説明

警備装置および警備モード切り替え方法

【課題】建物外周部を警備する際の警備モードの切り替えを住人の操作によらず適切に行って、住人の操作負担を低減するとともに、誤報の発生や無警備状態の発生を有効に抑制することができる警備装置および警備モード切り替え方法を提供する。
【解決手段】警備モード切替部14は、警備モードが「オンライン警備状態」に設定されている状態で建物開口部センサから検知信号が出力された場合に、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替え、その後、タイマTbの値が閾値θbを超えるまでの間に屋外設置センサから検知信号が出力された場合に「警備解除状態」を維持する一方、屋外設置センサから検知信号が出力されることなくタイマTbの値が閾値θbを超えた場合には、警備モードを「警備解除状態」から「ローカル警備状態」へと切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外周部を監視領域とし、該監視領域における異常を検知して通報する警備装置および警備モード切り替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外周部に侵入した不審者をセンサで検知して、ネットワークに接続された監視センタへの通報や建物の住人に対する報知などを行う警備装置が知られている。このような警備装置では、住人在宅時に建物外周部の警備を行う場合、住人が所用で少しの間だけ庭に出るような場合であっても、センサで住人が検知されることで監視センタへの通報が行われないようにするために、ボタン操作などにより警備モードを警備解除状態に切り替える必要があった。また、住人が庭から建物内部に戻ったときには、無警備状態のままにならないようにするために、警備モードを警備状態に切り替える操作を行う必要があった。このため、住人に煩わしさを感じさせるばかりか、操作し忘れによる誤報、無警備状態の発生が懸念され、改善が求められている。
【0003】
住人の操作によらず、警備モードを自動で切り替える技術としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。この特許文献1に記載されている技術は、建物内部を監視領域とする警備装置に関する技術であり、ICタグを用いた個人認証により住人の帰宅を認識して、住人の帰宅時に警備モードを外出警備から在宅警備に自動で切り替えるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−285698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているICタグを用いた個人認証の技術を、建物外周部を監視領域とする警備装置に適用して監視モードの切り替えを行う場合には、以下のような問題が懸念される。すなわち、ICタグとして通信距離の長いアクティブ型のICタグを用いて個人認証を行うようにした場合は、建物内部と建物外周部との境界を明確に検知できない、つまり、タグリーダでICタグを検知したときに住人が建物内部にいるのか、あるいは建物外周部にいるのかを判別できない。これにより、警備モードの適切な切り替えが困難になって誤報発生の可能性が高くなるといった問題が発生する。また、ICタグとして通信距離の短いパッシブ型のICタグを用いて個人認証を行うようにした場合には、住人がICタグを組み込んだカードなどをタグリーダに近づける操作が必要となり、手動による警備モードの切り替えと同様、住人に煩わしさを感じさせたり、操作し忘れによる誤報や無警備状態の発生の要因となるといった問題がある。さらに、個人認証のためにICタグやタグリーダを準備する必要があり、コストアップにつながるといった問題もある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、建物外周部を警備する際の警備モードの切り替えを住人の操作によらずに自動で且つ適切に行って、住人の操作負担を低減するとともに、誤報の発生や無警備状態の発生を有効に抑制することができる警備装置および警備モード切り替え方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる警備装置は、建物の外周部を監視領域とし、該監視領域における異常を検知して通報する警備装置において、前記建物の開口部の開閉を検知し、該開口部が開状態のときに検知信号を出力する第1のセンサと、前記監視領域の少なくとも前記開口部に隣接した領域を検知領域とし、該検知領域において人体を検知したときに検知信号を出力する第2のセンサと、異常を検知した場合に通報先への通報を行う第1の警備状態と、異常を検知した場合に前記通報先への通報は行わずに前記建物の住人に対する報知を行う第2の警備状態と、異常を検知した場合でも前記通報先への通報および前記住人に対する報知を行わない警備解除状態とを含む複数の状態からなる警備モードを切り替える警備モード切替手段と、を備え、前記警備モード切替手段は、前記警備モードが前記第1の警備状態に設定されている状態で前記第1のセンサから検知信号が出力された場合に、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替え、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替えた後、予め定めた第1の時間が経過するまでの間に前記第2のセンサから検知信号が出力された場合に前記警備解除状態を維持することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる警備モード切り替え方法は、建物の外周部を監視領域とし、該監視領域における異常を検知して通報する警備装置で実行され、異常を検知した場合に通報先への通報を行う第1の警備状態と、異常を検知した場合に前記通報先への通報は行わずに前記建物の住人に対する報知を行う第2の警備状態と、異常を検知した場合でも前記通報先への通報および前記住人に対する報知を行わない警備解除状態とを含む複数の状態からなる警備モードを切り替える警備モード切り替え方法であって、前記警備装置は、前記建物の開口部の開閉を検知し、該開口部が開状態のときに検知信号を出力する第1のセンサと、前記監視領域の少なくとも前記開口部に隣接した領域を検知領域とし、該検知領域において人体を検知したときに検知信号を出力する第2のセンサと、を備え、前記警備モードが前記第1の警備状態に設定されている状態で前記第1のセンサから検知信号が出力された場合に、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替え、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替えた後、予め定めた第1の時間が経過するまでの間に前記第2のセンサから検知信号が出力された場合に前記警備解除状態を維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1のセンサと第2のセンサの反応に基づいて住人の行動に合わせた警備モードの切り替えを自動で行うようにしているので、住人の操作負担を低減するとともに、誤報の発生や無警備状態の発生を有効に抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、警備装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、監視領域におけるセンサの配置図である。
【図3】図3は、警備モード切替部による警備モード切り替え処理の一連の流れを示すメインフローチャートである。
【図4】図4は、図3のステップS304における警備状態移行判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図3のステップS310におけるローカル警備状態設定時処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図3のステップS314における警備解除状態設定時処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図5のステップS505における警備解除判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図6のステップS603における例外判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図4のステップS409および図6のステップS607における警備セット判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる警備装置および警備モード切り替え方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
本実施形態にかかる警備装置は、戸建て住宅等の建物の外周部(庭など)を監視領域とし、建物外周部に侵入した不審者をセンサで検知してネットワークに接続された監視センタへの通報や建物の住人に対する報知を行う警備装置である。特にこの警備装置は、建物の住人の行動をセンサの反応パターンにより判断して、住人の行動に合わせた警備モードの切り替えを自動的に行う機能を持つ。
【0013】
ここで、警備モードとは、監視領域において異常検知した際に通報先への通報の可否、または建物の住人に対する報知の可否などを定めたモードであり、異常を検知したときの警備装置の動作を決定するモードである。警備モードは、通報の可否および通報先、住人への報知の有無などによって複数のモードが存在する。本実施形態にかかる警備装置は、警備モードとして、少なくとも「オンライン警備状態」(第1の警備状態)と、「ローカル警備状態」(第2の警備状態)と、「警備解除状態」とを有する。
【0014】
「オンライン警備状態」とは、警備を必要とする場合に設定される警備モードであり、センサによって異常を検知したときに発せられる検知信号を警備装置の本体部が受信した場合に、異常を知らせる警報をネットワークに接続された監視センタへ通報する状態である。なお、「オンライン警備状態」では、異常検知時に監視センタへの通報と併せて、建物の住人に対する音声等による報知を行う場合もある。これは、住人に対して不審者の存在を知らせるほか、不審者を威嚇する目的や誤報の場合に住人に警備解除操作を促す目的で行われる。
【0015】
「ローカル警備状態」とは、警備を必要とする場合に設定される警備モードであるが、センサによって異常を検知したときに発せられる検知信号を警備装置の本体部が受信した場合に、監視センタへの通報は行わずに、建物の住人に対する音声等による報知を行う状態である。「ローカル警備状態」は、住人がセンサの反応要因となり得る可能性が高いと推察される状況で設定され、監視センタへの通報を行わないことで誤報を発生させず、住人に対してセンサが反応したことを知らせることで、その反応要因が住人自身によるものなのか、不審者の侵入によるものなのかを認識させるものである。
【0016】
「警備解除状態」とは、警備を必要としない場合に設定される警備モードであり、センサによって異常を検知したときに発せられる検知信号を警備装置の本体部が受信した場合であっても、監視センタへの通報、住人への報知のいずれも行わない状態である。これは、センサにより異常が検知(人の存在の検知、建物開口部の開閉の検知)されても、在宅中の住人を検知したものと判断するためである。
【0017】
本実施形態にかかる警備装置では、センサ反応パターンにより建物内から建物外周部に移動したと判断される人間は建物の住人(もしくはその関係者)であると定義し、警備モードが「オンライン警備状態」に設定されているときに、建物内から建物外周部への人の移動を示すセンサ反応パターンが得られた場合に、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと自動で切り替える。そして、建物外周部にいる人間が再び建物内に戻ったとセンサ反応パターンにより判断されたときに、警備モードを「警備解除状態」から「オンライン警備状態」へと自動で切り替える。また、「オンライン警備状態」では住人による誤報が発生する可能性が高い場合は、警備モードを「ローカル警備状態」に自動で切り替える。これにより、住人による警備モードの切り替え操作が不要となるため、住人の操作負担が減るとともに、住人の操作し忘れによる誤報の発生や無警備状態の発生が回避でき、セキュリティ性が向上するとともに、適切な警備モードが自動で選択されるため、センサで住人を検知することによる誤報の発生が低減する。
【0018】
図1は、本実施形態にかかる警備装置の概略構成を示すブロック図であり、図2は、監視領域におけるセンサの配置図である。本実施形態にかかる警備装置は、図1に示すように、本体部10およびコントローラ20と、監視領域における異常を検知するための各種センサ31,32,33とを備え、本体部10に対して、コントローラ20やセンサ31,32,33がそれぞれ接続されている。また、本体部10は、ネットワークNTによって監視センタ40に接続されている。ここで、監視センタ40は、警備装置の本体部10から異常を検知した旨の通報を受信した場合に、待機中の警備員に対して異常が検知された監視領域へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防などの関係機関への通報を行うセンタである。
【0019】
センサ31は、人が建物外周部へアクセスするために必要な開口部の開閉を検知し、該開口部が開状態のときに検知信号を出力するセンサ(以下、開口部センサという。)である。この開口部センサ31は、図2に示すように、建物Bの玄関や窓、監視領域Sとなる建物外周部の境界に設けられた門扉などの開口部にそれぞれ設置される。この開口部センサ31としては、例えば、開口部の開放に伴ってスイッチ部とマグネット部との距離が離れることによりスイッチ部内のリードスイッチが動作して開口部の開放を検知するマグネットセンサなどが用いられる。
【0020】
センサ32は、図2に示すように、開口部センサ31を設置した建物Bの開口部に隣接した建物外周部S内の領域A1を検知領域とし、該検知領域A1において人体を検知したときに検知信号を出力するセンサ(以下、開口部直近センサという。)である。この開口部直近センサ32としては、例えば、人体の赤外線を検知する人感センサなどが用いられる。
【0021】
センサ33は、図2に示すように、監視領域S内の庭など、人が通過・滞在する可能性のある監視領域S内の領域A2を検知領域とし、該検知領域A2において人体を検知したときに検知信号を出力するセンサ(以下、外周センサという。)である。この外周センサ33としては、例えば、人体の赤外線を検知する人感センサや赤外線ビームの遮断を検知する人感センサ、赤外線の反射を利用して物体の有無や物体までの距離を検知するセンサなどが用いられる。
【0022】
なお、開口部直近センサ32と外周センサ33は、監視領域S内において人体を検知したときに検知信号を出力するセンサである点で共通している。以下、これら開口部直近センサ32と外周センサ33とを特に区別しない場合は、屋外設置センサと総称する。すなわち、屋外設置センサは、監視領域S内の少なくとも建物Bの開口部に隣接した領域を検知領域とし、該検知領域において人体を検知したときに検知信号を出力するセンサ(第2のセンサ)である。
【0023】
また、開口部センサ31のうち、特に建物Bの開口部(玄関や窓など)に設置されるセンサは、建物Bの内外への人の移動を判断する上で重要である。以下、このような建物Bの開口部に設置される開口部センサ31を門扉などに設置される開口部センサ31と区別する場合は、建物開口部センサと呼ぶ。すなわち、建物開口部センサは、建物Bの開口部の開閉を検知し、建物Bの開口部が開状態のときに検知信号を出力するセンサ(第1のセンサ)である。
【0024】
上記の開口部センサ31、開口部直近センサ32、外周センサ33は、それぞれ検知信号を出力している状態である「反応状態」と、検知信号を出力していない状態である「無反応状態」との2つの状態で遷移する。各センサの検知信号は警備装置の本体部10に入力されるので、本体部10はこれら検知信号の有無により各センサの状態を判定することができる。
【0025】
本体部10は、図1に示すように、入出力制御部11と、通信制御部12と、警備モード記憶部13と、警備モード切替部14と、異常判定部15と、異常通報部16とを主に備えている。
【0026】
入出力制御部11は、コントローラ20(後述する操作入力部21、マイク22、スピーカ23)の入出力制御、センサ31,32,33の入出力制御により種々のデータの入出力を制御する処理部である。
【0027】
通信制御部12は、警備装置の本体部10とネットワークNTとの間における通信を制御するものであり、具体的にはネットワークボードなどが該当する。
【0028】
警備モード記憶部13は、上述した各種警備モード(オンライン警備状態、ローカル警備状態、警備解除状態)に関する情報と、現時点で設定されている警備モードの情報とを記憶するメモリなどの記憶媒体である。すなわち、警備モード記憶部12には、「オンライン警備状態」、「ローカル警備状態」、「警備解除状態」のうち、現時点で設定されている警備モードが記憶されていることになる。
【0029】
警備モード切替部14は、センサ31,32,33の反応パターンに応じて切り替え後の警備モードを選択し、警備モード記憶部13に切り替え後の警備モードを記憶させることにより、警備モードの切り替えを行うものである。具体的には、警備モード切替部14は、例えば以下のように警備モードの切り替えを行う。すなわち、警備モードが「オンライン警備状態」に設定されている状態で建物開口部センサから検知信号が出力された場合に、警備モード切替部14は、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替え、その後、予め定めた第1の時間が経過するまでの間に屋外設置センサから検知信号が出力された場合には「警備解除状態」を維持する。
【0030】
また、警備モード切替部14は、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替えた後、屋外設置センサから検知信号が出力されることなく第1の時間が経過した場合には、警備モードを「警備解除状態」から「ローカル警備状態」へと切り替える。
【0031】
また、警備モード切替部14は、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替えた後に、屋外設置センサから検知信号が出力されなくなり、且つ、建物開口部センサから検知信号が出力されなくなった後、建物開口部センサおよび屋外設置センサから検知信号が出力されることなく予め定めた第2の時間が経過した場合に、警備モードを「警備解除状態」から「オンライン警備状態」へと切り替える。
【0032】
また、警備モード切替部14は、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替えた後に、建物開口部センサからの検知信号の出力が継続され、且つ、屋外設置センサから検知信号が出力されなくなくなった後に、屋外設置センサから検知信号が出力されることなく予め定めた第3の時間が経過した場合には、警備モードを「警備解除状態」から「ローカル警備状態」へと切り替える。なお、警備モード切替部14による警備モード切り替え処理については、より具体的な例を挙げながら詳細を後述する。
【0033】
異常判定部15は、警備モードが「オンライン警備状態」または「ローカル警備状態」に設定されている場合に、センサ31,32,33の検知信号に基づいて監視領域における異常の有無を判定するものである。
【0034】
異常通報部16は、警備モードが「オンライン警備状態」に設定されているときに、異常判定部15により監視領域に異常ありと判定された場合に、監視センタ40に対して異常を検知した旨の通報を行う。また、異常通報部16は、警備モードが「ローカル警備状態」に設定されているときに、異常判定部15により監視領域に異常ありと判定された場合に、後述するコントローラ20のスピーカ23などを通じて、建物の住人に対して音声等により異常を検知した旨の報知を行う。なお、この住人に対する報知は、上述したように、警備モードが「ローカル警備状態」に設定されているときに限らず、警備モードが「オンライン警備状態」に設定されているときにも行うようにしてもよい。
【0035】
コントローラ20は、図1に示すように、操作表示部21と、マイク22と、スピーカ23とを備え、例えば建物内部のリビングルームなどに設置されている。
【0036】
操作表示部21は、建物の住人に対して各種画面の表示により情報を伝達するとともに、住人による操作入力を受け付けるためのユーザインターフェースである。この操作表示部21には、上述した本体部10の警備モード切替部14による警備モードの切り替え処理を開始させるために住人が操作するボタンが設けられている。また、この操作表示部21には、上述した各警備モードを選択するために住人が操作するボタンが設けられており、住人がこの操作表示部21を用いて警備モードを手動で切り替えることも可能となっている。操作表示部21は、これらのボタンが住人により操作されると、その操作入力に応じた信号を上述した本体部10の入出力制御部11に送出する。この操作入力部21は、例えばタッチ入力式の液晶画面等が該当する。
【0037】
マイク22は、住人による発話音声を収音し、音声信号を上述した本体部10の入出力制御部11に送出するものである。また、スピーカ23は、上述した本体部10の異常通報部16から入出力制御部11を通じて送出された音声信号を出力して、建物の住人に対して異常の報知を行うものである。
【0038】
次に、本体部10の警備モード切替部14による警備モード切り替え処理について、さらに詳しく説明する。
【0039】
警備モード切替部14は、上述したように、センサ31,32,33の反応パターンに応じた警備モードの切り替えを行う。ここで、警備モードを「オンライン警備状態」に切り替える前提条件は、上述したセンサ31,32,33の全てが「無反応状態」となっていることである。また、警備モードを「ローカル警備状態」に切り替える前提条件は、建物開口部センサが「反応状態」となっていることである。また、警備モードの切り替えの判定には、以下に示すタイマTa,Tb,Tc,Tdを用いている。
【0040】
タイマTa:屋外設置センサ(開口部直近センサ32および外周センサ33)の全てが「無反応状態」のときに、全ての開口部センサ31が「無反応状態」へ移行した時点で開始され、予め定めた所定時間(第2の時間)の経過を判定するための時間をカウントする。ただし、例外処理として、全ての開口部センサ31が「無反応状態」へ移行する直前に開口部直近センサ32が「反応状態」になっていない場合は、タイマTaは開始しない。これは、開口部直近センサ32が反応することなく建物開口部センサが「無反応状態」に移行した場合、建物内部から開口部が閉じられたと考えられるためである。
【0041】
タイマTb:警備モードが「第1の警備状態」のときに、建物開口部センサが「反応状態」へ移行して警備モードが「警備解除状態」に切り替えられた時点で開始され、予め定めた所定時間(第1の時間)の経過を判定するための時間をカウントする。
【0042】
タイマTc:警備モードが「警備解除状態」のときに、建物開口部センサが「反応状態」のままで、屋外設置センサの全てが「無反応状態」へ移行した時点で開始され、予め定めた所定時間(第3の時間)の経過を判定するための時間をカウントする。
【0043】
タイマTd:警備モードが「警備解除状態」のときに、屋外設置センサの全てが「無反応状態」へ移行した時点で開始され、予め定めた所定時間の経過を判定するための時間をカウントする。
【0044】
警備モード切替部14による警備モード切り替え処理は、上述したように、コントローラ20の操作入力部21に設けられたボタンが建物の住人によって操作されることにより開始される。つまり、この警備モード切り替え処理は、建物の住人が在宅時に開始される。また、警備モード切り替え処理の開始時(初期状態)においては、警備モードは「オンライン警備状態」とされ、それ以外の警備モードに設定されていれば「オンライン警備状態」に切り替えられる。
【0045】
「オンライン警備状態」への切り替えは、主に以下の(1)、(2)の場合に行われる。
(1)タイマTaが開始されてから終了時まで、屋外設置センサの全てが「無反応状態」を維持していた際に、警備モードを「オンライン警備状態」へと切り替える。これは、建物内から建物敷地内の庭などに出た住人が建物内に戻った状況、あるいは住人が建物敷地外に出て建物敷地内が無人状態になった状況を想定したものである。なお、タイマTaの動作中には、誤報の低減のため、「オンライン警備状態」への切り替えが行われる旨の内容や、建物外周部の無人を確認してもらう旨の音声案内をコントローラ20のスピーカ23から出力することが望ましい。
(2)タイマTbの動作中に、住人が建物内から建物敷地内の庭などに出ることなく(屋外設置センサが「反応状態」に移行することなく)、建物開口部センサが「無反応状態」へ移行した際に、タイマTbのカウントを中止し、警備モードを「オンライン警備状態」へ切り替える。
【0046】
「警備解除状態」への切り替えは、主に以下の(3)〜(6)の場合に行われる。
(3)初期状態(オンライン警備状態)から建物開口部センサが「反応状態」へ移行した際に、警備モードを「警備解除状態」へと切り替える。これは、住人が建物内から建物敷地内の庭などに出る状況を想定したものである。
(4)タイマTaの動作中に、開口部センサ31、屋外設置センサのいずれかのセンサが「反応状態」に移行した際に、タイマTaのカウントを中止し、警備モードを「警備解除状態」へと切り替える。これは、センサが反応する原因が、屋外設置センサの検知領域外に残留していた住人や、建物内から再び建物敷地内の庭などに出た住人と考えられるため、そのままタイマTaを継続して「オンライン警備状態」へ移行すると、誤報発生を招く虞があるからである。
(5)タイマTbの動作中に、屋外設置センサのいずれかが「反応状態」に移行した際に、タイマTbのカウントを中止し、警備モードを「警備解除状態」へと切り替える。
(6)タイマTcの動作中に、屋外設置センサのいずれかが「反応状態」に移行した際に、タイマTcのカウントを中止し、警備モードを「警備解除状態」へと切り替える。
【0047】
「ローカル警備状態」への切り替えは、主に以下の(7)、(8)の場合に行われる。
(7)タイマTbが開始されてから終了時まで、屋外設置センサの全てが「無反応状態」を維持していた際に、警備モードを「ローカル警備状態」へと切り替える。これは、住人が換気などのために建物の窓を開放する状況を想定したものである。
(8)タイマTcが開始されてから終了時まで、屋外設置センサの全てが「無反応状態」を維持していた際に、警備モードを「ローカル警備状態」へと切り替える。これは、建物内から建物敷地内の庭などに出た住人が建物内に戻った際に、建物開口部を開放したままにした状況を想定したものである。このような状況では、「警備解除状態」が維持されることによる無警備状態を回避する必要があり、無警備状態の回避対策として「ローカル警備状態」への切り替えを行うようにしている。なお、無警備状態の回避対策としては「オンライン警備状態」への切り替えを行うことも考えられるが、建物開口部を開放したままの状態では、住人が再び建物内から建物敷地内の庭などに出た場合に誤報発生の虞があるため、「ローカル警備状態」への切り替えを行うようにしている。
【0048】
なお、「ローカル警備状態」は、建物開口部センサが「反応状態」のまま警備モードを「オンライン警備状態」に切り替えた場合に懸念される誤報発生を低減させるものである。このため、上記の(7)、(8)の場合に「ローカル警備状態」への切り替えを行う代わりに、タイマTb,Tcが開始された時点から、建物の開口部を閉じて建物開口部センサを「無反応状態」に移行させることを住人に促す音声案内をコントローラ20のスピーカ23から出力し、開口部開閉センサが「無反応状態」に移行したら、警備モードを「オンライン警備状態」に切り替えるといった方法も有効である。
【0049】
次に、図3乃至図9のフローチャートを参照しながら、警備モード切替部14による警備モード切り替え処理の具体例を説明する。なお、図3は、警備モード切替部14による警備モード切り替え処理の一連の流れを示すメインフローチャートであり、図4は、図3のステップS304における警備状態移行判定処理の詳細を示すフローチャート、図5は、図3のステップS310におけるローカル警備状態設定時処理の詳細を示すフローチャート、図6は、図3のステップS314における警備解除状態設定時処理の詳細を示すフローチャート、図7は、図5のステップS505における警備解除判定処理の詳細を示すフローチャート、図8は、図6のステップS603における例外判定処理の詳細を示すフローチャート、図9は、図4のステップS409および図6のステップS607における警備セット判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0050】
まず、図3に沿って警備モード切り替え処理の一連の流れを説明する。この警備モード切り替え処理は、例えば、建物の住人によってコントローラ20の操作入力部21に設けられたスイッチが操作されることにより開始される。
【0051】
警備モード切り替え処理が開始されると、警備モード切替部14は、まず現時点での警備モードを確認し、現時点での警備モードが「オンライン警備状態」以外であれば、「オンライン警備状態」に切り替える(ステップS301)。
【0052】
次に、警備モード切替部14は、入出力制御部11に入力されるセンサ検知信号を確認することで各センサ31,32,33の状態をチェックし(ステップS302)、いずれかのセンサが「反応状態」となっているか否かを判定する(ステップS303)。そして、全てのセンサが「無反応状態」のままであれば(ステップS303:No)、ステップS302に戻ってセンサ状態のチェックを継続し、いずれかのセンサが「反応状態」となっていれば(ステップS303:Yes)、警備状態移行判定処理を実施する(ステップS304)。なお、この警備状態移行判定処理の具体的な内容については、図4を参照して詳細を後述する。
【0053】
次に、警備モード切替部14は、ステップS304の警備状態移行判定処理の結果が警備状態の移行なしであるか否かを確認し(ステップS305)、警備状態の移行なしの場合には(ステップS305:Yes)、異常判定部15による「オンライン警備状態」での異常判定処理を実施する(ステップS306)。一方、警備状態移行判定処理の結果が警備状態の移行なし以外の場合には(ステップS305:No)、警備モード切替部14は、その結果が警備状態移行判定処理への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS307)、警備状態移行判定処理への移行を指示するものであれば(ステップS307:Yes)、ステップS304に戻って警備状態移行判定処理を再度実施する。
【0054】
また、警備モード切替部14は、警備状態移行判定処理の結果が警備状態移行判定処理への移行を指示するものでない場合には(ステップS307:No)、その結果が「オンライン警備状態」への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS308)、「オンライン警備状態」への移行を指示するものであれば(ステップS308:Yes)、ステップS301に戻って警備モードを「オンライン警備状態」に切り替えて、その後の処理を継続する。
【0055】
また、警備モード切替部14は、警備状態移行判定処理の結果が「オンライン警備状態」への移行を指示するものでない場合には(ステップS308:No)、その結果が「ローカル警備状態」への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS309)、「ローカル警備状態」への移行を指示するものであれば(ステップS309:Yes)、ローカル警備状態設定時処理を実施し(ステップS310)、「ローカル警備状態」への移行を指示するものでなければ(ステップS309:No)、警備解除状態設定時処理を実施する(ステップS314)。なお、ローカル警備状態設定時処理の具体的な内容については、図5を参照して詳細を後述する。また、警備解除状態設定時処理の具体的な内容については、図6を参照して詳細を後述する。
【0056】
警備モード切替部14は、ステップS310に進んでローカル警備状態設定時処理を実施した場合、ローカル警備状態設定時処理の結果が異常判定処理の開始を指示するものであるか否かを確認し(ステップS311)、異常判定処理の開始を指示するものである場合には(ステップS311:Yes)、異常判定部15による「ローカル警備状態」での異常判定処理を実施する(ステップS312)。一方、ローカル警備状態設定時処理の結果が異常判定処理の開始を指示するものではない場合には(ステップS311:No)、警備モード切替部14は、ローカル警備状態設定時処理の中で実施される警備解除判定処理の結果が「警備解除状態」への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS313)、「警備解除状態」への移行を指示するものであれば(ステップS313:Yes)、ステップS304に戻って警備状態移行判定処理を再度実施し、「警備解除状態」への移行を指示するものでなければ(ステップS313:No)、ステップS301に戻って警備モードを「オンライン警備状態」に切り替えて、その後の処理を継続する。
【0057】
また、警備モード切替部14は、ステップS314に進んで警備解除状態設定時処理を実施した場合、警備解除状態設定時処理の中で実施される例外判定処理の結果が「ローカル警備状態」への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS315)、「ローカル警備状態」への移行を指示するものである場合には(ステップS315:Yes)、ステップS310に進んでローカル警備状態設定時処理を実施する。一方、警備解除状態設定時処理の中で実施される例外判定処理の結果が「ローカル警備状態」への移行を指示するものではない場合には(ステップS315:No)、警備モード切替部14は、その結果が警備状態移行判定処理への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS316)、警備状態移行判定処理への移行を指示するものであれば(ステップS316:Yes)、ステップS304に戻って警備状態移行判定処理を再度実施し、警備状態移行判定処理への移行を指示するものでなければ(ステップS316:No)、ステップS301に戻って警備モードを「オンライン警備状態」に切り替えて、その後の処理を継続する。
【0058】
次に、図4に沿って、図3のステップS304で実施される警備状態移行判定処理の詳細について説明する。
【0059】
警備状態移行判定処理が開始されると、警備モード切替部14は、まず図3のステップS303で「反応状態」にあると判定されたセンサが、建物開口部センサであるか否かを判定する(ステップS401)。そして、建物開口部センサが「反応状態」となっていなければ(ステップS401:No)、警備状態移行なしの結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。一方、建物開口部センサが「反応状態」となっている場合には(ステップS401:Yes)、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替える(ステップS402)。
【0060】
次に、警備モード切替部14は、タイマTbのカウンタをリセットし(ステップS403)、タイマTbのカウントを開始する(ステップS404)。そして、警備モード切替部14は、タイマTbの値が所定の閾値θbを超えたか否か、つまり、警備モードが「警備解除状態」に切り替わってから閾値θbに相当する時間(第1の時間)が経過したか否かを判定する(ステップS405)。そして、タイマTbの値が所定の閾値θbを超えるまでの間(ステップS405:No)、警備モード切替部14は、入出力制御部11に入力されるセンサ検知信号を確認することで各センサ31,32,33の状態をチェックし(ステップS406)、屋外設置センサのいずれかが「反応状態」になっているか否かを判定するとともに(ステップS407)、全ての開口部センサ31が「無反応状態」になっているか否かを判定する(ステップS408)。そして、建物開口部センサのみが「反応状態」のままでタイマTbの値が所定の閾値θbを超えた場合には(ステップS405:Yes)、「ローカル警備状態」への移行を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。また、タイマTbの値が所定の閾値θbを超える前に屋外設置センサのいずれかが「反応状態」になった場合には(ステップS407:Yes)、「警備解除状態」の維持を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。
【0061】
一方、タイマTbの値が所定の閾値θbを超える前に全ての開口部センサ31が「無反応状態」となった場合には(ステップS408:Yes)、警備モード切替部14は、警備セット判定処理を実施する(ステップS409)。なお、警備セット判定処理の具体的な内容については、図9を参照して詳細を後述する。
【0062】
警備モード切替部14は、ステップS409に進んで警備セット判定処理を実施した場合、警備セット判定処理の結果が「警備解除状態」の維持を指示するものであるか否かを確認し(ステップS410)、「警備解除状態」の維持を指示するものである場合には(ステップS410:Yes)、「警備解除状態」の維持を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。一方、警備セット判定処理の結果が「警備解除状態」の維持を指示するものではない場合には(ステップS410:No)、警備モード切替部14は、その結果が警備状態移行判定処理への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS411)、警備状態移行判定処理への移行を指示するものであれば(ステップS411:Yes)、警備状態移行判定処理への移行を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻り、警備状態移行判定処理への移行を指示するものでなければ(ステップS411:No)、「オンライン警備状態」への移行を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。
【0063】
次に、図5に沿って、図3のステップS310で実施されるローカル警備状態設定時処理の詳細について説明する。
【0064】
ローカル警備状態設定時処理が開始されると、警備モード切替部14は、まず警備モードを「ローカル警備状態」に切り替える(ステップS501)。そして、警備モード切替部14は、入出力制御部11に入力されるセンサ検知信号を確認することで各センサ31,32,33の状態をチェックし(ステップS502)、屋外設置センサのいずれかが「反応状態」になっているか否かを判定するとともに(ステップS503)、全ての開口部センサ31が「無反応状態」になっているか否かを判定する(ステップS504)。
【0065】
ここで、屋外設置センサのいずれかが「反応状態」となっていれば(ステップS503:Yes)、「ローカル警備状態」での異常判定処理の開始を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。また、全ての屋外設置センサが「無反応状態」のままであり(ステップS503:No)、且つ、全ての開口部センサ31が「無反応状態」になっていない、つまり建物開口部センサが「反応状態」のままである場合には(ステップS504:No)、警備モード切替部14は、ステップS502に戻ってセンサ状態のチェックおよび判定を繰り返す。
【0066】
一方、全ての開口部センサ31が「無反応状態」になった場合には(ステップS504:Yes)、警備モード切替部14は、警備解除判定処理を実施する(ステップS505)。なお、警備解除判定処理の具体的な内容については、図7を参照して詳細を後述する。
【0067】
警備モード切替部14は、ステップS505に進んで警備解除判定処理を実施した場合、警備解除判定処理の結果が「オンライン警備状態」への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS506)、「オンライン警備状態」への移行を指示するものである場合には(ステップS506:Yes)、「オンライン警備状態」への移行を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。一方、警備解除判定処理の結果が「オンライン警備状態」への移行を指示するものではない場合には(ステップS506:No)、警備モード切替部14は、その結果が「警備解除状態」への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS507)、「警備解除状態」への移行を指示するものであれば(ステップS507:Yes)、「警備解除状態」への移行を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻り、「警備解除状態」への移行を指示するものでなければ(ステップS507:No)、「ローカル警備状態」での異常判定処理の開始を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。
【0068】
次に、図6に沿って、図3のステップS314で実施される警備解除状態設定時処理の詳細について説明する。
【0069】
警備解除状態設定時処理が開始されると、警備モード切替部14は、まず、入出力制御部11に入力されるセンサ検知信号を確認することで各センサ31,32,33の状態をチェックし(ステップS601)、全ての屋外設置センサが「無反応状態」になっているか否かを判定する(ステップS602)。そして、警備モード切替部14は、いずれかの屋外センサが「反応状態」になっている場合には(ステップS602:No)、ステップS601に戻ってセンサ状態のチェックおよび判定を繰り返す。
【0070】
一方、全ての屋外センサが「無反応状態」になった場合には(ステップS602:Yes)、警備モード切替部14は、例外判定処理を実施する(ステップS603)。なお、例外判定処理の具体的な内容については、図8を参照して詳細を後述する。
【0071】
警備モード切替部14は、ステップS603に進んで例外判定処理を実施した場合、例外判定処理の結果が「ローカル警備状態」への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS604)、「ローカル警備状態」への移行を指示するものである場合には(ステップS604:Yes)、「ローカル警備状態」への移行を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。一方、例外判定処理の結果が「ローカル警備状態」への移行を指示するものではない場合には(ステップS604:No)、警備モード切替部14は、その結果が警備状態移行判定処理への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS605)、警備状態移行判定処理への移行を指示するものであれば(ステップS605:Yes)、警備状態移行判定処理への移行を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。また、例外判定処理の結果が警備状態移行判定処理への移行を指示するものではない場合には(ステップS605:No)、警備モード切替部14は、その結果が「警備解除状態」の維持を指示するものであるか否かを確認し(ステップS606)、「警備解除状態」の維持を指示するものであれば(ステップS606:Yes)、ステップS601に戻ってセンサ状態のチェックおよび判定を繰り返す。
【0072】
一方、例外判定処理の結果が「警備解除状態」の維持を指示するものではない場合、つまり例外判定処理の結果が警備セット判定処理への移行を指示するものである場合には(ステップS606:No)、警備モード切替部14は、警備セット判定処理を実施する(ステップS607)。なお、警備セット判定処理の具体的な内容については、図9を参照して詳細を後述する。
【0073】
警備モード切替部14は、ステップS607に進んで警備セット判定処理を実施した場合、警備セット判定処理の結果が「警備解除状態」の維持を指示するものであるか否かを確認し(ステップS608)、「警備解除状態」の維持を指示するものである場合には(ステップS608:Yes)、ステップS601に戻ってセンサ状態のチェックおよび判定を繰り返す。一方、警備セット判定処理の結果が「警備解除状態」の維持を指示するものではない場合には(ステップS608:No)、警備モード切替部14は、その結果が警備状態移行判定処理への移行を指示するものであるか否かを確認し(ステップS609)、警備状態移行判定処理への移行を指示するものであれば(ステップS609:Yes)、警備状態移行判定処理への移行を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻り、警備状態移行判定処理への移行を指示するものでなければ(ステップS609:No)、「オンライン警備状態」への移行を指示する結果となって図3の警備モード切り替え処理に戻る。
【0074】
次に、図7に沿って、図5のステップS505で実施される警備解除判定処理の詳細について説明する。
【0075】
警備解除判定処理が開始されると、警備モード切替部14は、まず、コントローラ20のスピーカ23から、「オンライン警備状態」への切り替えが行われる旨の内容や、建物外周部の無人を確認してもらう旨の音声案内を出力させる(ステップS701)。そして、警備モード切替部14は、タイマTaのカウンタをリセットし(ステップS702)、タイマTaのカウントを開始する(ステップS703)。
【0076】
その後、警備モード切替部14は、タイマTaの値が所定の閾値θaを超えたか否か、つまり、センサ31,32,33の全てが「無反応状態」となってから閾値θaに相当する時間(第2の時間)が経過したか否かを判定する(ステップS704)。そして、タイマTaの値が所定の閾値θaを超えるまでの間(ステップS704:No)、警備モード切替部14は、入出力制御部11に入力されるセンサ検知信号を確認することで各センサ31,32,33の状態をチェックし(ステップS705)、開口部センサ31のいずれかが「反応状態」に遷移したか否かを判定するとともに(ステップS706)、屋外設置センサのいずれかが「反応状態」に遷移したか否かを判定する(ステップS707)。そして、全てのセンサが「無反応状態」を維持したままで(ステップS706:No、ステップS707:No)、タイマTaの値が所定の閾値θaを超えた場合には(ステップS704:Yes)、警備モード切替部14は、ステップS701で開始した音声案内を終了し(ステップS708)、「オンライン警備状態」への移行を指示する結果となって図5のローカル警備状態設定時処理に戻る。
【0077】
また、タイマTaの値が所定の閾値θaを超える前に開口部センサ31のいずれかが「反応状態」になった場合には(ステップS706:Yes)、警備モード切替部14は、ステップS701で開始した音声案内を終了し(ステップS709)、「警備解除状態」への移行を指示する結果となって図5のローカル警備状態設定時処理に戻る。また、タイマTaの値が所定の閾値θaを超える前に屋外設置センサのいずれかが「反応状態」になった場合には(ステップS707:Yes)、警備モード切替部14は、ステップS701で開始した音声案内を終了し(ステップS710)、「ローカル警備状態」での異常判定処理の開始を指示する結果となって図5のローカル警備状態設定時処理に戻る。
【0078】
次に、図8に沿って、図6のステップS603で実施される例外判定処理の詳細について説明する。
【0079】
例外判定処理が開始されると、警備モード切替部14は、まずタイマTcおよびタイマTdのカウンタをリセットし(ステップS801)、タイマTcおよびタイマTdのカウントを開始する(ステップS802)。
【0080】
次に、警備モード切替部14は、入出力制御部11に入力されるセンサ検知信号を確認することで各センサ31,32,33の状態をチェックし(ステップS803)、全ての屋外設置センサが「無反応状態」を維持しているか否かを判定するとともに(ステップS804)。そして、いずれかの屋外設置センサが「反応状態」に遷移した場合には(ステップS804:No)、警備解除状態の維持を指示する結果となって図6の警備解除状態設定時処理に戻る。
【0081】
また、警備モード切替部14は、全ての屋外設置センサが「無反応状態」を維持していれば(ステップS804:Yes)、全ての開口部センサが「無反応状態」に遷移したか否かを判定する(ステップS805)。そして、いずれかの開口部センサが「反応状態」を維持したままであれば(ステップS805:No)、タイマTcの値が所定の閾値θcを超えたか否か、つまり、全ての屋外設置センサが「無反応状態」であり、いずれかの開口部センサが「反応状態」を維持したままの状態で閾値θcに相当する時間(第3の時間)が経過したか否かを判定する(ステップS806)。そして、いずれかの開口部センサが「反応状態」を維持したままタイマTcの値が閾値θcを超えた場合には(ステップS806:Yes)、「ローカル警備状態」への移行を指示する結果となって図6の警備解除状態設定時処理に戻る。一方、タイマTcの値が値θc未満であれば(ステップS806:No)、ステップS802に戻ってタイマTcおよびタイマTdのカウントを継続し、その後のセンサ状態のチェック及び判定を繰り返す。
【0082】
また、警備モード切替部14は、ステップS805で全ての開口部センサが「無反応状態」に遷移したと判定した場合には(ステップS805:Yes)、タイマTdの値が所定の閾値θdを超えたか否かを判定する(ステップS807)。そして、全ての開口部センサが「無反応状態」に遷移した状態でタイマTdの値が閾値θd以下であれば(ステップS807:No)、警備セット判定処理への移行を指示する結果となって図6の警備解除状態設定時処理に戻る。
【0083】
一方、全ての開口部センサが「無反応状態」に遷移した状態でタイマTdの値が閾値θdを超えた場合には(ステップS807:Yes)、警備モード切替部14は、センサ状態のチェックを再度行い(ステップS808)、開口部センサのいずれかが「反応状態」に遷移したか否かを判定するとともに(ステップS809)、屋外設置センサのいずれかが「反応状態」に遷移したか否かを判定する(ステップS810)。そして、全ての開口部センサおよび全ての屋外センサが「無反応状態」を維持している間は(ステップS809:No、ステップS810:No)、ステップS808に戻ってセンサ状態のチェックおよび判定を繰り返し、いずれかの開口部センサが「反応状態」に遷移した場合には(ステップS809:Yes)、警備状態移行判定処理への移行を指示する結果となって図6の警備解除状態設定時処理に戻る。また、いずれかの屋外センサが「反応状態」に遷移した場合には(ステップS810:Yes)、「警備解除状態」の維持を指示する結果となって図6の警備解除状態設定時処理に戻る。
【0084】
次に、図9に沿って、図4のステップS409および図6のステップS607で実施される警備セット判定処理の詳細について説明する。
【0085】
警備セット判定処理が開始されると、警備モード切替部14は、まず、コントローラ20のスピーカ23から、「オンライン警備状態」への切り替えが行われる旨の内容や、建物外周部の無人を確認してもらう旨の音声案内を出力させる(ステップS901)。そして、警備モード切替部14は、タイマTaのカウンタをリセットし(ステップS902)、タイマTaのカウントを開始する(ステップS903)。
【0086】
その後、警備モード切替部14は、タイマTaの値が所定の閾値θaを超えたか否か、つまり、センサ31,32,33の全てが「無反応状態」となってから閾値θaに相当する時間(第2の時間)が経過したか否かを判定する(ステップS904)。そして、タイマTaの値が所定の閾値θaを超えるまでの間(ステップS904:No)、警備モード切替部14は、入出力制御部11に入力されるセンサ検知信号を確認することで各センサ31,32,33の状態をチェックし(ステップS905)、開口部センサ31のいずれかが「反応状態」に遷移したか否かを判定するとともに(ステップS906)、屋外設置センサのいずれかが「反応状態」に遷移したか否かを判定する(ステップS907)。そして、全てのセンサが「無反応状態」を維持したままで(ステップS906:No、ステップS907:No)、タイマTaの値が所定の閾値θaを超えた場合には(ステップS904:Yes)、警備モード切替部14は、ステップS901で開始した音声案内を終了し(ステップS908)、「オンライン警備状態」への移行を指示する結果となって図4の警備状態移行判定処理または図6の警備解除状態設定時処理に戻る。
【0087】
また、タイマTaの値が所定の閾値θaを超える前に開口部センサ31のいずれかが「反応状態」になった場合には(ステップS906:Yes)、警備モード切替部14は、ステップS901で開始した音声案内を終了し(ステップS909)、警備状態移行判定処理への移行を指示する結果となって図4の警備状態移行判定処理または図6の警備解除状態設定時処理に戻る。また、タイマTaの値が所定の閾値θaを超える前に屋外設置センサのいずれかが「反応状態」になった場合には(ステップS907:Yes)、警備モード切替部14は、ステップS901で開始した音声案内を終了し(ステップS910)、「警備解除状態」への移行を指示する結果となって図4の警備状態移行判定処理または図6の警備解除状態設定時処理に戻る。
【0088】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施の形態にかかる警備装置では、本体部10の警備モード切替部14が、センサ31,32,33の反応パターンに応じて警備モードを自動で切り替えるようにしている。特にこの警備モード切替部14は、警備モードが「オンライン警備状態」に設定されている状態で建物開口部センサから検知信号が出力された場合に、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替え、その後、予め定めた第1の時間が経過するまでの間(タイマTbの値が閾値θbを超えるまでの間)に屋外設置センサから検知信号が出力された場合には「警備解除状態」を維持するようにしている。一方、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替えた後、屋外設置センサから検知信号が出力されることなく第1の時間が経過した場合(タイマTbの値が閾値θbを超えた場合)には、警備モードを「警備解除状態」から「ローカル警備状態」へと切り替えるようにしている。
【0089】
また、警備モード切替部14は、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替えた後に、屋外設置センサから検知信号が出力されなくなり、且つ、建物開口部センサから検知信号が出力されなくなった後、建物開口部センサおよび屋外設置センサから検知信号が出力されることなく予め定めた第2の時間が経過した場合(タイマTaの値が閾値θaを超えた場合)に、警備モードを「警備解除状態」から「オンライン警備状態」へと切り替えるようにしている。一方、警備モード切替部14は、警備モードを「オンライン警備状態」から「警備解除状態」へと切り替えた後に、建物開口部センサからの検知信号の出力が継続され、且つ、屋外設置センサから検知信号が出力されなくなくなった後に、屋外設置センサから検知信号が出力されることなく予め定めた第3の時間が経過した場合(タイマTcの値が閾値θcを超えた場合)に、警備モードを「警備解除状態」から「ローカル警備状態」へと切り替えるようにしている。
【0090】
本実施の形態にかかる警備装置では、本体部10の警備モード切替部14が以上のような警備モードの切り替えを行うことによって、次のような効果が得られる。すなわち、住人が建物内から建物敷地内の庭などに一時的に出る場合には、警備モードが「警備解除状態」へと自動的に切り替わるので、住人の操作負担が軽減されるとともに、住人の操作し忘れによる誤報の発生を有効に回避することができる。また、建物敷地内に住人が残留していない場合には、「オンライン警備状態」と「ローカル警備状態」とのいずれかの警備モードに自動的に設定されるので、無警備状態が発生する不都合を有効に回避することができ、セキュリティ性が向上する。
【0091】
さらに本実施の形態にかかる警備装置では、本体部10の警備モード切替部14が上述した例外判定処理(図8参照)を実施し、また、警備モードを「オンライン警備状態」に切り替える際の音声案内による注意喚起を行うことによって、住人が建物敷地内の庭などに残留している状態で警備モードが「オンライン警備状態」に切り替わることを抑制することができ、誤報の発生を有効に回避することができる。
【0092】
また、開口部センサ31を用いることにより、監視領域である敷地外周部の境界が明確となり、警備モードの切り替えが確実に行われるため、建物外周部の無警備状態や警備の解除ミスによる誤報の発生を有効に回避できる。さらに、警備モードの切り替えの判断に警備用のセンサを利用しているため、警備モードの自動切り替えを実現するために新たな機器を設置する必要はなく、費用を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上のように、本発明にかかる警備装置および警備モード切り替え方法は、戸建て住宅等の建物の外周部(庭など)を監視領域とする警備装置において、警備モードを自動で切り替えるための技術として有用である。
【符号の説明】
【0094】
10 本体部
14 警備モード切替部
20 コントローラ
31 開口部センサ
32 開口部直近センサ
33 外周センサ
40 監視センタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外周部を監視領域とし、該監視領域における異常を検知して通報する警備装置において、
前記建物の開口部の開閉を検知し、該開口部が開状態のときに検知信号を出力する第1のセンサと、
前記監視領域の少なくとも前記開口部に隣接した領域を検知領域とし、該検知領域において人体を検知したときに検知信号を出力する第2のセンサと、
異常を検知した場合に通報先への通報を行う第1の警備状態と、異常を検知した場合に前記通報先への通報は行わずに前記建物の住人に対する報知を行う第2の警備状態と、異常を検知した場合でも前記通報先への通報および前記住人に対する報知を行わない警備解除状態とを含む複数の状態からなる警備モードを切り替える警備モード切替手段と、を備え、
前記警備モード切替手段は、前記警備モードが前記第1の警備状態に設定されている状態で前記第1のセンサから検知信号が出力された場合に、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替え、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替えた後、予め定めた第1の時間が経過するまでの間に前記第2のセンサから検知信号が出力された場合に前記警備解除状態を維持することを特徴とする警備装置。
【請求項2】
前記警備モード切替手段は、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替えた後、前記第2のセンサから検知信号が出力されることなく前記第1の時間が経過した場合には、前記警備モードを前記警備解除状態から前記第2の警備状態へと切り替えることを特徴とする請求項1に記載の警備装置。
【請求項3】
前記モード切替手段は、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替えた後に、前記第2のセンサから検知信号が出力されなくなり、且つ、前記第1のセンサから検知信号が出力されなくなった後、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサから検知信号が出力されることなく予め定めた第2の時間が経過した場合に、前記警備モードを前記警備解除状態から前記第1の警備状態へと切り替えることを特徴とする請求項1に記載の警備装置。
【請求項4】
前記モード切替手段は、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替えた後に、前記第1のセンサからの検知信号の出力が継続され、且つ、前記第2のセンサから検知信号が出力されなくなくなった後に、前記第2のセンサから検知信号が出力されることなく予め定めた第3の時間が経過した場合に、前記警備モードを前記警備解除状態から前記第2の警備状態へと切り替えることを特徴とする請求項1に記載の警備装置。
【請求項5】
建物の外周部を監視領域とし、該監視領域における異常を検知して通報する警備装置で実行され、異常を検知した場合に通報先への通報を行う第1の警備状態と、異常を検知した場合に前記通報先への通報は行わずに前記建物の住人に対する報知を行う第2の警備状態と、異常を検知した場合でも前記通報先への通報および前記住人に対する報知を行わない警備解除状態とを含む複数の状態からなる警備モードを切り替える警備モード切り替え方法であって、
前記警備装置は、
前記建物の開口部の開閉を検知し、該開口部が開状態のときに検知信号を出力する第1のセンサと、
前記監視領域の少なくとも前記開口部に隣接した領域を検知領域とし、該検知領域において人体を検知したときに検知信号を出力する第2のセンサと、を備え、
前記警備モードが前記第1の警備状態に設定されている状態で前記第1のセンサから検知信号が出力された場合に、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替え、前記警備モードを前記第1の警備状態から前記警備解除状態へと切り替えた後、予め定めた第1の時間が経過するまでの間に前記第2のセンサから検知信号が出力された場合に前記警備解除状態を維持することを特徴とする警備モード切り替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−215890(P2011−215890A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83515(P2010−83515)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】