調理用ガスバーナー組立体及びその組立方法
【課題】本発明は、分配器、ガスマニホールド及びカップを含む調理用ガスバーナー組立体並びにその組立方法を提供する。
【解決手段】カップはガスマニホールドと分配器との間に組み立てられる。分配器とカップを組立てる方法は、分配器に下方へ延びた複数の差込部を設け、差込部を受ける複数の凹部を有するカップを設ける工程を含み、凹部は、ベース面を含み分配器が冷却時に比べて高温になった場合に、分配器の熱膨張によってカップと分配器との間の接触面が実質的に増加しないような寸法及び/又は形状に形成される。バーナー組立体はキャップと分配器とを有し、分配器は複数の火炎ポートを有する内外クラウンとそれを横切る点火通路を含み、キャップは貫通孔を有し、キャップと分配器の組立時に、貫通孔が点火通路の上方に位置するように構成され。
【解決手段】カップはガスマニホールドと分配器との間に組み立てられる。分配器とカップを組立てる方法は、分配器に下方へ延びた複数の差込部を設け、差込部を受ける複数の凹部を有するカップを設ける工程を含み、凹部は、ベース面を含み分配器が冷却時に比べて高温になった場合に、分配器の熱膨張によってカップと分配器との間の接触面が実質的に増加しないような寸法及び/又は形状に形成される。バーナー組立体はキャップと分配器とを有し、分配器は複数の火炎ポートを有する内外クラウンとそれを横切る点火通路を含み、キャップは貫通孔を有し、キャップと分配器の組立時に、貫通孔が点火通路の上方に位置するように構成され。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理台の一部として、或いはそれとは別にそれに取付けられて形成された改良された調理用ガスバーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスの調理用バーナーが点火された後、バーナーへのガス供給部が加熱される。このガス供給部の加熱は意識せずに行われ、バーナーへのガス流を少なくして、バーナーによって供給されるパワーを減少させる。この効果は、ガスが一次空気と予め混合されていようといまいと明らかである。パワーの損失の程度は、主としてバーナーへ流れるガスの温度に関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52−127345
【特許文献2】特開2003−083516
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は調理用ガスバーナーを改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、分配器、ガスマニホールド及びカップを含み、前記カップは前記ガスマニホールドと前記分配器との間に設けられている調理用ガスバーナーを提供する。
【0006】
前記分配器は一次空気と供給ガスとの混合手段を含んでよい。
前記分配器は、一次空気を前記混合手段に引き込む孔を含んでよい。
【0007】
前記カップは、一次空気を前記混合手段に引き込む通路の下側を形成してよい。
【0008】
前記ガスマニホールドは前記カップから離れて設けられている。
【0009】
前記ガスマニホールドとカップが、前記マニホールドとカップとの間に垂直に延在するポストによって、相互から離隔している。
【0010】
少なくとも一つの前記ポストが、前記マニホールドから上方に延在する少なくとも一つの通路の壁を有し、この壁によって前記マニホールドは供給ガスを前記混合手段に送り込む。
【0011】
前記マニホールドと前記カップとの間の最小間隔は約5mmである。
【0012】
前記分配器は、5〜20平方ミリ間の前記カップとの接触領域を有する。
【0013】
前記分配器がその周囲にスカート部を有し、前記スカート部は前記孔を含み、それによって前記孔の底縁が前記カップによって提供される。
【0014】
前記スカート部の前記孔を含まない部分は、小組立体の前記カップと接触していない部分である。これらの部分は、前記カップから5〜20mmだけ離隔している。
【0015】
前記マニホールドは二片からなる構造を有する。
【0016】
ガスマニホールドが概ね平らな構造を有する本体部分を有している。
【0017】
前記分配器と前記カップとの間、或いは前記カップと前記マニホールドとの間の接触箇所には、断熱部材が設けられている。
【0018】
前記カップが、前記ガスバーナーを調理器具の台に固定する手段を提供している。別の例では、前記カップが調理用器具の台に一体的に形成されている。
【0019】
前記分配器が、前記カップに係合するように下方の延びた差込部を含んでよい。
【0020】
前記差込部が、点、平坦面及び一部回転長円形面のいずれか一つで終端している。
【0021】
前記カップが前記差込部を受ける凹部を有する。
【0022】
前記凹部又は差込部が、前記分配器が熱膨張によって寸法変化を生じるときに、前記カップと前記分配器との接触領域が実質的に変化しないような形状に形成されている。
【0023】
前記凹部は細長い形状を有している。前記細長い形状は、前記バーナーの中心から出発する事実上の半径上に実質的に存在するか或いは事実上の半径と実質的平行な主軸を有してよい。
【0024】
前記凹部が楕円状の断面を有してよい。
【0025】
前記凹部が細長い概ね水平なベースを有し、前記ベースは好ましくは前記凹部と概ね同じ形状を有してよい。
【0026】
前記凹部と差込部は、それぞれ傾斜した構造を有してよい。
【0027】
前記凹部が前記差込部よりも浅い傾斜を有してよい。
【0028】
前記差込部が前記カップの表面をスライド可能である。
【0029】
本発明は、更に、調理用ガスバーナーの分配器とカップとを組立てる方法を提供し、前記方法は、下方へ延在する差込部を有する分配器を設け、前記差込部を受けるための凹部を有する前記カップを設ける工程を含み、前記凹部はベース面を有し、前記凹部は、前記分配器の熱膨張によって前記分配器が冷却時に比べて高温になったときに、前記カップと前記分配器との間の接触面が実質的に増大しないような寸法及び/又は形状に形成されている。
【0030】
前記方法において、前記差込部の先端がスライドする担持面を前記ベース面が提供するようになっている。
【0031】
前記凹部は細長いか或いは楕円形であってよく、その主軸が前記分配器の中心に対して概ね半径方向に位置している。
【0032】
本発明は、更に、少なくとも一つのキャップと、前記キャップが装着された分配器とを有するバーナー組立体を提供し、前記分配器は火炎ポートの内外クラウンと、内外クラウン間に設けられた少なくとも一つの十字形点火通路を有し、前記キャップは貫通孔を有し、前記キャップと分配器が組立てられるときに、前記貫通孔が前記十字形点火通路の上方に位置決めされるように構成されている。
【0033】
前記キャップの貫通孔は、空気孔を形成し、前記キャップの上面から下面に向かって収束している。
【0034】
前記空気孔は概ねD字形に形成されてよい。
【0035】
前記D字形の曲線部分は、前記キャップの概ね円形に対して半径方向内方に位置してよい。
【0036】
本発明は、更に、分配器と前記分配器を組立体内に支持する第一形成部とを有する調理用ガスバーナーを提供し、前記分配器と前記第一形成部は差込部と凹部とを含んで前記第一形成部が前記分配器を支えることができるようにし、前記凹部は、前記分配器が冷却時に比べて熱くなるときに、前記分配器の熱膨張によって前記第一形成部と分配器との間の接触領域が実質的に増大しないような寸法及び/又は形状の表面を含む。
【0037】
前記分配器は下方に延在する前記差込部を有し、一方、前記第一形成部は前記差込部を受ける前記凹部を含んでよい。
【0038】
別の例では、前記分配器が前記凹部を有し、前記第一形成部から延在する前記差込部を受け、一方、第一形成部は上方の延在する前記差込部を含む。
【0039】
前記第一形成部はカップであり、或いは前記第一形成部は台であり、或いは前記第一形成部はカップを具えた台であってよい。
【0040】
前記差込部は、点、平坦面、一部回転長円形面のいずれか一つで終端していてよい。
【0041】
前記凹部或いは前記差込部は前記分配器の寸法が熱膨張によって変化するときに、前記第一形成部と前記分配器との間の接触領域に実質的な変化がないような形状に形成されてよい。
【0042】
前記凹部が細長い形状であってよい。この細長い形状は、前記バーナーの中心から出発する事実上の半径上に実質的に存在する或いは事実上の半径と実質的に平行の主軸を有してよい。
【0043】
前記凹部が楕円形であることが望ましい。
【0044】
前記凹部が細長い概ね水平のベース或いは表面を有し、前記ベース或いは表面は好ましくは前記凹部と概ね同じ形状を有する。
【0045】
前記凹部と前記差込部が、それぞれ、傾斜構造を有していてよい。
【0046】
前記凹部が前記差込部よりも浅い傾斜を有していてよい。
【0047】
前記差込部が前記カップの表面上をスライド可能である。
【0048】
前記ベース或いは表面は前記差込部の先端がスライドできる担持面を提供してよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】調理用ガスバーナーの分解斜視図である。
【図2】異なる角度から見た図1のバーナーの分解図である。
【図3】点火装置と熱電対の装着部に整列された組立てられた状態の図1のバーナーの側面図である。
【図4】図3のバーナーの断面図である。
【図5】図1のバーナーの後面図である。
【図6】前方上方から見た図3の組立てられたバーナーの斜視図である。
【図7】点火装置と熱電対の装着部を示す下方から見た斜視図である。
【図8】図1と図2の比較による詳細な分解斜視図である。
【図9】図1のカップの上方から見た斜視図である。
【図10】点火装置と熱電対の装着部に整列された組立てられた状態の図1と同様な別のバーナーの側面図である。
【図11】図10のバーナーの断面図である。
【図12】図10のバーナーの分解斜視図である。
【図13】図10のバーナーの上方から見た斜視図である。
【図14】図12との比較による詳細な分解斜視図である。
【図15】火炎ポート組立体とガスマニホールドが組合せ可能な台の表面に形成されたカップの詳細斜視図である。
【図16】厚さ0.6mmの台との組立体を示す図4のバーナーのインジェクター部分の図である。
【図17】厚さ1.2mmの台との組立体を示す図16と同様な図である。
【図18】ガスバーナー組立体用の別のキャップの斜視図である。
【図19】図18のキャップの断面図である。
【図20】分配器からの差込部を受け入れる楕円状の傾斜凹部を示す改変されたカップの平面図である。
【図21】図23のXXI-XXI線に沿った楕円状傾斜凹部の断面図である。
【図22】図23のXXII-XXII線に沿った楕円状傾斜凹部の断面図である。
【図23】図18と19のキャップに類似したキャップを有する組立てられたガスバーナーの平面図である。
【図24】凹部を詳細に示す図20の一部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例示として説明する。
【0051】
図1〜9は、キャップ20、クラウン或いは分配器30、カップ40及びガスマニホールド50を有する調理用ガスバーナー10を示している。
【0052】
キャップ20と分配器30は一緒に小組立体を形成し、キャップ20が分配器30の上に位置決めされると、分配器30の上面上の溝が火炎ポート31を形成するようになっている。
【0053】
ガスマニホールド50は二片の形成部で形成される。第一主要片は、周壁58によって取り囲まれた概ね円形の天部56を有するベーストップ54である。天部56の周囲には、三組の等間隔に配置されたポスト形成部51が設けられ、二組のこれらのポスト形成部51の間には雌ねじを有するガス供給用入口53が設けられている。この入口53は、バーナー10にガスを供給するガス供給部に接続可能になっている。
【0054】
天部56と壁58とによって囲まれた空間は、適宜グレードのシリコーンによってベーストップ54に取付け可能なベース底部52である第二片を付加し、前記壁58を曲げ、型付けし、或いは締め付けして底部52をトップ54に固定することによって閉鎖される。こうして、底部52のリムはシールされ、壁58または壁58に隣接する面に固定される。
【0055】
図1と8に最も明らかに示されているように、ポスト形成部51は、半径方向内方に位置してカップ40のベースの下側に係合するインジェクターポスト70を具えている。外側ポスト72と74が更に設けられている。ポスト72は台141(図16と17を参照のこと)の下側に係合し、台141は、インジェクターポスト70の係合箇所の半径方向外方でカップ40とポスト72の間に挟まれている。短い方のポスト74はバーナー10の組立に関しては余分であるが、後述するように、図10〜15のバーナー100に関しては機能を発揮する。
【0056】
台141に接触するカップ40のリムによって(図16,17を参照)、台141はカップ40から熱を引くヒートシンクとして作用し、これがなければ、バーナー10を使用する際に熱はマニホールド50或いは分配器30に伝達されて害を与えるかもしれない。
【0057】
図9に示されているように、カップ40は、カップ40の孔42(及び図示しない台141を貫通して)高い方のポスト72に係合するねじによって、台141とポスト72に結合される。このように固定された場合、内方のインジェクターポスト70は、カップ40上で内方に位置する穴44の直下に位置決めされる。図16と17から判るように、インジェクターポスト70は縮径リム59を有する雌ねじ付きの端部57を有する。このリム59は、孔44に貫入するような寸法を有している。より大きい直径を有する肩部61の上方のリム59の高さは、カップ40とマニホールド50を組み合わせた異なる寸法の台141の収容を可能にする。図16において、台141の厚みは、例えば0.6mmであり、一方、図17において、台141の厚みは、例えば約1.2mmでありリム59の高さがこの厚みの差に対応し、それによりインジェクターポスト70の縮径リムは孔44内の正しく位置決めされる。
【0058】
図20,22及び24に示されたインジェクター即ちノズル49は、インジェクターポスト70(図16と17を参照)の雌ねじ端57に螺合する。ノズル49は、カップ40のレベルより上方に出口孔を有する。この手段によって、使用中にカップ40にこぼれ落ちた液体は、液体のレベルがこのノズル49の出口孔の高さ以上に上昇するまで、インジェクター即ちノズル49の作用に悪影響を及ぼさないであろう。
【0059】
カップ40は、上方へ向うくぼみ即ち底付き凹部48を有する下方に延びた形成部46を有する。この凹部48は、分配器30のリムから下方に延在する差込部32を受ける。複数の形成部46と複数の差込部32によって、分配器30はカップ40の上方に位置決めされ、孔44は分配器30の下側に垂直に配向された混合室35への入口の直下に整列する。
【0060】
各形成部46に設置された差込部32は、ベース47によって、各差込部32毎に約2.5平方ミリの接触面積を提供する(図21と22を参照)。これによって、分配器30からカップ40への伝導による熱の伝達が大幅に少なくなる。
【0061】
混合室35はインジェクターポスト70を介して通路71からガスの供給を受け、前記通路71はベース天部54とベース底部52との間のガスマニホールド40の空間に連通する。加圧ガスがカップ40のポート44を介して混合室35へ送られ、孔34と間隙36を介して分配器30の下に侵入した一次空気が、ここで随伴可能となる。
【0062】
ガスと空気の混合物は、ここに参考として組み入れられているWO2005/073630に記載されているように、分配器30の火炎ポート31まで分配される。
【0063】
ガスマニホールド50の周辺部にはL型ブラケット77があり、スパークプラグ即ち点火器80と熱電対81をそれぞれ装着する孔78と79を有している。点火器80と熱電対81は、各クリップ82と83によってガスマニホールド50の所定位置に保持される。ブラケット77と孔78,79は、構成部品が組立てられるときに、点火器が分配器30の内側火炎ポート31の近くに位置決めされることを確実にする。外側火炎ポート31は、分配器30の天部の周囲に等間隔に配置された十字形の点火間隙37を通る火炎の伝播によって点火される。必要ならば、図18,19及び23に関して後述するように、十字形点火間隙37の真上のキャップ20に孔を設けることによって、補助の十字形点火促進手段を得ることができる。
【0064】
カップ40は点火器80と熱電対81の通る孔41と43を有する。点火器80、熱電対81及びそれらの各孔43と41相互間のシールは不要であるが、望むならば、Oリング、グロメット、その他のシール手段を用いてもよい。
【0065】
孔41と43を取り囲んで、L型ブラケット77がカップ40の下にカップ40と接触することなくきちんと位置決めすることができるようにカップ材料のボス45が設けられている。このボス45は、更に、点火器80と熱電対81が貫通する面を提供し、その貫通面はカップの中心即ち最下点に対して最大の高さとなっている。この手段によって、カップの液体レベルがボス45の高さに達するまでは、孔41と43を通過してカップ内へ流出することはないであろう。
【0066】
分配器30は、一次空気が分配器30の下側への侵入を可能にする三つの等間隔の孔34を含む。更に、一旦組立てられると、形成部46の内側に位置する差込部32は、分配器30のスカート部33の縁とカップ40のリムの下に間隙36を提供する。この間隙は約5〜10mmであるが、必要に応じて、この間隙は、台141の表面に接触する所定長の分配器30のスカート部33の縁によって完全に除去されてよい。
【0067】
図10〜15には図1〜9に関して上述したバーナー10と類似の調理用ガスバーナー100が示されており、類似した部品には同じ符号が付されている。これらのバーナー10と100との間の一つの違いは、バーナー100がそのカップ40が調理器具の台面140の中に一体化されていることである。これは、ねじが台140を貫通してポスト72に係合或いは固定されていることを意味している。
【0068】
バーナー10と100との間のもう一つの差異は、バーナー100が分配器30を支えるのに使用される短いポスト74を有していることである。これは、台140の孔143を介して突出する部分を有する同心的に配置されたスペーサー200を用いることによって行われる。このスペーサー200の天部は、分配器30の差込部32を受けるようにバーナー100の孔46に類似した形状の孔を有している。
【0069】
スペーサー200は、金属、ポリマー或いは断熱材等の適宜材料で形成されてよい。
【0070】
ポスト72と74を有するマニホールド50によって、単一のマニホールドがバーナー10と100のいずれにも使用可能であり、それにより分配器50の在庫品を減らし、同時に分配器50をカップ/台上に組立てるための簡単で効率的な手段を提供して、清掃後の再組立を容易にする。
【0071】
ポスト72の高さによって、インジェクターポスト70と孔44とが接触している箇所を除いて、マニホールド50は5〜20mmの距離をカップ40との間に保つことができる。インジェクターポスト70は、孔44の内側リムから約0.1mmの空隙を有するように設計され、理論的にはインジェクター70と孔44とは接触しないが、製造上の許容範囲によって幾らかの接触は生じるであろう。
【0072】
図18,19及び23は、前述の図のキャップ20の形状と特徴に類似のキャップ220を示す。ただし、このキャップ220がキャップ20と異なる点は、キャップ220と分配器30とが適正に組立てられるときに十字形の点火間隙37の上方、十字形点火空気孔222が等間隔で三箇所に設けられていることである。
【0073】
図19に示されているように、これらの孔222は傾斜した断面を有し、それによって孔はキャップ220の天部に、キャップ220の下側面にある孔の出口に比べて大きい断面積を有している。更に、図18と23に示されているように、孔の形は、バーナー組立体の中心に対する内壁224は湾曲して平面図においてD字形として示されることができ、一方、半径方向の外壁226は相対的に直線的な側辺を形成している。
【0074】
図20には前述の図のカップ40に類似の改変されたカップ240が示されている。図20のこのカップ240は、平面図において、分配器30から下方に延びた差込部32を受ける下方に延びた凹部形成部46を示している。
【0075】
図20,21及び23に示されているように、この形成部46のベース246は楕円形且つ概ね水平であり、形成部46の壁248は楕円形且つ傾斜している。形成部46の楕円の主軸は、図23のバーナー組立体110の中心から半径方向の軸の概ね上又はこれに平行に形成されていることが理解されるであろう。
【0076】
図21と22に示されているように、差込部32は、2.5mm2程度の面積の裁頭端面47を有する円錐台状形成部と考えられてよい。差込部32の裁頭端の面積は、最小に維持されている。必要に応じて、差込部32は小径の頂点で終わって部分的な回転長円形の端部を形成して、事実上、小接触領域或いは接触点を提供し、これによって更に熱の伝達を最小にする。
【0077】
図21から、形成部46は円錐状に形成された差込部32上の傾斜よりも浅い傾斜を有することが理解されるであろう。この傾斜の差は、接触が生じても、接触面間に点又は線接触しか形成されないようにする。
【0078】
バーナー110が冷たい場合、差込部32は形成部46の壁248に対して図22に示されたように間隙XとYを有することが好ましい。好ましくは、間隙Yは0.5〜1mm程度であり、一方、間隙Xは1.5〜3mm程度、最も好ましくは2mm程度である。しかし、使用中に分配器30が熱くなるにつれて、熱膨張によって分配器はその全体寸法を増加させるであろう。この熱膨張に適応するために、差込部32の相対位置は、ベース246の楕円面上方で半径方向外方へスライドすることによって変化する。この動きは、カップ240と分配器30との間の接触面積を変えないであろう。
【0079】
冷却時には、差込部32と形成部46の半径方向外方の先端間の間隔は約2mmである。熱膨張の後に空気間隙が残ることが望ましい。しかし、そうでなくても、これらの半径方向外方の先端間には接触線が形成される。このような接触線は、分配器30とカップ240との間に最小の接触面積を維持することに役立つ。
【0080】
容易に理解され、そして上述したように、カップ240に関する特長は別のカップ或いは台の表面に形成されてもよい。
【0081】
カップ40或いは240とマニホールド50との間の接触面積を減らすことによって、伝導性手段による熱の伝達が減少する。このことは、更にカップ40又は240から熱を取り去るヒートシンクとして作動する台141と140によって助長される。更に、マニホールド50がカップ40又は240の下にあるので、対流によるカップ40又は240からマニホールド50へ最少の熱しか伝達されず、そしてカップ40又は240が分配器30とマニホールド50との間に位置しているので、火炎ポート31において火炎から放射される熱は、カップ40又は240の底から発射される放射線による以外には、マニホールド50へ直接的に通過しないであろう。これらの手段によって、ガスマニホールド50を通過したガスは、従来のバーナーよりも熱によって悪影響を受けることが少なく、インジェクターに入る燃料の発熱量を維持することを助け(ガス供給部をできるだけ濃密に維持することによって)、そしてバーナー10と100の効率を補助する。
【0082】
ここに開示され且つ規定された発明は、本明細書に述べられ或いはそれから明らかになる個々の特長の二つ以上のすべての組合わせを包含する。これらのすべての異なる組み合わせは、本発明の種々の態様を構成する。
【0083】
上述の説明は、本発明の実施形態及び当業者ならば本発明の範囲から逸脱することなくなされる自明な改変について述べたものである。
【符号の説明】
【0084】
30 分配器
32 差込部
40 カップ
48 凹部
50 マニホールド
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理台の一部として、或いはそれとは別にそれに取付けられて形成された改良された調理用ガスバーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスの調理用バーナーが点火された後、バーナーへのガス供給部が加熱される。このガス供給部の加熱は意識せずに行われ、バーナーへのガス流を少なくして、バーナーによって供給されるパワーを減少させる。この効果は、ガスが一次空気と予め混合されていようといまいと明らかである。パワーの損失の程度は、主としてバーナーへ流れるガスの温度に関連している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52−127345
【特許文献2】特開2003−083516
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は調理用ガスバーナーを改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、分配器、ガスマニホールド及びカップを含み、前記カップは前記ガスマニホールドと前記分配器との間に設けられている調理用ガスバーナーを提供する。
【0006】
前記分配器は一次空気と供給ガスとの混合手段を含んでよい。
前記分配器は、一次空気を前記混合手段に引き込む孔を含んでよい。
【0007】
前記カップは、一次空気を前記混合手段に引き込む通路の下側を形成してよい。
【0008】
前記ガスマニホールドは前記カップから離れて設けられている。
【0009】
前記ガスマニホールドとカップが、前記マニホールドとカップとの間に垂直に延在するポストによって、相互から離隔している。
【0010】
少なくとも一つの前記ポストが、前記マニホールドから上方に延在する少なくとも一つの通路の壁を有し、この壁によって前記マニホールドは供給ガスを前記混合手段に送り込む。
【0011】
前記マニホールドと前記カップとの間の最小間隔は約5mmである。
【0012】
前記分配器は、5〜20平方ミリ間の前記カップとの接触領域を有する。
【0013】
前記分配器がその周囲にスカート部を有し、前記スカート部は前記孔を含み、それによって前記孔の底縁が前記カップによって提供される。
【0014】
前記スカート部の前記孔を含まない部分は、小組立体の前記カップと接触していない部分である。これらの部分は、前記カップから5〜20mmだけ離隔している。
【0015】
前記マニホールドは二片からなる構造を有する。
【0016】
ガスマニホールドが概ね平らな構造を有する本体部分を有している。
【0017】
前記分配器と前記カップとの間、或いは前記カップと前記マニホールドとの間の接触箇所には、断熱部材が設けられている。
【0018】
前記カップが、前記ガスバーナーを調理器具の台に固定する手段を提供している。別の例では、前記カップが調理用器具の台に一体的に形成されている。
【0019】
前記分配器が、前記カップに係合するように下方の延びた差込部を含んでよい。
【0020】
前記差込部が、点、平坦面及び一部回転長円形面のいずれか一つで終端している。
【0021】
前記カップが前記差込部を受ける凹部を有する。
【0022】
前記凹部又は差込部が、前記分配器が熱膨張によって寸法変化を生じるときに、前記カップと前記分配器との接触領域が実質的に変化しないような形状に形成されている。
【0023】
前記凹部は細長い形状を有している。前記細長い形状は、前記バーナーの中心から出発する事実上の半径上に実質的に存在するか或いは事実上の半径と実質的平行な主軸を有してよい。
【0024】
前記凹部が楕円状の断面を有してよい。
【0025】
前記凹部が細長い概ね水平なベースを有し、前記ベースは好ましくは前記凹部と概ね同じ形状を有してよい。
【0026】
前記凹部と差込部は、それぞれ傾斜した構造を有してよい。
【0027】
前記凹部が前記差込部よりも浅い傾斜を有してよい。
【0028】
前記差込部が前記カップの表面をスライド可能である。
【0029】
本発明は、更に、調理用ガスバーナーの分配器とカップとを組立てる方法を提供し、前記方法は、下方へ延在する差込部を有する分配器を設け、前記差込部を受けるための凹部を有する前記カップを設ける工程を含み、前記凹部はベース面を有し、前記凹部は、前記分配器の熱膨張によって前記分配器が冷却時に比べて高温になったときに、前記カップと前記分配器との間の接触面が実質的に増大しないような寸法及び/又は形状に形成されている。
【0030】
前記方法において、前記差込部の先端がスライドする担持面を前記ベース面が提供するようになっている。
【0031】
前記凹部は細長いか或いは楕円形であってよく、その主軸が前記分配器の中心に対して概ね半径方向に位置している。
【0032】
本発明は、更に、少なくとも一つのキャップと、前記キャップが装着された分配器とを有するバーナー組立体を提供し、前記分配器は火炎ポートの内外クラウンと、内外クラウン間に設けられた少なくとも一つの十字形点火通路を有し、前記キャップは貫通孔を有し、前記キャップと分配器が組立てられるときに、前記貫通孔が前記十字形点火通路の上方に位置決めされるように構成されている。
【0033】
前記キャップの貫通孔は、空気孔を形成し、前記キャップの上面から下面に向かって収束している。
【0034】
前記空気孔は概ねD字形に形成されてよい。
【0035】
前記D字形の曲線部分は、前記キャップの概ね円形に対して半径方向内方に位置してよい。
【0036】
本発明は、更に、分配器と前記分配器を組立体内に支持する第一形成部とを有する調理用ガスバーナーを提供し、前記分配器と前記第一形成部は差込部と凹部とを含んで前記第一形成部が前記分配器を支えることができるようにし、前記凹部は、前記分配器が冷却時に比べて熱くなるときに、前記分配器の熱膨張によって前記第一形成部と分配器との間の接触領域が実質的に増大しないような寸法及び/又は形状の表面を含む。
【0037】
前記分配器は下方に延在する前記差込部を有し、一方、前記第一形成部は前記差込部を受ける前記凹部を含んでよい。
【0038】
別の例では、前記分配器が前記凹部を有し、前記第一形成部から延在する前記差込部を受け、一方、第一形成部は上方の延在する前記差込部を含む。
【0039】
前記第一形成部はカップであり、或いは前記第一形成部は台であり、或いは前記第一形成部はカップを具えた台であってよい。
【0040】
前記差込部は、点、平坦面、一部回転長円形面のいずれか一つで終端していてよい。
【0041】
前記凹部或いは前記差込部は前記分配器の寸法が熱膨張によって変化するときに、前記第一形成部と前記分配器との間の接触領域に実質的な変化がないような形状に形成されてよい。
【0042】
前記凹部が細長い形状であってよい。この細長い形状は、前記バーナーの中心から出発する事実上の半径上に実質的に存在する或いは事実上の半径と実質的に平行の主軸を有してよい。
【0043】
前記凹部が楕円形であることが望ましい。
【0044】
前記凹部が細長い概ね水平のベース或いは表面を有し、前記ベース或いは表面は好ましくは前記凹部と概ね同じ形状を有する。
【0045】
前記凹部と前記差込部が、それぞれ、傾斜構造を有していてよい。
【0046】
前記凹部が前記差込部よりも浅い傾斜を有していてよい。
【0047】
前記差込部が前記カップの表面上をスライド可能である。
【0048】
前記ベース或いは表面は前記差込部の先端がスライドできる担持面を提供してよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】調理用ガスバーナーの分解斜視図である。
【図2】異なる角度から見た図1のバーナーの分解図である。
【図3】点火装置と熱電対の装着部に整列された組立てられた状態の図1のバーナーの側面図である。
【図4】図3のバーナーの断面図である。
【図5】図1のバーナーの後面図である。
【図6】前方上方から見た図3の組立てられたバーナーの斜視図である。
【図7】点火装置と熱電対の装着部を示す下方から見た斜視図である。
【図8】図1と図2の比較による詳細な分解斜視図である。
【図9】図1のカップの上方から見た斜視図である。
【図10】点火装置と熱電対の装着部に整列された組立てられた状態の図1と同様な別のバーナーの側面図である。
【図11】図10のバーナーの断面図である。
【図12】図10のバーナーの分解斜視図である。
【図13】図10のバーナーの上方から見た斜視図である。
【図14】図12との比較による詳細な分解斜視図である。
【図15】火炎ポート組立体とガスマニホールドが組合せ可能な台の表面に形成されたカップの詳細斜視図である。
【図16】厚さ0.6mmの台との組立体を示す図4のバーナーのインジェクター部分の図である。
【図17】厚さ1.2mmの台との組立体を示す図16と同様な図である。
【図18】ガスバーナー組立体用の別のキャップの斜視図である。
【図19】図18のキャップの断面図である。
【図20】分配器からの差込部を受け入れる楕円状の傾斜凹部を示す改変されたカップの平面図である。
【図21】図23のXXI-XXI線に沿った楕円状傾斜凹部の断面図である。
【図22】図23のXXII-XXII線に沿った楕円状傾斜凹部の断面図である。
【図23】図18と19のキャップに類似したキャップを有する組立てられたガスバーナーの平面図である。
【図24】凹部を詳細に示す図20の一部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例示として説明する。
【0051】
図1〜9は、キャップ20、クラウン或いは分配器30、カップ40及びガスマニホールド50を有する調理用ガスバーナー10を示している。
【0052】
キャップ20と分配器30は一緒に小組立体を形成し、キャップ20が分配器30の上に位置決めされると、分配器30の上面上の溝が火炎ポート31を形成するようになっている。
【0053】
ガスマニホールド50は二片の形成部で形成される。第一主要片は、周壁58によって取り囲まれた概ね円形の天部56を有するベーストップ54である。天部56の周囲には、三組の等間隔に配置されたポスト形成部51が設けられ、二組のこれらのポスト形成部51の間には雌ねじを有するガス供給用入口53が設けられている。この入口53は、バーナー10にガスを供給するガス供給部に接続可能になっている。
【0054】
天部56と壁58とによって囲まれた空間は、適宜グレードのシリコーンによってベーストップ54に取付け可能なベース底部52である第二片を付加し、前記壁58を曲げ、型付けし、或いは締め付けして底部52をトップ54に固定することによって閉鎖される。こうして、底部52のリムはシールされ、壁58または壁58に隣接する面に固定される。
【0055】
図1と8に最も明らかに示されているように、ポスト形成部51は、半径方向内方に位置してカップ40のベースの下側に係合するインジェクターポスト70を具えている。外側ポスト72と74が更に設けられている。ポスト72は台141(図16と17を参照のこと)の下側に係合し、台141は、インジェクターポスト70の係合箇所の半径方向外方でカップ40とポスト72の間に挟まれている。短い方のポスト74はバーナー10の組立に関しては余分であるが、後述するように、図10〜15のバーナー100に関しては機能を発揮する。
【0056】
台141に接触するカップ40のリムによって(図16,17を参照)、台141はカップ40から熱を引くヒートシンクとして作用し、これがなければ、バーナー10を使用する際に熱はマニホールド50或いは分配器30に伝達されて害を与えるかもしれない。
【0057】
図9に示されているように、カップ40は、カップ40の孔42(及び図示しない台141を貫通して)高い方のポスト72に係合するねじによって、台141とポスト72に結合される。このように固定された場合、内方のインジェクターポスト70は、カップ40上で内方に位置する穴44の直下に位置決めされる。図16と17から判るように、インジェクターポスト70は縮径リム59を有する雌ねじ付きの端部57を有する。このリム59は、孔44に貫入するような寸法を有している。より大きい直径を有する肩部61の上方のリム59の高さは、カップ40とマニホールド50を組み合わせた異なる寸法の台141の収容を可能にする。図16において、台141の厚みは、例えば0.6mmであり、一方、図17において、台141の厚みは、例えば約1.2mmでありリム59の高さがこの厚みの差に対応し、それによりインジェクターポスト70の縮径リムは孔44内の正しく位置決めされる。
【0058】
図20,22及び24に示されたインジェクター即ちノズル49は、インジェクターポスト70(図16と17を参照)の雌ねじ端57に螺合する。ノズル49は、カップ40のレベルより上方に出口孔を有する。この手段によって、使用中にカップ40にこぼれ落ちた液体は、液体のレベルがこのノズル49の出口孔の高さ以上に上昇するまで、インジェクター即ちノズル49の作用に悪影響を及ぼさないであろう。
【0059】
カップ40は、上方へ向うくぼみ即ち底付き凹部48を有する下方に延びた形成部46を有する。この凹部48は、分配器30のリムから下方に延在する差込部32を受ける。複数の形成部46と複数の差込部32によって、分配器30はカップ40の上方に位置決めされ、孔44は分配器30の下側に垂直に配向された混合室35への入口の直下に整列する。
【0060】
各形成部46に設置された差込部32は、ベース47によって、各差込部32毎に約2.5平方ミリの接触面積を提供する(図21と22を参照)。これによって、分配器30からカップ40への伝導による熱の伝達が大幅に少なくなる。
【0061】
混合室35はインジェクターポスト70を介して通路71からガスの供給を受け、前記通路71はベース天部54とベース底部52との間のガスマニホールド40の空間に連通する。加圧ガスがカップ40のポート44を介して混合室35へ送られ、孔34と間隙36を介して分配器30の下に侵入した一次空気が、ここで随伴可能となる。
【0062】
ガスと空気の混合物は、ここに参考として組み入れられているWO2005/073630に記載されているように、分配器30の火炎ポート31まで分配される。
【0063】
ガスマニホールド50の周辺部にはL型ブラケット77があり、スパークプラグ即ち点火器80と熱電対81をそれぞれ装着する孔78と79を有している。点火器80と熱電対81は、各クリップ82と83によってガスマニホールド50の所定位置に保持される。ブラケット77と孔78,79は、構成部品が組立てられるときに、点火器が分配器30の内側火炎ポート31の近くに位置決めされることを確実にする。外側火炎ポート31は、分配器30の天部の周囲に等間隔に配置された十字形の点火間隙37を通る火炎の伝播によって点火される。必要ならば、図18,19及び23に関して後述するように、十字形点火間隙37の真上のキャップ20に孔を設けることによって、補助の十字形点火促進手段を得ることができる。
【0064】
カップ40は点火器80と熱電対81の通る孔41と43を有する。点火器80、熱電対81及びそれらの各孔43と41相互間のシールは不要であるが、望むならば、Oリング、グロメット、その他のシール手段を用いてもよい。
【0065】
孔41と43を取り囲んで、L型ブラケット77がカップ40の下にカップ40と接触することなくきちんと位置決めすることができるようにカップ材料のボス45が設けられている。このボス45は、更に、点火器80と熱電対81が貫通する面を提供し、その貫通面はカップの中心即ち最下点に対して最大の高さとなっている。この手段によって、カップの液体レベルがボス45の高さに達するまでは、孔41と43を通過してカップ内へ流出することはないであろう。
【0066】
分配器30は、一次空気が分配器30の下側への侵入を可能にする三つの等間隔の孔34を含む。更に、一旦組立てられると、形成部46の内側に位置する差込部32は、分配器30のスカート部33の縁とカップ40のリムの下に間隙36を提供する。この間隙は約5〜10mmであるが、必要に応じて、この間隙は、台141の表面に接触する所定長の分配器30のスカート部33の縁によって完全に除去されてよい。
【0067】
図10〜15には図1〜9に関して上述したバーナー10と類似の調理用ガスバーナー100が示されており、類似した部品には同じ符号が付されている。これらのバーナー10と100との間の一つの違いは、バーナー100がそのカップ40が調理器具の台面140の中に一体化されていることである。これは、ねじが台140を貫通してポスト72に係合或いは固定されていることを意味している。
【0068】
バーナー10と100との間のもう一つの差異は、バーナー100が分配器30を支えるのに使用される短いポスト74を有していることである。これは、台140の孔143を介して突出する部分を有する同心的に配置されたスペーサー200を用いることによって行われる。このスペーサー200の天部は、分配器30の差込部32を受けるようにバーナー100の孔46に類似した形状の孔を有している。
【0069】
スペーサー200は、金属、ポリマー或いは断熱材等の適宜材料で形成されてよい。
【0070】
ポスト72と74を有するマニホールド50によって、単一のマニホールドがバーナー10と100のいずれにも使用可能であり、それにより分配器50の在庫品を減らし、同時に分配器50をカップ/台上に組立てるための簡単で効率的な手段を提供して、清掃後の再組立を容易にする。
【0071】
ポスト72の高さによって、インジェクターポスト70と孔44とが接触している箇所を除いて、マニホールド50は5〜20mmの距離をカップ40との間に保つことができる。インジェクターポスト70は、孔44の内側リムから約0.1mmの空隙を有するように設計され、理論的にはインジェクター70と孔44とは接触しないが、製造上の許容範囲によって幾らかの接触は生じるであろう。
【0072】
図18,19及び23は、前述の図のキャップ20の形状と特徴に類似のキャップ220を示す。ただし、このキャップ220がキャップ20と異なる点は、キャップ220と分配器30とが適正に組立てられるときに十字形の点火間隙37の上方、十字形点火空気孔222が等間隔で三箇所に設けられていることである。
【0073】
図19に示されているように、これらの孔222は傾斜した断面を有し、それによって孔はキャップ220の天部に、キャップ220の下側面にある孔の出口に比べて大きい断面積を有している。更に、図18と23に示されているように、孔の形は、バーナー組立体の中心に対する内壁224は湾曲して平面図においてD字形として示されることができ、一方、半径方向の外壁226は相対的に直線的な側辺を形成している。
【0074】
図20には前述の図のカップ40に類似の改変されたカップ240が示されている。図20のこのカップ240は、平面図において、分配器30から下方に延びた差込部32を受ける下方に延びた凹部形成部46を示している。
【0075】
図20,21及び23に示されているように、この形成部46のベース246は楕円形且つ概ね水平であり、形成部46の壁248は楕円形且つ傾斜している。形成部46の楕円の主軸は、図23のバーナー組立体110の中心から半径方向の軸の概ね上又はこれに平行に形成されていることが理解されるであろう。
【0076】
図21と22に示されているように、差込部32は、2.5mm2程度の面積の裁頭端面47を有する円錐台状形成部と考えられてよい。差込部32の裁頭端の面積は、最小に維持されている。必要に応じて、差込部32は小径の頂点で終わって部分的な回転長円形の端部を形成して、事実上、小接触領域或いは接触点を提供し、これによって更に熱の伝達を最小にする。
【0077】
図21から、形成部46は円錐状に形成された差込部32上の傾斜よりも浅い傾斜を有することが理解されるであろう。この傾斜の差は、接触が生じても、接触面間に点又は線接触しか形成されないようにする。
【0078】
バーナー110が冷たい場合、差込部32は形成部46の壁248に対して図22に示されたように間隙XとYを有することが好ましい。好ましくは、間隙Yは0.5〜1mm程度であり、一方、間隙Xは1.5〜3mm程度、最も好ましくは2mm程度である。しかし、使用中に分配器30が熱くなるにつれて、熱膨張によって分配器はその全体寸法を増加させるであろう。この熱膨張に適応するために、差込部32の相対位置は、ベース246の楕円面上方で半径方向外方へスライドすることによって変化する。この動きは、カップ240と分配器30との間の接触面積を変えないであろう。
【0079】
冷却時には、差込部32と形成部46の半径方向外方の先端間の間隔は約2mmである。熱膨張の後に空気間隙が残ることが望ましい。しかし、そうでなくても、これらの半径方向外方の先端間には接触線が形成される。このような接触線は、分配器30とカップ240との間に最小の接触面積を維持することに役立つ。
【0080】
容易に理解され、そして上述したように、カップ240に関する特長は別のカップ或いは台の表面に形成されてもよい。
【0081】
カップ40或いは240とマニホールド50との間の接触面積を減らすことによって、伝導性手段による熱の伝達が減少する。このことは、更にカップ40又は240から熱を取り去るヒートシンクとして作動する台141と140によって助長される。更に、マニホールド50がカップ40又は240の下にあるので、対流によるカップ40又は240からマニホールド50へ最少の熱しか伝達されず、そしてカップ40又は240が分配器30とマニホールド50との間に位置しているので、火炎ポート31において火炎から放射される熱は、カップ40又は240の底から発射される放射線による以外には、マニホールド50へ直接的に通過しないであろう。これらの手段によって、ガスマニホールド50を通過したガスは、従来のバーナーよりも熱によって悪影響を受けることが少なく、インジェクターに入る燃料の発熱量を維持することを助け(ガス供給部をできるだけ濃密に維持することによって)、そしてバーナー10と100の効率を補助する。
【0082】
ここに開示され且つ規定された発明は、本明細書に述べられ或いはそれから明らかになる個々の特長の二つ以上のすべての組合わせを包含する。これらのすべての異なる組み合わせは、本発明の種々の態様を構成する。
【0083】
上述の説明は、本発明の実施形態及び当業者ならば本発明の範囲から逸脱することなくなされる自明な改変について述べたものである。
【符号の説明】
【0084】
30 分配器
32 差込部
40 カップ
48 凹部
50 マニホールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配器とカップとを調理用ガスバーナー組立体に組立てる方法であって、
前記分配器に下方へ延びた複数の差込部を設ける工程、および前記差込部を受ける複数の凹部を有する前記カップを設ける工程を含み、
前記凹部はベース面を含み、
前記凹部は、前記分配器が冷却時に比べて高温になった場合に、前記分配器の熱膨張によって前記カップと前記分配器との間の接触面が実質的に増加しないような寸法及び/又は形状に形成される、方法。
【請求項2】
前記ベース面は、前記差込部の先端がその上をスライドする担持面を提供する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凹部が細長いか或いは楕円形であり、前記凹部の主軸が前記分配器の中心に対して概ね半径方向に位置している請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
分配器と前記分配器を組立体内に支持する第一形成部とを有する調理用ガスバーナー組立体であって、
前記分配器と前記第一形成部は複数の差込部と複数の凹部とを有し、
前記第一形成部が前記分配器を支えることを可能にし、
前記凹部は、前記分配器が冷却時に比べて熱くなったときに、前記分配器の熱膨張によって前記第一形成部と分配器との間の接触領域が実質的に増大しないような寸法及び/又は形状に形成されている、調理用ガスバーナー組立体。
【請求項5】
前記分配器は下方に延在する複数の差込部を有しているか、又は前記分配器は、前記第一形成部から延在する複数の差込部を受ける複数の凹部を有する請求項4に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項6】
前記第一形成部は、複数の前記差込部をそれぞれ受ける前記凹部を有するか、又は上方に延在する複数の前記差込部を含む請求項4又は5に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項7】
前記第一形成部は、カップ、台、及びカップを具えた台から選択されたいずれか一つまたは組合せである請求項4〜6のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項8】
前記差込部は、点、平坦面、一部回転長円形面のいずれか一つで終端している請求項4〜7のいずれか一項に記載のガスバーナー組立体。
【請求項9】
前記凹部或いは前記差込部は、前記分配器の寸法が熱膨張によって変化するときに、前記第一形成部と前記分配器との接触領域に実質的な変化が生じないような形状に形成されている請求項4〜8のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項10】
前記凹部が細長い形状を有している請求項4〜9のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項11】
前記細長い形状が、前記ガスバーナーの中心から始まる事実上の半径に実質的平行の主軸を有する請求項10に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項12】
前記凹部が楕円形である請求項4〜11のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項13】
前記凹部が細長い概ね水平のベース或いは表面を有し、前記ベース或いは表面は前記凹部と概ね同じ形状を有する請求項4〜12のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項14】
前記凹部と前記差込部が、それぞれ、傾斜構造を有する請求項4〜13のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項15】
前記凹部が前記差込部よりも浅い傾斜を有する請求項14に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項16】
前記差込部が前記カップの表面上をスライド可能である請求項4〜15のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項17】
前記ベース或いは表面が担持面を提供し、その上方を前記差込部の先端がスライド可能である請求項13に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項18】
キャップ及び前記キャップが装着された分配器を含み、かつ複数の火炎ポートを有する内外クラウン及びその間を横切る少なくとも一つの点火通路を含み、
前記キャップは貫通孔を有し、かつ前記貫通孔は前記キャップと前記分配器が組立てられるときに前記点火通路の上方に位置するように構成されている請求項4〜17のいずれか一項に記載の調理用バーナー組立体。
【請求項19】
前記貫通孔は、空気孔であり、かつ前記キャップの上面から下面に向かって収束した形態、概ねD字形の形態、D字形の曲線部分が前記キャップの概ね円形の形状に対して半径方向内方位置に位置するD字形態から選択されたいずれかの一形態または複合形態で形成されている請求項18に記載の調理用バーナー組立体。
【請求項1】
分配器とカップとを調理用ガスバーナー組立体に組立てる方法であって、
前記分配器に下方へ延びた複数の差込部を設ける工程、および前記差込部を受ける複数の凹部を有する前記カップを設ける工程を含み、
前記凹部はベース面を含み、
前記凹部は、前記分配器が冷却時に比べて高温になった場合に、前記分配器の熱膨張によって前記カップと前記分配器との間の接触面が実質的に増加しないような寸法及び/又は形状に形成される、方法。
【請求項2】
前記ベース面は、前記差込部の先端がその上をスライドする担持面を提供する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凹部が細長いか或いは楕円形であり、前記凹部の主軸が前記分配器の中心に対して概ね半径方向に位置している請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
分配器と前記分配器を組立体内に支持する第一形成部とを有する調理用ガスバーナー組立体であって、
前記分配器と前記第一形成部は複数の差込部と複数の凹部とを有し、
前記第一形成部が前記分配器を支えることを可能にし、
前記凹部は、前記分配器が冷却時に比べて熱くなったときに、前記分配器の熱膨張によって前記第一形成部と分配器との間の接触領域が実質的に増大しないような寸法及び/又は形状に形成されている、調理用ガスバーナー組立体。
【請求項5】
前記分配器は下方に延在する複数の差込部を有しているか、又は前記分配器は、前記第一形成部から延在する複数の差込部を受ける複数の凹部を有する請求項4に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項6】
前記第一形成部は、複数の前記差込部をそれぞれ受ける前記凹部を有するか、又は上方に延在する複数の前記差込部を含む請求項4又は5に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項7】
前記第一形成部は、カップ、台、及びカップを具えた台から選択されたいずれか一つまたは組合せである請求項4〜6のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項8】
前記差込部は、点、平坦面、一部回転長円形面のいずれか一つで終端している請求項4〜7のいずれか一項に記載のガスバーナー組立体。
【請求項9】
前記凹部或いは前記差込部は、前記分配器の寸法が熱膨張によって変化するときに、前記第一形成部と前記分配器との接触領域に実質的な変化が生じないような形状に形成されている請求項4〜8のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項10】
前記凹部が細長い形状を有している請求項4〜9のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項11】
前記細長い形状が、前記ガスバーナーの中心から始まる事実上の半径に実質的平行の主軸を有する請求項10に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項12】
前記凹部が楕円形である請求項4〜11のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項13】
前記凹部が細長い概ね水平のベース或いは表面を有し、前記ベース或いは表面は前記凹部と概ね同じ形状を有する請求項4〜12のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項14】
前記凹部と前記差込部が、それぞれ、傾斜構造を有する請求項4〜13のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項15】
前記凹部が前記差込部よりも浅い傾斜を有する請求項14に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項16】
前記差込部が前記カップの表面上をスライド可能である請求項4〜15のいずれか一項に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項17】
前記ベース或いは表面が担持面を提供し、その上方を前記差込部の先端がスライド可能である請求項13に記載の調理用ガスバーナー組立体。
【請求項18】
キャップ及び前記キャップが装着された分配器を含み、かつ複数の火炎ポートを有する内外クラウン及びその間を横切る少なくとも一つの点火通路を含み、
前記キャップは貫通孔を有し、かつ前記貫通孔は前記キャップと前記分配器が組立てられるときに前記点火通路の上方に位置するように構成されている請求項4〜17のいずれか一項に記載の調理用バーナー組立体。
【請求項19】
前記貫通孔は、空気孔であり、かつ前記キャップの上面から下面に向かって収束した形態、概ねD字形の形態、D字形の曲線部分が前記キャップの概ね円形の形状に対して半径方向内方位置に位置するD字形態から選択されたいずれかの一形態または複合形態で形成されている請求項18に記載の調理用バーナー組立体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図17】
【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−193956(P2012−193956A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−156699(P2012−156699)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【分割の表示】特願2007−538862(P2007−538862)の分割
【原出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(593005057)アクティエボラゲット エレクトロラックス (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【分割の表示】特願2007−538862(P2007−538862)の分割
【原出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(593005057)アクティエボラゲット エレクトロラックス (30)
【Fターム(参考)】
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