豆乳製造器
【課題】豆乳と残渣とを良好に分離し、豆乳の回収率を向上させることができる豆乳製造器を提供すること。
【解決手段】内部に電動機11を設けた本体1の基部2に容器21を着脱自在に設ける。この容器21内に、バスケット27を昇降自在に吊り下げる。側面フィルタ36、底面フィルタ37を有するバスケット27には、前記電動機11によって回転駆動される粉砕刃29を設ける。前記基部2には、容器21を加熱するヒータ5を設ける。そして、前記バスケット27を、前記容器21内における下部に配置して前記粉砕刃29を回転させる豆粉砕位置と、前記容器21内における水面Wよりも高い位置で前記バスケット27を回転させる豆乳脱水位置とに選択的に固定する位置決め手段38を設ける。豆粉砕位置での豆粉砕の工程の後に、豆乳脱水位置での豆乳脱水工程を加えたことにより、前記バスケット27内の残渣に含まれる豆乳を遠心分離できる。
【解決手段】内部に電動機11を設けた本体1の基部2に容器21を着脱自在に設ける。この容器21内に、バスケット27を昇降自在に吊り下げる。側面フィルタ36、底面フィルタ37を有するバスケット27には、前記電動機11によって回転駆動される粉砕刃29を設ける。前記基部2には、容器21を加熱するヒータ5を設ける。そして、前記バスケット27を、前記容器21内における下部に配置して前記粉砕刃29を回転させる豆粉砕位置と、前記容器21内における水面Wよりも高い位置で前記バスケット27を回転させる豆乳脱水位置とに選択的に固定する位置決め手段38を設ける。豆粉砕位置での豆粉砕の工程の後に、豆乳脱水位置での豆乳脱水工程を加えたことにより、前記バスケット27内の残渣に含まれる豆乳を遠心分離できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭において簡単に豆乳を製造することができる豆乳製造器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、内部に電動機が設けられた本体と、この本体に対して着脱自在に設けられる容器と、この容器内に保持されると共にフィルタを介して内外が連通するバスケットと、このバスケット内の定位置に設けられると共に前記電動機によって回転力伝達・非伝達切り替え部を介して駆動される粉砕刃と、前記容器を加熱するヒータよりなり、大豆を前記バスケットに収容した状態で前記容器の水に浸漬して前記粉砕刃を回転駆動することで、大豆を粉砕し、この後、前記バスケットを容器から取り出して、前記容器に残った豆乳を得るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。なお、前記ヒータは適宜豆乳を加熱するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−235488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、大豆を粉砕した後、前記バスケットを容器から取り出して、前記容器に残った豆乳を得るようにしたものであるが、前記バスケット内には残渣と共に豆乳が残存している。このため、従来の豆乳製造器では、前記バスケット内に残存する豆乳を残渣と一緒に廃棄しなければならないという問題があった。一方、残渣をおからとして利用する場合でも、このおからが豆乳を含んでいるため、利用しにくいという問題もあった。更に、前記バスケット内の残渣が豆乳を含んでいることで、前記バスケットを前記容器から取り出した際に、前記容器外に豆乳を滴下させて汚してしまうという虞もあった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、豆乳と残渣とを良好に分離し、豆乳の回収率を向上させることができる豆乳製造器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、内部に電動機を設けた本体と、この本体の基部に着脱自在に設けられる容器と、この容器内において吊り下げ保持されると共に前記電動機によって回転駆動されフィルタを介して内外が連通するバスケットと、このバスケット内に設けられると共に前記電動機によって回転駆動される粉砕刃と、前記容器を加熱するヒータよりなる豆乳製造器であって、前記バスケットを昇降自在とし、このバスケットを、前記容器内の下部に配置して前記粉砕刃を回転させる豆粉砕位置と、この豆粉砕位置よりも高い位置に配置して前記バスケットを回転させる豆乳脱水位置とに選択的に固定する位置決め手段を設けたことを特徴とする豆乳製造器である。
【0007】
請求項2の発明は、前記バスケットが、前記容器の上部開口に設けられた蓋体に吊下部を介して昇降自在に吊り下げ保持され、前記位置決め手段が、前記バスケットの上方に配置されて該バスケットに接続される前記本体の頭部であって、該頭部4が、前記基部2に対して、前記豆粉砕位置に対応する高さ位置と、前記豆乳脱水位置に対応する高さ位置とに選択的に固定されることを特徴とする請求項1記載の豆乳製造器である。
【0008】
請求項3の発明は、前記粉砕刃が従動軸に取り付けられ、この従動軸に係合部を設けると共に、前記バスケットに、豆粉砕位置にて前記係合部から離脱し且つ豆乳脱水位置にて前記係合部と係合する係合受部を設けたことを特徴とする請求項1記載の豆乳製造器である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、豆粉砕位置での豆粉砕の工程の後に、豆粉砕位置よりも高い豆乳脱水位置での豆乳脱水工程を加えたことにより、前記バスケット内の残渣に含まれる豆乳を遠心分離して、前記容器内に回収することができるので、豆乳の回収率を向上させることができ、残渣の廃棄或いは再利用を良好に行うことができるばかりでなく、前記バスケットを取り出した際に、このバスケット内の残渣から豆乳がこぼれて前記容器外を汚してしまわないようにすることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、前記頭部を操作することで、豆粉砕位置と豆乳脱水の高さ位置の切り替えを簡単に行うことができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、前記粉砕刃が取り付けられた従動軸に係合部を設けると共に、前記バスケットに係合受部を設け、豆粉砕位置にて前記係合部が係合受部から離脱し、豆乳脱水位置にて前記係合部が係合受部と係合するように構成したことで、一つの電動機によって、豆の粉砕と脱水を行うことができるので、構造を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1を示す豆乳製造器の停止状態における縦断面図である。
【図2】同、停止状態における斜視図である。
【図3】同停止状態における正面図である。
【図4】図1におけるX−X線断面図である。
【図5】同、粉砕状態における縦断面図である。
【図6】同、粉砕状態における斜視図である。
【図7】同、粉砕状態における正面図である。
【図8】図5におけるY−Y線断面図である。
【図9】同、脱水状態における縦断面図である。
【図10】同、脱水状態における斜視図である。
【図11】同、粉砕状態における正面図である。
【図12】図9におけるZ−Z線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0014】
以下の各図は実施例1を示している。1は豆乳製造器の本体であり、この本体1は、台状の基部2と、この基部2から立設した立設部材3と、この立設部材3に取り付けられて支えられる頭部4とで、正面視略コ字状に構成されている。前記基部2にはヒータ5が取り付けられており、このヒータ5は、アルミダイキャスト製のヒータベース6に形成されている。また、前記立設部材3は、前記基部2に固定された下部立設部材7と、この下部立設部材7に摺動自在に設けられることで昇降可能な上部立設部材8とに分割されていると共に、この上部立設部材8に頭部4が一体に固定されている。そして、前記下部立設部材7と上部立設部材8との間には、前記上部立設部材8、ひいては前記頭部4を常時上方へ付勢するバネなどの第一の付勢手段9が介在している。なお、本実施例では、前記下部立設部材7と上部立設部材8との間に昇降案内軸10が縦方向に設けられると共に、この昇降案内軸10に前記第一の付勢手段9が介装されている。
【0015】
そして、前記上部立設部材8の内部には、駆動軸11Aが上向きとなるように、電動機11が取り付けられている。また、前記頭部4の上面には操作部12が設けられており、この操作部12の内側に設けられた回路基板12A上に実装された図示しないスイッチを操作可能に構成されている。更に、前記頭部4の下部には、回転力伝達・非伝達切り替え部であるカップリング13の一方を構成する一次側連結体14が、下向きに露出して取り付けられている。この一次側連結体14の上部には、一次側回転軸15が固定されていると共に、この一次側回転軸15の回転中心軸心16は、上下方向に向いている。そして、前記一次側回転軸15と駆動軸11Aとの間には、回転力伝達手段17が介在している。本実施例では、前記回転力伝達手段17は、前記駆動軸11Aと一次側回転軸15にそれぞれ装着されたプーリ18,18Aと、これらプーリ18,18Aに介装されたベルト19とを有して構成される。これによって、前記電動機11の回転力が、前記一次側連結体14に伝達できるようになっている。なお、前記電動機11の回転数は、前記プーリ18と前記プーリ18Aの直径の差によって、適宜減速される。
【0016】
更に、前記本体1の基部2と頭部4との間には、上部が開口すると共に側面に把持部20が設けられた有底円筒状の容器21が着脱自在に配置されている。なお、この容器21は、前記基部2のヒータベース6に乗せられる。
【0017】
そして、前記容器21の上部開口21Aには、蓋体22が着脱自在に取り付けられている。この蓋体22は、略中央に円筒凹状の凹部23が形成されていると共に、この凹部23の底部中央に貫通孔24が上下方向に形成されている。
【0018】
そして、前記貫通孔24には、吊下部25が上下方向に摺動自在で且つ前記貫通孔24の中心軸心24A回りに回転自在に貫通して設けられている。なお、前記中心軸心24Aは、前記回転中心軸心16とほぼ同軸である。そして、前記吊下部25には、前記中心軸心24Aと同軸となるように、従動軸26が上下方向に貫通して回転自在に取り付けられている。前記吊下部25の下部には、バスケット27が前記中心軸心24Aと同軸状に取り付けられており、前記吊下部25と共に回転自在に構成されている。そして、前記従動軸26には、この従動軸26の中心軸心24Aと直交する棒状の係合部28が設けられると共に、前記バスケット27には、前記係合部28に対し係脱可能な係合受部27Aが設けられる。さらに、前記従動軸26の下端には、粉砕刃29が着脱自在に取り付けられている。このため、前記粉砕刃29は、前記従動軸26の回転に伴って回転すると共に、前記バスケット27は、前記係合部28と係合受部27Aとが係合した状態において、前記従動軸26の回転に伴って回転可能に構成されている。なお、前記バスケット27は、側面及び下方が開口した収容部30と、この収容部30の下方開口部に取り付けられる収容部30の蓋体31とで構成されている。
【0019】
そして、前記従動軸26の上端には、前記一次側連結体14と噛み合って前記カップリング13を構成する二次側連結体32が取り付けられている。そして、この二次側連結体32の横側周囲には、この二次側連結体32を囲んで覆うカバー33が前記吊下部25と一体に設けられている。そして、前記カバー33の外縁から下方に向けて円筒状に形成された側板部34が、前記凹部23の内周面の内側に摺動自在に挿入されることで、前記吊下部25が前記凹部23に対して上下方向に移動するように案内されると共に、前記中心軸心24A回りに回転可能となる。さらに、前記凹部23の底面と前記カバー33との間には、バネ等の第二の付勢手段35が設けられており、この第二の付勢手段35によって、前記カバー33が前記吊下部25を常に上方へ付勢している。そして、前記第二の付勢手段35によって、後述するように、前記カバー33、ひいてはこのカバー33と一体的に昇降する前記バスケット27が、図5〜8に示すように、全ての大豆(図示せず)が水面Wよりも下となるように前記容器21内の下部位置となる豆粉砕位置に配置されたり、逆に、前記バスケット27が、図9〜12に示すように、水面Wよりも上となる豆乳脱水位置に配置されたりするようになっている。更に、前記吊下部25と二次側連結体32との間には、第三の付勢手段35Aが設けられている。そして、この第三の付勢手段35Aによって、前記二次側連結体32及び従動軸26は、前記吊下部25に対して上方に押し上げられている。
【0020】
なお、前記収容部30の内寸は、所定量の豆乳を製造するために必要な量の水が溜められた容器21に、必要な量の大豆を収容した前記収容部30を入れたときに、前記大豆のうち最も高い位置にあるものでも水に浸る、望ましくは全ての大豆が水面Wよりも下となるのに十分な径に形成されている。そして、前記収容部30の側面には、側面フィルタ36が着脱自在に取り付けられている。更に、前記収容部30の下方に取り付けられる前記蓋体31にも、底面フィルタ37が形成されている。なお、前記蓋体31は、前記中心軸心24A回りに回動させることで、前記収容部30と係合し、或いは前記収容部30との係合が解かれるように形成されている。
【0021】
更に、前記立設部材3には、前記頭部4の一次側連結体14を、前記基部2を基準として、停止状態(図1参照)において高さA、豆粉砕時(図5参照)において高さB、豆乳脱水時(図9参照)において高さCとするように選択的に固定することができる位置決め手段38が設けられている。
【0022】
なお、図中50は下部立設部材7に対して上部立設部材8を垂直方向に昇降自在に案内するための案内部材であって、下部立設部材7に設けた上向き軸51が、上部立設部材8に設けた上下方向の貫通部52に摺動自在に挿入されている。
【0023】
次に、前記位置決め手段38について説明する。前記昇降案内軸10は、前記立設部材3内に一対配置されるものである。そして、前記昇降案内軸10の下部は、前記下部立設部材7に内向きに突設された下部取付部39に対して固定される。また、前記昇降案内軸10の上部は、前記上部立設部材8に内向きに突設された上部取付部40に形成された貫通穴40Aに対して摺動自在に貫通する。更に、前記貫通穴40Aを貫通した前記昇降案内軸10の上部には、前記上部取付部40の上方において、前記高さAに対応する抜け止め係止部材42が固定されている。そして、前記第一の付勢手段9が前記下部取付部39と上部取付部40との間に介在することで、上部立設部材8、ひいては頭部4が上方へ付勢されている。前記昇降案内軸10に対し空隙Dをおいて沿うように、前記昇降案内軸10と平行で且つ縦長なストッパー41が上部立設部材8に取り付けられている。このストッパー41は、前記上部立設部材8の外面に表れたストッパー切替操作部43を操作することで後方に押され、空隙Dを広げることができるようになっている。前記ストッパー41は、その上部に第一の係止部44が設けられ、この第一の係止部44から下方に向かう程後方となるように、一様に傾斜する下向きの第一の傾斜面45が前記昇降案内軸10側に対向するように形成されている。さらに、前記ストッパー41の上下方向における中間よりやや下方位置に、第二の係止部46が形成され、この第二の係止部46から下方に向かう程後方となるように、一様に傾斜する下向きの第二の傾斜面47が前記昇降案内軸10側に対向するように形成されている。なお、前記ストッパー41は、その下部が上部取付部40に当接している。一方、前記抜け止め係止部材42にも、下方に向かう程後方となるように、上向きの第三の傾斜面48が形成されていると共に、この第三の傾斜面48の下部に、係止受部49が形成されている。このため、前記頭部4を下方に押圧すると、前記下部取付部39と上部取付部40との間の長さが短くなると共に、前記第三の傾斜面48が前記第一の傾斜面45や第二の傾斜面47と摺動し、前記係止受部49が第一の係止部44又は第二の係止部46と係合する。
【0024】
次に、本発明の作用について説明する。まず、予め所要量の乾燥大豆を水に浸して、この大豆に吸水させておく。そして、吸水させた大豆を、前記粉砕刃29及び周面フィルタ30を取り付けた前記バスケット27の収容部30内に収容し、前記蓋体31によって開口を塞ぐ。そして、所要量の水を貯めた前記容器21に前記蓋体22を取り付けることで、前記バスケット27を前記容器21に収容する。そして、この容器21を前記本体1の基部2と頭部4との間に挿入し、前記ヒータ5上に載置する。
【0025】
停止状態では、前記第一の付勢手段9が伸張していると共に、前記抜け止め係止部材42が前記上部取付部40に当接する。この際、前記頭部4は最高位置となり、前記頭部4から下方に突出した前記一次側連結体14は、高さAに配置される。この際、前記吊下部25が前記第二の付勢手段35によって上方に押し上げられ、高位置に配置されているものの、前記一次側連結体14と前記二次側連結体32とが離れていることで、前記カップリング13は非伝達状態になっている。
【0026】
次に、粉砕状態を示す図5〜8に示すように、前記頭部4を下方に押し下げる。このように、前記頭部4を下方に押し下げることで、前記ストッパー41は、前記第二の傾斜面47と第一の傾斜面45が前記第三の傾斜面48に沿って摺動することで、後方に押し下げられると共に、前記抜け止め係止部材42に対して、相対的に下方に移動する。そして更に、抜け止め係止部材42の係止受部49は、前記ストッパー41の第一の係止部44と係合すると共に、前記第一の付勢手段9は圧縮された状態となる。この際、前記頭部4は最低位置となり、前記頭部4から下方に突出した前記一次側連結体14は、高さBに配置される。この結果、前記一次側連結体14と前記二次側連結体32とが噛み合って当接することで、前記カップリング13は伝達状態になっている。また、前記一次側連結体14の下降に伴って二次側連結体32、ひいては前記吊下部25に取り付けられた前記バスケット27が、前記第二の付勢手段35の付勢力に抗して下方に押し下げられ、前記バスケット27内の大豆が前記容器21内の水に浸される。なお、この際、前記吊下部25は、前記第二の付勢手段35の付勢力に抗して下限まで押し下げられると共に、前記二次側連結体32と従動軸26とが、前記第三の付勢手段35Aの付勢力に抗して下方に押し下げられる。これによって、前記従動軸26に設けられた前記係合部28は、相対的に、前記バスケット27に設けられた係合受部27Aよりも下方に押し下げられる。このため、前記係合部28と係合受部27Aとの係合が解除される。
【0027】
この状態で、前記操作部12を操作すると、前記回路基板12A上に実装された図示しないスイッチが閉じて、制御回路によって前記ヒータ5及び前記電動機11の通電制御が開始される。これによって、前記電動機11が高速回転し、その回転力が前記回転力伝達手段17及びカップリング13を介して前記従動軸26を回転させることで、この従動軸26に取り付けられた粉砕刃29が回転して、大豆の粉砕を行う。なお、この際、前述したように、前記係合部28と係合受部27Aとの係合が解除されているので、前記バスケット27は回転しない。
【0028】
なお、この粉砕状態にあっては、制御回路によって加熱工程を経た後、粉砕工程に移行するものであって、前記電動機11によって、前記粉砕刃29が断続的かつ周期的に回転させられることになる。そして、これによって前記容器21内の水が温められると共に、前記収容部30内に収容された大豆が前記粉砕刃29によって粉砕される。そして、この粉砕工程の期間中は、大豆が粉砕されると共に前記収容部30内で攪拌され、この結果、水溶性の大豆成分が温水中に溶出すると共に、非水溶性の大豆成分も温水中に分散した状態となり、一方、大豆の残渣は前記収容部30内に留まる。
【0029】
更に、粉砕工程の後期にあっては、粉砕工程を経た後、加熱工程、攪拌工程、保温工程に移行する。加熱工程では、前記ヒータ5が断続的かつ周期的に通電されると共に、前記電動機11への通電が停止される。このように加熱を続けることによって、製造途中の豆乳から生臭さが消える。また、攪拌工程では、前記ヒータ5が断続的かつ周期的に通電されると共に、前記電動機11も断続的かつ周期的に通電されて前記粉砕刃29が断続的かつ周期的に回転することで、前記収容部30内で粉砕された大豆が攪拌される。これによって、前記収容部30外の高温の豆乳がフィルタ30,31を通過して前記バスケット27内に侵入すると共に、このバスケット27内で大豆成分が更に溶出及び分散した低温の豆乳がフィルタ30,31を通過してバスケット27外に排出される。さらに、保温工程では、前記容器21及びバスケット27内の豆乳が80℃以上に保たれる。
【0030】
次に、脱水状態を示す図9〜12に示すように、ストッパー切替操作部43を押圧することで、前記ストッパー41を後方に移動させると、前記係止受部49が前記第一の係止部44より離脱すると共に、前記第一の付勢手段9の付勢力によって、前記頭部4が上昇する。この頭部4が前記ストッパー41と共に上昇すると、このストッパー41の第二の係止部46が、前記係止受け部49に係止することとなる。
【0031】
前記第二の係止部46と前記係止受け部49とが係合した状態において、前記頭部4は、停止状態時と粉砕状態時の中間位置となり、前記頭部4から下方に突出した前記一次側連結体14は、高さCに配置される。この結果、前記一次側連結体14と前記二次側連結体32とが噛み合って当接することで、前記カップリング13は伝達状態になっている。また、前記一次側連結体14の上昇に伴って前記二次側連結体32、ひいては前記吊下部25に取り付けられた前記バスケット27が、前記第二の付勢手段35の付勢力によって上方に押し上げられ、前記バスケット27が水面W上に配置されて大豆は非浸漬状態となる。なお、この際、前記吊下部25は、前記第二の付勢手段35の付勢力によって上限まで押し上げられると共に、前記二次側連結体32と従動軸26とが、前記第三の付勢手段35Aの付勢力によって上方に押し上げられる。これによって、前記従動軸26に設けられた前記係合部28は、相対的に、前記バスケット27に設けられた係合受部27Aよりも上方に押し上げられる。このため、前記係合部28と係合受部27Aは、再び係合する。
【0032】
この状態で、前記操作部12を操作すると、前記回路基板12A上に実装された図示しないスイッチが閉じて、制御回路によって前記電動機11の通電制御が開始される。これによって、前記電動機11が低速回転し、その回転力が前記回転力伝達手段17及びカップリング13を介して前記従動軸26を回転させることで、この従動軸26の回転に伴って、前記バスケット27を前記吊下部25ごと回転させる。なお、この際、前記従動軸26に取り付けられた粉砕刃29は、前記バスケット27と一体となって回転するので、前記収容部30内において大豆を撹拌したり粉砕したりすることはない。そして、前記バスケット27が回転させられることで、前記収容部30内の残渣に含まれる豆乳を遠心力によって分離し、前記収容部30の側面フィルタ36を通して前記容器21内に放出し、回収することができる。なお、豆乳製造脱水時において、前記電動機11を低速回転させることで、前記バスケット27も低速回転させる。このように、前記バスケット27を低速回転させることで、前記収容部30内における残渣が不均一であったとしても、前記バスケット27が大きく振動することがない。また、前記バスケット27が前記水面Wよりも高い位置にあることから、遠心分離された豆乳が前記フィルタ36,27を通過して再び残渣に吸収されることがない。
【0033】
前記容器21から豆乳を取り出す場合、ストッパー切替操作部43を再び押圧することで、前記ストッパー41を後方に移動させると、前記係止受け部49が前記第二の係止部46より離脱すると共に、前記第一の付勢手段9の付勢力によって、前記頭部4が上昇する。この頭部4が前記ストッパー41と共に上昇すると、前記抜け止め係止部材42が前記上部取付部40に当接する。そして、前記カップリング13の噛合が解除される。そして、前記容器21を前記本体1の基部2と頭部4との間から取り出し、前記バスケット27を有する蓋体22を前記容器21から取り外すことで、豆乳を得ることができる。そして、この際、前記バスケット27内の残渣に豆乳が殆ど含まれないので、前記容器21から前記バスケット27を取り出した際に、このバスケット27から豆乳が滴下するのを防止して、テーブル等を汚さないようにすることができる。また、前記バスケット27内の残渣を廃棄する場合、脱水されていることで、そのまま生ゴミとして処分が可能であり、後始末が容易である。更に、前記残渣をおからとして再利用する場合も、脱水されていることで、そのまますぐに調理に使用することが可能である。
【0034】
以上のように、上記実施例では、バスケット27を容器21内の下部に配置して粉砕刃29を回転させる豆粉砕位置と、前記バスケット27を容器21内における豆粉砕位置よりも高い位置に配置して前記バスケット27を回転させる豆乳脱水位置とに選択的に固定する位置決め手段38を設けたことにより、豆粉砕位置での豆粉砕工程の後に、豆乳脱水位置での豆乳脱水工程を加えたことにより、前記バスケット27の収容部30内の残渣に含まれる豆乳を遠心分離し、無駄なく回収できるばかりでなく、残渣の後始末或いは再利用も容易であり、また、残渣を取り出す際に豆乳をこぼさないようにすることもできる。
【0035】
また、前記バスケット27が、前記容器21の上部開口21Aに設けられた前記蓋体22に吊下部25を介して昇降自在に吊り下げ保持され、前記位置決め手段38が、前記バスケット27の上方に配置されて該バスケット27に接続される前記本体1の昇降自在に設けられた頭部4を備え、該頭部4が、前記基部2に対して、前記豆粉砕位置に対応する高さ位置Bと、前記豆乳脱水位置に対応する高さ位置Cとに選択的に固定されることにより、前記頭部4を操作することで、前記高さ位置B,Cの切り替えを簡単に行うことができる。
【0036】
更に、前記粉砕刃29が取り付けられた従動軸26に係合部28を設けると共に、前記バスケット27に係合受部27Aを設け、豆粉砕位置にて前記係合部28が係合受部27Aから離脱し、豆乳脱水位置にて前記係合部28が係合受部27Aと係合するように構成したことで、一つの電動機11によって、豆の粉砕と脱水を行うことができるので、構造を単純化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように本発明に係る豆乳製造器は、位置決め手段を電動式としたり、また豆乳製造工程と保温工程の間に他の工程が入ってもよいなどの変形実施も可能あるなど各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 本体
2 基部
5 ヒータ
11 電動機
14 一次側連結体
21 容器
21A 上部開口
22 蓋体
25 吊下部
26 従動軸
27 バスケット
27A 係合受部
28 係合部
29 粉砕刃
36 側面フィルタ
37 底面フィルタ
38 位置決め手段
B 豆粉砕時における一次側連結体の高さ
C 乳製造脱水時における一次側連結体の高さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭において簡単に豆乳を製造することができる豆乳製造器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、内部に電動機が設けられた本体と、この本体に対して着脱自在に設けられる容器と、この容器内に保持されると共にフィルタを介して内外が連通するバスケットと、このバスケット内の定位置に設けられると共に前記電動機によって回転力伝達・非伝達切り替え部を介して駆動される粉砕刃と、前記容器を加熱するヒータよりなり、大豆を前記バスケットに収容した状態で前記容器の水に浸漬して前記粉砕刃を回転駆動することで、大豆を粉砕し、この後、前記バスケットを容器から取り出して、前記容器に残った豆乳を得るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。なお、前記ヒータは適宜豆乳を加熱するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−235488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、大豆を粉砕した後、前記バスケットを容器から取り出して、前記容器に残った豆乳を得るようにしたものであるが、前記バスケット内には残渣と共に豆乳が残存している。このため、従来の豆乳製造器では、前記バスケット内に残存する豆乳を残渣と一緒に廃棄しなければならないという問題があった。一方、残渣をおからとして利用する場合でも、このおからが豆乳を含んでいるため、利用しにくいという問題もあった。更に、前記バスケット内の残渣が豆乳を含んでいることで、前記バスケットを前記容器から取り出した際に、前記容器外に豆乳を滴下させて汚してしまうという虞もあった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、豆乳と残渣とを良好に分離し、豆乳の回収率を向上させることができる豆乳製造器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、内部に電動機を設けた本体と、この本体の基部に着脱自在に設けられる容器と、この容器内において吊り下げ保持されると共に前記電動機によって回転駆動されフィルタを介して内外が連通するバスケットと、このバスケット内に設けられると共に前記電動機によって回転駆動される粉砕刃と、前記容器を加熱するヒータよりなる豆乳製造器であって、前記バスケットを昇降自在とし、このバスケットを、前記容器内の下部に配置して前記粉砕刃を回転させる豆粉砕位置と、この豆粉砕位置よりも高い位置に配置して前記バスケットを回転させる豆乳脱水位置とに選択的に固定する位置決め手段を設けたことを特徴とする豆乳製造器である。
【0007】
請求項2の発明は、前記バスケットが、前記容器の上部開口に設けられた蓋体に吊下部を介して昇降自在に吊り下げ保持され、前記位置決め手段が、前記バスケットの上方に配置されて該バスケットに接続される前記本体の頭部であって、該頭部4が、前記基部2に対して、前記豆粉砕位置に対応する高さ位置と、前記豆乳脱水位置に対応する高さ位置とに選択的に固定されることを特徴とする請求項1記載の豆乳製造器である。
【0008】
請求項3の発明は、前記粉砕刃が従動軸に取り付けられ、この従動軸に係合部を設けると共に、前記バスケットに、豆粉砕位置にて前記係合部から離脱し且つ豆乳脱水位置にて前記係合部と係合する係合受部を設けたことを特徴とする請求項1記載の豆乳製造器である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、豆粉砕位置での豆粉砕の工程の後に、豆粉砕位置よりも高い豆乳脱水位置での豆乳脱水工程を加えたことにより、前記バスケット内の残渣に含まれる豆乳を遠心分離して、前記容器内に回収することができるので、豆乳の回収率を向上させることができ、残渣の廃棄或いは再利用を良好に行うことができるばかりでなく、前記バスケットを取り出した際に、このバスケット内の残渣から豆乳がこぼれて前記容器外を汚してしまわないようにすることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、前記頭部を操作することで、豆粉砕位置と豆乳脱水の高さ位置の切り替えを簡単に行うことができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、前記粉砕刃が取り付けられた従動軸に係合部を設けると共に、前記バスケットに係合受部を設け、豆粉砕位置にて前記係合部が係合受部から離脱し、豆乳脱水位置にて前記係合部が係合受部と係合するように構成したことで、一つの電動機によって、豆の粉砕と脱水を行うことができるので、構造を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1を示す豆乳製造器の停止状態における縦断面図である。
【図2】同、停止状態における斜視図である。
【図3】同停止状態における正面図である。
【図4】図1におけるX−X線断面図である。
【図5】同、粉砕状態における縦断面図である。
【図6】同、粉砕状態における斜視図である。
【図7】同、粉砕状態における正面図である。
【図8】図5におけるY−Y線断面図である。
【図9】同、脱水状態における縦断面図である。
【図10】同、脱水状態における斜視図である。
【図11】同、粉砕状態における正面図である。
【図12】図9におけるZ−Z線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0014】
以下の各図は実施例1を示している。1は豆乳製造器の本体であり、この本体1は、台状の基部2と、この基部2から立設した立設部材3と、この立設部材3に取り付けられて支えられる頭部4とで、正面視略コ字状に構成されている。前記基部2にはヒータ5が取り付けられており、このヒータ5は、アルミダイキャスト製のヒータベース6に形成されている。また、前記立設部材3は、前記基部2に固定された下部立設部材7と、この下部立設部材7に摺動自在に設けられることで昇降可能な上部立設部材8とに分割されていると共に、この上部立設部材8に頭部4が一体に固定されている。そして、前記下部立設部材7と上部立設部材8との間には、前記上部立設部材8、ひいては前記頭部4を常時上方へ付勢するバネなどの第一の付勢手段9が介在している。なお、本実施例では、前記下部立設部材7と上部立設部材8との間に昇降案内軸10が縦方向に設けられると共に、この昇降案内軸10に前記第一の付勢手段9が介装されている。
【0015】
そして、前記上部立設部材8の内部には、駆動軸11Aが上向きとなるように、電動機11が取り付けられている。また、前記頭部4の上面には操作部12が設けられており、この操作部12の内側に設けられた回路基板12A上に実装された図示しないスイッチを操作可能に構成されている。更に、前記頭部4の下部には、回転力伝達・非伝達切り替え部であるカップリング13の一方を構成する一次側連結体14が、下向きに露出して取り付けられている。この一次側連結体14の上部には、一次側回転軸15が固定されていると共に、この一次側回転軸15の回転中心軸心16は、上下方向に向いている。そして、前記一次側回転軸15と駆動軸11Aとの間には、回転力伝達手段17が介在している。本実施例では、前記回転力伝達手段17は、前記駆動軸11Aと一次側回転軸15にそれぞれ装着されたプーリ18,18Aと、これらプーリ18,18Aに介装されたベルト19とを有して構成される。これによって、前記電動機11の回転力が、前記一次側連結体14に伝達できるようになっている。なお、前記電動機11の回転数は、前記プーリ18と前記プーリ18Aの直径の差によって、適宜減速される。
【0016】
更に、前記本体1の基部2と頭部4との間には、上部が開口すると共に側面に把持部20が設けられた有底円筒状の容器21が着脱自在に配置されている。なお、この容器21は、前記基部2のヒータベース6に乗せられる。
【0017】
そして、前記容器21の上部開口21Aには、蓋体22が着脱自在に取り付けられている。この蓋体22は、略中央に円筒凹状の凹部23が形成されていると共に、この凹部23の底部中央に貫通孔24が上下方向に形成されている。
【0018】
そして、前記貫通孔24には、吊下部25が上下方向に摺動自在で且つ前記貫通孔24の中心軸心24A回りに回転自在に貫通して設けられている。なお、前記中心軸心24Aは、前記回転中心軸心16とほぼ同軸である。そして、前記吊下部25には、前記中心軸心24Aと同軸となるように、従動軸26が上下方向に貫通して回転自在に取り付けられている。前記吊下部25の下部には、バスケット27が前記中心軸心24Aと同軸状に取り付けられており、前記吊下部25と共に回転自在に構成されている。そして、前記従動軸26には、この従動軸26の中心軸心24Aと直交する棒状の係合部28が設けられると共に、前記バスケット27には、前記係合部28に対し係脱可能な係合受部27Aが設けられる。さらに、前記従動軸26の下端には、粉砕刃29が着脱自在に取り付けられている。このため、前記粉砕刃29は、前記従動軸26の回転に伴って回転すると共に、前記バスケット27は、前記係合部28と係合受部27Aとが係合した状態において、前記従動軸26の回転に伴って回転可能に構成されている。なお、前記バスケット27は、側面及び下方が開口した収容部30と、この収容部30の下方開口部に取り付けられる収容部30の蓋体31とで構成されている。
【0019】
そして、前記従動軸26の上端には、前記一次側連結体14と噛み合って前記カップリング13を構成する二次側連結体32が取り付けられている。そして、この二次側連結体32の横側周囲には、この二次側連結体32を囲んで覆うカバー33が前記吊下部25と一体に設けられている。そして、前記カバー33の外縁から下方に向けて円筒状に形成された側板部34が、前記凹部23の内周面の内側に摺動自在に挿入されることで、前記吊下部25が前記凹部23に対して上下方向に移動するように案内されると共に、前記中心軸心24A回りに回転可能となる。さらに、前記凹部23の底面と前記カバー33との間には、バネ等の第二の付勢手段35が設けられており、この第二の付勢手段35によって、前記カバー33が前記吊下部25を常に上方へ付勢している。そして、前記第二の付勢手段35によって、後述するように、前記カバー33、ひいてはこのカバー33と一体的に昇降する前記バスケット27が、図5〜8に示すように、全ての大豆(図示せず)が水面Wよりも下となるように前記容器21内の下部位置となる豆粉砕位置に配置されたり、逆に、前記バスケット27が、図9〜12に示すように、水面Wよりも上となる豆乳脱水位置に配置されたりするようになっている。更に、前記吊下部25と二次側連結体32との間には、第三の付勢手段35Aが設けられている。そして、この第三の付勢手段35Aによって、前記二次側連結体32及び従動軸26は、前記吊下部25に対して上方に押し上げられている。
【0020】
なお、前記収容部30の内寸は、所定量の豆乳を製造するために必要な量の水が溜められた容器21に、必要な量の大豆を収容した前記収容部30を入れたときに、前記大豆のうち最も高い位置にあるものでも水に浸る、望ましくは全ての大豆が水面Wよりも下となるのに十分な径に形成されている。そして、前記収容部30の側面には、側面フィルタ36が着脱自在に取り付けられている。更に、前記収容部30の下方に取り付けられる前記蓋体31にも、底面フィルタ37が形成されている。なお、前記蓋体31は、前記中心軸心24A回りに回動させることで、前記収容部30と係合し、或いは前記収容部30との係合が解かれるように形成されている。
【0021】
更に、前記立設部材3には、前記頭部4の一次側連結体14を、前記基部2を基準として、停止状態(図1参照)において高さA、豆粉砕時(図5参照)において高さB、豆乳脱水時(図9参照)において高さCとするように選択的に固定することができる位置決め手段38が設けられている。
【0022】
なお、図中50は下部立設部材7に対して上部立設部材8を垂直方向に昇降自在に案内するための案内部材であって、下部立設部材7に設けた上向き軸51が、上部立設部材8に設けた上下方向の貫通部52に摺動自在に挿入されている。
【0023】
次に、前記位置決め手段38について説明する。前記昇降案内軸10は、前記立設部材3内に一対配置されるものである。そして、前記昇降案内軸10の下部は、前記下部立設部材7に内向きに突設された下部取付部39に対して固定される。また、前記昇降案内軸10の上部は、前記上部立設部材8に内向きに突設された上部取付部40に形成された貫通穴40Aに対して摺動自在に貫通する。更に、前記貫通穴40Aを貫通した前記昇降案内軸10の上部には、前記上部取付部40の上方において、前記高さAに対応する抜け止め係止部材42が固定されている。そして、前記第一の付勢手段9が前記下部取付部39と上部取付部40との間に介在することで、上部立設部材8、ひいては頭部4が上方へ付勢されている。前記昇降案内軸10に対し空隙Dをおいて沿うように、前記昇降案内軸10と平行で且つ縦長なストッパー41が上部立設部材8に取り付けられている。このストッパー41は、前記上部立設部材8の外面に表れたストッパー切替操作部43を操作することで後方に押され、空隙Dを広げることができるようになっている。前記ストッパー41は、その上部に第一の係止部44が設けられ、この第一の係止部44から下方に向かう程後方となるように、一様に傾斜する下向きの第一の傾斜面45が前記昇降案内軸10側に対向するように形成されている。さらに、前記ストッパー41の上下方向における中間よりやや下方位置に、第二の係止部46が形成され、この第二の係止部46から下方に向かう程後方となるように、一様に傾斜する下向きの第二の傾斜面47が前記昇降案内軸10側に対向するように形成されている。なお、前記ストッパー41は、その下部が上部取付部40に当接している。一方、前記抜け止め係止部材42にも、下方に向かう程後方となるように、上向きの第三の傾斜面48が形成されていると共に、この第三の傾斜面48の下部に、係止受部49が形成されている。このため、前記頭部4を下方に押圧すると、前記下部取付部39と上部取付部40との間の長さが短くなると共に、前記第三の傾斜面48が前記第一の傾斜面45や第二の傾斜面47と摺動し、前記係止受部49が第一の係止部44又は第二の係止部46と係合する。
【0024】
次に、本発明の作用について説明する。まず、予め所要量の乾燥大豆を水に浸して、この大豆に吸水させておく。そして、吸水させた大豆を、前記粉砕刃29及び周面フィルタ30を取り付けた前記バスケット27の収容部30内に収容し、前記蓋体31によって開口を塞ぐ。そして、所要量の水を貯めた前記容器21に前記蓋体22を取り付けることで、前記バスケット27を前記容器21に収容する。そして、この容器21を前記本体1の基部2と頭部4との間に挿入し、前記ヒータ5上に載置する。
【0025】
停止状態では、前記第一の付勢手段9が伸張していると共に、前記抜け止め係止部材42が前記上部取付部40に当接する。この際、前記頭部4は最高位置となり、前記頭部4から下方に突出した前記一次側連結体14は、高さAに配置される。この際、前記吊下部25が前記第二の付勢手段35によって上方に押し上げられ、高位置に配置されているものの、前記一次側連結体14と前記二次側連結体32とが離れていることで、前記カップリング13は非伝達状態になっている。
【0026】
次に、粉砕状態を示す図5〜8に示すように、前記頭部4を下方に押し下げる。このように、前記頭部4を下方に押し下げることで、前記ストッパー41は、前記第二の傾斜面47と第一の傾斜面45が前記第三の傾斜面48に沿って摺動することで、後方に押し下げられると共に、前記抜け止め係止部材42に対して、相対的に下方に移動する。そして更に、抜け止め係止部材42の係止受部49は、前記ストッパー41の第一の係止部44と係合すると共に、前記第一の付勢手段9は圧縮された状態となる。この際、前記頭部4は最低位置となり、前記頭部4から下方に突出した前記一次側連結体14は、高さBに配置される。この結果、前記一次側連結体14と前記二次側連結体32とが噛み合って当接することで、前記カップリング13は伝達状態になっている。また、前記一次側連結体14の下降に伴って二次側連結体32、ひいては前記吊下部25に取り付けられた前記バスケット27が、前記第二の付勢手段35の付勢力に抗して下方に押し下げられ、前記バスケット27内の大豆が前記容器21内の水に浸される。なお、この際、前記吊下部25は、前記第二の付勢手段35の付勢力に抗して下限まで押し下げられると共に、前記二次側連結体32と従動軸26とが、前記第三の付勢手段35Aの付勢力に抗して下方に押し下げられる。これによって、前記従動軸26に設けられた前記係合部28は、相対的に、前記バスケット27に設けられた係合受部27Aよりも下方に押し下げられる。このため、前記係合部28と係合受部27Aとの係合が解除される。
【0027】
この状態で、前記操作部12を操作すると、前記回路基板12A上に実装された図示しないスイッチが閉じて、制御回路によって前記ヒータ5及び前記電動機11の通電制御が開始される。これによって、前記電動機11が高速回転し、その回転力が前記回転力伝達手段17及びカップリング13を介して前記従動軸26を回転させることで、この従動軸26に取り付けられた粉砕刃29が回転して、大豆の粉砕を行う。なお、この際、前述したように、前記係合部28と係合受部27Aとの係合が解除されているので、前記バスケット27は回転しない。
【0028】
なお、この粉砕状態にあっては、制御回路によって加熱工程を経た後、粉砕工程に移行するものであって、前記電動機11によって、前記粉砕刃29が断続的かつ周期的に回転させられることになる。そして、これによって前記容器21内の水が温められると共に、前記収容部30内に収容された大豆が前記粉砕刃29によって粉砕される。そして、この粉砕工程の期間中は、大豆が粉砕されると共に前記収容部30内で攪拌され、この結果、水溶性の大豆成分が温水中に溶出すると共に、非水溶性の大豆成分も温水中に分散した状態となり、一方、大豆の残渣は前記収容部30内に留まる。
【0029】
更に、粉砕工程の後期にあっては、粉砕工程を経た後、加熱工程、攪拌工程、保温工程に移行する。加熱工程では、前記ヒータ5が断続的かつ周期的に通電されると共に、前記電動機11への通電が停止される。このように加熱を続けることによって、製造途中の豆乳から生臭さが消える。また、攪拌工程では、前記ヒータ5が断続的かつ周期的に通電されると共に、前記電動機11も断続的かつ周期的に通電されて前記粉砕刃29が断続的かつ周期的に回転することで、前記収容部30内で粉砕された大豆が攪拌される。これによって、前記収容部30外の高温の豆乳がフィルタ30,31を通過して前記バスケット27内に侵入すると共に、このバスケット27内で大豆成分が更に溶出及び分散した低温の豆乳がフィルタ30,31を通過してバスケット27外に排出される。さらに、保温工程では、前記容器21及びバスケット27内の豆乳が80℃以上に保たれる。
【0030】
次に、脱水状態を示す図9〜12に示すように、ストッパー切替操作部43を押圧することで、前記ストッパー41を後方に移動させると、前記係止受部49が前記第一の係止部44より離脱すると共に、前記第一の付勢手段9の付勢力によって、前記頭部4が上昇する。この頭部4が前記ストッパー41と共に上昇すると、このストッパー41の第二の係止部46が、前記係止受け部49に係止することとなる。
【0031】
前記第二の係止部46と前記係止受け部49とが係合した状態において、前記頭部4は、停止状態時と粉砕状態時の中間位置となり、前記頭部4から下方に突出した前記一次側連結体14は、高さCに配置される。この結果、前記一次側連結体14と前記二次側連結体32とが噛み合って当接することで、前記カップリング13は伝達状態になっている。また、前記一次側連結体14の上昇に伴って前記二次側連結体32、ひいては前記吊下部25に取り付けられた前記バスケット27が、前記第二の付勢手段35の付勢力によって上方に押し上げられ、前記バスケット27が水面W上に配置されて大豆は非浸漬状態となる。なお、この際、前記吊下部25は、前記第二の付勢手段35の付勢力によって上限まで押し上げられると共に、前記二次側連結体32と従動軸26とが、前記第三の付勢手段35Aの付勢力によって上方に押し上げられる。これによって、前記従動軸26に設けられた前記係合部28は、相対的に、前記バスケット27に設けられた係合受部27Aよりも上方に押し上げられる。このため、前記係合部28と係合受部27Aは、再び係合する。
【0032】
この状態で、前記操作部12を操作すると、前記回路基板12A上に実装された図示しないスイッチが閉じて、制御回路によって前記電動機11の通電制御が開始される。これによって、前記電動機11が低速回転し、その回転力が前記回転力伝達手段17及びカップリング13を介して前記従動軸26を回転させることで、この従動軸26の回転に伴って、前記バスケット27を前記吊下部25ごと回転させる。なお、この際、前記従動軸26に取り付けられた粉砕刃29は、前記バスケット27と一体となって回転するので、前記収容部30内において大豆を撹拌したり粉砕したりすることはない。そして、前記バスケット27が回転させられることで、前記収容部30内の残渣に含まれる豆乳を遠心力によって分離し、前記収容部30の側面フィルタ36を通して前記容器21内に放出し、回収することができる。なお、豆乳製造脱水時において、前記電動機11を低速回転させることで、前記バスケット27も低速回転させる。このように、前記バスケット27を低速回転させることで、前記収容部30内における残渣が不均一であったとしても、前記バスケット27が大きく振動することがない。また、前記バスケット27が前記水面Wよりも高い位置にあることから、遠心分離された豆乳が前記フィルタ36,27を通過して再び残渣に吸収されることがない。
【0033】
前記容器21から豆乳を取り出す場合、ストッパー切替操作部43を再び押圧することで、前記ストッパー41を後方に移動させると、前記係止受け部49が前記第二の係止部46より離脱すると共に、前記第一の付勢手段9の付勢力によって、前記頭部4が上昇する。この頭部4が前記ストッパー41と共に上昇すると、前記抜け止め係止部材42が前記上部取付部40に当接する。そして、前記カップリング13の噛合が解除される。そして、前記容器21を前記本体1の基部2と頭部4との間から取り出し、前記バスケット27を有する蓋体22を前記容器21から取り外すことで、豆乳を得ることができる。そして、この際、前記バスケット27内の残渣に豆乳が殆ど含まれないので、前記容器21から前記バスケット27を取り出した際に、このバスケット27から豆乳が滴下するのを防止して、テーブル等を汚さないようにすることができる。また、前記バスケット27内の残渣を廃棄する場合、脱水されていることで、そのまま生ゴミとして処分が可能であり、後始末が容易である。更に、前記残渣をおからとして再利用する場合も、脱水されていることで、そのまますぐに調理に使用することが可能である。
【0034】
以上のように、上記実施例では、バスケット27を容器21内の下部に配置して粉砕刃29を回転させる豆粉砕位置と、前記バスケット27を容器21内における豆粉砕位置よりも高い位置に配置して前記バスケット27を回転させる豆乳脱水位置とに選択的に固定する位置決め手段38を設けたことにより、豆粉砕位置での豆粉砕工程の後に、豆乳脱水位置での豆乳脱水工程を加えたことにより、前記バスケット27の収容部30内の残渣に含まれる豆乳を遠心分離し、無駄なく回収できるばかりでなく、残渣の後始末或いは再利用も容易であり、また、残渣を取り出す際に豆乳をこぼさないようにすることもできる。
【0035】
また、前記バスケット27が、前記容器21の上部開口21Aに設けられた前記蓋体22に吊下部25を介して昇降自在に吊り下げ保持され、前記位置決め手段38が、前記バスケット27の上方に配置されて該バスケット27に接続される前記本体1の昇降自在に設けられた頭部4を備え、該頭部4が、前記基部2に対して、前記豆粉砕位置に対応する高さ位置Bと、前記豆乳脱水位置に対応する高さ位置Cとに選択的に固定されることにより、前記頭部4を操作することで、前記高さ位置B,Cの切り替えを簡単に行うことができる。
【0036】
更に、前記粉砕刃29が取り付けられた従動軸26に係合部28を設けると共に、前記バスケット27に係合受部27Aを設け、豆粉砕位置にて前記係合部28が係合受部27Aから離脱し、豆乳脱水位置にて前記係合部28が係合受部27Aと係合するように構成したことで、一つの電動機11によって、豆の粉砕と脱水を行うことができるので、構造を単純化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように本発明に係る豆乳製造器は、位置決め手段を電動式としたり、また豆乳製造工程と保温工程の間に他の工程が入ってもよいなどの変形実施も可能あるなど各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 本体
2 基部
5 ヒータ
11 電動機
14 一次側連結体
21 容器
21A 上部開口
22 蓋体
25 吊下部
26 従動軸
27 バスケット
27A 係合受部
28 係合部
29 粉砕刃
36 側面フィルタ
37 底面フィルタ
38 位置決め手段
B 豆粉砕時における一次側連結体の高さ
C 乳製造脱水時における一次側連結体の高さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電動機を設けた本体と、この本体の基部に着脱自在に設けられる容器と、この容器内において吊り下げ保持されると共に前記電動機によって回転駆動されフィルタを介して内外が連通するバスケットと、このバスケット内に設けられると共に前記電動機によって回転駆動される粉砕刃と、前記容器を加熱するヒータよりなる豆乳製造器であって、
前記バスケットを昇降自在とし、このバスケットを、前記容器内の下部に配置して前記粉砕刃を回転させる豆粉砕位置と、この豆粉砕位置よりも高い位置に配置して前記バスケットを回転させる豆乳脱水位置とに選択的に固定する位置決め手段を設けたことを特徴とする豆乳製造器。
【請求項2】
前記バスケットが、前記容器の上部開口に設けられた蓋体に吊下部を介して昇降自在に吊り下げ保持され、前記位置決め手段が、前記バスケットの上方に配置されて該バスケットに接続される前記本体の頭部であって、該頭部4が、前記基部2に対して、前記豆粉砕位置に対応する高さ位置と、前記豆乳脱水位置に対応する高さ位置とに選択的に固定されることを特徴とする請求項1記載の豆乳製造器。
【請求項3】
前記粉砕刃が従動軸に取り付けられ、この従動軸に係合部を設けると共に、前記バスケットに、豆粉砕位置にて前記係合部から離脱し且つ豆乳脱水位置にて前記係合部と係合する係合受部を設けたことを特徴とする請求項1記載の豆乳製造器。
【請求項1】
内部に電動機を設けた本体と、この本体の基部に着脱自在に設けられる容器と、この容器内において吊り下げ保持されると共に前記電動機によって回転駆動されフィルタを介して内外が連通するバスケットと、このバスケット内に設けられると共に前記電動機によって回転駆動される粉砕刃と、前記容器を加熱するヒータよりなる豆乳製造器であって、
前記バスケットを昇降自在とし、このバスケットを、前記容器内の下部に配置して前記粉砕刃を回転させる豆粉砕位置と、この豆粉砕位置よりも高い位置に配置して前記バスケットを回転させる豆乳脱水位置とに選択的に固定する位置決め手段を設けたことを特徴とする豆乳製造器。
【請求項2】
前記バスケットが、前記容器の上部開口に設けられた蓋体に吊下部を介して昇降自在に吊り下げ保持され、前記位置決め手段が、前記バスケットの上方に配置されて該バスケットに接続される前記本体の頭部であって、該頭部4が、前記基部2に対して、前記豆粉砕位置に対応する高さ位置と、前記豆乳脱水位置に対応する高さ位置とに選択的に固定されることを特徴とする請求項1記載の豆乳製造器。
【請求項3】
前記粉砕刃が従動軸に取り付けられ、この従動軸に係合部を設けると共に、前記バスケットに、豆粉砕位置にて前記係合部から離脱し且つ豆乳脱水位置にて前記係合部と係合する係合受部を設けたことを特徴とする請求項1記載の豆乳製造器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−5377(P2012−5377A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142070(P2010−142070)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】
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