説明

警報システム及び発光装置

【課題】 車両ドアの不正開放を検知する警報システムであって、高い信頼性を有する警報システムを、車両に簡単に導入できるようにする。
【解決手段】 警報システム1は、バッテリ10に繋がる電源線LNに接続され、発光装置を装着するためのコネクタ21p,21mを有し、車両ドアが開放されるとコネクタに装着された発光装置に電力供給し、車両ドアが閉鎖されると発光装置への電力供給を停止するルームランプ21を備える車両に搭載される。警報システム1は、ルームランプと同一の電源線に接続された警報出力装置60と、上記コネクタに装着される電源線通信可能な発光装置30と、からなる。発光装置は、車両ドアが開放されると電力供給を受けて発光すると共に、ステータス信号を警報出力装置に向けて送信する。警報出力装置60は、電源線LNを通じて発光装置30からステータス信号を受信すると、警報音を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアの開閉状態によって、発光装置への電力供給(通電)をオン/オフする車載装置を備える車両、に搭載される警報システム、及び、そのシステムに用いられる発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用の盗難防止システムとしては、後付式の物や、車両への不正な侵入に伴う車両ドアの開放を検知し、警報音を出力する警報装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、後付式の盗難防止システムにて、車両ドアの開放を検知する方法としては、車両が備えるドアスイッチ(ドアカーテシスイッチ)の出力信号に基づいて、車両ドアの開放を検知する方法や、ドアが開放されることによって点灯するルームランプの光を光センサで検知する方法、ドアが開放される際の車室内の気流・空気圧の変化を読み取る方法などが知られている。
【特許文献1】特開平5−139248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来システムでは、次のような問題があった。即ち、車両が備えるドアスイッチ(ドアカーテシスイッチ)の出力信号に基づいて、車両ドアの開放を検知する方法を用いたシステムでは、ドアスイッチの出力信号を、警報装置に取り込むために、車両内に配線を施さなければならず、簡単に、盗難防止システム(警報装置)を車両内に設置することができないといった問題があった。
【0005】
このような場合、ユーザは、盗難防止システム(警報装置)の取り付けに際して、専門の者に、取り付けを依頼しなければならず、高い工賃が障害となって、盗難防止システム(警報装置)の導入に、二の足を踏む結果となっていた。
【0006】
一方、光センサでドアの開放を検知する方法や、気流・空気圧の変化でドアの開放を検知する方法を用いたシステムでは、センサ類を車室内に配置する程度で、盗難防止システム(警報装置)を車両内に導入することができるといった利点がある。しかしながら、この種のシステムでは、誤作動が多く、信頼性に問題があった。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、車両ドアの不正な開放を検知する警報システムであって、高い信頼性を有する警報システムを、車両に簡単に導入できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の警報システムは、バッテリに繋がる電源線に接続されると共に、発光装置を装着するためのコネクタを有し、車両ドアが開放された状態(開けられた状態)では、コネクタに装着された発光装置に電力供給し、車両ドアが閉鎖された状態(閉じられた状態)では、発光装置への電力供給を停止する車載装置を備える車両、に搭載される車両用の警報システムであって、コネクタに装着可能な発光装置と、電源線に接続され、所定条件が満足されると、警報を出力する警報出力装置と、を備える。
【0009】
発光装置は、車両ドアが開放されると車載装置(バッテリ)からの電力供給を受けて発光する発光体と、警報出力装置と通信可能な送信手段と、を備える。送信手段は、当該発光装置に対して車載装置(バッテリ)から電力が供給されると、作動し、その状態を示すステータス信号を、警報出力装置に向けて送信する。
【0010】
一方、警報出力装置は、発光装置の送信手段と通信可能な構成にされ、発光装置の送信手段から送信されてくるステータス信号を受信する受信手段と、この受信手段がステータス信号を受信すると、警報を出力する警報出力手段と、を備える。警報出力手段は、警報の出力許可が入力された状態で、受信手段がステータス信号を受信すると、警報を出力する。
【0011】
この発明によれば、車両ドアの開閉に連動して電力供給をオン/オフする車載装置のコネクタに装着される発光装置に、警報出力装置側でドアの開閉を検知するための手段として、電力供給を受けると警報出力装置に向けてステータス信号を送信する送信手段を設けたので、ユーザは、コネクタに、従来の発光装置(電球)に代えて、警報出力装置と通信可能な通信手段(送信手段)を有する本発明の発光装置を装着し、電源線に警報出力装置を接続する程度で、当該警報システムを車両内に導入することができる。
【0012】
即ち、本発明によれば、ドアスイッチの出力信号を取り出すための配線作業を行うことなく、車両内に警報システムを導入することができる。また、本発明によれば、ドアの開閉に連動して電力供給をオン/オフする車載装置から、発光装置に対し電力供給がされているか否かでドアの開閉を検知するため、光センサや気流・空気圧の変動によりドアの開閉を検知する警報装置と比較して、誤作動が少なく、高い精度で正確に、車両への不正な侵入を検知することができる。従って、この発明によれば、ユーザは、信頼性の高い警報システムを、従来より簡単に、車両内に導入することができる。
【0013】
尚、発光装置と警報出力装置との通信は、無線通信の形態で実現されてもよいが、無線通信の形態でステータス信号を送受信するように警報システムを構成すると、警報出力装置を、金属板で遮蔽されたエンジンルーム等に設置した場合に、通信環境が悪化し、安定した通信(ステータス信号の送受信)を実現することができなくなる可能性がある。従って、発光装置と警報出力装置との通信は、有線の形態で実現されるとよい。
【0014】
但し、専用の通信線を用いると、車両内に別途通信線を配線しなければならなくなる可能性があるので、発光装置と警報出力装置との通信は、電源線通信の形態で実現されるとよい。
【0015】
請求項2記載の警報システムは、発光装置の送信手段が、電源線を介して警報出力装置と通信可能な構成にされ、警報出力装置の受信手段が、発光装置の送信手段から電源線を介して送信されてくるステータス信号を受信する構成にされたものである。
【0016】
この発明によれば、発光装置と警報出力装置とを通信可能に接続するために、専用の通信線を配線する必要がないので、簡単に、警報システムを、車両内に導入することができる。また、無線通信の形態で通信する警報システムよりも、安定してステータス信号の送受信を行うことができる。
【0017】
また、警報の出力形態としては、無線を通じて、ユーザの携帯端末に不正侵入の可能性を通知する形態や、警備会社に不正侵入の可能性を通知する形態等が考えられるが、好ましくは、請求項3記載のように、警報音をスピーカから出力するようにするとよい。
【0018】
請求項3記載の警報システムは、警報出力装置の警報出力手段が、上記警報として、スピーカから警報音を出力する構成にされたものである。この警報システムによれば、警報音によって、ユーザに対し不正侵入の可能性を通知することができる他、警報音により、侵入者を威嚇して、その侵入行為を抑止することができる。
【0019】
その他、上記の車載装置としては様々なものが考えられるが、発光装置の装着容易性を考慮すれば、請求項4記載のように、車内を照明する照明装置(ルームランプ等)を、上記車載装置として採用するとよい。車内を照明する照明装置は、電球を簡単に交換できるように構成されているのが一般的であるため、車内を照明する照明装置を利用する請求項4記載の発明によれば、発光装置を簡単に車両内に取り付けることができ、簡単に警報システムを車両内に導入することができる。
【0020】
また、請求項5記載の発光装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の警報システムに用いられ、上記車載装置のコネクタに装着される発光装置であって、車両ドアが開放されると車載装置(バッテリ)からの電力供給を受けて発光する発光体と、警報出力装置と通信可能な構成にされ、当該発光装置に対して電力が供給されると、その状態を示すステータス信号を、警報出力装置に向けて送信する送信手段と、を備えるものである。
【0021】
この発光装置と、上記の警報出力装置とを組み合わせれば、簡単に、信頼性の高い警報システムを車両内に導入することができる。尚、上記の発光体としては、寿命の長い発光ダイオード(LED)を用いるとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施例について、図面とともに説明する。図1は、本発明が適用された警報システム1の構成を表す説明図である。
本実施例の警報システム1は、電源線LNを介してバッテリ10に接続されたルームランプ21を車室内に備える車両(自動車)に搭載される。この車両には、車室内を照明するルームランプ21の他、荷室内にラゲッジルームランプ23が設けられており、ラゲッジルームランプ23も、ルームランプ21と同様に、同一の電源線LNを介してバッテリ10に接続されている。
【0023】
ルームランプ21は、バッテリ10のプラス電極に繋がる電源線LNに接続されたコネクタ21pと、ドアスイッチSW1〜SW4を介してグランド接続されるコネクタ21mとを備える。コネクタ21p,21mは、導電性の金属部材により構成され、発光装置が装着されると、発光装置と当該ルームランプ21(しいては電源線LN)とを電気的に接続すると共に、発光装置を、その両側から固定する。
【0024】
具体的に、コネクタ21p,21mは、発光装置の口金と嵌合する孔部を有する金属製のバネ材から構成され、互いに対向配置されている。このコネクタ21p,21mは、孔部にて発光装置の口金と接触すると共に、発光装置をバネ材の弾性力によって両側から挟持し、発光装置を固定する。
【0025】
また、ラゲッジルームランプ23も、ルームランプ21と同様に、電源線LNを介してバッテリ10のプラス電極と接続されたコネクタ23pと、ドアスイッチSW5を介してグランド接続されるコネクタ23mとを備えており、コネクタ23p,23mは、発光装置が装着されると、発光装置と当該ラゲッジルームランプ23(しいては電源線LN)とを電気的に接続すると共に、発光装置を両側から固定する。
【0026】
その他、各ドアスイッチSW1〜SW5は、ドアカーテシスイッチとして構成され、車両に設けられた複数(本実施例では5つ)のドアの一つに設けられている。これら各ドアスイッチSW1〜SW5は、車両ドアが閉鎖された状態(閉じられた状態)ではオフにされ、車両ドアが開放された状態(開けられた状態)ではオンにされる。
【0027】
尚、各ドアスイッチSW1〜SW4は、一端がグランド接続され、他端がルームランプ21のコネクタ21mに電気的に接続された構成にされており、車両の運転席側ドア、助手席側ドア、後部席左側ドア、後部席右側ドアのいずれかが開放されると、コネクタ21mをグランド接続して、バッテリ10からルームランプ21に駆動電力(駆動電圧E)が供給されるようにする。
【0028】
一方、ドアスイッチSW5は、一端がグランド接続され、他端がラゲッジルームランプ23のコネクタ23mに電気的に接続された構成にされており、荷室に設けられたドアが開放されると、コネクタ23mをグランド接続し、バッテリ10からラゲッジルームランプ23に駆動電力(駆動電圧E)が供給されるようにする。
【0029】
本実施例の警報システム1は、このように構成された車両のルームランプ21のコネクタ21p,21m及びラゲッジルームランプ23のコネクタ23p,23mに装着された発光装置30(本実施例では二つ)と、ルームランプ21及びラゲッジルームランプ23と同一の電源線LNに接続された警報出力装置60と、からなる。即ち、本実施例の警報システム1は、警報出力装置60を、ルームランプ21及びラゲッジルームランプ23と同一の電源線LNに接続すると共に、ルームランプ21及びラゲッジルームランプ23の発光装置を、従来装置から、図2に示す構成の発光装置30に取り替えることで、車両内に導入(構築)される。
【0030】
図2(a)は、発光装置30の電気的構成を表す説明図であり、同図(b)は、発光装置30の車室(荷室)側表面の構成を表す図、同図(c)は、発光装置30の裏面の構成を表す図である。
【0031】
図2(a)に示すように、発光装置30は、発光部31と、電源線通信を行うための送信部33と、が並列接続された構成にされている。この発光装置30は、基板35の表面に発光部31を備え、基板35の裏面に送信部33を備える。また、発光装置30は、長方形状の基板35の互いに平行な辺を構成する一対の縁部35a,35bに、その辺から垂直に延びる概略円柱形状の口金37p,37mを備える。
【0032】
口金37p,37mは、導電性の金属部材からなり、ルームランプ21のコネクタ21p,21m(及びラゲッジルームランプ23のコネクタ23p,23m)に嵌合可能な構成にされている。この口金37p,37mの先端(基板35とは反対側の端部)は、ルームランプ21のコネクタ21p,21m(及びラゲッジルームランプ23のコネクタ23p,23m)の設置間隔に対応する距離はなれて、配置されている。
【0033】
発光装置30は、口金37p,37mが、ルームランプ21のコネクタ21p,21m又はラゲッジルームランプ23のコネクタ23p,23mに嵌合されると、ルームランプ21又はラゲッジルームランプ23に固定されて、ルームランプ21又はラゲッジルームランプ23と電気的に接続される。
【0034】
基板35の表面に設けられた発光部31は、複数(本実施例では3つ)の発光ダイオード41〜43を有し、各発光ダイオード41〜43は、基板35に形成された配線パターンを通じて口金37p,37mと電気的に接続されている。即ち、本実施例において、各発光ダイオード41〜43のプラス側電極は、ルームランプ21のコネクタ21p又はラゲッジルームランプ23のコネクタ23pと接触する口金37pに接続され、各発光ダイオード41〜43のマイナス側電極は、ルームランプ21のコネクタ21m又はラゲッジルームランプ23のコネクタ23mと接触する口金37mに接続されている。
【0035】
一方、送信部33は、電源回路51と、電源線通信(パワーラインコミュニケーション:PLC)可能なPLC送信回路53と、を有し、電源回路51及びPLC送信回路53は、基板35に形成された配線パターンを通じて口金37p,37mと、電気的に接続されている。
【0036】
電源回路51は、口金37p,37m(コネクタ21p,21m又はコネクタ23p,23m)を通じて電源線LNから供給される直流定電圧Eを抽出し、当該送信部33を構成するPLC送信回路53に駆動電力を供給する。PLC送信回路53は、電力供給されて作動すると、当該PLC送信回路53が動作中であることを示すステータス信号を信号生成部53aにて生成し、これを、口金37p(換言すると、コネクタ21p又はコネクタ23p)を通じ電源線LNに出力する。
【0037】
ステータス信号は、送信元装置である発光装置30の識別コードと、送信先装置である警報出力装置60の識別コードとを含む信号であり、PLC送信回路53を通じて電源線LNに出力されたステータス信号は、同一の電源線LNに接続された警報出力装置60によって受信される。
【0038】
尚、図3は、PLC送信回路53のオン/オフと、ドアスイッチSW1〜SW5のオン/オフとの関係を示した説明図である。ステータス信号は、PLC送信回路53が動作中である場合のみ、PLC送信回路53から出力(送信)される。即ち、車室内に人がいない場合には、車両ドアが開放されてドアスイッチSW1〜SW5のいずれかがオンされ、バッテリ10からルームランプ21又はラゲッジルームランプ23に電力供給される場合にのみ、PLC送信回路53から出力される。このため、ステータス信号の受信有無を警報出力装置60で検知すれば、車両への不正な侵入を検知することができる。
【0039】
また、本実施例においては、ドアスイッチSW1〜SW5のオン/オフ(即ち、車両ドアの開閉)と連動して、発光部31に駆動電力が供給される。即ち、ドアスイッチSW1〜SW5のいずれかがオンされると、発光部31を構成する発光ダイオード41〜43には駆動電力が供給されて、発光ダイオード41〜43は発光し、ドアスイッチSW1〜SW5がオフされると、発光ダイオード41〜43に対する駆動電力の供給は停止されて、発光ダイオード41〜43は、消灯する。
【0040】
次に、電源線LNを通じてステータス信号を受信する警報出力装置60の構成及び動作について説明する。図4は、警報出力装置60の構成を表すブロック図である。
図4に示すように、本実施例の警報出力装置60は、電源回路61と、PLC受信回路63と、判定回路65と、RF受信回路67と、警報音生成回路69と、スピーカ71と、を備える。
【0041】
電源回路61は、バッテリ10のプラス電極に電源線LNを通じて接続されるプラス側端子と、グランド接続されるマイナス側端子とに接続されており、バッテリ10を通じて電源線LNから供給される直流定電圧Eを抽出し、当該警報出力装置60を構成する装置内各部に駆動電力を供給する。
【0042】
PLC受信回路63は、プラス側端子を通じて電源線LNと接続されており、電源線LNからステータス信号を抽出して、これを判定回路65に入力する。判定回路65は、各種演算処理を行うCPU65aと、ROM、RAM等から構成されるメモリ65bと、を有し、リモートコントローラ(以下「リモコン」とする。)RCを通じてRF受信回路67から入力される指令信号に従って、盗難防止機能をオン/オフする。
【0043】
RF受信回路67は、リモコンRCのRF送信回路RC1から無線電波にて送信されてくる指令信号を受信して、これを判定回路65に入力するものであり、例えば、リモコンRCをユーザが操作することにより、RF送信回路RC1から盗難防止機能のオン/オフ指令信号が送信されてくると、これを受信して判定回路65に入力する。
【0044】
また、警報音生成回路69は、判定回路65から警報音の出力指令が入力されると、警報音用の音声信号を生成して、これをスピーカ71に入力し、スピーカ71に警報音を再生(出力)させる。
【0045】
次に、判定回路65のCPU65aが実行する盗難防止処理について説明する。図5は、CPU65aが繰り返し実行する盗難防止処理を表すフローチャートである。
盗難防止処理を実行すると、CPU65aは、盗難防止機能のオン指令信号がRF受信回路67から入力されるまで待機し(S110)、オン指令信号が入力されると(S110でYes)、警報の出力許可がユーザから入力されたとして、S120に移行する。そして、PLC受信回路63を通じ、発光装置30からステータス信号を受信したか否かを判断する。
【0046】
PLC受信回路63からステータス信号が入力されていない場合には、ここで、ステータス信号を受信していないと判断し(S120でNo)、盗難防止機能のオフ指令信号がRF受信回路67から入力されているか否か判断する(S125)。そして、入力されていると判断すると(S125でYes)、警報の出力許可が解除されたとして、当該盗難防止処理を、一旦終了する。
【0047】
一方、S125で盗難防止機能のオフ指令信号がRF受信回路67から入力されていないと判断すると(S125でNo)、CPU65aは、S120に移行し、PLC受信回路63を通じて発光装置30からステータス信号を受信するか、盗難防止機能のオフ指令信号がRF受信回路67から入力されるまで待機する。
【0048】
ステータス信号を受信すると、CPU65aはS120でYesと判断し、S130にて、警報音の出力指令を警報音生成回路69に入力することにより、警報音生成回路69を作動させ、スピーカ71に警報音を出力させる。
【0049】
警報音の出力開始後、CPU65aは、警報音の出力を継続した状態で、S140に移行し、盗難防止機能のオフ指令信号がRF受信回路67から入力されるまで待機し、盗難防止機能のオフ指令信号がRF受信回路67から入力されると(S140でYes)、警報音の出力停止指令を、警報音生成回路69に入力して、警報音生成回路69の動作を停止することにより、スピーカ71からの警報音出力を停止する(S150)。その後、CPU65aは、当該盗難防止処理を終了する。
【0050】
以上、本実施例の警報システム1について説明したが、本実施例によれば、車両ドアの開閉に連動して電力供給(通電)をオン/オフする車載装置(ルームランプ21及びラゲッジルームランプ23)のコネクタに装着可能な発光装置30に、電力供給を受けると警報出力装置60に向けてステータス信号を送信するPLC送信回路53を設けたので、ユーザは、コネクタ21p,21m,23p,23mに、従来の発光装置(電球)に代えて、警報出力装置60と通信可能な当該発光装置30を装着し、電源線LNに警報出力装置60を接続する程度で、本実施例の警報システム1を車両内に導入(構築)することができる。
【0051】
即ち、本実施例によれば、ドアスイッチSW1〜SW5の出力信号を取り出すための配線作業を行うことなく、車両内に警報システム1を導入することができる。また、本実施例によれば、ドアの開閉に連動して電力供給をオン/オフする車載装置(ルームランプ21及びラゲッジルームランプ23)から、発光装置30に対し電力供給がされているか否かでドアの開閉を検知するため、光センサや気流・空気圧の変動によりドアの開閉を検知する従来装置と比較して、誤作動が少なく、高精度に、車両への不正侵入を検知することができる。従って、本実施例によれば、ユーザは、自車に、信頼性の高い警報システム1を、簡単に取り付けることができる。
【0052】
特に、本実施例によれば、発光装置30が電源線LNを介して警報出力装置60と通信可能な構成にされ、警報出力装置60が、発光装置30から電源線LNを介してステータス信号を受信する構成にされているので、発光装置30と警報出力装置60とを通信可能に接続するために、専用の通信線を配線する必要がなく、大変便利である。また、本実施例によれば、無線通信の形態で通信(ステータス信号の送受信)を行う場合よりも、安定してステータス信号を送受信することができる。
【0053】
また、本実施例の警報システム1では、盗難防止機能がオンである場合に、車両ドアが開放されると、スピーカ71から警報音が出力されるので、ユーザに不正侵入の可能性を報知することができると共に、侵入者を威嚇して、侵入行為を抑止することができる。
【0054】
その他、本実施例では、発光体として、電球よりも比較的小型な発光ダイオードを用いているので、送信部33を組み込むことにより発光装置30が大型化するのを防止することができ、ルームランプ21、ラゲッジルームランプ23等のハウジングのサイズによらず、種々の車両に、本実施例の警報システム1を導入することができる。
【0055】
尚、本発明の警報システム及び発光装置は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、両側に口金37p,37mを備える発光装置30を例に挙げて説明したが、ルームランプ21やラゲッジルームランプ23のコネクタ(ソケット)としては、種々の形状のものが知られているので、発光装置30の形状は、上記実施例に限定されない。
【0056】
その他、上記実施例では、電源線通信にてステータス信号を送受信するように、警報システム1を構成したが、ステータス信号の送受信は、無線通信の形態で実現されてもよい。即ち、PLC送信回路53に代えて、無線通信可能な送信回路を発光装置30に設け、PLC受信回路63に代えて、発光装置30の送信回路と無線通信可能な受信回路を警報出力装置60に設け、本発明の警報システムを構成してもよい。
【0057】
また、上記実施例では、ステータス信号が発光装置30から送信された場合、警報音を出力するように警報システム1を構成したが、警報音の出力に代えて、若しくは警報音の出力に加えて、セルラー網等を通じ、ユーザの携帯端末に不正侵入の可能性を通知してもよいし、警備会社に不正侵入の可能性を通知してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明が適用された警報システム1の構成を表す説明図である。
【図2】発光装置30の構成を表す説明図である。
【図3】送信部33のオン/オフと、ドアスイッチSW1〜SW5のオン/オフとの関係を示した説明図である。
【図4】警報出力装置60の構成を表すブロック図である。
【図5】判定回路65のCPU65aが繰り返し実行する盗難防止処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1…警報システム、10…バッテリ、21…ルームランプ、21p,21m,23p,23m…コネクタ、23…ラゲッジルームランプ、30…発光装置、31…発光部、33…送信部、35…基板、35a,35b…縁部、37p,37m…口金、41〜43…発光ダイオード、51…電源回路、53…PLC送信回路、53a…信号生成部、60…警報出力装置、61…電源回路、63…PLC受信回路、65…判定回路、65a…CPU、65b…メモリ、67…RF受信回路、69…警報音生成回路、71…スピーカ、LN…電源線、RC…リモコン、RC1…RF送信回路、SW1〜SW5…ドアスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに繋がる電源線に接続されると共に、発光装置を装着するためのコネクタを有し、車両ドアが開放された状態では前記コネクタに装着された発光装置に電力供給し、車両ドアが閉鎖された状態では前記発光装置への電力供給を停止する車載装置、を備える車両用の警報システムであって、
前記コネクタに装着可能な発光装置と、
前記電源線に接続され、所定条件が満足されると、警報を出力する警報出力装置と、
を備え、
前記発光装置は、
車両ドアが開放されると、前記電力供給を受けて発光する発光体と、
前記警報出力装置と通信可能な構成にされ、当該発光装置に対して電力が供給されると、その状態を示すステータス信号を、前記警報出力装置に向けて送信する送信手段と、
を備え、
前記警報出力装置は、
前記発光装置の送信手段から送信されてくるステータス信号を受信する受信手段と、
警報の出力許可が入力された状態で、前記受信手段が前記ステータス信号を受信すると、警報を出力する警報出力手段と、
を備えることを特徴とする警報システム。
【請求項2】
前記送信手段は、前記電源線を介して前記警報出力装置と通信可能な構成にされ、
前記受信手段は、前記発光装置の送信手段から前記電源線を介して送信されてくる前記ステータス信号を受信する構成にされていることを特徴とする請求項1記載の警報システム。
【請求項3】
前記警報出力手段は、スピーカを備え、前記警報として、前記スピーカから警報音を出力する構成にされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の警報システム。
【請求項4】
前記車載装置は、車内を照明する照明装置であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の警報システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の警報システムに用いられ、前記コネクタに装着される発光装置であって、
車両ドアが開放されると、電力供給を受けて発光する発光体と、
前記警報出力装置と通信可能な構成にされ、当該発光装置に対して電力が供給されると、その状態を示すステータス信号を、前記警報出力装置に向けて送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする発光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate