説明

負荷制御スイッチ

【課題】建築物の造営材に設置される負荷制御スイッチにおいて、ユーザによる簡単な工事で、正確な周波数で無線信号を受信可能として機能を向上させる。
【解決手段】無線信号を受信する無線信号送受信回路45と、無線信号に応じて負荷を制御する開閉機能モジュール3と、開閉機能モジュール3又は無線信号送受信回路45の近傍の気温を検知する温度検知部8、受信周波数を補正する周波数補正回路79を備える。周波数補正回路79は、温度検知部8によって検知された気温に基づいて局部発振器78の局部発振周波数fLOを調整し、無線信号送受信回路45の受信周波数を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気工事士の資格を有していなくても、ユーザによって簡単に無線信号を受信できるように機能を向上させることが可能な負荷制御スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、換気扇や照明装置などの負荷のオン及びオフをリモコン装置などによって行えるように、建築物の壁面などに設置された負荷制御スイッチに無線信号受信機能を設けたものなどが提案されている。元々、単純に負荷のオン/オフを制御する負荷制御スイッチが設置されていたと仮定して、そのような負荷制御スイッチを、無線信号受信機能を有するものに交換するには、配線工事を必要とするため、ユーザが自分で交換することはできない。従って、電気工事士の資格を有する者に依頼しなければならなかった。
【0003】
一方、近年DIY(Do It Yourself)と呼ばれるように、ホームセンターなどで部品を購入してきて、ユーザが自分で部品交換などを行うことが流行っている。現行のシステムにおいては、例えば非特許文献1に記載されているように、ユーザは、ホームセンターなどにおいて操作ハンドルの色やデザインなどを選択できる程度であり、負荷制御スイッチ本体の交換は自由にできないという煩わしさはそのままである。
【0004】
また、トライアックなどの半導体スイッチ素子を主スイッチ素子とする電子スイッチの場合、無線信号受信装置や人体感知センサなどから出力される信号に応じて、負荷のオン/オフを制御することが可能である。従って、電子式の負荷制御スイッチにあらかじめ外部信号入力端子を設けておき、その電子式の負荷制御スイッチに無線信号受信装置や人体感知センサなどをユーザ自身で接続できれば、低コストで負荷制御スイッチの機能を向上させることができる。
【0005】
ところで、上述した無線信号受信装置は、周囲温度の変動に伴い、局部発振器から出力される信号の周波数が変動するため、正しい周波数で無線信号を受信することが困難な場合がある。特に、上述した負荷制御スイッチは、操作ハンドルの内部及びその近傍に無線信号受信装置や負荷制御部を集約する関係上、負荷に電力を供給する負荷制御部の発熱の影響を受けやすくなり、受信周波数にずれが生じやすいという懸念がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】パナソニック電工 電設資材カタログ 2010−2012 第19頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、配線工事を伴わずに、ユーザによって簡単な工事で正確な周波数で無線信号を受信可能として機能を向上させることが可能な負荷制御スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために発明の負荷制御スイッチは、建築物の造営材に設置され、外部から送信される無線信号を受信する無線受信部と、受信された無線信号に応じて負荷を制御する負荷制御部と、温度を検知する温度検知部と、検知された温度に基づいて前記無線受信部の受信周波数を補正する周波数補正部を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明において、前記負荷制御部に着脱可能に設けられ、ユーザによる操作に応じた信号を前記負荷制御部に出力する操作ハンドルを備え、前記無線受信部、温度検知部及び周波数補正部は、前記操作ハンドルに内蔵されていることが好ましい。
【0010】
この発明において、前記周波数補正部は、スイッチング制御される並列に接続された複数のコンデンサと、前記温度検知部によって検知された温度に基づいて前記複数のコンデンサをスイッチング制御する容量制御部を有することが好ましい。
【0011】
この発明において、前記周波数補正部は、バリキャップダイオードと、前記温度検知部によって検知された温度に基づいて前記バリキャップダイオードにアナログ電圧を印加する容量制御部を有することが好ましい。
【0012】
この発明において、前記無線受信部及び前記周波数補正部の一部は、PLLシンセサイザを含んで構成されることが好ましい。
【0013】
この発明において、外部に無線信号を送信する無線送信部をさらに備えることが好ましい。
【0014】
この発明において、前記周波数補正部は、前記無線送信部の送信周波数を補正することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の負荷制御スイッチによれば、温度検知部によって検知された温度に基づいて、周波数補正部が無線受信部の受信周波数を補正するので、正確な周波数で無線信号を受信することができる。また、配線工事を伴わずに、ユーザによって簡単な工事で無線信号を受信可能として機能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による負荷制御スイッチの機械的構成を示す斜視図。
【図2】同負荷制御スイッチの電気的構成を示すブロック図。
【図3】同負荷制御スイッチに適用される局部発振器及び周波数補正回路の具体的な構成例を示すブロック図。
【図4】局部発振器及び周波数補正回路の変形例を示すブロック図。
【図5】局部発振器及び周波数補正回路の別の変形例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る負荷制御スイッチについて説明する。図1は、本実施形態に係る負荷制御スイッチ1の基本構成を示す図である。負荷制御スイッチ1は、壁面や柱等の造営材に埋め込まれて設置され、電線5が接続される端子モジュール2、スイッチ機能を有する開閉機能モジュール(負荷制御部)3、操作ハンドル4等により構成される。電線5の例としては、例えばVVF(Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable:600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型)などが挙げられる。
【0018】
端子モジュール2は、絶縁被覆が剥がされた電線5の心線51が挿入されるインレット21と、開閉機能モジュール3のソケット31が挿入されるアウトレット22を備えている。インレット21は、電線5の心線51が挿入されると自動的にロックがかかるような、従来の負荷制御スイッチのものと同様である。アウトレット22の構造は特に限定されず、単なる電気接点であってもよいし、コンセントのような構造であってもよい。後者の場合、感電を防止するため、アウトレット22にスライド式のシャッターが設けられていてもよい。なお、図1では、端子モジュール2として2線式のものを例示しているが、3線式のものであってもよい。端子モジュール2は、電気工事士など専門知識を有するものによって設置されるものであり、本実施形態の構成によれば、端子モジュール2が一旦設置されると、通常は交換されない。なお、端子モジュール2は、開閉機能モジュール3が分離されている分、従来の負荷制御スイッチよりも小さい。そのため、従来の取り付け枠に取り付けられる場合は、アダプター6などが使用される。
【0019】
開閉機能モジュール3は、半導体スイッチ素子を主スイッチ素子とする電子スイッチである。開閉機能モジュール3の操作ハンドル4が装着される装着面32には、操作ハンドル4によって操作されるプッシュオン/プッシュオフ・スイッチ33が設けられている。また、開閉機能モジュール3の装着面32には、操作ハンドル4の背面41に設けられた軸受け42と嵌合される支軸34が設けられている。操作ハンドル4の背面41には、軸受け42が支軸34に嵌合された状態、すなわち、操作ハンドル4が開閉機能モジュール3に装着された状態で、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ33と当接される突起43が設けられている。操作ハンドル4は、支軸34(又は軸受け42)に対して非対称に形成されているプッシュオン/プッシュオフ・スイッチ33のばねによって、通常は一方向に偏って保持されている。
【0020】
上記非特許文献1などから周知のように、操作ハンドル4の大きさは、取り付け枠に取り付けられる負荷制御スイッチの数によって決定される。例えば、取り付け枠に負荷制御スイッチが1個だけ取り付けられる場合、シングルと呼ばれるように、化粧プレートに形成された矩形開口とほぼ同じ大きさの操作ハンドルが使用される。また、取り付け枠に負荷制御スイッチが2個取り付けられる場合、ダブルと呼ばれるように、化粧プレートに形成された矩形開口の高さ方向寸法の1/2の大きさの操作ハンドルが使用される(幅方向寸法は同じ)。さらに、取り付け枠に負荷制御スイッチが3個取り付けられる場合、トリプルと呼ばれるように、化粧プレートに形成された矩形開口の高さ方向寸法の1/3の大きさの操作ハンドルが使用される。従来と同じく、複数の色やデザインのものから選択できることは言うまでもない。
【0021】
開閉機能モジュール3の内部には、回路基板35が設けられており、回路基板35にはトライアックなどの半導体スイッチ素子などで構成された制御回路36が実装されている。ユーザによって操作ハンドル4が操作されると、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ33がオン又はオフされ、それに伴って負荷がオン又はオフされる。
【0022】
操作ハンドル4の内部には、回路基板44が設けられており、回路基板44に無線信号送受信回路45及びアンテナ46及び47が実装されている。さらに、開閉機能モジュール3の装着面には、複数(例えば3つを例示)の第1接点37が設けられており、操作ハンドル4の背面41には、第1接点37と接触する複数(一般的には同数)の第2接点(ばね片)48が設けられている。それによって、第1接点37及び第2接点48を介して、電子スイッチの制御回路36と無線信号送受信回路45が接続される。無線信号送受信回路45は、アンテナ46又は47を介して無線信号を送受信する。図1に示す実施形態では、無線信号送受信回路45の駆動電力は、第1接点37及び第2接点48を介して、電子スイッチから供給される。
【0023】
アンテナ46及び47は、ほぼ同一の部品がそれぞれ直交するように配置されており、いずれか一方のみを選択して使用するように構成されている。周知のように、リモコン装置(図示せず)などから送信される電波は、水平偏波成分と垂直偏波成分を含んでおり、周囲の電波環境に応じて、いずれか受信状態のよい方のアンテナ46又は47を選択することができる。アンテナ46又は47の選択は、ユーザによるスイッチの手動的な切り換えであってもよいし、無線信号送受信回路45による自動的な切り換えであってもよい。
【0024】
例えば、白熱灯やLEDなどの照明装置が負荷として接続される場合、負荷制御スイッチに調光機能を持たせることが効果的である。その場合、電子スイッチの制御回路36にさらに調光回路を設け、無線信号送受信回路45によりリモコン装置から送信される調光信号を受信し、調光回路は調光信号に応じて負荷である照明装置を調光制御するように構成すればよい。
【0025】
図2は、負荷制御スイッチ1の回路構成を示している。無線信号送受信回路(無線受信部、無線送信部)45は、RFフィルタ71、ローノイズアンプ72、ミキサ73、IFフィルタ74、IFアンプ75、復調部76、制御部77、局部発振器78、周波数補正回路79、パワーアンプ80、スイッチ81,82等によって構成される。
【0026】
RFフィルタ71は、アンテナ46,47を介して受信したRF信号に帯域制限をかける。ローノイズアンプ72は、RFフィルタ71を濾波したRF信号を増幅する。ミキサ73は、ローノイズアンプ72から出力された高周波fRFのRF信号と、局部発振器78によって生成された局部発振周波数fLOの信号を混合して、中間周波数fIFのIF信号を出力する。IFフィルタ74は、ミキサ73から出力されたIF信号に帯域制限をかける。IFアンプ75は、IFフィルタ74を濾波したIF信号を増幅する。復調部76は、IFアンプ75から出力されたIF信号を検波し、対応する信号を制御部77に出力する。制御部77は、無線信号送受信回路45の各部の動作を制御する。例えば、制御部77は、復調部76から入力された信号に応じて、開閉機能モジュール3を制御することにより、負荷の動作を制御する。
【0027】
図2に示すように、スイッチ82がアンテナ46,47とRFフィルタ71を接続し、スイッチ81が局部発振器78とミキサ73を接続しているとき、無線信号送受信回路45は、無線受信部として機能する。一方、スイッチ82がアンテナ46,47とパワーアンプ80を接続し、スイッチ81が局部発振器78とパワーアンプ80を接続しているとき、無線信号送受信回路45は、無線送信部として機能する。スイッチ81,82は、制御部77によって制御され、無線信号送受信回路45の機能を切り替える。例えば、外部のリモコン装置等から送信された無線信号を無線信号送受信回路45の受信機能により受信して、その応答信号を送信機能によりリモコン装置等に送信する際に、スイッチ81,82が動作する。
【0028】
パワーアンプ80は、無線信号送受信回路45が無線送信部として機能するとき、局部発振器78から出力された信号を増幅する。パワーアンプ80によって増幅された信号は、アンテナ46,47を介して外部に送出される。このとき、アンテナ46,47からは、局部発振器78によって生成された局部発振周波数fLOの信号が出力される。
【0029】
局部発振器78によって生成される局部発振周波数fLOは、無線信号送受信回路45が無線受信部として機能するとき、又は無線送信部として機能するときに応じて異なる周波数となる。具体的には、周波数fRFの信号を受信するときは、fLO=fRF-fIF(又はfLO=fRF+fIF)、周波数fRFの信号を送信するときはfLO=fRFとなる。このようなfLOの制御は、制御部77によって行われる。
【0030】
開閉機能モジュール3は、商用交流電源から負荷に電力を供給する回路内に設けられ、負荷の動作に応じて発熱する。ところが、図1に示した負荷制御スイッチ1の構造上、負荷制御部としての開閉機能モジュール3の近傍に無線信号送受信回路45が設けられることとなるため、局部発振器78は開閉機能モジュール3の発熱の影響を受けやすくなる。すなわち、局部発振器78から出力される信号の周波数は、周囲温度の変動に伴い変動するため、無線信号送受信回路45が無線受信部として機能するとき、正しい周波数で無線信号を受信することが困難な場合がある。同様に、無線信号送受信回路45が無線送信部として機能するとき、正しい周波数で無線信号を送信することが困難な場合がある。また、負荷制御スイッチ1が設置される環境の温度変動が大きい場合は、同様の問題が生ずる。
【0031】
そこで、本実施形態においては、操作ハンドル4を構成する箱体の内部で局部発振器78の近傍に温度検知部8が設けられ、さらには、局部発振器78から出力される信号の周波数を補正するための周波数補正回路79がさらに装備される。温度検知部8は、局部発振器78の近傍に配設され、局部発振器78の近傍の気温を検知し、制御部77に出力する。ここでいう近傍とは、局部発振器78によって生成される信号の周波数fLOがその周囲環境の温度の影響を受ける程度に近接した領域をいい、負荷の消費電力等によって変わる。
【0032】
制御部77は、温度検知部8によって検知された気温に基づいて周波数補正回路79を制御する。周波数補正回路79は、制御部77の制御に応じて局部発振器78から出力される信号の周波数を補正する。これにより、ミキサ73信号から出力されるIF信号の周波数fIFが補正される。すなわち、無線信号送受信回路45が無線受信部として機能するとき、その受信周波数が正しく補正される。同様に、無線信号送受信回路45が無線送信部として機能するとき、その送信周波数fLOが正しく補正される。
【0033】
図3は、局部発振器78及び周波数補正回路79の具体的な構成例を示している。局部発振器78と周波数補正回路79とは、一体的に統合されて無線信号送受信回路45に設けられる。すなわち、周波数補正回路79は、無線信号送受信回路45内に設けられていてもよい(図4に係る変形例も同様)。局部発振器78は、水晶振動子78a及び発振回路78b等によって構成される。周波数補正回路79は、並列に接続された複数のコンデンサ79aと各コンデンサ79aをスイッチング制御するスイッチ(容量制御部)79b等によって構成される。各スイッチ79bは、制御部(容量制御部)77から出力された制御信号に応じて開閉し、各コンデンサ79aの接続状態を制御する。すなわち、各スイッチ79bの接続状態を適宜制御することにより、周波数補正回路79の容量が変更され、これに伴い発振回路78bから出力される信号の周波数fLOが補正される。複数のコンデンサ79a及びスイッチ79bは、スイッチングコンデンサ(スイッチトキャパシタ:Switched capacitor)によって構成できる。このようなスイッチングコンデンサを用いた構成は半導体に集積し易いので、周波数補正回路79の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0034】
図4は、局部発振器78及び周波数補正回路79の変形例を示している。本変形例において、周波数補正回路79は、水晶振動子78aの両端に接続された一対のコンデンサ79c及びバリキャップダイオード(可変容量ダイオード)79d等によって構成される。バリキャップダイオード79dのアノードはグランドに接続され、カソードには制御部(容量制御部)77から出力されるアナログ電圧が入力される。制御部77は、温度検知部8によって検知された気温に基づいて、周波数補正回路79の制御信号としてバリキャップダイオード79dのカソードにアナログ電圧を出力する。バリキャップダイオード79dは、制御部77から入力されたアナログ電圧に応じて、自身の容量を変える。これに伴い周波数補正回路79の容量が変更され、発振回路78bから出力される信号の周波数fLOが補正される。
【0035】
上記変形例の構成によれば、制御部77から入力されるアナログ電圧によって周波数補正回路79の容量を無段階に制御できるので、発振回路78bから出力される信号の周波数fLOが無段階に補正することができる。
【0036】
図5は、局部発振器78及び周波数補正回路79の変形例を示している。本変形例においては、PLLシンセサイザ90によって図2に示した局部発振器78及び周波数補正回路79が構成され、無線信号送受信回路45に設けられる。PLLシンセサイザ90の一例としては、フラクショナルN型のPLLシンセサイザが挙げられるが、これに限られることはない。
【0037】
PLLシンセサイザ90は、基準発振器90a、固定分周器90b、電圧制御発振器(VCO)90c、可変分周器90d、位相比較器90e、チャージポンプ90f、ループフィルタ90g等によって構成される。基準発振器90aから固定分周器90bを介して出力された基準発振信号と電圧制御発振器90cから可変分周器90dを介して出力された信号が、位相比較器90eによって比較され、両者の位相差に応じた信号が出力される。このとき、可変分周器90dには、温度検知部8によって検知された気温に基づく制御信号(周波数設定情報)が制御部77から入力される。可変分周器90dは、制御部77から入力された制御信号に応じて、周波数補正回路79の電圧制御発振器90cから入力される信号を分周する。
【0038】
チャージポンプ90fは、位相比較器90eから出力された信号を電圧に変換する。ループフィルタ90gは、チャージポンプ90fから出力された電圧信号を平均化する。このループフィルタ90gから出力された電圧信号は、電圧制御発振器90cに帰還される。電圧制御発振器90cは、ループフィルタ103から入力された電圧信号に応じた周波数で発振する出力信号を生成する。上記構成においては、制御部77から入力された制御信号によって可変分周器90dの分周比が制御され、電圧制御発振器90cから出力される信号の周波数fLOが補正される。
【0039】
上記変形例のようにPLLシンセサイザ90を用いた構成は半導体に集積し易いので、周波数補正回路79を小型化・低コスト化を図ることができる。また、回路を構成する部品の個体差によらず周波数の補正量を一意に決定できるので、周波数を補正するための制御が容易となる。
【0040】
以上のように、本実施形態の負荷制御スイッチ1によれば、温度検知部8によって検知された局部発振器78の近傍の気温に基づいて、周波数補正回路79が局部発振器78から出力される信号の周波数を補正する。これにより、正確な周波数で無線信号を受信又は送信することができる。また、配線工事を伴わずに、ユーザによって簡単な工事で無線信号を受信又は送信可能として機能を向上させることが可能となる。
【0041】
また、無線信号送受信回路45、温度検知部8及び周波数補正回路79が操作ハンドル4に内蔵されているので、負荷制御スイッチ1の構成の簡素化及び小型化を容易に図ることができる。また、既存の開閉機能モジュール3を用いつつ、操作ハンドル4のみの対応で正確な周波数で無線信号を受信又は送信することができるようになる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも温度検知部8によって検知された気温に基づいて無線信号送受信回路45の受信又は送信周波数を補正可能に構成されていればよい。また、本発明は種々の変形が可能であり、例えば、無線信号送受信回路45は、受信機能のみを有する構成であってもよい。この場合は、パワーアンプ80等の構成は不要となる。また、温度検知部8は、開閉機能モジュール3の近傍の気温を検知するように、開閉機能モジュール3の近傍に配設されていてもよい。また、温度検知部8が検知する温度は、それらの近傍の気温に限られることなく、開閉機能モジュール3又は局部発振器78そのものの温度、又はそれらを収容する箱体内部の温度であってもよい。さらには、開閉機能モジュール3の発熱を検知する構成であってもよい。また、温度検知部8及び周波数補正回路79は、無線信号送受信回路45の内部又は外部のいずれに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 負荷制御スイッチ
3 開閉機能モジュール(負荷制御部)
4 操作ハンドル
8 温度検知部
45 無線信号送受信回路(無線受信部、無線送信部)
77 制御部(周波数補正部、容量制御部)
79 周波数補正回路(周波数補正部、容量制御部)
90 PLLシンセサイザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の造営材に設置され、外部から送信される無線信号を受信する無線受信部と、受信された無線信号に応じて負荷を制御する負荷制御部と、温度を検知する温度検知部と、検知された温度に基づいて前記無線受信部の受信周波数を補正する周波数補正部を備えたことを特徴とする負荷制御スイッチ。
【請求項2】
前記負荷制御部に着脱可能に設けられ、ユーザによる操作に応じた信号を前記負荷制御部に出力する操作ハンドルを備え、
前記無線受信部、温度検知部及び周波数補正部は、前記操作ハンドルに内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載の負荷制御スイッチ。
【請求項3】
前記周波数補正部は、スイッチング制御される並列に接続された複数のコンデンサと、前記温度検知部によって検知された温度に基づいて前記複数のコンデンサをスイッチング制御する容量制御部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の負荷制御スイッチ。
【請求項4】
前記周波数補正部は、バリキャップダイオードと、前記温度検知部によって検知された温度に基づいて前記バリキャップダイオードにアナログ電圧を印加する容量制御部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の負荷制御スイッチ。
【請求項5】
前記無線受信部及び前記周波数補正部の一部は、PLLシンセサイザを含んで構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の負荷制御スイッチ。
【請求項6】
外部に無線信号を送信する無線送信部をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の負荷制御スイッチ。
【請求項7】
前記周波数補正部は、前記無線送信部の送信周波数を補正することを特徴とする請求項6に記載の負荷制御スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−191561(P2012−191561A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55359(P2011−55359)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】