、挙動解析部112の解析結果に基づいて、ドライバの意図を推定しているが、車両状態検出センサ192によって検出された様々なセンシング情報や、ナビゲーション装置が保持する様々な情報(現在地情報や地図情報、経路案内情報など)を取得し、ドライバの意図を推定するための情報として利用してもよい。具体的には、例えば、前後の障害物(駐車場なら後ろ)、現在の状況(走行状態を示す情報や現在位置(サービスエリア、交差点)など情報を含む)・時刻(時間帯)情報、同乗者の有無を示す情報などを更に意図推定の判定材料として利用することが可能である。意図推定部113は、ドライバの意図推定の際に、例えば、車両の後ろに障害物がある場合には車両を前進させようとしている可能性が高いことを考慮したり、特定の交差点や特定の時間帯において進路方向を変更する(右左折を行う)傾向があることを考慮したりすることが可能である。
【0024】
なお、図1に図示されているドライバ監視部110は、ドライバ動作検出センサ191として車内カメラを利用し、車内カメラによるドライバの撮像画像が検出結果としてドライバ監視部110に供給される場合を前提としているが、ドライバ動作検出センサ191としてシート圧センサを利用する場合も同様に、シート圧センサで検出されたシート圧に基づいて、挙動解析部112が、ドライバの動作を解析し、その解析結果から意図推定部113がドライバの意図を推定することが可能である。
【0025】
また、車両状態監視部120は、車両の状態を検出することが可能な車両状態検出センサ192から、その検出結果を取得して処理する機能を有している。なお、以降の説明では、車両状態検出センサ192として、ギア入力のレンジ(ギアがどこに入っているか)を検出するシフト状態検出部と、ドライバのアクセルペダルの踏み込み量(あるいは、踏み込み速度や踏み込み加速度の検出でもよい)を検出するアクセルペダル踏み込み量検出部の2つを例に挙げているが、その他の検出センサを用いることも可能である。車両状態検出センサ192として利用可能なものとしては、例えば、車両の速度を検出する速度センサ、車両の亜速度を検出する加速度センサ、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダル踏み込み量センサ、サイドブレーキの状態を検出するサイドブレーキセンサ、車両周辺の障害物を検出するクリアランスソナーなどが挙げられる。
【0026】
また、車両状態監視部120は、操作癖学習部121、障害物測距部122を有している。操作癖学習部121は、車両状態検出センサ192による検出結果(センサ情報)に基づいて、ドライバが車両を前進又は後進させる際に特徴的な状態(ドライバが車両を前進又は後進させる際に、車両状態検出センサ192においてどのような検出結果が得られるか)を学習する機能を有している。例えば、学習対象をアクセルペダル踏み込み量検出部によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量とする。通常、ドライバが車両を前進させる際のアクセルペダルの踏み込み量(アクセルペダルを踏み込むやり方)と、後進させる際のアクセルペダルの踏み込み量(アクセルペダルを踏み込むやり方)とは大きく異なっており、前進と後進とでそれぞれ(さらには、ドライバごとに)特徴的なアクセルペダルの踏み込み量が検出される。操作癖学習部121は、このような前進時の特徴量及び後進時の特徴量を、前進時の運動モデル及び後進時の運動モデルとして学習し、運動モデル格納部160に蓄積する。また、障害物測距部122は、車両状態検出センサ192の1つであるクリアランスソナーによる信号を解析し、車両周辺の障害物までの距離を測定する機能を有している。
【0027】
また、衝突予測判定部130は、障害物測距部122で得られた車両周辺の障害物までの距離に基づいて、その障害物と衝突する危険があるかどうかを判定する機能である。
【0028】
また、誤操作判定部140は、ドライバが、シフト操作ミス又はペダル操作ミスをしていないかどうかを判定する機能を有しており、シフト操作ミス判定部141、ペダル操作ミス判定部142を有している。
【0029】
シフト操作ミス判定部141は、推定されたドライバの意図、車両状態検出センサ192による検出結果に基づいて、ギアシフトの入力ミス(ドライバの意図とは異なる位置にギアが入力された状態)が起こっていないかどうかを判定する機能を有している。具体的には、例えば、ドライバの意図が後進であると推定された場合、シフト状態検出部によって検出されたギア入力の位置がリアレンジとなっているかどうかを検出し、車両が前進してしまうドライブレンジに入っている場合には、誤操作であると判定する機能を有している。
【0030】
また、ペダル操作ミス判定部142は、推定されたドライバの意図、車両状態検出センサ192による検出結果、ドライバの運動モデルに基づいて、アクセルペダルの踏み間違えのミス(ドライバの意図通りにアクセルペダルの踏み込みが行われていない状態)が起こっていないかどうかを判定する機能を有している。具体的には、例えば、ドライバの意図が後進であると推定された場合、アクセルペダル踏み込み量検出部によって検出されたアクセルペダルの踏み込み量が、後進時のアクセスペダル踏み込み量と一致(又は類似)しているかどうかを検出し、後進時のアクセスペダル踏み込み量と一致(又は類似)しない場合には(前進時のアクセスペダルの踏み方であったり、ブレーキペダルの踏み方であったりした場合には一致しない)、誤操作であると判定する機能を有している。
【0031】
また、誤操作抑止部150は、誤操作判定部140で誤操作であると判定された場合に、警報の報知や車両の駆動制御などを行う機能を有しており、警報部151、駆動制御部152を有している。
【0032】
なお、警報部151は、誤操作判定部140で誤操作であると判定された場合に、車両の音声出力部193を通じて、ドライバへ警報を報知する機能を有している。また、駆動制御部152は、誤操作判定部140で誤操作であると判定された場合に、車両駆動部194に対して、車両を減速又は停止させるよう指示及び制御する機能を有している。駆動制御部152は、例えば、車両にブレーキをかけたり、アクセルが入らないようにしたりするよう制御を行う。なお、図1に図示されている構成及び図2以降に示す処理では、シフト操作ミス判定部141によって誤動作(シフトギアの入れ間違え)が検出された場合には警報部151から警報を報知し、ペダル操作ミス判定部142によって誤動作(アクセルペダルの踏み間違え)が検出された場合には駆動制御部152から車両の駆動制御を行うようになっているが、各誤操作ミスの判定に従って警報報知及び駆動制御のどちらを行うかは任意に設定可能である。例えば、シフト操作ミス判定部141及びペダル操作ミス判定部142による誤操作検出に関して、両方共、駆動制御を行わずに警報を報知するだけにしてもよく(警報の音声は異なっていてもよい)、また、両方共、駆動制御によって車両が走行しないようにしてもよい。また、車両の走行状況(停車中か走行中か)によって警報を鳴らすか、駆動制御を行うか、あるいは、その両方を行うかを変えてもよい。
【0033】
また、運動モデル格納部160は、操作癖学習部121において学習された運動モデル(ドライバが車両を前進又は後進させる際に検出される特徴的な癖を示す情報:例えば、前進時又は後進時のアクセルペダルの踏み込み量など)を格納する機能を有している。
【0034】
次に、図2を参照しながら、図1に図示されている誤操作検出装置における動作の概要について説明する。図2は、本発明の実施の形態における誤操作検出装置の動作の概要を示すフローチャートである。
【0035】
誤操作検出装置100は、意図推定部113において、ドライバの前後進の意図(ドライバが車両を前進させようとしているのか、あるいは、後進させようとしているのか)を推定する(ステップS201)。なお、ステップS201における推定処理については、後で図3を用いて説明する。
【0036】
意図推定部113における推定結果は誤操作判定部140に供給され、誤操作判定部140は、ドライバの意図が前進又は後進のいずれであるかを判断する(ステップS202)。誤操作判定部140のシフト操作ミス判定部141は、この推定結果が、ドライバが車両を後進させようとしているという意図を示すものである場合には、後進時のギア入力間違い判定の処理を行い(ステップS203)、ドライバが車両を前進させようとしているという意図を示すものである場合には、前進時のギア入力間違い判定の処理を行う(ステップS204)。これにより、ドライバの意図が後進であるにもかかわらず、車両が前進してしまうレンジにギアが入っている状態、あるいは、ドライバの意図が前進であるにもかかわらず、車両が後進してしまうレンジにギアが入っている状態、すなわち、ギア入力が間違っているかどうかが判定される。なお、ステップS203における後進時のギア入力間違い判定の処理、ステップS204における前進時のギア入力間違い判定の処理については、後で図4及び図5を用いて説明する。
【0037】
誤操作判定部140は、ステップS203又はステップS204の判定結果を参照し(ステップS205)、その判定結果が、ギア入力が間違っていることを示すものである場合には、誤操作抑止部150の警報部151に対して、警報などの出力を行うよう指示し、その結果、警報部151は、音声出力部193を通じてドライバに警報を報知する(ステップS206)。一方、その判定結果が、ギア入力が間違っていないことを示すものである場合には、特別な処理(ステップS206における警報の出力など)は行われない。
【0038】
さらに、誤操作判定部140は、例えばドライバがペダルを踏んだタイミング(あるいは、ペダルを踏もうとしていることが検知されたタイミング)において、ペダルの踏み間違えが起こっていないかどうかを判定する処理を行う。誤操作判定部140のペダル操作ミス判定部141は、ドライバの意図が前進又は後進のいずれであるかを判断し(ステップS207)、ステップS201の推定結果が、ドライバが車両を後進させようとしているという意図を示すものである場合には、後進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理を行い(ステップS208)、ドライバが車両を前進させようとしているという意図を示すものである場合には、前進時のアクセルペダル踏み間違い判定の処理を行う(ステップS209)。これにより、ドライバの意図が後進であるにもかかわらず、車両が前進してしまうように(前進のギア入力状態で)アクセルペダルを踏んでしまう状態、あるいは、ドライバの意図が前進であるにもかかわらず、車両が後進してしまうように(後進のギア入力状態で)アクセルペダルを踏んでしまう状態、すなわち、アクセルペダルを踏み間違えていないかどうかが判定される。なお、ステップS208における後進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理、ステップS209における前進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理については、後で図6及び図7を用いて説明する。
【0039】
誤操作判定部140は、ステップS208又はステップS209の判定結果を参照し(ステップS210)、その判定結果が、アクセルペダルを踏み間違えていることを示すものである場合には、誤操作抑止部150の駆動制御部152に対して、車両の停止措置などを行うよう指示し、その結果、駆動制御部152は、車両駆動部194に対して、例えば、エンジンスロットル制御やブレーキアシスト作動などによる車両の停止や減速を行わせる(ステップS211)。
【0040】
なお、図2に図示されている処理では、ステップS208又はステップS209の判定結果が、アクセルペダルを踏み間違えていないことを示すものである場合には、特別な処理(ステップS211における駆動制御)は行われないようになっているが、例えば、ステップS206で警報などが出力されている場合には、ステップS211の停止措置が行われるようにしてもよい。
【0041】
また、ここでは、ギア入力の操作ミスが発生している場合には警報の出力を行い、アクセルペダルの踏み間違いが発生している場合には車両の駆動制御を行うよう説明しているが、こうした報知及び駆動制御は任意に設定可能である。例えば、上述のステップS211においても、車両の駆動制御を行わずに警報のみを発するようにしてもよい。また、ここでは、ステップS201においてドライバの意図が前進又は後進のどちらかであるかを判定しているが、さらに、例えば、後述の図3に示す処理に記載されているように、ドライバの意図が停車であるかどうかの判定を行ってもよいこの場合には、ドライバの意図が停車であるにもかかわらず、ギアがドライブやリアに入ってしまう場合や、アクセルペダルの踏み込みが行われてしまう場合に、警報の報知や車両の駆動制御が行われるようにしてもよい。
【0042】
次に、図3を参照しながら、上述したフローチャートのステップS201における推定処理(ドライバの前後進の意図推定)について説明する。図3は、本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、ドライバの前後進の意図推定の処理の一例を示すフローチャートである。なお、このドライバの前後進の意図推定の処理は、主に意図推定部113において行われる処理である。
【0043】
ドライバ監視部110の意図推定部113は、ドライバの仕草(挙動)を挙動解析部112から取得する(ステップS301)。ここで、意図推定部113は、例えば、初期状態として、ドライバの意図を表すパラメータを停車に設定する(ステップS302)。そして、意図推定部113は、ドライバが現在行っている仕草に基づいて、ドライバが車両を後進させようとしているのか、あるいは、前進させようとしているのかを判断する。この判断の方法は既知の技術を用いて行うことが可能であり、例えば、画像認識処理やシート圧の検出によって、ドライバが後方確認の動作を行っているか、発進の準備動作を行っているかなどを判断することで、ドライバの前進又は後進の意図を推定することが可能である。なお、後述する学習処理(運動モデルの作成)と同様に、ドライバの挙動を推定するための基データを学習によって作成することも可能であり、この場合には、ドライバの細かい癖(例えば、後方確認の動作で助手席に手をかけるような動作)なども考慮しながら、ドライバの意図を推定することが可能となる。
【0044】
意図推定部113は、ドライバの仕草が車両を後進させる際の仕草であると判断した場合には(ステップS303)、ドライバの意図を表すパラメータを後進に設定する(ステップS304)。一方、ドライバの仕草が車両を前進させる際の仕草であると判断した場合には(ステップS305)、ドライバの意図を表すパラメータを前進に設定する(ステップS306)。なお、ここでは、ドライバの仕草が、車両を前進及び後進させる際の仕草ではないと判断された場合には、ドライバの意図を表すパラメータは初期状態の停車のままとなる。このようにして意図推定部113で推定されたドライバの意図は、誤操作判断部140へ供給される。
【0045】
次に、図4を参照しながら、上述したフローチャートのステップS203における判定処理(後進時のギア入力間違い判定)について説明する。図4は、本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、後進時のギア入力間違い判定の処理の一例を示すフローチャートである。なお、この後進時のギア入力間違い判定の処理は、主に誤操作判定部140において行われる処理である。
【0046】
後進時のギア入力間違い判定の処理において、誤操作判定部140は、まず、例えば初期状態として、ギアの入力間違いを表すパラメータをfalse(入力間違いはないことを示す値)に設定する(ステップS401)。そして、誤操作判定部140は、例えば、車両状態検出センサ192の1つであるシフト状態検出部から車両状態監視部120経由でギアシフトの入力状態を取得し(ステップS402)、現在のギアシフトの入力状態に基づく判断を行う(ステップS403)。なお、ここでは、ドライバの意図は後進であり(図2のステップS201において推定)、ドライバの意図通りにギアが入っているかどうかが判断される。すなわち、誤操作判定部140は、ギアシフトがリア(R)レンジに入っていない場合には、ギアの入力間違いが起こっていると判定し、ギアの入力間違いを表すパラメータをtrue(入力間違いがあることを示す値)に設定する(ステップS404)。
【0047】
次に、図5を参照しながら、上述したフローチャートのステップS204における判定処理(前進時のギア入力間違い判定)について説明する。図5は、本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、前進時のギア入力間違い判定の処理の一例を示すフローチャートである。なお、この前進時のギア入力間違い判定の処理は、主に誤操作判定部140において行われる処理である。
【0048】
前進時のギア入力間違い判定の処理において、誤操作判定部140は、まず、例えば初期状態として、ギアの入力間違いを表すパラメータをfalse(入力間違いはないことを示す値)に設定する(ステップS501)。そして、誤操作判定部140は、例えば、車両状態検出センサ192の1つであるシフト状態検出部から車両状態監視部120経由でシフトの入力状態を取得し(ステップS502)、現在のギアシフトの入力状態に基づく判断を行う(ステップS503)。なお、ここでは、ドライバの意図は前進であり(図2のステップS201において推定)、ドライバの意図通りにギアが入っているかどうかが判断される。すなわち、誤操作判定部140は、ギアシフトがドライブ(D、1、2など)レンジに入っていない場合には、ギアの入力間違いが起こっていると判定し、ギアの入力間違いを表すパラメータをtrue(入力間違いがあることを示す値)に設定する(ステップS504)。
【0049】
次に、図6を参照しながら、上述したフローチャートのステップS208における判定処理(後進時のアクセルペダルの踏み間違い判定)について説明する。図6は、本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、後進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理の一例を示すフローチャートである。なお、この後進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理は、主に誤操作判定部140において行われる処理である。
【0050】
後進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理において、誤操作判定部140は、まず、例えば初期状態として、アクセルペダルの踏み間違いを表すパラメータをtrue(アクセルペダルの踏み間違いがあることを示す値)に設定する(ステップS601)。そして、誤操作判定部140は、例えば、車両状態検出センサ192の1つであるアクセルペダル踏み込み量検出部から車両状態監視部120経由でアクセルペダルの踏み込み量を取得し(ステップS602)、さらに、運動モデル格納部160からこのドライバの後進時の運動モデルを取得して(ステップS603)、現在のアクセルペダルの踏み込み量及びドライバの後進時の運動モデルを比較して判断を行う(ステップS604)。なお、ドライバの運動モデルは、車両を後進させる場合の癖(例えば、アクセルペダルの踏み方)など、ドライバの特徴を表すものであり、こうしたドライバの特徴は学習によって得ることが可能である。学習によってドライバの運動モデルを作成する処理については、後で図8を用いて説明する。
【0051】
ここでは、ドライバの意図は後進であり(図2のステップS201において推定)、ドライバの意図通りに後進するためのアクセルペダルの踏み方かどうかが判断される。すなわち、誤操作判定部140は、現在のアクセルペダルの踏み込み量が、ドライバが後進するために通常行っているアクセルペダルの踏み込み量と一致(又は類似)しているかどうかを判定する。現在のアクセルペダルの踏み込み量が、ドライバが後進するために通常行っているアクセルペダルの踏み込み量と一致(又は類似)している場合には、そのまま処理は終了となる一方、ドライバが後進するために通常行っているアクセルペダルの踏み込み量と一致(又は類似)していない場合には、アクセルペダルの踏み間違いが起こっていると判定し、アクセルペダルの踏み間違いを表すパラメータをfalse(アクセルペダルの踏み間違いがないことを示す値)に設定する(ステップS605)。なお、ステップS603でドライバの前進時の運動モデルをさらに取得し、ステップS604において、現在のアクセルペダルの踏み込み量が、ドライバが前進するために通常行っているアクセルペダルの踏み込み量と一致(又は類似)しているかどうかも判定して、アクセルペダルの踏み間違いが起こっているかどうかを判断してもよい。
【0052】
これにより、ドライバの意図が後進の場合に、ドライバが車両を後進させるアクセルペダルの踏み方をしなかったとき(例えば、車両を前進させるアクセルペダルの踏み方をしたときや、ブレーキペダルの踏み方などをしたとき)に、踏み間違いが起こっていると判断することが可能となる。
【0053】
なお、アクセルペダルの踏み込み量は、具体的には、アクセルペダルにかかる力の運動曲線(横軸に時刻、縦軸に作用力の大きさとしたグラフ上の曲線)として表すことが可能である。この運動曲線は、個々のドライバごとに異なっており、同一のドライバであっても、前進時のアクセルペダルの踏み方と後進時のアクセルペダルの踏み方とで大きく異なるものである。すなわち、前進時にどのようなアクセルペダルの踏み方をするかを学習することによって、そのドライバの前進時のアクセルペダルの踏み方を特徴付ける運動曲線(前進時の運動モデル)が得られ、また、そのドライバの後進時のアクセルペダルの踏み方を特徴付ける運動曲線(後進時の運動モデル)が得られる。
【0054】
図6のステップS604の判断(あるいは、図7のステップS704の判断)において、現在のアクセルペダルの踏み込み量と、後進時(あるいは前進時)の運動モデルとを比較する場合には、現在のアクセルペダルの踏み方から得られる運動曲線を、既に蓄積されている後進時の運動モデル(運動曲線)との一致度(又は、類似度)を計算する手法を用いることが可能である。
【0055】
次に、図7を参照しながら、上述したフローチャートのステップS209における判定処理(前進時のアクセルペダルの踏み間違い判定)について説明する。図7は、本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、前進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理の一例を示すフローチャートである。なお、この前進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理は、主に誤操作判定部140において行われる処理である。
【0056】
前進時のアクセルペダルの踏み間違い判定の処理において、誤操作判定部140は、まず、例えば初期状態として、アクセルペダルの踏み間違いを表すパラメータをtrue(アクセルペダルの踏み間違いがあることを示す値)に設定する(ステップS701)。そして、誤操作判定部140は、例えば、車両状態検出センサ192の1つであるアクセルペダル踏み込み量検出部から車両状態監視部120経由でアクセルペダルの踏み込み量を取得し(ステップS702)、さらに、運動モデル格納部160からこのドライバの前進時の運動モデルを取得して(ステップS703)、現在のアクセルペダルの踏み込み量及びドライバの前進時の運動モデルを比較して判断を行う(ステップS704)。なお、ドライバの運動モデルは、車両を前進させる場合の癖(例えば、アクセルペダルの踏み方)など、ドライバの特徴を表すものであり、こうしたドライバの特徴は学習によって得ることが可能である。学習によってドライバの運動モデルを作成する処理については、後で図8を用いて説明する。
【0057】
なお、ここでは、ドライバの意図は前進であり(図2のステップS201において推定)、ドライバの意図通りに前進するためのアクセルペダルの踏み方かどうかが判断される。すなわち、誤操作判定部140は、現在のアクセルペダルの踏み込み量が、ドライバが前進するために通常行っているアクセルペダルの踏み込み量と一致(又は類似)しているかどうかを判定する。現在のアクセルペダルの踏み込み量が、ドライバが前進するために通常行っているアクセルペダルの踏み込み量と一致(又は類似)している場合には、そのまま処理は終了となる一方、ドライバが後進するために通常行っているアクセルペダルの踏み込み量と一致(又は類似)していない場合には、アクセルペダルの踏み間違いが起こっていると判定し、アクセルペダルの踏み間違いを表すパラメータをfalse(アクセルペダルの踏み間違いがないことを示す値)に設定する(ステップS705)。なお、ステップS703でドライバの後進時の運動モデルをさらに取得し、ステップS704において、現在のアクセルペダルの踏み込み量が、ドライバが後進するために通常行っているアクセルペダルの踏み込み量と一致(又は類似)しているかどうかも判定して、アクセルペダルの踏み間違いが起こっているかどうかを判断してもよい。
【0058】
これにより、ドライバの意図が前進の場合に、ドライバが車両を前進させるアクセルペダルの踏み方をしなかったとき(例えば、車両を後進させるアクセルペダルの踏み方をしたときや、ブレーキペダルの踏み方などをしたとき)に、踏み間違いが起こっていると判断することが可能となる。
【0059】
次に、図8を参照しながら、ドライバの運動モデルを作成する処理について説明する。図8は、本発明の実施の形態における誤操作検出装置で実行される、ドライバの運動モデルを作成する処理の一例を示すフローチャートである。なお、このドライバの運動モデルの作成の処理は、操作癖学習部121において行われる処理である。
【0060】
学習モデルの作成の処理は、車両状態検出センサ192における検出結果が入力された場合に、定期的に(あるいは、常に)実行されることが望ましい。図8では、常に処理が繰り返し行われることを考慮して、一連の処理が周期ループとして図示されている。また、図8では、一例として、車両状態検出センサ192としてアクセルペダル踏み込み量検出部を利用し、アクセルペダルの踏み込み量に関する運動モデルを作成する場合が図示されているが、他の車両状態検出センサ192による検出結果に関しても同様に、運動モデルの作成を行うことが可能である。また、ここでは、学習によって運動モデルの作成を行う場合について説明するが、学習以外の既存の方法によって運動モデルを作成することも可能である。
【0061】
ドライバの運動モデルを作成する処理において、操作癖学習部121は、車両状態検出センサ192の1つであるアクセルペダル踏み込み量検出部から、アクセルペダルの踏み込み量を取得すると(ステップS801)、車両状態検出センサ192の1つであるシフト状態検出部からシフトの入力状態を取得し(ステップS802)、現在のシフトの入力状態に基づいて、ドライバが車両を前進させているのか、あるいは後進させているのかの判断を行う(ステップS803、S804)。
【0062】
シフトがリア(R)レンジに入っている場合、ドライバは車両を後進させており、操作癖学習部121は、後進時のドライバによるアクセルペダルの踏み込み量の癖を抽出し(ステップS805)、抽出された後進時の癖を運動モデルに反映することで学習を行う(ステップS806)。また、シフトがドライブ(D、1、2など)レンジに入っている場合、ドライバは車両を前進させており、操作癖学習部121は、前進時のドライバによるアクセルペダルの踏み込み量の癖を抽出し(ステップS807)、抽出された前進時の癖を運動モデルに反映することで学習を行う(ステップS808)。ステップS805やステップS807におけるアクセルペダルの踏み込み量の癖を抽出は、例えば、後進時(前進時)のアクセルペダルの踏み込み量(運動曲線)に係る標準偏差曲線を用意し、この標準偏差曲線に対して、ステップS602で取得したアクセルペダルの踏み込み量(運動曲線)を射影して特長差異を抽出するような手法を用いてもよい。この場合、運動モデルは、運動曲線の標準偏差曲線に対する特徴差異として反映、蓄積される。
【0063】
なお、ドライバの運動モデルの学習は、各ドライバ個別に学習され、各ドライバ個別の運動モデル(各ドライバの癖)が蓄積されることが望ましい。この場合、ドライバが運転を行うときに、そのドライバを特定する識別処理が必要となるが、本発明はこの識別処理の技術を限定するものではなく、既存の任意の識別技術を採用することが可能である。また、例えば、ドライバの運動モデルの学習があまり行われていないような状態のとき(例えば、工場出荷時)には、図6のステップS604の判断や図7のステップS704の判断が正確に行われない可能性がある。この場合には、例えば、工場出荷時の学習モデルとしてアクセルペダルの踏み方を広く許容するようなものとし、学習によって、徐々にドライバの運動モデルに近づくようにしてもよく、あるいは、ある程度学習が進むまでは、ステップS604やステップS704の判断は行わないようにしてもよい。
【0064】
また、例えば、挙動解析部112においてドライバの仕草を解析する方法においても同様に、ドライバの仕草を学習しておき、この学習モデルを利用してドライバの挙動を解析することが可能である。この場合、挙動解析部112は、画像認識部111で認識されたドライバの状態と、車両状態検出センサ192から供給される車両の状態とに基づいて、ドライバがどのような状態の場合に車両を前進又は後進させているかを学習しておくことで、ドライバの仕草から、ドライバの意図(次に行おうとしている動作)を解析し推定できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、ドライバによるシフト操作ミスやペダル操作ミスを検出して、車両の暴走を防止できるという効果を有しており、ドライバの誤操作による車両の暴走を防止する技術に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 誤操作検出装置
110 ドライバ監視部
111 画像認識部
112 挙動解析部
113 意図推定部
120 車両状態監視部
121 操作癖学習部
122 障害物測距部
130 衝突予測判定部
140 誤操作判定部
141 シフト操作ミス判定部
142 ペダル操作ミス判定部
150 誤操作抑止部
151 警報部
152 駆動制御部
160 運動モデル格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転するドライバの運転に係る誤操作を検出する誤操作検出装置であって、
前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果に基づいて、前記ドライバの仕草を解析する挙動解析部と、
前記挙動解析部で解析された前記ドライバの仕草から、前記ドライバが前記車両を前進させようとしているか、あるいは、後進させようとしているかという前記ドライバの意図を推定する意図推定部と、
前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果と、前記意図推定部で推定された前記ドライバの意図とを比較し、前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果が、前記ドライバの意図を実現するものではない場合には、前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定する誤操作判定部とを、
有する誤操作検出装置。
【請求項2】
前記挙動解析部が、前記ドライバの様子を撮像するカメラによる撮像画像から、前記ドライバの仕草を解析するよう構成されている請求項1に記載の誤操作検出装置。
【請求項3】
前記挙動解析部が、前記ドライバの座席のシート圧を検出するシート圧検出器による前記シート圧の検出結果から、前記ドライバの仕草を解析するよう構成されている請求項1に記載の誤操作検出装置。
【請求項4】
前記センサが、前記車両のギアの位置を検出するセンサであり、
前記誤操作判定部が、前記車両が前進する位置にギアが設定されているにもかかわらず、前記車両を後進させようとしている前記ドライバの意図が推定されている場合、又は、前記車両が後進する位置にギアが設定されているにもかかわらず、前記車両を前進させようとしている前記ドライバの意図が推定されている場合に、前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定するよう構成されている請求項1に記載の誤操作検出装置。
【請求項5】
前記センサが、前記ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサであり、
前記ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量に基づいて、前記ドライバが前記車両を前進させる際の踏み方、あるいは、前記ドライバが前記車両を後進させる際の踏み方をしているかどうかを判定するアクセルペダル踏み込み判定部を有し、
前記誤操作判定部が、前記アクセルペダル踏み込み判定部によって前記ドライバが前記車両を前進させる際の踏み方をしていないと判定されたにもかかわらず、前記車両を前進させようとしている前記ドライバの意図が推定されている場合、又は、前記アクセルペダル踏み込み判定部によって前記ドライバが前記車両を後進させる際の踏み方をしていないと判定されたにもかかわらず、前記車両を後進させようとしている前記ドライバの意図が推定されている場合に、前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定するよう構成されている請求項1に記載の誤操作検出装置。
【請求項6】
前記ドライバによる普段のアクセルペダルの踏み込み量を監視し、前記ドライバが前記車両を前進させる際の踏み方、あるいは、前記ドライバが前記車両を後進させる際の踏み方を学習し、その学習結果を格納する学習部を有し、
前記アクセルペダル踏み込み判定部が、前記学習結果を参照して、前記ドライバが前記車両を前進させる際の踏み方、あるいは、前記ドライバが前記車両を後進させる際の踏み方をしているかどうかを判定するよう構成されている請求項5に記載の誤操作検出装置。
【請求項7】
前記誤操作判定部において前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定された場合に、前記ドライバに対して警報を報知するか、あるいは、前記車両の駆動制御を行う誤操作抑止部を有する請求項1に記載の誤操作検出装置。
【請求項8】
車両を運転するドライバの運転に係る誤操作を検出する誤操作検出方法であって、
前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果に基づいて、前記ドライバの仕草を解析する挙動解析ステップと、
前記挙動解析ステップにおいて解析された前記ドライバの仕草から、前記ドライバが前記車両を前進させようとしているか、あるいは、後進させようとしているかという前記ドライバの意図を推定する意図推定ステップと、
前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果と、前記意図推定ステップにおいて推定された前記ドライバの意図とを比較し、前記車両の状況を検出するセンサによる検出結果が、前記ドライバの意図を実現するものではない場合には、前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定する誤操作判定ステップとを、
有する誤操作検出方法。
【請求項9】
前記挙動解析ステップにおいて、前記ドライバの様子を撮像するカメラによる撮像画像から、前記ドライバの仕草を解析する請求項8に記載の誤操作検出方法。
【請求項10】
前記挙動解析ステップにおいて、前記ドライバの座席のシート圧を検出するシート圧検出器による前記シート圧の検出結果から、前記ドライバの仕草を解析する請求項8に記載の誤操作検出装置。
【請求項11】
前記センサが、前記車両のギアの位置を検出するセンサであり、
前記誤操作判定ステップにおいて、前記車両が前進する位置にギアが設定されているにもかかわらず、前記車両を後進させようとしている前記ドライバの意図が推定されている場合、又は、前記車両が後進する位置にギアが設定されているにもかかわらず、前記車両を前進させようとしている前記ドライバの意図が推定されている場合に、前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定する請求項8に記載の誤操作検出方法。
【請求項12】
前記センサが、前記ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサであり、
前記ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量に基づいて、前記ドライバが前記車両を前進させる際の踏み方、あるいは、前記ドライバが前記車両を後進させる際の踏み方をしているかどうかを判定するアクセルペダル踏み込み判定ステップを有し、
前記誤操作判定ステップにおいて、前記アクセルペダル踏み込み判定ステップで前記ドライバが前記車両を前進させる際の踏み方をしていないと判定されたにもかかわらず、前記車両を前進させようとしている前記ドライバの意図が推定されている場合、又は、前記アクセルペダル踏み込み判定部によって前記ドライバが前記車両を後進させる際の踏み方をしていないと判定されたにもかかわらず、前記車両を後進させようとしている前記ドライバの意図が推定されている場合に、前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定する請求項8に記載の誤操作検出方法。
【請求項13】
前記ドライバによる普段のアクセルペダルの踏み込み量を監視し、前記ドライバが前記車両を前進させる際の踏み方、あるいは、前記ドライバが前記車両を後進させる際の踏み方を学習し、その学習結果を格納する学習部を有し、
前記アクセルペダル踏み込み判定部が、前記学習結果を参照して、前記ドライバが前記車両を前進させる際の踏み方、あるいは、前記ドライバが前記車両を後進させる際の踏み方をしているかどうかを判定するよう構成されている請求項12に記載の誤操作検出方法。
【請求項14】
前記誤操作判定ステップにおいて前記ドライバの運転に誤操作が生じていると判定された場合に、前記ドライバに対して警報を報知するか、あるいは、前記車両の駆動制御を行う誤操作抑止ステップを有する請求項8に記載の誤操作検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−201396(P2011−201396A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69965(P2010−69965)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】