説明

調査兼固化材注入装置、調査兼固化材注入装置が設置されている構造物、及び地盤調査方法

【課題】構造物の設置された地盤の調査兼固化材注入装置での調査を容易にする。
【解決手段】調査兼固化材注入装置1は、構造物2で仕切られた地盤3と空間4とを連通させる筒状体10と、筒状体10内に設置されて筒状体10を塞ぐ止水装置11と、地盤3の沈下を測定する沈下測定体15の軸部15aを挿入されて筒状体10内に設置され、地盤3側の開口端から沈下測定体15を延出させる筒状のロッド27と、軸部15aの位置を測定するための測定体Pを空間4側からロッド27を通して軸部15aに当接させるために、ロッド27を開閉するバルブ装置28とを備える。ロッド27は、止水装置11に備えられて、止水装置11で塞がれた筒状体10の地盤3側と空間側とを連通させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に当接する地盤の状況を調査し、地盤と構造物の境界から形成された空洞等の弱点部分に固化材を注入するための地盤調査兼固化材注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樋門やトンネル等の地下構造物の他、多くの構造物は地盤に当接して築造されている。地盤には構造物との境界から空洞が形成される場合があり、この空洞は構造物又は地盤の沈下の要因となるので、空洞を発見すると共に空洞にグラウト等の固化材を注入して構造物等の沈下を未然に防ぐことが必要とされている。
【0003】
空洞を発見すると共に空洞に固化材を注入するための装置として、下記の特許文献1には、地中構造物の調査兼グラウト用開閉装置が開示されている。この装置は、地中構造物の底版に支持筒を貫通状態で埋込固定して構成されている。支持筒の下部では、縦筒の上端に固定された支持板と縦筒の下方に位置した閉止板とが締付用ボルトで連結されることで、縦筒と閉止板との間に介装されたシールリングが押し潰されて、外縁部を支持筒の内面に圧接させている。支持筒の上部に設けられた中間段板上には、弾性パッキングを介して閉鎖板及び締付部材が配置されており、支持筒内に突出した係止突起に締付部材が下側から係止することで、弾性パッキングが締付部材により閉鎖板を介して中間段板に圧接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−26613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置では、構造物の底版下の状況を調査するために、支持筒の係止突起と締付部材との圧接を解いて中間段板から閉鎖板及び締付部材を取り除いた後、締付用ボルトによる締結を解いて支持筒から支持板,縦筒,シールリング,及び閉止板を抜き取って、支持筒を通して構造物の設置された地盤の状況を視認できるようにする必要があった。
【0006】
本発明の目的は斯かる課題に鑑みてなされたもので、構造物の設置された地盤の調査兼固化材注入装置での調査を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の調査兼固化材注入装置は、地盤と空間とを連通させる筒状体と、前記筒状体内に設置されて前記筒状体を塞ぐ止水装置と、前記地盤の沈下を測定する沈下測定体の軸部を挿入されて前記筒状体内に設置され、前記地盤側の開口端から前記沈下測定体を延出させる筒状のロッドと、前記軸部の位置を測定するための測定体を前記空間側から前記ロッドを通して前記軸部に当接させるために、前記止水装置で塞がれた前記筒状体の前記地盤側と前記空間側とを連通させる連通路を開閉する開閉装置とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記ロッドが、前記止水装置に備えられて、前記止水装置で塞がれた前記筒状体の前記地盤側と前記空間側とを連通させており、前記開閉装置が、前記ロッドから構成される前記連通路を開閉させることを特徴とする。
また、本発明の構造物は、上記調査兼固化材注入装置が設置されていることを特徴とする。
また、本発明の地盤調査方法は、構造物が設置された地盤の状況を、前記地盤に設置された沈下測定体の沈下量に基づき調査する地盤調査方法であって、上記調査兼固化材注入装置を構造物に設置する設置工程と、前記設置工程で設置された前記調査兼固化材注入装置が備える前記連通路を前記開閉装置で開き、前記連通路から前記ロッドを通して前記測定体を前記沈下測定体の前記軸部に当接させ、前記連通路からの前記測定体の進入量に基づき前記沈下測定体の沈下を測定する沈下測定工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開閉装置で開いた連通路からロッドを通して沈下測定体の軸部に測定体を当接させて沈下測定体の軸部の位置を測定することで、構造物の設置された地盤の状況を沈下測定体を用いて容易に調査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の調査兼固化材注入装置を示す図であり、(a)は蓋体を取り外した状態での平面図,(b)は縦断面図である。
【図2】図1の調査兼固化材注入装置が構造物に設置された様子を示す斜視図である。
【図3】図1に示す調査兼固化材注入装置の上部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】図1のバルブ装置を示す図であり、(a)は縦断面図,(b)は平面図である。
【図5】コンクリートと地盤との間に弱点部分が形成された状態での調査兼固化材注入装置を示す縦断面図である。
【図6】調査兼固化材注入装置のロッドに測定棒を挿入した状態を示す縦断面図である。
【図7】図1の調査兼固化材注入装置から止水装置を撤去して弱点部分に固化材を注入する様子を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0011】
図1に示すように、調査兼固化材注入装置1は、構造物2の地盤3と空間4とを仕切る部分に設置されて、構造物2に当接する地盤3の状況の調査、及び、地盤3と構造物2との境界に形成された空洞等の弱点部分5に対する固化材42の注入(図7参照)を、空間4に面した構造物2の表面2b側から行うのに用いられる。
【0012】
調査兼固化材注入装置1が用いられる構造物2は、例えば、図2に示すように本体2Aと均しコンクリート2Bで構成された樋門であり、図に示す例では本体2Aの底版2Aa及び側壁2Abに複数個の調査兼固化材注入装置1が設置されている。本実施形態では、底版2Aaに設置された調査兼固化材注入装置1について説明する。
【0013】
図1に示すように、調査兼固化材注入装置1は、筒状体10の内部に止水装置11を装着して構成されている。
【0014】
筒状体10は、下部筒状体17の上端に上部筒状体16を溶着して構成されており、下部筒状体17の下端を地盤3に面した構造体2の背面2aに開口させると共に、上部筒状体16の上端を空間4に面した構造体2の表面2bに開口させて構造体2に設置される。
【0015】
下部筒状体17は、円筒状を呈した下部円筒部材18の下端に、円環状の平板体からなる自立助長部材19を固着して構成されている。下部円筒部材18は、土砂浸入防止部材12を下端部に収容しており、外周面には水膨張性部材13が外環されて装着されている。また、図3に拡大して示すように、下部円筒部材18の上端部には、外径の縮経された縮経部18aが設けられている。
【0016】
土砂浸入防止部材12は、下部筒状体17に浸入する地下水から土砂等の不要物を除去するためのものであり、下部筒状体17の下端開口部を塞いでいる。また、水膨張性部材13は、構造物2と筒状体10との間に形成された空隙から構造物2の表面2b側への漏水を防止するためのものであり、水に反応すると膨張して構造物2と筒状体10との間の空隙を遮断する。
【0017】
図1に示すように、自立助長部材19は、下部円筒部材18の内径よりも小さな内径を有した通水口19aを中央部に備えおり、この通水口19aを通して下部円筒部材18の内部が地盤3と連通している。土砂浸入防止部材12は、通水口19aの内縁部に位置した自立助長部材19の上面に支持されて、下部円筒部材18内に配置されている。
【0018】
上部筒状体16は、円筒状を呈した第1上部円筒部材20の上端面に円環状の平板体からなる支持部材21を固着し、支持部材21の上面に円筒状の第2上部円筒部材22を固着して構成されている。
【0019】
図3に示すように、第1上部円筒部材20は、雌ネジ溝20aを上端側の内面に備えている。雌ネジ溝20aを備えていない第1上部円筒部材20の下端側には、下部円筒部材18の縮経部18aが嵌入されて溶着されている。支持部材21は、第1上部円筒部材20よりも大きな外径を有しており、第1上部円筒部材20よりやや大きな内径の挿入孔21aを中央部に備えている。第1上部円筒部材20と第2上部円筒部材22とは、支持部材21の挿入孔21aを通して連通している。
【0020】
第2上部円筒部材22は、第1上部円筒部材20よりも大きな径の円筒体から構成されており、下端部に備えた一対の挿通孔22aに抜け出し防止部材23が挿通されて固着されている。図1に示すように、第2上部円筒部材22の上端開口部は、蓋体14で塞がれている。蓋体14は、円板状の天板の周縁から円筒状の側板を下方に延出させた概略形状を有しており、側板の外周面に備えた複数の突出部を第2上部円筒部材22の内周面に噛み合わせて、第2上部筒状体22内に嵌入される。
【0021】
図3に示すように、止水装置11は、有底円筒状を呈した円管部材24の上端に円板状の係止部材29を固着すると共に、円管部材24の下方にシール部材25及び拘束リング25aを挟んで円板状の閉止部材26を配置し、係止部材29と閉止部材26とを締付部材30で締結してこれらを一体化して構成されており、閉止部材26の下面からはロッド27を下方に延出させている。
【0022】
円管部材24は、円筒状を呈した円筒体24aの下端に円筒体24aの径よりも大きな外径を有した円板状の押え板24bを固着して構成されている。押え板24bは、ロッド27の挿通されるロッド挿通孔24dを中央部に、締付部材30の挿通される3つの締付部材孔24cをロッド挿通孔24dを中心とする環状に等間隔でそれぞれ備えている。
【0023】
閉止部材26は、押え板24bと同一径の外径を有しており、ロッド27を閉止部材26に接続するための接続孔26bを中央部に備えている。また、閉止部材26は、締付部材30を挿通するための3つの締付部材孔26cを、接続孔26bを中心とする環状に等間隔で備えている。シール部材25は、リング状を呈した弾性体であり、閉止部材26の外縁部に位置する閉止部材26の上面に載置されている。シール部材25の内側に位置する閉止部材26の上面には、シール部材25の内側への拡幅を規制する円筒状の拘束リング25aが載置されている。
【0024】
係止部材29は、支持部材21が備える挿入孔21aの内径よりも大きな外径を有しており、バルブ装置28の本体282が挿通される雌型部材孔29bを中央部に備えている。また、係止部材29は、締付部材30を挿通するための3つの締付部材孔29cを、雌型部材孔29bを中心とする環状に等間隔で備えている。また、図1(a)に示すように、係止部材29の外周縁部には、一対の切欠部29aが設けられている。係止部材29は、切欠部29aに抜け出し防止部材23を挿通させた後、係止部材29が抜け出し防止部材23と対向して位置するまで周方向に回転させて支持部材21上に載置される。
【0025】
図3に示すように、締付部材30は、閉止部材26の締付部材孔26c,円管部材24の締付部材孔24c,係止部材29の締付部材孔29cに挿通されたボルト30aと、ボルト30aに螺着されたナット30bとから構成されている。締付部材30は、ボルト30aとナット30bとで閉止部材26,円管部材24,及び係止部材29を上下方向に挟み込み、円管部材24が備える押え板24bの下面が拘束リング25aの上端に当接するまでシール部材25を押し潰し、円管部材24,シール部材25,拘束リング25a,閉止部材26,及び係止部材29を一体化している。
【0026】
閉止部材26と円管部材24とに押し潰されたシール部材25は、拘束リング25aにより内側への変形を規制されることで外側へ拡径するように変形し、下部円筒部材18の内壁に外周面を圧接させている。
【0027】
ロッド27は、閉止部材26の接続孔26b及び円管部材24のロッド挿通孔24bに挿通されて接続孔26bの周縁に固着されており、図1に示すように、係止部材29が備える締付部材孔29cの近傍まで上端側を、下部円筒部材18の下端部まで下端側をそれぞれ延出させている。図3に示すように、ロッド27の上端部には、バルブ装置28の本体282を螺着するための雄ねじ溝27aが設けられている。
【0028】
沈下測定体15は、構造物2と地盤3の境界から地盤3に形成された空洞を検知するためのものであり、図1に示すように、断面コ字状を呈した板状の頭部15bの上面から、棒状の軸部15aを上方に延出させて構成されている。沈下測定体15は、自立助長部材19の通水口19aを通してロッド27に下側から軸部15aを挿入されて、頭部15bを地盤3内に設置される。
【0029】
図4に示すように、バルブ装置28は、角筒状の概略形状を有して上下方向に延びた本体282に開閉体281を収容して構成されている。本体282は、上下の両端部に雌ネジ部28bを備え、上下方向の中央部には一対の隔壁284を上下に並べて備えている。下端部の雌ネジ部28bには、シール部材27bを介してロッド27の雄ねじ溝27aが螺着される。開閉体281は、球状を呈しており、その中心を通って貫通する連通孔281aを備えている。開閉体281は、両隔壁284に備えられた支持部材285で上方及び下方から挟み込まれて隔壁284間に配置され、支持部材285で回転自在に支持されている。開閉体281の外周面からは、連通孔281aの軸心と直交する方向に向けて回転軸283が延出している。回転軸283は、本体282の周壁に回転自在に支持されており、本体282の周壁から外方に突出させた先端部には、ハンドル28aが固着されている。
【0030】
開閉体281は、ハンドル28aが操作されると回転軸283の周方向に回転軸283と一体となって回転し、開閉体281を挟んだ本体282の上側及び下側を連通孔281aで連通させる連通路を、全開と全閉との間でハンドル28aの操作位置に応じた量だけ開閉させる。
【0031】
次に、調査兼固化材注入装置1を用いて構造物2の背面2aに当接する地盤3を調査し、地盤3と構造物2の境界から形成された空洞等の弱点部分5に固化材を注入する方法について説明をする。
【0032】
最初に、地盤3の状況を調査する方法を説明する。図5に示すように構造体2に設置された調査兼固化材注入装置1から蓋体14を取り外した後に、図6に示すようにバルブ装置28のハンドル28aを操作して開閉体281を回転させ、本体282の上端側と下端側とを連通孔281aで連通させる連通路を開く。
【0033】
続いて、本体282の上端開口部から連通孔281aを通して測定棒Pをロッド27内に挿入し、沈下測定体15の軸部15aの上端面に測定棒Pの先端を当接させて、ロッド27内への測定棒Pの挿入量を測定する。調査兼固化材注入装置1の設置時等の以前に同様にして測定した測定棒Pの挿入量と今回測定した測定棒Pの挿入量とを比較することで、比較対象となる測定時からの沈下測定体15の沈下量を知り、弱点部分5となる空洞の有無及び規模を把握することが可能となる。
【0034】
ロッド27内への測定棒Pの挿入量を測定して本体282の上端開口部から測定棒Pを抜き出した後、バルブ装置28のハンドル28aをハンドル操作して開閉体281を回転させて、本体282の上端開口部と下端開口部とを連通孔281aで連通させて連通路を閉じる。
【0035】
測定棒Pを用いた測定で弱点部分5の存在を確認できない場合には、蓋体14を取り付けて地盤3の状況を調査する前の状態に戻す。一方、弱点部分5の存在が確認できた場合には、必要に応じてバルブ装置28が備える本体282の雌ネジ部28bにホース等の排水管を接続し、地下水を排出して圧抜きを行う。次に、締付部材30を弛緩させてシール部材25と下部円筒部材18との固着を減衰させて、抜け出し防止部材23と切欠部29aとが対向するまで止水装置11を周方向に回転させてから、止水装置11を上方に引き抜く。このようにして止水装置11を筒状体10から撤去し、続いて土砂浸入防止部材12を下部円筒部材18から撤去した後、筒状体10を通して弱点部分5に固化材が注入される。
【0036】
次に、弱点部分5に固化材を注入する方法を説明する。固化材を注入する際には、図7に示すように、止水装置11を撤去した上部筒状体16に固化材注入用器具33を設置する。固化材注入器具33は、円筒状の箱形を呈した第1箱体36を第1上部円筒部材20の雌ネジ溝20aに螺着されており、第1箱体36と連通した第2箱体37の接続部材35に固化材の輸送管41を接続される。固化材注入用器具33に輸送管41を接続して固化材42を圧入すると、固化材42が弱点部分5に圧入されて、固化材が弱点部分5に確実に充填される。
【0037】
本実施形態によれば、止水装置11で塞がれた筒状体10の地盤3側と空間4側とを連通させるロッド27をバルブ装置28で開き、測定棒Pを空間4側からロッド27を通して沈下測定体15の軸部に当接させて、沈下測定体15の軸部15aの位置を測定することができる。このため、構造物2の設置された地盤3の調査を、沈下測定体15を用いて容易に行うことができる。
【0038】
上記実施の形態では、上部筒状体16を下部筒状体17に溶着して両者が一体化されている場合について説明したが、上部筒状体16を下部筒状体17に螺着して筒状体10が構成されていてもよい。また、止水装置11の構成は、筒状体10内に設置されて筒状体10内を塞ぐことができるのであれば任意である。
【0039】
また、沈下測定体15の構成は、ロッド27に軸部15aを挿通されて地盤3に設置されるのであれば任意であり、例えば頭部15bの形状は任意である。また、上記実施形態では、ロッド27が閉止部材26に固着されて止水装置11と一体化されて、止水装置11により塞がれた筒状体10の地盤3側と空間4側とを連通させている場合について説明した。しかしながら、ロッド27と止水装置11とは一体化されている必要はなく、別体に構成されていてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、ロッド27の上端に螺着されたバルブ装置28が開閉装置を構成している場合について説明したが、開閉装置の構成は任意である。例えば、ロッド27が筒状体10内に固着されていて、止水装置11に別途設けられた連通路を開閉装置が開閉してもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、筒状体10が鋼製である場合について説明したが、筒状体10は樹脂製でもよい。また、下部円筒部材18に設置した付勢部材で、沈下測定体15を地盤3側に付勢してもよい。この構成によれば、沈下測定体15を自重だけでなく付勢部材による付勢力によっても地盤3側へ移動させて、弱点部分5を示すことが可能となり、調査兼固化材注入装置1を構造物2の側壁2Abに設置した場合にも、構造物2の設置された地盤3の弱点部分5を察知できる。
【0042】
また、上記実施形態では、構造物2が均しコンクリート2Bを備えている場合について説明したが、必ずしも均しコンクリート2Bを備えている必要はない。また、本発明の調査兼固化材注入装置は、樋門だけでなくトンネルや共同溝等の他の構造物に設置して用いることも出来る。
【0043】
また、上記実施形態では、調査兼固化材注入装置1が本体2Aの底版2Aa及び側壁2Abに複数個設置されている場合について説明したが、底版2Aa及び側壁2Abの何れか一方のみに設置されていてもよい。また、底版2Aa及び各側壁2Abへの調査兼固化材注入装置1の設置個数も任意である。
【符号の説明】
【0044】
P……測定棒(測定体)
1……調査兼固化材注入装置
2………構造物
2A……本体
2B……均しコンクリート
2a……背面
2b……表面
2Aa…底版
2Ab…側壁
3………地盤
4………空間
5………弱点部分
10……筒状体
11……止水装置
12……土砂浸入防止部材
13……水膨張性部材
14……蓋体
15……沈下測定体
15a……軸部
15b……頭部
16……上部筒状体
17……下部筒状体
18……下部円筒部材
18a…縮経部
19……自立助長部材
19a…通水口
20……第1上部円筒部材
20a…雌ネジ溝
21……止水装置支持部材
21a…挿入孔
22……第2上部円筒部材
22a…挿通孔
23……抜け出し防止部材
24……円管部材
25……シール部材
25a…拘束リング
26……閉止部材
26b…接続孔
26c…締付部材孔
27……ロッド(連通路)
28……バルブ装置(開閉装置)
28a……ハンドル
28b……雌ネジ部
281……開閉体
281a……連通孔
282……本体
283……回転軸
284……隔壁
285……支持部材
29……係止部材
29a…切欠部
29b…雌型部材孔
29c…締付部材孔
30……締付部材
30a…ボルト
30b…ナット
33……固化材注入用器具璋
35……接続部材
36……第1箱体
37……第2箱体
41……輸送管
42……固化材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤と空間とを連通させる筒状体と、
前記筒状体内に設置されて前記筒状体を塞ぐ止水装置と、
前記地盤の沈下を測定する沈下測定体の軸部を挿入されて前記筒状体内に設置され、前記地盤側の開口端から前記沈下測定体を延出させる筒状のロッドと、
前記軸部の位置を測定するための測定体を前記空間側から前記ロッドを通して前記軸部に当接させるために、前記止水装置で塞がれた前記筒状体の前記地盤側と前記空間側とを連通させる連通路を開閉する開閉装置とを備えることを特徴とする調査兼固化材注入装置。
【請求項2】
前記ロッドは、前記止水装置に備えられて、前記止水装置で塞がれた前記筒状体の前記地盤側と前記空間側とを連通させており、
前記開閉装置は、前記ロッドから構成される前記連通路を開閉させることを特徴とする請求項1に記載の調査兼固化材注入装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の調査兼固化材注入装置が設置されていることを特徴とする構造物。
【請求項4】
構造物が設置された地盤の状況を、前記地盤に設置された沈下測定体の沈下量に基づき調査する地盤調査方法であって、
請求項1又は2に記載の調査兼固化材注入装置を構造物に設置する設置工程と、
前記設置工程で設置された前記調査兼固化材注入装置が備える前記連通路を前記開閉装置で開き、前記連通路から前記ロッドを通して前記測定体を前記沈下測定体の前記軸部に当接させ、前記連通路からの前記測定体の進入量に基づき前記沈下測定体の沈下を測定する沈下測定工程とを有することを特徴とする地盤調査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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