説明

警報方法及び警報装置

【課題】線路の特定領域内へ列車が進入したときに、車両の運転士へ列車が線路の特定領域内へ進入したことをより確実に報知し、列車事故の防止をより確かなものとする。
【解決手段】列車軌道が敷設された線路の特定領域の予め定めた地点へ地上の通信装置1を設置して車両の運転士へ向かって可視光3を発光・送出する。車両の運転士はこの可視光を肉眼で観測することにより列車が線路の特定領域へ進入したことの確認を可能とする。同時に可視光3に地上の情報を通信情報として包含して車載の通信装置2へ発光・送出する。車載の通信装置2はこの通信情報を取得・認識したときに、運転士へ音響出力部206又は表示部207により列車が特定領域へ進入したことを報知又は表示することにより警報を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は警報方法及び警報装置に関し、例えば、列車軌道が敷設された線路内の特定領域内で作業者が作業中の領域に列車が接近した場合に作業中の作業者並びに列車の安全を確保することができる警報方法及び警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、列車軌道が敷設された線路内の特定領域内で作業者が作業中の領域に列車が接近した場合には、作業領域前の地上に監視者を置き、監視者が列車が作業中の特定領域内へ接近したときにこれを肉眼で確認し、作業者を退避させ安全であることを車両の運転士に旗を振って報知していた。、これを車両の運転士が肉眼で確認し、徐行して走行・通過等していた。
また、夜間等ではこの旗を振っての報知に代わって、監視者が携帯型のランタン照明(可視光線)を用いて車両の運転士に報知していた。
しかしながら、監視者が列車の接近を肉眼にて監視する方法では、列車の接近を知るのが遅れたり見逃したりする可能性があり、安全性に問題があることや、特に視界のきかない曲がりの箇所等では複数の監視者を配置する必要もあった。
【0003】
かかる問題点に対処するために、作業中の現場より例えば300メートル手前の箇所に列車が接近あるいは進入したことを光電装置、あるいは電磁的な装置などの検出電子装置を設置し、列車が作業中の特定領域内へ進入・接近したことを検出し、検出結果を作業現場へ有線や無線で送り、スピーカ等を用いて、警報を報知するものが提案され、この報知により監視者や作業者は作業現場へ列車が接近していることを警報として知ることができるようにしたものも提案されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の旗を用いて運転者に知らせる方法や、旗に代わって照明を用いて知らせる方法では、車両の運転士はこの旗や照明を肉眼で確認して車両の運行を行うので、見逃す可能性があり、安全性に問題を含んでいた。
【0005】
また、電子装置を用いる方法では、電子装置が一方的に列車の接近を検出し、作業現場へ警報を報知するので、列車が作業中の特定領域内へ進入・接近したことを運転士側で知ることができざず、徐行しないで通過したり、作業者側で見逃したりした場合には重要な結果を招く可能性も排除できなかった。このため、安全性に問題を含んでいた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされた発明であって、本発明の目的は、列車等が作業中の特定領域内へ進入・接近したことを車両の運転士に確実に伝え、また「列車が作業中の特定領域内へ進入・接近したことを車両の運転士が取得・認識している」ということを、作業現場に確実に報知し、作業中の作業者並びに列車の安全の確保をより確実にすることができる警報方法及び警報装置を提供するところにある。
かかる目的を達成する一手段として例えば以下の構成を備える。
【0007】
即ち、列車軌道が敷設された線路の特定領域の予め定めた地点へ設置可能な所定の情報を重畳させた第1の可視光を発光可能な第1の発光通信手段を備える地上通信装置と、前記地上通信装置よりの前記第1の可視光を受信すると共に前記地上通信装置に所定の情報を重畳させた第2の可視光を発光可能な第2の発光通信手段を備える前記線路上を走行する車両に搭載されている車載通信装置とを含む警報装置であって、前記地上通信装置の前記第1の発光通信手段は、車両が特定領域へ進入したことを示す情報、前記車両の運転士へ伝達する必要のある情報を含む情報を前記第1の可視光に重畳させて発光し、前記車載通信装置は、前記第2の発光通信手段が前記第1の発光通信手段が受信した第1の可視光に重畳されている所定の情報を認識して認識結果に応じた音声出力または可視表示出力する第1の警報出力手段を備え、前記車両の運転手が所定領域に進入又は接近したことを前記第1可視光を目視確認可能とすると共に、前記第1の警報出力手段よりの警報出力によっても認識可能とすることを。
【0008】
そして例えば、前記車載通信装置は、前記第2の発光通信手段が前記地上通信装置よりの所定の情報を受信すると、該情報の受信・認識を報知する情報を前記第2の発光通信手段よりの第2の発光可視光に重畳させる応答情報重畳手段とを備え、前記第2の可視光に前記応答情報重畳手段が重畳した応答情報を重畳して発光し、前記地上通信装置は、前記第1の発光通信手段が受信した第2の可視光に重畳されている応答情報を認識して認識結果に応じた音声出力または可視表示出力する第2の警報出力手段を備え、地上の監視者又は作業者は、前記車載通信装置よりの第2の可視光を目視確認することにより前記列車の接近、進入を認識可能とすると共に、第1の音響出力手段と第1の表示手段よりの音声出力又は可視表示により前記列車の接近、進入を認識可能とすることを特徴とする。
【0009】
または、列車軌道が敷設された線路の特定領域の予め定めた地点へ設置可能で所定の情報を重畳させた第1の可視光を発光可能な第1の発光通信手段を備える地上通信装置と、前記地上通信装置よりの前記第1の可視光を受信すると共に前記地上通信装置に所定の情報を重畳させた第2の可視光を発光可能な第2の発光通信手段を備える前記線路上を走行する車両に搭載されている車載通信装置とを含む警報装置であって、前記地上通信装置は、情報の通信結果を音響出力可能な第1の音響出力手段と、情報の通信結果を可視表示可能な第1の表示手段とを備え、前記第1の発光通信手段は、列車軌道が敷設された線路の特定領域へ車両が進入したことを車両側に知らせる情報を前記第1の可視光に重畳させて発光可能とし、前記車載通信装置は、情報の通信結果を音響出力可能な第2の音響出力手段と、情報の通信結果を可視表示可能な第2の表示手段とを備え、前記第2の発光通信手段が前記第1の発光通信手段が発光した第1の可視光に重畳されている情報を受信すると、前記第2の音響出力手段、前記第2の表示手段から車両が線路の特定領域へ進入したことを報知する音響出力または可視表示を行い、車両の運転手が所定領域に進入又は接近したことを前記第1可視光により目視確認可能とすると共に、前記第2の警報出力手段、第2の表示手段よりの警報出力によっても認識可能とすることを特徴とする。
【0010】
そして例えば、前記車載通信装置の前記第2の発光通信手段は、前記地上通信装置よりの重畳情報を受信すると前記第2の可視光に該情報の受信を地上に報知する情報を重畳して発光し、前記地上通信装置の前記第1の発光通信手段は、前記第2の可視光に重畳されている受信を報知する情報を受信すると、該情報の取得・認識を前記第1の音響出力手段、第1の表示手段より音響出力または可視表示出力し、地上の監視者又は作業者は前記第2の可視光を肉眼にて観測することにより、前記車両が線路の特定領域へ進入した情報を確認可能とするとともに、前記第1の音響出力手段、第1の表示手段よりの音響出力または可視表示出力でも車両が特定領域へ進入したことを確認可能とすることを特徴とする。
【0011】
また例えば、前記地上通信装置の第1の発光通信手段は、前記第1の可視光に少なくとも作業番号、車両の停止、最徐行、徐行等の運行情報を含む情報を重畳して発光可能であり、車両搭載装置の第2の発光通信手段は、受信した作業番号、列車の停止、最徐行、徐行等の運行情報を前記第2の表示手段、第2の音響出力手段より出力して車両の運転士への報知を可能とすると共に、自装置の搭載されている列車番号、運行時間、上下線の走行状態の情報を前記第2の可視光に重畳して発光可能であり、前記地上通信装置は前記第1の発光通信手段で受信した列車番号、運行時間、上下線の区別等の情報を前記第1の表示手段又は第1の音響出力手段より出力し、地上の監視者又は作業者へ報知可能とすることを特徴とする。
【0012】
更に例えば、前記車載通信装置は、前記地上通信装置より受信した重畳情報に対応した車両の運行を制御する車両制御手段と備え、前記地上通信装置より受信した重畳情報に対応して搭載された車両の停止、最徐行、徐行等の列車運行制御を自動実行可能とすることを特徴とする。
【0013】
また例えば、前記車載通信装置の前記第2の発光通信手段は、前記地上通信装置からの可視光を検出したときに、可視光を消灯状態から点灯状態にするか、又は点灯した状態から肉眼で判断できる周期での点滅する状態に制御する発光制御手段を備えることを特徴とする。
【0014】
更に例えば、前記地上通信装置が備える第1の発光通信手段及び前記車載通信装置が備える第2の発光通信手段は、それぞれ複数の色で発光するカラー光源を備え、重畳する情報に応じて発光する可視光を単色又は混合色又は発光の強弱を選択的に発光制御可能であることを特徴とする。
【0015】
また例えば、前記地上通信装置又は前記車載通信装置は、車両の運行指示に用いる携帯型のランタン型形状に準じた形状とすることを特徴とする。
【0016】
更に例えば、前記地上通信装置と前記車載通信装置は、動作電源を供給する電源部と、各種制御を行う制御部と、可視表示を行う表示手段を構成する表示部と、音響出力手段を構成する音響出力部と、少なくとも第1又は第2の発光通信手段の情報重畳制御と通信制御を構成する通信制御部と、少なくとも第1又は第2の発光通信手段の可視光を発光する発光部と、少なくとも第1又は第2の発光通信手段の他の手段からの可視光を受光する受光部とを備え、各部分を分離可能であることを特徴とする。
【0017】
また例えば、地上の見通しのきかないカーブや山陰等の地点では前記地上通信装置の前記第1の発光通信手段を1又は複数設置し、作業現場に前記第1の表示手段又は第1の音響出力手段を設置し、前記各発光通信手段と前記第1の表示手段又は第1の音響出力手段間は通信媒体を介して接続し、車両が作業を行う特定領域へ接近又は進入したことを前記作業現場に設置した前記第1の表示手段又は前記第1の音響出力手段から監視者又は作業者へ警報として報知可能とすることを特徴とする。
【0018】
更に例えば、前記通信媒体は、公衆電話回線網、又は鉄道線路に沿った既設の有線の電話回線、又は臨時の仮回線、又は敷設する移動可能な回線、又は無線回線、又はインターネット回線、又は光回線、又は通常の携帯電話回線、又は作業現場用の携帯通信回線等の何れかの通信回線であることを特徴とする。
【0019】
また例えば、前記発光通信手段の可視光の発光光源はLEDであることを特徴とする。あるいは、前記地上通信装置の第1の発光通信手段又は前記車載通信装置の第2の発光通信手段には、人間が肉眼で見ることのできる可視光を出力する素子と、赤外線又は紫外線又はレーザー光線を出力する素子からなる複合光源を用い、対応する前記第1の発光通信手段及び第2の発光通信手段では、前記可視光を受信する素子と、前記赤外線又は前記紫外線又は前記レーザー光線を受光する素子の何れかの素子との複数の素子からなる複合の受光素子、又は1つの素子で複数の種類の光を受光できる受光素子を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、列車等が作業中の特定領域内へ進入・接近したことを車両の運転士に確実に伝え、また「列車が作業中の特定領域内へ進入・接近したことを車両の運転士が取得・認識している」ということを、作業現場に確実に報知し、作業中の作業者並びに列車の安全の確保をより確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る一発明の実施の形態例の警報装置の概略ブロック図である。
【図2】図1に示す地上の通信装置の詳細構成図である。
【図3】図1に示す車載の通信装置の構成図である。
【0022】
【図4】制御例1の地上の通信装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【0023】
【図5】制御例1の車載の通信装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【0024】
【図6】制御例2の地上の通信装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【0025】
【図7】制御例2の車載の通信装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【0026】
【図8】本発明に係る第2の実施の形態例のシステムの構築例を示す図である。
【0027】
【図9】第2の実施の形態例の情報通信プロトコルを示す図である。
【0028】
【図10】第2の実施の形態例の4PPM信号波形を説明するための図である。
【0029】
【図11】第2の実施の形態例の通信装置の具体的構成例を示す図である。
【0030】
【図12】第2の実施の形態例で使用する通信プロトコルを説明するための図である。
【0031】
【図13】第2の実施の形態例で使用する通信フレームの構造を説明するための図である。
【0032】
【図14】第2の実施の形態例で使用するフレーム・タイプを説明するための図である。
【0033】
【図15】第2の実施の形態例で使用する通信フレームのID部の構造を示す図である。
【図16】第2の実施の形態例で使用する通信フレームのメッセージ・フォーマットを示す図である。
【0034】
【図17】第2の実施の形態例で使用する通信フレームのM−TYPEを示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 地上の通信装置
2 車載の通信装置
3、3−1、3−2、3−3 地上の通信装置から発光・送出される可視光
4 車載の通信装置から発光・送出される可視光
101 地上の通信装置の制御部
102 地上の通信装置の通信制御部
103 地上の通信装置の発光部
104 地上の通信装置の受光部
105 地上の通信装置の電源部
106 地上の通信装置の音響出力部
107 地上の通信装置の表示部
201 車載の通信装置の制御部
202 車載の通信装置の通信制御部
203 車載の通信装置の発光部
204 車載の通信装置受光部
205 車載の通信装置電源部
206 車載の通信装置の音響出力部
207 車載の通信装置の表示部
208 車載の通信装置の自動制動制御部
1−1、1−2、1−3 通信装置本体
300 作業現場警報装置
400 通信回線
500 中央管制装置
103−1 発光部のLED駆動回路
103−2 LED
204−1 受光部の光信号受信回路
204−2 フォトダイオード
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る一発明の実施の形態例を図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態例の概略構成を以下に示す。
地上からの可視光を用いて車両の運転士に列車が作業中の特定領域内へ進入したことをより確実に伝えるための警報方法であって、地上の第1の発光手段を備える第1の通信手段は、列車軌道が敷設された線路の特定領域内において作業者が作業中であることを接近する列車に知らせるために、第1の発光手段から第1の可視光を接近する列車に向けて発光・送出し、接近する車両の運転士がこの第1の可視光を肉眼にて確認することにより列車が作業中の特定領域内へ進入したことの確認を可能とするとともに、この第1の通信手段は作業者が特定領域内で作業中であることを示す第1の情報を含む情報を第1の通信情報として、第1の発光手段より第1の可視光に包含して列車へ向けて発光・送出し、接近する列車に車載する第2の受光手段を備える第2の通信手段は、第2の受光手段により第1の可視光を受光し包含されている第1の通信情報から第1の情報を取得・認識したときに車両の運転士へ第2の表示手段又は第2の音響出力手段を介して列車が作業中の特定領域内へ進入したことを報知するところに特徴を有する警報方法である。
【0037】
また、第2の形態による警報方法は、地上から発光・送出される列車が作業中の特定領域内へ進入したことを車両の運転士に知らせる情報を列車が取得・認識したということを、地上の監視者又は作業者へ確実に伝えるためのものであって、接近する列車は第2の通信手段に第2の発光手段を備え、第2の通信手段は第1の情報を取得・認識したときに列車が第1の情報を取得・認識したことを地上の監視者又は作業者へ知らせる第2の可視光を第2の発光手段によりに地上に向けて発光・送出し、地上の監視者又は作業者は第2の可視光を肉眼にて確認することにより接近する列車が作業中の特定領域内へ進入したことを取得・認識したことの確認を可能とするとともに、第2の通信手段は第1の情報を取得・認識した時に第1の情報の取得・認識を示す第2の情報を含めた情報を第2の通信情報として第2の可視光に包含して第2の発光手段から第1の通信手段が備える第1の受光手段に向けて発光・送出し、第1の通信手段は第1の受光手段により第2の可視光を受光し包含されている第2の通信情報から第2の情報を取得・認識したときに地上の監視者又は作業者へ第1の表示手段又は第1の音響出力手段を介して列車が作業中の特定領域内へ進入したことを報知するところに特徴を有する警報方法である。
【0038】
第3の様態による警報装置は、地上からの可視光を用いて車両の運転士に列車が作業中の特定領域内へ進入したことをより確実に伝えるための警報装置であって、地上に設置する第1の通信装置は第1の発光部を備え、第1の通信装置は第1の発光部から列車軌道が敷設された線路の特定領域内において作業者が作業中であることを接近する列車に知らせる第1の可視光を地上から接近する列車に向けて発光・送出し、接近する車両の運転士が第1の可視光を肉眼にて確認することにより列車が作業中の特定領域内へ進入・接近したことの確認を可能とするとともに、第1の通信装置は作業者が特定領域内で作業中であることを示す第1の情報を含む情報を第1の通信情報として第1の発光部より第1の可視光に包含して列車へ発光・送出し、接近する列車に車載する第2の受光部を備える第2の通信装置は、第2の受光部により第1の可視光を受光し包含されている第1の通信情報から第1の情報を取得・認識したときに車両の運転士へ第2の通信装置が備える第2の表示部又は第2の音響出力部を介して列車が作業中の特定領域内へ進入したことを報知するところに特徴を有する警報装置である。
【0039】
さらに第4の様態による警報装置は、地上から発光・送出される列車が作業中の特定領域内へ進入したことを車両の運転士に知らせる情報を列車が取得・認識したということを、地上の監視者又は作業者へ確実に伝えるためのものであって、接近する列車は第2の通信装置に第2の発光部を備え、第2の通信装置は第1の情報を取得・認識したときに列車が第1の情報を取得・認識したことを地上の監視者又は作業者へ知らせる第2の可視光を第2の発光部によりに地上に向けて発光・送出し、地上の監視者又は作業者は第2の可視光を肉眼にて確認することにより接近する列車が作業中の特定領域内へ進入したことを取得・認識したことの確認を可能とするとともに、第2の通信装置は第1の情報を取得・認識した時に第1の情報の取得・認識を示す第2の情報を含めた情報を第2の通信情報として第2の可視光に包含して第2の発光部から第1の通信装置が備える第1の受光部に向けて発光・送出し、第1の通信装置は第1の受光部により第2の可視光を受光し包含されている第2の通信情報から第2の情報を取得・認識したときに地上の監視者又は作業者へ第1の通信装置が備える第1の表示部又は第1の音響出力部を介して列車が作業中の特定領域内へ進入したことを報知するところに特徴を有する警報装置である。
【0040】
また第5の様態による警報装置は、地上の第1の通信装置から車載の第2の通信装置へ送る通信情報、並びに車載の第2の通信装置から地上の第1の通信装置へ送る通信情報に含める情報に関するものであって、第1の通信装置は第1の通信情報に作業番号、列車の停止、最徐行、徐行等の情報を含めて第2の通信装置へ送信し、第2の通信装置は受信した第1の通信情報に含まれる作業番号、列車の停止、最徐行、徐行等の情報を第2の表示部又は第2の音響出力部を介して車両の運転士へ報知し、第2の通信装置は前記第2の通信情報に列車番号、運行時間、上下線の区別等の情報を含めて第1の通信装置へ送信し、第1の通信装置は受信した第2の通信情報に含まれる列車番号、運行時間、上下線の区別等の情報を第1の表示部又は第1の音響出力部を介して地上の監視者又は作業者へ報知するところに特徴を有する警報装置である。
【0041】
第6の様態によれば、第2の通信装置は、受信した第1の通信情報に基づいて運転士へ警報を報知するとともに、列車に備わる機能(自動運転や自動制動の機能)と連携して、第1の通信情報に基づく作業番号、列車の停止、最徐行、徐行等の情報に従い列車の停止、最徐行、徐行等の列車運行の制御を自動で行う機能を備えるところに特長を有する警報装置である。
【0042】
第7の様態による警報装置は、第1の通信装置又は第2の通信装置から発光・送出する可視光を、肉眼で気が付き易くすることを目的とするものであって、第2の通信装置は第1の通信装置からの情報を受信したときに、地上に向けて発光・送出する可視光を消灯状態から点灯状態にするか、又は点灯した状態から肉眼で判断できる周期での点滅する状態にし、第1の通信装置は第2の通信装置からの応答の情報を受信したときに、列車に向けて発光・送出する可視光を点灯状態から点滅状態にするところに特長を有する警報装置である。
【0043】
第8の様態による警報装置は、地上の第1の通信装置に備える第1の発光部又は、車載の第2の通信装置が備える第2の発光部に関し、これらの発光部に複数の色の光源を備え、発光する可視光を単色又は混合色又は発光の強弱を選択的に発光・送出するよう制御し、この発光・送出する可視光の変化により車両の運転士又は地上の監視者又は作業者へ肉眼で判断できる情報として出力するところに特長を有する警報装置である。
【0044】
第9の様態による警報装置は、地上の通信装置又は車載の通信装置の形状に関し、第1の通信装置又は第2の通信装置を、車両の運行指示に用いる携帯型のランタン型形状に準じた形状に組み込むところに特長を有する警報装置である。
【0045】
第10の様態による警報装置は、地上の第1の通信装置又は車載の第2通信装置の、電源部、制御部、表示部、音響出力部、通信制御部、発光部、受光部等の何れかの部分を、分離可能であるように構成するところに特長を有する警報装置である。
【0046】
第11の様態による警報装置は、地上の第1の通信装置の通信装置本体を、地上の見通しのきかないカーブや山陰等の地点に1台又は複数台設置し、又は地上の第1の通信装置と車載の第2の通信装置との通信を行う必要のある箇所に地上の第1の通信装置の通信装置本体を1台又は複数台設置し、作業現場に第1の表示部又は第1の音響出力部を設置し、通信装置本体と第1の表示部又は第1の音響出力部又は中央管制装置を、電話回線、又は鉄道線路に沿った既設の有線の電話回線、又は臨時の仮回線、又は敷設する移動可能な回線、又は無線回線、又はインターネット回線、又は光回線、又は通常の携帯電話回線、又は作業現場用の携帯通信回線の何れかの通信回線を用いて接続し、通信装置本体と第2の通信装置との通信の結果、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを通信装置本体が確認したときに、通信装置本体は通信回線を介して作業現場に設置した第1の表示部又は第1の音響出力部又は中央管制装置へ情報を送信し、第1の表示部又は第1の音響出力部を介して監視者又は作業者へ警報として報知し、又は中央管制装置による所定の処理を可能とするところに特長を有する警報装置である。
【0047】
第12の様態による警報装置は、地上の第1の通信装置の第1の発光部又は車載の第2の通信装置の第2の発光部の可視光の光源に使用する素子としてLEDを使用するところに特長を有する警報装置である。
【0048】
第13の様態による警報装置は、地上の第1の通信装置の第1の発光部又は車載の第2の通信装置の第2の発光部には、監視者又は作業者又は車両の運転士が肉眼で見ることのできる可視光を出力する素子と、赤外線又は紫外線又はレーザー光線を出力する素子からなる複合の発光素子からなる光源を用い、対応する第2の受光部又は第1の受光部は、可視光を受信する素子と、赤外線又は紫外線又はレーザー光線を受光する素子の何れかの素子との複数の素子からなる複合の受光素子、又は1つの素子で複数の種類の光を受光できる受光素子を用いるところに特長を有する警報装置である。
【0049】
以上の本実施の形態例の好適な実施例を以下に説明する。
【0050】
図1は、本発明に係る一発明の実施の形態例の警報装置の概略ブロック図である。本実施の形態例の警報装置システムは、作業領域の所定距離手前の地上部分に設置する通信装置1と列車に車載する通信装置2からなる。地上の通信装置1からは可視光3を列車(実際には車載の通信装置2)に向かって発光・送出し、車載の通信装置2からは地上の通信装置1に向かって可視光4を発光・送信する構成になっている。
(地上の通信装置)
図2は、地上の通信装置1の詳細構成を示すブロック図である。図2において、制御部101は、地上の通信装置1の全体動作を司る。図2において、電源スイッチや動作開始、動作終了、リセットなどを指示するスイッチや文字入力用のフルキーボード等、操作入力部を省略して描いてある。なお、操作入力部は表示部と共存してもよいし、タッチパネル化することも可能である。
【0051】
通信装置1では、制御部101の制御の下に通信制御部102が通信手順や後述する可視光通信における規格に準じた可視光出力の制御等を行い、発光部103を制御して列車(実際には車載の通信装置2)への可視光3の発光・送出の通信出力の制御を行う。
【0052】
ここで、地上の通信装置1は、発光部103から車両の運転士が肉眼で確認出来る可視光線3を出力する。しかし以上の例に限定されるものではなく,、この可視光線3は、運転士が肉眼で確認し易い色(例えば赤色)で、さらに肉眼で発見し易いような周期で点滅することを伴っても良い。
【0053】
また、通信装置1は、可視光3に包含(重畳)して、「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を通信情報として出力し、後述の車載の通信装置2がこの通信情報を受信することで、通信装置2がこれを取得・認識し、車両の運転士へ表示や音声で報知する。この様に制御することにより、車両の運転士が地上の通信装置1からの可視光を肉眼で見逃す可能性をより低く保つことができ、安全性を高めることができる。
【0054】
通信装置1から発光・送出する可視光3に包含する情報として、作業番号、列車の停止、最徐行、徐行等の情報を含めることができる。これらの情報を通信装置2へ送信することにより、通信装置2はこの情報を受信し、後述する所定の処理等が可能となる。
【0055】
通信装置1は、受光部104を介して後述するように列車から発光・送出される可視光4を受光し、可視光4に包含(重畳)されている通信情報を受け取り、車載の通信装置2が、地上の通信装置1から送られた「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を受信し、その応答として、車載の通信装置2から「前記情報を取得・認識したことを示す情報」が送られてきたことを確認した時に、通信装置1は音響出力部106の音響出力(音声含む)により監視者又は作業者に列車が作業中の特定領域内へ進入したことを警報により報知する。
【0056】
警報を報知する音声は言葉であっても警報を知らせるベルやサイレンや音楽等であっても、これらを複合しても良い。同時に、表示部107から表示により監視者又は作業者へ列車が作業中の特定領域内へ進入したことの警報を報知する表示出力を行う。
【0057】
表示部107には現在時間の表示や予め登録している次に通過する列車の予定表の表示や、必要により通信装置1の操作等を表示することができる。更に後述するように、通信装置1が保持する情報と、車載の通信装置2から送られてくる情報との突合せや、比較や、通過予定時間との差などを表示出力することができる。
【0058】
なお、表示部107は、代表して1つを書き表してある。表示部107には、液晶表示やプラズマ表示による文字や表や図や写真や絵の出力だけでなく、パトライト等人(監視者や作業者)が気付きやすい表示装置による出力を含むものであっても良い。
【0059】
図2には不図示であるが、通信装置1は手動の警報ボタン又は報知ボタンを設け(画面上のタッチパネルであってもよい)、列車が作業中の特定領域内へ進入したときに、受光部104が動作しなくても(後述の通信装置2の発光部203から発光・送出される可視光4が出力されない場合も同様)、地上の監視者又は作業者により、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを確認したときに、報知ボタンを押すことにより、警報を発して報知することができるように構成されている。
【0060】
また、後述の車載の通信装置2から地上の通信装置1へ送られる通信情報に列車の認識番号(列車番号)、運行時間、上下線の区別、列車の種類などの情報を含めておくことにより、列車番号、運行時間、上下線の区別や種類などを表示部107による表示や、音響出力部106を介して地上の監視者又は作業者へ報知することにより、地上の監視者又は作業者は、通過列車(列車番号等)の確認や通過時間の確認を行える。
【0061】
更に、通信装置1に情報として予め通過する列車の番号(列車番号)や、予定の通過時刻を蓄えておき、通過の予測や通過結果と突合せて比較し、通過済みの確認を行うことができ、通過予定の列車が通過したか否か確認でき、通過予定の列車の遅れに対応することの可能となる。電源部105は、地上の通信装置の電源であって、商用電源からとっても、電池を用いても、太陽電池等を用いても良い。
【0062】
なお、制御部101、通信制御部102、発光部103、受光部104で発光通信手段を構成している。これは車載の通信装置2であっても同様である。
(車載の通信装置)
図3は、本実施の形態例の車載の通信装置2の詳細構成を示した図である。図3において、制御部201は、車載の通信装置2の全体制御を司る。図3では、電源スイッチや動作開始、動作終了、リセットなどの指示スイッチや文字入力用のフルキーボード等の操作入力部を省略して描いてある。なお、操作入力部は表示部と共存してもよいし、タッチパネル化することも可能である。
【0063】
車載の通信装置2では、制御部201の制御の下に通信制御部202が通信手順や後述する可視光通信における規格に準じた可視光出力の制御等を行い、発光部203を制御して地上へ可視光4の発光・送出の通信出力の制御を行う。
【0064】
ここで、車載の通信装置2は、発光部203から地上の監視者又は作業者が肉眼で確認出来る可視光線4を出力するが、この可視光線4は、地上の監視者又は作業者が肉眼で確認し易い色(例えば赤色)で、さらに肉眼で発見し易いように点滅を伴っても良い。
【0065】
また車載の通信装置2は、地上の通信装置1から可視光3に包含(重畳)して送られてくる通信情報から「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を取得・認識したときに、「地上の通信装置1からの情報を取得・確認した」という応答として可視光4の発光・送出を開始することで地上の監視者又は作業者が肉眼でこの可視光4を確認することが可能である。また車載の通信装置2は、受信した通信装置1から送られた情報から、含まれる作業番号、列車の停止、最徐行、徐行等の情報を表示部207又は音響出力部206を介して車両の運転士へ警報として報知することが可能である。車両の運転士は、受信した情報に従って、車両の運行を制御することが可能となる。
【0066】
通信装置2の自動制動制御部208と列車に備える自動制御部の機能(自動運転や自動制動等の機能)とを連携することにより、通信装置1より受信した情報に従って、列車の停止、最徐行、徐行等の自動制御処理も可能となる。この制動は、運転手により解除を行い、状況により車両の運転士の判断で、徐行で列車を運行することもできる。
【0067】
なお、応答の可視光4は、上述のように応答の時に点灯することもできるが、当初から点灯しておき、「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を取得・認識したときに肉眼で確認の可能な時間間隔で点滅を開始ことにより、列車が作業中の特定領域内へ進入したことの確認が出来ていることを地上の監視者又は作業者へ報知することも可能である。
【0068】
通信装置2は、通信装置1からの「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を取得・認識したときに、車両の運転士へ音響出力部206から、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを知らせる音声の警報を音響出力(音響出力は、音声による警報の言葉であっても警報を知らせるベルやサイレンや音楽等であっても良い)により報知する。
【0069】
さらに表示部207により列車が作業中の特定領域内へ進入したことを文字や絵や写真や表で表示する(現在時間の表示や、受光部204を介して受信した情報より得た作業現場の作業認識番号などを表示しても良い)ことにより、車両の運転士が地上の通信装置1からの可視光3を見逃す可能性をより低く保つことができる。すなわち列車の安全性を高めることができる。
【0070】
更に地上の通信装置1からの情報に、最徐行や停止の情報が列車即ち通信装置2へ送られてきた時に、これらの区別を車両の運転士ができる報知を行うことも可能である。
【0071】
車載の通信装置2は、前述のように受光部204を介して地上の通信装置1の発光部103から発光・送出される可視光3を受光し、可視光3に包含(重畳)されている通信情報から「列車が作業中の特定領域へ進入したことを示す情報」を通信情報として受信し取得・認識したときに、制御部201の下に通信制御部202により発光部203から発光・送出する可視光4に包含(重畳)して、車載の通信装置2が地上の通信装置1から送られた「列車が作業中の特定領域へ進入したことを示す情報」を「取得・認識したことを示す情報」(「列車が作業中の特定領域へ進入したことを示す情報を取得・認識したことを示す情報」)を通信情報(応答情報)として出力する。
【0072】
地上の通信装置1は前述のように、これの情報を取得・認識することにより、可視光4に包含(重畳)する通信情報から「列車が作業中の特定領域へ進入したことを示す情報を取得・認識したことを示す情報」を取得・認識し、車載の通信装置2が作業中の特定領域へ進入したことを取得・認識していることを、表示部107による表示や音響出力部106による音声で報知することにより、地上の監視者又は作業者が通信装置2からの可視光を見逃す可能性をより低く保つことができ、安全性を高めることができる。
【0073】
車載の通信装置2は、予め進入・通過する作業現場の番号や通過予定時刻を蓄えておくことにより、進入・通過の予測時間、現場と、地上の通信装置1から受信した情報と突合せて比較確認することが可能であり、これらを自動化することも可能である。
【0074】
車載の通信装置2は、GPSと連動することにより、登録されている予定の作業現場に近づいたことを、表示部207に表示することもでき、また音響出力部206により音声として運転士に報知することができる。電源部205は車載の通信装置1の電源であって、列車に供給されている電源からとっても、電池を用いても、太陽電池等を用いても良い。
【0075】
以下、以上の構成を備える本実施の形態例の通信制御を説明する。
(制御例1)
地上の通信装置1の通信制御を図4のフローチャートを参照して、車載の通信装置2の通信制御を図5のフローチャートを参照して以下に説明する。本実施の形態例では、
1)地上の通信装置1から車載の通信装置2へ、車両の運転士が肉眼で確認できるように、列車が作業中の特定領域へ進入したことを示す可視光3を送り、
2)同時に、可視光3に「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を通信情報(作業中情報)として包含(重畳)して出力し、
3)車両の運転士が肉眼でこの可視光3を確認することを可能とするとともに、
4)車載の通信装置2は、可視光3に包含して送られてくる作業中情報から、車両の運転士に列車が作業中の特定領域内へ進入したことを音響出力部206や、表示部207の警報により報知することで、車両の運転士が地上の通信装置1からの可視光3を見逃す可能性をより低く保つことができ、作業中の現場並びに列車の安全性を高めることができる。
【0076】
以下、制御例1の制御処理を図4及び図5のフローチャートを参照して以下に説明する。図4、図5は、地上の通信装置1から車載の通信装置2へ、列車が作業中の特定領域へ進入したことを示す可視光を、送る時の制御処理を示している。ここで、地上の通信装置1は、列車の来る方向に向けて可視光を発光・送出できる位置に設置されているものとする。
【0077】
地上の通信装置1の制御処理:
地上の通信装置1は、図4のステップS40で動作の開始をすると、ステップS41で所定の初期設定を行う。続いてステップS42で、列車が作業中の特定領域へ進入したことを示す可視光3の発光・送出(列車の運転手が肉眼で確認できる可視光での発光)を行う。そしてステップS43で(図2では不図示の)作業が終了し、終了入力がなされたか、あるいは相手装置との通信路が確立され、通信接続が行われたか否かを判断し、終了入力がなされず、接続もされたいない場合にはステップS42に戻り、列車が作業中の特定領域へ進入したことを示す可視光3の発光・送出を続ける。
【0078】
一方、ステップS43で終了入力がなされたとき、あるいは接続がなされた場合にはステップS44へ進み、所定の終了処理を行いステップS45で動作を終了する。
【0079】
地上の通信装置1の制御処理では、上記のステップS42で、可視光3に「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」(作業中情報)を通信情報として包含(重畳)として出力する。
【0080】
車載の通信装置2の制御処理:
図5において、車載の通信装置2は、ステップS50で動作の開始をすると、続くステップS51で所定の初期設定を行う。そして次のステップS52で、通信装置1からの可視光を受信し、重畳されている情報(作業中情報等)を受信したか否かを判別する。受信していない場合(未受信)にはステップS52に戻り、受信を行うまで待ち続ける。
【0081】
一方、ステップS52で地上の通信装置1からの可視光を検出し、作業中情報などを受信した場合(通信装置2が通信装置1からの可視光3を受信するときには、車両の運転士はこの可視光3を肉眼で確認可能な状態でもある。)は、次のステップS52よりステップS53へ進み、運転士への受信した重畳情報を解析・認識し、認識結果に対応する警報出力を音響出力部206からの音声または音響出力と、表示部207の表示を行い、運転士に作業が行われていく区域の近くに接近していることを警報により報知する。従って列車(車両)の運転士は、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す可視光を見逃した場合ても、当該領域への進入を誤認する可能性をより低く保つことがことができ、より車両運行の安全性を高めることができる。
【0082】
続くステップS54では、警報の出力を停止するか、あるいは継続するかを判断し、停止しない場合(継続)はステップS53に戻り、警報出力を継続する(繰り返す。)。
【0083】
ステップS54で警報の出力を停止した場合(例えば、運転士による手動操作で停止が指示された場合)には、ステップS55へ進み、警報出力の停止処理を行い、ステップS56に進む。ステップS56では、車載の通信装置2と地上の通信装置1との通信を継続するか否かを調べる。継続する場合はステップS52に進み、以下同様のことを繰り返す。一方、ステップS56で処理を終了する場合は、ステップS57へ進み、終了の処理を行い、S58で処理を終了する。
【0084】
なお、ステップS54において、停止ボタンなどにより終了入力がなされたときにはステップS55で警報出力を停止した後直ちにステップS57へ進み、終了処理を行い、ステップS58で終了する。
(制御例2)
本発明は以上の制御例に限定されるものではなく、他の構成であってもよい、以上の制御例と異なる第2の制御例を以下に説明する。制御例2においても、基本的な警報装置システムの構成例は上述した図1乃至図3に示す構成と同様である。地上の通信装置1の制御を図6のフローチャートに、車載の通信装置2の制御を図7のフローチャートに示す。制御例2の動作を整理すると以下の通りである。
1)地上の通信装置1から車載の通信装置2へ、車両の運転士が肉眼で確認できるように、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す可視光3を送り、
2)同時に、可視光3に「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を通信情報(作業中情報)として包含(重畳)して出力し、
3)車両の運転士が肉眼でこの可視光3を確認することを可能とするとともに、
4)車載の通信装置2は、可視光3に包含して送られてくる作業中情報から、車両の運転士に列車が作業中の特定領域内へ進入したことを音響出力部206や、表示部207の警報により報知することで、車両の運転士が地上の通信装置1からの可視光3を見逃す可能性をより低く保つことができ、作業中の現場並びに列車の安全性を高めることができる。
5)更に、車載の通信装置2は、通信装置1から送られてくる作業中情報を取得・認識したことの応答として、地上の監視者又は作業者が肉眼で確認できる、可視光4を地上へ送り
6)同時に、可視光4に「車載の通信装置2が作業中情報を取得・認識したこと示す情報」(認識情報)を通信情報として包含(重畳)して出力し、
7)地上の監視者又は作業者が肉眼でこの可視光4を確認することを可能とするとともに、
8)通信装置1は、可視光4に包含して送られてくる認識情報から、通信装置2が作業中情報を取得・認識したことを音響出力部106や、表示部107による警報として報知する。この報知により、地上の監視者又は作業者は、車載の通信装置2が地上の通信装置1からの可視光3を取得・認識し、車両の運転士へ音声や表示で知らせていることが確認でき、作業中の現場並びに列車の安全性を高めることができる。
【0085】
以下、制御例2の制御処理を図6、図7のフローチャートに沿って説明する。制御例2では、地上の通信装置1から車載の通信装置2へ、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す可視光を送り、また車載の通信装置2が運転士への報知処理等を行うと同時に地上の通信装置1へ応答の制御処理を行う。
【0086】
図6、図7において、上述した制御例1の図4,図5の処理と同様処理には同一ステップ番号を附し詳細説明を一部省略する。ここで、地上の通信装置1を、列車の来る方向に向けて可視光を発光・送出できる位置に設置するものとする。
【0087】
制御例2 地上の通信装置1の制御処理:
図6において、地上の通信装置1は、ステップS60で動作の開始をすると、ステップS61で所定の初期設定を行う。次のステップS62で、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す可視光3(列車の運転手が肉眼で確認できる)の発光・送出を行う。通信装置1は、可視光3の発光時に「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」(作業中情報)を通信情報として包含(重畳)させて発光出力する。
【0088】
次のステップS63では、ステップS62で送られた可視光3に含まれる通信情報の「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」(作業中情報)を、後述するように、車載の通信装置2が取得・認識し、運転士へ音響出力部206や表示部207で警報の報知を行い、同時に取得・認識を示す応答の情報を、地上の通信装置1へ送ってきたかを確認する処理である。まだ受信してない場合にはステップS67へ進み、受信した場合はステップS64へ進む。
【0089】
ステップS64では、車両よりの情報が受信できたことになり、車両の進入が確認されたことになるため、作業者へ音響出力部106や表示部107よりの警報の報知を行う。
【0090】
そしてステップS65で警報出力を停止して良いか否かを判断し、提示条件が満たされていない場合にはステップS64に戻り警報出力を続ける。列車からの応答があった後、列車が通過したことを検出した時点(例えば光インタプリタによる検出や、列車からの通信の応答が無くなった後所定時間経過した後等、何らかの検知方法で列車の通過を検出した時点)や、或いは(図2では省略してあるが)警報出力の停止ボタンを押す等により、警報出力の停止が指示入力された場合など、警報出力を停止して良い状態が認識できたときにはステップS65よりステップS66に進み、警報出力の停止処理を行い、警報出力の停止処理を行う。なお、停止ボタンなどにより終了入力がなされたときにはステップS66より直ちにステップS68へ進む。
【0091】
その後ステップS67において、車両進入を知らせる警報システムを継続使用するか否かを調べる。作業が終了した場合、不図示の停止ボタン等が入力される等終了入力がなされたときには、ステップS68へ進み、終了処理を行い、ステップS69で動作を終了する。なお、ステップS67で継続が選択されていた場合には、ステップS62の実行へ移る。
【0092】
制御例2 車載の通信装置2の制御処理:
図7において、車載の通信装置2は、ステップS70で動作を開始すると、ステップS71で所定の初期設定を行う。次にステップS72で、地上の通信装置1から、列車に向けて「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す可視光3」を列車の運転手が肉眼で確認できる可視光として発光・送出されるため、この通信装置1からの可視光の出力に包含(重畳)される「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」(作業中情報)を通信情報として受信したか否かを判別し、受信していない場合(未受信)は、受信を行うまで待ち続ける。
【0093】
ステップS72で作業中情報を通信装置1が受信した場合は、次のステップS73へ進み、運転士へ音響出力部206からの音声等の音響出力や表示部207の表示による警報で報知する。従って車両の運転士は、列車が作業中の特定領域内へ進入したこと示す可視光を見逃した場合であっても、警報出力で認識することができ、安全性を高めることができる。
【0094】
一方、次のステップS74では、車載の通信装置2が、通信装置1からの「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」(作業中情報)を取得・認識したことを示す可視光4の発光・送出(地上の監視者又は作業者が肉眼で確認できる)を応答として、地上の監視者又は作業者(並びに通信装置1)へ向かって出力する。この可視光4の発光・送出は、取得・認識の前は点灯しないで、地上の通信装置1への取得・認識の応答として知らせる時に、点灯しても、連続点灯をしておいて、取得・認識を知らせる時に地上の監視者又は作業者が判断できる範囲で、点滅しても良い。
【0095】
ステップS74では更に、通信装置1からの「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」(作業中情報)を取得・認識したことを示す情報(確認情報)を含む通信情報を可視光4に包含(重畳)して出力する。前述の地上の通信装置1の図6のステップS63は、この情報の受信の確認を示している。
【0096】
次のステップS75では、警報の出力を停止しない場合(継続する場合)にはステップS73に進み、同様のことを繰り返す。
警報の出力を(例えば、運転士による手動操作で選択)停止した場合にはステップS76へ進み、警報出力の停止処理を行なってステップS77に進み、車載の通信装置2と地上の通信装置1との通信を継続するか否か調べる。継続する場合はステップS72へ進み、以下同様のことを繰り返す。
【0097】
一方、処理を終了する場合にはステップS78へ進み、終了の処理を行い、ステップS79で処理を終了する。なお、ステップS72やステップS75では省略してあるが、停止ボタンなどにより終了入力がなされたときには続いてステップS78へ進み終了処理を行い、S79で終了処理をする。
(第2の実施の形態例)
以上の説明は、地上の通信装置1及び車載の通信装置2ともそれぞれ全ての構成が一体に構成されている例を説明した。しかし、本発明は以上の例に限定されるものではなく、一部を別構成としても良いことは勿論である。一部構成を別筐体に構成した本発明に係る第2の実施の形態例を以下に説明する。
【0098】
図8は本発明に係る第2の実施の形態例のシステムの地上側の通信装置の構築例を示した図であり、作業現場より離れた箇所(作業現場と列車との間で通信を行う必要のある箇所)で列車の到来を検出する場合や、又は線路の見通しが利かない場所(カーブや山陰等)で列車の到来を検出する必要のある場合等の構築例である。
【0099】
図8に示す例では、中央管制装置が全体を統合して監視や記録をするシステム構成の例を示しているが、中央管制装置と接続せずに、列車の到来を作業現場へ伝えるだけの構築であっても良い。以下、図8に従って説明する。
図8の構成は、地上の通信装置1−1、1−2、1−3(通信装置本体)を所定の間隔(例えば50m毎)に線路に沿って並べ、又はカーブなどの見通しの利かない線路に沿って並べ、作業現場には例えば音響出力部と表示部を備える作業現場警報装置300を設置し、地上の通信装置1−1、1−2、1−3と、作業現場警報装置300とを通信回線400で結ぶ。
【0100】
更に、中央管制装置500を通信回線400と結ぶ構成を示している。ここで、作業現場警報装置300は、通信回線400を介して地上の通信装置(1−1、1−2、1−3)との間で通信を行う機能を備える。地上の通信装置(1−1、1−2、1−3)には、車載の通信装置との間の光通信などを行う機能が備えられている。
【0101】
なお、車載の通信装置は、上述した第1の実施の形態例の通信装置と同様の構成とできる。しかし、車載の通信装置も発光・受光部を車両全面に露出させ、表示部や音響出力部を運転席、あるいは車掌席に配置してもよい。
【0102】
以上の構成を備える第2の実施の形態例の動作制御を以下に説明する。
1)地上の通信装置1−1、1−2、1−3から、到来した車両(作業中の特定領域内へ進入した列車等)に向かって、可視光3−1、3−2、3−3を発光・送出する。
2)車両側では、まず地上の通信装置1−1、1−2、1−3から発光・送出された可視光3−1、3−2、3−3を車両の運転士が肉眼にて目視確認することにより、「列車が作業中の特定領域内へ進入したこと」を確認できる。
3)地上の通信装置1−1、1−2、1−3は、可視光3−1、3−2、3−3に「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を包含(重畳)して発光・送出する。
4)従って、車載の通信装置2は、可視光3−1、3−2、3−3に包含(重畳)されている情報を受信し、「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を「取得・認識」すると、運転士に向けて音響出力部206や表示部207から、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを警報として報知する。
5)更に、車載の通信装置2は、通信装置1−1、1−2、1−3から送られた「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を「取得・認識」したことを、応答の可視光4として地上の監視者又は作業者に向けて発光・送出する。
6)地上の監視者又は作業者は、車載の通信装置2から可視光4を肉眼にて確認することにより、接近する車両の運転士並びに車載の通信装置2が、「列車が作業中の特定領域内へ進入した」ことを取得・認識していることの確認ができる(見通しが利かないカーブ箇所などでは難がある。)。
7)同時に、車載の通信装置2は、地上の通信装置1−1、1−2、1−3の何れかから送られた「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を「取得・認識」したことを示す「情報」を応答の通信情報として、上で説明した可視光4に包含(重畳)して地上の通信装置1−1、1−2、1−3に向けて発光・送出する。
8)地上の通信装置1−1、1−2、1−3は、可視光4に包含(重畳)されている通信情報から、車載の通信装置2が地上の通信装置1−1、1−2、1−3から送られた「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を「取得・認識」した、ということを確認すると、通信回線400を介して、作業現場の警報装置300に列車進入の情報を送信し、作業現場の警報装置300は、備える表示部や音響出力部により、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを監視者又は作業者へ報知する。
9)更に、地上の通信装置1−1、1−2、1−3は、列車より可視光4を介して受信した通信情報から得た中央での管制に必要な情報を中央管制装置500へ送出し、中央管制装置500で所定の処理を行うことが可能となる。
【0103】
次に以上の制御を詳細に説明する。中央管制装置500による所定の処理は、例えば車両が作業現場を定時で通過したことや、遅延して通過したこと等、鉄道線路全般にわたる管理などを行う処理ができる。
【0104】
以下の説明では、中央管制装置500の処理の詳細については省略する。地上の通信装置1−1、1−2、1−3と車載の通信装置2の間の通信により更に次のことが可能となる。
1)作業現場では、作業現場の監視者又は作業者への警報作業現場警報装置300を介して、表示部としてパトライトを含めることでより分り易くすることが可能となる。
2)車両の運転士に対しては、作業現場に作業番号を割当て、地上の通信装置1−1、1−2、1−3から列車に送る情報としては、作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報以外に、作業番号を含めることにより、例えば予め分っている作業番号との突合せが可能となる(自動であっても、人力であってもよい)。また、現場の状況により、列車の停止、最徐行、徐行等の情報を含め、これを運転士へ報知し、運転士がこの情報に従った車両の運行を行うこと、或いは、列車に備わっている自動運行や自動制動との連携を取ることが可能となる。
3)地上の通信装置1−1、1−2、1−3は、列車の到来を、確認したならば、例えば列車から受信した列車番号や、列車の通過の時間等を付して、表示部207や音響出力部206へ警報として報知すると同時に、中央管制装置500へ送信し所定の処理を行うことができる。
【0105】
すなわち中央管制装置500では現在の列車の配置状況を突合せ記録に残すことや、遅れ等の確認を含め、線路上の各種情報を統合して処理すること等が可能となるが、詳細は省略する。
4)中央管制装置500が接続されていない場合でも、作業現場へ警報装置300を設置することにより、地上の通信装置1−1、1−2、1−3が列車到来の情報を取得・確認した時に、通信回線400を介して、作業現場の警報装置300へ情報を送信することができ、警報装置300から列車の到来の警報を音響出力部や表示部により地上の監視者又は作業者へ伝えることが可能となる。
(通信回線)
上記の通信に使用する通信回線400は、各間で通信ができればよく、通常の電話回線網であっても、鉄道線路に沿って施設してある有線の電話回線であっても、別途臨時の仮回線(設置、除去が容易なもの)や移動可能な回線を敷設しても、無線を含めてインターネット回線を利用しても、光回線であっても、通常の携帯電話や、作業現場用の携帯通信装置であってもよい。
(列車通過の自動認識)
作業現場を過ぎた所へ、列車の通過を確認するための地上の通信装置を設置して、通過する列車との通信を行うことにより、列車が通過したことを自動的に確認することが可能である。前述のように、列車への停止指示の情報が出されてなく、列車との交信終了により所定の時間経過後に通過した場合や、列車の通過確認を行う地上の通信装置を後方に設置し、車載の通信装置と通信することにより確認することも可能である。
【0106】
従って、警報の停止も自動的に行うことが可能である。また中央管制装置に接続されている場合、通信装置1により列車の通過の報告も自動的行うことが可能となる。
(上下線の区別)
地上の通信装置は、列車の来る方向に向けて敷設するので、上下線の区別はどの通信装置が列車と通信したかで判断できるので、表示部は勿論のこと、音響出力部で、異なる音声(音の種類や、言葉の発生による区別など)を用いて出力することで、報知の区別をすることができる。また、車載の通信装置からの情報に、上下線の区別の情報を含めておくことにより、授受する情報から判断することもできる。
(通信情報の流れ(通信プロトコル)の例)
図9は第2の実施の形態例の通信回線400で用いられる通信情報の通信プロトコルの例を示す図である。図9は、車載の通信装置(A)と、地上の通信装置(B)と、作業現場(C)と、中央管制装置(D)の間での通信情報のプロトコル制御の例を示した図である。以下、図9に従って説明する。
1)地上の通信装置(B)から、車両の運転士へ向けて、肉眼で見ることのできる可視光が発光・送出される。
2)同時に、車載の通信装置(A)へ「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」(作業中情報)を上記可視光に重畳して、発光・送出(送信)する。
3)車両の運転士は、地上から可視光が発光されているので、肉眼でこれを確認出来る。
4)同時に、車載の通信装置(A)は、地上の通信装置(B)から可視光を検知すると、重畳されている情報を取得・認識(受信)でき、車両の運転士へ、音声等の音響出力や表示の警報をもって作業領域への接近、及び警報受信を報知する。
5)車載の通信装置(A)は、更に、地上の通信装置(B)からの情報を取得・認識(受信)した時に、地上の監視者又は作業者に向けて、肉眼で見ることのできる可視光として発光・送出する。
6)同時に、車載の通信装置(A)は、地上の通信装置(B)に向けて、上記の情報を取得・確認したという情報を前記可視光に重畳させて通信情報として地上の通信装置(B)へ送出する。
7)地上の作業現場の監視者又は作業者は、車載の通信装置(A)から発光・送出されてくる可視光を車両よりの応答として、肉眼で確認することができる。
9)同時に、地上の通信装置(B)は、車載の通信装置(A)からの情報を取得・認識(受信)すると、作業現場(C)の監視者又は作業者へ音声等の音響出力や表示により車両の接近を警報で報知する。
10)更に同時に、地上の通信装置(B)は、中央管制装置(D)へ通信情報(列車通過の情報、作業番号、列車番号、日時など)を送り、中央管制装置(D)は、作業現場、通過列車、時間等の情報の突合せや遅れ等の確認、履歴処理や、必要に応じ配信や印刷出力を行う等、所定の処理を行うことができる。
【0107】
ここで、地上の通信装置(B)から、作業現場(C)や中央管制装置(D)への通信を行う通信回線は、前述のように各間で通信ができればよく、通常の電話回線であっても、鉄道に線路に沿って施設してある有線の電話回線であっても、別途臨時の仮回線(設置、除去が容易なもの)や移動可能な回線を敷設しても、無線回線を含めてインターネット回線を利用しても、光回線であっても、通常の携帯電話回線や、作業現場用の携帯通信回線であってもよい。
(可視光通信)
地上と車両間の可視光通信は、肉眼で見ることのできる光を用いた通信であって、独自の規格を設けてもよいが、本例では電子情報技術産業協会規格のJEITA CP−1221可視光通信システム、JEITA CP−1222可視光IDシステムの規格に準拠した。
【0108】
前記規格による通信のインターフェース点でのプロトコルの構成は図12に示すように、第1層の物理層としてのL1(PHISICAL)、第2層のフレーム層としてのL2(FRAME)、第3層のIDプレーンとしてのL3(ID)又はデータープレーンとしてのL3(DATA)並びに、その上の第4層の配信コンテンツを取り扱うアプリケーション層としてのL4(APL)からなる。
物理層L1(第1層)
物理層は信号の物理的な送信形態を規定する。搬送波として使用する可視光の周波数は、CP−1221に基づきピーク波長380から780nmである。この可視光を用いてデータを送信する。
【0109】
図10は、前記規格に基づいた4PPMの信号波形を説明する図である。以下図10を用いて説明する。4PPMはパルス位置変調(Pulse Position Modulatio)の略であって、パルスの存在する時間位置で情報を表す変調方式である。
【0110】
1つのシンボルは4つの時系列位置のスロットからなり、4つのスロットのどこに信号が位置するかでデータを信号2ビットの組で表す。図10の例では、最初のスロットをデータ00の組を表すスロットとし、二番目のスロットをデータ01を表すスロット、三番目のスロットをデータ10を表すスロット、四番目のスロットをデータ11を表すスロットとしている。図10の例は、データが左から00、01、10、11の場合を示してある。
【0111】
図10に示すように、値が1のスロットに対して副搬送波28.8kHzが3サイクル占有する。副搬送波は点灯(明、オン)と消灯(暗、オフ)の間を28.8kHZで振動する。これらの信号は、任意の基準値レベルBからみて、暗レベルをa、明のレベルをcとすると、振幅はc−aとなり、変調度は(c−a)/cとなる。
【0112】
図10では、点灯と消灯の中間のレベルをbとして記載してあるが、照明の消灯の時はbをaのレベルに保ち(a=b)、照明の点灯の時はbをcのレベルに保つ(b=c)。高い通信効率を得るには、理想的には図10の任意の基準値レベルBを真暗とすると、aを零とし、照明が点灯していない間(消灯時)はbのレベルを零とし、照明が点灯している明の間(点灯時)はbのレベルをcとして、信号を送信する時は副搬送波の周波数で光源の点灯/消灯を繰り返す制御を行う。
【0113】
実際の通信では、任意の基準値レベルBが外部からの光のオフセットであって取り除くのが困難の場合や、光源自身がもっているオフセットである場合もある。従って受信側では、信号に重畳してくる成分を、フィルターを介して直流分を取り除き、雑音として混合する他の周波数を取り除き、副搬送波の交流成分として抽出する。
【0114】
以上説明したように、可視光通信では、光源が見かけじょう点灯していなくとも通信が可能であり、また点灯している時にも通信が可能である。即ち、肉眼で確認する光を点灯のままであっても、消灯のままであっても、人に分る周期(例えば0.25秒毎に点灯消灯を繰り返す)で点滅しても、通信が可能となる。
【0115】
従って、第2の実施の形態例において、地上の通信装置1から列車に向けて、可視光に包含(重畳)して信号を送り、車載の通信装置2は、地上の通信装置1からの信号を受信してから、点灯することが可能であり、また車載の通信装置2は、通常点灯して用いる場合、地上の通信装置からの信号を受信した時点で点滅へ切替え、地上の監視者又は作業者が肉眼で目視確認可能な応答とすることも可能である。この可視光を受信する時には、副搬送波部分の交流分を抽出し、信号処理の後に、ペアのデータ部分を取り出す。地上の通信装置1も車載の通信装置2からの信号を受信してから発光・送出する光源の点滅を開始することにより車両の運転士が肉眼で見える応答として、車両の運転士に対して、列車から送られた信号が地上へ伝わっていることを分かるようにすることが可能となる。
フレーム層L2(第2層)
フレーム構造は図13に示すように、フレーム先頭を示すスタート部(SOF)14ビットと、情報部であるペイロード部(Payload)512ビットと、終端部(EOF)16ビットの合計542ビットから構成される。スタート部(SOF)14ビットは、パルスの存在する時間位置を決定する開始信号としてのプリアンブル(PRE)6ビットと、ペイロードの種類示すコード等を示すフレーム・タイプ(F−TYPE)8ビットからなる。
【0116】
プリアンブルの6ビットの送出は、前述のペアにすると3ペアとなり、4PPMの時系列に対応させ各ペアに4スロットを割り当てるので、合計12スロットになる。プリアンブルは、最初の3スロットを1として(28.8kHZの副搬送波を出力する)残りの9スロットの時間を零として出力する。受信側では、このプリアンブルを認識して、情報の受信を開始する例外的な使い方をすることにより、フレームの開始位置とする。
【0117】
F−TYPEの8ビットは、図14に示すようなフレームのタイプを表示する部分であって、フレーム形式、ペイロード搭載情報を示す。すなわち、試験用のIDなしの場合や、運用のためのタイプA、タイプB等を表示する。
【0118】
F−TYPEにより、試験用のIDなしを指定した場合は、ペイロード搭載情報を、自由に用いることができる。ペイロード搭載情報は、タイプAでは、位置、商品情報などサーバアクセスによらない直接配信情報を示す。タイプBでは、ID+直接配信情報を示す。
【0119】
タイプAとタイプBのペイロード部(Payload)は、図13に示すように、タイプAでは、512ビットが全てデータ(DATA)で構成され、タイプBでは、128ビットのID部と384ビットのデータ(ID128ビット+DATA384ビット)から構成される。
【0120】
図13のタイプBのペイロード部に示すID部128ビット(16バイト)の構造は、図15に示すように、管理体専用領域2バイトとユーザー自主管理領域14バイトからなる。図15によれば、管理体専用領域が“0000媒H(16進4桁)の場合は、ユーザー自主管理領域が自由利用に開放されている。管理体専用領域が“0001媒H〜“FFFF媒Hの領域は予約領域であって、この領域の使用はID管理体への申請が必要となる。
【0121】
終端部(EOF)は、ペイロードとF−TYPEのサイクリック・リダンダンシー・チェック(CRC−16)である。
DATA層、ID層L3(第3層)
前述のように、フレーム・タイプで選択されたタイプAのペイロード部は512ビットが全てDATA層となり、位置、商品情報などサーバアクセスによらない直接配信情報となる。タイブBのペイロードは、128ビットのID層と384ビットのDATA層からなり、IDと直接配信情報となる。ID無しのペイロードは、512ビットが全てDATA層となり、試験や開発用に自由に利用できる。
APL層L4(第4層)
メッセージ層は、DATA層L3の上位にあり、配信コンテンツAPL(アプリケーション)層として、前述したフレーム構造のうち、ペイロード(DATA)部を単一または複数連結して大きなメッセージを自由に送信するために必要な機能と提供する。メッセージ層とフレーム層との間には依存関係は無く、フレーム層とメッセージ層の境界は独立している。
【0122】
上記規格によると、メッセージ長は最大256のフレームを連結する。256フレームで送信できる最大のメッセージ長は16、384バイト、256フレームとなり、その送信時間は約29秒となる。
【0123】
JEITA CP−1222の規格では、L4をメッセージ層として、メッセージ・フォーマットを図16に示すように規定している。図16を参照すると、FLAG(フラグ)部8ビット、ML(メッセージ長)部16ビット、M−タイプ(メッセージ種別)部8ビット、Message(メッセージ本体)部可変長、CRC16ビットと規定している。
【0124】
フラグ部は、01111110の8ビット固定であり、フラグ以外の位置でフラグと同じビット・パターンが出現した場合は、エスケープ処理をする。エスケープ処理は、送信側では、ビットの1が5回連続した場合、その次に0のビットを挿入し、受信側では、フラグ以外の位置で1のビットが5回連続した場合、その次の0のビットの削除処理を行う。
【0125】
ML(メッセージ長)は、FLAG、ML、及びCRCを除いたM−TYPEとMessage部のバイト数をバイナリ16ビットで示す。M−TYPEは、図17に示すように、8ビットで表現し、メッセージ種別を示し、先頭の1ビットをコード種別A、後方7ビットを情報種別Bと定義している。コード種別Aが0の場合は、後方7ビットで単純テキスト(例えばASCII、JISなど)を示す。コード種別Aが1の場合は、後方7ビットでバイナリ−データ(例えばイメージ、オーディオ、textなど)を示す。
【0126】
メッセージ本体は、ML、M−TYPEに従った形となる。CRC部はML、M−TYPE、Messageを対象とした16ビットのサイクリック・リダンダンシー・チェックであって、メッセージ・データが正しく受け取れたかを判別する。
(通信誤処理)
規格ではCRCを用いているが、独自方式として他の通信誤り処理を行うことも可能である。例えばデータにパリティを付したり、ハミングコード等の自己修復可能なコードを用いたりして通信を行い、通信の誤り検出や誤り訂正が可能であることはいうまでも無い。特に、同じデータを繰り返して送信する場合は、誤りの検出や訂正の他の方法として、受信側は繰り返して受信した同じはずの情報を基に、多数決論理の処理により誤り検出・訂正を行うことで、より精度を上げることも可能である。
(光源)
本実施の形態例では、発光部に用いる光源としてLED(発光ダイオード)を使用している。LEDは発光点の輝度が高く、高信頼性、長寿命であり、直進性が良く可視光を効率よく発光・送出し、より遠方まで可視光を送ることができる(光がより遠方まで届く)発光素子である。
【0127】
またLEDは高速でオン/オフのスイッチングができるので、LEDを光源の発光素子として用い、肉眼で確認できる可視光の発光・送出を行うと共に、同じLEDに前述のようにして情報を包含(重畳)して発光・送出し、情報の通信を行うことが可能である。
【0128】
他の発光部の光源の例としては、可視光の光源に白熱球や蛍光灯等を用い、この可視光に信号を重畳する。これらの光源は、光学系を用いて直線性や直進性を改善し、また情報を包含(重畳)して送信することが可能である。
【0129】
他の発光部の光源の例としては、可視光に包含(重畳)する通信情報のための光源として、前述のように、可視光に副搬送波4PMMを用いて通信情報を包含(重畳)して送信しても良いが、可視光の光源とは別に、通信用として、車両の運転士や監視者又は作業者が肉眼で見る上で障害にならない範囲の光源として、赤外線や紫外線、レーザー光などの光源を用い、これらの光源を可視光による通信と共に補助的に用いるか、あるいは可視光を肉眼で見るための信号として用いて、赤外線や紫外線、レーザー光などの光源を通信のために用いることにより、通信情報に対して外来の雑音の影響を少なくすることや回避することができるので、外来雑音の多い場所や、より遠方との通信をより誤りの少ない通信とする効果がある。
【0130】
赤外線や紫外線、レーザー光などの光源を補助的に使用する場合は、可視光に包含(重畳)されている情報と同じ情報を赤外線や紫外線、レーザー光などから送信することにより、送信をより確実なものとすることができる。
【0131】
又は可視光に包含(重畳)する信号と異なる情報を送ることもでき、通信する情報量を増加させることができる。赤外線又は紫外線又はレーザー光線の光源を備える発光部の光源は、可視光の光源と同じ発光部に赤外線又は紫外線又はレーザー光線の光源を設けた複合の光源からなる発光部とすることにより構成できる。
【0132】
上記の複合の光源からなる発光部の構成は、可視光の光を出力する素子と、赤外線又は紫外線又はレーザー光線を出力する素子を、それぞれ単一の光を出力する素子を複数種類並べて構成した複合の光源とするか、又は1つの発光素子の中で、複数の種類の光を出力できる光源で構成することができる。
【0133】
上記の複合の光源からなる発光部に対応する受光部は、赤外線又は紫外線又はレーザー光線のいずれかを受光する素子と可視光を受光する素子を複数種類並べて構成した複合の構造とするか、又は1つの受光素子の中に複数の別々の種類の光が受光できる素子が設けられた受光素子で構成することができる。なお、1つの種類の素子で、全ての光の周波数を受光できる素子ならば、1種類の受光素子で複数の種類の光を受光できることはいうまでもない。
【0134】
他の発光部の光源の例としては、発光部に複数の色の光源を備え、発光する可視光を単色又は混合色又は発光の強弱を選択的に発光・送出するように制御し、この発光・送出する可視光の色を含めた変化を情報として出力することにより、例えば列車が地上の作業中の特定領域へ進入したことを車両の運転士が肉眼で気が付き易くすることができる。
【0135】
又は、車両よりの応答としての可視光を地上の監視者又は作業者が肉眼で気が付き易くなる。なお、発光部に複数の光源を用いた場合、全ての光源に情報を包含(重畳)することも可能であり、あるいは通信を行う光源を限定することも可能である。すなわち、通信に用いる光源は、1つ色の光源に限って使用することも可能であるし、複数の色の光源を使用することも可能である。複数の色の光源を備える発光部は、各種の色の光源を同じ発光部に設けた複合の光源からなる発光部とすることにより構成できる。上記の複合の光源からなる発光部の構成は、それぞれ単一の光を出力する素子を複数種類並べて構成した複合の光源とするか、又は1つの発光素子の中で、複数の種類の色の光を出力できる光源で構成することができる。
【0136】
これらの複合の光源からなる発光部に対応する受光部は、各色の光を受講する素子を複数個並べて構成した複合の構造とするか、又は1つの受光素子の中に複数の別々の色の光を受光できる素子が設けられた受光素子で構成することができる。なお、1つの種類の素子で、全ての光の周波数を受光できる素子ならば、1種類の受光素子で複数の種類の光を受光できる受光部とすることができる。
【0137】
LEDを例にとって複数の色の光源を備える発光部の構成を説明すると、複数の色を発光する別個のLEDを集合させた光源で構成しても、複数の色の発光が可能なLEDで構成しても、これらを組み合わせてもよい。
【0138】
複数の色の光源に対応する受光部の構成は、受光する各色に対応する狭周波数スペクトルが受光可能な受光素子を、受光する色に対応して複数集合して構成しても、広い周波数スペクトルの受信可能な受光素子で構成しても良い。
【0139】
受光にあたっては、光のレベルでは光学的なフイルタ処理が可能であり、電気信号に変換した後は、電子的フイルタで処理を行い、所定の信号を抽出するように構成する。
【0140】
また、広い周波数スペクトル範囲を持つ素子を発光素子又は受光素子として用い、周波数スペクトルの中の予め定めた波長毎に個別の情報を通信するように構成することにより、1つの発光部と1つの受光部により、複数の情報の受渡しを並列して行うことができる。また、可視光として発光・出力する光に強弱の変化を持たしても、肉眼で見やすい情報とすることも可能である。
【0141】
また、複数色(周波数スペクトルの中の異なる波長)の可視光を用いて通信することにより、並列に信号の通信ができるので、見かけ上の情報の通信速度を向上することができる。例えば、3色の波長を用いて通信した場合、前述の256フレーム(メッセージ長16、384バイト)を連結したメッセージを送信する時間は3分の1となり、10秒以内に短縮して通信が可能となる。又は3原色に対応する色(対応なので、異なる色であってもよい)として複数の色を用いることにより、色情報の送信を並列して行うことが可能となる。更に、データ圧縮技術を用いることにより送信速度を短縮することが可能となる。
【0142】
以上発光部の光源について詳細に説明したように、本発明によれば、光源が発光する可視光を単色又は混合色の色と変化、又は発光の強弱を選択的に発光・送出するよう制御し、この発光・送出する可視光の色の変化や、強弱の変化により、車両の運転士又は地上の監視者又は作業者へ、肉眼でより判断のし易い情報として出力し、車両の運転士又は地上の監視者又は作業者へ必要な情報をより確実に伝えることができ、より安全な車両の運行を行うことができる。
(通信装置の分割)
地上の通信装置又は車載の通信装置は、図2、図3で説明したように、一体型であっても良いが、例えば、可視光の授受を行う受光部・発光部だけを分割(分離)可能として、自由な位置に設定できる形とすることにより次のような利点が生ずる。
【0143】
例えば、地上の通信装置を、図8で説明したように、車載の通信装置と通信する通信装置本体(1−1、1−2、1−3)と、作業者に警報等により報知する部分の作業現場警報装置300とに分割する。通信装置本体(1−1、1−2、1−3)には通信回線400を介して作業現場警報装置300や中央管制装置500と通信する機能を設ける。作業現場警報装置300と中央管制装置500には、通信回線400を介して通信装置本体(1−1、1−2、1−3)と通信を行うための通信制御の機能を設ける。
【0144】
通信装置本体(1−1、1−2、1−3)と、作業現場警報装置300と、中央管制装置500を通信回線400で接続することにより、各部を分散して必要な所に設置することができる。従って、通信装置1又は通信装置2の構成は、大きくは電源部、制御部、表示部、音響出力部、通信制御、発光部、受光部等からなるので、何れかの部分又は全てを、分離可能であるように構成すると、各部を必要とする所へ設置することができる。
【0145】
また、通信装置の発光部・受光部は、光の授受の効率や直線性、直進性を向上するために、光学的に例えば鏡やレンズ等を用いて、パラボラ形のような平行線や集光効率の上がる形や、地上の通信装置により自動追従を行うように構成することも可能である。
(通信装置の構成)
図11は、通信装置の具体的構成例を示す図で、発光部103とその通信制御部102、並びに受光部104とその制御部202を示す構成図である。具体的な回路の例や処理プログラムの例を図に示さないが、マイクロプロセッサやFPGA又はCPLDなどで構成された通信制御部102の出力(前述の副搬送波からなる4PPMの信号波形出力)に従って、LEDの駆動回路103−1では上記の通信制御部102からの出力信号を受け、副搬送波のスプリアス成分を除去するローパス・フイルタ等を介し、LEDの特性や接続構成(並列や直列の接続)に適合した電源供給を行い、電流制限回路(回路帰還回路による電流制限や、電流制限素子等による)を含むLED駆動回路を駆動して、LED103−2に送信信号を重畳した所定の電流を流すことにより、LED103−2は可視光3を発光し出力する。
【0146】
なお、出力信号の処理は、フイルタを含め、部分的又は全体を集積化することも可能である。又、LED103−2は図11では、説明のために簡単に1つのLEDで表しているが、直列接続や並列接続またはこれらの組み合わせで構成することも可能であることはいうまでもない。
【0147】
LEDの素子は、高速でオン/オフができるので、前記規格に従った速度での通信が可能である。なお、前述のように定常の可視光が明であっても暗であっても、通信出力を出すことが可能である。又、照明出力のための素子と、通信出力のための素子を別個に光源として構成することも可能であり、更に照明出力のための素子と、通信のための素子を複合し、一体化した光源とすることも可能である。
【0148】
可視光3として送られた信号は、受光部として用意されているフォトダイオード204にて受光する。フォトダイオード204−2は、送信されるオン/オフの速度を検出できるものとして、現在、高速で比較的廉価なPINフォトダイオードを用いたりする。
【0149】
なお、図11では、フォトダイオード204−2は説明のために1つのフォトダイオードで表しているが、複数のフォトダイオードで構成することも可能であっても良いことはいうまでもない。
【0150】
また、複数の波長の光線が送られてくる場合、1つのフォトダイオードで全ての波長の受信ができるものを使用しても良い。フォトダイオード204−2で受光した光は、光信号受信回路で強い光に対しては自動増幅率制御回路またはリミッタ回路などにより増幅率を制限して増幅受信し、所望の副搬送波(電子情報技術産業協会の規格に従えば28.8kHZ)を通過させるバンドパス・フイルタを介し増幅して、ノイズ除去(スイッチング電源や蛍光灯のインバータによるノイズの低減)をノッチフイルタ等で処理をした後に、データの組を表す副搬送波の存在する時間位置として、マイクロプロセッサやFPGA又はCPLDで構成される通信制御部202へ送る。通信制御部202では、副搬送波を認識し(必要ならばA/D変換して認識する)、4PPMの信号を検出し受信信号とし、中に含まれている通信情報から必要な情報を取り出して報知などの警報処理を行う。なお、入力信号の処理は、フイルタを含め、部分的又は全体を集積化することも可能である。
【0151】
また、図11では、発光部と、受光部を別個に描いて説明したが、地上の通信装置1も、車載の通信装置2も、基本的にはそれぞれ図11に示す発光部103と受光部104を備え、通信制御部102と202に相当する部分は共用して、図2又は図3のように構成できる。
【0152】
なお、本発明の地上の通信装置1と車載の通信装置2との間の通信は、前述のように可視光、光領域を用いて通信するので、無線免許を必要としない。
【0153】
(小型化)
前述した通信装置は、現在では半導体集積化技術が発達し、また電池技術も向上し高輝度のLEDも廉価になり、従って、前述の地上の通信装置又は車載の通信装置を小型化することが可能であることから、従来から車両の運行指示に用いている携帯型のランタン型形状の照明に準拠した形状で構成することにより小型化し、扱い易くすることも可能である。
【0154】
(安全性の向上)
さて、本実施の形態例は、列車等の車両が作業中の特定領域内へ進入した時に、地上の通信装置と車載の通信装置の間で、可視光を用いて、監視者又は作業者と運転士の間で肉眼で確認ができるとともに、更に、監視者又は作業者又は運転士が可視光を見逃した場合であっても、地上の通信装置と車載の通信装置の間で通信を行い、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを報知することにより、肉眼による確認だけでなく、より安全性を高めることができる。
【0155】
ここで、通信装置の備わっていない列車や、車載の通信装置が機能しない場合を含み、列車が作業中の特定領域内へ進入した場合の安全性の向上について、地上の通信装置と、車載の通信装置がそれぞれ検出できる場合と出来ない場合を以下に比較してみる。なお、通信する情報に関して「受信できない」状態は、他方の「送信できない」状態と同じ現象となる。
【0156】
1)車載の通信装置並びに地上の通信装置が、両方とも送信、受信の通信ができる場合。この場合は、監視者又は作業者に対しても運転士に対しても警報が報知されるので、肉眼での確認に更に報知による警報が介在するので、より安全性が向上する。
【0157】
2)地上の通信装置は送信ができるが、受信できない状態で、車載の通信装置は受信、送信ができる場合。この場合は、車両の運転士は肉眼で可視光を確認出来、さらに警報が報知されるので、車両の運転士に対しての安全性は向上する。
【0158】
また、地上の通信装置が受信できない状態であっても、地上の通信装置に警報を報知する操作スイッチを設けて置き、地上の作業現場の監視者又は作業者が列車の接近を知った時に、地上の通信装置の操作スイッチを手動で操作することにより警報を発し、作業者が対応することにより、作業者と車両の運転士に対する安全を確保することができる。
【0159】
3)地上の通信装置は送信、受信ができるが、車載の通信装置が受信できない場合、又は通信装置を備えていない場合。この場合は、従来と同様で、運転士が地上の通信装置から発せられる可視光を肉眼で確認することにより、作業現場を通過することの確認が可能となる。
【0160】
4)地上の通信装置が情報を受信できない場合で、且つ車載の通信装置も情報を受信できない場合。この場合も上記の3)と同様、従来通りに、列車側は運転士が可視光を肉眼で確認することにより列車が作業中の特定領域内へ進入したことを確認して徐行し、監視者又は作業者側も従来通りで、列車そのものが作業中の特定領域内へ進入したことを肉眼にて目視確認し、安全のための報知を作業者へ伝える。
【0161】
以上のことから、本発明によれば、地上の通信装置1から、車載の通信装置2へ向けて可視光3を発光・送出し、かつ、この可視光3に「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を包含(重畳)して送信し、車載の通信装置2がこれを受信し、運転士に列車が作業中の特定領域内へ進入したことを、音響出力部206や表示部207で警報をもって報知することにより、車両の運転士が地上の通信装置1からの可視光3を見逃しても、警報により知らされ、確認し徐行の運転を行うことが可能である。
【0162】
更に、車載の通信装置2から応答として、地上へ可視光4を発光・送出し、かつ、この可視光4に車載の通信装置2が「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を「取得・確認」した情報を包含(重畳)して送信することにより、(可視光4の発光・送出を開始するか、定常に発光・送出していたものを点滅にすることにより知らせる)、監視者又は作業者は肉眼で列車(の運転士)が「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを示す情報」を「取得・確認」したことを確認でき、更に、地上の通信装置1により音響出力部106や表示部107により警報をもって監視者又は作業者へ報知することにより、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを見過ごす可能性を大幅に削減でき、安全性に寄与することができる。
【0163】
以上説明したように、本実施の形態例によれば、地上の通信装置から可視光を以って車両の運転士へ肉眼で見えるように警報を発光・送出すると共に、可視光に情報(緊急停止、停止、最徐行、徐行等の情報)を重畳して、車両に搭載した車載通信装置へ送信することにより、車載の通信装置が地上から送られてきた情報を取得することが可能となり、車両が線路の特定領域に進入したことを含む上記情報を、表示又は音声出力を介して車両の運転士へ警報として報知することも可能となる。これにより、車両の運転士が地上からの信号を見逃すことがたとえあったとしても、この影響を最小限に抑えこむことが可能となり、車両の運行をより安全に保つことに寄与することができる。
【0164】
更に、列車等の車両(車載の通信装置)から地上の通信装置へ応答に可視光の発光・送出で行うことにより、地上にいる人(監視者又は作業者)が、車両側で地上からの情報を取得・認識しているということを確認することができる。
【0165】
地上の通信装置は、受信した情報より、到来した車両に関する列車番号や、到来時間等を表示することが可能であり、更に記録することも可能となる。更に、通信回線を介して作業現場や事故現場又は災害現場に設置した本実施の形態例の警報装置により警報を発して注意を促すことが可能となる。また、必要な情報を中央管制装置へ情報を送ることもできる。
【0166】
本実施の形態例による装置は、移設が容易な可搬型または携帯型であるために、線路内での工事に対してはもとより、踏み切りでの事故や、山崩れや冠水等の緊急の災害に対しても利用できる。
【0167】
すなわち工事や事故や災害の際に必要な箇所に、地上の通信装置を設置し、車載の通信装置と通信することにより、車両をより安全に運行することが可能となり、また地上の作業現場の人に対してもより安全性を保持することができる。特に、カーブ地点や、山陰等の場合は、列車と通信をすることのできる箇所、又は列車との通信を必要とする地点に地上の通信装置を設置することにより、より安全性を守ることができる。
【0168】
(実施の形態例の効果)
本実施の形態例は、次のような効果を奏する。
すなわち、線路の作業中の特定領域内へ列車が進入した時に、地上の通信手段の発光手段から列車(運転士)に向けて可視光を発光・送出して知らせるとともに、前記可視光に線路の作業中の特定領域内へ列車が進入した情報を包含(重畳)して発光・送出することにより、車載の通信手段がこの情報を受信したときに、表示手段又は音響出力手段により運転士に警報として報知することにより、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを運転士が見逃すことの可能性を大幅に削減できる。従って、列車並びに作業中の作業者の安全の確保をより確実とする警報方法を提供するという優れた効果が得られる。
【0169】
また、上記の警報方法に加え、車載の通信手段は、地上の通信手段から可視光として発光・送出された情報を受信したときに、「列車が線路の作業中の特定領域内へ進入した」という地上の通信手段からの情報を取得・認識したことを、地上の監視者又は作業者へ知らせる可視光を、車載の発光手段によりに地上に向けて発光・送出する(肉眼で見える可視光としての応答)。
【0170】
このため、地上の監視者又は作業者は肉眼にてこの可視光を確認することが可能となる。同時に車載の通信手段は、「地上の通信手段からの情報を取得・認識した」ことを示す情報を通信情報として可視光に包含して地上の通信手段の受光手段に向けて発光・送出しする(情報としての応答)。地上の通信手段は、受信した通信情報から「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを取得・認識した」ことを取得・認識し、地上の監視者又は作業者へ表示手段又は音響出力手段を介して警報として報知することができる。
【0171】
すなわち、列車(車両)が線路の作業中の特定領域内へ進入したことを地上の監視者又は作業者に対して、肉眼で確認できる可視光で知らせるだけでなく、更に表示手段又は音響出力手段を介して警報として報知する。従って、本例によれば、列車並びに作業中の作業者の安全の確保をより確実とする警報方法を提供するという優れた効果がえられる。
【0172】
更に、線路の作業中の特定領域内へ列車が接近した時に、地上の通信装置の発光部から列車(運転士)に向けて可視光を発光・送出して知らせるとともに、前記可視光に線路の作業中の特定領域内へ列車等が進入した情報を包含(重畳)して発光・送出することにより、車載の通信装置がこの情報を受信したときに、表示部又は音響出力部により運転士に警報として報知することにより、列車が作業中の特定領域内へ進入したことを運転士が見逃すことの可能性を大幅に削減できる。従って、進入車両並びに作業中の作業者の安全の確保をより確実とする警報装置を提供するという優れた効果がある。
【0173】
また、車載の通信装置は、地上の通信装置から可視光として発光・送出された情報を受信したときに、「列車が線路の作業中の特定領域内へ進入した」という地上の通信装置からの情報を取得・認識したことを、地上の監視者又は作業者へ知らせる可視光を、車載の発光部によりに地上に向けて発光・送出する(肉眼で見える可視光としての応答)。
地上の監視者又は作業者は肉眼にてこの可視光を確認できる。同時に車載の通信装置は、「地上の通信装置からの情報を取得・認識した」ことを示す情報を通信情報として可視光に包含して地上の通信装置の受光部に向けて発光・送出しする(情報としての応答)。
【0174】
地上の通信装置は、受信した通信情報から「列車が作業中の特定領域内へ進入したことを取得・認識した」ことを取得・認識し、地上の監視者又は作業者へ表示部又は音響出力部を介して警報として報知する。
【0175】
すなわち、列車が線路の作業中の特定領域内へ進入したことを地上の監視者又は作業者に対して、肉眼で確認できる可視光で知らせるだけでなく、更に表示部又は音響出力部を介して警報として報知する。従って、列車並びに作業中の作業者の安全の確保をより確実とする警報装置を提供するという優れた効果が得られる。
【0176】
更に、地上の通信装置から車載の通信装置へ送る通信情報に作業番号、列車の停止、最徐行、徐行等の情報を含めることにより、車載の通信装置はこの情報を表示部又は音響出力部を介して車両の運転士へ報知することが可能となり、この報知により車両の運転士は、列車が通過する作業場所の確認や報知された情報に従った列車運行を行える。
【0177】
また、車載の通信装置から地上の通信装置へ送る情報に列車番号、運行時間、上下線の区別等の情報を含めることにより、地上の通信装置はこの情報を表示部又は音響出力部を介して地上の監視者又は作業者へ報知することができる。この報知により、地上の監視者又は作業者は、通過列車(列車番号等)の確認や通過時間の確認等を行える。
【0178】
従って、車両の運転士は地上の作業中の特定領域に対応する列車運行ができ、また地上の監視者又は作業者は予定の列車が通過したか否か、予定より遅れているか、上下線の区別等の情報を得ることができる。すなわち、列車並びに作業中の作業者の安全の確保をより確実とする警報装置を提供するという優れた効果がある。
【0179】
更に、車載の通信装置は受信した通信情報に基づいて運転士へ警報として報知するとともに、列車に備わる機能(自動運転や自動制動の機能)と連携して、受信した情報に基づく作業番号、列車の停止、最徐行、徐行等の情報に従い列車の停止や、最徐行、徐行等の列車運行の制御を自動で行う機能を備え運用することにより、より安全な車両の運行を行い、列車並びに作業中の作業者の安全の確保をより確実にする、優れた効果がある警報装置を提供することができる。
【0180】
また、地上の通信装置又は車載の通信装置から発光・送出する可視光を、肉眼で気が付き易くすることができ、車載の通信装置は地上の通信装置から情報を受信したときに、地上に向けて発光・送出する可視光を消灯状態から点灯状態にするか、又は点灯した状態から肉眼で十分に判断できる周期で点滅する状態にして、地上の監視者又は作業者に報知する(地上からの情報に対する応答)。
【0181】
地上の通信装置は車載の通信装置から応答の情報を受信したときに、列車に向けて発光・送出する可視光を点灯した状態から肉眼で十分に判断できる周期での点滅する状態にして車両の運転士が肉眼で気が付き易くする(列車からの応答に対する応答)。これにより、車両の運転士並びに地上の監視者又は作業者が肉眼で見る可視光を気が付きやすくし、列車並びに作業中の作業者の安全の確保をより確実にする、優れた効果がある警報装置を提供することができる。
【0182】
更にまた、地上の通信装置が備える発光部又は、車載の通信装置が備える第2の発光部に複数の色の光源を備え、発光する可視光を単色又は混合色又は発光の強弱を選択的に発光・送出するよう制御し、この発光・送出する可視光の色の変化や、強弱の変化により車両の運転士又は地上の監視者又は作業者へ肉眼で判断できる情報として出力することにより、車両の運転士又は地上の監視者又は作業者へ所定の情報をより確実に伝えることができる効果がある。
【0183】
地上の通信装置又は車載の通信装置の形状を、車両の運行指示に用いる携帯型のランタン型形状に準じた形状に組み込んだ通信装置とすることにより、通信装置をコンパクト化することができ、携帯が容易となる効果がある。
【0184】
また、地上の通信装置又は車載の通信装置の、電源部、制御部、表示部、音響出力部、通信制御、発光部、受光部等の各部分の何れかの部分を、分離可能であるように構成することにより、各部分を設置する必要のある所への設置が容易となる効果がある。
【0185】
更に、見通しのきかないカーブや山影等の地点であっても、列車が線路の特定領域へ進入したときに、車両の運転士並びに地上の監視者又は作業者へ警報を報知できる効果があり、作業中の作業者並びに列車の安全の確保をより確実にする、優れた効果がある警報装置を提供する。
【0186】
本実施の形態例の警報装置によれば、可視光の発光部の光源に使用する素子としてLEDを使用することにより、LEDは発光点の輝度が高く、高信頼性であり、長寿命であり、直進性が良く、可視光を効率よく発光・送出し、より遠方まで可視光を送るという特性を生かした警報装置を提供することができる。
【0187】
本実施の形態例の警報装置によれば、地上の通信装置に備える発光部又は車載の通信装置に備える発光部には、監視者又は作業者又は車両の運転士が肉眼で見ることのできる可視光を出力する素子と、赤外線又は紫外線又はレーザー光線を出力する素子からなる複合の発光素子からなる光源を用いることにより、対応する受光部には、可視光を受信する素子と、赤外線又は紫外線又はレーザー光線を受光する素子の何れかの素子との複数の素子からなる複合の受光素子、又は1つの素子で複数の種類の光を受光できる受光素子を用いて情報の通信を行うことができ、車両の運転士、又は地上の監視者又は作業者が肉眼で見ることを目的として可視光を用い、情報の通信として赤外線又は紫外線又はレーザー光線を用いて、肉眼で見るための可視光線と通信用の光線とを分離することにより、可視光に含まれる外来の雑音を回避し、可視光領域の雑音が多い場所や遠方との通信をより良いものとし、作業中の作業者並びに列車の安全の確保をより確実にする、優れた効果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車軌道が敷設された線路の特定領域の予め定めた地点へ設置可能な所定の情報を重畳させた第1の可視光を発光可能な第1の発光通信手段を備える地上通信装置と、前記地上通信装置よりの前記第1の可視光を受信すると共に前記地上通信装置に所定の情報を重畳させた第2の可視光を発光可能な第2の発光通信手段を備える前記線路上を走行する車両に搭載されている車載通信装置とを含む警報装置であって、
前記地上通信装置の前記第1の発光通信手段は、車両が特定領域へ進入したことを示す情報、前記車両の運転士へ伝達する必要のある情報を含む情報を前記第1の可視光に重畳させて発光し、
前記車載通信装置は、前記第2の発光通信手段が前記第1の発光通信手段が受信した第1の可視光に重畳されている所定の情報を認識して認識結果に応じた音声出力または可視表示出力する第1の警報出力手段を備え、
前記車両の運転手が所定領域に進入又は接近したことを前記第1可視光を目視確認可能とすると共に、前記第1の警報出力手段よりの警報出力によっても認識可能とすることを特徴とする警報装置。
【請求項2】
前記車載通信装置は、前記第2の発光通信手段が前記地上通信装置よりの所定の情報を受信すると、該情報の受信・認識を報知する情報を前記第2の発光通信手段よりの第2の発光可視光に重畳させる応答情報重畳手段とを備え、前記第2の可視光に前記応答情報重畳手段が重畳した応答情報を重畳して発光し、
前記地上通信装置は、前記第1の発光通信手段が受信した第2の可視光に重畳されている応答情報を認識して認識結果に応じた音声出力または可視表示出力する第2の警報出力手段を備え、
地上の監視者又は作業者は、前記車載通信装置よりの第2の可視光を目視確認することにより前記列車の接近、進入を認識可能とすると共に、第1の音響出力手段と第1の表示手段よりの音声出力又は可視表示により前記列車の接近、進入を認識可能とすることを特徴とする請求項1記載の警報装置。
【請求項3】
列車軌道が敷設された線路の特定領域の予め定めた地点へ設置可能で所定の情報を重畳させた第1の可視光を発光可能な第1の発光通信手段を備える地上通信装置と、前記地上通信装置よりの前記第1の可視光を受信すると共に前記地上通信装置に所定の情報を重畳させた第2の可視光を発光可能な第2の発光通信手段を備える前記線路上を走行する車両に搭載されている車載通信装置とを含む警報装置であって、
前記地上通信装置は、情報の通信結果を音響出力可能な第1の音響出力手段と、情報の通信結果を可視表示可能な第1の表示手段とを備え、前記第1の発光通信手段は、列車軌道が敷設された線路の特定領域へ車両が進入したことを車両側に知らせる情報を前記第1の可視光に重畳させて発光可能とし、
前記車載通信装置は、情報の通信結果を音響出力可能な第2の音響出力手段と、情報の通信結果を可視表示可能な第2の表示手段とを備え、
前記第2の発光通信手段が前記第1の発光通信手段が発光した第1の可視光に重畳されている情報を受信すると、前記第2の音響出力手段、前記第2の表示手段から車両が線路の特定領域へ進入したことを報知する音響出力または可視表示を行い、車両の運転手が所定領域に進入又は接近したことを前記第1可視光により目視確認可能とすると共に、前記第2の警報出力手段、第2の表示手段よりの警報出力によっても認識可能とすることを特徴とする警報装置。
【請求項4】
前記車載通信装置の前記第2の発光通信手段は、前記地上通信装置よりの重畳情報を受信すると前記第2の可視光に該情報の受信を地上に報知する情報を重畳して発光し、
前記地上通信装置の前記第1の発光通信手段は、前記第2の可視光に重畳されている受信を報知する情報を受信すると、該情報の取得・認識を前記第1の音響出力手段、第1の表示手段より音響出力または可視表示出力し、
地上の監視者又は作業者は前記第2の可視光を肉眼にて観測することにより、前記車両が線路の特定領域へ進入した情報を確認可能とするとともに、前記第1の音響出力手段、第1の表示手段よりの音響出力または可視表示出力でも車両が特定領域へ進入したことを確認可能とすることを特徴とする請求項3記載の警報装置。
【請求項5】
前記地上通信装置の第1の発光通信手段は、前記第1の可視光に少なくとも作業番号、車両の停止、最徐行、徐行等の運行情報を含む情報を重畳して発光可能であり、
車両搭載装置の第2の発光通信手段は、受信した作業番号、列車の停止、最徐行、徐行等の運行情報を前記第2の表示手段、第2の音響出力手段より出力して車両の運転士への報知を可能とすると共に、自装置の搭載されている列車番号、運行時間、上下線の走行状態の情報を前記第2の可視光に重畳して発光可能であり、
前記地上通信装置は前記第1の発光通信手段で受信した列車番号、運行時間、上下線の区別等の情報を前記第1の表示手段又は第1の音響出力手段より出力し、地上の監視者又は作業者へ報知可能とすることを特徴とする請求項3又は請求項4載の警報装置。
【請求項6】
前記車載通信装置は、前記地上通信装置より受信した重畳情報に対応した車両の運行を制御する車両制御手段と備え、
前記地上通信装置より受信した重畳情報に対応して搭載された車両の停止、最徐行、徐行等の列車運行制御を自動実行可能とすることを特徴とする請求項5記載の警報装置。
【請求項7】
前記車載通信装置の前記第2の発光通信手段は、前記地上通信装置からの可視光を検出したときに、可視光を消灯状態から点灯状態にするか、又は点灯した状態から肉眼で判断できる周期での点滅する状態に制御する発光制御手段を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の警報装置。
【請求項8】
前記地上通信装置が備える第1の発光通信手段及び前記車載通信装置が備える第2の発光通信手段は、それぞれ複数の色で発光するカラー光源を備え、重畳する情報に応じて発光する可視光を単色又は混合色又は発光の強弱を選択的に発光制御可能であることを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の警報装置。
【請求項9】
前記地上通信装置又は前記車載通信装置は、車両の運行指示に用いる携帯型のランタン型形状に準じた形状とすることを特徴とする請求項3乃至請求項8のいずれかに記載の警報装置。
【請求項10】
前記地上通信装置と前記車載通信装置は、動作電源を供給する電源部と、各種制御を行う制御部と、可視表示を行う表示手段を構成する表示部と、音響出力手段を構成する音響出力部と、少なくとも第1又は第2の発光通信手段の情報重畳制御と通信制御を構成する通信制御部と、少なくとも第1又は第2の発光通信手段の可視光を発光する発光部と、少なくとも第1又は第2の発光通信手段の他の手段からの可視光を受光する受光部とを備え、各部分を分離可能であることを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれかに記載の警報装置。
【請求項11】
地上の見通しのきかないカーブや山陰等の地点では前記地上通信装置の前記第1の発光通信手段を1又は複数設置し、作業現場に前記第1の表示手段又は第1の音響出力手段を設置し、前記各発光通信手段と前記第1の表示手段又は第1の音響出力手段間は通信媒体を介して接続し、車両が作業を行う特定領域へ接近又は進入したことを前記作業現場に設置した前記第1の表示手段又は前記第1の音響出力手段から監視者又は作業者へ警報として報知可能とすることを特徴とする請求項3乃至請求項10のいずれかに記載の警報装置。
【請求項12】
前記通信媒体は、公衆電話回線網、又は鉄道線路に沿った既設の有線の電話回線、又は臨時の仮回線、又は敷設する移動可能な回線、又は無線回線、又はインターネット回線、又は光回線、又は通常の携帯電話回線、又は作業現場用の携帯通信回線等の何れかの通信回線であることを特徴とする請求項11記載の警報装置。
【請求項13】
前記発光通信手段の可視光の発光光源はLEDであることを特徴とする請求項3乃至請求項12のいずれかに記載の警報装置。
【請求項14】
前記地上通信装置の第1の発光通信手段又は前記車載通信装置の第2の発光通信手段には、人間が肉眼で見ることのできる可視光を出力する素子と、赤外線又は紫外線又はレーザー光線を出力する素子からなる複合光源を用い、対応する前記第1の発光通信手段及び第2の発光通信手段では、前記可視光を受信する素子と、前記赤外線又は前記紫外線又は前記レーザー光線を受光する素子の何れかの素子との複数の素子からなる複合の受光素子、又は1つの素子で複数の種類の光を受光できる受光素子を用いることを特徴とする請求項3乃至12のずれかに記載の警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−11601(P2011−11601A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156397(P2009−156397)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(509185479)株式会社アキュテック (1)
【Fターム(参考)】