説明

課金処理装置

【課題】 複数のコンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定することにより、適正な課金処理を可能とした技術を提供する。
【解決手段】 コンピュータが、利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信し、前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部から前記コンテンツと対応するグループ情報を索出し、複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽や映像といったコンテンツの利用に応じて課金する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して音楽や映像、コンピュータプログラム等のコンテンツ(マルチメディアデータ)をユーザに提供する手法としては、利用者が端末上で視聴の操作をした際、ストリーミングによってリアルタイムにデータを提供したり、利用者の端末上で再生可能な形式のマルチメディアデータをダウンロードさせたり、といった手法がある。
このようなコンテンツの提供は、不特定多数の利用者に対して行うことや、特定の利用者に対してアカウントを発行しこのアカウントを持っている利用者に対してのみ行うことも可能である。
また、このようにコンテンツをデータで提供する場合には、該データの配信時に課金を行うのが一般的であった。
【0003】
また、本願発明に関連する先行技術として、例えば、下記の特許文献1−9に開示される技術がある。
【特許文献1】特開2004−252848号公報
【特許文献2】特開2001−144744号公報
【特許文献3】特開2002−41993号公報
【特許文献4】特開2002−352146号公報
【特許文献5】特開2002−353957号公報
【特許文献6】特開平11−340966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、コンテンツの配信時に課金を行う場合、提供側に無断で複製されたコンテンツについては課金することができず、ファイル共有などにより複製物が出回ってしまうと、適切な課金処理を行うことが出来ないという問題点があった。
【0005】
そこで、送信するコンテンツを暗号化して提供し、このコンテンツの再生毎に利用者端末がサーバから復号化キーを取得し、復号化して再生することとし、該復号化キーの取得時に該サーバで課金を行うことが考えられる。これによりコンテンツが複製されたとしても再生時には必ずサーバにアクセスするので、確実に課金を行うことができる。
【0006】
しかし、従来CDやDVDで販売している音楽等のコンテンツは、シングルでの販売に対して、アルバムやオムニバスといった所定の曲を複数セットにして販売する場合では、曲数の割に低価格で販売するのが一般的である。一方、上記再生毎に課金を行う構成であると、複数の曲を再生した場合、各曲の課金額を単に積算した額となり、一般的な販売額と異なり割安にはならず、適切な課金とはいえなかった。
【0007】
また、シングルで提供されていた曲が、後にアルバムに含まれた場合に、このアルバム
を再生すると、同じ曲に重複して課金されることになる。
そこで、本発明では、複数のコンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定することにより、適正な課金処理を可能とした技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用した。
即ち、本発明の課金処理装置は、利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信する要求受信部と、前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部と、複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定する課金額決定部とを備えた。
【0009】
前記課金処理装置は、暗号化されている前記コンテンツの利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信するキー送信部を備え、前記復号化キーを送信した場合に前記課金額決定部が前記課金額を決定しても良い。
【0010】
前記課金額決定手段は、同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように課金額を決定しても良い。
【0011】
また、本発明の課金処理方法は、コンピュータが、利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信し、前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部から前記コンテンツと対応するグループ情報を索出し、複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定する。
【0012】
前記課金処理方法は、暗号化されている前記コンテンツの利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信し、該復号化キーを送信した場合に前記課金額を決定しても良い。
【0013】
また、前記課金処理方法は、同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように、前記課金額を決定しても良い。
【0014】
また、本発明のコンテンツ配信システムは、ネットワークを介して接続する利用者端末とサーバとを有し、
前記サーバが、
利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信する要求受信部と、
前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部と、
複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定する課金額決定部とを備え、
前記利用者端末が、
再生するコンテンツの利用要求を前記サーバに送信する利用要求部と、
前記コンテンツを再生する再生部を備えた。
【0015】
また、本発明は、上記課金処理方法をコンピュータに実行させる課金処理プログラムであっても良い。更に、本発明は、この課金処理プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録したものであっても良い。コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0016】
ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから
読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体の内コンピュータから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0017】
また、コンピュータに固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のコンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定することにより、適正な課金処理を可能とした技術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〈全体構成〉
図1は、本発明のコンテンツ配信システムの概略図である。本実施形態のコンテンツ配信システムは、インターネット等のネットワークを介して接続するコンテンツサーバ1と利用者端末2とからなっている。
利用者端末2には、インターネット等のネットワークを介して、或はCD−ROMやDVD−ROM等の媒体で音楽や映像、コンピュータプログラム等のデータ(コンテンツ)を暗号化して提供しておく。該利用者端末2から該コンテンツの利用要求をサーバ1に送信すると、サーバ1が該コンテンツの復号化キーを利用者端末に送信し、このときのログに基づいて課金処理を行う。
【0020】
〈各構成要素の説明〉
図2は、該コンテンツサーバ1の概略構成図である。図2に示すように、コンテンツサーバ1は、演算処理部12や、記憶部(ハードディスク)13、入出力部14、通信制御部15等を備えた汎用のコンピュータである。
【0021】
該入出力ポート14には、キーボードやマウス、CD−ROMドライブ等の入力デバイス、そして表示装置やプリンター等の出力デバイスが適宜接続される。
通信制御部15は、ネットワークを介した他のコンピュータとの通信を制御するものである。
【0022】
記憶部13には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト(課金処理プログラム、アーカイバプログラム等)がインストールされている。また、記憶部13には、コンテンツ、該コンテンツの属性データベース、コンテンツに関する利用者端末との通信ログ、課金額を求めるための課金条件を記憶している。
【0023】
演算処理部12は、CPU(central processing unit)やメインメモリ等からなり、前記OSやアプリケーションソフトを記憶部13から適宜読み出して実行し、入出力ポート14や通信制御部15から入力された情報、及び記憶部13から読み出した情報を演算処理することにより、要求受信部や、課金額決定部、キー送信部としても機能している。
【0024】
この要求受信部としては、利用者端末からコンテンツの利用要求を受信する。
キー送信部としては、前記コンテンツの利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信する。
課金額決定部としては、前記復号化キーを送信したコンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報(アルバム情報)を用い、所定の課金条件に沿って決定する。例えば、同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように、前記課金額決定手段が課金額を決定する
図3は、該利用者端末2の概略構成図である。図3に示すように、利用者端末2は、演算処理部22や、記憶部(ハードディスク)23、入出力部24、通信制御部25等を備えた汎用のコンピュータである。
【0025】
該入出力ポート24には、キーボードやマウス、CD−ROMドライブ等の入力デバイス、そして表示装置やスピーカ等の出力デバイスが適宜接続される。
通信制御部25は、ネットワークを介した他のコンピュータとの通信を制御するものである。
【0026】
記憶部23には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト(コンテンツ再生用プログラム等)がインストールされている。また、記憶部23には、予め取得したコンテンツ等を記憶している。
【0027】
演算処理部22は、CPU(central processing unit)やメインメモリ等からなり、前記OSやアプリケーションソフトを記憶部23から適宜読み出して実行し、入出力ポート24や通信制御部25から入力された情報、及び記憶部23から読み出した情報を演算処理することにより、利用要求部と、復号部、再生部としても機能している。
【0028】
この利用要求部としては、利用者の操作によって再生するコンテンツが指定された場合に、該コンテンツの利用要求を前記サーバ1に送信する。
復号部としては、前記コンテンツの復号化キーをサーバ1から受信した場合に、該コンテンツを復号化する。
再生部としては、前記コンテンツを再生し、映像や音楽を適宜表示装置やスピーカ等の出力部に出力する。
【0029】
〈コンテンツの暗号化〉
本発明で用いられるコンテンツは、次のS1〜S4のステップにより暗号化される。
S1)元となるマルチメディアデータとして、音楽データ、動画データなど(暗号化処理が行なわれていないもの)をI/Oポート14からコンテンツサーバ1に入力する。
S2)サーバ1は、当該マルチメディアデータを分割する。例えば、分割条件として「閲覧時間にして30秒間ずつ」あるいは「データサイズにして100kbずつ」などの条件を予め定め、これに従って元データを分割する。このとき分割後の各ファイルが、分割元のコンテンツのどの部分にあたるのかを示すため、分割数、分割した順を示す番号(シリアル番号)、元のコンテンツの先頭から各分割ファイルの先頭までの間隔(オフセット)、各分割ファイルの長さ(即ちデータ長や、フレーム数、再生にかかる時間など)の情報を分割位置情報として図4に示すようにコンテンツ属性データベースに記録する。また、該分割位置情報に基づいて各分割ファイルのファイル名を生成する。本実施形態では、元データのファイル名が「original.mov」である場合、この拡張子以外のファイル名"original"に各ファイルのシリアル番号を付加し、「original_0001.mov」「original_0002.mov」のように分割した順、即ち再生する順番がわかるように命名しておく。
S3)サーバ1は、分割後の各データファイルに対して各々異なるキーによる暗号化を行い、各ファイルの復号化するためのキー(復号化キー)をコンテンツ属性データベースに記録する。
S4)サーバ1は、アーカイバプログラムを用いて暗号化された分割後のファイルをマージして一つのデータファイルにする。この際、上記S2の過程で行ったコンテンツがどのように分割されているかを示す分割位置情報を付加する。
上記のように本実施形態では、サーバ1が暗号化を行う例を示したが、これに限らず、各データファイルと対応つけて復号化キーをサーバ1に記憶できれば、コンテンツの分割や暗号化の処理を他の装置が行い、該装置から復号化キーを取得してサーバ1に登録する構成でも良い。
そして、上記処理によって暗号化したデータファイル、即ちコンテンツを、ネットワークを介して利用者に提供する。又はこのコンテンツをCR−ROM等のメディアに記録して利用者に提供する。このコンテンツは、上記複数の復号化キーをサーバ1から取得して復号化しなければ再生できないため、このデータ自体が複製されても不正に利用されることが無く、予め不特定多数の利用者に配布しておくことができる。
【0030】
この利用者端末2は、再生開始要求として図5(A)に示すように下記の情報A〜Dを特定のアドレス、本例ではサーバ1に対して送信する。
A)再生対象となるコンテンツを識別する識別子(以下、コンテンツIDと称す)
B)再生対象となるコンテンツのどの部分から再生を開始するかを示す再生開始ポイント(「2分13秒21フレーム目から」など)
C)再生開始を要求した日時(再生開始日時)
D)利用者を識別するための識別子(以下、利用者IDと称す)
また、利用者端末2は、再生終了要求として図5(B)に示すように下記の情報E〜Hを特定のネットワークアドレスに対して送信する。
E)再生を終了させるコンテンツを識別するためのコンテンツID
F)コンテンツのどの部分で再生を終了したかを示す再生終了ポイント(「2分13秒21フレーム目」など)
G)再生を終了した日時(再生終了日時)
H)再生終了を要求した利用者の利用者ID
【0031】
〈コンテンツの再生〉
コンテンツの再生を行う際、利用者端末2は、例えば以下のステップS21〜S28を行う。
S21)利用者の操作によってプレイヤソフト(コンテンツ再生用プログラム)が起動されると、端末2は、表示装置にコンテンツのリストを表示し、再生すべきコンテンツの選択を利用者に促す。このとき、”最初から”、”2分13秒21フレームから”、”前回の続きから”のように再生開始ポイントを利用者が入力できるようにしても良い。
S22)該利用者の操作によって、コンテンツが選択され、再生が指示されると、サーバ1のアドレスを記憶部13から読み出し、ネットワークを介して該サーバ1と接続する。
S23)該接続したサーバ1に対して利用者IDを送信する。なお、利用者は予めサーバ1に対して登録処理を行い、固有のIDを付与されているものとする。
S24)前記再生すべく選択されたコンテンツから、前記コンテンツID、前記分割ファイル及び分割位置情報を抽出する。
S25)前記分割位置情報に基づき再生開始ポイントを求め、該再生開始ポイントと前記コンテンツIDとを再生開始要求としてサーバ1に送信する。ここで、前記再生開始ポイントは、前記分割位置情報で示される分割ファイルのうち、未再生のファイルの先頭となるように求められる。従って初めて再生するコンテンツでは、先ず1番目の分割ファイルの先頭を再生開始ポイントとし、次に2番目の分割ファイルの先頭を再生開始位置として順次再生開始要求を行う。
S26)前記再生開始要求に応じた復号化キーをサーバ1から受信した場合、復号化部が、該復号化キーを用いて前記分割ファイルを復号化し、これを再生部が再生する。
S27)そして、前記分割ファイルの再生を開始してから再生が終了する前に(例えば一つの復号化キーを取得するのに必要な時間に所定の余裕を加えた時間だけ、終了する時間よりも前のタイミング)、前記S25に戻り次の分割ファイルの再生開始要求を行い、復号化することで、前記分割ファイルを途切らせずに再生する。これにより利用者に対してデータが分割されていることを意識させずにコンテンツの再生を行う。
S28)利用者端末2は、復号化部による復号化が失敗した場合には再生を中断する。
S29)また、再生途中で異なるコンテンツの再生開始が指示された場合には、一旦そ
れまでのコンテンツに関して再生終了要求を行い、その後、新しいコンテンツに関する再生開始要求を行う。
このように本実施形態のプレイヤは、復号化キーを取得しながらコンテンツを再生しているので、再生途中でネットワーク接続が断たれた場合には、既に取得した復号化キーで復号化したデータの再生までは行うが、それ以降は復号化キーを取得できないため再生を中断する。この場合、改めてサーバ1と接続し、再生対象となるコンテンツが指定されなければ再生処理を行わない。また、上記のように暗号化されたコンテンツは、サーバ1にアクセスして復号化キーを取得しない一般的なプレイヤでは再生できない。
従って、前記コンテンツが利用者間で複製されて広まったとしても、再生時に必ずプレイヤがサーバ1にアクセスすることになり、このアクセス時に課金処理を行うことで適正に課金することができる。
また、コンテンツの復号化に必要なキーのサイズは、当該コンテンツの復号後に得られる楽曲データのサイズよりも当然に小さくでき、再生時にネットワーク上を流れる情報量が少なくてすむため、帯域を有効に使うことができる。
【0032】
<サーバ1による復号化キーの提供処理>
一方、利用者端末2から再生開始要求があった場合、サーバ1は、以下のS31〜S33の処理を行う。
S31)前記利用者端末2から再生開始要求として前記情報A〜Dを受信した場合、要求受信部は、このうちの利用者IDに基づいて利用者を特定し、図6のように当該利用者に対応したログファイルに情報A〜Cを記録する。
S32)キー送信部は、前記情報A,B、即ちコンテンツIDと再生開始ポイントの組に対応する復号化キーを記憶部13のコンテンツ属性データベースから読み出して当該利用者端末2に対して送信する。このとき、再生開始ポイントとして、”2分13秒21フレーム”のように具体的な値を受信した場合には、分割位置情報を参照し、当該開始ポイントを含む分割ファイルの復号化キーを読み出す。また、再生開始ポイントとして、”前回の続きから”という指示を受信した場合には、前回の終了時に記録した再生終了ポイントを含む分割ファイルの復号化キーを読み出す。
S33)更に、前記コンテンツの次の部分(分割ファイル)についての再生開始要求を受信した場合、即ちコンテンツIDが同じで再生開始ポイントが異なる情報を受信した場合、前記S31〜S32を繰返し、対応する分割ファイルの復号化キーを順次利用者端末2に対して送信する。
S34)そして、利用者端末2から再生終了要求として前記情報E〜Hを受信した場合、終了処理として、このうちの利用者IDに基づいて利用者を特定し、図6に示すように当該利用者に対応したログファイルに情報E〜Gを記録する。
なお、前記コンテンツの再生中に異なるコンテンツの再生開始要求を受信した場合、即ち再生終了要求を受信する前に、同じ利用者IDで異なるコンテンツIDの再生要求を受信した場合に、それまでのコンテンツに関して前記終了処理を行ってから新しいコンテンツに関して前記復号化キーの提供処理を行う。また、所定時間、次の部分の再生開始要求がなかった場合には、ネットワーク接続あるいはアプリケーションに問題が生じたとみなして前記終了処理を行う。この再生途中の場合及び次の部分の再生開始要求が無かった場合の終了処理では、最後に送信した復号化キーで復号化できる分割ファイルの最後部を再生終了ポイントとする。
【0033】
<サーバ1による課金処理>
サーバ1は、月末や月初め、再生開始要求受信時、再生終了処理時等、課金を行う所定のタイミングで、図7に示すように下記の課金処理を行う。
S41)サーバ1は、前記所定のタイミングとなったか否かを検出する。
S42)前記所定タイミングとなった場合に、サーバ1の課金処理部は、記憶部13に記憶されたログ(図6)から再生したコンテンツの行を抽出する。例えば利用者ID、分割
数、データ番号及び再生終了日時に基づいて前回の課金タイミングから今回の課金タイミングまでに全ての分割ファイルについて終了処理が行われたコンテンツ(イベント)を抽出する。なお、本例では、一つのコンテンツあたり一行が抽出されるように、複数の分割ファイルのうち最終の分割ファイルの行のみを抽出する。
S43)課金額決定部は、該抽出したログに基づき該イベント毎の課金額を後述のように求めて利用者毎に集計する。
S44)サーバ1は、前記集計した課金額に基づき各利用者に対して課金請求処理を行う。
【0034】
<コンテンツ毎の課金額を求める処理>
前記課金額を求める処理S43について、図8を用いて説明する。図8では、同一のアルバムに収録されている曲を再生した場合に、割り引いて課金額を求める例を示している。
先ず、課金額決定部は、S42で抽出したログの各イベントについて、データ識別子と対応するアルバム識別子及び課金額を属性DBから読み出すと共に、課金率のカラムを追加し、初期値として例えば1を割り当てて、図9のように課金決定用ログを生成する(ステップ51、S51とも記す)。また、初期設定として、前記ログの各イベントをアルバム識別子によって昇順或は降順にソートし、処理対象となるイベントの位置を示すポインタ1及びポインタ2を最前の行に位置させる。また、変数P1,P2の値を0とする(S52)。
【0035】
次に、課金額決定部は、ポインタ1が位置する行のアルバム識別子を変数P1に代入し(S53)、ポインタ2を次の行に移動させる(S54)。ここでポインタ2がログの最終行を超えているか否かを判定し(S55)、最終行を超えていなければ、ポインタ2が位置する行のアルバム識別子を変数P2に代入する(S56)。
そして課金額決定部は、前記変数P1と変数P2とが同じか否かを判定し(S57)、同じであればS54に戻る。また、該変数P1と変数P2とが異なっていれば、ポインタ2を一つ前の行に戻し(S58)、ポインタ2からポインタ1まで、該ポインタが位置する行も含めて何行あるか、即ち同一アルバムに指定されているコンテンツの数をカウントする(S59)。
【0036】
課金額決定部は、この行数が割引対象となる基準値に達しているか否かを判定し(S60)、基準値(今回の例の場合では10)以上の場合にはその数に対応する割引率(今回の例の場合では0.8)をポインタ2からポインタ1までの各イベントの課金率に乗ずる(S61)。このステップ61の後、或は、ステップ60で前記行数が基準値未満と判定された後、ポインタ1とポインタ2を、該ポインタ2の次の行に移動し、ステップ53に戻って同様の処理を繰り返す(S62)。
【0037】
そして前記ステップ55で、ポインタ2がログの最終行を超えたと判定した場合、課金額決定部は、各行の課金額に前記課金率を乗じた後、全行の課金額を集計する(S63)。
なお、基準値と割引率は、上記の値に限らず任意の値に設定できる。また、該基準値と割引率は、複数設定しても良い。例えば、同一アルバムに指定されているコンテンツの数(行数)が、基準値10以上であれば割引率を0.5とし、基準値10未満で基準値7以上であれば割引率を0.7とし、基準値7未満で基準値5以上であれば割引率を0.9としても良い。
【0038】
また、アルバムに指定されているコンテンツの数に対する割合を基準値としても良い。例えばアルバムを構成するコンテンツの数に対する前記行数が、基準値1/2以上であれば割引率を0.5とし、基準値1/2未満で基準値1/3以上であれば割引率を0.7と
する。
【0039】
また、同一アルバムのコンテンツ数をカウントするための期間と、課金額を集計する期間を異ならせても良い。例えば、S42で前回の課金タイミングに関わらず過去1年分のログを抽出し、S58で前回の課金タイミングから今回の課金タイミングまでの1月分の課金額を集計することとしても良い。
【0040】
更に、他の割引条件と組み合わせて課金額を決定しても良い。図10では、前記処理に加え、同一のコンテンツを再生した場合に、割り引いて課金額を求める例を示している。
先ず、課金額決定部は、S42で抽出したログの各イベントについて、データ識別子と対応するアルバム識別子、課金額及び再生開始要求の時間(タイムスタンプ)を属性DBから読み出すと共に、課金率のカラムを追加し、初期値として例えば1を割り当てて課金決定用ログを生成する。即ち、図9に示す前記課金決定用ログにタイムスタンプを加えたものを作成する(S71)。
【0041】
また、該課金額決定部は、初期設定として、変数P1,P2,C1,C2,T1,T2の値を0とし、前記ログの各イベントをアルバム識別子によって昇順或は降順にソートし、更に同一のアルバム識別子を持つ各イベントをコンテンツ識別子によって昇順或は降順にソートする。
【0042】
そして、該ログの最前の行に、処理対象となるイベントの位置を示すポインタ1及びポインタ2を位置させ(S72)、ポインタ1が示す行のアルバム識別子を変数P1に、コンテンツIDをC1に、タイムスタンプをT1にそれぞれ代入する(S73)。
【0043】
ポインタ2を次の行に位置させ(S74)、このポインタ2がログの最終行を超えたか否かを判定する(S75)。該ポインタ2が最終行を超えていなければ、このポインタ2が位置した行のアルバム識別子を変数P2に、コンテンツIDをC2に、タイムスタンプをT2にそれぞれ代入する(S76)。前記変数C1と変数C2とが同じでT1とT2の間隔が所定時間以内(例えば72時間)であれば(S77)、ポインタ2の位置する行を削除し、S74に戻る(S78)。前記S76で、変数C1と変数C2とが異なる又はT1とT2とが異なる場合には、変数P1と変数P2とを比較し(S79)、同じならばポインタ2が示す行のコンテンツIDをC1に、タイムスタンプをT1にそれぞれ代入してS74に戻る(S80)。また、前記変数P1と変数P2とが異なっているならば、ポインタ2を一つ前の行に戻す(S81)。
【0044】
該課金額決定部は、ポインタ2からポインタ1まで(ポインタ行を含めて)何行あるか、即ち同一アルバムに指定されているコンテンツの数をカウントする(S82)。この行数が割引対象となる基準値に達しているか否かを判定し(S83)、基準値(今回の例の場合では10)以上の場合にはその数に対応する割引率(今回の例の場合では0.8)をポインタ2からポインタ1までの各イベントの課金率に乗ずる(S84)。このステップ84の後、或は、ステップ83で前記行数が基準値未満と判定された後、ポインタ1とポインタ2を、該ポインタ2の次の行に移動し、ステップ73に戻って同様の処理を繰り返す(S85)。
そして前記ステップ75で、ポインタ2がログの最終行を超えたと判定した場合、課金額決定部は、各行の課金額に前記課金率を乗じた後、全行の課金額を集計する(S86)。
【0045】
なお、前記タイムスタンプは、再生開始要求の日時に限らず再生終了要求の日時であっても良い。
また、前記S78では、コンテンツIDが同一の行を削除することで同一のコンテンツ
を複数回再生しても、一回分の課金額となるようにしているが、再生回数に応じた低い課金額となるようにしても良い。例えば、前記S65で重複行を削除する際にポインタ2より一つ前の行の課金率に0.1を足す或は課金額に1.1を乗ずる。これにより同一コンテンツを複数回再生した場合、二回目以降は課金額を10%にすることができる。
【0046】
これにより、サーバ1は、アルバムに指定されているコンテンツの再生を要求された際、既に再生済みのコンテンツ、即ち利用者が視聴したことのあるコンテンツが含まれていた場合には、課金をしないか、低価格とすることができ、適切な課金を行なうことができる。
従って、既に聞いた曲がアルバムに収録されているような場合でもアルバム単位での再生を促すことができる。
【0047】
更に、上記課金額を求める処理において、この他の割引条件を加えても良い。
例えば、再生開始要求から再生終了要求までの時間が、音楽であれば10秒、映画であれば5分以内の場合、課金率に0や0.2を乗ずる。
【0048】
また、割引対象となるコンテンツを一つもしくはそれ以上ランダムに決めて(このコンテンツが何であるかは、利用者に予め伝えても良いし、伝えなくても良い)、そのいずれかのコンテンツについては課金率に0.5を乗ずる。
また、所定期間に各コンテンツの再生開始要求の数をカウントし、要求の多かったコンテンツの順位を決定し、その順位に応じて当該コンテンツの課金額に所定の割引率を乗ずる。
【0049】
なお、上記コンテンツは、音楽に限らず、動画やコンピュータプログラムなど、利用者端末で利用可能な電子データであれば良い。即ち、上記音楽の再生に代えて、コンピュータプログラムの実行、電子データの利用を行っても良い。
以上のように、本実施形態によれば、コンテンツの課金額を該コンテンツのアルバム情報に基づいて決定することにより、適正な課金処理を可能とした技術を提供できる。
【0050】
〈その他〉
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、以下に付記した構成であっても上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、これらの構成要素は可能な限り組み合わせることができる。
【0051】
(付記1)
利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信する要求受信部と、
前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部と、
複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定する課金額決定部と、
を備えた課金処理装置。
【0052】
(付記2)
暗号化されている前記コンテンツの利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信するキー送信部を備え、
前記復号化キーを送信した場合に前記課金額決定部が前記課金額を決定する付記1に記載の課金処理装置。
【0053】
(付記3)
同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数
以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように、前記課金額決定手段が課金額を決定する付記1又は2の課金処理装置。
【0054】
(付記4)
利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信するステップと、
前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部から前記コンテンツと対応するグループ情報を索出するステップと、
複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定するステップと、
をコンピュータが行う課金処理方法。
【0055】
(付記5)
暗号化されている前記コンテンツの利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信するステップを更に行い、
前記復号化キーを送信した場合に前記課金額決定部が前記課金額を決定する付記4に記載の課金処理方法。
【0056】
(付記6)
同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように、前記課金額を決定する付記4又は5の課金処理方法。
【0057】
(付記7)
利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信するステップと、
前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部から前記コンテンツと対応するグループ情報を索出するステップと、
複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定するステップと、
をコンピュータに実行させる課金処理プログラム。
【0058】
(付記8)
暗号化されている前記コンテンツの利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信するステップを更に行い、
前記復号化キーを送信した場合に前記課金額決定部が前記課金額を決定する付記7に記載の課金処理プログラム。
【0059】
(付記9)
同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように、前記課金額を決定する付記7又は8の課金処理プログラム。
【0060】
(付記10)
ネットワークを介して接続する利用者端末とサーバとを有するコンテンツ配信システムにおいて、
前記サーバが、
利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信する要求受信部と、
前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部と、
複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定する課金額決定部とを備え、
前記利用者端末が、
再生するコンテンツの利用要求を前記サーバに送信する利用要求部と、
前記コンテンツを再生する再生部を備えるコンテンツ配信システム。
【0061】
(付記11)
前記サーバが、暗号化されている前記コンテンツの利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信するキー送信部を備え、
前記復号化キーを送信した場合に前記課金額決定部が前記課金額を決定する付記10に記載のコンテンツ配信システム。
【0062】
(付記12)
前記利用者端末が、前記復号化キーを受信した場合に前記コンテンツを復号化する復号号部を備えた付記11に記載のコンテンツ配信システム。
【0063】
(付記13)
前記コンテンツが、連続した複数のファイルに分割され、該ファイルがそれぞれに暗号化されており、
前記利用者端末の再生部が前記コンテンツを構成するファイルの再生を開始してから終了するまでの間に、前記利用要求部が次のファイルの利用要求を行い、且つ該利用要求に応じた復号化キーを受信して前記復号化部が次のファイルの復号化を行う付記12に記載のコンテンツ配信システム。
【0064】
(付記14)
同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように、前記課金額決定手段が課金額を決定する付記10から13の何れかに記載のコンテンツ配信システム。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のコンテンツ配信システムの概略図
【図2】本発明のコンテンツサーバの説明図
【図3】利用者端末の説明図
【図4】コンテンツ属性データベースの例を示す図
【図5】再生開始要求及び再生終了要求の例を示す図
【図6】コンテンツ再生時の通信ログ
【図7】課金処理方法の説明図
【図8】課金額決定処理の説明図
【図9】課金額決定用ログの例を示す図
【図10】課金額決定処理の説明図
【符号の説明】
【0066】
1 コンテンツサーバ(課金処理装置)
2 利用者端末
12 演算処理部
13 記憶部(ハードディスク)
14 入出力部
15 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信する要求受信部と、
前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部と、
複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定する課金額決定部と、
を備えた課金処理装置。
【請求項2】
暗号化されている前記コンテンツについての利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信するキー送信部を備え、
前記復号化キーを送信した場合に前記課金額決定部が前記課金額を決定する請求項1に記載の課金処理装置。
【請求項3】
同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように、前記課金額決定手段が課金額を決定する請求項1又は2の課金処理装置。
【請求項4】
利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信するステップと、
前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部から前記コンテンツと対応するグループ情報を索出するステップと、
複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定するステップと、
をコンピュータが行う課金処理方法。
【請求項5】
暗号化されている前記コンテンツについての利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信するステップを更に行い、
前記復号化キーを送信した場合に前記課金額を決定する請求項4に記載の課金処理方法。
【請求項6】
同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように、前記課金額を決定する請求項4又は5の課金処理方法。
【請求項7】
利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信するステップと、
前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部から前記コンテンツと対応するグループ情報を索出するステップと、
複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定するステップと、
をコンピュータに実行させる課金処理プログラム。
【請求項8】
暗号化されている前記コンテンツについての利用要求を受信した場合に、当該コンテンツの復号化キーを前記利用者の端末に送信するステップを更に行い、
前記復号化キーを送信した場合に前記課金額を決定する請求項7に記載の課金処理プログラム。
【請求項9】
同一のグループに属する前記コンテンツの利用要求の数が所定数を超えた場合、所定数以下の場合と比べて、前記課金額が低額となるように、前記課金額を決定する請求項7又は8の課金処理プログラム。
【請求項10】
ネットワークを介して接続する利用者端末とサーバとを有するコンテンツ配信システム
において、
前記サーバが、
利用者の端末からコンテンツの利用要求を受信する要求受信部と、
前記コンテンツのグループを示すグループ情報を記憶した記憶部と、
複数の前記コンテンツの課金額を該コンテンツのグループ情報に基づいて決定する課金額決定部とを備え、
前記利用者端末が、
再生するコンテンツの利用要求を前記サーバに送信する利用要求部と、
前記コンテンツを再生する再生部を備えるコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−11423(P2007−11423A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187602(P2005−187602)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】