説明

調理器

【課題】容器内面を見やすくし、調理準備をしやすくする調理器を提供する。
【解決手段】鍋2と、鍋2を撮像する鍋2の外周に配設された撮像手段8と、操作表示パネル10に表示画面11を備え、撮像手段8による鍋内面2aの画像を操作表示パネル10の表示画面11で表示することにより、鍋内面2aを操作表示パネル10で視認でき、鍋内面2aの様子が非常に見やすくなるとともに、所定状態で、鍋2内から発生する蒸気が撮像手段8に当ることを防いで、撮像手段8の保護ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段を備えた調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すような調理器では、調理準備は容器内面の水位表示部を目安に行っていた。
【特許文献1】特開平2−36815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の調理器では、容器内面が見にくく使用上のストレスとなっていた。また容器内面が見難い事により、調理準備を誤れば、調理物が硬くなったり柔らかくなったり、場合によって吹きこぼれが生じたり、芯残りのある調理物になってしまう問題点があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決して、容器内面を見やすくし、調理準備をしやすくする調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明の調理器では、容器と、前記容器を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の画像を表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明の調理器では、前記撮像手段を前記容器の外周に配設したことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明の調理器では、前記表示手段を、前方に配設したことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明の調理器では、前記表示手段は、蓋を開いた状態で前記画像を表示可能としたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明の調理器では、前記表示手段は、蓋を閉じた状態で調理に関する情報を表示可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明の調理器では、前記容器に、水位を表示する水位表示部を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明の調理器では、前記画像を、前記撮像手段からの情報を直接または間接的に映像化したものとする変換手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明の調理器では、前記画像の拡大または縮小表示を可能とする変倍手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明の調理器では、前記表示手段を照明する表示照明手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明の調理器では、被撮像部を照明する撮像照明手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、撮像手段による画像を表示手段で表示することにより、容器の内面を表示手段で視認でき、容器内面の様子が非常に見やすくなる。
【0016】
請求項2の発明によれば、所定状態時の蒸気が撮像手段に当ることを防いで、撮像手段の保護ができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、容器内面が表示手段で視認でき、表示手段を目安に調理準備を行うことができ、調理準備がしやすくなる。
【0018】
請求項4の発明によれば、容器を調理器本体に入れた状態で容器内面を容易に視認することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、蓋を閉じた状態では調理に関する情報を、蓋を開いた状態では容器内面を表示することができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、適正な水位を容易に調整することできる。
【0021】
請求項7の発明によれば、表示手段の画像をガイドにして、調理準備が容易に可能となり、また調理準備の精度が向上する。
【0022】
請求項8の発明によれば、表示手段の画像を縮小して表示を行えば、容器内を広範囲で視認することが可能となり、また拡大して表示を行えば、容器内の視認性が向上し、調理準備等の使用性が向上する。
【0023】
請求項9の発明によれば、表示手段に表示される画像を明るくすることで視認性を向上させ、表示手段に表示された画像内の容器内の視認性を向上させる。
【0024】
請求項10の発明によれば、光量が少ない場所でも容器内の視認性を向上させ、調理準備等の使用性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明における炊飯器の好ましい各実施例を説明する。
【実施例1】
【0026】
まず、図1乃至図5に基づき、本発明の一例である炊飯器の構成について説明する。この炊飯器の構成は、以下に説明する各実施例に共通するものである。
【0027】
同図において、1は炊飯器の外郭をなす有底筒状の炊飯器本体であり、炊飯器本体1内には、米や水などの被調理物を収容する有底筒状の鍋2が着脱自在に収容される。
【0028】
3は、炊飯器本体1の上面開口部、つまり鍋2の上面開口部を開閉自在に覆う蓋に相当する蓋体である。この蓋体3は、炊飯器本体1の上方後部においてヒンジ装置4により回動可能に枢設されている。蓋体3の下面にはシール部材としてシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材により環状に形成されたパッキン5を設けており、このパッキン5は鍋2の上面に当接して鍋2と蓋体3との間の隙間を塞ぎ、鍋2から発生する蒸気を密封するものである。
【0029】
鍋2の上面開口部の上側外周囲に配置されたヒンジ本体7内部に備えた撮像手段8のレンズ(図示せず)および照明手段9は、鍋2内部に向けて配設されている。
【0030】
10は、炊飯器本体1の前面上方に設けられた表示手段としての表示画面11にカラーLCD、EL素子又はLED等を用いた操作表示パネルである。操作表示パネル10の設定手段12を操作することにより被調理物の炊飯メニュー等の加熱情報を入力可能としている。ここでの操作表示パネル10としては、表示手段としての表示画面11と操作手段としての各種設定手段12が一体化したタッチ式パネル(タッチパネル)が好ましいが、表示手段および操作手段はこれに限定されるものではない。また、操作表示パネル10の表示画面11の面方向を上向きに設けることで、視認性を向上させることが可能となる。尚、操作表示パネル10の設置箇所は、蓋体3を開いた状態で炊飯器本体1前方より表示画面11が視認可能な位置であれば、炊飯器本体1前方上部に限定されるものではない。
【0031】
図2に示すように、鍋2の内面には、鍋2内部における水位L1または被調理物高さとして水位L1や米等の量L2を示す水位表示部としての水位線13が形成されている。ここで水位線13は、刻印により鍋内面2aに凹凸が形成されたもの、或いは鍋内面2a表面の色とは異なる色で印刷されたもの等からなる。
【0032】
続いて図3に基づきヒンジ本体7内部の構成を説明する。
【0033】
ヒンジ本体7は、ヒンジ外板14とヒンジ内板15及びこれらの両側の側面板(図示せず)からなる箱状に形成されたものである。
【0034】
撮像手段8、つまりカメラ手段は、被撮影物の形状や色を認識できるCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサと呼ばれる撮像素子のCCDカメラやC−MOS(CMOS)カメラ等から構成され、先端部にレンズ(図示せず)を備えているものである。
【0035】
照明手段9は、撮像手段8の各種動作や作用を補助する手段として、撮像時に鍋内面2a、特に水位線13付近を照明して撮像時の鍋2内の明るさを確保するものである。ここで、照明手段9は真空電球を用いてもよいが、鍋2内部の被調理物をより自然光に近づけて撮像する為には白色光がよく、例えばクリプトン電球を用いることが好ましい。
【0036】
上記で説明した撮像手段8と照明手段9はヒンジ本体7内に配設され、このヒンジ本体7を構成するヒンジ外板14に固定されて配設される。
【0037】
また、ヒンジ内板15には、撮像手段8により鍋2内の被調理物の映像等を検出する為の撮像手段8用の集光部としての貫通部である撮像孔16と、照明手段9で鍋2内の被調理物を照明する為の照明手段9用の集光部としての貫通部である照明孔17が設けられている。
【0038】
18は、電磁波を通さない電磁波シールド性を有し、耐熱性の高い金属板からなる遮蔽板で、ヒンジ内板15に設けた撮像孔16および照明孔17と、撮像手段8および照明手段9との間に配設され、ヒンジ内板15に回動自在に備えた軸部材19を軸に回動自在に設けたものである。
【0039】
20は、例えばウォームギアまたはラックギア(いずれも図示せず)等の駆動力伝達機構であり、遮蔽板18に後述する遮蔽板駆動機構21からの駆動力を前記軸部材19に備えたギア等の伝達部材を介して伝達し、遮蔽板18を撮像孔16および照明孔17を閉塞する閉口位置(図3参照)から撮像孔16および照明孔17を開口する開口位置(図示せず)まで回転移動を可能にするものである。
【0040】
21は例えば直流モータ等からなる遮蔽板駆動機構21で、駆動力伝達機構20を介して遮蔽板18を作動させる動力源となるものである。
【0041】
ここで、遮蔽板18の開閉動作機構は、遮蔽板駆動機構21からの駆動力を駆動力伝達機構20を介して、ヒンジ内板15に回動自在に軸支された遮蔽板18を回転させて行うものである。
【0042】
これら遮蔽板18、駆動力伝達機構20及び遮蔽板駆動機構21を総称して遮蔽手段22と称す。
【0043】
図5に炊飯器の電気的構成を示す。炊飯器に備えた制御手段23は、マイクロコンピュータ(図示せず)に記憶手段(図示せず)に予め記憶されたプログラムの制御シークエンスに従って、炊飯や保温の加熱行程等の各種制御を行うものであり、この制御手段23の入力側には、撮像手段8、操作表示パネル10に備えた操作手段としての設定手段12、鍋2の温度を検出するための温度センサ24等が接続されており、制御手段23の出力側には、操作表示パネル10に備えた表示手段としての表示画面11、加熱手段としての電磁誘導加熱手段25、撮像照明手段としての照明手段9、操作表示パネル10の表示画面11を照明する表示照明手段としてのバックライト26、遮蔽板駆動機構21、ブザー等の報知手段27等が接続されている。
【0044】
次に、上記の構成の炊飯器の作用効果について説明する。まずは上記炊飯器において鍋2内に載置された被調理物の加熱調理設定は、操作表示パネル10を操作して行う。
【0045】
操作表示パネル10の表示画面11には、例えば図4に示すような蓋体3が開いた状態では撮像手段8による鍋2内部の映像が表示され、また図1に示すように蓋体3が閉じた状態では、加熱温度、加熱時間や調理法方等の炊飯の調理メニューに関する情報が表示される。そして例えば、操作表示パネル10の表示画面11を四分割にした領域上段に、現在の被調理物温度が表示されており、その被調理物温度下部には設定温度が表示されている。但し、操作表示パネル10の表示については、前記構成に限定されるものではない。
【0046】
操作表示パネル10下部に設置された被調理物の温度設定ボタン、加熱開始ボタンや加熱停止ボタン等の設定手段12により被調理物加熱情報を入力する。
【0047】
ここで、操作表示パネル10にタッチ式パネルを用いた具体的設定について一例を説明する。
【0048】
被調理物の仕上り温度を設定したい場合、操作表示パネル10の設定温度(例えばご飯設定温度)領域にタッチすると設定温度色が変わり、例えば赤字となる(基は黒字)。
【0049】
この状態で操作表示パネル10に備えた温度設定ボタン(図示せず)を操作して適温を設定する。
【0050】
温度設定ボタン(図示せず)を押す事により操作表示パネル10に表示された設定温度は、赤字から青字へと変わる。
【0051】
これで設定領域が使用者にとって明確となる。ここで、操作表示パネル10に備えた設定手段12を操作する際に、設定手段12の操作を感知した制御手段23によりバックライト26が点灯され表示画面11を照明する。
【0052】
以上の設定手順で各領域設定を行い、設定完了後に加熱開始ボタン(図示せず)を押すと制御手段23から制御信号が出力され電磁誘導加熱手段25による被調理物加熱が開始される。
【0053】
被調理物の加熱調理時には被調理物温度として鍋2の温度を検出する温度センサ24が常に検温を行い、操作表示パネル10の被調理物の現在温度を表示する温度表示部(例えば設定温度)へ情報を送り最新情報として表示している。
【0054】
又、被調理物の温度情報は炊飯器本体1内に設けられた制御手段23へ送られ、被調理物設定温度と比較する事で加熱強弱或いは、加熱継続、終了の判断を行う。
【0055】
加熱調理時は、電磁誘導加熱手段25が作動し鍋2内に電磁波が放射されている。この電磁波により鍋2の発熱体(図示せず)が加熱され、この加熱された鍋2によって鍋2内部の被調理物が加熱調理される。
【0056】
加熱が進み、予め設定した被調理物設定温度、又は設定加熱時間に達し、被調理物の加熱調理が終了すると、報知手段27等により終了を報知する。
【0057】
続いて、撮像手段8を介して鍋2内の被調理物情報を検出するヒンジ本体7と撮像手段8の構造による作用効果について、被調理物情報検出の流れに基づき、詳細に説明する。
【0058】
図4に示すように使用者が炊飯器の蓋体3を開けると同時に、制御手段23は図3に示す遮蔽板駆動機構21を作動させると、蓋体3を閉じた状態では予め閉口位置(図3参照)にある遮蔽板18は、駆動力伝達機構20を介して遮蔽板駆動機構21の駆動力が伝達されると、軸部材19を回転軸として開口位置へと回転移動して、ヒンジ内板15の撮像孔16および照明孔17が開口する。
【0059】
また使用者が蓋体3を開けると同時に、制御手段23により照明手段9が点灯されると、開口された照明孔17を通じて照明手段9の光が鍋内面2aを照明すると共に、撮像手段8による鍋内面2aの水位線13と鍋2内の被調理物の撮像が行われる。
【0060】
撮像手段8による撮像映像としての鍋内面2aの画像は、図1に示す様に炊飯器本体1の前面上部に設けた操作表示パネル10の表示画面11上に鍋2内の被調理物としての水の水位L1および米等の量L2と水位線13付近の映像として表示される(図2参照)。
【0061】
また、被調理物として水および米等を鍋2内に載置する様子も操作表示パネル10上の撮像画像として確認することができる。
【0062】
この場合、鍋2内に入れられた被調理物の情報として、例えば撮像手段8によって鍋内面2aの被調理物の映像を検出する事ができ、被調理物の分別加熱に必要な認識情報を得ることができる。
【0063】
一方、照明手段9は、図1に示すように炊飯器の蓋体3が閉められると同時に制御手段23により消灯され、又、遮蔽板18も蓋体3が閉められると同時に制御手段23により遮蔽板駆動機構21が作動されると、開口位置にある遮蔽板18は、駆動力伝達機構20を介して遮蔽板駆動機構21の駆動力が伝達されると、軸部材19を回転軸として閉口位置へと回転移動して、撮像孔16および照明孔17を閉口させる。
【0064】
そして開閉動作する遮蔽板18によって、図1に示すように蓋体3が閉められた状態では撮像孔16および照明孔17が閉口されることにより、電磁誘導加熱手段25からの電磁波により加熱される鍋2により鍋2内の被調理物が加熱されている状態でも電磁誘導加熱手段25からの電磁波を遮蔽することで、電磁誘導加熱手段25による被調理物の加熱中に電磁誘導加熱手段25から発振された電磁波が、ヒンジ内板15に設けた撮像孔16または照明孔17からヒンジ本体7内部に漏れることを防止することで、撮像手段8等の信号の乱れを防止して、撮像手段8および照明手段9の動作異常や撮像手段8による撮像映像の乱れを防止することができ、また鍋2内からの熱伝播を遮蔽したり、或いは撮像手段8や照明手段9等の汚れを防止することができる。
【0065】
このように、撮像孔16を遮蔽板18によって閉口可能に設けたことにより、これらの情報を検出する為の撮像手段8を熱や電磁波から遮蔽する事ができ、安定した調理が可能となる炊飯器を提供することができる。
【0066】
図1に示すようにヒンジ装置4は鍋2の上面開口部の上側外周囲に設けており、そのヒンジ本体7内部に撮像手段8が設けられたことで、食材または調理方法により様々な高さが想定される鍋2内の被調理物高さに対応して、被調理物としての水位L1又は米等の量L2、そして水位線13に対して常に斜め上からの撮像を行うことが可能となる。
【0067】
照明手段9を撮像手段8近くのヒンジ本体7内部に設置したことにより、鍋2内を撮像する際に照明手段9の光を鍋2内に効率よく照射することが可能となる。
【0068】
撮像手段8の焦点位置は、その焦点位置より手前である遮蔽板18位置で焦点ボケが生じるように鍋2内に載置された被調理物に合わせて設定している為、被調理物の映像を鮮明に撮影することができる。
【0069】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、撮像手段8による鍋内面2a画像を操作表示パネル10の表示画面11で表示することにより、鍋2の内面を操作表示パネル10で視認でき、鍋内面2aの様子が非常に見やすくなる。
【0070】
また請求項2に対応しており、撮像手段8のレンズ(図示せず)や集光部である撮像孔16を鍋2の上面開口部の上側外周囲に配設している。
【0071】
この場合、蓋体3を閉じた状態で、炊飯時に鍋2内から発生する蒸気が撮像手段8に当ることを防いで、撮像手段8の保護ができる。また蓋体3開閉時に撮像手段8が邪魔にならず炊飯器の構造を簡素化できる。
【0072】
さらに請求項3に対応しており、操作表示パネル10による表示画面11を目安に鍋2内の水加減を行うことができ、水位合わせがしやすくなる。
【0073】
また請求項4に対応しており、鍋2を炊飯器本体1に入れた状態で鍋内面2aの水位線13、被調理物として米等の量L2および水位L1等を容易に視認することができる。
【0074】
さらに請求項5に対応しており、蓋体3を閉じて炊飯を行うときには、炊飯メニューや、炊飯操作や、炊飯,保温またはタイマーの状態や、時計等の炊飯に関する情報を、蓋体3を開いた状態のときに鍋内面2aの映像を表示するものと同一の表示手段である操作表示パネル10に表示することができる。また蓋体3が開いた状態と蓋体3が閉じた状態での表示手段を共用の操作表示パネル10とすることで炊飯器の構造を簡素化できる。
【0075】
また請求項6に対応しており、米等の量L2に対する適正な水位L1を容易に調整することできる。
【0076】
さらに請求項9に対応しており、操作表示パネル10の表示画面11に表示される鍋内面2a画像を明るく表示することで視認性を向上させ、操作表示パネル10に表示された鍋内面2a画像内の水位線13の視認性を向上させる。
【0077】
また請求項10に対応しており、光量が少ない場所でも鍋内面2aの水位線13の視認性を向上させ、鍋2内の水位合わせ等の使用性が向上する。
【0078】
尚、操作表示パネル10における表示方法はここで述べた上記実施例に限る必要はない。
【0079】
例えば鍋2内に小さな被調理物が載置された場合、撮像手段8で撮像した画像を操作表示パネル10上に写すと非常に小さな画像で表示される。
【0080】
この様な場合には、図6に示すように撮像手段8に変倍表示手段28を設けて、撮像手段8により検出した被調理物情報より変倍表示手段28を作動させて操作表示パネル10の表示画面11に適宜変倍させて拡大表示又は縮小表示させてもよい。
【0081】
この変倍表示手段28は、投写レンズ(図示せず)を構成する複数レンズ群の光軸方向位置関係を変化させる事により、画像の変倍を行うズーム(変倍)動作やレンズの焦点位置の調整を行う動作としてフォーカシング(焦点位置調整動作)を行う事が可能なものである。
【0082】
又、前記変倍表示手段28の変形例としては、図7に示すように撮像手段8からの画像を制御手段23の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムに従って電気的処理により操作表示パネル10の表示画面11上に適切な大きさとして適宜変倍させて拡大表示又は縮小表示させるものでもよい。
【0083】
また、これら変倍表示手段28による鍋内面2a画像の変倍表示については、設定手段12に備えた変倍操作手段(図示せず)を操作することにより変更可能としてもよい。
【0084】
上記変形例では請求項8に対応しており、鍋内面2a画像の拡大または縮小表示を可能とする変倍表示手段28を備えている。
【0085】
この場合、操作表示パネル10の鍋内面2a画像を縮小して表示を行えば、鍋2内を広範囲で視認することが可能となり、また拡大して表示を行えば、鍋2内の水位線13と被調理物としての水位L1および米等の量L2との境界の水位合わせ部分の視認性が向上し、水位合わせ等の使用性が向上する。
【0086】
さらに図1乃至図5に示す上記第1実施例では鍋2内に入れられた被調理物の情報を得る手段として被調理物を撮像する撮像手段8を用いた構成について説明したが、この本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいてはこの限りではなく、例えば被調理物温度を検出する検温手段を備えたり、被調理物の重量や面積、体積(ボリューム)、高さ等の情報を検出してもよい。又、上記第1実施例に示すように撮像手段8のみでも、検温手段のみでも勿論よい。
【0087】
更に撮像手段8前面に赤外光領域を投下させるフィルターを設けて、このフィルターを介して得られた画像情報より鍋2内部の温度情報を同時に検出する事も可能である。
【0088】
また、ヒンジ内板15に設けられた撮像孔16を遮蔽板18等によって塞がない時でも電磁波が漏れない本発明の別の実施形態について説明する。
【0089】
図3に示したヒンジ内板15に設けている撮像孔16の孔径Rや高さHは使用する電磁波の波長により決める。
【0090】
上記第1実施例の電磁誘導加熱手段25から放射される電磁波周波数が2.45GHzで、波長(λ)は12.2cmとすると、λ/4時に撮像孔16でインピーダンス無限大となり電磁波遮蔽効率が大きくなる。即ち、撮像孔16直径は約30mmである。
【0091】
実際には、電磁波損失や減衰等の影響がある為、上記第1実施例において撮像孔16の孔径Rは15mm以下が好ましい(図3参照)。
【0092】
この場合、被調理物を撮像する撮像手段8や撮像時の照明手段9を鍋2内からの熱や電磁波を遮蔽する遮蔽板18並びに遮蔽板駆動機構21を取り除く事ができ、安価な炊飯器を提供する事ができる。
【0093】
また、ガラス等の透明で耐熱性有する部材の表面に電磁波を遮蔽するメッシュ状導電性膜を製膜したもの、つまり導電性膜を有する耐熱部材を、撮像孔16または照明孔17に貼り合わせてもよい。
【0094】
この場合、被調理物を撮像する撮像手段8や撮像時の照明手段9を鍋2内からの熱や電磁波を遮蔽する遮蔽板18並びに遮蔽板駆動機構21を取り除く事ができ、安価な炊飯器を提供する事ができる。
【実施例2】
【0095】
次に、本発明の第2実施例を図8に基づき説明する。なお、前記第1実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0096】
本実施例では、制御手段23に表示変換手段29を備えている。表示変換手段29とは、撮像手段8により撮像された鍋内面2a画像を直接そのまま操作表示パネル10の表示画面11に表示する直接表示、或いは前記鍋内面2a画像を絵、線またはこれらを組み合せたものに加工して間接的に表示画面11に表示する間接表示とに表示可能とするものである。この表示変換手段29による操作表示パネル10の表示画面11での撮像画像の直接表示又は間接表示については、設定手段12に備えた表示切替手段(図示せず)を操作することにより直接表示又は間接表示を切替可能としてもよい。
【0097】
上記実施例では請求項7に対応しており、撮像手段8からの鍋内面2aの水位線13および被調理物である米や水等の撮像データ情報を直接表示または撮影データ情報をデジタル処理などを行い、線、絵やこれらの組み合せ等からなる間接的映像に加工して映像化したものとする表示変換手段29を備えている。
【0098】
この場合、操作表示パネル10の表示画面11に表示された鍋内面2aの画像をガイドに鍋2内の水位L1および米等の量L2の調整が容易に可能となり、また水位合わせの精度が向上する。
【0099】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上記各実施例に示した構成を適宜組み合せることによる様々な変形実施が可能であり、例えば、炊飯器に表示変換手段29と変倍表示手段28を同時に備えてもよい。また、炊飯器の構成については、適宜変更可能である。さらに、蓋体3の開閉状態を検知するホール素子等を炊飯器の蓋体3又は炊飯器本体1に備えて、ホール素子等からの蓋体3が開いた状態(図4参照)を示す検出信号が制御手段23に送信された場合には、操作表示パネル10に撮像手段8による鍋内面2a画像を表示し、また、ホール素子等からの蓋体3が閉じた状態(図1参照)を示す検出信号が制御手段23に送信された場合には、操作表示パネル10に炊飯メニュー,炊飯操作タイマー時間、時計等の炊飯に関する情報を表示して、操作表示パネル10の表示を切替える構成としても構わないものとする。また、鍋2の加熱手段は、電磁誘導加熱手段による誘導加熱方式に限定されるものではなく、ヒータ線を用いた抵抗加熱方式としても構わないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1実施例における炊飯器の概略断面図である。
【図2】同上、撮像手段によって撮影された鍋内面の図である。
【図3】同上、ヒンジ装置付近を示す断面図である。
【図4】同上、図1において蓋を開けた状態を示す概略断面図である。
【図5】同上、炊飯器の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】同上、別の実施形態における電気的構成を示すブロック図である。
【図7】同上、さらに別の実施形態における電気的構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施例における電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0101】
1 炊飯器本体
2 鍋(容器)
3 蓋体(蓋)
8 撮像手段
9 照明手段(撮像照明手段)
11 表示画面(表示手段)
13 水位線(水位表示部)
26 バックライト(表示照明手段)
28 変倍表示手段(変倍手段)
29 表示変換手段(変換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、前記容器を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の画像を表示する表示手段を備えたことを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記撮像手段を前記容器の外周に配設したことを特徴とする請求項1記載の調理器。
【請求項3】
前記表示手段を、前方に配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の調理器。
【請求項4】
前記表示手段は、蓋を開いた状態で前記画像を表示可能としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項5】
前記表示手段は、蓋を閉じた状態で調理に関する情報を表示可能としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項6】
前記容器に、水位を表示する水位表示部を設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項7】
前記画像を、前記撮像手段からの情報を直接または間接的に映像化したものとする変換手段を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項8】
前記画像の拡大または縮小表示を可能とする変倍手段を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項9】
前記表示手段を照明する表示照明手段を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項10】
被撮像部を照明する撮像照明手段を備えたことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−30766(P2011−30766A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179891(P2009−179891)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】