説明

調色配合検索システム及びこれを用いた調色塗料作成方法

【課題】調色配合検索システム及びこれを用いた調色塗料作成方法を提供する。
【解決手段】利用者端末とネットワークを介して通信可能であって、色見本情報と該色見本の調色配合データとを格納する塗色情報データベースと、特定の色見本情報に基づく検索要求をネットワークを介して受信する受信手段と、前記受信手段が受信した検索要求に基づいて、前記特定の色見本情報を入力して前記塗色情報データベースより前記調色配合データを検索する検索手段と、前記検索手段が検索した前記調色配合データを含む検索結果をネットワークを介して前記利用者端末に送信する送信手段とを具備する塗色情報管理サーバを具備する調色配合検索システムで、前記利用者端末が前記ネットワークとデータの送受信が可能な携帯端末で、前記特定の色見本情報がメーカー名、メーカー指定色番号、塗色コード番号及び作業色票番号から選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調色配合検索システム及びこれを用いた調色塗料作成方法に関する。本発明は、塗料、インク等の分野で有用であり、特に自動車補修用塗料の調色に非常に有用である。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車塗膜の補修用塗料などの調色に際して、色を合わせるべき色見本に対応した調色塗料候補配合を得る方法としては、メーカー指定色番号及び塗料配合が記載された色見本を束ねた色見本帳から色を合わせるべき色見本を選択し、その色見本に記載された塗料配合を調色塗料候補配合とする方法がある。この方法においては、色見本に塗料配合を記載するので色見本が大きくなり色見本帳が嵩張り、また、色見本の追加及び/又は更新に際して、色見本に配合を記載し直す必要があるので、一組の色見本と配合の組合せの維持、色見本に更新のための配合を掲載する経費が発生し、また、部分的に更新し色見本を組合せるための作業が発生するといった問題があった。また、新たにメーカー指定色番号を付けるに当たって使用が廃止された塗色の番号と同じ番号が付けられたり、色の異なる内板色と外板色とで同じ番号が付けられたりすることがあるため、メーカー指定色番号には、同じ番号でも異なった塗色を表すことがあり混乱を招き易いといった問題もあった。
【0003】
そこで本出願人は、上記問題を解決できる塗料配合検索のための色票として、特許文献1にはメーカー指定色番号が付された各塗色に対応した、重複することのない塗色コード番号が付された特定の色票を含む塗料配合検索用色票シートを提案している。この色票シート群から、メーカー指定色番号の色票シートを取出し、色票シートの中から作業色票を選択し、その塗色コード番号及び作業色票番号に基づいて、その番号に対応する塗料配合を、各番号に対応して別途サーバ内に保存された塗料配合データベースの中から容易に検索することが可能である。
【0004】
上記のようなサーバは通常、塗料製造者が管理し、自動車補修業者は専用端末を用いて該サーバ内に保存された塗料配合データベースへ通信回線を介してアクセスして、目的とする塗色番号等から検索を行い、塗料配合データ等を取得している(例えば、特許文献2、特許文献3など参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−43928号公報
【特許文献2】特開平2−184369号公報
【特許文献3】特開2002−236850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2、3の方法では、自動車補修業者側に専用端末装置を設置する必要があるため、初期投資額が大きく、また定期的な保守も必要であり、特に小規模の業者において、このようなシステムを導入することが困難であった。近年、社会インフラの整備に伴い、インターネット等を簡便に利用する環境が整いつつある。
【0007】
本発明の目的は、多額の投資を必要としない携帯端末を利用し、且つ色見本に付与された色見本情報から利用者が簡便に調色配合情報を入手可能である調色配合検索システム及びこれを用いた調色塗料作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
1.利用者端末とネットワークを介して通信可能であって、
色見本情報と該色見本の調色配合データとを格納する塗色情報データベースと、
特定の色見本情報に基づく検索要求をネットワークを介して受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した検索要求に基づいて、前記特定の色見本情報を入力して前記塗色情報データベースより前記調色配合データを検索する検索手段と、
前記検索手段が検索した前記調色配合データを含む検索結果を、ネットワークを介して前記利用者端末に送信する送信手段とを具備する塗色情報管理サーバを具備する調色配合検索システムであって、
前記利用者端末が、前記ネットワークとデータの送受信が可能な携帯端末であり、
前記特定の色見本情報がメーカー名、メーカー指定色番号、該メーカー指定色番号が付された各塗色に対応した重複することのない塗色コード番号、及び該塗色コード番号を含む作業色票番号から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする調色配合検索システム、
2.1項記載の調色配合検索システムを用いて前記携帯端末の画面から調色配合検索要求を行う方法であって、前記携帯端末画面において、メーカー一覧を表示するステップと、前記一覧からメーカー名を選択するステップと、メーカー指定色番号を入力するステップと、同一メーカー指定色番号を有する塗色名の一覧を表示するステップと、希望する塗色名のメーカー指定色番号を選択するステップと、色票番号を入力するステップとを有する方法。
3.1項記載の調色配合検索システムを用いて前記携帯端末から調色配合検索要求を行う方法であって、前記携帯端末画面において、作業色票番号を入力するステップを有する方法。
4.1項記載の調色配合検索システムを用いた調色塗料作成方法であって、調色対象となる色見本を選択し、前記色見本に掲載されている特定の色見本情報を携帯端末に入力してネットワークを介して塗色情報管理サーバに送信した後、前記携帯端末に配信された塗料配合データに基づいて、原色塗料を計量し、混合して調色塗料を作成することを特徴とする調色塗料作成方法、
5.携帯端末に配信された調色配合データが、2次元バーコード化されている4項記載の調色塗料作成方法、
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多額の投資を必要とせず、利用者が簡便に調色配合情報を入手することができる。本発明は、特に自動車補修用塗料の調色に非常に有用である。さらに色見本に付された特定の番号を用いることによって携帯端末の画面遷移数を減らせるので、簡便且つ短時間に調色配合データを取得することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態を説明する説明図である。
【0011】
図1において、携帯端末A、携帯端末B及び携帯端末Cは、利用者が操作する利用者端末であり、ネットワークを介して塗色情報管理サーバへ接続可能である。
【0012】
上記塗色情報管理サーバは、色見本情報と該色見本の調色配合データとを格納する塗色情報データベースと、特定の色見本情報に基づく検索要求をネットワークを介して受信する受信手段と、該受信手段が受信した検索要求に基づいて、特定の色見本情報を入力して塗色情報データベースより調色配合データを検索する検索手段と、該検索手段が検索した調色配合データを含む検索結果を、ネットワークを介して利用者端末に送信する送信手段とを具備する。
【0013】
上記塗色情報管理サーバを具備する調色配合検索システムの動作は、利用者端末よりネットワークを介して検索要求を受信し、該検索要求に基づいて塗色情報データベースを検索し、検索結果を利用者端末に配信するものである。
【0014】
利用者は調色作業に際し、まず色見本を束ねた色見本帳から調色対象となる色見本を選択し、該色見本に掲載された塗色を表す番号などの情報を、上記特定の色見本情報として携帯端末に入力して上記サーバへ送信する。
【0015】
本発明で使用される色見本帳には、当該塗色の色紙の近傍に自動車メーカーなどのメーカー名や該メーカーが指定したメーカー指定色番号などが記載された、従来公知のものが特に制限なく使用可能であり、特にメーカーが指定したメーカー指定色番号が付された各塗色に対応して重複することなく設定された塗色コード番号毎に独立した色見本が複数集合してなるものが望ましい。例えばメーカー指定色番号が4種類の塗色を表す場合には、そのメーカー指定色番号に対して4個の塗色コード番号が割り当てられる。特にこのような色見本1枚には、図2に例示するように、同一塗色コード番号(図2では「17683」)の1以上の実塗料配合に対応する塗色見本である作業色票が1枚以上載置され、各作業色票には塗色コード番号を含む作業色票番号(図2では「17683−02」など)が夫々表示されていることが望ましく、該色見本及び作業色票のうちの少なくとも一方に、塗色コード番号が表示されていることが望ましい。作業色票番号は、上記塗色コード番号と色票番号とからなり、携帯端末における入力を容易する点から数字のみから構成されることが望ましい。色票番号は、各作業色票に夫々付される番号であり、同一のメーカー指定塗色であっても塗装する素材面や下塗塗膜層の影響で図2の例示のように標準色(ST)と微妙に異なる色に対応するものである。図2では上記作業色票番号において色票番号STの場合を「00」としている。また該色見本や作業色票には、メーカー名、メーカー指定色番号(図2では「759」)などが記載されていることが好適である。色見本に作業色票を載置する方法は、例えば、接着剤にて作業色票の裏面を色見本に貼付する方法などを挙げることができる。
【0016】
図3及び図4に上記色見本情報を入力する携帯端末の画面遷移の一例を示す。図3の携帯端末画面において、検索開始から検索方法を選択する。「ステップ検索」を選択すると、メーカー群一覧、各メーカー群のメーカー一覧から順次選択する画面となり、次いで選択したメーカーのメーカー指定色番号(図3では「塗色番号」としている)を入力する画面となり、入力すると同一メーカー指定色番号(「塗色番号」)を有する塗色名の一覧が表示され、希望する塗色名のメーカー指定色番号(「塗色番号」)を選択することができる。さらに色票番号を入力する画面において入力を完了すると、塗料品種を選択する画面となり、アクリルウレタン硬化系やアクリルラッカー系などの塗料品種を指定すると入力完了となり、前記サーバへ送信される。
【0017】
一方、「イッパツ検索」を選択すると、作業色票番号(図3では「ABIコード」としている)を入力する画面となり、入力を完了すると、塗料品種を選択する画面となる。該作業色票番号を用いると、携帯端末の画面遷移数を減らせるので、簡便且つ短時間に調色配合データの取得が可能である。
【0018】
上記検索要求に対し、図3に例示するように検索結果として調色配合データが配信される。利用者は、配信された調色配合データに基づいて、原色塗料を計量し、混合して調色塗料を作成することができる。また図4に例示するように検索結果として調色配合データをテキスト形式で表示するだけでなく、2次元バーコード化したコード形式で表示することもできる。利用者は配信された2次元バーコードを用いて、コード化された調色配合データを、バーコード読取手段を具備する計量調合装置に読み込ませ、該計量調合装置の指示に従って原色塗料を計量し、混合して調色塗料を作成することもできる。
【0019】
このように計量作業は、利用者が配信された調色配合データを見ながら原色塗料を順次計量しても良いし、配信された調色配合データを計量調合装置に読み込ませ、該計量調合装置の指示に従って原色塗料を計量し、混合して調色塗料を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を説明する説明図である。
【図2】本発明に使用できる色見本の表面及び裏面の一例を示す図である。
【図3】携帯端末の画面遷移の一例を示す説明図である。
【図4】携帯端末の画面遷移の別の一例を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者端末とネットワークを介して通信可能であって、
色見本情報と該色見本の調色配合データとを格納する塗色情報データベースと、
特定の色見本情報に基づく検索要求をネットワークを介して受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した検索要求に基づいて、前記特定の色見本情報を入力して前記塗色情報データベースより前記調色配合データを検索する検索手段と、
前記検索手段が検索した前記調色配合データを含む検索結果を、ネットワークを介して前記利用者端末に送信する送信手段とを具備する塗色情報管理サーバを具備する調色配合検索システムであって、
前記利用者端末が、前記ネットワークとデータの送受信が可能な携帯端末であり、
前記特定の色見本情報がメーカー名、メーカー指定色番号、該メーカー指定色番号が付された各塗色に対応した重複することのない塗色コード番号、及び該塗色コード番号を含む作業色票番号から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする調色配合検索システム。
【請求項2】
請求項1記載の調色配合検索システムを用いて前記携帯端末の画面から調色配合検索要求を行う方法であって、前記携帯端末画面において、メーカー一覧を表示するステップと、前記一覧からメーカー名を選択するステップと、メーカー指定色番号を入力するステップと、同一メーカー指定色番号を有する塗色名の一覧を表示するステップと、希望する塗色名のメーカー指定色番号を選択するステップと、色票番号を入力するステップとを有する方法。
【請求項3】
請求項1記載の調色配合検索システムを用いて前記携帯端末から調色配合検索要求を行う方法であって、前記携帯端末画面において、作業色票番号を入力するステップを有する方法。
【請求項4】
請求項1記載の調色配合検索システムを用いた調色塗料作成方法であって、調色対象となる色見本を選択し、前記色見本に掲載されている特定の色見本情報を携帯端末に入力してネットワークを介して塗色情報管理サーバに送信した後、前記携帯端末に配信された調色配合データに基づいて、原色塗料を計量し、混合して調色塗料を作成することを特徴とする調色塗料作成方法。
【請求項5】
携帯端末に配信された調色配合データが、2次元バーコード化されている請求項4記載の調色塗料作成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−268803(P2006−268803A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118356(P2005−118356)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】