説明

調節眼内レンズおよび使用方法

触覚(12)および(14)を備える周辺の非光学部分を含む調節眼内レンズIOL(10)。IOLは、前方レンズ素子(16)、アクチュエータ(20)を備える中間層(18)、および基体または後方素子(22)を備える光学部分も含む。前方素子(16)はその周辺で中間層(18)に結合される。前方素子をアクチュエータ(20)に結合することもできる。中間層は後方素子(22)にも結合される。触覚(12)および(14)の内面は、後方素子(22)および中間層(18)によって画定される能動チャネル(26)と流体連通状態の内部体積(24)を画定する。図で示したように、アクチュエータ(20)は中間層(18)と一体である。後方素子(22)はバットレス(11)と共に成形され、バットレス(11)はバットレス(11)を通るバットレス孔(13)を含む。触覚は、バットレス孔(13)内に嵌る寸法および形状の触覚取り付け要素(15)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、眼内レンズ(「IOL」)に関し、詳細には、調節眼内レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
白内障は、世界の失明の主な原因であり、最も多い眼病である。白内障による障害が個人の日常生活の動作に影響または変化をもたらす場合、外科的な水晶体の除去および眼内レンズ(「IOL」)の移植は、機能的制約に対処する好ましい方法である。
【0003】
白内障は、局在性混濁でも、広く全体的な透明性の消失でも、いずれにせよ患者の水晶体の混濁である。しかし臨床的に重要なことは、白内障が視力の大幅な低下または機能障害を招くことである。白内障は、老化あるいは遺伝要因によるもの、外傷、炎症、代謝もしくは栄養不良、または放射線の結果として発症する。老化に関連する白内障状態が最も一般的である。
【0004】
白内障の治療では、外科医が水晶体嚢から水晶体基質を除去し、IOLと置換する。通常のIOLは、患者が非常に良好な遠見視力を有することができるように選択された焦点距離を提供する。しかしレンズはもはや調節不可能であるため、通常、患者は読書に眼鏡が必要である。
【0005】
より詳細には、人の眼の結像特性がいくつかの光学インターフェースによって向上される。健康な若者の眼は、合計約59ジオプトリの屈折力(power)を有し、角膜の前面(例えば涙液層を含む外面)の屈折力が約48ジオプトリ、後面が約-4ジオプトリである。本明細書で「嚢包」とも呼ばれる、毛様体筋によって小帯を介して支持される透明で弾性の嚢内の、瞳孔の後部に位置する水晶体は、約15ジオプトリの屈折力を有し、やはり網膜上に像の焦点を合わせる重要な機能を果たす。この集束能力は「調節」と呼ばれ、様々な距離にある対象を結像することができる。
【0006】
若者の眼の水晶体の屈折力は、水晶体の形状を緩い凸形状から高い凸形状に調節することによって、15ジオプトリから約29ジオプトリまで調節することができる。この調節を引き起こすと一般に考えられている機構は、嚢(およびその中に含まれる水晶体)を支持する毛様体筋の(緩い凸形状に相当する)弛緩状態と(高い凸形状に相当する)収縮状態の間の移行である。水晶体自体は粘性のゲル状の透明な繊維からなり、「タマネギ様」層構造に配置されているため、毛様体筋によって小帯を介して嚢に加えられる力が水晶体の形状を変化させる。
【0007】
眼から隔離されると、弛緩した嚢および水晶体はより球形状になる。しかし眼中では、嚢はその周囲で約70の小さい靭帯繊維によって毛様体筋に結合されており、毛様体筋は眼球の内面に付着される。したがって、水晶体および嚢を支持する毛様体筋は括約筋式に動くと考えられる。それゆえ、毛様体筋が弛緩すると、嚢および水晶体は周囲に引っ張られて、より大きい径になるため、水晶体はより平坦になるが、毛様体筋が収縮すると、水晶体および嚢はやや弛緩し、より小さい径になり、より球形状に近い形になる。
【0008】
上記のように、若者の眼は約14ジオプトリの調節を有する。人が年をとるに従って、水晶体が硬化し、あまり弾性でなくなり、約45〜50歳までに、調節が約2ジオプトリまで低下する。高齢では、水晶体が非調節の「老視」として知られた状態になると考えられる。結像距離が固定されるため、通常、老視には近くや遠くを見やすくするための二重焦点が必要である。
【0009】
年齢に関連する調節能力の損失はさておき、こうした損失には、白内障の治療用のIOLを配置する必要がある。IOLは、アクリル樹脂またはシリコーンなど、適した高分子材料から作成された全般的に単一素子のレンズである。IOLを受ける人は、通常、すでにこの調節能力が失われているが、IOLの配置後の調節はもはや不可能である。IOL製品に調節力を与えて、IOLの被移植者が調節能力を持つようになることが大いに必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,122,053号明細書
【特許文献2】米国特許第7,261,737号明細書
【特許文献3】米国特許第7,247,168号明細書
【特許文献4】米国特許第7,217,288号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
調節IOLに様々な取組みがなされてきたが、眼の調節をできるだけ回復することができる調節IOLが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は調節眼内レンズである。このレンズは、レンズの光路に沿って配置された前方素子、後方素子、および中間層を備える光学部分を含み、中間層は前方素子と後方素子の間に配置される。レンズは、光学部分と流体連通状態の周辺部分も含む。眼内レンズは、流動性媒体が毛様体筋の動きに応答して周辺部分と光学部分の間で移動されるときに、前方素子、後方素子、および中間層のうちの少なくとも2つが第1の構成から第2の構成に移動するように適合される。
【0013】
一部の実施形態では、後方素子は後方素子内に形成されたチャネルを備え、後方素子および中間層は周辺部分と流体連通状態の能動チャネルを画定する。前方素子を中間層に前方素子の周辺などに沿って結合することができる。中間層を後方要素に結合することもできる。
【0014】
一部の実施形態では、中間層はアクチュエータを備える。アクチュエータは眼内レンズの全調節範囲にわたり前方素子と接触することができ、または、アクチュエータは眼内レンズの全調節範囲にわたり前方素子と接触しなくてもよい。アクチュエータは非調節構成では実質的に円錐形構成をとる。
【0015】
一部の実施形態では、周辺部分は後方素子に結合される。後方素子は後方素子の周辺に配置されたバットレス要素を含むことができ、周辺部分はバットレス要素に結合される。周辺部分は触覚を備えることができ、触覚は、バットレス要素内の孔内に嵌るように適合された連結要素を備える。周辺部分は触覚を備えることができ、バットレス要素は触覚内の孔内に嵌るように適合された連結要素を備える。
【0016】
一部の実施形態では、中間層および前方素子は、第2の流動性媒体をその中に含む受動チャンバを画定する。前方素子、中間層、後方素子、第2の流動性媒体、および流動性媒体のすべての屈折率を互いに実質的に一致させることができる。
【0017】
一部の実施形態では、第1の構成から第2の構成に移動する前方素子、後方素子、および中間層のうちの少なくとも2つは、中間層および前方素子である。
【0018】
本発明の一態様は調節眼内レンズである。このレンズは、前方素子、後方素子、および前方素子と後方素子の間に配置された中間層を備える光学部分を含む。前方素子の前面はレンズの前面を画定し、後方素子の後面はレンズの後面を画定する。レンズは、光学部分と流体連通状態の周辺部分も含む。眼内レンズは、流動性媒体が毛様体筋の動きに応答して光学部分と周辺部分の間で移動されるときに、レンズの前面およびレンズの後面のうちの少なくとも1つが第1の構成から第2の構成に移動するように適合される。
【0019】
一部の実施形態では、中間層の第1の表面は、周辺部分と流体連通状態の能動チャネルを部分的に画定する。中間層および後方素子は能動チャネルを画定することができる。中間層および前方素子は、第2の流動性媒体を含む受動チャンバを画定することができる。一部の実施形態では、前方素子、後方素子、中間層、流動性媒体、および第2の流動性媒体のすべての屈折率が互いに実質的に一致する。
【0020】
一部の実施形態では、前方素子が中間層に結合され、前方素子の周辺に沿って結合されうる。中間層を後方素子に結合することができる。
【0021】
一部の実施形態では、中間層はアクチュエータを備え、アクチュエータは眼内レンズの全調節範囲にわたり前方素子と接触することができ、またはアクチュエータは眼内レンズの全調節範囲の一部だけにわたり前方素子と接触してもよい。アクチュエータは非調節構成では実質的に円錐形構成をとることができる。
【0022】
一部の実施形態では、周辺部分は後方素子に結合される。後方素子は後方素子の周辺に配置されたバットレス要素を含むことができ、周辺部分はバットレス要素に結合される。周辺部分は触覚を備えることができ、触覚は、バットレス要素内の孔内に嵌るように適合された連結要素を備える。別法として、バットレス要素が触覚内の孔内に嵌るように適合された連結要素を備えることもできる。
【0023】
本発明の一態様は、調節眼内レンズの光学パラメータを変える方法である。この方法は、光学部分、および光学部分から周辺に延びる周辺部分を備える眼内レンズであって、光学部分が前方素子、後方素子、および前方素子と後方素子の間に配置された中間層を備える眼内レンズを提供する段階を含む。光学部分と周辺部分は流体連通状態である。この方法は、流動性媒体を毛様体筋の動きに応答して光学部分と周辺部分の間で移動させて、眼内レンズの光学パラメータを変える段階も含み、流動性媒体を光学部分と周辺部分の間で移動させる段階は、前方素子、中間層、および後方素子のうちの少なくとも2つを第1の構成から第2の構成に移動させる段階を含む。
【0024】
一部の実施形態では、流動性媒体を光学部分と周辺部分の間で移動させる段階は周辺部分を変形させる段階を含む。前方素子、中間層、および後方素子のうちの少なくとも2つを移動させる段階は、中間層および前方素子を第1の構成から第2の構成に移動させる段階を含むことができる。
【0025】
一部の実施形態では、中間層および後方素子は、周辺部分と流体連通状態の能動チャネルを画定し、中間層および前方素子は、第2の流動性媒体をその中に含む受動チャンバを画定する。この方法は、前方素子、中間層、後方素子、第2の流動性媒体、および流動性媒体の屈折率を一致させる段階をさらに含む。
【0026】
本発明の一態様は、調節眼内レンズの屈折力を変える方法である。この方法は、光学部分、および非光学周辺部分を含む眼内レンズであって、光学部分が前方素子、後方素子、および前方素子と後方素子の間に配置された中間層を備え、前方素子の前面が眼内レンズの前面を画定し、後方素子の後面が眼内レンズの後面を画定する眼内レンズを提供する段階を含む。この方法は、流動性媒体を毛様体筋の動きに応答して光学部分と非光学部分の間で移動させて、眼内レンズの屈折力を変える段階も含み、流動性媒体を光学部分と非光学部分の間で移動させる段階は、眼内レンズの前面および眼内レンズの後面のうちの少なくとも1つを移動させる段階を含む。
【0027】
一部の実施形態では、流動性媒体を光学部分と非光学部分の間で移動させる段階は、非光学部分を変形させる段階を含む。流動性媒体を光学部分と非光学部分の間で移動させる段階は、中間層を第1の構成から第2の構成に移動させる段階を含むことができる。
【0028】
一部の実施形態では、中間層および後方素子は、周辺部分と流体連通状態の能動チャネルを画定し、中間層および前方素子は、第2の流動性媒体をその中に含む受動チャンバを画定する。この方法は、前方素子、中間層、後方素子、第2の流動性媒体、および流動性媒体の屈折率を一致させる段階も含む。
【0029】
参照による組込み
本明細書に記載した刊行物および特許出願はすべて、それぞれ個々の刊行物または特許出願が明確に個々に参照により組み込まれていることが示されている範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
本発明の新規な特徴は添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の原理が使用される例示の実施態様を示す以下の詳細な説明および添付の図面の参照により、本発明の特徴および利点のよりよい理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】人の眼の構造を示す図である。
【図2A】人の眼の働きを示す図である。
【図2B】人の眼の働きを示す図である。
【図3】例示の眼内レンズの一実施形態を示す図である。
【図4】例示の眼内レンズの一実施形態を示す図である。
【図5】例示の眼内レンズの一実施形態を示す図である。
【図6】非調節および調節構成の例示の眼内レンズの一部を示す図である。
【図7】例示の眼内レンズの光学部分を示す図である。
【図8A】眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図8B】眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図8C】眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図9】眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図10】眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図11】眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図12】眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図13】調節構成を変化させる際の眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図14】調節構成を変化させる際の眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図15】調節構成を変化させる際の眼内レンズの一代替実施形態を示す図である。
【図16】水晶体嚢と光学部分の間で圧縮された例示の触覚を示す図である。
【図17】例示の代替の触覚設計を示す図である。
【図18】例示の代替の触覚設計を示す図である。
【図19】例示の代替の触覚設計を示す図である。
【図20】例示の代替の触覚設計を示す図である。
【図21】例示の触覚の寸法を示す図である。
【図22】例示の触覚の設計、ならびに調節および非調節構成の嚢を示す図である。
【図23】ベローズを備える代替の触覚の設計を示す図である。
【図24】ベローズを備える代替の触覚の設計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、一般に、眼内レンズ(「IOL」)に関し、詳細には、調節眼内レンズに関する。好ましい実施形態では、IOLは、毛様体筋の動きに応答してIOL内で移動されてIOLの屈折力を変化させる(流体、ゲル状材料など)流動性媒体を含む。
【0033】
図1および2は、人の眼の構造および働きを示す図である。眼100は、角膜1、虹彩2、毛様体筋3、靭帯繊維または小帯4、嚢5、水晶体6、および網膜7を含む。天然の水晶体6は、「タマネギ様」層構造に配置された粘性のゲル状の透明な繊維からなり、透明の弾性の嚢5内に配置される。嚢5はその周囲で小帯4によって毛様体筋3に接合され、毛様体筋3は眼100の内面に付着される。硝子体8は、眼100の中心に充満する高粘性で透明の流体である。
【0034】
眼から隔離されると、弛緩した嚢および水晶体は凸形状になる。しかし、小帯4によって眼の内部に吊り下げられると、嚢5は(毛様体筋が弛緩した場合の)緩い凸形状と(毛様体筋が収縮した場合の)高い凸形状の間を移行する。図2Aで示したように、毛様体筋3が弛緩すると、嚢5および水晶体6が周囲に引っ張られて、水晶体が平坦になる。図2Bで示したように、毛様体筋3が収縮すると、嚢5および水晶体6が弛緩して厚みが増す。それによって、水晶体および嚢がより凸形状になり、水晶体のジオプトリ屈折力(diopter power)が高くなる。
【0035】
さらに、様々な自然の機構が本発明の設計要件に影響を与える。例えば、調節中に瞳孔が自然に絞られ(すなわち径が縮小され)、それによって光を透過する天然の水晶体の面積が縮小される。また、眼は、やはり天然の水晶体の有効面積を縮小するスタイルズ‐クローフォード効果(Stiles-Crawford Effect)を受ける。具体的には、眼の錐状体に入射する光線の輝度は錐状体に入射する光線の角度に依存する。具体的には、錐状体の表面に対して垂直に錐状体に当たる光線はそうでない光線よりも明るく見える。その結果、水晶体の周辺を通過する光線は適正な視力にとってあまり重要ではない。
【0036】
図3〜5は、調節IOL10の第1の実施形態を示す図である。IOL10は触覚12および14を備える周辺の非光学部分を含む。IOLは、前方レンズ素子16、アクチュエータ20を備える中間層18、および基体または後方素子22を含む光学部分も含む。前方素子16はその周辺で中間層18に結合される。一部の実施形態では、前方素子をアクチュエータ20に結合することもできる。中間層は後方素子22にも結合される。触覚12および14の内面は内部体積24を画定し、内部体積24は後方素子22および中間層18によって画定される能動チャネル26と流体連通状態である。図で示したように、アクチュエータ20は中間層18と一体である。後方素子22はバットレス(buttress)11と共に成形され、バットレス11はバットレス11を通るバットレス孔13を含む。触覚は、バットレス孔13内に嵌る寸法および形状の(硬くても可撓性でもよい)触覚取り付け要素15を有する。接着層を触覚取り付け要素の外面および/またはバットレス孔の内面に塗布して、触覚を光学部分に取り付けやすくすることができる。IOLは触覚内の流動性媒体および能動チャネルを含む。IOLは、前方素子および中間層によって画定される受動チャンバ21も含む。受動チャンバは第2の流動性媒体(例えば流体、エラストマーなど)を含み、第2の流動性媒体は、触覚および能動チャネル内の流体と同じでもよく、または異なる流動性媒体でもよい。能動チャネルおよび受動チャンバは流体連通しない。
【0037】
毛様体筋の収縮運動に応答した触覚12および14の変形により、(流体など)流動性媒体が内部体積24と能動チャネル26の間で移動される。流動性媒体が触覚から能動チャネル内に移動されると、能動チャネル内の圧力が増加して、アクチュエータ20を前方に偏倚させる。それによって、前方素子16が前方に偏倚し、この調節構成でIOLの屈折力が増加する。
【0038】
本明細書の実施形態のいずれにおいても、触覚と光学部分の間で移動する流体は、前方素子ではなく、または前方素子に加えて、後方素子の曲率を変えることができる。前方素子の曲率の変化を本明細書に記載したが、これはIOLを限定するものではない。例えば、IOLが移植の際にひっくり返り、前方素子がレンズの後ろ側に配置され、後方素子がレンズの前側に配置されることがある。したがって、触覚から光学部に移動する流体は、IOLの後面を偏倚させる。あるいは、アクチュエータを後方素子と接触させ、能動チャネルを中間層および前方素子によって偏倚させ、受動チャンバが後方素子および中間層によって画定されるようにすることもできる。したがって、触覚から能動チャネルに移動する流体は後方素子を偏倚させる。
【0039】
図6は、非調節状態(破線)および調節状態(実線)のIOLを示す、例示のIOLの一部の断面図である。IOLは、前方素子74、アクチュエータ73を含む中間層78、および後方素子75を備える。アクチュエータ73は偏倚要素71およびベローズ70からなる。能動チャネル72内の圧力が増加すると、ベローズ70が、非調節状態の全般的に円錐形状から調節状態の曲線構成に構成を変える。偏倚要素71は圧力の増加によって前方に押し付けられる。それによって、前方素子74も前方に偏倚され、前方素子の曲率が急勾配になり、レンズの屈折力が増加する。
【0040】
能動流動性媒体および受動流動性媒体を含む光学部分のすべての構成要素の屈折率を実質的に一致させて、前方素子の前面および後方素子の後面によって画定される全般的に単一のレンズ素子を提供することができる。本明細書で使用されるように、「実質的に一致した屈折率」は、構成要素が同じ屈折率を有することが意図されるが、実際の屈折率はわずかに異なってもよいIOLを指す。この用語は、他のIOL構成要素の屈折率とわずかに異なる屈折率を有してもよい(レンズの様々な構成要素を共に結合するための)接着剤を有することができるレンズも指す。
【0041】
しかし、一部の構成要素が異なる屈折率を有して、IOL内に他のインターフェースを生成してもよい。
【0042】
図7は、図3〜5で示したものと同様の(触覚が示されていない)IOLの断面図である。図7は、IOLの光学部分の例示の寸法を示す図である。前方素子の径30は約6.0mmである。前方素子の中心の前方素子の厚さ31は、約0.43mmである。中間層の縁部の厚さ32は約0.35mmである。中間層の中心の厚さ(すなわち偏倚要素の中心の厚さ)33は約0.63mmである。ベローズの長さ40は約1.0mmである。ベローズの厚さ34は約0.10mmである。アクチュエータの径35は約3.40mmである。後方素子の縁部の厚さ36は約0.60mmである。後方素子の中心の厚さ37は約0.70mmである。後方素子の径38は約6.6mmから約7.4mmでもよい。前方素子の前面と後方素子の後面の間のレンズの光軸に沿った(非調節構成の)IOLの中心の厚さ39は約1.8mmから約2.2mmである。
【0043】
ベローズの厚さ34を調節して、アクチュエータの応答性を変えることができる。ベローズの厚さを減少させると、アクチュエータを変位させるために全般的に比較的低い流体圧力しか必要とされない。一部の実施形態では、ベローズの厚さは約0.05mmから約0.3mmである。
【0044】
前方素子の厚さ31を減少させると、所与の流体圧力に対するアクチュエータの応答性が全般的に向上する。ベローズの長さ40を調節して、アクチュエータの応答性を変えることもできる(アクチュエータの径35を同様に調節することができる)。ベローズの長さを長くすると、能動チャネルの体積が増加し、より大きい体積の流動性媒体がアクチュエータの移動に必要とされる。しかし、ベローズの長さを長くすることによって、能動チャネル内の圧力が減少する。したがって、アクチュエータの駆動に必要な体積および圧力を、触覚から移動される流動性媒体と組み合わせて最適化し、最高の応答性を得ることができる。
【0045】
一部の実施形態では、ベローズの長さは約1mmから2mmである。一部の実施形態では、アクチュエータの径35は約2.8mmから約4.2mmである。
【0046】
上記で与えられた寸法は単に例示であり、限定的ではないものとする。
【0047】
図8A〜8Cは他の実施形態のIOL401を示す図である。IOL401は、前方素子404、中間層402、後方素子400、および触覚412を含む。中間層402はアクチュエータを備え、アクチュエータは偏倚要素406およびベローズ408を備える。受動チャンバ405および能動チャネル410も図に示されている。図8Bおよび8Cで分かるように、前方素子404および中間層402は後方素子400に直接結合され、それによって(図3〜5で示した実施形態の構造と同様の)中間層402を前方素子404に結合する中間アセンブリのステップが回避される。前方素子404および中間層402は共にその周辺に沿って後方素子400に結合される。前方素子404は、中間層402よりも光軸OAから半径方向に外側の位置で後方素子400に結合される。
【0048】
前方素子が、周辺部分と光学部分の間の流体の動きに応答して受ける形状変化(すなわち曲率の変化)の大きさは、前方素子が中間層または後方素子に結合される方法および場所に部分的に依存する。こうした境界条件を変えることによって、レンズの中心の変位の所与の大きさについての光屈折力の移行を変えることができる。例えば、前方素子の周辺の縁部に非常に近いところで結合された前方素子は、単に周辺より半径方向に内側で結合された前方素子よりも球形に偏倚する。前者は、周辺まで全体に屈曲することができるが、後者は、偏倚した場合に比較的抑制され、調節構成の場合にあまり球形でない構成をとる(すなわち、より強い収差を有する)。
【0049】
さらに、周辺で結合されたレンズは、より中心近くで結合されたレンズよりも低い能動チャネルの圧力で偏倚する。
【0050】
前方素子は、後方素子の表面417で後方素子に取り付けられる。この対合面は、光軸OAに実質的に直交する。これは組立工程を助け、前方素子404に前方素子404が着座するしっかりした基礎を与えるものである。図8Cは、触覚412を含む断面斜視図である。
【0051】
図8Aの後方素子はバットレス411を含む。バットレス411はニップル413を含み、ニップル413は、触覚の孔415内に嵌って、触覚を後方素子に取り付けるように適合される。接着剤を対合面に塗布することができる。
【0052】
図9〜12は、代替実施形態のIOL200を示す図である。IOL200は、前方素子202、中間層204、後方素子206、および触覚208を含む。触覚は、バットレス要素212を光学バットレス210に取り付けることによって、中間層204に取り付けられる。アクチュエータは偏倚要素213およびベローズ215を含む。図12は、触覚を示す上面図である(光学部分は示されていない)。図で分かるように、触覚のバットレス要素212は触覚208に組み込まれ、光学部分に光学バットレス210で取り付けられる。この実施形態の1つの違いは、機械的複雑性の大部分がレンズの一構成要素である中間層に組み込まれていることである。触覚がバットレス要素を組み込んでいるため、流動性媒体の方向の変化(概ね90度)が、図3〜5および図8A〜8Cで示した実施形態のように光学バットレスではなく、触覚バットレス要素で生じる。
【0053】
図13〜15は、中間層の偏倚要素312がレンズの全調節運動中に前方素子302と接触しない代替実施形態を示す図である。図13は、前方素子302、(アクチュエータの偏倚要素312を含む)中間層304、および後方素子306を含む非調節状態のIOL300を示す図である。IOLは偏倚要素と前方素子の間の間隙310を含む。(図13で示したように)能動チャネル308または受動チャンバ314内に圧力が存在しない場合、幾何形状および受動流体状態は、偏倚要素と前方素子の間に間隙310が存在するものである。
【0054】
(嚢袋の運動によって)能動チャネル308内の圧力が増加すると、偏倚要素312が前方に移動する。圧力が受動チャンバ314内に移行するため、前方素子302も前方に移動する(したがって、レンズの屈折力が増加する)が、全般的に球形状のままである。図14で示したように、偏倚要素は係合するまで前方素子よりも速く偏倚する。
【0055】
能動チャネル内の圧力が増加し続けると、アクチュエータは前方に偏倚し続ける。偏倚要素が前方素子と接触しているため、さらなる偏倚要素の動きによって前方素子が偏倚される。前方素子に対する偏倚要素の寸法により、図15で示したように、受動チャンバ314内の流体が再分配され、前方素子302に非球面効果がもたらされる。それによって、より小さいアパーチャに対するIOLの屈折力がさらに増加される。
【0056】
この実施形態では、比較的低い刺激レベルでのより低い屈折力の変化率(図14)、および比較的高い刺激レベルでのより高い屈折力の変化率(図15)が可能である。前方素子は、低い刺激では全般的に球形状のままでいることができ、より高い刺激では非球形状になる。
【0057】
1つまたは複数の光学構成要素を適した高分子材料から作成することができる。一実施形態では、光学構成要素はすべて実質的に同じ高分子材料から作成される。光学部分に使用可能な例示の高分子組成物には、本発明と同じ譲受人に譲渡された2008年2月21日に出願された同時係属中の米国特許出願第12/034,942号明細書、および2008年7月22日に出願された米国特許出願第12/177,720号明細書に記載されたものが含まれる。
【0058】
触覚は、水晶体嚢内に移植された場合に、嚢の形状変化に応答して変形するように、水晶体上に配置される。嚢は、小帯が毛様体筋の弛緩または収縮に応答して、嚢に力を加え、あるいは弛緩させるときに形状を変える。
【0059】
一実施形態では、IOLは流体駆動型調節IOLであり、流体を毛様体筋の運動に応答して触覚内の内部チャンバと光学部分の間で移動させて、レンズの屈折力を変えるように適合される。特定の実施形態では、毛様体筋が収縮し始めたときに、流体が光学部分に移動されて、小帯が嚢に加える力を弛緩させる。小帯が力を弛緩させたときに、嚢および/または光学部分が触覚を圧縮し、その結果、流体を光学部分に移動させ、光学部分内の流体圧力を増加させる。流体の動きによって、レンズの前方素子が偏倚され、それによってレンズの屈折力が増加する。
【0060】
図16は、圧縮力「B」によって水晶体嚢52と光学部分54の間で圧縮された例示の触覚部分50を示す断面図である。触覚が圧縮されると、流体が触覚と光学部分の間で移動されるため、嚢からの力の変化に対する触覚の応答性が、エネルギ効率のよいIOLの作成に重要である。一般に、嚢に対して印加または弛緩される力からエネルギをできるだけ効率よく移行させて、前方素子を変位させることが望ましい。触覚の全体形状、および、おそらくさらに重要には、触覚の断面形状が、毛様体筋の弛緩/収縮に応答して、流体を触覚と光学部分の間で効率よく移動させる方法に影響を与える可能性がある。水晶体嚢への力の変化に応答する、触覚からのより高い応答性を得ることが望ましい。嚢の状態の変化に迅速に応答する触覚/水晶体システムを有することも望ましい。
【0061】
図17〜20は、例示の触覚の形状および断面を示す図である。図17は、幅Wよりも大きい高さHを有する楕円形の断面を有する触覚を示す図である。図18は「D」形状の断面を有する触覚を示す図である。図19は円形の断面を有する代替触覚形状を示す図である。図20は平坦な卵形の断面を有する触覚を示す図である。
【0062】
他の形状および/または断面を使用して、より応答性の高い触角を作成することもできる。さらに、触覚を、それぞれ異なる高分子組成物を有する複数のセクションで構成することもできる。それによって、触覚の1つのセクションを別のセクションよりも硬くすることが可能で、触覚の応答性を高める助けをすることができる。触覚に使用可能な例示の高分子組成物には、2008年2月21日に出願された米国特許出願第12/034,942号明細書、および2008年7月22日に出願された米国特許出願第12/177,720号明細書に記載されたものが含まれる。
【0063】
所与の断面で壁の厚さを変えて、局所の動きを可能にし、効率を上げることもできる。図21は、触覚の例示の断面を示す断面図である。触覚の高さ260は、約3.0mmから約3.4mmである。触覚の幅262は、約1.2mmから約2.0mmである。触覚の壁の厚さ264は、約0.1mmから約0.3mmである。こうした寸法は単に例示であり、限定的ではないものとする。
【0064】
一部の実施形態では、触覚の形状を、非調節状態の水晶体嚢の湾曲した赤道部分とより自然に対合するように、または対応する水晶体の対合面をより良好に補間するように適合させることができる。これは、触覚の応答性を向上させ、触覚と嚢の間の「死腔」による動きの損失の大きさを低減する助けをすることができる。図19はその一例である。図22は、IOL300、ならびに調節および非調節状態の嚢を示す他の断面設計図である。
【0065】
図23は、触覚500の一側面に沿ったベローズ501を備える代替の触覚の設計を示す図である。本明細書で記載または参照した任意の方法を使用して、触覚を光学部分に取り付けることができる。触覚500は、触覚の周辺側に沿って強化要素502を含んで、触覚を嚢袋の赤道と確実に接触させることもできる。強化要素は、例えば、強化ニチノールワイヤ(金属)またはモノフィラメント(プラスチック)でもよい。
【0066】
図24は、例示の嚢袋506への移植前の非調節状態(自然の弛緩した状態)のIOL512を示す上面図である。触覚500は約10mmの径を有する。光学部分は約6mmの径を有する。嚢袋内に移植されると、嚢袋の弛緩によって触覚に圧力が加えられて、触覚が屈曲する。ベローズが触覚内の体積をより大きく縮小させ、それによってより大きい体積の流体が光学部分に変位される。
【0067】
本明細書に記載した任意の特徴を組み込むことができる他の例示の調節IOLが、参照により開示の全体が本明細書に組み込まれている、2002年12月12日に出願の本発明の譲受人に譲受された米国仮特許出願第60/433,046号明細書、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4、2006年12月19日に出願の米国特許出願第11/642,388号明細書、2006年12月27日に出願の米国特許出願第11/646,913号明細書に記載されている。
【0068】
本発明の好ましい実施形態を図で示し、本明細書に記載したが、当業者には明らかなように、こうした実施形態は単なる例として提供したものである。当業者は、いくつかの変形形態、変更形態、および代替形態を本発明から逸脱することなく思いつくであろう。理解されるように、本明細書に記載した本発明の実施形態の様々な代替形態を本発明の実施に使用することができる。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、こうした特許請求の範囲内の方法および構造、ならびに等価のものは特許請求の範囲に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0069】
2 虹彩
3 毛様体筋
4 小帯
5、52 嚢
6 水晶体
7 網膜
8 硝子体
10、200、300、401、512 IOL
11、210、411 バットレス
12、14、50、208、412、500 触覚
13 バットレス孔
15 触覚取り付け要素
16、74、202、302、404 前方素子
18、78、204、304、402 中間層
20、73 アクチュエータ
21、314、405 受動チャンバ
22、75、400、206、306 後方素子
24 内部体積
26、72、308、410 能動チャネル
30 前方素子の径
31 前方素子の厚さ
32 中間層の縁部の厚さ
33 中間層の中心の厚さ
34 ベローズの厚さ
35 アクチュエータの径
36 後方素子の縁部の厚さ
37 後方素子の中心の厚さ
38 後方素子の径
39 IOLの中心の厚さ
40 ベローズの長さ
54 光学部分
70、215、408、501 ベローズ
71、213、312、406 偏倚要素
73 アクチュエータ73
100 眼
212 バットレス要素
260 触覚の高さ
262 触覚の幅
264 触覚の壁の厚さ
310 間隙
413 ニップル
415 触覚の孔
417 表面
502 強化要素
506 嚢袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの光路に沿って配置された前方素子、後方素子、および中間層を備えた光学部分であって、前記中間層が前記前方素子と前記後方素子の間に配置された光学部分と、
前記光学部分と流体連通状態の周辺部分と、
を備えた調節眼内レンズであって、
前記眼内レンズが、流動性媒体が毛様体筋の動きに応答して前記周辺部分と前記光学部分の間で移動されるときに、前記前方素子、前記後方素子、および前記中間層のうちの少なくとも2つが第1の構成から第2の構成に移動するように構成されている、調節眼内レンズ。
【請求項2】
前記後方素子が前記後方素子内に形成されたチャネルを備え、前記後方素子および前記中間層が前記周辺部分と流体連通状態の能動チャネルを画定している、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項3】
前記前方素子が前記中間層に結合されている、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項4】
前記前方素子が前記中間層に前記前方素子の周辺に沿って結合されている、請求項3に記載の眼内レンズ。
【請求項5】
前記中間層が前記後方素子に結合されている、請求項3に記載の眼内レンズ。
【請求項6】
前記中間層がアクチュエータを備えている、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項7】
前記アクチュエータが前記眼内レンズの全調節範囲にわたり前記前方素子と接触している、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項8】
前記アクチュエータが前記眼内レンズの全調節範囲にわたり前記前方素子と接触していない、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項9】
前記アクチュエータが非調節構成で実質的に円錐形構成をとる、請求項6に記載の眼内レンズ。
【請求項10】
前記周辺部分が前記後方素子に結合されている、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項11】
前記後方素子が前記後方素子の周辺に配置されたバットレス要素を備え、前記周辺部分が前記バットレス要素に結合されている、請求項10に記載の眼内レンズ。
【請求項12】
前記周辺部分が触覚を備え、前記触覚が前記バットレス要素内の孔内に嵌るように適合された連結要素を備えている、請求項11に記載の眼内レンズ。
【請求項13】
前記周辺部分が触覚を備え、前記バットレス要素が前記触覚内の孔内に嵌るように適合された連結要素を備えている、請求項11に記載の眼内レンズ。
【請求項14】
前記中間層および前記前方素子が第2の流動性媒体をその中に含む受動チャンバを画定している、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項15】
前記前方素子、前記中間層、前記後方素子、前記第2の流動性媒体、および前記流動性媒体のすべての屈折率が互いに実質的に一致している、請求項14に記載の眼内レンズ。
【請求項16】
第1の構成から第2の構成に移動する前記前方素子、前記後方素子、および前記中間層のうちの少なくとも2つが前記中間層および前記前方素子である、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項17】
前方素子、後方素子、および前記前方素子と前記後方素子との間に配置された中間層を備えた光学部分であって、前記前方素子の前面がレンズの前面を画定し、前記後方素子の後面が前記レンズの後面を画定している光学部分と、
前記光学部分と流体連通状態の周辺部分と、
を備えた調節眼内レンズであって、
前記眼内レンズが、流動性媒体が毛様体筋の動きに応答して前記光学部分と前記周辺部分の間で移動されるときに、前記レンズの前記前面および前記レンズの前記後面のうちの少なくとも1つが第1の構成から第2の構成に移動するように構成されている、調節眼内レンズ。
【請求項18】
前記中間層の第1の表面が前記周辺部分と流体連通状態の能動チャネルを部分的に画定している、請求項17に記載の眼内レンズ。
【請求項19】
前記中間層および前記後方素子が前記能動チャネルを画定している、請求項18に記載の眼内レンズ。
【請求項20】
前記中間層および前記前方素子が第2の流動性媒体を含んだ受動チャンバを画定している、請求項17に記載の眼内レンズ。
【請求項21】
前記前方素子、前記後方素子、前記中間層、前記流動性媒体、および前記第2の流動性媒体のすべての屈折率が互いに実質的に一致している、請求項20に記載の眼内レンズ。
【請求項22】
前記前方素子が前記中間層に結合されている、請求項17に記載の眼内レンズ。
【請求項23】
前記前方素子が前記前方素子の周辺に沿って前記中間層に結合されている、請求項22に記載の眼内レンズ。
【請求項24】
前記中間層が前記後方素子に結合されている、請求項22に記載の眼内レンズ。
【請求項25】
前記中間層がアクチュエータを備えている、請求項17に記載の眼内レンズ。
【請求項26】
前記アクチュエータが前記眼内レンズの全調節範囲にわたり前記前方素子と接触している、請求項25に記載の眼内レンズ。
【請求項27】
前記アクチュエータが前記眼内レンズの全調節範囲にわたり前記前方素子と接触していない、請求項25に記載の眼内レンズ。
【請求項28】
前記アクチュエータが非調節構成で実質的に円錐形構成をとる、請求項25に記載の眼内レンズ。
【請求項29】
前記周辺部分が前記後方素子に結合されている、請求項17に記載の眼内レンズ。
【請求項30】
前記後方素子が前記後方素子の周辺に配置されたバットレス要素を備え、前記周辺部分が前記バットレス要素に結合されている、請求項29に記載の眼内レンズ。
【請求項31】
前記周辺部分が触覚を備え、前記触覚が前記バットレス要素内の孔内に嵌るように適合された連結要素を備えている、請求項30に記載の眼内レンズ。
【請求項32】
前記周辺部分が触覚を備え、前記バットレス要素が前記触覚内の孔内に嵌るように適合された連結要素を備えている、請求項30に記載の眼内レンズ。
【請求項33】
調節眼内レンズの光学パラメータを変える方法であって、
光学部分、および前記光学部分から周辺に延びた周辺部分を備えた眼内レンズであって、前記光学部分が前方素子、後方素子、および前記前方素子と前記後方素子との間に配置された中間層を備え、前記光学部分と前記周辺部分が流体連通状態である眼内レンズを提供する段階と、
流動性媒体を毛様体筋の動きに応答して前記光学部分と前記周辺部分との間で移動させて、前記眼内レンズの光学パラメータを変える段階と、
を含み、
流動性媒体を前記光学部分と前記周辺部分との間で移動させる段階が、前記前方素子、前記中間層、および前記後方素子のうちの少なくとも2つを第1の構成から第2の構成に移動させる段階を含んでいる方法。
【請求項34】
流動性媒体を前記光学部分と前記周辺部分との間で移動させる段階が前記周辺部分を変形させる段階を含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記前方素子、前記中間層、および前記後方素子のうちの少なくとも2つを移動させる段階が前記中間層および前記前方素子を第1の構成から第2の構成に移動させる段階を含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記中間層および前記後方素子が前記周辺部分とともに流体連通状態の能動チャネルを画定し、前記中間層および前記前方素子が第2の流動性媒体をその中に含む受動チャンバを画定し、前記方法が、前記前方素子、前記中間層、前記後方素子、前記第2の流動性媒体、および前記流動性媒体の屈折率を一致させる段階をさらに含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
調節眼内レンズの屈折力を変える方法であって、
光学部分および非光学周辺部分を備えた眼内レンズであって、前記光学部分が前方素子、後方素子、および前記前方素子と前記後方素子との間に配置された中間層を備え、前記前方素子の前面が前記眼内レンズの前面を画定し、前記後方素子の後面が前記眼内レンズの後面を画定する眼内レンズを提供する段階と、
流動性媒体を毛様体筋の動きに応答して前記光学部分と前記非光学部分との間で移動させて、前記眼内レンズの屈折力を変える段階と、
を含み、
流動性媒体を前記光学部分と前記非光学部分との間で移動させる段階が、前記眼内レンズの前記前面および前記眼内レンズの前記後面のうちの少なくとも1つを移動させる段階を含んでいる方法。
【請求項38】
流動性媒体を前記光学部分と前記非光学部分との間で移動させる段階が前記非光学部分を変形させる段階を含んでいる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
流動性媒体を前記光学部分と前記非光学部分との間で移動させる段階が前記中間層を第1の構成から第2の構成に移動させる段階を含んでいる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記中間層および前記後方素子が前記周辺部分とともに流体連通状態の能動チャネルを画定し、前記中間層および前記前方素子が第2の流動性媒体をその中に含む受動チャンバを画定し、前記方法が、前記前方素子、前記中間層、前記後方素子、前記第2の流動性媒体、および前記流動性媒体の屈折率を一致させる段階をさらに含んでいる、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2010−534519(P2010−534519A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518360(P2010−518360)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/070918
【国際公開番号】WO2009/015226
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(507132237)パワーヴィジョン・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】