説明

識別タグおよび識別タグセット並びに周波数分割型識別端末および識別方法

【課題】電力利用効率に優れ、構成が簡単で安価に製造できる識別タグおよび識別端末の提供。
【解決手段】識別端末2は問合せ手段であり、発振回路22に特定の周波数f1を設定すると、一次側トランス23でその周波数f1の誘導電磁界230を生成し、誘導電磁界230を介して、一次側トランス23と二次側トランス11とが電磁結合される。二次側トランス11は並列に接続されたコンデンサを有し、共振回路を構成している。この共振回路の共振周波数がf1であるとき、共振回路の出力の電力に基づきLED発光部13が発光する。LED発光部13は逆極性に接続された2つのLEDでなる。発振回路22の発振周波数の選択により、特定の共振周波数を有する識別タグを識別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構成で物品の識別を可能にする識別タグ方式に関し、特に質問装置と識別タグとの電磁結合により識別タグに電力を供給するパッシブ型の識別タグおよび識別タグセット並びに周波数分割型識別端末および識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パッシブ型の識別タグ方式としては、特許文献1(特開2004−101483号公報)に記載された探索システムがある。この特許文献1の探索システム(100)は、所定の周波数の電磁波を発信する発信装置(110)と、その所定の周波数の電磁波を受けたときに共振するタグ(120)とを備えてなる(段落0021,0022,0033,0037等の記載および図1)。発信装置(110)は、周波数数十MHz、1ワット程度の電力の電磁波を送信する送信用アンテナ115を有する(段落0033、図2)。タグ(120)は、その電磁波と共振するLC共振回路123を備える。LC共振回路123はコイル121及びコンデンサ122でなる(段落0037、図5)。タグ(120)は、発光ダイオード(125)を備え、自己のLC共振回路123の共振周波数の電磁波を発信装置(110)から受けたときに、発光ダイオード(125)を発光させ、探索者に対して、当該タグ(120)が取り付けられている探索対象物(200)の所在を通知する(段落0022,0038、図4,5)。すなわち、上述の特許文献1に記載された探索システムは、電源供給方式として、いわゆる電波受信型を採用している。
【0003】
別のパッシブ型の識別タグ方式としては、リーダライタとカードとを有してなり、両者の電磁結合により、電力の供給および情報の伝送をするRFID(Radio Frequency IDentification)方式がある。RFID方式は、例えば東日本旅客鉄道株式会社でスイカ(Suica)(登録商標)なる名称で通勤定期券などとして採用されている。スイカで用いられているRFID方式では、リーダライタとカードとの結合は電力供給系と情報伝送系との2系統で行われる。電力供給系および情報伝送系それぞれにおけるリーダライタとカードとの結合は、何れも電磁結合である。すなわち、RFID方式は、電源供給方式として、いわゆる電磁誘導型を採用している。リーダライタとカードは、電力供給系および情報伝送系用のアンテナコイルをそれぞれ有する。すなわち、アンテナコイルは、リーダライタに2個が備えられ、カードにも2個が備えられる。また、情報伝送系では、リーダライタ及びカードに変復調回路がそれぞれ備えられる。リーダライタとカードとの電磁結合は、周波数13.56MHzの高周波で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−101483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、特許文献1に記載された探索システムは、電波受信型の電源供給方式を採用し、発信装置(110)のアンテナ(115)から周波数数十MHz、1ワット程度の電力の電磁波を送信することによりタグ(120)のLC共振回路(123)に電力を供給している。電波受信型の電源供給方式では、電力の利用効率が、電磁誘導型の電源供給方式に比べて、極めて低い。すなわち、特許文献1に記載された探索システムには、電力の利用効率が低く、タグを識別するための問合せ装置としての発信装置(110)の大型化が避けられず、また消費電力の低減が難しいという欠点があり、電力の利用効率について解決するべき課題がある。
【0006】
他方、上述の通り、RFID方式は、電源供給方式として電磁誘導型を採用しているので、電力の利用効率は相当に高く、60〜98%の電力利用効率を達成できる。ワイヤレス電源供給の方式については、月刊テレコミュニケーション2009年8月号から、「次世代ワイヤレス技術の実用化ロードマップとインパクト[第5回]『ワイヤレス電源供給』共鳴の原理で2m先に電力送信」なる記事が、太田智晴氏になる文により、2010.05.27の日付で、インターネットのbusiness network.jp誌に転載されている。上記電力利用効率のデータについても、その太田智晴氏の記事に図表として掲載されている(この表には、「出典:東芝資料を一部改変」なる付記がされている。)。
【0007】
このようにRFID方式は、電源供給方式として電磁誘導型を採用しているので、電力の利用効率に優れているが、リーダライタとカードとの結合を電力供給系と情報伝送系との2系統で行うので、リーダライタ及びカードにそれぞれアンテナコイルを2個ずつ要し、またリーダライタ及びカード夫々に変復調回路を要する。すなわち、RFID方式には、構成が複雑で、高価であるという避け難い欠点があり、構成の複雑さ及び製造費について解決するべき課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる課題を解決するために、電力利用効率に優れ、構成が簡単で安価に製造できる識別タグおよび識別タグセット並びに周波数分割型識別端末および識別方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明による識別タグおよび識別タグセット並びに周波数分割型識別端末および識別方法は、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)本発明による識別タグは、所定の特性を有するか否かの問合せを問合せ手段から受けたときに、該特性を有するときだけに応答をする識別タグにおいて、
共振回路と、該共振回路の出力の電力に基づき発光する発光手段とを有し、
前記共振回路は、前記問合せ手段の一次コイルで発生される誘導電磁界に置かれたときに該一次コイルと電磁誘導による結合をする二次コイルを有し、
前記特性は前記共振回路の共振周波数であり、
前記応答は前記発光手段の発光である
ことを特徴とする。
【0011】
(2)本発明による識別タグセットは、それぞれが前記(1)に記載され識別タグであり、かつ前記共振周波数を互いに異にし、複数の識別対象物にそれぞれ取り付けられる複数の識別タグでなることを特徴とする。
【0012】
(3)また、本発明による周波数分割型識別端末は、識別タグが所定の特性を有するか否かの問合せをする問合せ手段としての識別端末において、
誘導電磁界を発生し、前記識別タグの二次コイルが該誘導電磁界におかれたとき、該二次コイルと電磁誘導による結合をする一次コイルと、
前記一次コイルに交流電力を供給する発振回路と
を有し、
前記発振回路は、周波数設定手段を有し、該周波数設定手段により設定された周波数で前記交流電力を生成する
前記周波数設定手段は、互いに相違する値に予め定めた複数の周波数のうちから選らばれた1つの周波数に、前記発振回路の発振周波数を設定する
ことを特徴とする。
【0013】
(4)また、本発明による周波数分割型識別方法は、識別対象物に識別タグを取り付け、該識別タグが所定の特性を有するか否かの問合せを問合せ手段から行い、該特性を有するときだけに該識別タグが応答をすることにより、識別対象物の識別をする方法において、
互いに相違する発振周波数のうちから選択された任意の周波数で発振する発振回路で以って、前記問合せ手段に備えられた一次コイルに交流電流を流し、該一次コイルの電磁誘導電界に前記識別タグの二次コイルを位置させ、該二次コイルを含む共振回路が該電磁誘導電界に共振したときに該共振回路に誘起される交流電力で、該識別タグに備えられた発光手段を前記応答として発光させることにより、該共振回路の共振周波数が該発振回路の発振周波数に予め対応付けられたものであるとの判定をし、該判定により該識別タグ付の前記識別対象物を識別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力利用効率に優れ、構成が簡単で安価に製造できる識別タグおよび識別タグセット並びに周波数分割型識別端末および識別方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態である識別タグおよび周波数分割型識別端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の別の実施の形態である識別タグおよび周波数分割型識別端末の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した識別タグの外観を示す斜視図である。
【図4】図1に示した周波数分割型識別端末の外観を示す斜視図である。
【図5】図1に示した識別タグにおけるLED発光部13の回路図である。
【図6】図1に示した識別タグおよび周波数分割型識別端末による周波数分割型識別方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による識別タグおよび識別タグセット並びに周波数分割型識別端末および識別方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0017】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明である周波数分割型識別方法は、識別対象物に識別タグを取り付け、該識別タグが所定の特性を有するか否かの問合せを問合せ手段としての周波数分割型識別端末から行い、該特性を有するときだけに該識別タグが応答をすることにより、識別対象物の識別をする方法である。この周波数分割型識別方法では、互いに相違する発振周波数のうちから選択された任意の周波数で発振する発振回路で以って、前記問合せ手段に備えられた一次コイルに交流電流を流し、該一次コイルの電磁誘導電界に前記識別タグの二次コイルを位置させ、該二次コイルを含む共振回路が該電磁誘導電界に共振したときに該共振回路に誘起される交流電力で、該識別タグに備えられた発光手段を前記応答として発光させることにより、該共振回路の共振周波数が該発振回路の発振周波数に予め対応付けられたものであるとの判定をし、該判定により該識別タグ付の前記識別対象物を識別する。
更に、本発明では、この周波数分割型識別方法の実施に用いる識別タグ、識別タグセット及び周波数分割型識別端末を提供する。
【0018】
(本発明の実施形態の構成例)
次に、本発明による識別タグおよび周波数分割型識別端末の実施形態の構成について、図1ないし図6を参照して説明するとともに、併せて周波数分割型識別方法の実施の形態を説明する。識別タグセットは、複数の識別タグでなり、これら複数の識別タグにおける共振回路の共振周波数を互いに異ならせたものである。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態である識別タグおよび周波数分割型識別端末でなるパッシブ型の識別タグ方式の構成を示すブロック図である。この識別タグ方式は、識別タグ1および識別端末2でなる。識別タグ1は二次側トランス11およびLED発光部(LED:発光ダイオード)13でなる。二次側トランス11は前述の二次コイルに相当する。二次側トランス11にはコンデンサが並列に接続され、二次側トランス11及びそのコンデンサで以って共振回路を構成している。識別端末2は電源21、発振回路22および一次側トランス23でなる。一次側トランス23は前述の一次コイルに相当する。発振回路22には、前述の周波数設定手段となる共振回路が内部に備えてあり、この共振回路の共振周波数を設定するためのダイヤル22aが設けてある。ダイヤル22aの一例は、後に説明する図4に示してある。ダイヤル22aの回転により、予め定めた範囲における任意の周波数が選択され、発振回路22はその周波数で発振する。
【0020】
電源21は、バッテリでなる直流電源であり、直流電力210を発振回路22に供給する。発振回路22は、直流電力210を受け、ダイヤル14で設定された周波数(今、その周波数をf1とする。)で発振し、数百kHz(例えば、200kHz)の交流電力220を出力する。交流電力220は、数百ワット以下であり、例えば100ワットである。一次側トランス23は、交流電力220を受け、誘導電磁界230を生成する。誘導電磁界230は、周波数f1で振動する交番電磁界であり、二次側トランス11に電磁結合する。
【0021】
二次側トランス11には、前述のとおり、コンデンサが並列に接続してあるが、図1では、コンデンサの図示は省略してある。二次側トランス11及びそのコンデンサでなる共振回路の共振周波数は、二次側トランス11のインダクタンスとそのコンデンサの静電容量とで定まる。この共振回路の共振周波数は、識別タグ毎の固有の値である。この共振周波数が前述の識別タグの特性である。その共振回路が誘導電磁界230の周波数f1に共振するならば、当該共振回路を有する識別タグ1は「共振周波数がf1である」という特性で以って、特定される。したがって、「共振周波数がf1である」という特性で特定された識別タグ1は、他の共振周波数の共振回路を有する識別タグとは区別される。かくして、「共振周波数がf1である」という特性で特定された識別タグ1は、只一つの物として(ユニークに)識別される。
【0022】
二次側トランス11及びコンデンサでなる共振回路は、入力される誘導電磁界230に共振したときにピークとなる電圧を誘起する。この電圧に基づく交流の誘導電流110がLED発光部13に供給される。図5は、LED発光部13を示す回路図である。LED発光部13は、D1及びD2なる2つのLEDを互いに逆極性に並列に接続してなる。共振回路(二次側トランス11及びコンデンサで構成されている。)の出力である交流の誘導電圧は端子a及びbに加えられる。誘導電流110は交流であるが、D1及びD2が互いに逆極性に並列に接続されているので、誘導電圧の極性の交番に応じ、順電圧が印加された一方のLEDが通電する。通電したLEDの端子間電圧は微小(端子a,b間の電圧は微小)であり、逆電圧が加えられる他方のLEDの耐電圧より遥かに低いので、逆電圧が加えられる他方のLEDが破壊されることはない。そこで、二次トランス11とLED発光部13との間に整流回路を設けなくても、LED発光部13のLEDが逆電圧によって破壊されることがない。また、端子a,b間に交流の誘導電圧が加えられることにより、D1及びD2は交互に点滅するが、発振回路22の発振周波数は数百kHzであるので、D1及びD2は連続して点灯しているように視認される。
【0023】
上述のように、二次側トランス11及びコンデンサでなる共振回路には、入力される誘導電磁界230に共振したときにピークとなる電圧が誘導され、この誘導電圧に基づく交流の誘導電流110がLED発光部13に供給され、LED発光部13を発光させる。そこで、誘導電磁界230の周波数f1(すなわち、発振回路22の発振周波数)が共振回路の共振周波数に一致したときには、LED発光部13を発光させるに足る誘導電流110が生成され、他方、誘導電磁界230の周波数f1が共振回路の共振周波数に一致しないときには、誘導電流110がLED発光部13を発光させるには足りない大きさとなるように、発振回路22の出力の交流電力220や、一次トランス23と二次トランス11との電磁結合に基づく誘導電磁界230を設計する。誘導電磁界230の周波数f1が共振回路の共振周波数に一致すると判断するときの共振回路の共振周波数幅は、共振回路の出力の誘導電圧がピークから70%になる範囲とする。
【0024】
このように、図1の実施の形態では、発振回路22の発振周波数f1が識別タグ1の共振回路の共振周波数に一致したときだけに、LED発光部13を発光させるので、発振回路22の発振周波数fの選択により、探索している対象物に取り付けられている識別タグだけを発光させ、その対象物を他の物から識別することを可能にする。
【0025】
図3は図1の識別タグ1に取付けバンド15を付けた実施の形態を示す斜視図である。符号130は、LED発光部13の出力の光を模式的に示している。取付けバンド15を識別タグ1に付けることにより、識別対象の物品に識別タグ1を取り付けるのが容易になる。
【0026】
図4は図1の識別端末2を示す斜視図である。符号2aは電源21および発振回路22が収められた本体部を示す。符号22aは、その発振回路22の発振周波数を設定するためのダイヤルを示す。符号26は一次トランス23が内蔵されたプローブを示す。符号25は交流電力220を通すケーブである。
【0027】
ダイヤル22aの回転角度の設定により、所定の周波数帯域内から手動で選択した周波数で発振回路22を発振させることができる。探索している識別タグ1の共振回路(二次トランス11及び並列に接続されたコンデンサでなる。)の共振周波数に一致するように、ダイヤル22aを操作して、発振回路22の発振周波数を設定することにより、識別タグ1のLED発光部13を発光させることができる。このように、図1の実施の形態では、発振回路22の発振周波数の設定により、所望の識別タグ付きの物を容易に見つけることができる。識別タグ1の共振回路の共振周波数と識別タグ1が取り付けられた識別対象物との対応を示す対応表(共振周波数・識別対象物対応テーブル)は予め作成され、識別端末2の操作者はその対応表を参照して、発振回路22の発振周波数を設定する。
【0028】
図2は、図1に示したパッシブ型の識別タグ方式の変形例を示すブロック図である。この図2の識別タグ方式は、識別タグ1aと識別端末2とでなり、図1の識別タグ方式とは、識別タグを異にし、識別端末を同じくする。識別タグ1aでは、二次トランス11とLED発光部13aとの間に整流回路12が設けてあり、LED発光部13aを単一のLEDで構成してある。この図2の識別タグ1aでは、整流回路12により、二次トランス11の出力の誘導電流110を直流電流120に変換し、LED発光部13aには直流電流120を供給する。そこで、直流電流120で順方向の電流が流れるように、LED発光部13aを単一のLEDで構成している。
【0029】
図6は、図1に示した識別タグ方式(識別タグおよび周波数分割型識別端末でなる。)による周波数分割型識別方法を示す流れ図である。ステップS1に示すように、識別端末2の発振周波数fを、目的の識別タグ1の共振周波数に設定する。識別端末2の一次側トランス23(図4のプローブ26)を識別タグ1に近づける(ステップS2)。一次側トランス23から出力される誘導電磁界230の周波数と、識別タグ1の共振回路(二次側トランス11とコンデンサの並列回路)の共振周波数とが比較される(ステップS3)。その結果、周波数が一致しない場合(ステップS4)は識別タグ1のLED発光部13が発光しない。周波数が一致する場合は、識別タグ1のLED発光部13が発光する(ステップS5)。この作業を繰り返すことで、探索対象物に取り付けられた識別タグ1を識別できる。
【0030】
以上に実施の形態を上げ、具体的に説明したように、本実施の形態は、識別端末2から識別タグ1へ電磁誘導結合により電力を供給するので、電力利用効率に優れている。また本実施の形態は、識別端末から識別タグとの間に、電力供給系と情報伝送系との2つの系統の結合を要するRFIDに比べ、構成が簡単であるから、安価に製造できる。更に、本実施の形態を用いれば、操作者(オペレータ)は、単にLED発光部が発光した否かだけを視認することにより、特定の対象物を識別することができるので、タグに書かれた情報を目で読み取る必要がないので、操作者に掛る負担は随分と小さい。
【0031】
本実施の形態の利用場面の一例として、ほぼ同一の外観のサーバーやLANケーブルが狭い空間に多数配設されているデータセンタを挙げることができる。これらの装置・設備を運用しながら、保守をする際には、特定のサーバーやLANケーブルを誤り無く見つけることが必須である。予め本実施の形態の識別タグを各サーバーやLANケーブルに取り付けておく。それらの識別タグの共振周波数は互いに異ならせておく。このように予め識別タグを対象物に取り付けておき、各対象物と共振周波数との対応を示すテーブルを参照しながら、識別端末の周波数設定ダイヤルを操作して、特定の対象物に対応する周波数fで発振回路22を発振させることにより、特定の対象物を容易に識別することができる。
【0032】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。例えば、識別タグは、共振周波数を互いに異にし、複数の識別対象物にそれぞれ取り付けられる複数の識別タグを以って、識別タグセットとして把握し、一体的に取り扱うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1,1a 識別タグ
2 識別端末
2a 電源21および発振回路22を収めた本体部
11 二次トランス
12 整流回路
13,13a LED発光部
15 取付けバンド
21 電源
22 発振回路
22a 周波数設定ダイアル
23 一次トランス
25 交流電力220用ケーブル
26 一次トランス23を内蔵するプローブ
110 誘導電流
120 直流電流
130 LED発光部13から出力される光
210 直流電力
220 交流電力
230 誘導電磁界
D1,D2 LED
a,b 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の特性を有するか否かの問合せを問合せ手段から受けたときに、該特性を有するときだけに応答をする識別タグにおいて、
共振回路と、該共振回路の出力の電力に基づき発光する発光手段とを有し、
前記共振回路は、前記問合せ手段の一次コイルで発生される誘導電磁界に置かれたときに該一次コイルと電磁誘導による結合をする二次コイルを有し、
前記特性は前記共振回路の共振周波数であり、
前記応答は前記発光手段の発光である
ことを特徴とする識別タグ。
【請求項2】
前記発光手段は、並列に接続された複数の発光ダイオードでなり、
前記複数の発光ダイオードのうちの少なくとも1つは他の発光ダイオードとは逆の極性に接続してあり、
前記複数の発光ダイオードは、前記共振回路の出力である交流電力により発光する
ことを特徴とする請求項1に記載の識別タグ。
【請求項3】
前記共振回路の出力の交流電力を直流電力に変換する整流回路を有し、
前記発光手段は、前記整流回路から受ける前記直流電力により発光する発光ダイオードである
ことを特徴とする請求項1に記載の識別タグ。
【請求項4】
識別対象物に取り付けるための取り付け用バンドを有することを特徴とする請求項1ないし3のうちの何れかに記載の識別タグ。
【請求項5】
それぞれが請求項1ないし3のうちの何れかに記載され識別タグであり、かつ前記共振周波数を互いに異にし、複数の識別対象物にそれぞれ取り付けられる複数の識別タグでなることを特徴とする識別タグセット。
【請求項6】
識別タグが所定の特性を有するか否かの問合せをする問合せ手段としての識別端末において、
誘導電磁界を発生し、前記識別タグの二次コイルが該誘導電磁界におかれたとき、該二次コイルと電磁誘導による結合をする一次コイルと、
前記一次コイルに交流電力を供給する発振回路と
を有し、
前記発振回路は、周波数設定手段を有し、該周波数設定手段により設定された周波数で前記交流電力を生成する
前記周波数設定手段は、互いに相違する値に予め定めた複数の周波数のうちから選らばれた1つの周波数に、前記発振回路の発振周波数を設定する
ことを特徴とする周波数分割型識別端末。
【請求項7】
前記一次コイルは、プローブに内蔵してあり、ケーブルを介して前記発振回路に接続してあることを特徴とする請求項6に記載の周波数分割型識別端末。
【請求項8】
前記周波数設定手段は、請求項5に記載の識別タグセットにおける各識別タグの互いに異なる前記共振周波数のうちから選択された任意のものを少なくとも設定可能であることを特徴とする請求項6または7のうちの何れか一方に記載の周波数分割型識別端末。
【請求項9】
識別対象物に識別タグを取り付け、該識別タグが所定の特性を有するか否かの問合せを問合せ手段から行い、該特性を有するときだけに該識別タグが応答をすることにより、識別対象物の識別をする方法において、
互いに相違する発振周波数のうちから選択された任意の周波数で発振する発振回路で以って、前記問合せ手段に備えられた一次コイルに交流電流を流し、該一次コイルの電磁誘導電界に前記識別タグの二次コイルを位置させ、該二次コイルを含む共振回路が該電磁誘導電界に共振したときに該共振回路に誘起される交流電力で、該識別タグに備えられた発光手段を前記応答として発光させることにより、該共振回路の共振周波数が該発振回路の発振周波数に予め対応付けられたものであるとの判定をし、該判定により該識別タグ付の前記識別対象物を識別することを特徴とする周波数分割型識別方法。
【請求項10】
予め定めた複数の前記発振周波数のうちから任意に選択された1つの周波数を前記発振回路に発振させることにより、前記共振周波数を互いに異にし、複数の識別対象物にそれぞれ取り付けられる複数の識別タグのうちの1つを識別することを特徴とする請求項9に記載の周波数分割型識別方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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