読影レポート解析プログラム
【課題】 自由な形式で記述された読影レポートから、所見・部位を抽出する。
【解決手段】 読影レポートに含まれる各文の構文が、構文解析手段2bにより、解析される。客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文が、所見判定手段2cにより、所見文として選択される。述語の対象物を示す文言が抽出され、所見判定手段2cにより、所見と判定される。所見文の対象物の所在を示す文言が、部位判定手段2dにより、抽出され、所見対象部位と判定される。部位判定手段2dで判定された所見対象部位に対する所見判定手段2cで判定された所見が示された結果が、出力される。
【解決手段】 読影レポートに含まれる各文の構文が、構文解析手段2bにより、解析される。客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文が、所見判定手段2cにより、所見文として選択される。述語の対象物を示す文言が抽出され、所見判定手段2cにより、所見と判定される。所見文の対象物の所在を示す文言が、部位判定手段2dにより、抽出され、所見対象部位と判定される。部位判定手段2dで判定された所見対象部位に対する所見判定手段2cで判定された所見が示された結果が、出力される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムに関し、特に、医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医師の医療分野における診断は、患者から取得される複数の所見に基づいて総合的になされている。
具体的には、複数の所見を取得するために複数の検査項目が存在し、各検査項目の内容の専門化が進んでいる。ここで、最終的な診断を実行する医師(診断医)は、各検査項目を担当する専門的な医師(例えば、読影医)に検査を依頼する。その後、診断医は読影医の所見に基づいて診断する。
【0003】
このような各検査項目において、所見が数値で出力される場合は、曖昧性はない。しかし、レントゲンやMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の医療画像の所見の場合、曖昧性は存在する。なぜなら、診断医が、読影医に検査(読影)を依頼し、検査結果としての所見を自然言語で記述された読影レポートで取得するからである。
【0004】
ここで、診断医が正確な読影レポートを取得するために、読影医の所見に見落としがないこと及び読影医が所見を正確な記述で読影レポートに表現していることの二つの要因が重要である。これらの二つの要因を満たす読影レポートを生成する技術としては、事前に着目するべき各項目をチェックリストやテンプレートの形式で用意しておき、用意されている各項目を選択することで、見落としを防止する技術が存在する。そして、装置内に装備された定型文作成機能を利用して、読影医の選択結果から自然文で正確に記述された読影レポートを生成する技術が存在する(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平09−50470号公報
【特許文献2】特開2004−139312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2の技術では、用意されていない項目を用いた読影レポートを生成することができないため、読影医が正確な所見を記述できない場合が存在する。これにより、診断医は、細かい所見に基づいて診断を実行できないので、誤診をおかす可能性がある。
【0006】
また、チェックリストやテンプレートを用意する場合、大きな費用が必要である。なぜなら、各検査項目は複数の要因から総合的に決定されるものであり、少数の検査項目数では不十分であるからである。しかも、近年の医療技術の急速な発展により、検査項目数は増加傾向にある。
【0007】
そこで、読影レポートを作成する場合、チェックリストやテンプレートを用意せず、診断医が所見を自由に記述できることが望ましい。しかも、自由に記述された読影レポートであっても、所見が正確に診断医に伝わることが必要である。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、自由な形式で記述された読影レポートから、所見を抽出することができる読影レポート解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記課題を解決するために、図1に示すように、読影レポート受付手段2aが、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付ける。構文解析手段2bが、読影レポートに含まれる各文の構文を解析する。所見判定手段2cが、構文解析手段2bによる解析結果に基づき、読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択する。そして、選択した所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定する。部位判定手段2dが、構文解析手段2bによる解析結果に基づき、所見判定手段2cで選択された所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定する。結果出力手段2eが、部位判定手段2dで判定した所見対象部位に対する所見判定手段2cで判定した所見が示された結果を出力する。
【0010】
このようにすると、読影医が作成した読影レポートが、読影レポート受付手段2aにより、入力を受け付けられる。読影レポートに含まれる各文の構文が、構文解析手段2bにより、解析される。構文解析手段2bによる解析結果に基づき、読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文が、所見判定手段2cにより、所見文として選択される。そして、選択された所見文において、述語の対象物を示す文言が抽出され、抽出された文言が、所見判定手段2cにより、所見と判定される。構文解析手段2bによる解析結果に基づき、所見判定手段2cで選択された所見文の対象物の所在を示す文言が、部位判定手段2dにより、抽出され、抽出された文言が所見対象部位と判定される。部位判定手段2dで判定された所見対象部位に対する所見判定手段2cで判定された所見が示された結果が、結果出力手段2eにより、出力される。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、所見文を選択し、述語の対象物を示す文言を所見と判定し、対象物の所在を示す文言を所見対象部位と判定するようにした。
【0012】
このようにすると、自由な形式で記述された読影レポートから、所見を抽出することができる。その結果、読影医は、詳細な内容の所見を読影レポートに記述することができ、かつ、診断医は、所見の内容を正確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明の概念について説明し、その後、実施の形態の具体的な内容を説明する。
図1は、本発明の概念図である。
【0014】
本発明の読影レポート解析装置を利用したシステムにおいて、読影医1は、作成した読影レポートを読影レポート解析装置2へ入力する。読影レポート解析装置2は、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、所見文を選択し、述語の対象物を示す文言を所見と判定し、対象物の所在を示す文言を所見対象部位と判定する。そして、読影レポート解析装置2は、診断医3に結果を出力する。診断医3は、読影レポートから抽出された結果を受け取る。
【0015】
読影レポート解析装置2は、読影レポート受付手段2a、構文解析手段2b、所見判定手段2c、部位判定手段2d及び結果出力手段2eから構成される。
読影レポート受付手段2aは、読影医1が作成した読影レポートの入力を受け付ける。
【0016】
構文解析手段2bは、読影レポートに含まれる各文の構文を解析する。
所見判定手段2cは、構文解析手段2bによる解析結果に基づき、読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択する。そして、所見判定手段2cは、選択した所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定する。
【0017】
部位判定手段2dは、構文解析手段2bによる解析結果に基づき、所見判定手段2cで選択された所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定する。
【0018】
結果出力手段2eは、部位判定手段2dで判定した所見対象部位に対する所見判定手段2cで判定した所見が示された結果を出力する。
読影レポート受付手段2a、構文解析手段2b、所見判定手段2c、部位判定手段2d及び結果出力手段2eは、互いに通信している。
【0019】
このようにすると、あらかじめ用意された項目を選択して記述するのではなく自由に記述できるので、読影医は、詳細な内容の所見を読影レポートに記述することができる。しかも、所見が自動抽出されることから、診断医は、所見の内容を正確に把握することができる。
【0020】
以下、実施の形態の具体的な内容を説明する。
図2は、実施の形態のシステム構成図である。
本発明の読影レポート解析装置40を利用したシステムは、技師端末装置10、読影医端末装置20、診断医端末装置30及び読影レポート解析装置40から構成される。技師端末装置10は、診断医から依頼されたレントゲンやMRI等の医療画像を、読影レポート解析装置40に提出する。読影医端末装置20は、技師端末装置10から提出された医療画像を検査し、作成した読影レポートを読影レポート解析装置40に提出する。診断医端末装置30は、診断に必要な検査を読影レポート解析装置40に依頼する。読影レポート解析装置40は、読影医端末装置20から取得した読影レポートを解析し、解析の結果を診断医端末装置30へ出力する。技師端末装置10、読影医端末装置20、診断医端末装置30及び読影レポート解析装置40は、互いに通信している。
【0021】
読影レポート解析装置40は、画像受付部41、画像記憶部42、依頼受付部43、依頼出力部44、読影レポート受付部45、読影レポート解析部46、評価出力部47及び結果出力部48から構成される。
【0022】
[画像受付部41]
画像受付部41は、技師端末装置10から、診断医から依頼された医療画像を受け付ける。
【0023】
[画像記憶部42]
画像記憶部42は、画像受付部41が技師端末装置10から受け付けた医療画像を記憶する。
【0024】
[依頼受付部43]
依頼受付部43は、診断医端末装置30から医療画像の撮影依頼及び読影依頼を受け付ける。
【0025】
この場合、依頼受付部43は、依頼に利用された媒体に応じた受付方法を有する。例えば、依頼受付部43は、紙に書かれた依頼ならばスキャナを利用して受け付け、コンピュータのエディタで作成された依頼ならばそのまま受け付ける。
【0026】
[依頼出力部44]
依頼出力部44は、依頼受付部43が診断医端末装置30から受け付けた読影依頼を読影医端末装置20へ出力する。また、依頼出力部44は、依頼受付部43が診断医端末装置30から受け付けた医療画像の撮影依頼を技師端末装置10へ出力する。
【0027】
[読影レポート受付部45]
読影レポート受付部45は、読影医端末装置20から読影レポートを受け付け、読影レポートを電子化し、テキスト情報に変換する。
【0028】
この場合、読影レポートの受付において、読影レポート受付部45は、依頼に利用された媒体に応じた受付方法を有する。例えば、読影レポート受付部45は、紙に書かれた読影レポートならばスキャナを利用して受け付け、コンピュータのエディタで作成された読影レポートならばそのまま受け付ける。
【0029】
ここでは、読影レポート受付部45は、読影レポート受付部45に続く処理を考慮して、処理すべきデータ量を削減するため、読影レポートの自然言語による記述部分だけを抽出して電子化する場合もある。
【0030】
[読影レポート解析部46]
読影レポート解析部46は、依頼受付部43から診断医の読影依頼の内容を取得し、読影レポート受付部45から読影レポートを取得する。
【0031】
そして、読影レポート解析部46は、読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、所見文を選択し、述語の対象物を示す文言を所見と判定し、対象物の所在を示す文言を所見対象部位と判定する。
【0032】
さらに、読影レポート解析部46は、依頼内容と解析の結果との間に不整合な点があるかないか検査し、所見文でない部分を選択し、述語の対象物を示す文言を診断と判定し、全ての検査結果を集計し、集計値に基づいて様々な評価値を算出する。
【0033】
最後に、読影レポート解析部46は、評価出力部47に評価値を出力し、結果出力部48に読影レポートから抽出された結果を出力する。
[評価出力部47]
評価出力部47は、診断医端末装置30へ、読影レポートに対する評価値を出力する。なお、評価出力部47は、評価値を誰でも見られるように出力することもできる。
【0034】
[結果出力部48]
結果出力部48は、診断医端末装置30へ、元々の読影レポートや読影レポートから抽出された結果や診断結果を一覧できるように出力する。なお、結果出力部48は、元々の読影レポートや読影レポートから抽出された結果や診断結果を、誰でも閲覧できるように出力することもできる。
【0035】
具体的には、結果出力部48は、閲覧側のポインティングデバイス等の利用により、解析の結果の項目をクリックするとその項目に関係がある元々の読影レポートの記述をハイライト表示させたり、元々の読影レポートの記述をクリックするとその記述に関係がある解析の結果の項目をハイライト表示させたりする。
【0036】
このようにすると、不適切な所見が抽出された項目や記述したはずの所見が抽出されなかった項目が分かり易くなる。そして、項目に対応する読影レポートの記述に問題がある等の判断が早くできるようになるので、教育的効果がある。
【0037】
画像受付部41、画像記憶部42、依頼受付部43、依頼出力部44、読影レポート受付部45、読影レポート解析部46、評価出力部47及び結果出力部48は、互いに通信している。
【0038】
図3は、読影レポート解析部を示す図である。
読影レポート解析部46は、構文解析部46a、構文データベース46b、所見判定部46c、所見・部位データベース46d、部位判定部46e、整合性判定部46g、整合性データベース46h、診断判定部46i、診断データベース46j、総合集計部46k、集計データベース46l、読影レポート評価部46m、評価データベース46n及び結果データベース46oから構成される。
【0039】
[構文解析部46a]
構文解析部46aは、構文データベース46bに格納されたルールに従って、読影レポートの構文を解析する。構文解析部46aは、読影レポートにおいて、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を客観的な記述がされている文とし、主観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を主観的な記述がされている文とする。
【0040】
第1の例として、構文解析部46aは、文の述語が「ある」や「見られる」の場合、客観的な記述がされている文とする。また、構文解析部46aは、文の述語が「思われる」や「疑われる」の場合、主観的な記述がされている文とする。
【0041】
第2の例として、構文解析部46aは、対象を具体的に表現するために目的語の中に「数字」と「単位」とが連続して記述されている場合、客観的な記述がされている文とする。
【0042】
[構文データベース46b]
構文データベース46bは、構文解析部46aが読影レポートの構文を解析するためのルールを記憶する。
【0043】
[所見判定部46c]
所見判定部46cは、所見・部位データベース46dに格納されたルールに従って、読影レポートに存在する所見を抽出する。所見判定部46cは、構文解析部46aの解析結果に基づき、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文において、述語の対象物を示す文言を抽出する。実際には、所見判定部46cは、所見・部位データベース46dに格納されたルールに基づき、述語に対して、「が」や「は」や「を」や「と」等に伴っている名詞を所見とする。
【0044】
ここで、所見判定部46cは、所見・部位データベース46dにより、所見の中でも肯定的所見と否定的所見とを区別することができる。
なお、所見判定部46cは、目的語の中に「数字」と「単位」とが連続して記述されている場合、重要な所見とすることがある。
【0045】
[所見・部位データベース46d]
所見・部位データベース46dは、所見判定部46cが読影レポートに存在する所見を抽出するためのルールを記憶する。また、所見・部位データベース46dは、部位判定部46eが読影レポートに存在する所見に関わる部位を抽出するためのルールを記憶する。
【0046】
[部位判定部46e]
部位判定部46eは、所見・部位データベース46dに格納されたルールに従って、読影レポートに存在する部位を抽出する。部位判定部46eは、構文解析部46aと所見判定部46cとの解析結果に基づき、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文において、述語の対象物の所在を示す文言を抽出する。実際には、部位判定部46eは、所見・部位データベース46dにより、述語に対して、「に」や「で」や「において」等に伴っている名詞を部位とする。
【0047】
[整合性判定部46g]
整合性判定部46gは、整合性データベース46hに格納されたルールに従って、所見判定部46cと部位判定部46eとの解析結果に基づき、診断医の依頼内容と抽出された所見・部位との間の整合性を判定する。
【0048】
[整合性データベース46h]
整合性データベース46hは、整合性判定部46gが、診断医の依頼内容と抽出された所見・部位との間に不整合な点があるかないか検査するためのルールを記憶する。
【0049】
[診断判定部46i]
診断判定部46iは、診断データベース46jに格納されたルールに従って、所見・部位から判定される病名等の診断を抽出する。実際には、診断判定部46iは、構文解析部46aの解析結果に基づき、主観的な意味を表す述語の目的語を診断とする。具体例については、図4で詳しく説明する。
【0050】
[診断データベース46j]
診断データベース46jは、診断判定部46iが読影レポートに存在する診断を抽出するためのルールを記憶する。
【0051】
[総合集計部46k]
総合集計部46kは、集計データベース46lに格納されたルールに従って、所見判定部46cと部位判定部46eとの解析結果に基づき、解析の結果から集計値を様々な観点から算出する。
【0052】
第1の例として、総合集計部46kは、抽出された所見・部位の数を集計する。ここで、総合集計部46kは、所見に関して「数字」と「単位」との連接を含んでいるものと含んでいないものとを別々に集計することもできる。
【0053】
第2の例として、総合集計部46kは、各項目において抽出方法や抽出結果にあらかじめ異なる重要度を与えて、集計の際に、高い重要度ならば高い点数を低い重要度ならば低い点数を集計する。具体的には、総合集計部46kは、客観的記述であると判定される述語の中で、「著明である」より「ある」の方が客観性が高いので高い点数を与える。なぜなら、「著明である」という表現は、程度に関して筆記者の主観を含んでおり、「著明である」ということを数値的に記述し、客観的な根拠を示すべきであるからである。また、総合集計部46kは、所見の中で、「胸水なし」は診断の際に重要であるので高い点数を与える。さらに、総合集計部46kは、所見の中で、医療用語辞典や解剖学用語辞典に載っていない用語で構成される所見は重要でないので低い点数を与える。ここで、総合集計部46kは、抽出方法の誤り等による不適切な所見が存在した場合、点数を低くすることで、集計値への影響を軽減する。
【0054】
第3の例として、総合集計部46kは、肯定的所見と否定的所見とを別々に集計する。ここで、否定的所見が少ない場合、記述された肯定的所見がそもそも否定的な意味を含んでいるのか否定的所見を見落としているのかを診断医は判断できないので、品質に疑問があることが分かる。
【0055】
第4の例として、総合集計部46kは、部位別に所見数を集計する。ここで、他の部位に比較して所見数の多い部位は、診断医にとって明らかに重要であることが分かる。ここで、医学部の授業等において、1つの医療画像について複数の読影レポートが作成される場合、部位別の所見数の分布は教育的見地からも有用である。
【0056】
第5の例として、総合集計部46kは、診断医からの読影依頼の内容と適合する所見に、高い点数を与える。具体的には、総合集計部46kは、読影依頼の内容について、患者が癌であるので医療画像に転移があるかないかが注目される場合、転移を含む所見に高い点数を与える。また、総合集計部46kは、診断医からの読影依頼の内容に注目の部位が存在する場合、注目の部位に関する所見に高い点数を与える。このように可変的に集計して、総合集計部46kは、診断医からの読影依頼の内容に適合する読影レポートの評価を高くする。
【0057】
[集計データベース46l]
集計データベース46lは、総合集計部46kが解析の結果を集計するためのルールを記憶する。
【0058】
[読影レポート評価部46m]
読影レポート評価部46mは、評価データベース46nに格納されたルールに従って、総合集計部46kの算出した集計値に基づき、読影レポートの総合的な品質評価を表す評価値を算出する。
【0059】
第1の例として、読影レポート評価部46mは、抽出された所見数を読影レポートに存在する文の数で割る。ここで、割った結果が1に近いほど、読影レポートに無駄な記述がないことが分かる。
【0060】
第2の例として、読影レポート評価部46mは、単純に全ての集計値を合計して評価値とする。また、読影レポート評価部46mは、1つのテーマにおいて複数の読影レポートを評価する場合、読影レポートの各集計値の平均値や分散を算出し、偏差値を算出して評価値とする。
【0061】
このように、読影レポート評価部46mにより、医療画像からの所見と部位と診断との読影レポートの品質を、客観的な数値によって評価できるようにしたので、医療診断技術の教育的見地からも有用である。
【0062】
また、他の分野で作成される報告書が正確な記述を要求される場合も、読影レポート評価部46mにより、報告書を客観的な数値によって評価できるので、教育的見地からも有用である。この場合、対象とされる分野に合わせて、抽出方法と抽出結果の集計方法とを変更する。
【0063】
[評価データベース46n]
評価データベース46nは、読影レポート評価部46mが集計値から評価値を算出するためのルールを記憶する。
【0064】
[結果データベース46o]
結果データベース46oは、所見判定部46c、部位判定部46e、整合性判定部46g及び診断判定部46iで抽出された結果を格納する。ここで格納された情報を利用すると、ある所見が得られる読影レポートの記述を過去の読影レポートの記述の中から検索し、検索された記述の一覧を出力することができる。
【0065】
構文解析部46a、構文データベース46b、所見判定部46c、所見・部位データベース46d、部位判定部46e、整合性判定部46g、整合性データベース46h、診断判定部46i、診断データベース46j、総合集計部46k、集計データベース46l、読影レポート評価部46m、評価データベース46n及び結果データベース46oは、互いに通信している。
【0066】
このようにすると、あらかじめ用意された項目を選択して記述するのではなく自由に記述できるので、読影医は、詳細な内容の所見を読影レポートに記述することができる。しかも、所見が自動抽出されることから、診断医は、所見の内容を正確に把握することができる。
【0067】
図4は、所見と部位と診断との抽出の例である。
ここでは、読影レポート51から、所見・部位52、客観的述語53、診断54及び主観的述語55が抽出される。読影レポート51は、「右肺底部に高密度領域があり、転移と思われる」という読影医が作成した読影レポートである。所見・部位52は、客観的述語53に対応する目的語である。客観的述語53は、客観的な述語である。診断54は、主観的述語55に対応する目的語である。主観的述語55は、主観的な述語である。
【0068】
所見と部位と診断との抽出の処理としては、まず、「ある」という客観的述語53をトリガとする所見・部位データベース46dにより、「右肺底部に高密度領域」という所見・部位52が抽出される。次に、所見・部位52が抽出されことをトリガとして、所見・部位52に関係する診断54があるかないか判定し、「思われる」という主観的述語55が抽出される。最後に、「思われる」という主観的述語55をトリガとする診断データベース46jとにより、「転移」という診断54が抽出される。
【0069】
以下、本実施の形態で実際に利用するデータベースについて説明する。
図5は、構文データベースの例を示す図である。
構文データベース46bは、述語46baと種別46bbとから構成される。述語46baは、文と文とを画する。種別46bbは、述語46baが客観の述語なのか主観の述語なのかを表す。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0070】
なお、「思う」と「思われる」とは、客観の述語なのか主観の述語なのか判断が難しいので、両方であるとする。しかし、主観の述語である可能性は高いが客観の述語である可能性は低いので、図6で説明する所見・部位データベース46dで客観性の度合いを下げる。
【0071】
図6は、所見・部位データベースの例を示す図である。
所見・部位データベース46dは、客観的述語53と所見格46dbと部位格46dcとスコア46ddと種別46deとから構成される。客観的述語53は、客観的な述語である。所見格46dbは、客観的述語53の対象物を示す文言である。部位格46dcは、客観的述語53の対象物の所在を示す文言である。スコア46ddは、客観的述語53の客観性の度合いを評価する。種別46deは、客観的述語53が肯定の述語なのか否定の述語なのかを表す。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0072】
ここで、所見・部位データベース46dは、肯定と否定との情報を持った述語を格納し、「見られない」における肯定と否定との判断について、「見られる」は肯定的な述語とし「ない」は否定的な述語とし、これらから、「見られない」は否定的な述語としている。
【0073】
図7は、整合性データベースの例を示す図である。
整合性データベース46hは、所見中キーワード46haと依頼中キーワード46hbと整合性スコア46hcとから構成される。所見中キーワード46haは、依頼中キーワード46hbに医学的に関係のある所見中のキーワードである。依頼中キーワード46hbは、依頼中の注目すべきキーワードである。整合性スコア46hcは、所見中キーワード46haと依頼中キーワード46hbとの整合性の度合いを評価する。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0074】
なお、整合性スコア46hcにおいて、依頼中キーワード46hbに整合性のない所見中キーワード46haに、点数を与えることがある。
図8は、診断データベースの例を示す図である。
【0075】
診断データベース46jは、主観的述語55と診断格46jbと種別46jcとから構成される。主観的述語55は、主観的な述語である。診断格46jbは、主観的述語55の目的語である。種別46jcは、主観的述語55が肯定の述語なのか否定の述語なのかを表す。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0076】
図9は、集計データベースの例を示す図である。
集計データベース46lは、集計値ラベル46laと集計方法46lbとから構成される。集計値ラベル46laは、集計方法46lbにより算出された数値のタイトルである。集計方法46lbは、所見判定部46cと部位判定部46eとにより抽出された数値を集計する方法である。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0077】
図10は、評価データベースの例を示す図である。
評価データベース46nは、評価値ラベル46naと評価方法46nbとから構成される。評価値ラベル46naは、評価方法46nbにより算出された数値のタイトルである。評価方法46nbは、総合集計部46kにより集計された数値を評価する方法である。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0078】
図11は、結果データベースの例を示す図である。結果データベース46oは、所見判定部46cと部位判定部46eと診断判定部46iとによる抽出結果を記憶する。
結果データベース46oは、客観的述語46oaと主観的述語46obと部位格46ocと所見格46odと診断格46oeと種別46ofとから構成される。客観的述語46oaは、客観的な述語である。主観的述語46obは、主観的な述語である。部位格46ocは、述語の対象物の所在を示す文言である。所見格46odは、述語の対象物を示す文言である。診断格46oeは、述語の目的語である。種別46ofは、述語が肯定の述語なのか否定の述語なのかを表す。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0079】
なお、結果データベース46oは、所見判定部46cと部位判定部46eと診断判定部46iとによる抽出結果に関係する元々の読影レポートを格納することもできる。
以下、上述した複数のデータベースを利用した読影レポート解析部46の具体的な処理について説明する。
【0080】
図12は、読影レポート解析部の処理の例を示すフローチャートである。
[S11]依頼受付部43は、診断医端末装置30から診断医の読影依頼を受け付ける。
【0081】
読影レポート受付部45は、読影医端末装置20から読影レポートを受け付ける。
[S12]読影レポート解析部46は、読影レポートの中の自然文を抽出する。
[S13]読影レポート解析部46は、自然文の中の1文を抽出する。
【0082】
[S14]構文解析部46aは、構文データベース46bにより、読影レポートにおいて、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を客観的な記述がされている文とし、主観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を主観的な記述がされている文とする。
【0083】
[S15]所見判定部46cは、所見・部位データベース46dにより、構文解析部46aの解析結果に基づき、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文において、述語の対象物を示す文言を抽出する。
【0084】
部位判定部46eは、所見・部位データベース46dにより、構文解析部46aと所見判定部46cとの解析結果に基づき、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文において、述語の対象物の所在を示す文言を抽出する。
【0085】
整合性判定部46gは、整合性データベース46hにより、所見判定部46cと部位判定部46eとの解析結果に基づき、診断医の依頼内容と所見・部位との整合性を判定する。
【0086】
診断判定部46iは、診断データベース46jにより、所見・部位から判定される病名等の診断を抽出する。
[S16]読影レポート解析部46は、読影レポートの1文について完了したかを判断する。未完了の場合、S15へ進む。完了の場合、S17へ進む。
【0087】
[S17]読影レポート解析部46は、結果データベース46oに抽出結果を記憶する。
[S18]読影レポート解析部46は、読影レポートの全文について完了したかについて判断する。未完了の場合、S13へ進む。完了の場合、S19へ進む。
【0088】
[S19]総合集計部46kは、集計データベース46lにより、所見判定部46cと部位判定部46eと整合性判定部46gと診断判定部46iとの解析結果に基づき、解析結果から集計値を様々な観点から算出する。
【0089】
読影レポート評価部46mは、評価データベース46nにより、総合集計部46kの集計結果に基づき、様々な観点から算出された集計値を利用して、読影レポートの総合的な品質評価を表す評価値を算出する。
【0090】
[S20]評価出力部47は、読影医端末装置20へ、読影レポートに対する評価値を出力する。
結果出力部48は、読影医端末装置20へ、元々の読影レポートや読影レポートから抽出された情報や診断結果を一覧できるように出力する。
【0091】
このようにすると、あらかじめ用意された項目を選択して記述するのではなく自由に記述できるので、読影医は、詳細な内容の所見を読影レポートに記述することができる。しかも、所見が自動抽出されることから、診断医は、所見の内容を正確に把握することができる。
【0092】
また、医療画像からの所見と部位と診断との読影レポートの品質を、客観的な数値によって評価できるようにしたので、医療診断技術の教育的見地からも有用である。
さらに、他の分野で作成される報告書が正確な記述を要求される場合も、報告書を客観的な数値によって評価できるので、教育的見地からも有用である。この場合、対象とされる分野に合わせて、抽出方法と抽出結果の集計方法とを変更する。
【0093】
以下、診断医端末装置30に対し、実際に表示される画面について説明する。
図13は、出力画面の例を示す図である。
出力画面200は、4つの画面から構成され、入力情報画面210と所見・部位画面220と診断画面230と集計・評価画面240とから構成される。入力情報画面210については、図14で説明している。所見・部位画面220については、図15で説明している。診断画面230については、図17で説明している。集計・評価画面240については、図18で説明している。
【0094】
図14は、入力情報画面の例を示す図である。入力情報画面210は、依頼受付部43が診断医端末装置30から受け付けた読影依頼と読影レポート受付部45が読影医端末装置20から受け付けた読影レポートとを同時に表示する。
【0095】
入力情報画面210は、依頼211と所見・部位・診断212とから構成される。
依頼211は、診断医の読影依頼の内容である。所見・部位・診断212は、読影医の読影レポートの内容である。
【0096】
図15は、所見・部位画面の例を示す図である。
所見・部位画面220は、ID221と部位222と所見223と種別224と所見・部位スコア225とから構成される。
【0097】
ID221は、1つの所見・部位情報を代表する番号である。部位222は、ID221に関係する部位情報である。所見223は、ID221に関係する所見情報である。種別224は、ID221に関係する情報が肯定の情報なのか否定の情報なのかを表す。所見・部位スコア225は、ID221に関係する情報の重要度に対する評価を表す。
【0098】
ここでは、所見・部位データベース46dにより、読影レポートの中の「ある」と「認められない」と「認められる」と「思われない」とから、部位222と所見223とが抽出されて画面表示され、関係する種別224と所見・部位スコア225とが画面表示される。
【0099】
なお、所見223の中に「数字」と「単位」とが連続して記述されている場合、重要な所見223と考えている。そのため、「直径3cmの高密度領域」という所見223について、所見・部位スコア225は、本来1.0であるが2.0となっている。
【0100】
図16は、所見・部位・整合性画面の例を示す図である。
所見・部位・整合性画面220aは、所見・部位画面220と比較して、整合性スコア226をさらに含んでいる。整合性スコア226は、ID221に関係する情報と診断医の読影依頼の内容との整合性に対する評価を表す。
【0101】
ここでは、整合性データベース46hにより、抽出された所見223から、所見中キーワード46haと依頼中キーワード46hbとの整合性の度合いが評価され画面表示される。
【0102】
図17は、診断画面の例を示す図である。
診断画面230は、ID231と診断232と部位233と根拠所見234と述語235と種別236とから構成される。
【0103】
ID231は、1つの診断情報を代表する番号である。診断232は、ID231に関係する診断情報である。部位233は、ID231に関係する診断232の根拠になった部位情報である。根拠所見234は、ID231に関係する診断232の根拠になった所見情報である。述語235は、ID231に関係する診断232を抽出した際に注目した述語情報である。種別236は、ID231に関係する述語235が肯定なのか否定なのかを表す。
【0104】
ここでは、診断データベース46jにより、読影レポートの中の「思われない」から、診断232と部位233と根拠所見234とが抽出されて画面表示され、関係する種別236が画面表示される。
【0105】
なお、本来、「出血」は「肺炎」の肯定的根拠になりうるので、診断画面230における診断情報は誤りである。
図18は、集計・評価画面の例を示す図である。
【0106】
集計・評価画面240は、文数241と所見数242と肯定所見数243と否定所見数244と部位別所見数245と第1の所見スコア246と第2の所見スコア247と品質スコア248とから構成される。
【0107】
文数241は、所見・部位・診断212に存在する文の数である。所見数242は、所見・部位・診断212に存在する所見223の数である。肯定所見数243は、所見・部位・診断212に存在する肯定的な所見223の数である。否定所見数244は、所見・部位・診断212に存在する否定的な所見223の数である。部位別所見数245は、所見・部位・診断212に存在する部位別の所見223の数である。ここでは、全体と右肺と左肺との部位が存在する。第1の所見スコア246は、所見・部位・診断212で記述された全ての所見を評価する。第2の所見スコア247は、所見・部位・診断212で記述された全ての所見を、重要度を考慮して評価する。品質スコア248は、所見・部位・診断212の品質を評価する。
【0108】
ここでは、集計データベース46lにより、抽出された所見・部位から、文数241と所見数242と肯定所見数243と否定所見数244と部位別所見数245との集計値が算出され画面表示される。また、集計データベース46lにより、算出された集計値から、全ての所見・部位スコア225が合計され第1の所見スコア246として画面表示され、所見・部位スコア225と整合性スコア226とが掛け合わされた数値を合計し第2の所見スコア247として画面表示される。また、評価データベース46nにより、集計された数値から、第2の所見スコア247が文数241で割られ品質スコア248として画面表示される。
【0109】
このように、ユーザに対して、読影レポートの解析の結果画面及び評価の結果画面を表示するので、読影レポートの品質を評価しやすくなり、医療診断技術の教育的見地からも有用である。
【0110】
例えば、医学部の授業等において、医学生の作成した読影レポートを医学教授が評価する場合、医学教授は各医学生を機械的に評価でき、医学生の得手不得手を指導しやすくなる。こうすることで、医学生は自らの不得手を克服でき、医学生の能力が向上していく。
【0111】
図19は、本発明の実施の形態に用いるコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。コンピュータ300は、CPU(Central Processing Unit)301によって装置全体が制御されている。CPU301には、バス307を介してRAM(Random Access Memory)302、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)303、グラフィック処理装置304、入力インタフェース305、および通信インタフェース306が接続されている。
【0112】
RAM302には、CPU301に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM302には、CPU301による処理に必要な各種データが格納される。HDD303には、OSやアプリケーションプログラムが格納される。
【0113】
グラフィック処理装置304には、モニタ310が接続されている。グラフィック処理装置304は、CPU301からの命令に従って、画像をモニタ310の画面に表示させる。入力インタフェース305には、キーボード320とマウス330とが接続されている。入力インタフェース305は、キーボード320やマウス330から送られてくる信号を、バス307を介してCPU301に送信する。
【0114】
通信インタフェース306は、ネットワーク340に接続されている。通信インタフェース306は、ネットワーク340を介して、他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
【0115】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
なお、上記の処理機能は、クライアントサーバシステムのサーバコンピュータによって実現することができる。その場合、読影レポート解析装置が有すべき機能の処理内容を記述したサーバプログラムが提供される。サーバコンピュータは、クライアントコンピュータからの要求に応答して、サーバプログラムを実行する。これにより、上記処理機能がサーバコンピュータ上で実現され、処理結果がクライアントコンピュータに提供される。
【0116】
処理内容を記述したサーバプログラムは、サーバコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。サーバコンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0117】
サーバプログラムを流通させる場合には、例えば、そのサーバプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。
サーバプログラムを実行するサーバコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたサーバプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、サーバコンピュータは、自己の記憶装置からサーバプログラムを読み取り、サーバプログラムに従った処理を実行する。なお、サーバコンピュータは、可搬型記録媒体から直接サーバプログラムを読み取り、そのサーバプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0118】
(付記1) 医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムにおいて、
コンピュータに、
読影レポート受付手段が、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、
構文解析手段が、前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、
所見判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定し、
部位判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定し、
結果出力手段が、前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する、
処理を実行させることを特徴とする読影レポート解析プログラム。
【0119】
(付記2) コンピュータに、
診断判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、主観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、診断文として選択し、選択した前記診断文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を診断と判定する、
処理をさらに実行させることを特徴とする付記1記載の読影レポート解析プログラム。
【0120】
(付記3) コンピュータに、
総合集計手段が、前記所見判定手段による解析結果と前記部位判定手段による解析結果とから、前記読影レポートに含まれる所見の総数及び前記所見対象部位ごとの所見の総数を算出する、
処理をさらに実行させることを特徴とする付記1記載の読影レポート解析プログラム。
【0121】
(付記4) コンピュータに、
読影レポート評価手段が、前記総合集計手段により算出された集計値から、前記読影レポートの品質評価を数値化した評価値を算出する、
処理をさらに実行させることを特徴とする付記3記載の読影レポート解析プログラム。
【0122】
(付記5) 前記総合集計手段は、前記所見判定手段で抽出された前記所見文それぞれに対して、前記所見文内の客観的事実を示す文言の重要度に応じた点数を決定し、前記所見判定手段で抽出された前記所見文それぞれの点数を合計することを特徴とする付記3記載の読影レポート解析プログラム。
【0123】
(付記6) コンピュータに、
整合性判定手段が、前記読影レポートの作成を依頼する依頼文を取得し、前記依頼文と前記読影レポートとの間の文言の共通性に基づいて、前記依頼文と前記読影レポートとの整合性を判定する、
処理をさらに実行させることを特徴とする付記1記載の読影レポート解析プログラム。
【0124】
(付記7) コンピュータにより、医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析方法において、
読影レポート受付手段が、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、
構文解析手段が、前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、
所見判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定し、
部位判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定し、
結果出力手段が、前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する、
ことを特徴とする読影レポート解析方法。
【0125】
(付記8) 医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析装置において、
読影医が作成した読影レポートの入力を受け付ける読影レポート受付手段と、
前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析する構文解析手段と、
前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定する所見判定手段と、
前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定する部位判定手段と、
前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する結果出力手段と、
を有することを特徴とする読影レポート解析装置。
【0126】
(付記9) 医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
コンピュータに、
読影レポート受付手段が、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、
構文解析手段が、前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、
所見判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定し、
部位判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定し、
結果出力手段が、前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する、
処理を実行させることを特徴とする読影レポート解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の概念図である。
【図2】実施の形態のシステム構成図である。
【図3】読影レポート解析部を示す図である。
【図4】所見と部位と診断との抽出の例である。
【図5】構文データベースの例を示す図である。
【図6】所見・部位データベースの例を示す図である。
【図7】整合性データベースの例を示す図である。
【図8】診断データベースの例を示す図である。
【図9】集計データベースの例を示す図である。
【図10】評価データベースの例を示す図である。
【図11】結果データベースの例を示す図である。
【図12】読影レポート解析部の処理の例を示すフローチャートである。
【図13】出力画面の例を示す図である。
【図14】入力情報画面の例を示す図である。
【図15】所見・部位画面の例を示す図である。
【図16】所見・部位・整合性画面の例を示す図である。
【図17】診断画面の例を示す図である。
【図18】集計・評価画面の例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に用いるコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0128】
1 読影医
2 読影レポート解析装置
2a 読影レポート受付手段
2b 構文解析手段
2c 所見判定手段
2d 部位判定手段
2e 結果出力手段
3 診断医
【技術分野】
【0001】
本発明は、読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムに関し、特に、医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医師の医療分野における診断は、患者から取得される複数の所見に基づいて総合的になされている。
具体的には、複数の所見を取得するために複数の検査項目が存在し、各検査項目の内容の専門化が進んでいる。ここで、最終的な診断を実行する医師(診断医)は、各検査項目を担当する専門的な医師(例えば、読影医)に検査を依頼する。その後、診断医は読影医の所見に基づいて診断する。
【0003】
このような各検査項目において、所見が数値で出力される場合は、曖昧性はない。しかし、レントゲンやMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の医療画像の所見の場合、曖昧性は存在する。なぜなら、診断医が、読影医に検査(読影)を依頼し、検査結果としての所見を自然言語で記述された読影レポートで取得するからである。
【0004】
ここで、診断医が正確な読影レポートを取得するために、読影医の所見に見落としがないこと及び読影医が所見を正確な記述で読影レポートに表現していることの二つの要因が重要である。これらの二つの要因を満たす読影レポートを生成する技術としては、事前に着目するべき各項目をチェックリストやテンプレートの形式で用意しておき、用意されている各項目を選択することで、見落としを防止する技術が存在する。そして、装置内に装備された定型文作成機能を利用して、読影医の選択結果から自然文で正確に記述された読影レポートを生成する技術が存在する(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平09−50470号公報
【特許文献2】特開2004−139312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2の技術では、用意されていない項目を用いた読影レポートを生成することができないため、読影医が正確な所見を記述できない場合が存在する。これにより、診断医は、細かい所見に基づいて診断を実行できないので、誤診をおかす可能性がある。
【0006】
また、チェックリストやテンプレートを用意する場合、大きな費用が必要である。なぜなら、各検査項目は複数の要因から総合的に決定されるものであり、少数の検査項目数では不十分であるからである。しかも、近年の医療技術の急速な発展により、検査項目数は増加傾向にある。
【0007】
そこで、読影レポートを作成する場合、チェックリストやテンプレートを用意せず、診断医が所見を自由に記述できることが望ましい。しかも、自由に記述された読影レポートであっても、所見が正確に診断医に伝わることが必要である。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、自由な形式で記述された読影レポートから、所見を抽出することができる読影レポート解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記課題を解決するために、図1に示すように、読影レポート受付手段2aが、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付ける。構文解析手段2bが、読影レポートに含まれる各文の構文を解析する。所見判定手段2cが、構文解析手段2bによる解析結果に基づき、読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択する。そして、選択した所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定する。部位判定手段2dが、構文解析手段2bによる解析結果に基づき、所見判定手段2cで選択された所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定する。結果出力手段2eが、部位判定手段2dで判定した所見対象部位に対する所見判定手段2cで判定した所見が示された結果を出力する。
【0010】
このようにすると、読影医が作成した読影レポートが、読影レポート受付手段2aにより、入力を受け付けられる。読影レポートに含まれる各文の構文が、構文解析手段2bにより、解析される。構文解析手段2bによる解析結果に基づき、読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文が、所見判定手段2cにより、所見文として選択される。そして、選択された所見文において、述語の対象物を示す文言が抽出され、抽出された文言が、所見判定手段2cにより、所見と判定される。構文解析手段2bによる解析結果に基づき、所見判定手段2cで選択された所見文の対象物の所在を示す文言が、部位判定手段2dにより、抽出され、抽出された文言が所見対象部位と判定される。部位判定手段2dで判定された所見対象部位に対する所見判定手段2cで判定された所見が示された結果が、結果出力手段2eにより、出力される。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、所見文を選択し、述語の対象物を示す文言を所見と判定し、対象物の所在を示す文言を所見対象部位と判定するようにした。
【0012】
このようにすると、自由な形式で記述された読影レポートから、所見を抽出することができる。その結果、読影医は、詳細な内容の所見を読影レポートに記述することができ、かつ、診断医は、所見の内容を正確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明の概念について説明し、その後、実施の形態の具体的な内容を説明する。
図1は、本発明の概念図である。
【0014】
本発明の読影レポート解析装置を利用したシステムにおいて、読影医1は、作成した読影レポートを読影レポート解析装置2へ入力する。読影レポート解析装置2は、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、所見文を選択し、述語の対象物を示す文言を所見と判定し、対象物の所在を示す文言を所見対象部位と判定する。そして、読影レポート解析装置2は、診断医3に結果を出力する。診断医3は、読影レポートから抽出された結果を受け取る。
【0015】
読影レポート解析装置2は、読影レポート受付手段2a、構文解析手段2b、所見判定手段2c、部位判定手段2d及び結果出力手段2eから構成される。
読影レポート受付手段2aは、読影医1が作成した読影レポートの入力を受け付ける。
【0016】
構文解析手段2bは、読影レポートに含まれる各文の構文を解析する。
所見判定手段2cは、構文解析手段2bによる解析結果に基づき、読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択する。そして、所見判定手段2cは、選択した所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定する。
【0017】
部位判定手段2dは、構文解析手段2bによる解析結果に基づき、所見判定手段2cで選択された所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定する。
【0018】
結果出力手段2eは、部位判定手段2dで判定した所見対象部位に対する所見判定手段2cで判定した所見が示された結果を出力する。
読影レポート受付手段2a、構文解析手段2b、所見判定手段2c、部位判定手段2d及び結果出力手段2eは、互いに通信している。
【0019】
このようにすると、あらかじめ用意された項目を選択して記述するのではなく自由に記述できるので、読影医は、詳細な内容の所見を読影レポートに記述することができる。しかも、所見が自動抽出されることから、診断医は、所見の内容を正確に把握することができる。
【0020】
以下、実施の形態の具体的な内容を説明する。
図2は、実施の形態のシステム構成図である。
本発明の読影レポート解析装置40を利用したシステムは、技師端末装置10、読影医端末装置20、診断医端末装置30及び読影レポート解析装置40から構成される。技師端末装置10は、診断医から依頼されたレントゲンやMRI等の医療画像を、読影レポート解析装置40に提出する。読影医端末装置20は、技師端末装置10から提出された医療画像を検査し、作成した読影レポートを読影レポート解析装置40に提出する。診断医端末装置30は、診断に必要な検査を読影レポート解析装置40に依頼する。読影レポート解析装置40は、読影医端末装置20から取得した読影レポートを解析し、解析の結果を診断医端末装置30へ出力する。技師端末装置10、読影医端末装置20、診断医端末装置30及び読影レポート解析装置40は、互いに通信している。
【0021】
読影レポート解析装置40は、画像受付部41、画像記憶部42、依頼受付部43、依頼出力部44、読影レポート受付部45、読影レポート解析部46、評価出力部47及び結果出力部48から構成される。
【0022】
[画像受付部41]
画像受付部41は、技師端末装置10から、診断医から依頼された医療画像を受け付ける。
【0023】
[画像記憶部42]
画像記憶部42は、画像受付部41が技師端末装置10から受け付けた医療画像を記憶する。
【0024】
[依頼受付部43]
依頼受付部43は、診断医端末装置30から医療画像の撮影依頼及び読影依頼を受け付ける。
【0025】
この場合、依頼受付部43は、依頼に利用された媒体に応じた受付方法を有する。例えば、依頼受付部43は、紙に書かれた依頼ならばスキャナを利用して受け付け、コンピュータのエディタで作成された依頼ならばそのまま受け付ける。
【0026】
[依頼出力部44]
依頼出力部44は、依頼受付部43が診断医端末装置30から受け付けた読影依頼を読影医端末装置20へ出力する。また、依頼出力部44は、依頼受付部43が診断医端末装置30から受け付けた医療画像の撮影依頼を技師端末装置10へ出力する。
【0027】
[読影レポート受付部45]
読影レポート受付部45は、読影医端末装置20から読影レポートを受け付け、読影レポートを電子化し、テキスト情報に変換する。
【0028】
この場合、読影レポートの受付において、読影レポート受付部45は、依頼に利用された媒体に応じた受付方法を有する。例えば、読影レポート受付部45は、紙に書かれた読影レポートならばスキャナを利用して受け付け、コンピュータのエディタで作成された読影レポートならばそのまま受け付ける。
【0029】
ここでは、読影レポート受付部45は、読影レポート受付部45に続く処理を考慮して、処理すべきデータ量を削減するため、読影レポートの自然言語による記述部分だけを抽出して電子化する場合もある。
【0030】
[読影レポート解析部46]
読影レポート解析部46は、依頼受付部43から診断医の読影依頼の内容を取得し、読影レポート受付部45から読影レポートを取得する。
【0031】
そして、読影レポート解析部46は、読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、所見文を選択し、述語の対象物を示す文言を所見と判定し、対象物の所在を示す文言を所見対象部位と判定する。
【0032】
さらに、読影レポート解析部46は、依頼内容と解析の結果との間に不整合な点があるかないか検査し、所見文でない部分を選択し、述語の対象物を示す文言を診断と判定し、全ての検査結果を集計し、集計値に基づいて様々な評価値を算出する。
【0033】
最後に、読影レポート解析部46は、評価出力部47に評価値を出力し、結果出力部48に読影レポートから抽出された結果を出力する。
[評価出力部47]
評価出力部47は、診断医端末装置30へ、読影レポートに対する評価値を出力する。なお、評価出力部47は、評価値を誰でも見られるように出力することもできる。
【0034】
[結果出力部48]
結果出力部48は、診断医端末装置30へ、元々の読影レポートや読影レポートから抽出された結果や診断結果を一覧できるように出力する。なお、結果出力部48は、元々の読影レポートや読影レポートから抽出された結果や診断結果を、誰でも閲覧できるように出力することもできる。
【0035】
具体的には、結果出力部48は、閲覧側のポインティングデバイス等の利用により、解析の結果の項目をクリックするとその項目に関係がある元々の読影レポートの記述をハイライト表示させたり、元々の読影レポートの記述をクリックするとその記述に関係がある解析の結果の項目をハイライト表示させたりする。
【0036】
このようにすると、不適切な所見が抽出された項目や記述したはずの所見が抽出されなかった項目が分かり易くなる。そして、項目に対応する読影レポートの記述に問題がある等の判断が早くできるようになるので、教育的効果がある。
【0037】
画像受付部41、画像記憶部42、依頼受付部43、依頼出力部44、読影レポート受付部45、読影レポート解析部46、評価出力部47及び結果出力部48は、互いに通信している。
【0038】
図3は、読影レポート解析部を示す図である。
読影レポート解析部46は、構文解析部46a、構文データベース46b、所見判定部46c、所見・部位データベース46d、部位判定部46e、整合性判定部46g、整合性データベース46h、診断判定部46i、診断データベース46j、総合集計部46k、集計データベース46l、読影レポート評価部46m、評価データベース46n及び結果データベース46oから構成される。
【0039】
[構文解析部46a]
構文解析部46aは、構文データベース46bに格納されたルールに従って、読影レポートの構文を解析する。構文解析部46aは、読影レポートにおいて、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を客観的な記述がされている文とし、主観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を主観的な記述がされている文とする。
【0040】
第1の例として、構文解析部46aは、文の述語が「ある」や「見られる」の場合、客観的な記述がされている文とする。また、構文解析部46aは、文の述語が「思われる」や「疑われる」の場合、主観的な記述がされている文とする。
【0041】
第2の例として、構文解析部46aは、対象を具体的に表現するために目的語の中に「数字」と「単位」とが連続して記述されている場合、客観的な記述がされている文とする。
【0042】
[構文データベース46b]
構文データベース46bは、構文解析部46aが読影レポートの構文を解析するためのルールを記憶する。
【0043】
[所見判定部46c]
所見判定部46cは、所見・部位データベース46dに格納されたルールに従って、読影レポートに存在する所見を抽出する。所見判定部46cは、構文解析部46aの解析結果に基づき、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文において、述語の対象物を示す文言を抽出する。実際には、所見判定部46cは、所見・部位データベース46dに格納されたルールに基づき、述語に対して、「が」や「は」や「を」や「と」等に伴っている名詞を所見とする。
【0044】
ここで、所見判定部46cは、所見・部位データベース46dにより、所見の中でも肯定的所見と否定的所見とを区別することができる。
なお、所見判定部46cは、目的語の中に「数字」と「単位」とが連続して記述されている場合、重要な所見とすることがある。
【0045】
[所見・部位データベース46d]
所見・部位データベース46dは、所見判定部46cが読影レポートに存在する所見を抽出するためのルールを記憶する。また、所見・部位データベース46dは、部位判定部46eが読影レポートに存在する所見に関わる部位を抽出するためのルールを記憶する。
【0046】
[部位判定部46e]
部位判定部46eは、所見・部位データベース46dに格納されたルールに従って、読影レポートに存在する部位を抽出する。部位判定部46eは、構文解析部46aと所見判定部46cとの解析結果に基づき、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文において、述語の対象物の所在を示す文言を抽出する。実際には、部位判定部46eは、所見・部位データベース46dにより、述語に対して、「に」や「で」や「において」等に伴っている名詞を部位とする。
【0047】
[整合性判定部46g]
整合性判定部46gは、整合性データベース46hに格納されたルールに従って、所見判定部46cと部位判定部46eとの解析結果に基づき、診断医の依頼内容と抽出された所見・部位との間の整合性を判定する。
【0048】
[整合性データベース46h]
整合性データベース46hは、整合性判定部46gが、診断医の依頼内容と抽出された所見・部位との間に不整合な点があるかないか検査するためのルールを記憶する。
【0049】
[診断判定部46i]
診断判定部46iは、診断データベース46jに格納されたルールに従って、所見・部位から判定される病名等の診断を抽出する。実際には、診断判定部46iは、構文解析部46aの解析結果に基づき、主観的な意味を表す述語の目的語を診断とする。具体例については、図4で詳しく説明する。
【0050】
[診断データベース46j]
診断データベース46jは、診断判定部46iが読影レポートに存在する診断を抽出するためのルールを記憶する。
【0051】
[総合集計部46k]
総合集計部46kは、集計データベース46lに格納されたルールに従って、所見判定部46cと部位判定部46eとの解析結果に基づき、解析の結果から集計値を様々な観点から算出する。
【0052】
第1の例として、総合集計部46kは、抽出された所見・部位の数を集計する。ここで、総合集計部46kは、所見に関して「数字」と「単位」との連接を含んでいるものと含んでいないものとを別々に集計することもできる。
【0053】
第2の例として、総合集計部46kは、各項目において抽出方法や抽出結果にあらかじめ異なる重要度を与えて、集計の際に、高い重要度ならば高い点数を低い重要度ならば低い点数を集計する。具体的には、総合集計部46kは、客観的記述であると判定される述語の中で、「著明である」より「ある」の方が客観性が高いので高い点数を与える。なぜなら、「著明である」という表現は、程度に関して筆記者の主観を含んでおり、「著明である」ということを数値的に記述し、客観的な根拠を示すべきであるからである。また、総合集計部46kは、所見の中で、「胸水なし」は診断の際に重要であるので高い点数を与える。さらに、総合集計部46kは、所見の中で、医療用語辞典や解剖学用語辞典に載っていない用語で構成される所見は重要でないので低い点数を与える。ここで、総合集計部46kは、抽出方法の誤り等による不適切な所見が存在した場合、点数を低くすることで、集計値への影響を軽減する。
【0054】
第3の例として、総合集計部46kは、肯定的所見と否定的所見とを別々に集計する。ここで、否定的所見が少ない場合、記述された肯定的所見がそもそも否定的な意味を含んでいるのか否定的所見を見落としているのかを診断医は判断できないので、品質に疑問があることが分かる。
【0055】
第4の例として、総合集計部46kは、部位別に所見数を集計する。ここで、他の部位に比較して所見数の多い部位は、診断医にとって明らかに重要であることが分かる。ここで、医学部の授業等において、1つの医療画像について複数の読影レポートが作成される場合、部位別の所見数の分布は教育的見地からも有用である。
【0056】
第5の例として、総合集計部46kは、診断医からの読影依頼の内容と適合する所見に、高い点数を与える。具体的には、総合集計部46kは、読影依頼の内容について、患者が癌であるので医療画像に転移があるかないかが注目される場合、転移を含む所見に高い点数を与える。また、総合集計部46kは、診断医からの読影依頼の内容に注目の部位が存在する場合、注目の部位に関する所見に高い点数を与える。このように可変的に集計して、総合集計部46kは、診断医からの読影依頼の内容に適合する読影レポートの評価を高くする。
【0057】
[集計データベース46l]
集計データベース46lは、総合集計部46kが解析の結果を集計するためのルールを記憶する。
【0058】
[読影レポート評価部46m]
読影レポート評価部46mは、評価データベース46nに格納されたルールに従って、総合集計部46kの算出した集計値に基づき、読影レポートの総合的な品質評価を表す評価値を算出する。
【0059】
第1の例として、読影レポート評価部46mは、抽出された所見数を読影レポートに存在する文の数で割る。ここで、割った結果が1に近いほど、読影レポートに無駄な記述がないことが分かる。
【0060】
第2の例として、読影レポート評価部46mは、単純に全ての集計値を合計して評価値とする。また、読影レポート評価部46mは、1つのテーマにおいて複数の読影レポートを評価する場合、読影レポートの各集計値の平均値や分散を算出し、偏差値を算出して評価値とする。
【0061】
このように、読影レポート評価部46mにより、医療画像からの所見と部位と診断との読影レポートの品質を、客観的な数値によって評価できるようにしたので、医療診断技術の教育的見地からも有用である。
【0062】
また、他の分野で作成される報告書が正確な記述を要求される場合も、読影レポート評価部46mにより、報告書を客観的な数値によって評価できるので、教育的見地からも有用である。この場合、対象とされる分野に合わせて、抽出方法と抽出結果の集計方法とを変更する。
【0063】
[評価データベース46n]
評価データベース46nは、読影レポート評価部46mが集計値から評価値を算出するためのルールを記憶する。
【0064】
[結果データベース46o]
結果データベース46oは、所見判定部46c、部位判定部46e、整合性判定部46g及び診断判定部46iで抽出された結果を格納する。ここで格納された情報を利用すると、ある所見が得られる読影レポートの記述を過去の読影レポートの記述の中から検索し、検索された記述の一覧を出力することができる。
【0065】
構文解析部46a、構文データベース46b、所見判定部46c、所見・部位データベース46d、部位判定部46e、整合性判定部46g、整合性データベース46h、診断判定部46i、診断データベース46j、総合集計部46k、集計データベース46l、読影レポート評価部46m、評価データベース46n及び結果データベース46oは、互いに通信している。
【0066】
このようにすると、あらかじめ用意された項目を選択して記述するのではなく自由に記述できるので、読影医は、詳細な内容の所見を読影レポートに記述することができる。しかも、所見が自動抽出されることから、診断医は、所見の内容を正確に把握することができる。
【0067】
図4は、所見と部位と診断との抽出の例である。
ここでは、読影レポート51から、所見・部位52、客観的述語53、診断54及び主観的述語55が抽出される。読影レポート51は、「右肺底部に高密度領域があり、転移と思われる」という読影医が作成した読影レポートである。所見・部位52は、客観的述語53に対応する目的語である。客観的述語53は、客観的な述語である。診断54は、主観的述語55に対応する目的語である。主観的述語55は、主観的な述語である。
【0068】
所見と部位と診断との抽出の処理としては、まず、「ある」という客観的述語53をトリガとする所見・部位データベース46dにより、「右肺底部に高密度領域」という所見・部位52が抽出される。次に、所見・部位52が抽出されことをトリガとして、所見・部位52に関係する診断54があるかないか判定し、「思われる」という主観的述語55が抽出される。最後に、「思われる」という主観的述語55をトリガとする診断データベース46jとにより、「転移」という診断54が抽出される。
【0069】
以下、本実施の形態で実際に利用するデータベースについて説明する。
図5は、構文データベースの例を示す図である。
構文データベース46bは、述語46baと種別46bbとから構成される。述語46baは、文と文とを画する。種別46bbは、述語46baが客観の述語なのか主観の述語なのかを表す。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0070】
なお、「思う」と「思われる」とは、客観の述語なのか主観の述語なのか判断が難しいので、両方であるとする。しかし、主観の述語である可能性は高いが客観の述語である可能性は低いので、図6で説明する所見・部位データベース46dで客観性の度合いを下げる。
【0071】
図6は、所見・部位データベースの例を示す図である。
所見・部位データベース46dは、客観的述語53と所見格46dbと部位格46dcとスコア46ddと種別46deとから構成される。客観的述語53は、客観的な述語である。所見格46dbは、客観的述語53の対象物を示す文言である。部位格46dcは、客観的述語53の対象物の所在を示す文言である。スコア46ddは、客観的述語53の客観性の度合いを評価する。種別46deは、客観的述語53が肯定の述語なのか否定の述語なのかを表す。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0072】
ここで、所見・部位データベース46dは、肯定と否定との情報を持った述語を格納し、「見られない」における肯定と否定との判断について、「見られる」は肯定的な述語とし「ない」は否定的な述語とし、これらから、「見られない」は否定的な述語としている。
【0073】
図7は、整合性データベースの例を示す図である。
整合性データベース46hは、所見中キーワード46haと依頼中キーワード46hbと整合性スコア46hcとから構成される。所見中キーワード46haは、依頼中キーワード46hbに医学的に関係のある所見中のキーワードである。依頼中キーワード46hbは、依頼中の注目すべきキーワードである。整合性スコア46hcは、所見中キーワード46haと依頼中キーワード46hbとの整合性の度合いを評価する。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0074】
なお、整合性スコア46hcにおいて、依頼中キーワード46hbに整合性のない所見中キーワード46haに、点数を与えることがある。
図8は、診断データベースの例を示す図である。
【0075】
診断データベース46jは、主観的述語55と診断格46jbと種別46jcとから構成される。主観的述語55は、主観的な述語である。診断格46jbは、主観的述語55の目的語である。種別46jcは、主観的述語55が肯定の述語なのか否定の述語なのかを表す。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0076】
図9は、集計データベースの例を示す図である。
集計データベース46lは、集計値ラベル46laと集計方法46lbとから構成される。集計値ラベル46laは、集計方法46lbにより算出された数値のタイトルである。集計方法46lbは、所見判定部46cと部位判定部46eとにより抽出された数値を集計する方法である。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0077】
図10は、評価データベースの例を示す図である。
評価データベース46nは、評価値ラベル46naと評価方法46nbとから構成される。評価値ラベル46naは、評価方法46nbにより算出された数値のタイトルである。評価方法46nbは、総合集計部46kにより集計された数値を評価する方法である。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0078】
図11は、結果データベースの例を示す図である。結果データベース46oは、所見判定部46cと部位判定部46eと診断判定部46iとによる抽出結果を記憶する。
結果データベース46oは、客観的述語46oaと主観的述語46obと部位格46ocと所見格46odと診断格46oeと種別46ofとから構成される。客観的述語46oaは、客観的な述語である。主観的述語46obは、主観的な述語である。部位格46ocは、述語の対象物の所在を示す文言である。所見格46odは、述語の対象物を示す文言である。診断格46oeは、述語の目的語である。種別46ofは、述語が肯定の述語なのか否定の述語なのかを表す。横方向に並べられた各項目は、互いに関連付けられている。
【0079】
なお、結果データベース46oは、所見判定部46cと部位判定部46eと診断判定部46iとによる抽出結果に関係する元々の読影レポートを格納することもできる。
以下、上述した複数のデータベースを利用した読影レポート解析部46の具体的な処理について説明する。
【0080】
図12は、読影レポート解析部の処理の例を示すフローチャートである。
[S11]依頼受付部43は、診断医端末装置30から診断医の読影依頼を受け付ける。
【0081】
読影レポート受付部45は、読影医端末装置20から読影レポートを受け付ける。
[S12]読影レポート解析部46は、読影レポートの中の自然文を抽出する。
[S13]読影レポート解析部46は、自然文の中の1文を抽出する。
【0082】
[S14]構文解析部46aは、構文データベース46bにより、読影レポートにおいて、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を客観的な記述がされている文とし、主観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を主観的な記述がされている文とする。
【0083】
[S15]所見判定部46cは、所見・部位データベース46dにより、構文解析部46aの解析結果に基づき、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文において、述語の対象物を示す文言を抽出する。
【0084】
部位判定部46eは、所見・部位データベース46dにより、構文解析部46aと所見判定部46cとの解析結果に基づき、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文において、述語の対象物の所在を示す文言を抽出する。
【0085】
整合性判定部46gは、整合性データベース46hにより、所見判定部46cと部位判定部46eとの解析結果に基づき、診断医の依頼内容と所見・部位との整合性を判定する。
【0086】
診断判定部46iは、診断データベース46jにより、所見・部位から判定される病名等の診断を抽出する。
[S16]読影レポート解析部46は、読影レポートの1文について完了したかを判断する。未完了の場合、S15へ進む。完了の場合、S17へ進む。
【0087】
[S17]読影レポート解析部46は、結果データベース46oに抽出結果を記憶する。
[S18]読影レポート解析部46は、読影レポートの全文について完了したかについて判断する。未完了の場合、S13へ進む。完了の場合、S19へ進む。
【0088】
[S19]総合集計部46kは、集計データベース46lにより、所見判定部46cと部位判定部46eと整合性判定部46gと診断判定部46iとの解析結果に基づき、解析結果から集計値を様々な観点から算出する。
【0089】
読影レポート評価部46mは、評価データベース46nにより、総合集計部46kの集計結果に基づき、様々な観点から算出された集計値を利用して、読影レポートの総合的な品質評価を表す評価値を算出する。
【0090】
[S20]評価出力部47は、読影医端末装置20へ、読影レポートに対する評価値を出力する。
結果出力部48は、読影医端末装置20へ、元々の読影レポートや読影レポートから抽出された情報や診断結果を一覧できるように出力する。
【0091】
このようにすると、あらかじめ用意された項目を選択して記述するのではなく自由に記述できるので、読影医は、詳細な内容の所見を読影レポートに記述することができる。しかも、所見が自動抽出されることから、診断医は、所見の内容を正確に把握することができる。
【0092】
また、医療画像からの所見と部位と診断との読影レポートの品質を、客観的な数値によって評価できるようにしたので、医療診断技術の教育的見地からも有用である。
さらに、他の分野で作成される報告書が正確な記述を要求される場合も、報告書を客観的な数値によって評価できるので、教育的見地からも有用である。この場合、対象とされる分野に合わせて、抽出方法と抽出結果の集計方法とを変更する。
【0093】
以下、診断医端末装置30に対し、実際に表示される画面について説明する。
図13は、出力画面の例を示す図である。
出力画面200は、4つの画面から構成され、入力情報画面210と所見・部位画面220と診断画面230と集計・評価画面240とから構成される。入力情報画面210については、図14で説明している。所見・部位画面220については、図15で説明している。診断画面230については、図17で説明している。集計・評価画面240については、図18で説明している。
【0094】
図14は、入力情報画面の例を示す図である。入力情報画面210は、依頼受付部43が診断医端末装置30から受け付けた読影依頼と読影レポート受付部45が読影医端末装置20から受け付けた読影レポートとを同時に表示する。
【0095】
入力情報画面210は、依頼211と所見・部位・診断212とから構成される。
依頼211は、診断医の読影依頼の内容である。所見・部位・診断212は、読影医の読影レポートの内容である。
【0096】
図15は、所見・部位画面の例を示す図である。
所見・部位画面220は、ID221と部位222と所見223と種別224と所見・部位スコア225とから構成される。
【0097】
ID221は、1つの所見・部位情報を代表する番号である。部位222は、ID221に関係する部位情報である。所見223は、ID221に関係する所見情報である。種別224は、ID221に関係する情報が肯定の情報なのか否定の情報なのかを表す。所見・部位スコア225は、ID221に関係する情報の重要度に対する評価を表す。
【0098】
ここでは、所見・部位データベース46dにより、読影レポートの中の「ある」と「認められない」と「認められる」と「思われない」とから、部位222と所見223とが抽出されて画面表示され、関係する種別224と所見・部位スコア225とが画面表示される。
【0099】
なお、所見223の中に「数字」と「単位」とが連続して記述されている場合、重要な所見223と考えている。そのため、「直径3cmの高密度領域」という所見223について、所見・部位スコア225は、本来1.0であるが2.0となっている。
【0100】
図16は、所見・部位・整合性画面の例を示す図である。
所見・部位・整合性画面220aは、所見・部位画面220と比較して、整合性スコア226をさらに含んでいる。整合性スコア226は、ID221に関係する情報と診断医の読影依頼の内容との整合性に対する評価を表す。
【0101】
ここでは、整合性データベース46hにより、抽出された所見223から、所見中キーワード46haと依頼中キーワード46hbとの整合性の度合いが評価され画面表示される。
【0102】
図17は、診断画面の例を示す図である。
診断画面230は、ID231と診断232と部位233と根拠所見234と述語235と種別236とから構成される。
【0103】
ID231は、1つの診断情報を代表する番号である。診断232は、ID231に関係する診断情報である。部位233は、ID231に関係する診断232の根拠になった部位情報である。根拠所見234は、ID231に関係する診断232の根拠になった所見情報である。述語235は、ID231に関係する診断232を抽出した際に注目した述語情報である。種別236は、ID231に関係する述語235が肯定なのか否定なのかを表す。
【0104】
ここでは、診断データベース46jにより、読影レポートの中の「思われない」から、診断232と部位233と根拠所見234とが抽出されて画面表示され、関係する種別236が画面表示される。
【0105】
なお、本来、「出血」は「肺炎」の肯定的根拠になりうるので、診断画面230における診断情報は誤りである。
図18は、集計・評価画面の例を示す図である。
【0106】
集計・評価画面240は、文数241と所見数242と肯定所見数243と否定所見数244と部位別所見数245と第1の所見スコア246と第2の所見スコア247と品質スコア248とから構成される。
【0107】
文数241は、所見・部位・診断212に存在する文の数である。所見数242は、所見・部位・診断212に存在する所見223の数である。肯定所見数243は、所見・部位・診断212に存在する肯定的な所見223の数である。否定所見数244は、所見・部位・診断212に存在する否定的な所見223の数である。部位別所見数245は、所見・部位・診断212に存在する部位別の所見223の数である。ここでは、全体と右肺と左肺との部位が存在する。第1の所見スコア246は、所見・部位・診断212で記述された全ての所見を評価する。第2の所見スコア247は、所見・部位・診断212で記述された全ての所見を、重要度を考慮して評価する。品質スコア248は、所見・部位・診断212の品質を評価する。
【0108】
ここでは、集計データベース46lにより、抽出された所見・部位から、文数241と所見数242と肯定所見数243と否定所見数244と部位別所見数245との集計値が算出され画面表示される。また、集計データベース46lにより、算出された集計値から、全ての所見・部位スコア225が合計され第1の所見スコア246として画面表示され、所見・部位スコア225と整合性スコア226とが掛け合わされた数値を合計し第2の所見スコア247として画面表示される。また、評価データベース46nにより、集計された数値から、第2の所見スコア247が文数241で割られ品質スコア248として画面表示される。
【0109】
このように、ユーザに対して、読影レポートの解析の結果画面及び評価の結果画面を表示するので、読影レポートの品質を評価しやすくなり、医療診断技術の教育的見地からも有用である。
【0110】
例えば、医学部の授業等において、医学生の作成した読影レポートを医学教授が評価する場合、医学教授は各医学生を機械的に評価でき、医学生の得手不得手を指導しやすくなる。こうすることで、医学生は自らの不得手を克服でき、医学生の能力が向上していく。
【0111】
図19は、本発明の実施の形態に用いるコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。コンピュータ300は、CPU(Central Processing Unit)301によって装置全体が制御されている。CPU301には、バス307を介してRAM(Random Access Memory)302、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)303、グラフィック処理装置304、入力インタフェース305、および通信インタフェース306が接続されている。
【0112】
RAM302には、CPU301に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM302には、CPU301による処理に必要な各種データが格納される。HDD303には、OSやアプリケーションプログラムが格納される。
【0113】
グラフィック処理装置304には、モニタ310が接続されている。グラフィック処理装置304は、CPU301からの命令に従って、画像をモニタ310の画面に表示させる。入力インタフェース305には、キーボード320とマウス330とが接続されている。入力インタフェース305は、キーボード320やマウス330から送られてくる信号を、バス307を介してCPU301に送信する。
【0114】
通信インタフェース306は、ネットワーク340に接続されている。通信インタフェース306は、ネットワーク340を介して、他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
【0115】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
なお、上記の処理機能は、クライアントサーバシステムのサーバコンピュータによって実現することができる。その場合、読影レポート解析装置が有すべき機能の処理内容を記述したサーバプログラムが提供される。サーバコンピュータは、クライアントコンピュータからの要求に応答して、サーバプログラムを実行する。これにより、上記処理機能がサーバコンピュータ上で実現され、処理結果がクライアントコンピュータに提供される。
【0116】
処理内容を記述したサーバプログラムは、サーバコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。サーバコンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0117】
サーバプログラムを流通させる場合には、例えば、そのサーバプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。
サーバプログラムを実行するサーバコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたサーバプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、サーバコンピュータは、自己の記憶装置からサーバプログラムを読み取り、サーバプログラムに従った処理を実行する。なお、サーバコンピュータは、可搬型記録媒体から直接サーバプログラムを読み取り、そのサーバプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0118】
(付記1) 医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムにおいて、
コンピュータに、
読影レポート受付手段が、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、
構文解析手段が、前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、
所見判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定し、
部位判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定し、
結果出力手段が、前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する、
処理を実行させることを特徴とする読影レポート解析プログラム。
【0119】
(付記2) コンピュータに、
診断判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、主観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、診断文として選択し、選択した前記診断文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を診断と判定する、
処理をさらに実行させることを特徴とする付記1記載の読影レポート解析プログラム。
【0120】
(付記3) コンピュータに、
総合集計手段が、前記所見判定手段による解析結果と前記部位判定手段による解析結果とから、前記読影レポートに含まれる所見の総数及び前記所見対象部位ごとの所見の総数を算出する、
処理をさらに実行させることを特徴とする付記1記載の読影レポート解析プログラム。
【0121】
(付記4) コンピュータに、
読影レポート評価手段が、前記総合集計手段により算出された集計値から、前記読影レポートの品質評価を数値化した評価値を算出する、
処理をさらに実行させることを特徴とする付記3記載の読影レポート解析プログラム。
【0122】
(付記5) 前記総合集計手段は、前記所見判定手段で抽出された前記所見文それぞれに対して、前記所見文内の客観的事実を示す文言の重要度に応じた点数を決定し、前記所見判定手段で抽出された前記所見文それぞれの点数を合計することを特徴とする付記3記載の読影レポート解析プログラム。
【0123】
(付記6) コンピュータに、
整合性判定手段が、前記読影レポートの作成を依頼する依頼文を取得し、前記依頼文と前記読影レポートとの間の文言の共通性に基づいて、前記依頼文と前記読影レポートとの整合性を判定する、
処理をさらに実行させることを特徴とする付記1記載の読影レポート解析プログラム。
【0124】
(付記7) コンピュータにより、医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析方法において、
読影レポート受付手段が、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、
構文解析手段が、前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、
所見判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定し、
部位判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定し、
結果出力手段が、前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する、
ことを特徴とする読影レポート解析方法。
【0125】
(付記8) 医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析装置において、
読影医が作成した読影レポートの入力を受け付ける読影レポート受付手段と、
前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析する構文解析手段と、
前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定する所見判定手段と、
前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定する部位判定手段と、
前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する結果出力手段と、
を有することを特徴とする読影レポート解析装置。
【0126】
(付記9) 医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
コンピュータに、
読影レポート受付手段が、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、
構文解析手段が、前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、
所見判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定し、
部位判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定し、
結果出力手段が、前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する、
処理を実行させることを特徴とする読影レポート解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の概念図である。
【図2】実施の形態のシステム構成図である。
【図3】読影レポート解析部を示す図である。
【図4】所見と部位と診断との抽出の例である。
【図5】構文データベースの例を示す図である。
【図6】所見・部位データベースの例を示す図である。
【図7】整合性データベースの例を示す図である。
【図8】診断データベースの例を示す図である。
【図9】集計データベースの例を示す図である。
【図10】評価データベースの例を示す図である。
【図11】結果データベースの例を示す図である。
【図12】読影レポート解析部の処理の例を示すフローチャートである。
【図13】出力画面の例を示す図である。
【図14】入力情報画面の例を示す図である。
【図15】所見・部位画面の例を示す図である。
【図16】所見・部位・整合性画面の例を示す図である。
【図17】診断画面の例を示す図である。
【図18】集計・評価画面の例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に用いるコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0128】
1 読影医
2 読影レポート解析装置
2a 読影レポート受付手段
2b 構文解析手段
2c 所見判定手段
2d 部位判定手段
2e 結果出力手段
3 診断医
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムにおいて、
コンピュータに、
読影レポート受付手段が、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、
構文解析手段が、前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、
所見判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定し、
部位判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定し、
結果出力手段が、前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する、
処理を実行させることを特徴とする読影レポート解析プログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
診断判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、主観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、診断文として選択し、選択した前記診断文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を診断と判定する、
処理をさらに実行させることを特徴とする請求項1記載の読影レポート解析プログラム。
【請求項3】
コンピュータに、
総合集計手段が、前記所見判定手段による解析結果と前記部位判定手段による解析結果とから、前記読影レポートに含まれる所見の総数及び前記所見対象部位ごとの所見の総数を算出する、
処理をさらに実行させることを特徴とする請求項1記載の読影レポート解析プログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
読影レポート評価手段が、前記総合集計手段により算出された集計値から、前記読影レポートの品質評価を数値化した評価値を算出する、
処理をさらに実行させることを特徴とする請求項3記載の読影レポート解析プログラム。
【請求項5】
前記総合集計手段は、前記所見判定手段で抽出された前記所見文それぞれに対して、前記所見文内の客観的事実を示す文言の重要度に応じた点数を決定し、前記所見判定手段で抽出された前記所見文それぞれの点数を合計することを特徴とする請求項3記載の読影レポート解析プログラム。
【請求項1】
医療分野における診断で使用する読影レポートを解析するための読影レポート解析プログラムにおいて、
コンピュータに、
読影レポート受付手段が、読影医が作成した読影レポートの入力を受け付け、
構文解析手段が、前記読影レポートに含まれる各文の構文を解析し、
所見判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、客観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、所見文として選択し、選択した前記所見文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見と判定し、
部位判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記所見判定手段で選択された前記所見文の対象物の所在を示す文言を抽出し、抽出した文言を所見対象部位と判定し、
結果出力手段が、前記部位判定手段で判定した前記所見対象部位に対する前記所見判定手段で判定した所見が示された結果を出力する、
処理を実行させることを特徴とする読影レポート解析プログラム。
【請求項2】
コンピュータに、
診断判定手段が、前記構文解析手段による解析結果に基づき、前記読影レポートから、主観的事実を示す所定の文言が述語に含まれた文を、診断文として選択し、選択した前記診断文において、述語の対象物を示す文言を抽出し、抽出した文言を診断と判定する、
処理をさらに実行させることを特徴とする請求項1記載の読影レポート解析プログラム。
【請求項3】
コンピュータに、
総合集計手段が、前記所見判定手段による解析結果と前記部位判定手段による解析結果とから、前記読影レポートに含まれる所見の総数及び前記所見対象部位ごとの所見の総数を算出する、
処理をさらに実行させることを特徴とする請求項1記載の読影レポート解析プログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
読影レポート評価手段が、前記総合集計手段により算出された集計値から、前記読影レポートの品質評価を数値化した評価値を算出する、
処理をさらに実行させることを特徴とする請求項3記載の読影レポート解析プログラム。
【請求項5】
前記総合集計手段は、前記所見判定手段で抽出された前記所見文それぞれに対して、前記所見文内の客観的事実を示す文言の重要度に応じた点数を決定し、前記所見判定手段で抽出された前記所見文それぞれの点数を合計することを特徴とする請求項3記載の読影レポート解析プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−59063(P2006−59063A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239329(P2004−239329)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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