説明

警報装置

【課題】電力を全く使用することなく、圧縮エアのみを使用して盗犯者等の不正侵入者の建築物への侵入防止および防犯を目的とする警報装置を提供する。
【解決手段】建築物の開口部に開閉自在に設けられる開閉部材Sの開放または閉鎖を検知する検知部10と、前記検知部10によって開閉部材の開放または閉鎖を検知してエアホーン9の鳴動を制御する制御部20、並びに前記検知部10および制御部20に圧縮エアを供給するエア供給部30とを備えると共に、前記エア供給部30と検知部10および制御部20とを管路6・7により接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を全く使用することなく、圧縮エアのみを使用して盗犯者等の不正侵入者の一般住宅、あるいは店舗や倉庫などの建築物への侵入防止および防犯を目的とする警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、一般住宅、あるいは建築物の開口部に取り付けられたドア、窓、シャッター等の開閉部材と前記開口部とに磁気センサーを設置し、該開口部を不正侵入者が不正にこじ開けて侵入した場合、前記開閉部材が開放されたことを磁気センサーが検知して、居住者のみならず周囲の人にも聴えるような高音の警報を発して、音響により不正侵入者を威嚇して撃退したり、あるいは警報を発すると同時に警備会社に不正侵入者の侵入を報知する警報装置が汎用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−223684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来汎用されている警報装置は、電力により作動するものであるため、不正侵入者が電力供給を断った場合には、該警報装置が全く作動せず、セキュリティの目的を達成することができないという課題があった。また、不正侵入者が電力供給を断たなくても、磁気センサーが設置されていない壁面を破壊して侵入した場合、磁気センサーは全く侵入を検知することができず、セキュリティの目的を達成することができないという課題があった。
【0005】
本発明は前記従来の課題を解決すべくなされたものであって、従来汎用されている警報装置のように、作動に全く電力を必要とせず、圧縮エアのみにより作動する警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、建築物の開口部に開閉自在に設けられる開閉部材の開放または閉鎖を検知する検知部と、前記検知部によって開閉部材の開放または閉鎖を検知してエアホーンの鳴動を制御する制御部、並びに前記検知部および制御部に圧縮エアを供給するエア供給部とを備えると共に、前記エア供給部と検知部および制御部とは管路により接続されるという手段を採用することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
本発明警報装置によれば、電力を全く使用することなく、圧縮エアのみを使用することにより、電線を切断されても、あるいは停電時でも警報装置は作動して、盗犯者等の不正侵入者の一般住宅、あるいは店舗や倉庫などの建築物への侵入防止および防犯を充分に図ることができるので、セキュリティ設備として極めて優れている。また、本発明警報装置によれば、不正侵入者が開閉部材をこじ開けることなく、壁面を破壊して管路を破断することによっても、エアホーンが鳴動するので、防犯効果は従来の警報装置に比べて極めて大きいものである。更に、本発明警報装置によれば、電力を全く使用することがないので、防爆施設においても使用できると共に、水に濡れるような場所においても使用できる等、極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る警報装置を一般住宅に取付けけた例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る警報装置においてセキュリティロックが設定された状態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る警報装置において不正侵入者の侵入を検知した状態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る警報装置を設置した壁面が、不正侵入者に破壊され管路が切断された状態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る警報装置においてセキュリティロックが設定された状態を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る警報装置において不正侵入者の侵入を検知した状態を示す概略図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る警報装置において不正侵入者の侵入を検知した状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る警報装置において警報動作を解除した状態を示す概略断面図である。
【図9】本発明に係る警報装置に適用される加圧表示部において、圧縮エアがエア圧回路に未供給状態を示す断面図である。
【図10】本発明に係る警報装置に適用される加圧表示部において、圧縮エアがエア圧回路に供給状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例を添付図面に基づいて説明するが、図1は、本発明警報装置の基本構成を示す全体の概略構成図であって、一般住宅に取付けけた例を示している。すなわち、本発明の警報装置1は、一般住宅、あるいは建築物の開口部に開閉自在に設けられるドア、窓、シャッター等の開閉部材Sの開放または閉鎖を検知する検知部10と、前記検知部10による開閉部材Sの開放または閉鎖を検知してエアホーン9の鳴動を制御する制御部20、並びに前記検知部10および制御部20に圧縮エアを供給するエア供給部30とを備えると共に、前記エア供給部30と検知部10および制御部20とは、管路6・7により接続されて形成されている。
【第1実施形態】
【0010】
本発明の第1実施形態に係る警報装置1は、図2および図3に示すように一般住宅あるいは建築物のドア、窓、シャッター等の開口部に開閉自在に設けられる開閉部材の開放または閉鎖を検知して、第2エア弁21への圧縮エアの遮断または供給を制御する第1エア弁11を備えた検知部10と、前記第1エア弁11から管路7を介して圧縮エアが供給または遮断される第2エア弁21と、前記第1エア弁11から該第2エア弁21への圧縮エアの供給または遮断により、第2エア弁21において前記エアタンク4からの圧縮エアが供給または遮断され、これにより鳴動が制御されるエアホーン9とを備えた制御部20と、前記検知部10および制御部20に圧縮エアを供給するエア供給部30とを備えて形成されている。
【0011】
前記検知部10および制御部20に圧縮エアを供給するエア供給部30は、本発明装置の起動部であり、圧縮エアの供給源であるエアコンプレッサ2と該検知部10および制御部20とを接続する管路6の途中には、元圧遮断弁50と加圧表示部70(図9参照)とが接続されると共に、前記元圧遮断弁50の上流側には、前記エアコンプレッサ2にエアの逆流を防止する逆止弁3を備えてエアタンク4が接続されて形成されている。なお、前記管路6は、途中で分岐し、検知部10および制御部20に圧縮エアをそれぞれ供給する。
【0012】
前記管路6は、好ましくは前記加圧表示部70の下流側から検知部10および制御部20に至るまでは、コンクリートやALCより成る壁面Wに埋設固定されることが推奨される。前記元圧遮断弁50は、手動レバー51の動きに連動して変位する弁体52が設けられており、図2に示すように、手動レバー51が開放状態(ON)にあるときは、該元圧遮断弁50の給圧ポートPに供給されるエアタンク4からの圧縮エアが出力ポートAに伝達され、前記検知部10および制御部20に圧縮エアが供給される。
【0013】
一方、図2の下側において枠で囲んで図示するように、元圧遮断弁50の手動レバー51が閉止状態(OFF)にあるときは、給圧ポートPに供給される圧縮エアが遮断され、該圧縮エアは出力ポートAに伝達されず、前記検知部10および制御部20への圧縮エアの供給が遮断される。
【0014】
前記元圧遮断弁50のON/OFF動作に対応して、管路6に圧縮エアが供給された場合と未供給の場合とが、加圧表示部70で目視判断により識別できるようになっている。前記加圧表示部70は、特に限定する必要はないが、好ましくは色の変化によって圧縮エアの供給および未供給の状況を識別確認する構成とすることが推奨される。その具体例については後述する。
【0015】
本発明警報装置を設置した店舗や倉庫等において、夜間等の無人状態になるときに、元圧遮断弁50の手動レバー51を開放状態(ON)にしてセキュリティロックを設定する。一方、昼間等店舗や倉庫等において従業員等の活動時間帯になるときに、前記手動レバー51を閉止状態(OFF)にしてセキュリティロックを解除する。従って、前記のようにセキュリティロックを解除すれば、図3の下側において枠で囲んで図示するように、元圧遮断弁50の手動レバー51が閉止状態(OFF)にあるときは、給圧ポートPに供給される圧縮エアが遮断され、前記検知部10および制御部20への圧縮エアの供給が遮断され、開閉部材Sを開放してもエアホーン9は鳴動しない。
【0016】
前記検知部10は、ドア、窓、シャッター等の開閉部材Sが、壁面Wにおいて、閉鎖時に当接する枠部材Fの開口部端面に第1エア弁11を設置して形成されている。前記検知部10は、1個または複数個の第1エア弁11を前記枠部材Fの開口部端面に設置して形成され(図2においては複数個の第1エア弁11が設置された状態が図示されている)、前記第1エア弁11が設置されている開閉部材Sが開放状態になった場合、該第1エア弁11から制御部20を構成する第2エア弁21への圧縮エアの供給が遮断される。
【0017】
前記枠部材Fに設置された第1エア弁11は、前記開閉部材Sの開閉動作に応じて押しばね等により縮重または弾発する付勢部材14により変位するよう、該第1エア弁11外へ突設されて、前記枠部材Fの開口部端面に当接する当接片12と、該当接片12に連動して変位する弁体13とを備えて構成されている。
【0018】
図2に示すように、開閉部材Sが閉鎖状態で、且つ前記当接片12が前記枠部材Fの開口部端面に当接して付勢部材14が縮重されているときは、前記エア供給部30から管路6を経て、前記第1エア弁11の給圧ポートPから該第1エア弁11内に供給された圧縮エアは、前記給圧ポートPと連通状態となっている出力ポートAに伝達され、該出力ポートAから管路7を経て第2エア弁21に供給される。
【0019】
一方、図3に示すように、開閉部材Sが開放状態にあるときは、前記第1エア弁11の給圧ポートPが閉鎖されて、該給圧ポートPに供給される圧縮エアが遮断されるので、出力ポートA側の残圧が排気ポートRから排気されると共に、第2エア弁21への圧縮エアの管路7を介しての供給が遮断される。
【0020】
前記制御部20は、前記検知部10を構成する第1エア弁11から供給または遮断される圧縮エアによって切替え動作をする第2エア弁21を設置して形成されている。前記第2エア弁11は、前記検知部10を構成する第1エア弁11から供給または遮断される圧縮エアによって、縮重または弾発する付勢部材23により変位する弁体22を備えている。
【0021】
図2に示すように、開閉部材Sが閉鎖状態にあるときは、第1エア弁11の出力ポートAから第2エア弁21の入力ポートBに圧縮エアが供給されると共に、該第2エア弁21の入力ポートBから第2エア弁21内に圧縮エアが供給されると、弁体22が付勢部材23に抗して下方へ押圧される。この時、給圧ポートPが下降した弁体22によって閉鎖されているので、前記エア供給部30からの管路6を介しての圧縮エアの供給が遮断され、出力ポートAに接続されているエアホーン9へは圧縮エアが供給されてないので、該エアホーン9は鳴動することはない。
【0022】
一方、図3に示すように、開閉部材Sが開放状態にあるときは、第1エア弁11の弁体13が給圧ポートPを遮断するので、該第1エア弁11の出力ポートAから管路7を介して、前記第2エア弁21を作動させる作用をするパイロット圧としての入力ポートBへの圧縮エアの供給が遮断されると、弁体22が付勢部材23の弾発力により上昇して、給圧ポートPを開放して、前記エア供給部30からの管路6を介して圧縮エアが該第2エア弁21内に供給されると共に、該給圧ポートPと連通する出力ポートAから圧縮エアがエアホーン9に送気され、該エアホーン9を鳴動させる。なお、前記エアホーン9の鳴動は、エア給供部30から圧縮エアの供給を遮断しない限り、該エアホーン9は鳴動し続ける。
【0023】
なお、図示を省略するが、検知部10を構成する第1エア弁11が複数個の場合、エアコンプレッサ2側に連結する管路6および第2エア弁21側に連結する管路7に対して、前記各第1エア弁11は、それぞれ直列または並列に接続される。
【0024】
前記第1エア弁11を複数個直列接続する場合は、エアコンプレッサ2側の管路6は、検知部10の始端に位置する第1エア弁11の給圧ポートPに接続し、終端に位置する第1エア弁11の出力ポートAは第2エア弁21側の管路7に接続される。そして、始端と終端の間に配置される第1エア弁11は、それぞれ互いに隣接する第1エア弁11同士の出力ポートAと給圧ポートPとが接続されることになる。
【0025】
一方、第1エア弁11が複数個並列接続の場合は、複数の第1エア弁11の給圧ポートPは、エアコンプレッサ側の管路6にそれぞれ別々に接続されると共に、前記各第1エア弁11の出力ポートAは、第2エア弁21側の管路7にそれぞれ別々に接続される。
【0026】
次に、図2および図3を参照して、実施例1の警報装置1の作用について説明する。先ず、セキュリティロックを設定するに際し、開閉部材Sが全て閉鎖状態になっていることを確認すると共に、エアコンプレッサ2を動作させてエアタンク4にエアが充填されたことを確認した上で、エア供給部30の元圧遮断弁50をONにする。このとき、エア回路にエア圧が供給されたことを目視にて加圧表示部70で確認し、セキュリティロックの設定を完了する(図2)。
【0027】
前記セキュリティロックが設定されると、エアタンク4からの圧縮エアは、図2において多数のドットで表示されているように、元圧遮断弁50、加圧表示部70、管路6・7、第1エア弁11を経て第2エア弁21に供給される。前記第2エア弁21の入力ポートBから該第2エア弁21内に圧縮エアが供給されると、弁体22が付勢部材23に抗して下方へ押圧されて下降し、給圧ポートPが下降した弁体22によって閉鎖されているので、前記エア供給部30からの管路6を介しての圧縮エアの供給が遮断され、出力ポートAに接続されているエアホーン9へは圧縮エアが供給されず、該エアホーン9は鳴動することはない。すなわち、この状態とすることにより、セキュリティロックの設定が完了することになる。
【0028】
なお、以下、本第1実施形態の外、各実施形態を示す図面において、各管路および各エア弁に多数のドットが表示されている場合には圧縮エアが供給されていることを示し、多数のドットの表示がない場合には圧縮エアが供給されていないことを示す。
【0029】
前記図2に示すセキュリティロック設定の完了後、外部から不正侵入者が開閉部材Sをこじ開けて侵入を試みた場合、図3に示すように、前記開閉部材Sが開放されることにより、検知部10を構成する第1エア弁11の弁体13と一体の当接片12が付勢部材14の弾発力により上昇すると共に、該弁体13が給圧ポートPを閉鎖して、該給圧ポートPに供給される圧縮エアが遮断されることにより、出力ポートA側の残圧が排気ポートRから排気され、第2エア弁21への圧縮エアの供給が遮断される。
【0030】
そして、前記第2エア弁21への圧縮エアの供給が遮断された結果、該第2エア弁21の弁体22が付勢部材23の弾発力により上昇して、給圧ポートPを開放して、前記エア供給部30からの管路6を介して圧縮エアが該第2エア弁21内に供給されると共に、該給圧ポートPと連通する出力ポートAから圧縮エアがエアホーン9に給気され、エアホーン9を鳴動させて、該エアホーン9の鳴動が継続することにより、周囲に不正侵入者の存在を知らしめると共に、不正侵入者を威嚇して逃走させ、犯罪の発生を未然に防ぐことができる。なお、前記エアホーン9はエアタンク4に圧縮エアがある限り鳴動を続けるが、元圧遮断弁50をOFFにすることによって、エアホーン9の鳴動を停止させることができる。
【0031】
図4は、本発明の第1実施形態に係る警報装置を設置した壁面が、不正侵入者に破壊され管路が切断された状態を示している。不正侵入者は、汎用されている従来型の開口部に設置されている警報装置を作動させないようにするために、磁気センサー等のセンサー部材が設置されている開口部には全く手を付けず、警報装置が設置されていない壁面の破壊行動を行う場合がある。この場合、本発明警報装置1は壁面Wに管路6・7を埋設固定することにより対応することができる。
【0032】
すなわち、不正侵入者が壁面Wの破壊行為におよんで、管路6・7を切断してしまった場合(図3は管路6が切断されている)は、第1エア弁11の弁体12は上昇しないが、該第1エア弁11の給圧ポートPへの圧縮エアの供給が停止されると共に、第2エア弁21への圧縮エアの供給も停止されてしまい、該第2エア弁21側に接続する管路7の残圧が排除されてしまうので、前記図3に示す開閉部材Sの開放状態と同一状態となり、エアホーン9が鳴動する。
【0033】
以上説明した第1実施形態において、第2エア弁21は必須の構成要素ではなく、第1エア弁11の出力ポートA側をエアホーン9に直結する場合も取り得る。この場合、第1エア弁11は開閉部材Sが閉鎖状態にあるときは、給圧ポートPに供給される圧縮エアが遮断され、且つ該開閉部材Sが開放状態にあるときは、給圧ポートPに供給される圧縮エアが出力ポートAに伝達されるように仕様を変更する必要がある。
【第2実施形態】
【0034】
図5は、本発明の第2実施形態に係る警報装置において、セキュリティロックが設定された状態を示している。また、図6は、第2実施形態2に係る警報装置1において、不正侵入者の侵入を検知した状態を示している。なお、図5および図6において、図2および図3と同一の部分は、同一の符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0035】
第2実施形態に係る警報装置1は、その制御部20が前記第1実施形態における第2エア弁と同一構成の第2エア弁21から供給される圧縮エアの供給および遮断をする第3エア弁31が、前記第2エア弁21の下流側に接続されると共に、エア供給部30とも接続されて形成されている。すなわち、第2エア弁21の出力ポートAから延びる管路8に、第3エア弁31のパイロット圧としての圧縮エアを供給する入力ポートBが接続されている。そして、エアホーン9は、前記第3エア弁31を介して圧縮エアが前記エア供給部30から供給されて鳴動する。
【0036】
前記第3エア弁31は、前記第2エア弁21からのパイロット圧としての圧縮エアが、入力ポートBに供給または遮断されることによって縮重または弾発する付勢部材33によって変位する弁体32を備えている。そして、図5に示すように、開閉部材Sが閉鎖状態にあるときは、第1エア弁11の出力ポートAから第2エア弁21の入力ポートBに圧縮エアが供給されると、弁体22が付勢部材23に抗して下方へ押圧される。
【0037】
この時、前記第2エア弁21の給圧ポートPが下降した弁体22によって閉鎖されているので、前記エア供給部30からの管路6を介しての圧縮エアの供給が遮断され、出力ポートAに管路8を介して接続されている第3エア弁31の入力ポートBへパイロット圧としての圧縮エアは供給されない。その結果、前記第3エア弁31の弁体32は付勢部材33の弾発力で上昇して、給圧ポートPが閉鎖されているので、前記エア供給部30からの圧縮エアが遮断され、エアホーン9へは圧縮エアが供給されず、該エアホーン9は鳴動することはない。
【0038】
一方、図6に示すように、開閉部材Sが開放状態にあるときは、第1エア弁11の弁体13が給圧ポートPを遮断するので、該第1エア弁11の出力ポートAから管路7を介しての第2エア弁21の入力ポートBへの圧縮エアの供給が遮断されて、弁体22が付勢部材23の弾発力により上昇して、給圧ポートPを開放して、前記エア供給部30からの管路6を介しての圧縮エアが該第2エア弁21内に供給されると共に、該給圧ポートPと連通する出力ポートAからパイロット圧としての圧縮エアが、該出力ポートAに管路8を介して接続されている第3エア弁31の入力ポートBから該第3エア弁31内へ供給される。その結果、前記第3エア弁31の弁体32は付勢部材33に抗して下降し、給圧ポートPが開放されるので、前記エア供給部30からの圧縮エアが供給されて、出力ポートAから圧縮エアがエアホーン9に給気され、該エアホーン9を鳴動させる。
【第3実施形態】
【0039】
図7は、本発明の第3実施形態に係る警報装置1において、不正侵入者の侵入を検知した状態を示している。また、図8は、第3実施形態に係る警報装置1において警報動作を解除した状態を示している。なお、図7および図8において、図5および図6と同一の部分は、同一の符号を使用し、詳細な説明を省略する。
【0040】
第3実施形態に係る警報装置1は、その制御部20が、前記第2実施形態における第2エア弁21と第3エア弁31とを接続する管路8の経路において、該第2エア弁21の下流側に手動遮断弁60を、また該手動遮断弁60の上流側に加圧表示部70bをそれぞれ設置して形成されている。なお、図7および図8においては、手動遮断弁60と加圧表示部70とを設置することにより、図5および図6における「管路8」が分割されるため、「管路8a・8b」と符号を変更すると共に、「加圧表示部70」も2個使用するため、「加圧表示部70a・70b」と符号を変更使用した。
【0041】
前記手動遮断弁60は、手動レバー61の動きに連動して変位する弁体62が設けられている。図7に示すように、手動レバー61が開放状態にあるときは、該手動遮断弁60の給圧ポートPに供給される圧縮エアが出力ポートAに伝達され、更に該出力ポートAから管路8bを介して第3エア弁31の給圧ポートBに、パイロット圧としての圧縮エアが供給される。
【0042】
そして、図7に示すように、開閉部材Sが開放状態にあるときは、第1エア弁11の給圧ポートPが遮断されて、出力ポートAから第2エア弁21の入力ポートBに圧縮エアが供給されず、排気ポートRから残圧が排気されて、該第2エア弁21の弁体22が付勢部材23の弾発力により上昇して給圧ポートPを開放して、出力ポートAから管路8aを介して手動遮断弁60の給圧ポートPから圧縮エアが供給され、更に出力ポートAから管路8bを介して第3エア弁31の入力ポートBから該第3エア弁31内に供給される。
【0043】
前記第3エア弁31の入力ポートBから第3エア弁3内に圧縮エアが供給されると、弁体32が付勢部材33に抗して下方へ押圧される。この時、前記第3エア弁31の給圧ポートPが下降した弁体32によって開放されているので、前記エア供給部30からの管路6を介しての圧縮エアが給圧ポートPから供給されて、出力ポートAからエアホーン9へ給気されて、該エアホーン9が鳴動する。
【0044】
一方、図8に示すように、手動レバー61が閉止状態にあるときは、弁体62が下降して手動遮断弁60の給圧ポートPが閉鎖されるため、前記第2エア弁21からの圧縮エアは遮断され、排気ポートRから残圧が排気されて、前記第3エア弁31の入力ポートBへは圧縮エアは供給されない。その結果、第3エア弁31の付勢部材33が弾発して弁体32を上昇させて、給圧ポートPが閉鎖されるので、エア供給部30からの圧縮エアが供給されず、エアホーン9が鳴動することはない。
【0045】
前記第3実施形態によれば、元圧遮断弁50をONにしても、手動遮断弁60をOFFにしておけば、エアホーン9を鳴動させたくない活動時間帯において停止させることができると共に、警報装置1の動作確認や開閉部材Sの開閉状態の認識を、加圧表示部70bの目視により確認することができる。
【0046】
すなわち、図7・図8の場合、加圧表示部70bに圧縮エアが供給されて、開閉部材Sが開放されていることを該加圧表示部70bによって目視確認できる。一方、開閉部材Sが閉鎖されているときは、第2エア弁21の給圧ポートPが遮断されてエア供給部30からの圧縮エアが出力ポートAから管路8aへは供給されず、従って前記加圧表示部70bへも供給されないので、該加圧表示部70bの圧縮エアの供給時と異なる表示となるため、これにより開閉部材Sが閉鎖されていることを目視確認することができる。
【0047】
なお、本発明警報装置1において、圧縮エアが供給されているか否かを確認する手段としては、特に限定する必要はないが、好ましくは図9・図10に示すように、圧縮エアの給送圧により、供給時と未供給時を色の変化により目視で確認することができる構成を採用することが推奨される。すなわち、本発明においては、圧縮エアの供給時と未供給時を色の変化により目視で確認する構成の例として、図9において、前記各実施形態に適用される加圧表示部であって、圧縮エアがエア圧回路に未供給状態の断面図が図示されており、また図10において、圧縮エアがエア圧回路に供給状態の断面図が図示されている。
【0048】
前記加圧表示部70は、表示体84(第1表示体84a・第2表示体84b)を臨む開口部72を有するフレーム71と、該フレーム71と一体化しているステータ73および回動軸75と、外側面に第1表示体84a・第2表示体84bを有するドラム81とにより構成されている。
【0049】
前記ドラム81の内側面から中心方向に延出する仕切壁82の先端は、ゼンマイ等の弾性部材74の作用で回転変位に対し復元力が発生するように、回動軸75に支持されている。そして、ドラム81の内側面とステータ73の側面と仕切壁82とによって二つの空間J・Kが形成されている。このうち一方の空間Jは、管路6(8)に連通する給圧ポートPが開口し、他方の空間Kは大気側に連通するポートCが開口されている。
【0050】
前記のように加圧表示部70が構成されることにより、管路6(8)に圧縮エアが未供給の状態では、図9に示すように、弾性部材74の復元力により開口部72から第1表示体84aが臨む状態であり、圧縮エアが供給された状態では、図10に示すように、弾性部材74の弾性力に抗って空間Jが拡大すると共に空間Kが縮小し、ドラム81が回動して開口部72から第2表示体84bが臨む状態となる。
【0051】
なお、前記第1表示体84aと第2表示体84bは、圧縮エアの供給・未供給状態を目視確認できるよう、特に限定する必要はないが、好ましくは、未供給を示す第1表示体84aを青色、供給状態を示す第2表示体84bを赤色に着色することが推奨される。
【0052】
本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、共通する技術思想の範囲内において、適宜変形して実施することができる。例えば、記載した各種弁は、弁体が一方向に移動するピストン状ものを例示したが、これに限定されるものでなく、弁体を回転方向に移動させるものや、ニードル状のものを適用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1…警報装置、2…エアコンプレッサ、3…逆止弁、4…エアタンク、6,7,8…管路、9…エアホーン、10…検知部、11…第1エア弁、12…当接片、13,22,32,62…弁体、14,23,33,…付勢部材、20…制御部、21…第2エア弁、30…エア供給部、31…第3エア弁、50…元圧遮断弁、51,61…手動レバー、60…手動遮断弁、70,70a,70b…加圧表示部、71…フレーム、72…開口部、73…ステータ、74…弾性部材、75…回動軸、81…ドラム、82…仕切壁、84,84a,84b…表示体、A…出力ポート、B…入力ポート、P…給圧ポート、S…開放部材、W…壁面、F…枠部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の開口部に開閉自在に設けられる開閉部材の開放または閉鎖を検知する検知部と、前記検知部によって開閉部材の開放または閉鎖を検知してエアホーンの鳴動を制御する制御部、並びに前記検知部および制御部に圧縮エアを供給するエア供給部とを備えると共に、前記エア供給部と検知部および制御部とは管路により接続されることを特徴とする警報装置。
【請求項2】
前記検知部は前記エア供給部から管路を介して圧縮エアが供給または遮断される第1エア弁を備え、前記制御部は前記第1エア弁から管路を介して圧縮エアが供給または遮断される第2エア弁を備え、前記制御部は前記第1エア弁から該第2エア弁に供給または遮断される圧縮エアにより前記エア供給部から前記エアホーンへの圧縮エアを供給または遮断し、該エアホーンの鳴動を制御することを特徴とする請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記制御部は前記第2エア弁からの圧縮エアをパイロット圧として前記エアホーンの鳴動を制御する第3エア弁を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記エア供給部は、エアタンクと、その下流側に設けられる手動遮断弁と、更にその下流側に設けられる加圧表示部とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の警報装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2エア弁の下流側に加圧表示部と手動遮断弁を備えることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の警報装置。
【請求項6】
前記管路が、建築物の壁面に埋設固定されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−79269(P2012−79269A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226630(P2010−226630)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(507107475)
【Fターム(参考)】