説明

警報処理装置、そのプログラムおよび警報処理方法

【課題】大量の警報が発生したときでも、重要な警報が判りやすいように出力できる警報処理装置を提供する。
【解決手段】監視処理部112は、LAN800を介して接続されたPLCを監視して、警報指示を取得する。再生順決定処理部113は、監視処理部112が取得した警報指示をワークエリア部122に格納し、ワークエリア部122に格納された警報指示のうち、最も優先順位の高い警報指示を選択する。音声再生処理部114は、再生順決定処理部113が選択した警報指示に対応する警報音声データを再生して、音声信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報処理装置、そのプログラムおよび警報処理方法に係り、特に複数の警報を扱う警報処理装置、そのプログラムおよび警報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の警報処理装置は、警報信号の発信元、異常種別、警報レベルに対応した音声メッセージまたは表示メッセージを記憶しておき、警報信号を受信すると、これら記憶している音声メッセージまたは表示メッセージの中から、受信した警報信号に対応した音声メッセージまたは表示メッセージを読み出して出力している。また、複数の警報信号を受信したときのために、複数の警報信号の発信元、異常種別、警報レベルに対応した音声メッセージまたは表示メッセージについても記憶しておき、複数の警報信号を受信すると、これらの中から音声メッセージまたは表示メッセージを読み出して出力している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−234695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の警報処理装置にあっては、警報が大量に発生したときに、多くの警報の音声メッセージまたは表示メッセージが出力されるために、これらの中に重要な警報が埋もれてしまい、これらを聴いたまたは見たユーザが、重要な警報がどの警報なのか判らなくなってしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、大量の警報が発生したときでも、重要な警報が判りやすいように出力できる警報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の警報処理装置は、通信回線を介して接続された外部装置を監視して、警報指示を取得する監視処理部と、前記監視処理部が取得した警報指示を記憶部に格納し、該記憶部に格納された警報指示のうち、最も優先順位の高い警報指示を選択する再生順決定処理部と、前記再生順決定処理部が選択した警報指示に対応する警報音声データを再生して、音声信号を出力する音声再生処理部とを備えることを特徴とする。
【0006】
これにより、本発明の警報処理装置は、記憶している警報指示のうち、最も優先順位の高い警報指示に対応する警報音声データの音声信号を出力するので、優先順位の高い警報指示から順に、対応する警報音声データの音声信号を出力する。このため、本発明の警報処理装置は、大量の警報指示が発生したときでも、重要な警報指示の音声が判りやすいように出力できる。
【0007】
また、本発明の警報処理装置は、上述の警報処理装置であって、前記優先順位は、前記警報指示の優先レベルに基づくことを特徴とする。
【0008】
これにより、本発明の警報処理装置は、記憶している警報指示のうち、最も優先レベルの高い警報指示に対応する警報音声データの音声信号を出力するので、優先レベルの高い警報指示から順に、対応する警報音声データの音声信号を出力する。このため、本発明の警報処理装置は、大量の警報指示が発生したときでも、重要な警報指示の音声が判りやすいように出力できる。
【0009】
また、本発明の警報処理装置は、上述の警報処理装置であって、前記再生順決定処理部は、前記記憶部に格納された警報指示で未再生の警報指示と前記監視処理部が取得した警報指示との中で最も優先レベルが高い警報指示以外を前記記憶部から削除することを特徴とする。
【0010】
これにより、本発明の警報処理装置は、記憶している警報指示のうち、最も優先レベルの高い警報指示に対応する警報音声データの音声信号のみを出力するので、大量の警報指示が発生したときでも、重要な警報指示の音声が判りやすいように出力できる。
【0011】
また、本発明の警報処理装置は、上述の警報処理装置であって、前記再生順決定処理部は、前記監視処理部が取得した警報指示を記憶部に格納する際に、前記音声再生処理部が再生中の警報音声データに対応した警報指示の優先レベルが、該取得した警報指示より低いときは、前記音声再生処理部に警報音声データの再生中止を指示することを特徴とする。
【0012】
これにより、本発明の警報処理装置は、警報音声データの音声信号を出力しているときに、該出力している音声信号の警報音声データに対応する警報指示より、優先レベルの高い警報指示を検出すると、出力中の警報音声データを中止して、検出した警報指示に対応する警報音声データの音声信号を出力するので、大量の警報指示が発生したときでも、重要な警報指示の音声が判りやすいように出力できる。
【0013】
また、本発明のプログラムは、コンピュータを、通信回線を介して接続された外部装置を監視して、警報指示を取得する監視処理部、前記監視処理部が取得した警報指示を記憶部に格納し、該記憶部に格納された警報指示のうち、最も優先順位の高い警報指示を選択する再生順決定処理部、前記再生順決定処理部が選択した警報指示に対応する警報音声データを再生して、音声信号を出力する音声再生処理部として機能させる。
【0014】
また、本発明の警報処理方法は、外部装置が通信回線を介して接続された警報処理装置における警報処理方法において、前記外部装置を監視して、警報指示を取得する第1の過程と、前記第1の過程にて取得した警報指示を記憶部に格納し、該記憶部に格納された警報指示うち、最も優先順位の高い警報指示を選択する第2の過程と、前記第2の過程にて選択した警報指示に対応する警報音声データを再生して、音声信号を出力する第3の過程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、優先順位の高い警報指示から順に、対応する警報音声データの音声信号を出力するので、大量の警報指示が発生したときでも、重要な警報指示の音声が判りやすいように出力できるため、大量の警報が発生したときでも、重要な警報が判りやすいように出力できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による警報処理装置100を用いた工場内などに設置される警報システムの構成を示す概略ブロック図である。
【0017】
警報処理装置100は、PLC(Programmable Logic Controller)300a、300bが生成する警報指示を検出し、該警報指示に基づき、警報音声データを再生して音声信号を生成し、スピーカ端子からモニタスピーカ500へ出力し、さらに、LINEOUT端子から場内放送設備600へ出力する。また、場内放送設備600を、LINEOUT端子とともに接点出力端子に接続しておくことで、警報処理装置100は、警報音声の放送範囲などを指示することができる。
【0018】
200は、装置定義ファイル、PLC定義ファイル、警報音声データ定義ファイル、警報定義ファイル、単語音声データファイルを格納しており、警報処理装置100に挿入されるメモリカードである。ユーザは、PCなどを用いて、上述の各ファイルを作成あるいは編集してメモリカード200に格納し、警報処理装置100に挿入することで、警報処理装置100の動作を設定することができる。
なお、上述の各ファイルの詳細については、後述する。
【0019】
PLC(外部装置)300a、300bは、工場内の各所に設置されたガスセンサ400a、400bなどからの入力を受け付けて、警報指示を生成するプログラマブルロジックコントローラである。警報指示は、PLC300a、300b内のメモリの特定のアドレスの特定のビットにフラグを立てることで生成する。検出されたガスの種類および場所に応じて、フラグを立てるアドレスのビットが割振られており、PLC300a、300bは、ガスセンサ400a、400bが検出したガスおよび設置場所に応じて、該当するアドレスのビットにフラグを立てる。
ガスセンサ400a、400bは、有毒ガスなどを検出するセンサである。なお、本実施形態では、ガスを検出して警報を発する警報処理システムを例にして説明しているため、ガスセンサを用いているが、PLC300a、300bが制御する設備を監視して設備の異常を検出して警報を発する警報処理システムであれば、PLC300a、300bが制御する設備の故障などの異常を検出してもよい。
【0020】
モニタスピーカ500は、警報処理装置100のスピーカ端子に接続され、警報処理装置100が出力した警報音声を鳴動する。
【0021】
場内放送設備600は、警報処理装置100のLINEOUT端子と接点出力端子とに接続され、警報処理装置100が出力した警報音声をスピーカ700a、700bにて鳴動させる。場内放送設備600は、警報音声を鳴動させる際に、接点出力端子から出力されたBUSY信号に応じて、鳴動させるスピーカを選択する。
【0022】
スピーカ700a、700bは、工場内の各所に設置されたスピーカである。
【0023】
800は、警報処理装置100とPLC300a、300bとを接続するLAN(Local Area Network)である。
図2は、本実施形態における警報処理装置100の構成を示す概略ブロック図である。
【0024】
110は、警報処理装置100を制御するCPU(Central Processing unit)であり、初期処理部111、監視処理部112、再生順決定処理部113、音声再生処理部114を備える。
【0025】
初期処理部111は、警報処理装置100の電源が投入されると、各部の初期化を行い、メモリカード200に格納されているファイルを読み出して、メモリ120のファイル記憶部121に格納する。
【0026】
監視処理部112は、LAN800を介して、定期的にPLC300a、300b内の警報指示のフラグを監視し、検出した警報指示をメモリ120のワークエリア部122に格納する。監視対象とするPLCおよびそのアドレス、ビットは、ファイル記憶部121に格納されたPLC定義ファイル、警報定義ファイルに基づき選択する。
【0027】
再生順決定処理部113は、ワークエリア部122に格納されている警報指示の中から、優先的に出力する警報指示を選択し、音声再生処理部114に再生を指示する。なお、再生順決定処理部113については、動作の説明にて詳述する。
【0028】
音声再生処理部114は、再生順決定処理部113からの再生の指示を受けて、該当する警報指示に対応する警報音声データを再生する。再生する警報音声データは、ファイル記憶部121に格納された警報音声データ定義ファイル、警報定義ファイル、単語音声データファイルに基づき生成する。
【0029】
メモリ120は、CPU110が動作するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)およびCPU110が動作する際のワークメモリとなるRAM(Random Access Memory)からなり、RAMには、ファイル記憶部121とワークエリア部(記憶部)122とを備える。ワークエリア部122の詳細については後述する。
【0030】
130は、LAN800と接続し、通信を制御するLANコントローラ部である。
【0031】
140は、警報処理装置100に挿入されたメモリカード200と接続し、メモリカード200からのファイルの読み出し、および、メモリカード200へのファイルの書き込みを制御するメモリカードインタフェース部である。
【0032】
150は、LED(Light−Emitting Diode)表示部151および接点入出力部152を制御する表示/入出力インターフェース部である。
【0033】
LED表示部151は、表示/入出力インターフェース部150を介したCPU110の制御に基づき、警報処理装置100の動作状況などを表示する2桁の7セグメントLED表示器を備える。
【0034】
接点入出力部152は、表示/入出力インターフェース部150を介したCPU110の制御に基づく8点のBUSY信号の接点出力と、表示/入出力インターフェース部150を介したCPU110への割り込み信号の接点入力を備える。
【0035】
160は、音声再生処理部114が再生した警報音声データのデジタル信号をアナログ信号に変換して、電子ボリウム部161、162に出力する警報音声再生用D/Aコンバータ部である。
電子ボリウム部161、162は、CPU110により制御される可変抵抗である。
163は、警報音声のアナログ信号を増幅するスピーカアンプ部である。
【0036】
201は、装置定義ファイル、PLC定義ファイル、警報音声データ定義ファイル、警報定義ファイル、単語音声データファイルを格納するファイル記憶部である。
【0037】
図3は、装置定義ファイルにて設定される項目と設定内容例を示した図である。
No.1のポーズ秒数(0〜7)秒は、音声再生処理部114にて、警報音声データを再生する際に、挿入する無音部分の秒数である。
No.2のサンプリング周期(1〜60)秒は、PLC300a、300b内の警報指示のフラグを監視する周期の秒数である。
No.3の優先レベル参照の有無(0:無し、1:有り)は、複数の警報指示を連続または同時に検出したときに、再生順決定処理部113の処理として再生する警報指示を警報指示が発生した順に選択するか(0:無し)、優先レベルに基づいて順番を入れ換えて選択するか(1:有り)を判定するための情報である。
【0038】
No.4の再生中のメッセージ停止処理の有無(0:無し、1:有り)は、警報指示を検出した際に、検出した警報指示より優先レベルが低い警報指示に対応する警報音声データを再生中のときは、再生順決定処理部113は該警報音声データの再生を停止するか(1:有り)、停止しないか(0:無し)を判定するための情報である。
No.5の優先順位の低い警報削除処理の有無(0:無し、1:有り)は、警報指示を検出した際に、検出した警報指示より優先レベルが低い警報指示に対応する警報音声データを再生しないように、ワークエリア部122に登録されている警報指示のうち、検出した警報指示より優先レベルが低い警報指示を再生順決定処理部113は削除するか(1:有り)、削除しないか(0:無し)を判定するための情報である。
【0039】
No.9のネットワーク(1〜127)は、警報処理装置100が所属するPLC用のネットワーク番号である。
No.10のノード(1〜126)は、PLC用のネットワークにおいて、警報処理装置100を識別する番号であるノード番号である。
No.11のIPアドレスは、自装置のIPアドレスである。
No.12のサブネットマスクは、自装置が接続されているLAN800のサブネットマスクである。
No.13のデフォルトゲートウェイは、自装置のデフォルトゲートウェイのIPアドレスである。
【0040】
図4は、PLC定義ファイルにて設定される項目と設定内容例を示した図である。
PLC定義ファイルは、監視処理部112の監視対象となるPLC300a、300bに関する項目を定義するファイルである。図4に示す例では、監視対象となるPLCを8つ設定している。
PLC_Noは、PLCを識別する通し番号である。
PCタイプは、PLCの種別である。監視処理部112は、該PCタイプに基づき、警報指示を監視する際のコマンドを生成する。
【0041】
ネットワークは、PLCが所属するPLC用のネットワーク番号である。
ノードは、PLC用のネットワークにおいて、PLCを識別する番号のノード番号である。
IPアドレスは、PLCのIPアドレスである。
ポート番号は、監視処理部112が、警報指示を監視する際のコマンドを送信する宛先のポート番号である。
再送回数は、監視処理部112が、警報指示を監視する際のコマンドがタイムアウトした場合の再送回数である。
タイムアウト時間(ms)は、監視処理部112が、警報指示を監視する際のコマンドを送信して応答が返ってこない場合に、タイムアウトとみなす時間をミリ秒で表したものである。
【0042】
図5は、警報音声データ定義ファイルにて設定される項目と設定内容例を示した図である。
警報音声データ定義ファイルは、音声再生処理部114が再生する警報音声データを構成する単語コードを定義するファイルである。適切な単語コードを組み合わせることで、警報音声データの内容を警報の目的にあった文章とすることができる。図5の例では、各行にてそれぞれ1つの警報音声データを構成する単語コードを定義し、合計11個の警報音声データについて定義している。
警報音声No(1〜5000)は、警報音声データを識別する通し番号である。
単語番号1〜単語番号8には、警報音声データを構成する単語コードである。音声再生処理部114は、単語番号1〜単語番号8の単語コードを順に再生する。ただし、「FE01」より大きな単語コードは、再生する音声ではなく接点入出力部152から出力するBUSY信号のパターンを設定している。BUSY信号を出力する接点は8点あるので、BUSY信号のパターンには、これら8点での出力の有無の組み合わせで合計255種類のパターンがある。
【0043】
図6は、警報定義ファイルにて設定される項目と設定内容例を示した図である。
警報定義ファイルは、監視処理部112が監視する警報指示(PLC_NoとPLC内メモリアドレス)と、該警報指示に対応して音声再生処理部114で生成する警報音声データ(警報音声No)を定義するファイルである。
図6に示す例では、各行でそれぞれ一つの警報指示を定義し、合計6つの警報指示を定義している。
【0044】
グループNoと信号Noは、これらを組み合わせて一意になる警報指示を識別する番号である。
警報音声No(1〜5000)は、該警報指示に対応した警報音声データの警報音声Noである。
優先レベル(0〜7)は、該警報指示の優先レベルである。本実施形態では、0〜7の数字で表され、値が大きい方が優先レベルが高くなる。
繰り返し数(0〜7)は、該警報指示を検出した際に、警報音声データを再生する回数である。
PLC_No(1〜16)は、監視するPLCのPLC_Noである。
PLC内メモリアドレスは、監視するPLC内のアドレス、ビットである。
【0045】
図7は、単語音声データファイルにて設定される項目と設定内容例を示した図である。
単語音声データファイルは、各単語コードの音声データを定義したファイルである。図7では、音声データを文字で表記しているが、ファイル中には、PCM(Pulse Code Modulation)などの形式で格納される。
【0046】
図8は、メモリ120のワークエリア部122の記憶内容例を示した図である。ワークエリア部122には、監視処理部112が検出した警報指示のグループNo、信号No(警報定義ファイル(図6)にて定義)と、該警報指示の状態が、警報指示の検出順に格納されている。警報指示の状態には、「未再生」と「再生中」とがあり、同時に2つ以上の警報指示が「再生中」となることはない。従って、図8のように各行に状態の項目を設けるのではなく、「再生中」の警報指示を記憶する領域を設けて、図8と同じく、2つ目の警報指示が「再生中」であるときは、該領域に、ワークエリア部122中の2つ目であることを意味する「2」を記憶するようにしてもよい。
【0047】
図9は、本実施形態の警報処理装置100の動作を説明するフローチャートである。
まず、警報処理装置100の電源が投入されると、初期処理部111は、メモリカードインターフェース部140を介して、メモリカード200のファイル記憶部201より、装置定義ファイル、PLC定義ファイル、警報音声データ定義ファイル、警報定義ファイル、単語音声データファイルを読み出し、メモリ120のファイル記憶部121に格納する(S1)。以後、各処理部が上述の各ファイルを参照する際は、ファイル記憶部121に格納されたファイルを参照する。次に、初期処理部111は、上述の全てのファイルを読み込んだか否かを判定する(S2)。読み込んでいないファイルがあると判定したときは、初期処理部111は、エラー番号の表示を表示/入出力インターフェース部150を介して、LED表示部151に指示する(S3)。ここでは、全てのファイルを読み込んだとすると、判定条件が成立して、初期処理部111は、警報処理装置100の各部を初期化する(S4)。
【0048】
次に、監視処理部112は、警報音声データ定義ファイルにて定義されている全てのPLC_NoのPLC内メモリアドレスの値を取得するコマンドの送信をLANコントローラ部130に指示する。監視処理部112は、LANコントローラ部130を介して、該コマンドに対する応答を受け取ると、その内容を確認して、警報指示のフラグが立てられているPLC_NoのPLC内メモリアドレスに対応するグループNoと信号Noとの組を含んだ通知を再生順決定処理部113に出力する(S6)。ここでは、応答には、PLC_Noが「1」で、PLC内メモリアドレスが「dDM03601:01」の警報指示のフラグが立てられていたとすると、監視処理部112は、警報定義ファイルを参照して、警報定義ファイルが図6に示す内容例のときは、該警報指示(PLC_No「1」、PLC内メモリアドレス「dDM03601:01」)に対応するグループNo「1」と信号No「1」との組を含んだ通知を出力する。
【0049】
再生順決定処理部113は、通知を受けると、警報指示のグループNoと信号Noとの組が該通知に含まれているか否かを判定する(S7)。含まれていないと判定したときは、ステップS14に遷移するが、ここでは該通知にグループNo「1」と信号No「1」との組が含まれているので、含んでいると判定し、ステップS8に遷移する。ステップS8では、再生順決定処理部113は、受けた通知から、グループNo「1」と信号No「1」との組の警報指示を抽出して、ワークエリア部122に格納する(S8)。
【0050】
次に、再生順決定処理部113は、ワークエリア部122に格納した警報指示と、ワークエリア部122に格納されており、状態が「再生中」の警報指示との優先レベルを、警報定義ファイルから取得する。再生順決定処理部113は、装置定義ファイルにおいてNo.3の優先レベル参照の有無(0:無し、1:有り)が「1」の有りに設定されており、且つ、これら2つの警報指示の優先レベルを比較し、前者のワークエリア部122に格納した警報指示の方が、後者の「再生中」の警報指示より優先レベルが高いか否かを判定する(S9)。判定条件が成立しなかったときは、ステップS12に遷移するが、ここでは、装置定義ファイルのNo.3の優先レベル参照の有無(0:無し、1:有り)には「1」の有りが設定されており、且つ、前者の警報指示の優先レベルは「5」であり、後者の警報指示の優先レベルは「4」であり、前者の優先レベルの方が高く、ステップS9の判定条件が成立したとする。
【0051】
ステップS9の判定条件が成立すると、ステップS10に遷移し、再生順決定処理部113は、装置定義ファイルを参照してNo.4の再生中のメッセージ停止処理の有無(0:無し、1:有り)が「1」の有りに設定されているか否かを判定する(S10)。判定条件が成立しなかったときは、ステップS12に遷移するが、ここでは、装置定義ファイルのNo.4の再生中のメッセージ停止処理の有無(0:無し、1:有り)には「1」の有りが設定されており、ステップS10の判定条件は成立し、ステップS11に遷移したとする。ステップS11では、再生順決定処理部113は、音声再生処理部114に対して、警報音声データの再生停止を指示するとともに、ワークエリア部122から状態が「再生中」の警報指示を削除する。音声再生処理部114は、再生停止の指示を受けると、再生中の警報音声データの再生を停止する(S11)。
【0052】
再生順決定処理部113は、装置定義ファイルを参照してNo.5の優先順位の低い警報削除処理の有無(0:無し、1:有り)が「1」の有りに設定されているか否かを判定する(S12)。判定条件が成立しなかったときは、ステップS14に遷移するが、ここでは、装置定義ファイルのNo.5の優先順位の低い警報削除処理の有無(0:無し、1:有り)には「1」の有りが設定されており、ステップS12の判定条件は成立し、ステップS13に遷移したとする。ステップS13では、再生順決定処理部113は、ワークエリア部122に格納されている警報指示で、最も優先レベルの高い警報指示と状態が「再生中」の警報指示とを除いた全ての警報指示を削除する(S13)。
【0053】
再生順決定処理部113は、ワークエリア部122に格納されている警報指示で、状態が「再生中」の警報指示について、音声再生処理部114に再生を終了したか否かをその警報指示のグループNoと信号Noとにて問い合わせる。音声再生処理部114は、問い合わせを受けると、自処理部の処理状態を確認し、再生中の警報指示があれば、該警報指示のグループNoと信号Noとの組が、問い合わせのグループNoと信号Noとの組と一致するか否かを確認する。音声再生処理部114は、一致しているときは、再生中である旨を応答し、一致いないとき、あるいは、再生中の警報指示がないときは、再生済みである旨を応答する。再生順決定処理部113は、音声再生処理部114から再生済みである旨を受けたときのみ、ワークエリア部122に格納されている状態が「再生中」の警報指示を削除する(S14)。
【0054】
次に、再生順決定処理部113は、ワークエリア部122に格納されている警報指示があるか否かを確認する(S15)。警報指示が無いときは、ステップS6に遷移して、前述と同様の処理を繰り返す。警報指示が有るときは、ステップS16に遷移して、再生順決定処理部113は、ワークエリア部122に格納されている警報指示に状態が「再生中」の警報指示があるか否かを確認する(S16)。状態が「再生中」の警報指示があるときは、ステップS6に遷移して、前述と同様の処理を繰り返す。状態が「再生中」の警報指示がないときは、ステップS17に遷移して、装置定義ファイルのNo.3の優先レベル参照の有無(0:無し、1:有り)に「1」の有りが設定されているか否かを判定する(S17)。「0」の無しが設定されており、判定条件が成立していないときは、ステップS19に遷移して、再生順決定処理部113は、ワークエリア部122の先頭に格納されている警報指示のグループNoと信号Noとの組を音声再生処理部114に出力して、該警報指示の再生を指示するとともに該警報指示の状態に「再生中」を格納するが(S19)、ここでは「1」の有りが設定されており、判定条件が成立しているとする。
【0055】
ステップS17の判定条件が成立していると、ステップS18に遷移して、再生順決定処理部113は、ワークエリア部122に格納されている警報指示に対応する優先レベルを警報定義ファイルから取得し、その中で最も優先レベルの高い警報指示のグループNoと信号Noとの組を音声再生処理部114に出力して、該警報指示の再生を指示する。再生順決定処理部113は、再生の指示をした警報指示の状態を「再生中」に更新し、ステップS6に遷移し、前述と同様の処理を繰り返す(S18)。
【0056】
一方、音声再生処理部114は、再生順決定処理部113から再生の指示としてグループNoと信号Noとの組を受けると、警報定義ファイルを参照して、該受けたグループNoと信号Noとの組に対応する警報音声Noと繰り返し数とを取得する。ここでは、受けたグループNoと信号Noとの組がグループNo「1」と信号No「1」であり、警報定義ファイルの内容が図6に示す内容例であったとすると、音声再生処理部114は、警報音声No「4」と繰り返し数「2」とを取得する。
【0057】
次に、音声再生処理部114は、警報音声データ定義ファイルを参照して、警報音声No「4」に対応する単語コードを全て取得する。ここでは、警報音声データ定義ファイルの内容が図5に示す内容例であったとすると、音声再生処理部114は、「FE04」、「0002」、「0035」、「0066」、「0037」、「0098」の計6つの単語コードを全て取得する。次に、音声再生処理部114は、これらの単語コードに対応する音声データを、単語音声データファイルから順次取得して、これを再生して警報音声をアナウンスする。例えば、最初の単語コードが「0002」であり、単語音声データファイルの内容が、図7に示す内容例のときは、音声再生処理部114は、単語音声データファイルから「2階 クリーンルーム ○○○エリアで」という音声の音声データを取得して再生し、さらに次の単語コードの音声データを取得して再生し、というように取得した全ての単語コードについて同様の処理を繰り返す。ただし、1番目の単語コード「FE04」は、「FE00」より大きいので、BUSY信号出力の指示であり、音声再生処理部114は、表示/入出力インターフェース部150を介して、接点入出力部152から、場内放送設備600にBUSY信号を出力する。なお、BUSY信号の値は、単語コードに依存するが、本実施形態では単語コードの16進数下2桁の値を出力する。場内放送設備600は、BUSY信号を受けると、BUSY信号の値に応じて、音声を鳴動するスピーカを選択する。
【0058】
次に、音声再生処理部114は、装置定義ファイルのNo.1のポーズ秒数(0〜7)秒に設定されている値を取得し、該設定されている秒数が経過した後、2番目以降の各単語コードに対応する音声データを順に再生して、警報音声再生用D/Aコンバータ部160にデジタル信号を出力する。音声再生処理部114は、この音声データの再生を、先に警報定義ファイルから取得した繰り返し数「2」の回数分、同様にして繰り返す。
【0059】
警報音声再生用D/Aコンバータ部160は、音声再生処理部114からデジタル信号を受けると、これをアナログ信号に変換して、電子ボリウム部161、162に出力する。電子ボリウム部161は、アナログ信号を受けると、設定されている抵抗値により信号レベルを変換して、LINEOUT端子より、場内放送設備600に出力する。また、電子ボリウム部162は、アナログ信号を受けると、設定されている抵抗値により信号レベルを変換して、スピーカアンプ部163に出力する。スピーカアンプ部163は、アナログ信号を受けると、これを増幅して、スピーカ端子よりモニタスピーカ500に出力する。
【0060】
このように、装置定義ファイルのNo.3の優先レベル参照の有無(0:無し、1:有り)に設定しておく値を変えると、上述のステップS17にて該値を判定することにより、再生順決定処理部113は検出された順に警報指示を選択し、対応する警報音声データを音声再生処理部114に再生させることも(S19)、優先レベルの高い順に警報指示を選択し、対応する警報音声データを音声再生処理部114に再生させることもできる(S18)。発生内容により重要度が変わるシステムの場合は、装置定義ファイルのNo.3の優先レベル参照の有無(0:無し、1:有り)に「1」の有りを設定しておき、最初に発生した警報が重要であり優先順位の高いシステムの場合は、装置定義ファイルのNo.3の優先レベル参照の有無(0:無し、1:有り)に「0」の無しを設定しておくことで、重要な警報から再生することができる。
【0061】
このように、装置定義ファイルのNo.4の再生中のメッセージ停止処理の有無(0:無し、1:有り)に「1」の有りを設定しておくと、上述のステップS10にて該設定を判定することにより、音声再生処理部114が警報音声データを再生しているときに、より優先レベルの高い警報指示を監視処理部112が検出すると、再生順決定処理部113は音声再生処理部114に再生を中止させて(S11)、検出した警報指示に対応する警報音声データを優先的に再生させることができる。これにより、再生順決定処理部113は、優先レベルの低い警報音声データの再生終了を待つことなく、検出された警報指示に対応する警報音声データを、音声再生処理部114に再生させることができる。
【0062】
このように、装置定義ファイルのNo.5の優先順位の低い警報削除処理の有無(0:無し、1:有り)に「1」の有りを設定しておくと、上述のステップS12にて該設定を判定することにより、再生順決定処理部113は、ワークエリア部122に格納された警報指示の中で最も優先レベルの高い警報指示以外を削除する。このため、ワークエリア部122に格納されていた警報指示が検出された警報指示よりも優先レベルが高いときは、検出された警報指示はワークエリア部122から削除される(つまり、格納されない)。また、ワークエリア部122に格納されていた警報指示が検出された警報指示よりも優先レベルが低いときは、ワークエリア部122に格納されていた警報指示は、ワークエリア部122から削除される。これにより、検出されている警報指示の中で最も優先レベルの高い警報指示を再生順決定処理部113は選択し、対応する警報音声データを再生順決定処理部113に再生させることができる。
【0063】
また、図2における初期処理部111、監視処理部112、再生順決定処理部113、音声再生処理部114の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各処理部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0064】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0065】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、工場内などの広範囲にセンサを設置し、有毒ガスなどを検出して警報を発する警報処理システムの警報処理装置に用いて好適であるが、これに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の一実施形態による警報処理装置100を用いた警報処理システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態における警報処理装置100の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態における装置定義ファイルにて設定される項目と設定内容例を示した図である。
【図4】同実施形態におけるPLC定義ファイルの項目にて設定される設定内容例を示した図である。
【図5】同実施形態における警報音声データ定義ファイルにて設定される項目と設定内容例を示した図である。
【図6】同実施形態における警報定義ファイルにて設定される項目と設定内容例を示した図である。
【図7】同実施形態における単語音声データファイルにて設定される項目と設定内容例を示した図である。
【図8】同実施形態におけるメモリ120のワークエリア部122の記憶内容例を示した図である。
【図9】同実施形態における警報処理装置100の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
100…警報処理装置
110…CPU
111…初期処理部
112…監視処理部
113…再生順決定処理部
114…音声再生処理部
120…メモリ
121…ファイル記憶部
122…ワークエリア部
130…LANコントローラ部
140…メモリカードインターフェース部
150…表示/入出力インターフェース部
151…LED表示部
152…接点入出力部
160…警報音声再生用D/Aコンバータ部
161、162…電子ボリウム部
163…スピーカアンプ部
200…メモリカード
201…ファイル記憶部
300a、300b…PLC
400a、400b…ガスセンサ
500…モニタスピーカ
600…場内放送設備
700a、700b…スピーカ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して接続された外部装置を監視して、警報指示を取得する監視処理部と、
前記監視処理部が取得した警報指示を記憶部に格納し、該記憶部に格納された警報指示のうち、最も優先順位の高い警報指示を選択する再生順決定処理部と、
前記再生順決定処理部が選択した警報指示に対応する警報音声データを再生して、音声信号を出力する音声再生処理部と
を備えることを特徴とする警報処理装置。
【請求項2】
前記優先順位は、前記警報指示の優先レベルに基づくことを特徴とする請求項1に記載の警報処理装置。
【請求項3】
前記再生順決定処理部は、前記記憶部に格納された警報指示で未再生の警報指示と前記監視処理部が取得した警報指示との中で最も優先レベルが高い警報指示以外を前記記憶部から削除することを特徴とする請求項2に記載の警報処理装置。
【請求項4】
前記再生順決定処理部は、前記監視処理部が取得した警報指示を記憶部に格納する際に、前記音声再生処理部が再生中の警報音声データに対応した警報指示の優先レベルが、該取得した警報指示より低いときは、前記音声再生処理部に警報音声データの再生中止を指示することを特徴とする請求項2に記載の警報処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
通信回線を介して接続された外部装置を監視して、警報指示を取得する監視処理部、
前記監視処理部が取得した警報指示を記憶部に格納し、該記憶部に格納された警報指示のうち、最も優先順位の高い警報指示を選択する再生順決定処理部、
前記再生順決定処理部が選択した警報指示に対応する警報音声データを再生して、音声信号を出力する音声再生処理部
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
外部装置が通信回線を介して接続された警報処理装置における警報処理方法において、
前記外部装置を監視して、警報指示を取得する第1の過程と、
前記第1の過程にて取得した警報指示を記憶部に格納し、該記憶部に格納された警報指示のうち、最も優先順位の高い警報指示を選択する第2の過程と、
前記第2の過程にて選択した警報指示に対応する警報音声データを再生して、音声信号を出力する第3の過程と
を備えることを特徴とする警報処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−9708(P2008−9708A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179467(P2006−179467)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(593027967)エヌエスエンジニアリング株式会社 (14)
【Fターム(参考)】