説明

警報装置

【課題】使用時には手動で姿勢を変更して設置する器具、例えば、卓球台では天板の押し上げ及び押し下げや移動の作業があり、ある程度の力の有る大人2名が同じ力を出してバランス良く行う必要がある。
【解決手段】警報装置1を器具に取付ける。警報装置1は姿勢と振動を検知する加速度センサーと、アラームを発する警報手段と、検知情報に基づいて警報手段をONにしてアラームを出す制御手段とを備え、制御手段は器具の姿勢変更部が起立姿勢と横臥姿勢の間の変更中姿勢にあることを検知すると、または起立姿勢で振動を検知すると前記警報手段をONにする。従って、卓球台3に取り付けた場合には、天板5を押し下げたり押し上げたり、卓球台3を移動しようとすると、アラームメッセージ「大人2名で行って下さい」が繰り返し出力されるので、作業開始直後に作業者に強く注意を喚起でき、事故の発生をより確実に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は卓球台のように使用時には手動で姿勢を変更して設置する器具に取付ける警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式卓球台には、特許文献1に記載された内折タイプのものとセパレートタイプのものがある。これらはいずれも、二名の作業者が一組となって、収納の際には一対の天板を起立させた状態に折り畳み、使用の際には一対の天板を水平方向に展開した状態に設置するようになっている。
而して、一対の天板が比較的重量物であることから、展開の際には左右天板の後端をある一定の位置まで押し下げると、重量が急速に天板を拡げるように働く。そのため、一方の作業者の力が強く片方の天板の押し下げが先行してしまったような場合には、その勢いで天板が他方側へ倒れる危険性があり、作業は十分な注意を払って慎重に行う必要がある。また、一定の高さまで重量物である天板を押し上げたり押し下げたりするためにはかなりの力を要する。
したがって、天板の裏面に、「移動・設置・収納は大人2名で」との注意書きと共に具体的な作業方法の説明文を記したシールを貼ることで、作業者に視覚面から訴えて注意を喚起している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−151592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、注意書きは往々にして見落とされがちである。卓球は手軽なスポーツであり、子供や高齢者だけで楽しむ場合もあることから、特に別の方法でも注意を喚起させたいが、このような事情は、卓球に限らず、使用時に手動で姿勢を変更して設置するような器具に共通する課題でもある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に着目して為されたものであり、本発明は卓球台のように、使用時には手動で姿勢を変更して設置する器具一般に取付ける警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、使用時に姿勢を手動で変更する器具に取付けられる警報装置であって、姿勢検知手段と、振動検知手段と、警報手段と、前記姿勢検知手段と前記振動検知手段からの検知情報に基づいて前記警報手段をONにしてアラームを出す制御手段とを備え、前記制御手段は器具の姿勢変更部が起立姿勢と横臥姿勢の間の変更中姿勢にあることを検知すると、または起立姿勢で振動を検知すると前記警報手段をONにすることを特徴とする警報装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した警報装置において、警報装置の電源ONを検知して計時を開始する電池寿命タイマーと、電源の電池交換を告知する告知手段を備え、制御手段は前記電池寿命タイマーから設定時間が経過したことが知らされると、前記告知手段をONにすることを特徴とする警報装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した警報装置において、姿勢検知手段と振動検知手段を1つの加速度センサーにより構成したことを特徴とする警報装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した警報装置において、卓球台に取付けることを特徴とする警報装置である
【発明の効果】
【0010】
本発明の警報装置によれば、作業開始直後に作業者に強く注意を喚起でき、事故の発生をより確実に防止できる。
しかも、後付けで取り付けることができるので、既存の器具にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る警報装置付き卓球台の移動作業中の状態を示す斜視図である。
【図2】図1の卓球台における天板が横臥姿勢のときの側面図である。
【図3】図1の卓球台における天板が変更中姿勢のときの側面図である。
【図4】図1の警報装置の回路構成図である。
【図5】図1の警報装置における傾斜や移動を検知する仕組みの説明図である。
【図6】図1の警報装置の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態にかかる警報装置1を、図面にしたがって以下に説明する。
図1に示すように、警報装置1は、収納性の高い折り畳み式のうち内折りタイプの卓球台3に取り付けたものである。この卓球台3には、左右一対の天板5、5、天板5、5の裏面に設けられた枠材7、両天板5、5の突合せ縁の裏面に設けた蝶番9、下端にキャスターが設けられた移動足11、固定支持脚13、連結杆14等が備えられている。
そして、卓球台3の天板5、5の左右両側縁のうち一方である右端縁の裏面に、警報装置1がマジックテープ(登録商標)、接着剤等の適宜な取付け手段を介して取り付けられている。
また、該裏面には、「移動・設置・移動は大人2名で」との注意書きと、具体的な作業方法の説明文を記したシール15が貼られている。
【0013】
警報装置1の筺体17は偏平箱状に形成されている。この筺体の裏面側には扉(図示省略)が設けられており、開閉自在となっている。
この筺体17の内部には、図4に示す構成のものが収納されている。
符号19は加速度センサーを示し、この加速度センサー19は筺体17の傾斜や振動に基づいて内部の慣性体が偏倚することで所定の電気信号を出力するものである。この実施の形態では、この1つの加速度センサー19によって姿勢検知手段と振動検知手段が構成されている。
【0014】
加速度センサー19の他にも、以下のものが収納されている。
符号21は制御手段を示し、この制御手段21には主だったものとしてCPU23とROMとRAMとを含むマイクロコンピュータ、CPUに接続された電池寿命タイマー25と、音声合成回路と、ランプを駆動するドライバが備えられている。なお、図4では、以下の説明の便宜のために、制御手段21の表示枠内にはCPU23と電池寿命タイマー25のみが示されている。
【0015】
符号27はアンプを示し、このアンプ27が音声合成回路で生成された音声信号を増幅する。さらに、符号29はスピーカを示し、このスピーカ29からアラームメッセージ「大人2名で行ってください」が繰り返し出力されるようになっている。アンプ27とスピーカ29によって警報手段が構成されている。
符号31は告知手段としてのLEDランプを示し、上記したドライバによって駆動されて点滅するようになっている。
符号33は電源としての電池を示す。
【0016】
上記した構成の警報装置1は、図1に示すように、天板5に対して、スピーカ29が表面側を向いて、LEDランプ31が上面側を向くように取り付けられる。
【0017】
次に、警報装置1の傾斜や移動を検知する仕組みについて、図5にしたがって説明する。
警報装置1は天板5に対して上記した位置関係で取り付けられているため、加速度センサー19は筺体17のA方向への傾斜状態と、B方向への振動状態を検知できるようになっている。
【0018】
卓球台3の収納・設置作業の際には、一対の天板5、5の左右両端側に1名ずつ作業者が立ち、各作業者が天板5や枠材7を持って、一定位置まで天板5を押し上げたり押し下げたりして、蝶番9を支点にして一対の天板5、5を互いに反対方向に回動させる。収納の際には、天板5、5を内折り方向に回動させて、天板5、5の表面側が互いに向い合い且つ移動足11と固定支持脚13に沿った起立姿勢にし、設置の際には、天板5、5を展開方向に回動させて天板5、5を水平の横臥姿勢にする。また、移動作業の際には、収納状態にした上で、天板5や枠材7を2名の作業者が図1に示すように持ちながら移動する。
【0019】
警報装置1は、一方の天板5の裏面に図1に示すように取り付けられて一体になっているので、警報装置1の状態は当該天板5の状態でもある。
したがって、加速度センサー19は、図1に示すように姿勢変更部としての天板5が起立姿勢にあるときは「垂直」の状態として検知し、図2に示すように天板5、5が横臥姿勢にあるときは「水平」の状態として検知し、図3に示すように天板5、5が変更中姿勢にあるときは「垂直でも水平でもなく、その中間で傾いた」状態として検知することになる。
また、加速度センサー19は、図1に示すように移動中であるときを「振動」状態として検知することになる。
【0020】
次に、警報装置1の具体的な動作を、図6にしたがって説明する。
筺体17に内蔵された電源スイッチ(図示省力)をONにすると、CPU23等に電力が供給され、動作可能な状態となる。そして、電池寿命タイマー25が計測をスタートする。
CPU23は、加速度センサー19からの傾斜や振動の検知情報に基づいて、所定の判定基準に従って、所定の場合には警報手段をONにして、即ち音声合成回路を駆動させ、スピーカ29からアラームメッセージ「大人2名で行ってください」を繰り返し出力させるようになっている。
【0021】
次に、判断基準を説明するが、以下説明の便宜のためにアラームメッセージを出力する場合を「アラームON」、出力しない場合を「アラームOFF」と記載する。
図2に示すように、天板5、5が展開されて水平になっている場合には筺体17も水平になっているので、加速度センサー19は「水平」状態を検知し、CPU23は安定な横臥姿勢であるとしてアラームをOFFにする。
なお、図2に示すように、天板5、5が水平になっている場合は使用可能状態にあることになるが、アラームがOFFになっているので、プレイ中に競技者が卓球台3に接触してもアラームメッセージが誤って出力されることは無くなる。
【0022】
図3に示すように、天板5が水平でも垂直でもなく、その中間の傾いた状態にある場合には筺体17も同様にA方向に傾いていることになるので、加速度センサー19は「垂直でも水平でもなく、その中間で傾いた」状態を検知し、CPU23は変更中姿勢であるとしてアラームをONにする。
図3では、設置作業を開始した直後の状態を示しているため、天板5が起立姿勢に近くなっているが、このように作業開始直後でもアラームをONにするので、子供達などが誤って作業を開始しても天板5が重量により急速に拡がる前に中止させることができ、事故の発生を確実に防止できる。
【0023】
図1に示すように、天板5が内折りされて垂直に起立している場合には、振動が有るか否かをさらに判断するが、加速度センサー19は筺体17がB方向に振動するので「振動」状態を検知する。したがって、CPU23は「移動」状態であるとして、アラームをONにする。このようにアラームをONにすることで、子供達などが誤って卓球台3の移動を開始しても速やかに中止させることができ、事故の発生を確実に防止できる。
なお、振動が無い場合には、CPU23は安定な起立姿勢であるとして、アラームをOFFにする。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、卓球台は内折タイプに限定されず、セパレートタイプでもよい。また、卓球台に限らず、その他の卓上式スポーツ器具や、さらには、その他のかなりの重量があり、移動や使用の際に危険の生ずるものへの適用も考えられる。
また、器具の種類によって、アラームメッセージは適宜変更できる。また、アラームはメッセージに限らず、ブザーなどの音、さらには光等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の警報装置は、卓球台のような器具に取り付けて使用できる。
【符号の説明】
【0026】
1…警報装置 3…卓球台
5…天板 7…枠材
9…蝶番 11…移動足
13…固定支持脚 14…連結杆
15…シール 17…筺体
19…加速度センサー 21…制御手段
23…CPU 25…電池寿命タイマー
27…アンプ 29…スピーカ
31…LEDランプ 33…電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に姿勢を手動で変更する器具に取付けられる警報装置であって、姿勢検知手段と、振動検知手段と、警報手段と、前記姿勢検知手段と前記振動検知手段からの検知情報に基づいて前記警報手段をONにしてアラームを出す制御手段とを備え、前記制御手段は器具の姿勢変更部が起立姿勢と横臥姿勢の間の変更中姿勢にあることを検知すると、または起立姿勢で振動を検知すると前記警報手段をONにすることを特徴とする警報装置。
【請求項2】
請求項1に記載した警報装置において、
警報装置の電源ONを検知して計時を開始する電池寿命タイマーと、電源の電池交換を告知する告知手段を備え、制御手段は前記電池寿命タイマーから設定時間が経過したことが知らされると、前記告知手段をONにすることを特徴とする警報装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した警報装置において、
姿勢検知手段と振動検知手段を1つの加速度センサーにより構成したことを特徴とする警報装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した警報装置において、
卓球台に取付けることを特徴とする警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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