説明

調理用容器

【課題】内外側方からかかる力に対して変形せずに形状を維持することができる調理用容器を提供する。
【解決手段】飲食物を流し込み可能に上方に向けて開口した収納部5と、収納部5の上端から折曲されて外側方に向けて張り出すフランジ6とを有する薄膜体により構成された容器本体3を備える調理用容器であって、フランジ6に対して長手方向に向けて第1折り代4aが形成されている帯状体4を、第1折り代4aを介して折曲することで構成される上片4cと下片4dとにより、上下方向から圧着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物を流し込み可能に上方に向けて開口した収納部と、収納部の上端から折曲されて外側方に向けて張り出すフランジと、を有する薄膜体により構成された容器本体を備える調理用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の焼き上げ用容器(調理用容器)は、アルミニウム箔(薄膜体)を打ち抜き形成することで、底壁部とこの底壁部の全周に亘って立設される周壁部を有する丸カップ形に形成されている。この調理用容器の上端縁部には、調理用容器の外側方に向けて張り出すとともに前記収納部の略全周に亘って鍔部(フランジ)が延設され、調理用容器の強度が強化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、このような調理用容器の強度を高めるため、容器(容器本体)の上縁を外方に折り返すとともに、金属の芯材を内設することで縁部(フランジ)を形成し、容器の強度を向上させているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3129837号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】実開平2−63749号公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の食型容器(調理用容器)にあっては、芯材は、細く且つ断面視で略円形状に形成されているため、側方からの力に対して十分な強度を得られることができずに食型容器が塑性変形してしまい、食型容器内に飲食物を流し込んで調理する際に完成した飲食物の形状が均一ではなくなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、内外側方からかかる力に対して変形せずに形状を維持することができる調理用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の調理用容器は、
飲食物を流し込み可能に上方に向けて開口した収納部と、該収納部の上端から折曲されて外側方に向けて張り出すフランジと、を有する薄膜体により構成された容器本体を備える調理用容器であって、
前記フランジに対して長手方向に向けて第1折り代が形成されている帯状体を、前記第1折り代を介して折曲することで構成される上片と下片とにより、上下方向から圧着したことを特徴としている。
この特徴によれば、フランジが帯状体の第1折り代を介して上片と下片とによって上下方向から圧着されているため、フランジ自体の内外側方への強度が向上され、調理用容器の変形を防止することができる。
【0008】
本発明の調理用容器は、
前記フランジは、少なくとも1つの角部を介して連続する複数の辺部を有しており、前記帯状体は、前記角部及び前記複数の辺部に跨るように連続して圧着されていることを特徴としている。
この特徴によれば、帯状体がフランジの角部が成す角度を維持することで、容器本体の変形を防止することができる。
【0009】
本発明の調理用容器は、
前記フランジは、平面視で略四角形状に形成されており、前記帯状体は、2つの角部と該2つの角部に連設される3つの辺部に圧着されていることを特徴としている。
この特徴によれば、平面視で略四角形状に形成された調理用容器におけるフランジの3つの辺部と2つの角部とを帯状体によって圧着するのみで、調理用容器における四角形状を十分に維持することができる。
【0010】
本発明の調理用容器は、
前記上片は、前記収納部の内面から前記フランジの上面にかけて連続して形成されるR部を残して延出していることを特徴としている。
この特徴によれば、上片がR部を残して延出されているため、収納部からの飲食物の取り出しを行い易くすることができる。
【0011】
本発明の調理用容器は、
前記帯状体は、前記第1折り代よりも下方に形成された第2折り代を介して前記収納部の外面に沿うように折曲される垂下片を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、前記した帯状体の内外側方の強度に加えて、垂下片によって垂直方向の強度も強化することができるので、調理用容器の垂直方向への変形も防止することができる。
【0012】
本発明の調理用容器は、
複数個の前記容器本体を重ね合わせる際、上方の前記調理用容器における前記垂下片が、下方の前記調理用容器における前記収納部の上端、前記フランジの上面、または前記帯状体の前記上片の上面に当接することを特徴としている。
この特徴によれば、重ね合わせた上方の調理用容器と下方の調理用容器との間に垂下片により間隙を確保し、この間隙に使用者の指等を挿し込み可能とすることができる。
【0013】
本発明の調理用容器は、
前記上片は、前記収納部の内面から前記垂下片の略肉厚分を残して前記フランジの上面に延出していることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の調理用容器を重ね合わせる際、上方の調理用容器の垂下片が、上方の調理用容器の側壁と下方の調理用容器の上片の端部との間に位置され、複数の調理用容器を重ね合わせる際の両調理用容器間の位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における調理用容器を示す斜視図である。
【図2】調理用容器を示す断面図である。
【図3】(a)は、容器本体への補強部材の取り付けを示す平面図であり、(b)は、図3(a)におけるA−A断面図である。
【図4】(a)は、パン生地を収納部内に流し込んだ状態を示す断面図であり、(b)は、収納部内のパン生地が膨張した状態を示す断面図である。
【図5】(a)は、調理用容器を複数重ね合わせた状態を示す一部破断正面図であり、(b)は、図5(a)における部分拡大図である。
【図6】実施例2における容器本体への補強部材の取り付けを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る調理用容器を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1に係る調理用容器につき、図1から図5を参照して説明する。以下、図2、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)の紙面手前側を調理用容器の正面側(前方側)として説明する。図1に示すように、本実施例における調理用容器1は、本発明における飲食物としてのパン生地2(図4(a)参照)を焼き上げるための容器本体3と、この容器本体3に取り付けられ容器本体3の強度を向上させるための帯状体4と、から構成されている。
【0017】
このうち容器本体3は、図2及び図3(a)に示すように、本発明における薄膜体としてのアルミニウム箔にプレス加工を施すことで、パン生地2を流し込むことが可能に上方に向けて開口する収納部5に形成される。この収納部5は、平面視で前後幅方向に長寸の略長方形状に形成されている。
【0018】
また、収納部5の底壁5aの平面視での略中央部には、垂直方向を向く空気穴5bが貫通形成されており、この空気穴5bの周囲には平面視で略長方形状をなすように突部5cが形成されている。そして、収納部5の四方を囲む側壁5dは、収納部5の前後幅寸法及び左右幅寸法を収納部5の上方から下方にかけて漸次短寸となるように収納部5の略中央部に向けて傾斜して形成されている。
【0019】
一方、図3(b)に示すように、収納部5の上端は、収納部5の外側方に向けて張り出すようにフランジ6を折曲して形成しており、収納部5の内面からフランジ6の上面にかけては、連続する曲面状のR部5eが形成されている。フランジ6は、図3(a)に示すように、収納部5の左右幅方向を向く一対の直線形状の辺部6a,6aと、辺部6aよりも長寸に形成され収納部5の前後幅方向を向く一対の直線形状の辺部6b,6bと、を備えている。
【0020】
これら辺部6a,6bは、それぞれ隣り合う辺部6b,6aと平面視で略円弧形状に形成された角部6cを介して連続して形成されている。つまり、本実施例におけるフランジ6は、収納部5の上端の全周に亘って収納部5と同様に平面視で略長方形状に形成されている。尚、フランジ6の先端部は、収納部5の側壁5dに向けて巻回された補強部6dに形成されており、フランジ6の強度の向上が図られている。
【0021】
図2に示すように、本実施例において容器本体3を構成するアルミニウム箔の両面にはシリコーン樹脂7が薄膜に塗布されている。このため、本実施例における調理用容器1でパン等を焼き上げる際には、収納部5内での図示しないパンや焦げの付着を防止することができるようになっている。特に、調理用容器1から前記パンを取り出す際には、底壁5aに形成された空気穴5bからの収納部5内への空気の流入及び突部5cの形状によって容易に前記パンを調理用容器1から取り出すことが可能となっている。
【0022】
次に帯状体4について説明する。図3(a)及び図3(b)に示すように、帯状体4は、上記した容器本体3を構成するアルミニウム箔よりも強い強度を備えたブリキにより構成された板体からなっている。
【0023】
この帯状体4の上部側には、帯状体4を長手方向の全長に亘って湾曲するように折曲することで第1折り代4aが形成している。また、帯状体4の下部側には、帯状体4を長手方向の全長に亘って第1折り代4aとは反対の方向に屈曲するようにすることで第2折り代4bが形成されており、帯状体4の上端部から第1折り代4aまでがフランジ6の上面に対して当接するための上片4cに形成され、第1折り代4aから第2折り代4bまでがフランジ6の下面に対して当接するための下片4dに形成されている。
【0024】
更に、帯状体4の第2折り代4bから下端部までは、収納部5の側壁5dに当接するための垂下片4eに形成されている。この垂下片4eの下端部は、平面視で、R部5eより外方に位置するように設定されている。
【0025】
このように構成された帯状体4は、図1及び図3(a)に示すように、平面視で略コ字形状となるように折曲形成されている。このため、帯状体4の上片4cと下片4dとにかけては、垂直方向の断面視で帯状体4の内側に向けて予め開口する略くの字形状に形成され、垂下片4eは帯状体4の内側に向けて下方に傾斜をなしている。
【0026】
このように形成された帯状体4をフランジ6に取り付けるには、先ず、図3(a)及び図3(b)に示すように、帯状体4を容器本体3の背面側から正面側に向けてスライド移動させていき、フランジ6の角部6c,6c及び、これら角部6c,6cに連設された辺部6a及び辺部6b,6bの補強部6dを上片4cと下片4dとの間に配置させる。
【0027】
このとき、垂下片4eは、収納部5の側壁5dの外面に沿って摺接しながら容器本体3の背面側から正面側に向けてスライド移動される。つまり、垂下片4eは、この帯状体4をフランジ6に取り付ける工程において補強部6dが上片4cと下片4dとの間にずれることなく配置されるようガイドの役割を果たしており、帯状体4を容器本体3の背面側から正面側に向けてスライド移動させるだけの動作で容易に帯状体4のフランジ6に対する取り付けを容易に行うことができる。
【0028】
補強部6dを上片4cと下片4dとの間に配置させた後は、プレス機等を用いて上片4c及び下片4dを第1折り代4aを介してフランジ6に向けて折曲させることで、上片4c及び下片4dを、フランジ6の連続する三方向の辺部6b,6a,6b及び角部6c,6cに跨るように圧着させる。このフランジ6に対する帯状体4の圧着は、前述したように、垂下片4eによって補強部6dを上片4cと下片4dとの間にずれることなく配置した状態で行われるため、改めて補強部6dの上片4cと下片4dに対する位置決めを行うことなくなされるため、本実施例の調理用容器1を簡単に製造することが可能となっている。
【0029】
帯状体4は、上片4cと下片4dとを第1折り代4aで折曲した形状となることで側方からの力に対する強度が向上されるため、この帯状体4が圧着されたフランジ6も側方からの力に対する強度が向上し、フランジ6の4つの辺部6a,6a,6b,6b及び4つの角部6c,6c,6c,6cの全てに対して帯状体4を圧着させずとも側方からの力に対して調理用容器1の変形を防止するための十分な強度を得ることができる。
【0030】
更に、垂下片4eは、前述したように帯状体4の内側に向けて第2折り代4bから下方に傾斜をなすように屈曲しているため、帯状体4は、側方からの力に対する強度に加えて垂直方向からの力に対する強度が向上され、帯状体4が取り付けられるフランジ6の垂直方向からの力に対する強度を向上させることができる。
【0031】
このフランジ6が上片4cと下片4dとで圧着された状態では、上片4cは、収納部5のR部5eを残すように、収納部5の内面から垂下片5eの肉厚分を残して容器本体3の外側方から内側方に向けて延出されている。
【0032】
以上のように容器本体3に帯状体4を取り付けることで、本実施例の調理用容器1は側方及び垂直方向への変形に対する強度を向上させることができるため、使用者が調理用容器1を把持する際に使用者の指から容器本体3にかかる力の他、図4(a)及び図4(b)に示すように、収納部5内に流し込まれたパン生地2をオーブン等で加熱することでパン生地2が膨張しても、パン生地2が収納部5を外側方に向けて押し広げようとする力に抗して調理用容器1の変形を防止することができる。
【0033】
尚、収納部5内にパン生地2が流し込まれた調理用容器1がオーブン内等で加熱されることでパン生地2が膨張する際には、帯状体4の上片4cがR部5eを残して延出されているため、パン生地2の膨張が阻害されることがないとともに、前記パンの焼き上がり後に上片4cによって収納部5内からの前記パンの取り出しが阻害されることがない。
【0034】
また、本実施例の調理用容器1は、前述したように収納部5の四方を囲む側壁5dが、収納部5の前後幅寸法及び左右幅寸法を収納部5の上方から下方にかけて漸次短寸となるように収納部5の略中央部に向けて傾斜して形成されているため、図5(a)に示すように、一方の調理用容器1の収納部5の底部を他方の調理用容器1の収納部5内に挿入配置することによって、複数の調理用容器1を重ね合わせておくことが可能となっている。
【0035】
この複数の調理用容器1,1を上下に重ね合わせる際には、図5(b)に示すように、垂下片4eが収納部5の側壁5dの外面に沿って配置されているとともに、上片4cが収納部5の内面から垂下片5eの肉厚分を残して容器本体3の外側方から内側方に向けて延出されているため、上方の調理用容器1における垂下片4eの下端部が、この調理用容器1における収納部5の側壁5dと下方の調理用容器1における上片4cの上端部との間で、下方の調理用容器1におけるフランジ6の上面に当接配置される。
【0036】
このため、上方の調理用容器1の垂下片4eと下方の調理用容器1における収納部5の側壁5dとが略一直線上に配置され、上方の調理用容器1の荷重が下方の調理用容器1にて安定的に支持される。更に、上方の調理用容器1における垂下片4eの下端部は、この調理用容器1における収納部5の側壁5dと下方の調理用容器1における上片4c間に配置されることで側方への移動が規制され、上下間の調理用容器1,1での位置決めが成される。
【0037】
同時に、上方の調理用容器1における垂下片4eの下端部が下方の調理用容器1におけるフランジ6の上面に当接配置されることで、上方の調理用容器1における下片4dの下面と下方の調理用容器1における上片4cの上面との間に間隙Dが生じる。使用者はこの間隙Dに指等を差し込み、重ね合わされた複数の調理用容器1の中から個別に調理用容器1を容易に取り出すことができるようになっている。
【0038】
尚、本実施例では、複数の調理用容器1,1を上下に重ね合わせる際に上方の調理用容器1における垂下片4eの下端部を下方の調理用容器1におけるフランジ6の上面に当接させたが、垂下片4eの肉厚が薄い場合には、上方の調理用容器1における垂下片4eの下端部を下方の調理用容器1における収納部5の上端であるR部5eに当接させてもよく、また、垂下片4eの肉厚が厚い場合には、上方の調理用容器1における垂下片4eの下端部を下方の調理用容器1における上片4cの上面に当接させてもよい。
【0039】
以上、本実施例における調理用容器1にあっては、フランジ6に対して長手方向に向けて第1折り代4aが形成されている帯状体4を、第1折り代4aを介して折曲することで構成される上片4cと下片4dとにより、上下方向から圧着したので、フランジ6自体の内外側方への強度が向上され、調理用容器1の変形を防止することができる。
【0040】
また、フランジ6は、少なくとも1つの角部6cを介して連続する複数の辺部6a,6bを有しており、帯状体4は、角部6c及び複数の辺部6b,6cに跨るように連続して圧着されているので、帯状体4がフランジ6の角部6cが成す角度を維持することで、容器本体3の変形を防止することができる。
【0041】
また、フランジ6は、平面視で略四角形状に形成されており、帯状体4は、2つの角部6c,6cと2つの角部6c,6cに連設される3つの辺部6b,6a,6bに圧着されているので、平面視で略四角形状に形成された調理用容器1におけるフランジ6の3つの辺部6b,6a,6bと2つの角部6c,6cとを帯状体4によって圧着するのみで、調理用容器1における四角形状を十分に維持することができる。
【0042】
また、上片4cは、収納部5の内面からフランジ6の上面にかけて連続して形成されるR部5eを残して延出しているので、収納部5からのパン生地2の取り出しを行い易くすることができる。
【0043】
また、帯状体4は、第1折り代4aよりも下方に形成された第2折り代4bを介して収納部5の外面に沿うように折曲される垂下片4eを有しているので、前記した帯状体4の内外側方の強度に加えて、垂下片4eによって垂直方向の強度も強化することができるので、調理用容器1の垂直方向への変形も防止することができる。
【0044】
また、複数個の容器本体3を重ね合わせる際、上方の調理用容器1における垂下片4eが、下方の調理用容器1における収納部5の上端、フランジ6の上面、または帯状体4の上片4cの上面に当接するので、重ね合わせた上方の調理用容器1と下方の調理用容器1との間に垂下片4eにより間隙Dを確保し、この間隙Dに使用者の指等を挿し込み可能とすることができる。
【0045】
また、上片4cは、収納部5の内面から垂下片4eの略肉厚分を残してフランジ6の上面に延出しているので、複数の調理用容器1を重ね合わせる際、上方の調理用容器1の垂下片4eが、上方の調理用容器1の側壁5dと下方の調理用容器1の上片4cの端部との間に位置され、複数の調理用容器1を重ね合わせる際の両調理用容器1,1間の位置決めを行うことができる。
【実施例2】
【0046】
次に、実施例2に係る調理用容器につき、図6を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成については説明を省略する。
図6に示すように、本実施例におけるフランジ6には、一対の帯状体8,8が圧着されている。これら帯状体8は、それぞれが連続する辺部6a(図3(a)参照)と角部6cと辺部6b(図3(a)参照)とに圧着するために平面視で略L字形状に形成されている。
【0047】
これら帯状体8,8をフランジ6に圧着させるには、図6に示すように、一方の帯状体4を容器本体3の正面側から背面側に向けて移動させていき、特に図示しないが、フランジ6の角部6c及びこの角部6cと連続する辺部6a,6bの補強部6dを上片と下片(ともに図示せず)との間に配置させる。
【0048】
同様に、他方の帯状体8を容器本体3の背面側から正面側に向けて移動させていき、一方の帯状体8の前記上片と前記下片との間に配置された角部6c及び辺部6a,6bとは対向して配置された角部6c及びこの角部6cと連続する辺部6a,6bの補強部6dを上片と下片との間に配置させる。そして、これら帯状体8,8の前記上片及び前記下片をプレス機等を用いてフランジ6に向けて折曲することで帯状体8,8をフランジ6に圧着する。このように帯状体8,8をフランジ6に圧着することで、フランジ6の全ての辺部6a,6bと2つの角部6c,6cの強度を向上させることができる。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0050】
例えば、前記実施例では、フランジ6を平面視で略長方形状に形成したが、フランジの形状は平面視で円形状の他、平面視で三角形状や五角形状等の多角形状であってもよい。尚、フランジを平面視で円形状に形成する場合には、辺部を円弧形状に形成する。
【0051】
また、前記実施例では、帯状体4を角部6c及びこの角部6cと連続する辺部6a,6bに跨るように圧着させたが、辺部6a,6bの何れか一辺のみに帯状体4を圧着させるようにしてもよい。
【0052】
また、前記実施例では、容器本体3をアルミニウム箔にプレス加工を施すことで形成したが、容器本体3はアルミニウム以外の軽金属で薄膜体を構成し、この薄膜体にプレス加工を施すことで形成してもよい。
【0053】
また、前記実施例では、帯状体4をフランジ6の辺部6a,6b及び角部6cを連続して圧着するように屈曲形成したが、帯状体をフランジ6の辺部6a,6bのみを圧着するように直線状に形成してもよい。
【0054】
また、前記実施例では、調理用容器1を垂直方向に重ねあわせることで上方の調理用容器1の垂下片4eを下方の調理用容器の周縁端部5cに当接させ、両フランジ6,6間に間隙を形成したが、帯状体に第2折り代を形成せず、上方の調理用容器1の下片4dが下方の調理用容器1の上片4cに当接することで調理用容器1同士を重ね合わせるようにしてもよい。
【0055】
また、前記実施例では、角部6cを平面視で略円弧形状に形成したが、角部6cは、辺部6a,6bを直交させることで、平面視で略直角形状に形成してもよく、また、フランジ6の平面視での形状によっては辺部6a,6bの成す角度を適宜変更して形成してもよい。
【0056】
また、前記実施例では、収納部5に流し込まれる飲食物をパン生地2として説明したが、収納部5に流し込まれる飲食物はパン生地2と同様に加熱することで膨張するケーキ生地等の他、冷却することで体積が増大する水を含む液体等であってもよく、収納部5に液体を流し込む場合には空気穴5bを形成しないことが望ましい。
【0057】
また、前記実施例では、帯状体4をブリキによって構成したが、帯状体4は耐熱性を有する材質であれば金属材の他樹脂材等であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 調理用容器
2 パン生地(飲食物)
3 容器本体
4 帯状体
4a 第1折り代
4b 第2折り代
4c 上片
4d 下片
4e 垂下片
5 収納部
5e R部
6 フランジ
6a,6b 辺部
6c 角部
8 帯状体

























【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を流し込み可能に上方に向けて開口した収納部と、該収納部の上端から折曲されて外側方に向けて張り出すフランジと、を有する薄膜体により構成された容器本体を備える調理用容器であって、
前記フランジに対して長手方向に向けて第1折り代が形成されている帯状体を、前記第1折り代を介して折曲することで構成される上片と下片とにより、上下方向から圧着したことを特徴とする調理用容器。
【請求項2】
前記フランジは、少なくとも1つの角部を介して連続する複数の辺部を有しており、前記帯状体は、前記角部及び前記複数の辺部に跨るように連続して圧着されていることを特徴とする請求項1に記載の調理用容器。
【請求項3】
前記フランジは、平面視で略四角形状に形成されており、前記帯状体は、2つの角部と該2つの角部に連設される3つの辺部に圧着されていることを特徴とする請求項2に記載の調理用容器。
【請求項4】
前記上片は、前記収納部の内面から前記フランジの上面にかけて連続して形成されるR部を残して延出していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の調理用容器。
【請求項5】
前記帯状体は、前記第1折り代よりも下方に形成された第2折り代を介して前記収納部の外面に沿うように折曲される垂下片を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の調理用容器。
【請求項6】
複数個の前記容器本体を重ね合わせる際、上方の前記調理用容器における前記垂下片が、下方の前記調理用容器における前記収納部の上端、前記フランジの上面、または前記帯状体の前記上片の上面に当接することを特徴とする請求項5に記載の調理用容器。
【請求項7】
前記上片は、前記収納部の内面から前記垂下片の略肉厚分を残して前記フランジの上面に延出していることを特徴とする請求項5または6に記載の調理用容器。





























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−55595(P2012−55595A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203805(P2010−203805)
【出願日】平成22年9月11日(2010.9.11)
【出願人】(505052917)技研プロセス有限会社 (3)
【Fターム(参考)】