説明

調湿装置

【課題】2つのバッチ動作を交互に切り換えて除湿動作を行う調湿装置における、室内へ供給される空気の温度の変動対策。
【解決手段】除湿装置(10)は、第1の吸着素子で空気中の水分を吸着させると共に第2の吸着素子を加熱再生させる第1動作と、第2の吸着素子で空気中の水分を吸着させると共に第1の吸着素子を加熱再生させる第2動作とを交互に行い、各吸着素子を通過した空気の一方を供給空気(SA)として室内側へ供給する共に、他方を排出空気(EA)として室外へ排出する除湿機構(10a)を備え、供給空気(SA)と排出空気(EA)とを熱交換して供給空気(SA)の温度を調節する熱交換機構(80)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置に関し、特に、室内へ供給される調湿空気の温度調節をする熱交換機構を備えたものに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内等を除湿する除湿装置が広く知られている。この除湿装置として、2つの吸着素子を備え、各吸着素子で交互に空気を除湿するものがある。
【0003】
特許文献1には、この種の除湿装置が開示されている。この除湿装置は、ケーシング内の空気通路に第1吸着素子と、第2吸着素子とが区画されて配置されている。吸着素子は、空気が流通可能な基材に水分を吸着する吸着剤が担持されて構成されている。また、ケーシング内には、各吸着素子の上流側に空気を加熱するための凝縮器(加熱手段)が設けられている。
【0004】
特許文献1に開示される除湿装置では、以下のような2つのバッチ動作が交互に行われる。まず、第1バッチ動作では、第1吸着素子で空気中の水分が吸着され、空気が除湿される。除湿された空気は、室内へ供給される。また、第1バッチ動作では、凝縮器で加熱された空気が第2吸着素子へ供給され、第2吸着素子が加熱される。その結果、第2吸着素子から空気中へ水分が放出され、第2吸着素子(吸着剤)の再生が行われる。第2吸着素子の再生に利用された空気は、室外へ排出される。一方、第2バッチ動作では、第2吸着素子で空気中の水分が吸着され、同時に第1吸着素子の再生が行われる。以上のように、この除湿装置では、第1バッチ動作と第2バッチ動作とを所定時間置きに交互に切り換える、いわゆるバッチ動作を行うことで、各吸着素子の吸着性能(即ち、除湿性能)を低下させることなく、室内を連続的に除湿できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−60954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、2つのバッチ動作を交互に行う除湿装置では、再生側の吸着素子から水分を放出させるために、加熱手段で加熱した空気で吸着素子を昇温させている。このため、上述した2つのバッチ動作の切り換え直後には、再生側から吸着側へ遷移した吸着素子が未だ比較的高温になっていることがある。これにより、バッチ動作の切り換え直後には、比較的高温の空気が室内へ供給されてしまう。その結果、室内へ供給される空気の温度を一定に保つことができず、室内の温度環境が損なわれてしまう。また、半導体工場のクリーンルームや食品工場等、比較的高い精度での温度制御(例えば±2℃)の要求が課せられる空間の除湿に、上記の除湿装置を適用することが考えられる。この場合に、上述のようにして供給空気の温度が大きく変動すると、所望とする温度制御を行うことができず、品質管理等に多大な支障をもたらしてしまう。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、2つのバッチ動作を交互に切り換えて除湿動作を行う調湿装置において、室内へ供給される空気の温度変動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、調湿機構(10a,110a)から室内へ供給される供給空気(SA)と室外へ排出される排出空気(EA)との間で熱交換させるようにしたものである。
【0009】
第1の発明は、内部を空気が流れるケーシング(11,111)に収容され且つ空気中の水分が吸着される第1及び第2の吸着部材(61,62,151,152)を備え、該第1の吸着部材(61,151)で空気中の水分を吸着させると共に第2の吸着部材(62,152)を加熱再生させる第1動作と、第2の吸着部材(62,152)で空気中の水分を吸着させると共に第1の吸着部材(61,151)を加熱再生させる第2動作とを交互に行い、各吸着部材(61,62,151,152)を通過した空気の一方を供給空気(SA)として室内側へ供給する共に、他方を排出空気(EA)として室外へ排出する調湿機構(10a,110a)を備えた調湿装置であって、上記供給空気(SA)と排出空気(EA)とを熱交換して供給空気(SA)の温度を調節する熱交換機構(80)を備えている。
【0010】
上記第1の発明では、調湿機構(10a,110a)において、第1動作と第2動作とが交互に行われる。
【0011】
まず、第1動作では、外部からケーシング(11,111)内に取り込まれた空気が取り込まれる。取り込まれた空気は、第1の吸着部材(61,151)を通過する。第1の吸着部材(61,151)では、空気中に含まれる水分が第1の吸着部材(61,151)に吸着され、該空気は除湿空気となる。そして、この除湿空気は供給空気(SA)となって室内側へ送られる。同時に、ケーシング(11,111)内に取り込まれた空気は、加熱された第2の吸着部材(62,152)を通過する。このとき、第2の吸着部材(62,152)では、該第2の吸着部材(62,152)から脱離した水分が、第2の吸着部材(62,152)を通過する空気へ与えられ、該空気は加湿空気となる。そして、この加湿空気は、排出空気(EA)として室外へ排出される一方、第2の吸着部材(62,152)が再生される。
【0012】
次に、第2動作では、外部からケーシング(11,111)内に空気が取り込まれる。取り込まれた空気は、第2の吸着部材(62,152)を通過する。第2の吸着部材(62,152)では、空気中に含まれる水分が第2の吸着部材(62,152)に吸着され、該空気は除湿空気となる。そして、この除湿空気は供給空気(SA)となって室内側へ送られる。同時に、ケーシング(11,111)内に取り込まれた空気は、加熱された第1の吸着部材(61,151)を通過する。このとき、第1の吸着部材(61,151)では、該第1の吸着部材(61,151)から脱離した水分が、第1の吸着部材(61,151)を通過する空気へ与えられ、該空気は加湿空気となる。そして、この加湿空気は排出空気(EA)として室外へ排出される一方、第1の吸着部材(61,151)が再生される。
【0013】
上記第1及び第2動作において、熱交換機構(80)は、調湿機構(10a,110a)の供給空気(SA)と排出空気(EA)とを熱交換させる。第1動作では、吸着側である第1の吸着部材(61,151)を通過した空気が供給空気(SA)となり、再生側である第2の吸着部材(62,152)を通過した空気が排出空気(EA)となるため、次の第2動作へ切り換わった直後では、再生側である第1の吸着部材(61,151)は比較的低温となり、その後、段階的に高温へ遷移する一方、吸着側である第2の吸着部材(62,152)は、第1動作において加熱されているため高温となり、その後、段階的に低温へ遷移する。さらに、その次の第1動作へ切り換わった直後では、再生側である第2の吸着部材(62,152)は比較的低温から高温へ遷移する一方、吸着側である第1の吸着部材(61,151)は、第2動作において加熱されているため高温なり、その後、段階的に低温へ遷移する。
【0014】
したがって、熱交換機構(80)は、第2動作において、吸着側である第2の吸着部材(62,152)を通過して高温から低温へ温度変化する供給空気(SA)と、再生側である第1の吸着部材(61,151)を通過して低温から高温へ温度変化する排出空気(EA)との間で熱交換をさせることで両空気の温度が平均化する。この結果、供給空気(SA)の温度変化が抑えられる。
【0015】
また、熱交換機構(80)は、第1動作において、吸着側である第1の吸着部材(61,151)を通過して高温から低温へ温度変化する供給空気(SA)と、再生側である第2の吸着部材(62,152)を通過して低温から高温へ温度変化する排出空気(EA)との間で熱交換させることで両空気の温度が平均化する。この結果、供給空気(SA)の温度変化が抑えられる。
【0016】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記調湿機構(10a,110a)は、該調湿機構(10a,110a)から室内まで延びると共に供給空気(SA)が通過する供給空気通路(23a,122a)と、調湿機構(10a,110a)から室外まで延びると共に排出空気(EA)が通過する排出空気通路(21a,121a)とを備え、上記熱交換機構(80)は、供給空気通路(23a,122a)を通過する供給空気(SA)と排出空気通路(21a,121a)を通過する排出空気(EA)との間で熱交換させる熱交換部(81)を備えている。
【0017】
上記第2の発明では、第1動作及び第2動作によって調湿機構(10a,110a)から供給される供給空気(SA)は、供給空気通路(23a,122a)を介して室内へ供給される。また、調湿機構(10a,110a)から排出される排出空気(EA)は、排出空気通路(21a,121a)を介して室外へ排出される。
【0018】
第1動作では、吸着側である第1の吸着部材(61,151)を通過した空気が供給空気(SA)となり、再生側である第2の吸着部材(62,152)を通過した空気が排出空気(EA)となるため、次の第2動作へ切り換わった直後では、再生側である第1の吸着部材(61,151)は比較的低温度となり、その後、段階的に高温へ遷移する一方、吸着側である第2の吸着部材(62,152)は、第1動作において加熱されているため高温となり、その後、段階的に低温へ遷移する。さらに、その次の第1動作へ切り換わった直後では、再生側である第2の吸着部材(62,152)は比較的低温から高温へ遷移する一方、吸着側である第1の吸着部材(61,151)は、第2動作において加熱されているため高温となるとなり、その後、段階的に低温へ遷移する。
【0019】
したがって、熱交換部(81)は、第2動作において、吸着側である第2の吸着部材(62,152)を通過して供給空気通路(23a,122a)を通過する供給空気(SA)と、再生側である第1の吸着部材(61,151)を通過して排出空気通路(21a,121a)を通過する排出空気(EA)とを熱交換をさせることで両空気の温度が平均化する。この結果、供給空気(SA)の温度変化が抑えられる。
【0020】
また、熱交換部(81)は、第1動作において、吸着側である第1の吸着部材(61,151)を通過して供給空気通路(23a,122a)を通過する供給空気(SA)と、再生側である第2の吸着部材(62,152)を通過して排出空気通路(21a,121a)を通過する排出空気(EA)とを熱交換させることで両空気の温度が平均化する。この結果、供給空気(SA)の温度変化が抑えられる。。
【0021】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記供給空気通路(23a,122a)又は排出空気通路(21a,121a)には、少なくとも何れか一方に、上記熱交換部(81)をバイパスするバイパス空気通路(84)が形成されている。
【0022】
上記第3の発明では、供給空気通路(23a,122a)にバイパス空気通路(84)を形成すると、第1動作及び第2動作によって調湿機構(10a,110a)から供給される供給空気(SA)の一部は、バイパス空気通路(84)を通過して室内へ供給される。バイパス空気通路(84)を通過する供給空気(SA)は、熱交換部(81)において熱交換されることなく室内へ供給される。一方、調湿機構(10a,110a)から排出される排出空気(EA)は、排出空気通路(21a,121a)を介して室外へ排出される。
【0023】
また、排出空気通路(21a,121a)にバイパス空気通路(84)を形成すると、第1及び第2動作によって調湿機構(10a,110a)から排出される排出空気(EA)の一部は、バイパス空気通路(84)を通過して室内へ供給される。バイパス空気通路(84)を通過する排出空気(EA)は、熱交換部(81)において熱交換されることなく室外へ排出される。一方、調湿機構(10a,110a)から供給される供給空気(SA)は、供給空気通路(23a,122a)を介して室内へ供給される。
【0024】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記熱交換機構(80)は、バイパス空気通路(84)を通過する空気の流量を調節する流量調節弁(85)を備えている。
【0025】
上記第4の発明では、流量調節弁(85)は、バイパス空気通路(84)を通過する供給空気(SA)、又は排出空気(EA)の空気の流量を調節する。
【0026】
第5の発明は、上記第4の発明において、上記熱交換機構(80)は、供給空気(SA)の温度又は排出空気(EA)の温度に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節する温度側開度制御器(86)を備えている。
【0027】
上記第5の発明では、温度側開度制御器(86)は、供給空気(SA)又は排出空気(EA)の温度に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節する。つまり、供給空気(SA)又は排出空気(EA)の少なくとも何れか一方の空気の温度状態に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節する。
【0028】
第6の発明は、第5の発明において、上記温度側開度制御器(86)は、第1動作及び第2動作の何れか1つの動作中における供給空気(SA)及び排出空気(EA)の温度の最大値と最小値との差分に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節するよう構成されている。
【0029】
上記第6の発明では、温度側開度制御器(86)は、第1動作及び第2動作の何れか1つの動作中における供給空気(SA)の最大温度(TSAmax)と最小温度(TSAmin)との温度差(ΔTSA)を求める。そして、この温度差(ΔTSA)に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節する。
【0030】
または、温度側開度制御器(86)は、第1動作及び第2動作の何れか1つの動作中における排出空気(EA)の最大温度(TEAmax)と最小温度(TEAmin)との温度差(ΔTEA)を求める。そして、この温度差(ΔTEA)に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節する。
【0031】
第7の発明は、上記第6の発明において、上記熱交換機構(80)は、供給空気通路(23a,122a)における熱交換部(81)の空気の上流側で供給空気(SA)の温度を検知する第1の温度検知器(82)と、上記排出空気通路(21a,121a)における熱交換部(81)の空気の上流側で排出空気(EA)の温度を検知する第2の温度検知器(83)とを備えている。
【0032】
上記第7の発明では、温度側開度制御器(86)は、第1の温度検知器(82)によって供給空気(SA)の検知温度と、第2の温度検知器(83)による排出空気(EA)の検知温度とに基づいて流量調節弁(85)の開度を調節する。つまり、熱交換される前の供給空気(SA)及び排出空気(EA)の温度に基づいて必要な熱交換量に応じて流量調節弁(85)の開度を決定している。
【0033】
第8の発明は、上記第4〜第7の発明の何れか1つにおいて、上記調湿機構(10a,110a)は、圧縮機(153)を有し、熱媒体流体が循環する熱媒回路(150)に構成されると共に、第1及び第2動作時において上記各吸着部材(151,152)の一方を加熱し他方を冷却する温度調節機構(150)を備え、上記熱交換機構(80)は、上記圧縮機(153)の運転周波数に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節する周波数側開度制御器(87)を備えている。
【0034】
上記第8の発明では、温度調節機構(150)では、圧縮機(153)から吐出した熱媒体流体が熱媒回路(150)を循環する。そして、第1動作では、吸着側である第1の吸着部材(61,151)を冷却すると共に、再生側である第2の吸着部材(62,152)を加熱する。また、第2動作では、吸着側である第2の吸着部材(62,152)を冷却すると共に、再生側である第1の吸着部材(61,151)を加熱する。
【0035】
周波数側開度制御器(87)は、圧縮機(153)の運転周波数に応じて流量調節弁(85)に開度を調節する。つまり、圧縮機(153)の運転周波数が高い場合は、調湿機構(10a,110a)から供給される供給空気(SA)の温度が高いため、流量調節弁(85)の開度を下げてバイパス空気通路(84)へ流入する供給空気(SA)又は排出空気(EA)の空気量を減らすことで熱交換部(81)において熱交換される空気量を増やす。
【0036】
一方、圧縮機(153)の運転周波数が低い場合は、調湿機構(10a,110a)から供給される供給空気(SA)の温度が低いため、流量調節弁(85)の開度を上げてバイパス空気通路(84)へ流入する供給空気(SA)又は排出空気(EA)の空気量を増やすことで熱交換部(81)において熱交換される空気量を減らす。
【0037】
第9の発明は、上記第8の発明において、上記周波数側開度制御器(87)は、圧縮機(153)の運転周波数が高いほど、流量調節弁(85)の開度を下げるよう構成されている。
【0038】
上記第9の発明では、周波数側開度制御器(87)は、圧縮機(153)の運転周波数が高くなるのに伴って流量調節弁(85)の開度を下げる。圧縮機(153)の運転周波数が高くなるほど、調湿機構(10a,110a)から供給される供給空気(SA)の温度が高くなるため、流量調節弁(85)の開度を下げてバイパス空気通路(84)へ流入する供給空気(SA)又は排出空気(EA)の空気量を減らすことで熱交換部(81)において熱交換される空気量を増やす。
【発明の効果】
【0039】
上記第1の発明によれば、調湿機構(10a,110a)の供給空気(SA)と排出空気(EA)とを熱交換させるようにしたため、再生側から吸着側へ切り換わった吸着部材(61,62,151,152)を通過した供給空気(SA)と、吸着側から再生側へ切り換わった吸着部材(61,62,151,152)を通過した排出空気(EA)とを熱交換させることができる。つまり、再生側から吸着側へ切り換わった後、高温から低温へ温度変化する供給空気(SA)と、吸着側から再生側へ切り換わった後、低温から高温へ温度変化する排出空気(EA)とを熱交換させることで両空気の温度が平均化される結果、供給空気(SA)の温度変化を抑えることができる。これにより、室内へ供給される供給空気(SA)の温度変動を抑制することができる。この結果、半導体工場のクリーンルーム等での温度制御を高い精度で行うことができる。
【0040】
上記第2の発明によれば、熱交換部(81)において供給空気(SA)と排出空気(EA)とを熱交換させたため、再生側から吸着側へ切り換わった後、高温から低温へ温度変化する供給空気(SA)と、吸着側から再生側へ切り換わった後、低温から高温へ温度変化する排出空気(EA)とを熱交換させることで両空気の温度が平均化される結果、供給空気(SA)の温度変化を抑えることができる。これにより、室内へ供給される供給空気(SA)の温度変動を抑制することができる。この結果、半導体工場のクリーンルーム等での温度制御を高い精度で行うことができる。
【0041】
上記第3の発明によれば、熱交換部(81)をバイパスするバイパス空気通路(84)を設けたため、熱交換部(81)における供給空気(SA)と排出空気(EA)との熱交換を回避することができる。つまり、供給空気(SA)の不要な熱交換を抑制することができる。これにより、室内へ供給される供給空気(SA)の温度変動を抑制することができる。この結果、半導体工場のクリーンルーム等での温度制御を高い精度で行うことができる。
【0042】
上記第4の発明によれば、バイパス空気通路(84)を通過する空気の流量を調節する流量調節弁(85)を設けたため、熱交換部(81)における供給空気(SA)と排出空気(EA)との熱交換量を調節することができる。つまり、供給空気(SA)の不要な熱交換を抑制することができる。これにより、室内へ供給される供給空気(SA)の温度変動を抑制することができる。この結果、半導体工場のクリーンルーム等での温度制御を高い精度で行うことができる。
【0043】
上記第5の発明によれば、温度側開度制御器(86)を設けたため、供給空気(SA)又は排出空気(EA)の温度に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節することができる。つまり、供給空気(SA)や排出空気(EA)の温度状態によって熱交換部(81)で熱交換させる空気量を調節することができる。つまり、供給空気(SA)の不要な熱交換を抑制することができる。これにより、室内へ供給される供給空気(SA)の温度変動を抑制することができる。この結果、半導体工場のクリーンルーム等での温度制御を高い精度で行うことができる。
【0044】
上記第6の発明によれば、流量調節弁(85)の開度を一の動作中の供給空気(SA)及び排出空気(EA)の温度の最大値と最小値との差分に基づいて調節するようにしたため、熱交換部(81)において供給空気(SA)と排出空気(EA)との間で適切な量の熱交換をさせることができる。これにより、供給空気(SA)の不要な熱交換を抑制することができる。
【0045】
上記第7の発明によれば、第1の温度検知器(82)と第2の温度検知器(83)とを設けたため、熱交換部(81)よりも上流側の供給空気(SA)及び排出空気(EA)の温度を検知することができる。つまり、熱交換前の供給空気(SA)及び排出空気(EA)の温度に基づいて流量調節弁(85)を調節することができる。これにより、熱交換部(81)において供給空気(SA)と排出空気(EA)との間で適切な量の熱交換をさせることができる。
【0046】
上記第8の発明によれば、圧縮機(153)の運転周波数に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節するようにしたため、供給空気(SA)の温度に応じて熱交換させる空気量を調節することができる。つまり、供給空気(SA)の温度等を検知するセンサを用いることなく熱交換部(81)の熱交換量を調節することができる。これにより、室内へ供給される供給空気(SA)の温度変動を抑制することができると共に、調湿装置(10,110)の製造コストを低減させることができる。
【0047】
上記第9の発明によれば、圧縮機(153)の運転周波数が高くなるのに伴って、流量調節弁(85)の開度を下げるようにしたため、供給空気(SA)が高温である場合に、熱交換部(81)で熱交換される供給空気(SA)の空気量を増加させることができる。つまり、供給空気(SA)の温度等を検知するセンサを用いることなく熱交換部(81)の熱交換量を調節することができる。これにより、室内へ供給される供給空気(SA)の温度変動を抑制することができると共に、調湿装置(10,110)の製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態1に係る除湿装置の全体構成を示す概略の模式図である。
【図2】実施形態1に係る除湿機構の全体構成を示す概略の斜視図である。
【図3】実施形態1に係る除湿機構の概略の構成図であり、(A)は上面図、(B)は図3(A)のB−B矢視図、(C)は図3(A)のC−C矢視図である。
【図4】実施形態1に係る除湿機構の概略の構成図であり、第1バッチ動作における空気の流れを示す。
【図5】実施形態1に係る除湿機構の概略の構成図であり、第2バッチ動作における空気の流れを示す。
【図6】実施形態1に係る調湿装置における空気の温度と時間との関係を示すグラフである。
【図7】実施形態1の変形例に係る調湿装置の全体構成を示す概略の模式図である。
【図8】実施形態2に係る調湿装置の全体構成を示す概略の模式図である。
【図9】実施形態2に係る調湿機構の全体構成を示す概略の斜視図である。
【図10】実施形態2に係る調湿機構の概略の全体構成を示す平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図11】実施形態2に係る調湿機構の冷媒回路の構成を示す配管系統図であって、(A)は第2動作中の動作を示すものであり、(B)は第1動作中の動作を示すものである。
【図12】実施形態2に係る調湿機構の除湿換気運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図13】実施形態2に係る調湿機構の除湿換気運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図14】実施形態2に係る調湿機構の加湿換気運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図15】実施形態2に係る調湿機構の加湿換気運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図16】実施形態2に係る圧縮機の運転周波数と供給空気温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0050】
本実施形態1及び2では、本発明に係る調湿装置が、除湿装置や調湿装置を構成している。除湿装置は、半導体工場のクリーンルームや、食品工場内の室内の空気の除湿を行うものであり、調湿装置は、半導体工場のクリーンルームや、食品工場内の室内の空気の調湿を行うものである。
【0051】
《発明の実施形態1》
図1〜図3に示すように、実施形態1に係る除湿装置(10)は、除湿機構(10a)と熱交換機構(80)とで構成されている。つまり、本実施形態1では、本発明に係る調湿装置が除湿装置(10)を構成すると共に、本発明に係る調湿機構が除湿機構(10a)を構成している。
【0052】
上記除湿機構(10a)は、本発明に係るケーシングを構成する除湿ケーシング(11)を備えている。除湿ケーシング(11)は、前後に縦長の直方体状に形成されている。除湿ケーシング(11)には、前側に第1パネル部(12)が、後側に第2パネル部(13)が、下側に底板部(14)が、上側に天板部(15)がそれぞれ形成されている。また、除湿ケーシング(11)には、幅方向の左側に第1側板部(16)が、幅方向の右側に第2側板部(17)がそれぞれ形成されている。除湿ケーシング(11)の内側には、空気が流れる空気通路が形成されている。
【0053】
第1パネル部(12)には、左側寄りに第1吸込口(20)が形成され、右側寄りに排気口(21)が形成されている。第2パネル部(13)には、左側寄りに第2吸込口(22)が形成され、右側寄りに給気口(23)が形成されている。第1吸込口(20)、排気口(21)、第2吸込口(22)、及び給気口(23)は、空気ダクト(図示省略)が連結されるダクト接続口を構成している。第1吸込口(20)と第2吸込口(22)は、空気ダクトを介して室外空間と連通している。また、排気口(21)は、排気ダクト(21a)を介して室外空間と連通している。給気口(23)は、給気ダクト(23a)を介して室内空間と連通している。
【0054】
上記排気ダクト(21a)は、内部を空気が流通する空気ダクトに形成され、一端が排気口(21)に接続される一方、他端が室外へ延びている。つまり、除湿機構(10a)から排出される排出空気(EA)は、排気ダクト(21a)を通過して室外へ排気される。尚、排気ダクト(21a)は、本発明に係る排気空気通路を構成している。
【0055】
上記給気ダクト(23a)は、内部を空気が流通する空気ダクトに形成され、一端が給気口(23)に接続される一方、他端が室外へ延びている。つまり、除湿機構(10a)から供給される供給空気(SA)は、給気ダクト(23a)を通過して室内へ供給される。尚、給気ダクト(23a)は、本発明に係る供給空気通路を構成している。
【0056】
除湿ケーシング(11)の内部には、第1仕切板(31)と第2仕切板(32)とが立設している。第1仕切板(31)及び第2仕切板(32)は、第1パネル部(12)及び第2パネル部(13)と平行な姿勢となっている。第1仕切板(31)は第1パネル部(12)寄りに位置し、第2仕切板(32)は第2パネル部(13)寄りに位置している。
【0057】
第1パネル部(12)と第1仕切板(31)との間には、排気側仕切板(33)が立設しており、排気側仕切板(33)の左側に第1吸込通路(25)が、右側に排気通路(26)がそれぞれ区画されている。第1吸込通路(25)は上記第1吸込口(20)と連通し、排気通路(26)は上記排気口(21)と連通している。また、排気通路(26)には、排気ファン(41)が収容されている。排気ファン(41)は、遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)で構成されている。
【0058】
第2パネル部(13)と第2仕切板(32)との間には、給気側仕切板(34)が立設しており、給気側仕切板(34)の左側に第2吸込通路(27)が、右側に給気通路(28)がそれぞれ区画されている。第2吸込通路(27)は上記第2吸込口(22)と連通し、給気通路(28)は上記給気口(23)と連通している。給気通路(28)には、給気ファン(42)が収容されている。給気ファン(42)は、遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)で構成されている。
【0059】
上記第2吸込通路(27)には、熱交換器(45)が収容されている。熱交換器(45)は、例えばプレート式の熱交換器で構成されている。熱交換器(45)には、流入管(46)及び流出管(47)が除湿ケーシング(11)を貫通して接続されている(図3を参照)。熱交換器(45)へは、流入管(46)から加熱用媒体としての温水が供給される。尚、この温水は、例えば工場等の他の熱源機器の廃熱を利用して生成される。そして、熱交換器(45)では、温水と空気とが熱交換して空気が加熱される。つまり、熱交換器(45)は空気を加熱するための加熱手段を構成している。熱交換器(45)を流れた温水は、流出管(47)を通じて系外へ排出される。また、流入管(46)には、開閉弁としての電磁弁(48)が設けられている。電磁弁(48)を閉鎖すると、熱交換器(45)への温水の供給が停止され、熱交換器(45)が実質的に停止状態となる。また、第2吸込通路(27)には、熱交換器(45)の下流側に枠体(49)が設置されている。枠体(49)は、熱交換器(45)に沿うような板状に形成され、且つ熱交換器(45)を通過した空気が流通可能な空気開口部が形成されている。
【0060】
第1パネル部(12)と第2パネル部(13)との間には、中央仕切板(35)が水平な姿勢で配設され、中央仕切板(35)の上側に第1吸着室(51)が、中央仕切板(35)の下側に第2吸着室(52)がそれぞれ区画されている。第1吸着室(51)は第1吸着素子(61)を収容する第1の収容室を構成し、第2吸着室(52)は第2吸着素子(62)を収容する第2の収容室を構成している。
【0061】
各吸着素子(61,62)は、第1側板部(16)から第2側板部(17)に亘って左右に延びる縦長の直方体形状をしている。第1吸着室(51)では、第1吸着素子(61)と第1仕切板(31)との間に排気側上部通路(53)が区画され、第1吸着素子(61)と第2仕切板(32)との間に給気側上部通路(54)が区画されている。第2吸着室(52)では、第2吸着素子(62)と第1仕切板(31)との間に排気側下部通路(55)が区画され、第2吸着素子(62)と第2仕切板(32)との間に給気側下部通路(56)が区画されている。
【0062】
各吸着素子(61,62)は、その長手方向の中間位置で切り離される分割構造をしている。つまり、各吸着素子(61,62)は、左右に隣り合う2つの吸着エレメント(60,60)で構成されている。吸着エレメント(60,60)は、前後方向に空気が流通可能な基材部と、この基材部に担持される吸着剤によって構成されている。吸着エレメント(60,60)の吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水分(水蒸気)を吸着できるものが用いられる。また、吸着剤として、いわゆる収着剤を用いてもよい。第1吸着素子(61)は本発明に係る第1吸着部材を構成する一方、第2吸着素子(62)は本発明に係る第2吸着部材を構成している。
【0063】
上記第1仕切板(31)には、第1から第4までの排気側ダンパ(71,72,73,74)が設けられている。各排気側ダンパ(71,72,73,74)は、各吸着室(51,52)と、第1吸込通路(25)及び排気通路(26)とを断続するための開閉式のダンパを構成している。第1仕切板(31)には、上部左側に第1排気側ダンパ(71)が、上部右側に第2排気側ダンパ(72)が、下部左側に第3排気側ダンパ(73)が、下部右側に第4排気側ダンパ(74)がそれぞれ取り付けられている。第1排気側ダンパ(71)を開閉すると、第1吸込通路(25)と排気側上部通路(53)との間が断続される。第2排気側ダンパ(72)を開閉すると、排気通路(26)と排気側上部通路(53)との間が断続される。第3排気側ダンパ(73)を開閉すると、第1吸込通路(25)と排気側下部通路(55)との間が断続される。第4排気側ダンパ(74)を開閉すると、排気通路(26)と排気側下部通路(55)との間が断続される。
【0064】
上記第2仕切板(32)には、第5から第8までの給気側ダンパ(75,76,77,78)が設けられている。各給気側ダンパ(75,76,77,78)は、各吸着室(51,52)と、第2吸込通路(27)及び給気通路(28)とを断続するための開閉式のダンパを構成している。第2仕切板(32)には、上部左側に第1給気側ダンパ(75)が、上部右側に第2給気側ダンパ(76)が、下部左側に第3給気側ダンパ(77)が、下部右側に第4給気側ダンパ(78)がそれぞれ取り付けられている。第1給気側ダンパ(75)を開閉すると、第2吸込通路(27)と給気側上部通路(54)との間が断続される。第2給気側ダンパ(76)を開閉すると、給気通路(28)と給気側上部通路(54)との間が断続される。第3給気側ダンパ(77)を開閉すると、第2吸込通路(27)と給気側下部通路(56)との間が断続される。第4給気側ダンパ(78)を開閉すると、排気通路(26)と給気側下部通路(56)との間が断続される。
【0065】
上記の各ダンパ(71〜78)は、除湿ケーシング(11)の内部を流れる空気の流路を切り換えるためのものである。また、上記の第1給気側ダンパ(75)及び第3給気側ダンパ(77)は、熱交換器(45)を通過した空気を各吸着室(51,52)へ導入するための主導入部を構成している。
【0066】
上記熱交換機構(80)は、供給空気(SA)と排出空気(EA)とを熱交換するためのものである。熱交換機構(80)は、熱交換部(81)と、給気温度センサ(82)と、排気温度センサ(83)と、バイパスダクト(84)と、流量調節弁(85)と、温度側コントローラ(86)を備えている。
【0067】
上記熱交換部(81)は、給気側伝熱部(81a)と排気側伝熱部(81b)とで構成されている。具体的に、給気側伝熱部(81a)は、給気ダクト(23a)の途中部分に形成された空気通路である。つまり、給気ダクト(23a)を通過する供給空気(SA)は、途中で給気側伝熱部(81a)を通過することになる。上記排気側伝熱部(81b)は、排気ダクト(21a)の途中部分に形成された空気通路である。つまり、排気ダクト(21a)を通過する排出空気(EA)は、途中で排気側伝熱部(81b)を通過することになる。そして、給気側伝熱部(81a)と、排気側伝熱部(81b)とは、互いが近接するように設置されている。このため、給気側伝熱部(81a)を通過する供給空気(SA)と、排気側伝熱部(81b)と通過する排出空気(EA)との間で熱交換が行われる。
【0068】
上記給気温度センサ(82)は、給気ダクト(23a)を通過する供給空気(SA)の温度を検知する温度センサであって、本発明に係る第1の温度検知器を構成している。給気温度センサ(82)は、給気ダクト(23a)の内部において、給気側伝熱部(81a)よりも空気の上流側に設置されている。給気温度センサ(82)は、温度側コントローラ(86)に接続され、検知した温度データは、随時、温度側コントローラ(86)へ送られている。
【0069】
上記排気温度センサ(83)は、排気ダクト(21a)を通過する排出空気(EA)の温度を検知する温度センサであって、本発明に係る第2の温度検知器を構成している。排気温度センサ(83)は、排気ダクト(21a)の内部において、排気側伝熱部(81b)よりも空気の上流側に設置されている。排気温度センサ(83)は、温度側コントローラ(86)に接続され、検知した温度データは、随時、温度側コントローラ(86)へ送られている。
【0070】
尚、給気温度センサ(82)及び排気温度センサ(83)が検知した温度推移は、図6に破線で示す推移となる。
【0071】
上記バイパスダクト(84)は、図1に示すように、給気ダクト(23a)に設けられ、熱交換部(81)をバイパスさせるダクトであって、本発明に係るバイパス空気通路を構成している。このバイパスダクト(84)は、内部を空気が流通可能なダクトに形成され、その一端が給気ダクト(23a)における給気側伝熱部(81a)の空気の上流側に接続され、他端が給気ダクト(23a)における給気側伝熱部(81a)の空気の下流側に接続されている。つまり、給気ダクト(23a)を通過する供給空気(SA)の一部は、バイパスダクト(84)に流入するよう構成されている。また、バイパスダクト(84)の途中には、流量調節弁(85)が設けられている。この流量調節弁(85)は、開度を調節することでバイパスダクト(84)を流通する空気の流量を調節可能に構成されている。流量調節弁(85)は、温度側コントローラ(86)に接続され、該温度側コントローラ(86)によって、その開度が調節される。
【0072】
上記温度側コントローラ(86)は、供給空気(SA)の温度及び排出空気(EA)の温度に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節するためのものであって、本発明に係る温度側開度制御器を構成するものである。温度側コントローラ(86)は、給気温度センサ(82)と、排気温度センサ(83)と、流量調節弁(85)に接続されている。そして、温度側コントローラ(86)は、給気温度センサ(82)から送られる供給空気(SA)の温度データと排気温度センサ(83)から送られる排出空気(EA)の温度データとに基づいて流量調節弁(85)の開度を制御している。
【0073】
−運転動作−
本実施形態1の除湿機構(10a)の除湿運転について説明する。除湿運転では、排気ファン(41)及び給気ファン(42)がそれぞれ運転状態となる。除湿運転では、第1空気(図4における黒塗りの矢印で表す空気、以下同様)としての室外空気(OA)が第1吸込口(20)より除湿ケーシング(11)内に取り込まれ、第2空気(図4における白塗りの矢印で表す空気、以下同様)としての室外空気(OA)が第2吸込口(22)より除湿ケーシング(11)内に取り込まれる。除湿運転では、各ダンパ(71〜78)の開閉状態を切り換えることで、次のような第1バッチ動作と第2バッチ動作とが交互に行われる。尚、本実施形態1の第1バッチ動作や第2バッチ動作では、電磁弁(48)が開放状態となり、熱交換器(45)で加熱運転が常時行われる。また、第1バッチ動作と第2バッチ動作との切り換えは、予め設定された時間(例えば5分〜10分程度)毎に行われる。尚、除湿機構(10a)の運転動作を説明するための各図において、閉鎖状態のダンパにはハッチングを付加し、開放状態のダンパは白塗りで示すようにしている。また、上記第1バッチ動作及び第2バッチ動作は、それぞれが本発明に係る第1動作及び第2動作を示している。
【0074】
〈第1バッチ動作〉
図4に示すように、第1バッチ動作では、第2排気側ダンパ(72)、第3排気側ダンパ(73)、第1給気側ダンパ(75)、及び第4給気側ダンパ(78)が閉鎖状態となり、第1排気側ダンパ(71)、第4排気側ダンパ(74)、第2給気側ダンパ(76)、及び第3給気側ダンパ(77)が開放状態となる。
【0075】
第1吸込口(20)から第1吸込通路(25)へ取り込まれた第1空気は、第1排気側ダンパ(71)より第1吸着室(51)へ流入する。第1吸着室(51)へ流入した空気は、第1吸着素子(61)を通過する。第1吸着素子(61)では、空気中に含まれる水分(水蒸気)が吸着剤に吸着される。その結果、第1吸着素子(61)では、このような吸着動作によって空気が除湿される。第1吸着素子(61)で除湿された空気は、第2給気側ダンパ(76)より給気通路(28)へ流出し、給気口(23)及び給気ダクト(23a)を介して供給空気(SA)として室内側へ供給される。
【0076】
第2吸込口(22)から第2吸込通路(27)へ取り込まれた第2空気は、熱交換器(45)を通過する。熱交換器(45)では、温水と空気とが熱交換し、空気が約60℃程度まで加熱される。熱交換器(45)で加熱された空気は、第3給気側ダンパ(77)より第2吸着室(52)へ流入する。第2吸着室(52)へ流入した空気は、第2吸着素子(62)を通過する。第2吸着素子(62)の吸着剤は、空気によって加熱される。その結果、第2吸着素子(62)では、このような再生動作によって吸着剤に吸着された水分が空気中へ放出される。第2吸着素子(62)の水分を奪った空気は、第4排気側ダンパ(74)より排気通路(26)へ流出し、排気口(21)及び排気ダクト(21a)を介して排出空気(EA)として室外へ排出される。
【0077】
〈第2バッチ動作〉
図5に示すように、第2バッチ動作では、第1排気側ダンパ(71)、第4排気側ダンパ(74)、第2給気側ダンパ(76)、及び第3給気側ダンパ(77)が閉鎖状態となり、第2排気側ダンパ(72)、第3排気側ダンパ(73)、第1給気側ダンパ(75)、及び第4給気側ダンパ(78)が開放状態となる。
【0078】
第1吸込口(20)から第1吸込通路(25)へ取り込まれた第1空気は、第3排気側ダンパ(73)より第2吸着室(52)へ流入する。第2吸着室(52)へ流入した空気は、第2吸着素子(62)を通過する。第2吸着素子(62)では、空気中に含まれる水分(水蒸気)が吸着剤に吸着される。その結果、第2吸着素子(62)では、このような吸着動作によって空気が除湿される。第2吸着素子(62)で除湿された空気は、第4給気側ダンパ(78)より給気通路(28)へ流出し、給気口(23)及び給気ダクト(23a)を介して供給空気(SA)として室内側へ供給される。
【0079】
第2吸込口(22)から第2吸込通路(27)へ取り込まれた第2空気は、熱交換器(45)を通過する。熱交換器(45)では、温水と空気とが熱交換し、空気が約60℃程度まで加熱される。熱交換器(45)で加熱された空気は、第1給気側ダンパ(75)より第1吸着室(51)へ流入する。第1吸着室(51)へ流入した空気は、第1吸着素子(61)を通過する。第1吸着素子(61)の吸着剤は、空気によって加熱される。その結果、第1吸着素子(61)では、このような再生動作によって吸着剤に吸着された水分が空気中へ放出される。第1吸着素子(61)の水分を奪った空気は、第2排気側ダンパ(72)より排気通路(26)へ流出し、排気口(21)及び排気ダクト(21a)を介して排出空気(EA)として室外へ排出される。
【0080】
〈熱交換動作〉
本実施形態1の除湿機構(10a)では、上記の第1バッチ動作と第2バッチ動作とを交互に行うことで、各吸着素子(61,62)の吸着剤で水分が飽和する(吸着破過になる)ことなく、連続的に室内を除湿することができる。ところが、このように2つの動作(バッチ動作)を切り換えて行うと、各バッチ動作の切り換え直後には、再生側から吸着側へ遷移した吸着素子(61,62)が未だ比較的高温となっていることがある。その結果、各バッチ動作の切り換え直後において、比較的高温の空気が供給空気(SA)として室内へ供給されてしまうという問題が生じる。
【0081】
具体的には、除湿運転において、例えば第1バッチ動作から第2バッチ動作へ切り換えられると、第1バッチ動作の終了直前には、第1バッチ動作で再生側となる第2吸着素子(62)が約60℃まで昇温されている。このような状態で、次の第2バッチ動作が行われると、吸着側へ遷移する第2吸着素子(62)が未だ高温となっており、この高温状態の第2吸着素子(62)を通過した空気が室内へ供給されてしまう。その結果、第2バッチ動作の直後には、供給空気(SA)の温度が比較的高温となり、その後に第2バッチ動作を継続するに連れて第2吸着素子(62)が冷却されて、供給空気(SA)の温度が低くなっていく。
【0082】
以上のように、除湿運転では、各バッチ動作の開始直後に供給空気(SA)が最高温度となり、バッチ動作を継続するに連れて供給空気(SA)が低くなっていく。このため、除湿運転では、供給空気(SA)の温度の変動が大きくなり、室内の温度を一定に保つことができなくなる。その結果、半導体工場のクリーンルームや食品工場等の室内の温度環境が損なわれ、品質管理等に支障をもたらすという問題が生じる。そこで、本実施形態1では、熱交換機構(80)において、次のような温度調節動作を行うことで、供給空気(SA)の温度変動を抑えるようにしている。
【0083】
まず、第1バッチ動作が開始されると、給気ダクト(23a)を通過する供給空気(SA)は、給気側伝熱部(81a)を通過する一方、排気ダクト(21a)を通過する排出空気(EA)は、排気側伝熱部(81b)を通過する。そして、熱交換部(81)では、給気側伝熱部(81a)の供給空気(SA)と排気側伝熱部(81b)と排出空気(EA)とが熱交換することで供給空気(SA)が熱交換される。
【0084】
また、温度側コントローラ(86)では、第1バッチ動作中に給気温度センサ(82)及び排気温度センサ(83)で測定された供給空気(SA)及び排出空気(EA)の温度データを蓄積する。そして、温度側コントローラ(86)では、図6に示すように、第1バッチ動作における供給空気(SA)の最大温度(TSAmax)と最小温度(TSAmin)との差分であるΔTSAが求められる一方、排出空気(EA)の最大温度(TEAmax)と最小温度(TEAmin)との差分であるΔTEAが求められ、続いて、ΔTSAとΔTEAの比率(ΔTSA/ΔTEA)を求める。温度側コントローラ(86)は、この比率が大きい(ΔTSAが大きく且つΔTEAが小さい)ほど流量調節弁(85)の開度を小さくして熱交換機構(80)での熱交換量を増加させる一方、比率が小さい(ΔTSAが小さく且つΔTEAが大きい)ほど流量調節弁(85)の開度を大きして熱交換機構(80)での熱交換量を低下させるよう構成されている。
【0085】
次に、第1バッチ動作から第2バッチ動作に切り換わると、温度側コントローラ(86)は、流量調節弁(85)の開度を、上記比率(ΔTSA/ΔTEA)に応じて決定された開度にする。そして、第2バッチ動作が開始されると、給気ダクト(23a)を通過する供給空気(SA)は、給気側伝熱部(81a)を通過する一方、その一部はバイパスダクト(84)へ流入する。排気ダクト(21a)を通過する排出空気(EA)は、排気側伝熱部(81b)を通過する。そして、熱交換部(81)では、給気側伝熱部(81a)の供給空気(SA)と排気側伝熱部(81b)と排出空気(EA)とが熱交換する。このとき、図6に示すように、前の第1バッチ動作において吸着側であった第1の吸着素子(61)を通過する第2空気は、比較的低い温度から、段階的に高い温度へ遷移する。一方、前の第1バッチ動作において再生側であった第2の吸着素子(62)を通過する第1空気は、比較的高い温度から、段階的に低い温度へ遷移する。この第2空気と第1空気とを熱交換させることにより、両空気の温度が平均化され、その結果、供給空気(SA)の温度変化が抑えられる(図6に実線で示す。)。一方、バイパスダクト(84)を通過する供給空気(SA)は、給気側伝熱部(81a)をバイパスして再び給気ダクト(23a)へ流入する。給気ダクト(23a)では、給気側伝熱部(81a)から流出した供給空気(SA)と、バイパスダクト(84)から流出した供給空気(SA)とが合流して室内へ供給される。
【0086】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、熱交換部(81)で供給空気(SA)と排出空気(EA)とを熱交換させるようにしたため、再生側から吸着側へ切り換わった吸着素子(61,62)を通過した供給空気(SA)と、吸着側から再生側へ切り換わった吸着素子(62,61)を通過した排出空気(EA)とを熱交換させることができる。つまり、再生側から吸着側へ切り換わった後、高温から低温へ温度変化する供給空気(SA)と、吸着側から再生側へ切り換わった後、低温から高温へ温度変化する排出空気(EA)とを熱交換させることで両空気の温度を平均化させる結果、供給空気(SA)の温度変化を抑えることができる。
【0087】
また、給気ダクト(23a)に熱交換部(81)をバイパスするバイパスダクト(84)を設けたため、熱交換部(81)において供給空気(SA)が熱交換されるのを回避することができる。そして、バイパスダクト(84)に流量調節弁(85)を設けたため、熱交換部(81)における供給空気(SA)と排出空気(EA)との熱交換量を調節することができる。これにより、供給空気(SA)の不要な熱交換を抑制することができる。
【0088】
さらに、温度側コントローラ(86)を設けたため、ΔTSAとΔTEAとに基づいて流量調節弁(85)の開度を調節するようことができる。これにより、熱交換部(81)において供給空気(SA)と排出空気(EA)との間で適切な量の熱交換をさせることができるため、供給空気(SA)の不要な熱交換を抑制することができる。
【0089】
これらにより、室内へ供給される供給空気(SA)の温度変動を抑制することができる。この結果、半導体工場のクリーンルーム等での温度制御を高い精度で行うことができる。
【0090】
〈実施形態1の変形例〉
実施形態1の変形例では、実施形態1に係るバイパスダクト(84)に構成が異なるものである。
【0091】
本変形例に係るバイパスダクト(84)は、図7に示すように、排気ダクト(21a)に設けられ、熱交換部(81)をバイパスさせるダクトであって、本発明に係るバイパス空気通路を構成している。このバイパスダクト(84)は、内部を空気が流通可能なダクトに形成され、その一端が排気ダクト(21a)における排気側伝熱部(81b)の空気の上流側に接続され、他端が排気ダクト(21a)における排気側伝熱部(81b)の空気の下流側に接続されている。つまり、排気ダクト(21a)を通過する排出空気(EA)の一部は、バイパスダクト(84)に流入するよう構成されている。また、バイパスダクト(84)の途中には、流量調節弁(85)が設けられている。この流量調節弁(85)は、開度を調節することでバイパスダクト(84)を流通する空気の流量を調節可能に構成されている。流量調節弁(85)は、温度側コントローラ(86)に接続され、該温度側コントローラ(86)によって、その開度が調節される。
【0092】
上記温度側コントローラ(86)は、供給空気(SA)の温度及び排出空気(EA)の温度に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節するためのものであって、本発明に係る温度側開度制御器を構成するものである。温度側コントローラ(86)は、給気温度センサ(82)と、排気温度センサ(83)と、流量調節弁(85)に接続されている。そして、温度側コントローラ(86)は、給気温度センサ(82)から送られる供給空気(SA)の温度データと排気温度センサ(83)から送られる排出空気(EA)の温度データとに基づいて流量調節弁(85)の開度を制御している。その他の構成・作用及び効果は実施形態1と同様である。
【0093】
〈発明の実施形態2〉
本実施形態2では、上記実施形態1の除湿機構(10a)に代えて、図8に示すように、本発明の調湿機構が調湿機構(110a)を構成すると共に、熱交換機構(80)の構成が異なるものである。つまり、本実施形態2では、調湿装置(110)は、調湿機構(110a)と熱交換機構(80)とで構成され、本発明に係る調湿装置が調湿装置(110)を構成している。本実施形態2に係る調湿機構(110a)は、室内の湿度調節と共に室内の換気を行う換気機能付きの徐加湿装置であり、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節して室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を室外に排出する。また、実施形態2に係る熱交換機構(80)は、温度側コントローラ(86)に代えて周波数側コントローラ(87)を備えている。
【0094】
〈調湿機構の全体構成〉
調湿機構(110a)について、図8〜図10を適宜参照しながら説明する。なお、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、調湿機構(110a)を前面側から見た場合の方向を意味している。
【0095】
調湿機構(110a)は、本発明のケーシングを構成する調湿ケーシング(111)を備えている。また、調湿ケーシング(111)内には、温度調節機構である冷媒回路(150)が収容されている。この冷媒回路(150)には、図10に示すように、第1吸着部材である第1吸着熱交換器(151)、第2吸着部材である第2吸着熱交換器(152)、圧縮機(153)、四路切換弁(154)、及び電動膨張弁(155)が接続されている。冷媒回路(150)の詳細は後述する。
【0096】
調湿ケーシング(111)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。図8に示す調湿ケーシング(111)では、左手前の側面(即ち、前面)が前面パネル部(112)となり、右奥の側面(即ち、背面)が背面パネル部(113)となり、右手前の側面が第1側面パネル部(114)となり、左奥の側面が第2側面パネル部(115)となっている。
【0097】
調湿ケーシング(111)には、外気吸込口(124)と、内気吸込口(123)と、給気口(122)と、排気口(121)とが形成されている。外気吸込口(124)及び内気吸込口(123)は、背面パネル部(113)に開口している。外気吸込口(124)は、背面パネル部(113)の下側部分に配置されている。内気吸込口(123)は、背面パネル部(113)の上側部分に配置されている。給気口(122)は、第1側面パネル部(114)における前面パネル部(112)側の端部付近に配置されている。排気口(121)は、第2側面パネル部(115)における前面パネル部(112)側の端部付近に配置されている。また、排気口(121)は、排気ダクト(121a)を介して室外空間と連通している。給気口(122)は、給気ダクト(122a)を介して室内空間と連通している。
【0098】
調湿ケーシング(111)の内部空間には、上流側仕切板(171)と、下流側仕切板(172)と、中央仕切板(173)と、第1仕切板(174)と、第2仕切板(175)とが設けられている。これらの仕切板(171〜175)は、何れも調湿ケーシング(111)の底板に立設されており、調湿ケーシング(111)の内部空間を調湿ケーシング(111)の底板から天板に亘って区画している。
【0099】
上流側仕切板(171)及び下流側仕切板(172)は、前面パネル部(112)及び背面パネル部(113)と平行な姿勢で、調湿ケーシング(111)の前後方向に所定の間隔をおいて配置されている。上流側仕切板(171)は、背面パネル部(113)寄りに配置されている。下流側仕切板(172)は、前面パネル部(112)寄りに配置されている。
【0100】
第1仕切板(174)及び第2仕切板(175)は、第1側面パネル部(114)及び第2側面パネル部(115)と平行な姿勢で設置されている。第1仕切板(174)は、上流側仕切板(171)と下流側仕切板(172)の間の空間を右側から塞ぐように、第1側面パネル部(114)から所定の間隔をおいて配置されている。第2仕切板(175)は、上流側仕切板(171)と下流側仕切板(172)の間の空間を左側から塞ぐように、第2側面パネル部(115)から所定の間隔をおいて配置されている。
【0101】
中央仕切板(173)は、上流側仕切板(171)及び下流側仕切板(172)と直交する姿勢で、上流側仕切板(171)と下流側仕切板(172)の間に配置されている。中央仕切板(173)は、上流側仕切板(171)から下流側仕切板(172)に亘って設けられ、上流側仕切板(171)と下流側仕切板(172)の間の空間を左右に区画している。
【0102】
調湿ケーシング(111)内において、上流側仕切板(171)と背面パネル部(113)の間の空間は、上下2つの空間に仕切られており、上側の空間が内気側通路(132)を構成し、下側の空間が外気側通路(134)を構成している。内気側通路(132)は、内気吸込口(123)に接続するダクトを介して室内と連通している。内気側通路(132)には、内気側フィルタ(127)と内気湿度センサ(196)とが設置されている。外気側通路(134)は、外気吸込口(124)に接続するダクトを介して室外空間と連通している。外気側通路(134)には、外気側フィルタ(128)と外気湿度センサ(197)とが設置されている。
【0103】
調湿ケーシング(111)内における上流側仕切板(171)と下流側仕切板(172)の間の空間は、中央仕切板(173)によって左右に区画されており、中央仕切板(173)の右側の空間が第1熱交換器室(137)を構成し、中央仕切板(173)の左側の空間が第2熱交換器室(138)を構成している。第1熱交換器室(137)には、第1吸着熱交換器(151)が収容されている。第2熱交換器室(138)には、第2吸着熱交換器(152)が収容されている。また、図示しないが、第1熱交換器室(137)には、冷媒回路(150)の電動膨張弁(155)が収容されている。
【0104】
各吸着熱交換器(151,152)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器の表面に吸着剤を担持させたものであって、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成されている。各吸着熱交換器(151,152)は、その前面及び背面が上流側仕切板(171)及び下流側仕切板(172)と平行になる姿勢で、熱交換器室(137,138)内に立設されている。また、第1吸着熱交換器(151)は、本発明に係る第1の吸着部材を構成する一方、第2吸着熱交換器(152)は、本発明に係る第2の吸着部材を構成している。尚、吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水分(水蒸気)を吸着できるものが用いられる。また、吸着剤として、いわゆる収着剤を用いてもよい。
【0105】
調湿ケーシング(111)の内部空間において、下流側仕切板(172)の前面に沿った空間は、上下に仕切られており、この上下に仕切られた空間のうち、上側の空間が給気側通路(131)を構成し、下側の空間が排気側通路(133)を構成している。
【0106】
上流側仕切板(171)には、開閉式のダンパ(141〜144)が4つ設けられている。各ダンパ(141〜144)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、上流側仕切板(171)のうち内気側通路(132)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(173)よりも右側に第1内気側ダンパ(141)が取り付けられ、中央仕切板(173)よりも左側に第2内気側ダンパ(142)が取り付けられる。また、上流側仕切板(171)のうち外気側通路(134)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(173)よりも右側に第1外気側ダンパ(143)が取り付けられ、中央仕切板(173)よりも左側に第2外気側ダンパ(144)が取り付けられる。
【0107】
下流側仕切板(172)には、開閉式のダンパ(145〜148)が4つ設けられている。各ダンパ(145〜148)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、下流側仕切板(172)のうち給気側通路(131)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(173)よりも右側に第1給気側ダンパ(145)が取り付けられ、中央仕切板(173)よりも左側に第2給気側ダンパ(146)が取り付けられる。また、下流側仕切板(172)のうち排気側通路(133)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(173)よりも右側に第1排気側ダンパ(147)が取り付けられ、中央仕切板(173)よりも左側に第2排気側ダンパ(148)が取り付けられる。
【0108】
調湿ケーシング(111)内において、給気側通路(131)及び排気側通路(133)と前面パネル部(112)との間の空間は、仕切板(177)によって左右に仕切られており、仕切板(177)の右側の空間が給気ファン室(136)を構成し、仕切板(177)の左側の空間が排気ファン室(135)を構成している。
【0109】
上記構成において、内気側通路(132)と外気側通路(134)と給気側通路(131)と排気側通路(133)とにより、室外から室内へ向かう空気通路と室内から室外へ向かう空気通路とが構成され、この2つの空気通路により第1空気通路(161)と第2空気通路(162)が構成されている。そして、第1空気通路(161)側と第2空気通路(162)側にそれぞれ4つのダンパが含まれることになり、第1空気通路(161)と第2空気通路(162)における空気の流通経路が、上記ダンパ(141〜148)により切り換えられるように構成されている。
【0110】
給気ファン室(136)には、給気ファン(126)が収容されている。また、排気ファン室(135)には排気ファン(125)が収容されている。給気ファン(126)及び排気ファン(125)は、何れも遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。給気ファン(126)は、下流側仕切板(172)側から吸い込んだ空気を給気口(122)へ吹き出す。排気ファン(125)は、下流側仕切板(172)側から吸い込んだ空気を排気口(121)へ吹き出す。
【0111】
給気ファン室(136)には、冷媒回路(150)の圧縮機(153)と四路切換弁(154)とが収容されている。圧縮機(153)及び四路切換弁(154)は、給気ファン室(136)における給気ファン(126)と仕切板(177)との間に配置されている。
【0112】
調湿ケーシング(111)内において、第1仕切板(174)と第1側面パネル部(114)の間の空間は、第1バイパス通路(181)を構成している。第1バイパス通路(181)の始端は、外気側通路(134)だけに連通しており、内気側通路(132)からは遮断されている。第1バイパス通路(181)の終端は、仕切板(178)によって、給気側通路(131)、排気側通路(133)、及び給気ファン室(136)から区画されている。仕切板(178)のうち給気ファン室(136)に臨む部分には、第1バイパス用ダンパ(183)が設けられている。
【0113】
調湿ケーシング(111)内において、第2仕切板(175)と第2側面パネル部(115)の間の空間は、第2バイパス通路(182)を構成している。第2バイパス通路(182)の始端は、内気側通路(132)だけに連通しており、外気側通路(134)からは遮断されている。第2バイパス通路(182)の終端は、仕切板(179)によって、給気側通路(131)、排気側通路(133)、及び排気ファン室(135)から区画されている。仕切板(179)のうち排気ファン室(135)に臨む部分には、第2バイパス用ダンパ(184)が設けられている。
【0114】
なお、図10の右側面図及び左側面図では、第1バイパス通路(181)、第2バイパス通路(182)、第1バイパス用ダンパ(183)、及び第2バイパス用ダンパ(184)の図示を省略している。
【0115】
〈冷媒回路の構成〉
図11に示すように、冷媒回路(150)は、第1吸着熱交換器(151)、第2吸着熱交換器(152)、圧縮機(153)、四路切換弁(154)、及び電動膨張弁(155)が設けられた閉回路である。この冷媒回路(150)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。冷媒回路(150)は、本発明に係る熱媒回路を構成している。
【0116】
冷媒回路(150)において、圧縮機(153)は、その吐出側が四路切換弁(154)の第1のポートに、その吸入側が四路切換弁(154)の第2のポートにそれぞれ接続されている。また、冷媒回路(150)では、第1吸着熱交換器(151)と電動膨張弁(155)と第2吸着熱交換器(152)とが、四路切換弁(154)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に接続されている。
【0117】
上記圧縮機(153)は、密閉型で高圧ドーム型に構成されている。具体的に、この圧縮機(153)は、図示はしないが、スクロール型の圧縮機構と、該圧縮機構を駆動する電動機とを、円筒状のハウジングに収納して構成されている。上記圧縮機(153)の電動機には、インバータが接続されている。このインバータは、所定の出力周波数の制御電力を電動機に供給する。電動機の回転速度は、供給された交流の周波数によって定まり、その結果、圧縮機(153)の運転容量が設定される。圧縮機(153)の容量を変更すると、それに応じて上記冷媒回路(150)における冷媒の循環量が変化し、それによって第1及び第2吸着熱交換器(151,152)の冷却能力が変化する。圧縮機(153)は、周波数側コントローラ(87)に接続され、インバータの出力周波数は、圧縮機(153)の運転周波数として周波数側コントローラ(87)に送られている。
【0118】
四路切換弁(154)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1調湿状態(図11(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2調湿状態(図11(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
【0119】
冷媒回路(150)において、圧縮機(153)の吐出側と四路切換弁(154)の第1のポートとを繋ぐ配管には、高圧圧力センサ(191)と、吐出管温度センサ(193)とが取り付けられている。高圧圧力センサ(191)は、圧縮機(153)から吐出された冷媒の圧力を計測する。吐出管温度センサ(193)は、圧縮機(153)から吐出された冷媒の温度を計測する。
【0120】
また、冷媒回路(150)において、圧縮機(153)の吸入側と四路切換弁(154)の第2のポートとを繋ぐ配管には、低圧圧力センサ(192)と、吸入管温度センサ(194)とが取り付けられている。低圧圧力センサ(192)は、圧縮機(153)へ吸入される冷媒の圧力を計測する。吸入管温度センサ(194)は、圧縮機(153)へ吸入される冷媒の温度を計測する。
【0121】
また、冷媒回路(150)において、四路切換弁(154)の第3のポートと第1吸着熱交換器(151)とを繋ぐ配管には、配管温度センサ(195)が取り付けられている。配管温度センサ(195)は、この配管における四路切換弁(154)の近傍に配置され、配管内を流れる冷媒の温度を計測する。
【0122】
以上説明した本実施形態2の調湿機構(110a)の構成を要約すると、調湿ケーシング(111)内には、吸着剤が担持された第1吸着部材としての第1吸着熱交換器(151)が配置される第1空気通路(161)と、吸着剤が担持された第2吸着部材としての第2吸着熱交換器(152)が配置される第2空気通路(162)とが形成されている。また、この調湿ケーシング(111)内には、各吸着熱交換器(151,152)を加熱または冷却する温度調節機構として上記冷媒回路(150)が設けられている。
【0123】
また、調湿ケーシング(111)内には、第1吸着熱交換器(151)を加熱して第2吸着熱交換器(152)を冷却する第1動作と第1吸着熱交換器(151)を冷却して第2吸着熱交換器(152)を加熱する第2動作を切り換える四路切換弁(154)と、上記第1空気通路(161)と第2空気通路(162)を交互に室内への空気供給経路に切り換えるダンパ(141〜148)が設けられている。
【0124】
上記冷媒回路(150)には、冷媒の循環方向を可逆に切り換えることが可能な切換機構として四路切換弁(154)が設けられている。また、冷媒回路(150)は、図11に示すように、周波数側コントローラ(87)を備えている。
【0125】
上記周波数側コントローラ(87)は、圧縮機(153)の運転周波数に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節するためのものであって、本発明に係る周波数側開度制御器を構成するものである。周波数側コントローラ(87)は、圧縮機(153)と、流量調節弁(85)とに接続されている。そして、周波数側コントローラ(87)は、圧縮機(153)の運転周波数のデータに基づいて流量調節弁(85)の開度を制御している。
【0126】
具体的には、周波数側コントローラ(87)は、圧縮機(153)の運転周波数が高くなるのに伴って流量調節弁(85)の開度を下げるようにしている。つまり、圧縮機(153)の運転周波数が高くなると、後述する第1動作及び第2動作のうち、一の動作における供給空気(SA)の温度変化が大きくなる。このような場合に、流量調節弁(85)の開度を下げると、バイパスダクト(84)へ流入する供給空気(SA)の空気量が減少する一方、給気側伝熱部(81a)へ流入する供給空気(SA)の空気量が増加する。このため、給気側伝熱部(81a)で熱交換される供給空気(SA)量が増加する。
【0127】
−運転動作−
本実施形態2の調湿機構(110a)は、除湿換気運転(除湿運転)と、加湿換気運転(加湿運転)と、単純換気運転とを選択的に行う。除湿換気運転中や加湿換気運転中の調湿機構(110a)は、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。一方、単純換気運転中の調湿機構(110a)は、取り込んだ室外空気(OA)をそのまま供給空気(SA)として室内側へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)をそのまま排出空気(EA)として室外側へ排出する。尚、本実施形態2では、単純換気運転の詳細な説明については省略する。
【0128】
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿機構(110a)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この除湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(183)及び第2バイパス用ダンパ(184)は、常に閉状態となる。
【0129】
除湿換気運転中の調湿機構(110a)では、室外空気(OA)が外気吸込口(124)から調湿ケーシング(111)内へ第1空気として取り込まれ、室内空気(RA)が内気吸込口(123)から調湿ケーシング(111)内へ第2空気として取り込まれる。
【0130】
まず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図12に示すように、この第1動作中には、第2内気側ダンパ(142)、第1外気側ダンパ(143)、第1給気側ダンパ(145)、及び第2排気側ダンパ(148)が開状態となり、第1内気側ダンパ(141)、第2外気側ダンパ(144)、第2給気側ダンパ(146)、及び第1排気側ダンパ(147)が閉状態となる。また、この第1動作中の冷媒回路(150)では、四路切換弁(154)が第2調湿状態(図11(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(151)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(152)が凝縮器となる。
【0131】
外気側通路(134)へ流入して外気側フィルタ(128)を通過した第1空気は、第1外気側ダンパ(143)を通って第1熱交換器室(137)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(151)を通過する。第1吸着熱交換器(151)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(151)で除湿された第1空気は、第1給気側ダンパ(145)を通って給気側通路(131)へ流入し、給気ファン室(136)を通過後に給気口(122)を通って給気ダクト(122a)を介して室内側へ供給される。
【0132】
一方、内気側通路(132)へ流入して内気側フィルタ(127)を通過した第2空気は、第2内気側ダンパ(142)を通って第2熱交換器室(138)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(152)を通過する。第2吸着熱交換器(152)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(152)で水分を付与された第2空気は、第2排気側ダンパ(148)を通って排気側通路(133)へ流入し、排気ファン室(135)を通過後に排気口(121)を通って排気ダクト(121a)を介して室外へ排出される。
【0133】
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図13に示すように、この第2動作中には、第1内気側ダンパ(141)、第2外気側ダンパ(144)、第2給気側ダンパ(146)、及び第1排気側ダンパ(147)が開状態となり、第2内気側ダンパ(142)、第1外気側ダンパ(143)、第1給気側ダンパ(145)、及び第2排気側ダンパ(148)が閉状態となる。また、この第2動作中の冷媒回路(150)では、四路切換弁(154)が第1調湿状態(図11(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(151)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(152)が蒸発器となる。
【0134】
外気側通路(134)へ流入して外気側フィルタ(128)を通過した第1空気は、第2外気側ダンパ(144)を通って第2熱交換器室(138)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(152)を通過する。第2吸着熱交換器(152)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(152)で除湿された第1空気は、第2給気側ダンパ(146)を通って給気側通路(131)へ流入し、給気ファン室(136)を通過後に給気口(122)を通って給気ダクト(122a)を介して室内側へ供給される。
【0135】
一方、内気側通路(132)へ流入して内気側フィルタ(127)を通過した第2空気は、第1内気側ダンパ(141)を通って第1熱交換器室(137)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(151)を通過する。第1吸着熱交換器(151)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(151)で水分を付与された第2空気は、第1排気側ダンパ(147)を通って排気側通路(133)へ流入し、排気ファン室(135)を通過後に排気口(121)を通って排気ダクト(121a)を介して室外へ排出される。
【0136】
〈熱交換動作〉
図16に示すように、第1動作及び第2動作における供給空気(SA)の温度差(ΔTSA)は、圧縮機(153)の運転周波数と比例関係となっている。すなわち、圧縮機(153)の運転周波数が高いと、供給空気(SA)の温度差(ΔTSA)も大きくなる。このため、周波数側コントローラ(87)は、圧縮機(153)の運転周波数が高くなるのに伴って流量調節弁(85)の開度を下げるようにしている。
【0137】
具体的には、図16に示すように、圧縮機(153)の周波数が比較的低いA状態であると、流量調節弁(85)の開度を高くする。そして、圧縮機(153)の周波数がA状態よりも高いB状態になると、流量調節弁(85)の開度を下げる。続いて、圧縮機(153)の周波数がB状態よりも高いC状態になると、流量調節弁(85)の開度を、さらに下げる。
【0138】
流量調節弁(85)の開度を下げると、バイパスダクト(84)へ流入する供給空気(SA)の空気量が減少する一方、給気側伝熱部(81a)へ流入する供給空気(SA)の空気量が増加する。このため、給気側伝熱部(81a)で熱交換される供給空気(SA)量が増加する。
【0139】
例えば、第1動作から第2動作に切り換わると、周波数側コントローラ(87)は、流量調節弁(85)の開度を、上記圧縮機(153)の運転周波数に応じて決定された開度にする。そして、第2バッチ動作が開始されると、給気ダクト(122a)を通過する供給空気(SA)は、給気側伝熱部(81a)を通過する一方、その一部はバイパスダクト(84)へ流入する。排気ダクト(121a)を通過する排出空気(EA)は、排気側伝熱部(81b)を通過する。そして、熱交換部(81)では、給気側伝熱部(81a)の供給空気(SA)と、排気側伝熱部(81b)の排出空気(EA)とが熱交換する。このとき、図6に示すように、前の第1動作において吸着側であった第1の吸着熱交換器(151)を通過する第2空気は、比較的低い温度から、段階的に高い温度へ遷移する。一方、前の第1動作において再生側であった第2の吸着熱交換器(152)を通過する第1空気は、比較的高い温度から、段階的に低い温度へ遷移する。この第2空気と第1空気とを熱交換させることにより、両空気の温度が平均化され、結果として供給空気(SA)の温度変化が抑えられる。一方、バイパスダクト(84)を通過する供給空気(SA)は、給気側伝熱部(81a)をバイパスして再び給気ダクト(122a)へ流入する。給気ダクト(122a)では、給気側伝熱部(81a)から流出した供給空気(SA)と、バイパスダクト(84)から流出した供給空気(SA)とが合流して室内へ供給される。
【0140】
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿機構(110a)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この加湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(183)及び第2バイパス用ダンパ(184)は、常に閉状態となる。
【0141】
加湿換気運転中の調湿機構(110a)では、室外空気が外気吸込口(124)から調湿ケーシング(111)内へ第2空気として取り込まれ、室内空気が内気吸込口(123)から調湿ケーシング(111)内へ第1空気として取り込まれる。
【0142】
まず、加湿換気運転の第1動作について説明する。図14に示すように、この第1動作中には、第1内気側ダンパ(141)、第2外気側ダンパ(144)、第2給気側ダンパ(146)、及び第1排気側ダンパ(147)が開状態となり、第2内気側ダンパ(142)、第1外気側ダンパ(143)、第1給気側ダンパ(145)、及び第2排気側ダンパ(148)が閉状態となる。また、この第1動作中の冷媒回路(150)では、四路切換弁(154)が第2調湿状態(図11(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(151)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(152)が凝縮器となる。
【0143】
内気側通路(132)へ流入して内気側フィルタ(127)を通過した第1空気は、第1内気側ダンパ(141)を通って第1熱交換器室(137)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(151)を通過する。第1吸着熱交換器(151)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(151)で水分を奪われた第1空気は、第1排気側ダンパ(147)を通って排気側通路(133)へ流入し、排気ファン室(135)を通過後に排気口(121)を通って排気ダクト(121a)を介して室外へ排出される。
【0144】
一方、外気側通路(134)へ流入して外気側フィルタ(128)を通過した第2空気は、第2外気側ダンパ(144)を通って第2熱交換器室(138)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(152)を通過する。第2吸着熱交換器(152)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(152)で加湿された第2空気は、第2給気側ダンパ(146)を通って給気側通路(131)へ流入し、給気ファン室(136)を通過後に給気口(122)を通って室内側へ供給される。
【0145】
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。図15に示すように、この第2動作中には、第2内気側ダンパ(142)、第1外気側ダンパ(143)、第1給気側ダンパ(145)、及び第2排気側ダンパ(148)が開状態となり、第1内気側ダンパ(141)、第2外気側ダンパ(144)、第2給気側ダンパ(146)、及び第1排気側ダンパ(147)が閉状態となる。また、この第2動作中の冷媒回路(150)では、四路切換弁(154)が第1調湿状態(図11(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(151)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(152)が蒸発器となる。
【0146】
内気側通路(132)へ流入して内気側フィルタ(127)を通過した第1空気は、第2内気側ダンパ(142)を通って第2熱交換器室(138)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(152)を通過する。第2吸着熱交換器(152)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(152)で水分を奪われた第1空気は、第2排気側ダンパ(148)を通って排気側通路(133)へ流入し、排気ファン室(135)を通過後に排気口(121)を通って排気ダクト(121a)を介して室外へ排出される。
【0147】
一方、外気側通路(134)へ流入して外気側フィルタ(128)を通過した第2空気は、第1外気側ダンパ(143)を通って第1熱交換器室(137)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(151)を通過する。第1吸着熱交換器(151)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(151)で加湿された第2空気は、第1給気側ダンパ(145)を通って給気側通路(131)へ流入し、給気ファン室(136)を通過後に給気口(122)を通って室内側へ供給される。
【0148】
−実施形態2の効果−
上記実施形態2によれば、圧縮機(153)の運転周波数に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節するようにしたため、供給空気(SA)の温度に応じて熱交換させる空気量を調節することができる。また、圧縮機(153)の運転周波数が高くなるのに伴って、流量調節弁(85)の開度を下げるようにしたため、供給空気(SA)が高温である場合に、熱交換部(81)で熱交換される供給空気(SA)の空気量を増加させることができる。つまり、供給空気(SA)の温度等を検知するセンサを用いることなく熱交換部(81)の熱交換量を調節することができる。これにより、室内へ供給される供給空気(SA)の温度変動を抑制することができると共に、調湿装置(110)の製造コストを低減させることができる。
【0149】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態2について、以下のような構成としてもよい。
【0150】
上記実施形態2では、バイパスダクト(84)を実施形態1と同様に給気ダクト(122a)に設けるようにしたが、実施形態2に係るバイパスダクト(84)は、実施形態1に係る変形例と同様に排気ダクト(121a)に設けるようにしてもよい。
【0151】
上記実施形態2では、調湿機構(110a)の圧縮機(153)の運転周波数に応じて流量調節弁(85)の開度を調節するようにしたが、該流量調節弁(85)の開度は、吐出管温度センサ(193)の計測した圧縮機(153)から吐出された冷媒の温度に基づいて調節するようにしてもよい。
【0152】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0153】
以上説明したように、本発明は、室内へ供給する調湿空気の温度調節をする熱交換機構を備えた調湿装置について有用である。
【符号の説明】
【0154】
10a 除湿機構
11 除湿ケーシング
21a (実施形態1に係る)排気ダクト
23a (実施形態1に係る)給気ダクト
61 第1吸着素子
62 第2吸着素子
80 熱交換機構
81 熱交換部
82 給気温度センサ
83 排気温度センサ
84 バイパスダクト
85 流量調節弁
86 温度側コントローラ
87 周波数側コントローラ
110a 調湿機構
111 調湿ケーシング
121a (実施形態2に係る)排気ダクト
122a (実施形態2に係る)給気ダクト
150 冷媒回路
151 第1吸着熱交換器
152 第2吸着熱交換器
153 圧縮機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を空気が流れるケーシング(11,111)に収容され且つ空気中の水分が吸着される第1及び第2の吸着部材(61,62,151,152)を備え、該第1の吸着部材(61,151)で空気中の水分を吸着させると共に第2の吸着部材(62,152)を加熱再生させる第1動作と、第2の吸着部材(62,152)で空気中の水分を吸着させると共に第1の吸着部材(61,151)を加熱再生させる第2動作とを交互に行い、各吸着部材(61,62,151,152)を通過した空気の一方を供給空気(SA)として室内側へ供給する共に、他方を排出空気(EA)として室外へ排出する調湿機構(10a,110a)を備えた調湿装置であって、
上記供給空気(SA)と排出空気(EA)とを熱交換して供給空気(SA)の温度を調節する熱交換機構(80)を備えている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記調湿機構(10a,110a)は、該調湿機構(10a,110a)から室内まで延びると共に供給空気(SA)が通過する供給空気通路(23a,122a)と、
調湿機構(10a,110a)から室外まで延びると共に排出空気(EA)が通過する排出空気通路(21a,121a)とを備え、
上記熱交換機構(80)は、供給空気通路(23a,122a)を通過する供給空気(SA)と排出空気通路(21a,121a)を通過する排出空気(EA)との間で熱交換させる熱交換部(81)を備えている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記供給空気通路(23a,122a)又は排出空気通路(21a,121a)には、少なくとも何れか一方に、上記熱交換部(81)をバイパスするバイパス空気通路(84)が形成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記熱交換機構(80)は、バイパス空気通路(84)を通過する空気の流量を調節する流量調節弁(85)を備えている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記熱交換機構(80)は、供給空気(SA)又は排出空気(EA)の温度に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節する温度側開度制御器(86)を備えている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項6】
請求項5において、
上記温度側開度制御器(86)は、第1動作及び第2動作の何れか1つの動作中における供給空気(SA)及び排出空気(EA)の温度の最大値と最小値との差分に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節するよう構成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記熱交換機構(80)は、供給空気通路(23a,122a)における熱交換部(81)の空気の上流側で供給空気(SA)の温度を検知する第1の温度検知器(82)と、
上記排出空気通路(21a,121a)における熱交換部(81)の空気の上流側で排出空気(EA)の温度を検知する第2の温度検知器(83)とを備えている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項8】
請求項4〜7の何れか1つにおいて、
上記調湿機構(10a,110a)は、圧縮機(153)を有し、熱媒体流体が循環する熱媒回路(150)に構成されると共に、第1及び第2動作において上記各吸着部材(151,152)の一方を加熱し他方を冷却する温度調節機構(150)を備え、
上記熱交換機構(80)は、圧縮機(153)の運転周波数に基づいて流量調節弁(85)の開度を調節する周波数側開度制御器(87)を備えている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項9】
請求項8において、
上記周波数側開度制御器(87)は、圧縮機(153)の運転周波数が高いほど、流量調節弁(85)の開度を下げるよう構成されている
ことを特徴とする調湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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