説明

貨幣収納装置、貨幣引渡方法および管理装置

【課題】予定外の貨幣の配送を行うことのないよう、貨幣を予め店舗等に置いておくようにすることができる貨幣収納装置、貨幣引渡方法および管理装置を提供する。
【解決手段】貨幣引渡システムは、第1の所有者(警備会社90)が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置60(具体的には、貨幣入出金機20や貨幣収納庫30、または棒金収納庫50)と、引き渡した貨幣量を管理する管理装置92とを備えている。貨幣収納装置60は、通信部65を介して取出貨幣量と同定情報とを管理装置92に送信する制御部66を有している。管理装置92は、貨幣収納装置60から送信された同定情報から第2の所有者のID情報を決定するとともに貨幣収納装置60から送信された取出貨幣量を引渡貨幣量とし、この引渡貨幣量と第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶部93に記憶させる制御部95を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣収納装置、貨幣引渡方法および管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において、特許文献1に示すような貨幣入出金機が用いられている。特許文献1に開示される貨幣入出金機は、店舗側が管理する、貨幣を収納し入金や出金が可能なリサイクル収納部と、警備会社等の回収業者側が管理する、貨幣を収納するカセット収納部とを備えている。そして、特許文献1に示すような貨幣入出金機では、店舗に設けられた貨幣釣銭機等から取り出された貨幣を、店舗側に管理権限のあるリサイクル収納部に収納し、また、釣銭用の貨幣をリサイクル収納部から出金するようになっている。また、店舗側から回収業者側に貨幣を引き渡すときには、リサイクル収納部からカセット収納部に貨幣を移動させ、このカセット収納部に移された貨幣を回収業者が回収するようになっている。一方、貨幣釣銭機に収納されるべき釣銭準備金は、回収業者が店舗に持参し、店舗側にこの釣銭準備金が渡されるようになっているが、このような動作は人間による管理となっており、釣銭準備金の一部が貨幣入出金機に補充されて管理されるようになっている。
【0003】
ここで、店舗における釣銭の使用量は日ごとに異なり、釣銭準備金が不足する場合がある。このときに、店舗は回収業者に釣銭の補充を依頼し、釣銭用の貨幣を店舗まで配送してもらう必要がある。このような、回収業者による釣銭用の貨幣の配送は費用が高く、店舗側の負担が大きいという問題がある。また、回収業者としても、予定外の貨幣の配送を行うため、スケジュール変更等の負担が大きい。
【0004】
また、店舗にATMが配置されており、このATMの運用を警備会社等の回収業者が請け負っている場合にも、ATMに収納されている貨幣が不足すると、回収業者が予定外の貨幣の配送を行う必要があり、回収業者にとって大きな負担となる。
【0005】
また、特許文献2に示すように、監視センタから遠隔でATMや店舗に設置された機器等における貨幣の収納状態の監視を行う場合もある。このような方法を用いた場合には、ATM等における貨幣の過不足状態を監視することが可能であり、状況に応じて配送する貨幣の量を調節することができる。しかしながら、この場合でも、実際に貨幣が不足したときには、回収業者は予定外の貨幣の配送を行わなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−312833号公報
【特許文献2】特許第3810988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、予定外の貨幣の配送を行うことのないよう、貨幣を予め店舗等に置いておくようにすることができる貨幣収納装置、貨幣引渡方法および管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の貨幣収納装置が用いられる貨幣引渡システムは、第1の所有者から第2の所有者に貨幣を引き渡す貨幣引渡システムであって、前記貨幣引渡システムは、前記第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置と、引き渡した貨幣量を管理する管理装置とを備え、(a)前記貨幣収納装置は、貨幣を収納する収納部と、前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部と、前記収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報と、前記第2の所有者を同定可能な同定情報とを記憶する記憶部と、操作者に関する情報を入力するための操作部と、外部の装置と通信を行う通信部と、前記通信部を介して前記取出貨幣量と前記同定情報とを前記管理装置に送信する制御部と、を有し、(b)前記管理装置は、前記第1の所有者から前記第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部と、外部の装置と通信を行う通信部と、前記貨幣収納装置から送信された前記同定情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに前記貨幣収納装置から送信された前記取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、当該引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の貨幣収納装置が用いられる貨幣引渡システムは、第1の所有者から第2の所有者に貨幣を引き渡す貨幣引渡システムであって、前記貨幣引渡システムは、前記第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置と、引き渡した貨幣量を管理する管理装置とを備え、(a)前記貨幣収納装置は、貨幣を収納する収納部と、前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部と、前記収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報を記憶する記憶部と、操作者に関する情報を入力するための操作部と、外部の装置と通信を行う通信部と、前記通信部を介して前記取出貨幣量と前記許可情報とを前記管理装置に送信する制御部と、を有し、(b)前記管理装置は、前記操作者に関する情報と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶し、また、前記第1の所有者から前記第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部と、外部の装置と通信を行う通信部と、前記貨幣収納装置から送信された前記許可情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに前記貨幣収納装置から送信された前記取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報と関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、を有する、ことを特徴とする。
【0010】
上述のような貨幣引渡システムは、前記第2の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣処理装置を更に備え、(c)前記貨幣処理装置は、外部から貨幣を受け入れる受入部と、前記受入部が受け入れた貨幣を識別する識別部と、貨幣を収納する少なくとも1つの収納部と、外部の装置と通信を行う通信部と、前記識別部の識別結果に基づいて前記収納部に貨幣を収納し、収納された貨幣の量を計数する制御部と、を有し、前記貨幣収納装置から減少した貨幣量と、前記貨幣処理装置で増加した貨幣量とが一致した場合においてのみ、前記第2の所有者へ引き渡した貨幣量が確定されるようになっていてもよい。
【0011】
上述のような貨幣引渡システムにおいては、前記貨幣収納装置は、外部の装置から許可情報を受信し、この許可情報は前記記憶部に記憶されるようになっていてもよい。
【0012】
この際に、前記許可情報には、取り出しが可能な貨幣量の情報が含まれていてもよい。
【0013】
また、前記許可情報には、取り出しが可能な期間の情報が含まれていてもよい。
【0014】
本発明は、上述のような貨幣収納装置を用いた貨幣引渡方法であって、前記貨幣収納装置の前記取出貨幣計数部が、前記貨幣収納装置の前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する工程と、前記貨幣収納装置の前記制御部が、前記貨幣収納装置の前記通信部を介して、前記取出貨幣量と前記記憶部に記憶された同定情報とを前記管理装置に送信する工程と、前記管理装置の前記制御部が、前記貨幣収納装置から送信された前記同定情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに前記貨幣収納装置から送信された前記取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記管理装置の前記記憶部に記憶させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上述のような貨幣収納装置を用いた貨幣引渡方法であって、前記貨幣収納装置の前記取出貨幣計数部が、前記貨幣収納装置の前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する工程と、前記貨幣収納装置の前記制御部が、前記貨幣収納装置の前記通信部を介して、前記取出貨幣量と前記記憶部に記憶された許可情報とを前記管理装置に送信する工程と、前記管理装置の前記制御部が、前記貨幣収納装置から送信された前記許可情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに前記貨幣収納装置から送信された前記取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記管理装置の前記記憶部に記憶させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の管理装置は、第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣量を管理する管理装置であって、前記第1の所有者から前記第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部と、外部の装置と通信を行う通信部と、第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置から送信された、前記第2の所有者を同定可能な同定情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに、前記貨幣収納装置から送信された、当該貨幣収納装置の収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の他の管理装置は、第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣量を管理する管理装置であって、操作者に関する情報と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶し、また、前記第1の所有者から前記第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部と、外部の装置と通信を行う通信部と、第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置から送信された、当該貨幣収納装置の収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに、前記貨幣収納装置から送信された、当該貨幣収納装置の前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明の貨幣収納装置は、第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置であって、貨幣を収納する収納部と、前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部と、前記収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報と、前記第2の所有者を同定可能な同定情報とを記憶する記憶部と、操作者に関する情報を入力するための操作部と、外部の装置と通信を行う通信部と、前記通信部を介して、前記取出貨幣量と前記同定情報とを、前記第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣量を管理する管理装置に送信する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明の他の貨幣収納装置は、第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置であって、貨幣を収納する収納部と、前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部と、前記収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報を記憶する記憶部と、操作者情報を入力するための操作部と、外部の装置と通信を行う通信部と、前記通信部を介して、前記取出貨幣量と前記許可情報とを、前記第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣量を管理する管理装置に送信する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の貨幣収納装置、貨幣引渡方法および管理装置は、予定外の貨幣の配送を行うことのないよう、貨幣を予め店舗等に置いておくようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】独立設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する従来例を示す図である。
【図2】独立設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する第1の実施例を示す図である。
【図3】独立設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する第2の実施例を示す図である。
【図4】店舗のレジ釣銭機への貨幣の補充方法に関する従来例を示す図である。
【図5】店舗のレジ釣銭機への貨幣の補充方法に関する第3の実施例を示す図である。
【図6】店舗内に設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する第4の実施例を示す図である。
【図7】本発明における、貨幣入出金機や貨幣収納庫、または棒金収納庫等の貨幣収納装置の構成を示す説明図である。
【図8】本発明における、警備会社に設けられる管理装置の構成を示す説明図である。
【図9】本発明における、ATMやレジ釣銭機等の貨幣処理装置の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施の形態>
図1乃至図3を用いて、本発明の第1の実施の形態について説明する。ここで、図1は、独立設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する従来例を示す図であり、図2は、独立設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する第1の実施例を示す図であり、図3は、独立設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する第2の実施例を示す図である。
【0023】
まず、図1を用いて、独立設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する従来例について説明する。図1に示すように、ATMブース10には1または複数のATM12が設けられており(図1では1つのみのATM12について表示)、また、このATMブース10から離間した場所には警備会社90が設けられている。警備会社90には管理装置92が設けられており、この管理装置92はATMブース10に設けられたATM12と通信接続されている。ここで、ATM12に収納された貨幣は、警備会社90側には管理権限がなく、ATMの運営者に管理権限があるようになっている。
【0024】
従来例においては、あるATM12に収納されている貨幣が不足すると、この情報が当該ATM12から管理装置92に送信され、管理装置92において特定のATM12における貨幣不足が認識される。この場合、警備会社90からATMブース10に現金輸送車により貨幣が配送され、現金輸送車がATMブース10に到着すると、警備員は現金輸送者から現金ケースを取り出し、この現金ケースを持った警備員がATM12に到着すると現金ケースから貨幣を取り出してATM12に補充する。
【0025】
しかしながら、図1に示すような従来例による方法では、現金輸送車により貨幣を配送するため、このようなATM12に補充するための貨幣の配送の費用が高くなってしまい、ATMの運営者の負担が大きいという問題がある。また、警備会社90としても、予定外の貨幣の配送を行うため、スケジュール変更等の負担が大きいという問題がある。
【0026】
次に、図2を用いて、独立設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する第1の実施例について説明する。図2に示すように、第1の実施例では、図1に示すような従来例と比較して、ATMブース10には1または複数のATM12が設けられているとともに(図2では1つのみのATM12について表示)、貨幣入出金機20が設けられている。貨幣入出金機20は、紙幣の入金口および出金口、ならびに硬貨の入金口および出金口をそれぞれ備えており、入金口から機体の内部に入金された紙幣や硬貨は、機体の内部に設けられた識別装置で識別された後、複数の収納部に金種別に収納されるようになっている。また、各収納部に収納された紙幣や硬貨は、出金口より機体の外部に出金することができるようになっている(例えば、特開2001−093019号公報)。また、警備会社90に設けられた管理装置92には、ATMブース10に設けられたATM12および貨幣入出金機20がそれぞれ通信接続されている。ここで、貨幣入出金機20に収納された貨幣は、警備会社90側に管理権限があるようになっており、ATMの運営者は貨幣入出金機20に収納された貨幣を当該貨幣入出金機20から出金することができないようになっている。なお、貨幣入出金機20には、警備会社90の警備員が定期的に巡回を行うことにより貨幣を補充するようになっている。
【0027】
第1の実施例においては、あるATM12に収納されている貨幣が不足すると、この情報が当該ATM12から管理装置92に送信され、管理装置92において特定のATM12における貨幣不足が認識される。この場合、図2に示すように警備会社90からATMブース10に警備員が派遣され、警備員がATMブース10に到着すると、この警備員は自己が所有するIDカードのID情報を貨幣入出金機20のカードリーダに読み取らせることにより、この貨幣入出金機20からの貨幣の出金が可能となる。そして、警備員は、貨幣入出金機20から出金された貨幣をATM12に補充する。
【0028】
このようにして、警備会社90(第1の所有者)側からATMの運営者(第2の所有者)側へ貨幣が引き渡され、この貨幣の管理権限が警備会社90側からATMの運営者側へ移されるようになる。また、警備会社90側からATMの運営者側へ引き渡された貨幣量は管理装置92により管理されるようになっている。
【0029】
図2に示すような第1の実施例では、現金輸送車により貨幣を警備会社90からATMブース10に配送する必要がなく、警備会社90側に管理権限がある貨幣が貨幣入出金機20に収納されているため警備員をATMブース10に派遣するだけでATM12への貨幣の補充を行うことができるようになる。
【0030】
次に、図3を用いて、独立設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する第2の実施例について説明する。図3に示すように、ATMブース10には1または複数のATM12が設けられているとともに(図3では1つのみのATM12について表示)、貨幣収納庫30が設けられている。貨幣収納庫30は、100枚毎に束ねられた紙幣や50枚毎に包装された硬貨である棒金硬貨の収納を行う複数の収納ドロアを備えており、これらの収納ドロアが機体から引き出し可能となっている。また、これらの収納ドロアには開閉電磁ロックがそれぞれ設けられており、この開閉電磁ロックにより、収納ドロアが機体内にロック可能となっている。収納ドロア内は複数の区画に区切られ、区画毎に収納する紙幣束や棒金硬貨の金種が決められている。各区画は、ロードセルなど重量の検出器を備えており、取り出された貨幣の数は、各区画の重量の変化から計数される(特開2009−294711号公報を参照)。また、警備会社90に設けられた管理装置92には、ATMブース10に設けられたATM12および貨幣収納庫30がそれぞれ通信接続されている。ここで、貨幣収納庫30に収納された貨幣は、警備会社90側に管理権限があるようになっており、ATMの運営者は貨幣収納庫30に収納された貨幣を当該貨幣収納庫30から取り出すことができないようになっている。なお、貨幣収納庫30には、警備会社90の警備員が定期的に巡回を行うことにより貨幣を補充するようになっている。
【0031】
第2の実施例においては、あるATM12に収納されている貨幣が不足すると、この情報が当該ATM12から管理装置92に送信され、管理装置92において特定のATM12における貨幣不足が認識される。この場合、第1の実施例と同様に、図3に示すように警備会社90からATMブース10に警備員が派遣され、警備員がATMブース10に到着すると、この警備員は自己が所有するIDカードのID情報を貨幣収納庫30のカードリーダに読み取らせることにより、この貨幣収納庫30において開閉電磁ロックによる各収納ドロアのロック状態を解除し、各収納ドロアを機体から手前側に引き出すことができるようにすることによって、貨幣収納庫30からの貨幣の取り出しが可能となる。そして、警備員は、貨幣収納庫30から取り出された貨幣をATM12に補充する。
【0032】
このようにして、警備会社90(第1の所有者)側からATMの運営者(第2の所有者)側へ貨幣が引き渡され、この貨幣の管理権限が警備会社90側からATMの運営者側へ移されるようになる。また、警備会社90側からATMの運営者側へ引き渡された貨幣量は管理装置92により管理されるようになっている。
【0033】
なお、第1の実施の形態における第1の実施例や第2の実施例は、独立設置されたATMへの貨幣の補充方法だけではなく、スーパーマーケット等の店舗に設置されたATMへの貨幣の補充方法にも適用することができる。
【0034】
<第2の実施の形態>
図4および図5を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで、図4は、店舗のレジ釣銭機への貨幣の補充方法に関する従来例を示す図であり、図5は、店舗のレジ釣銭機への貨幣の補充方法に関する第3の実施例を示す図である。
【0035】
まず、図4を用いて、店舗のレジ釣銭機への貨幣の補充方法に関する従来例について説明する。図4に示すように、店舗40における顧客が立ち入ることができる領域であるフロント領域41には複数のレジ釣銭機43が設けられている。各レジ釣銭機43にはPOSターミナル44が通信接続されている。また、店舗40における顧客が立ち入ることができない領域であるバックヤード領域42には店舗サーバー45および売上金入出金機46が配置されている。売上金入出金機46は、当該売上金入出金機46を前方から見て上部右側に配置された紙幣処理装置と、売上金入出金機46を前方から見て上部左側に配置された硬貨処理装置と、紙幣処理装置および硬貨処理装置の下方に設けられ紙幣や硬貨の収納を行う貨幣収納部とを備えている(例えば、特許文献1)。紙幣処理装置は、機体の外部から投入された紙幣を一時的に収納するとともに、一時的に収納された紙幣を機体の外部に返却したり貨幣収納部に収納したりするようになっている。硬貨処理装置は、機体の外部から投入された硬貨を一時的に収納するとともに、一時的に収納された硬貨を機体の外部に返却したり貨幣収納部に収納したりするようになっている。貨幣収納部には紙幣および硬貨の収納をそれぞれ行う複数の収納カセットが設けられており、これらの収納カセットは機体の内部から取り出し可能となっている。
【0036】
図4に示すように、各POSターミナル44は店舗サーバー45にそれぞれ接続されている。また、売上金入出金機46も店舗サーバー45に接続されている。また、この店舗40から離間した場所には警備会社90が設けられている。警備会社90には管理装置92が設けられており、この管理装置92は店舗40に設けられた店舗サーバー45および売上金入出金機46とそれぞれ通信接続されている。ここで、各レジ釣銭機43に収納された貨幣は、警備会社90側には管理権限がなく、店舗40側に管理権限があるようになっている。また、売上金入出金機46の紙幣処理装置および硬貨処理装置に収納された貨幣は、店舗40側に管理権限があり、売上金入出金機46の貨幣収納部に収納された貨幣は、警備会社90側に管理権限がある。
【0037】
従来例においては、各レジ釣銭機43に収納されている釣銭としての貨幣(とりわけ、釣銭としての硬貨)が不足すると、店舗40側の店員等が売上金入出金機46から貨幣を出金し(具体的には、例えば売上金入出金機46の硬貨処理装置から硬貨を出金し)、出金された貨幣を各レジ釣銭機43に補充するようになっている。また、店舗40における営業時間が終了すると、各レジ釣銭機43に収納されている売上金としての貨幣を店舗40側の店員等が売上金入出金機46に入金するようになっている。また、売上金入出金機46に収納されている貨幣が不足すると(具体的には、売上金入出金機46の硬貨処理装置に収納されている硬貨が不足すると)、この情報が当該売上金入出金機46から管理装置92に送信され、管理装置92において売上金入出金機46における貨幣不足が認識される。この場合、警備会社90から店舗40に現金輸送車により貨幣が配送され、現金輸送車が店舗40に到着すると、警備員は現金輸送者から現金ケースを取り出し、この現金ケースを持った警備員が売上金入出金機46に到着すると現金ケースから貨幣を取り出して売上金入出金機46に補充する。
【0038】
しかしながら、図4に示すような従来例による方法では、現金輸送車により貨幣を配送するため、店舗40に設けられた売上金入出金機46に補充するための貨幣の配送の費用が高くなってしまい、店舗40側の負担が大きいという問題がある。また、警備会社90としても、予定外の貨幣の配送を行うため、スケジュール変更等の負担が大きいという問題がある。
【0039】
次に、図5を用いて、店舗のレジ釣銭機への貨幣の補充方法に関する第3の実施例について説明する。図5に示すように、第3の実施例では、図4に示すような従来例と比較して、店舗40のバックヤード領域42には店舗サーバー45および売上金入出金機46が設けられているとともに、棒金硬貨の収納を行う棒金収納庫50が設けられている。棒金収納庫50は、棒金硬貨の収納を行う複数の収納ドロアを備えており、これらの収納ドロアが機体から引き出し可能となっている。また、これらの収納ドロアには開閉電磁ロックがそれぞれ設けられており、この開閉電磁ロックにより、収納ドロアが機体内でロック可能となっている。収納ドロア内は複数の区画に区切られ、区画毎に棒金硬貨を1本ずつ収納するようになっている。棒金収納庫50は、例えば、各区画の棒金硬貨の有無や外径を検出するセンサや各区画の棒金硬貨の有無や材質を検出する電磁コイルを備え、取り出された貨幣の数は、各区画の棒金硬貨の有無や金種の変化から計数される(特開2006−285472号公報、特開2008−293422号公報を参照)。また、警備会社90に設けられた管理装置92には、店舗40のバックヤード領域42に設けられた店舗サーバー45、売上金入出金機46および棒金収納庫50がそれぞれ通信接続されている。ここで、棒金収納庫50に収納された棒金硬貨は、警備会社90側に管理権限があるようになっており、店舗40側の店員等は棒金収納庫50に収納された棒金硬貨を当該棒金収納庫50から取り出すことができないようになっている。なお、棒金収納庫50には、警備会社90の警備員が定期的に巡回を行うことにより棒金硬貨を補充するようになっている。
【0040】
第3の実施例においては、あるレジ釣銭機43に収納されている貨幣が不足すると、この情報がPOSターミナル44を介して店舗サーバー45に送信され、この店舗サーバー45から貨幣の不足に係る情報が更に管理装置92に送信され、管理装置92において特定のレジ釣銭機43における貨幣不足が認識される。この場合、管理装置92は棒金収納庫50に対して棒金硬貨の取り出し許可の指令を与え、特定の権限を有する店舗40側の店員が、自己が所有するIDカードのID情報を棒金収納庫50のカードリーダ(後述)に読み取らせることにより、この棒金収納庫50から棒金硬貨を取り出すことができるようになる。そして、店舗40側の店員は、棒金収納庫50から取り出された棒金硬貨をレジ釣銭機43に補充する。
【0041】
このようにして、警備会社90(第1の所有者)側から店舗40(第2の所有者)側へ貨幣が引き渡され、この貨幣の管理権限が警備会社90側から店舗40側へ移されるようになる。また、警備会社90側から店舗40側へ引き渡された貨幣量は管理装置92により管理されるようになっている。
【0042】
図5に示すような第3の実施例では、現金輸送車により貨幣を警備会社90からATMブース10に配送する必要がなく、店舗40側の店員が棒金収納庫50から棒金硬貨を取り出すことによりレジ釣銭機43への棒金硬貨の補充を行うことができるようになる。
【0043】
<第3の実施の形態>
図6を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで、図6は、店舗内に設置されたATMへの貨幣の補充方法に関する第4の実施例を示す図である。
【0044】
図6に示すように、第4の実施例では、図4に示すような従来例と比較して、店舗40のフロント領域41に1または複数のATM48が追加的に設けられており(図6では1つのみのATM48について表示)、また、店舗40のバックヤード領域42に貨幣収納庫30が設けられている。ここで、第4の実施例において店舗40のバックヤード領域42に設けられる貨幣収納庫30は、図3に示すような第2の実施例においてATMブース10に設置される貨幣収納庫30と同様の構成のものが用いられる。また、警備会社90に設けられた管理装置92には、店舗40のバックヤード領域42に設けられた店舗サーバー45、売上金入出金機46および貨幣収納庫30がそれぞれ通信接続されるとともに、店舗40のフロント領域41に設けられたATM48が通信接続されている。ここで、ATM48に収納された貨幣は、警備会社90側には管理権限がなく、ATMの運営者に管理権限があるようになっている。また、貨幣収納庫30に収納された貨幣は警備会社90側に管理権限があるようになっており、ATMの運営者や店舗40側の店員等は貨幣収納庫30に収納された貨幣を当該貨幣収納庫30から取り出すことができないようになっている。なお、貨幣収納庫30には、警備会社90の警備員が定期的に巡回を行うことにより貨幣を補充するようになっている。
【0045】
第4の実施例においては、あるATM48に収納されている貨幣が不足すると、この情報が当該ATM48から管理装置92に送信され、管理装置92において特定のATM48における貨幣不足が認識される。この場合、管理装置92は貨幣収納庫30に対して貨幣の取り出し許可の指令を与え、特定の権限を有する店舗40側の店員が、自己が所有するIDカードのID情報を貨幣収納庫30のカードリーダに読み取らせることにより、この貨幣収納庫30において開閉電磁ロックによる各収納ドロアのロック状態を解除し、各収納ドロアを機体から手前側に引き出すことができるようにすることによって、貨幣収納庫30からの貨幣の取り出しが可能となる。そして、店舗40側の店員は、貨幣収納庫30から取り出された貨幣をATM48に補充する。あるいは、管理装置92において特定のATM48における貨幣不足が認識されると、図6の括弧内に示すように警備会社90から店舗40に警備員が派遣されるようになっていてもよい。この場合には、警備員が店舗40に到着すると、この警備員は自己が所有するIDカードのID情報を貨幣収納庫30のカードリーダに読み取らせることにより、貨幣収納庫30からの貨幣の取り出しが可能となる。そして、警備員は、貨幣収納庫30から取り出された貨幣をATM12に補充する。
【0046】
このようにして、警備会社90(第1の所有者)側からATMの運営者(第2の所有者)側へ貨幣が引き渡され、この貨幣の管理権限が警備会社90側からATMの運営者側へ移されるようになる。また、警備会社90側からATMの運営者側へ引き渡された貨幣量は管理装置92により管理されるようになっている。
【0047】
<貨幣収納装置の構成について>
次に、第1の実施例において用いられる貨幣入出金機20、第2および第4の実施例において用いられる貨幣収納庫30、ならびに第3の実施例において用いられる棒金収納庫50の構成について以下に説明する。本発明では、これらの貨幣入出金機20、貨幣収納庫30および棒金収納庫50をまとめて以下の記載では貨幣収納装置60というようになっている。また、これらの貨幣入出金機20、貨幣収納庫30および棒金収納庫50に収納される貨幣は、警備会社90の管理権限下にあるようになっている。
【0048】
図7に示すように、貨幣収納装置60は、貨幣を収納する収納部61と、収納部61から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部62と、記憶部63と、操作者に関する情報を入力するための操作部64と、外部装置との通信を行うための通信部65とを備えている。また、貨幣収納装置60には制御部66が設けられており、収納部61、取出貨幣計数部62、記憶部63、操作部64および通信部65はそれぞれ制御部66に接続されている。
【0049】
収納部61には開閉電磁ロック等のロック手段が設けられており、操作権限を有する操作者のみがロック手段を解除して収納部61から貨幣を取り出すことができるようになっている。
【0050】
記憶部63には、収納部61からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報や、第2の所有者(ATMの運営者や店舗40)を同定可能な同定情報が記憶されるようになっている。同定情報としては、貨幣の引き渡し先のID情報や、貨幣収納装置60のID情報等が挙げられる。また、同定情報として、予め記憶されていた操作権限のある人のID情報のうち貨幣を取り出した人のID情報が用いられてもよい。
【0051】
操作部64は例えばカードリーダからなり、操作者が所有するIDカードのID情報がこのカードリーダにより読み取られるようになっている。また、通信部65は例えばインターフェースからなり、貨幣収納装置60はこの通信部65を介して管理装置92等の外部装置と通信を行うことができるようになっている。
【0052】
貨幣収納装置60の制御部66は、取出貨幣計数部62により計数された取出貨幣量と、記憶部63に記憶された同定情報とを、通信部65を介して管理装置92に送信するようになっている。なお、制御部66は、取出貨幣計数部62により計数された取出貨幣量と、記憶部63に記憶された許可情報とを、通信部65を介して管理装置92に送信するようになっていてもよい。
【0053】
また、貨幣収納装置60は、管理装置92の外部の装置から許可情報を受信し、この受信した許可情報が記憶部63に記憶されるようになっていてもよい。ここで、許可情報には、取り出しが可能な貨幣量の情報や、取り出しが可能な期間の情報が含まれる。
【0054】
<管理装置の構成について>
次に、図8を用いて管理装置92の構成の詳細について説明する。図8に示すように、管理装置92は、制御部95と、制御部95に接続された記憶部93と、制御部95に接続され、外部装置との通信を行うための通信部94とを備えている。
【0055】
通信部94は例えばインターフェースからなり、管理装置92はこの通信部94を介して貨幣収納装置60等の外部装置と通信を行うことができるようになっている。また、記憶部93には、警備会社90等の第1の所有者から、ATMの運営者や店舗40等の第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と、第2の所有者のID情報とが関連付けて記憶されるようになっている。なお、この記憶部93には、操作者に関する情報と、ATMの運営者や店舗40等の第2の所有者とが関連付けて記憶されるようになっていてもよい。
【0056】
そして、管理装置92の制御部95は、貨幣収納装置60から送信された同定情報から第2の所有者のID情報を決定し、また、貨幣収納装置60から送信された取出貨幣量を引渡貨幣量とし、この引渡貨幣量と第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶部93に記憶させるようになっている。
【0057】
なお、記憶部93に、操作者に関する情報と、ATMの運営者や店舗40等の第2の所有者とが関連付けて記憶されるようになっている場合には、管理装置92の制御部95は、貨幣収納装置60から送信された許可情報から第2の所有者のID情報を決定し、また、貨幣収納装置60から送信された取出貨幣量を引渡貨幣量とし、この引渡貨幣量と第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶部93に記憶させるようになっていてもよい。
【0058】
<貨幣処理装置の構成について>
次に、第1、第2および第4の実施例において用いられるATM12および第3の実施例において用いられるレジ釣銭機43の構成について以下に説明する。本発明では、これらのATM12およびレジ釣銭機43をまとめて以下の記載では貨幣処理装置70というようになっている。また、ATM12に収納される貨幣はATMの運営者の管理権限下にあり、レジ釣銭機43に収納される貨幣は店舗40の管理権限下にあるが、本発明ではこれらのATMの運営者や店舗40は第2の所有者として扱われるようになっている。
【0059】
図9に示すように、貨幣処理装置70は、外部から貨幣を受け入れる受入部71と、受入部71が受け入れた貨幣を識別する識別部72と、貨幣を収納する少なくとも1つの収納部73と、外部の装置と通信を行う通信部74とを備えている。また、貨幣処理装置70には制御部75が設けられており、受入部71、識別部72、収納部73および通信部74はそれぞれ制御部75に接続されている。
【0060】
ここで、貨幣収納装置60から減少した貨幣量と、貨幣処理装置70で増加した貨幣量とが一致した場合においてのみ、ATMの運営者や店舗40等の第2の所有者へ引き渡した貨幣量が確定されるようになっている。このような確定処理は、管理装置92の制御部95や貨幣処理装置70の制御部75、または貨幣収納装置60の制御部66で行われるようになっている。
【0061】
次に、上述のような、第1〜第4の実施例における具体的な貨幣の引渡方法について説明する。
【0062】
第1、第2および第4の実施例では、第1の所有者である警備会社90から、第2の所有者であるATMの運営者に貨幣が引き渡されるようになっている。また、第3の実施例では、第1の所有者である警備会社90から、第2の所有者である店舗40に貨幣が引き渡されるようになっている。
【0063】
貨幣の移動先の特定は、貨幣収納装置60としての貨幣入出金機20や貨幣収納庫30、または棒金収納庫50の記憶部に記憶された資金移動先のID情報により行われる。なお、貨幣の移動先の特定が、貨幣入出金機20や貨幣収納庫30、または棒金収納庫50の記憶部に記憶された装置のID情報から決定されるようになっていてもよい。この場合、貨幣入出金機20や貨幣収納庫30、または棒金収納庫50毎に貨幣の移動先が決まっている。また、貨幣の移動先の特定が、貨幣入出金機20や貨幣収納庫30、または棒金収納庫50の記憶部に記憶された操作者に関する情報から決定されるようになっていてもよい。この場合、操作者毎に貨幣の移動先が決まっている。
【0064】
貨幣の移動の確定のタイミングとしては、警備会社90の管理下にある貨幣収納装置60としての貨幣入出金機20や貨幣収納庫30、または棒金収納庫50からの貨幣の出金時であってもよい。あるいは、貨幣の移動の確定のタイミングが、貨幣の補充先の貨幣処理装置70であるATM12やレジ釣銭機43における補充貨幣の計数時であってもよい。ただし、ATM12において、直接収納部に貨幣を装填する場合には貨幣の計数を行うことができない。
【0065】
また、貨幣収納装置60が手動取り出し式(引き出しタイプ)の場合には、具体的には貨幣収納庫30や棒金収納庫50が用いられる場合には、このような貨幣収納庫30や棒金収納庫50は戻し入れ検知機能や返却機能を有している。ここで、戻し入れ検知機能とは、一旦取り出した貨幣の戻し入れを検知する機能のことをいう。この場合、検知された情報はログデータとして記憶部に記憶される。また、場合によっては不正扱いとする。また、返却機能とは、一旦取り出した貨幣を戻す場合、併設した売上金入出金機46に貨幣を入金して引き渡す機能のことをいう。
【0066】
ここで、前述のように、第1、第2および第4の実施例では、操作者は警備会社90の警備員となる。一方、第3の実施例では、操作者は店舗40の店員となる。あるいは、第1〜第4の実施例において、操作者として、警備会社90の管理装置92や店舗サーバー45である上位装置により指定された者が処理を行うようになっていてもよい。
【0067】
また、操作者の指定方法や確認方法としては、操作者の個人ID情報や、操作者の属性(例えば、所属部門、役職等)が用いられる。また、第3および第4の実施例では、操作者の指定方法や確認方法として、操作者の権限(役職カード)や、操作者が操作するレジID情報等の貨幣の補充先の装置のID情報が用いられてもよい。この場合、レジにカードが備えられており、補充された貨幣を取り出すときにカードを使うようになる。
【0068】
また、操作者が出金可能な金額としては、操作者を信頼できる場合には制限なしとなる。あるいは、操作者が出金可能な金額が、個人、属性(エリア担当者、出納担当/レジ担当等)、権限(一般/マネージャー等)により決められるようになっていてもよい。また、貨幣が補充される対象の装置を入力し、貨幣の補充必要量に基づいて操作者が出金可能な金額が決められるようになっていてもよい。この場合、金種毎に決められた所定の枚数以内で貨幣を出金することができるようになっていてもよい。また、出金作業毎に、指定された操作者が指定された金額、もしくは指定された金種毎の枚数以内で貨幣を出金することができるようになっていてもよい。この場合、現金不足を検知したときに、上位装置から手動または自動で、操作者と金額等を指定して、貨幣収納装置60としての貨幣入出金機20や貨幣収納庫30、または棒金収納庫50に送信する。また、この際に、さらに出金可能時期に制限を設けてもよい。具体的には、出金可能時期が所定時間以内や所定日となるよう制限が設けられる。
【0069】
また、第1および第2の実施例では、警備会社90の管理装置92により、手動または自動で、個人のID情報、属性、権限により操作者が指定され、ATM12の在高に基づき、貨幣入出金機20や貨幣収納庫30からの貨幣の出金量を、補充が必要な貨幣量に制限するようになっていてもよい。また、第3の実施例では、店舗サーバー45が各レジ釣銭機43の在高を監視し、在高不足のレジ釣銭機43の担当者のID情報、属性、権限により操作者が指定され、レジ釣銭機43の在高により、補充が必要な貨幣量に制限するようになっていてもよい。また、第4の実施例では、店舗サーバー45により、手動または自動で、個人のID情報、属性、権限により操作者が指定され、ATM12の在高に基づき、貨幣入出金機20や貨幣収納庫30からの貨幣の出金量を、補充が必要な貨幣量に制限するようになっていてもよい。
【0070】
以上のように本発明の貨幣収納装置を用いた貨幣引渡システムおよび貨幣引渡方法によれば、貨幣引渡システムは、第1の所有者(警備会社90)が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置60(具体的には、貨幣入出金機20や貨幣収納庫30、または棒金収納庫50)と、引き渡した貨幣量を管理する管理装置92とを備えている。そして、貨幣収納装置60は、貨幣を収納する収納部61と、収納部61から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部62と、収納部61からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報と、第2の所有者を同定可能な同定情報とを記憶する記憶部63と、操作者に関する情報を入力するための操作部64と、管理装置92等の外部の装置と通信を行う通信部65と、通信部65を介して取出貨幣量と同定情報とを管理装置92に送信する制御部66と、を有している。また、管理装置92は、第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部93と、貨幣収納装置60等の外部の装置と通信を行う通信部94と、貨幣収納装置60から送信された同定情報から第2の所有者のID情報を決定するとともに貨幣収納装置60から送信された取出貨幣量を引渡貨幣量とし、この引渡貨幣量と第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶部93に記憶させる制御部95と、を有している。このような貨幣引渡システムおよび貨幣引渡方法によれば、上述のような貨幣収納装置60が設けられていることにより、予定外の貨幣の配送を行うことのないよう、貨幣を予めATMブース10や店舗40等に置いておくようにすることができる。
【0071】
また、本発明の他の貨幣収納装置を用いた貨幣引渡システムおよび貨幣引渡方法においては、貨幣収納装置60は、貨幣を収納する収納部61と、収納部61から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部62と、収納部61からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報を記憶する記憶部63と、操作者に関する情報を入力するための操作部64と、管理装置92等の外部の装置と通信を行う通信部65と、通信部65を介して取出貨幣量と許可情報とを管理装置92に送信する制御部66と、を有しており、管理装置92は、操作者に関する情報と第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶し、また、第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部93と、貨幣収納装置60等の外部の装置と通信を行う通信部94と、貨幣収納装置60から送信された許可情報から第2の所有者のID情報を決定するとともに貨幣収納装置60から送信された取出貨幣量を引渡貨幣量とし、この引渡貨幣量と第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶部93に記憶させる制御部95と、を有している。このような貨幣引渡システムおよび貨幣引渡方法が用いられる場合でも、上述のような貨幣収納装置60が設けられていることにより、予定外の貨幣の配送を行うことのないよう、貨幣を予めATMブース10や店舗40等に置いておくようにすることができる。
【符号の説明】
【0072】
10 ATMブース
12 ATM
20 貨幣入出金機
30 貨幣収納庫
40 店舗
41 フロント領域
42 バックヤード領域
43 レジ釣銭機
44 POSターミナル
45 店舗サーバー
46 売上金入出金機
50 棒金収納庫
60 貨幣収納装置
61 収納部
62 取出貨幣計数部
63 記憶部
64 操作部
65 通信部
66 制御部
70 貨幣処理装置
71 受入部
72 識別部
73 収納部
74 通信部
75 制御部
90 警備会社
92 管理装置
93 記憶部
94 通信部
95 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の所有者から第2の所有者に貨幣を引き渡す貨幣引渡システムであって、
前記貨幣引渡システムは、前記第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置と、引き渡した貨幣量を管理する管理装置とを備え、
(a)前記貨幣収納装置は、
貨幣を収納する収納部と、
前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部と、
前記収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報と、前記第2の所有者を同定可能な同定情報とを記憶する記憶部と、
操作者に関する情報を入力するための操作部と、
外部の装置と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して前記取出貨幣量と前記同定情報とを前記管理装置に送信する制御部と、
を有し、
(b)前記管理装置は、
前記第1の所有者から前記第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
外部の装置と通信を行う通信部と、
前記貨幣収納装置から送信された前記同定情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに前記貨幣収納装置から送信された前記取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、当該引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、
を有する、
ことを特徴とする貨幣引渡システムに用いる貨幣収納装置。
【請求項2】
第1の所有者から第2の所有者に貨幣を引き渡す貨幣引渡システムであって、
前記貨幣引渡システムは、前記第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置と、引き渡した貨幣量を管理する管理装置とを備え、
(a)前記貨幣収納装置は、
貨幣を収納する収納部と、
前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部と、
前記収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報を記憶する記憶部と、
操作者に関する情報を入力するための操作部と、
外部の装置と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して前記取出貨幣量と前記許可情報とを前記管理装置に送信する制御部と、
を有し、
(b)前記管理装置は、
前記操作者に関する情報と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶し、また、前記第1の所有者から前記第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
外部の装置と通信を行う通信部と、
前記貨幣収納装置から送信された前記許可情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに前記貨幣収納装置から送信された前記取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報と関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、
を有する、
ことを特徴とする貨幣引渡システムに用いる貨幣収納装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一項に記載の貨幣引渡システムは、前記第2の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣処理装置を更に備え、
(c)前記貨幣処理装置は、
外部から貨幣を受け入れる受入部と、
前記受入部が受け入れた貨幣を識別する識別部と、
貨幣を収納する少なくとも1つの収納部と、
外部の装置と通信を行う通信部と、
前記識別部の識別結果に基づいて前記収納部に貨幣を収納し、収納された貨幣の量を計数する制御部と、
を有し、
前記貨幣収納装置から減少した貨幣量と、前記貨幣処理装置で増加した貨幣量とが一致した場合においてのみ、前記第2の所有者へ引き渡した貨幣量が確定されるようになっていることを特徴とする貨幣収納装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貨幣引渡システムにおいて、前記貨幣収納装置は、外部の装置から許可情報を受信し、この受信した許可情報が前記記憶部に記憶されるようになっていることを特徴とする貨幣収納装置。
【請求項5】
請求項4記載の貨幣引渡システムにおいて、前記許可情報には、取り出しが可能な貨幣量の情報が含まれていることを特徴とする貨幣収納装置。
【請求項6】
請求項4記載の貨幣引渡システムにおいて、前記許可情報には、取り出しが可能な期間の情報が含まれていることを特徴とする貨幣収納装置。
【請求項7】
請求項1記載の貨幣収納装置を用いた貨幣引渡方法であって、
前記貨幣収納装置の前記取出貨幣計数部が、前記貨幣収納装置の前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する工程と、
前記貨幣収納装置の前記制御部が、前記貨幣収納装置の前記通信部を介して、前記取出貨幣量と前記記憶部に記憶された同定情報とを前記管理装置に送信する工程と、
前記管理装置の前記制御部が、前記貨幣収納装置から送信された前記同定情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに前記貨幣収納装置から送信された前記取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記管理装置の前記記憶部に記憶させる工程と、
を備えたことを特徴とする貨幣引渡方法。
【請求項8】
請求項2記載の貨幣収納装置を用いた貨幣引渡方法であって、
前記貨幣収納装置の前記取出貨幣計数部が、前記貨幣収納装置の前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する工程と、
前記貨幣収納装置の前記制御部が、前記貨幣収納装置の前記通信部を介して、前記取出貨幣量と前記記憶部に記憶された許可情報とを前記管理装置に送信する工程と、
前記管理装置の前記制御部が、前記貨幣収納装置から送信された前記許可情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに前記貨幣収納装置から送信された前記取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記管理装置の前記記憶部に記憶させる工程と、
を備えたことを特徴とする貨幣引渡方法。
【請求項9】
第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣量を管理する管理装置であって、
前記第1の所有者から前記第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
外部の装置と通信を行う通信部と、
第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置から送信された、前記第2の所有者を同定可能な同定情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに、前記貨幣収納装置から送信された、当該貨幣収納装置の収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、
を備えたことを特徴とする管理装置。
【請求項10】
第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣量を管理する管理装置であって、
操作者に関する情報と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶し、また、前記第1の所有者から前記第2の所有者に引き渡した貨幣の量である引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
外部の装置と通信を行う通信部と、
第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置から送信された、当該貨幣収納装置の収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報から前記第2の所有者のID情報を決定するとともに、前記貨幣収納装置から送信された、当該貨幣収納装置の前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を前記引渡貨幣量とし、前記引渡貨幣量と前記第2の所有者のID情報とを関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、
を備えたことを特徴とする管理装置。
【請求項11】
第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置であって、
貨幣を収納する収納部と、
前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部と、
前記収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報と、前記第2の所有者を同定可能な同定情報とを記憶する記憶部と、
操作者に関する情報を入力するための操作部と、
外部の装置と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して、前記取出貨幣量と前記同定情報とを、前記第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣量を管理する管理装置に送信する制御部と、
を備えたことを特徴とする貨幣収納装置。
【請求項12】
第1の所有者が所有する貨幣を収納する貨幣収納装置であって、
貨幣を収納する収納部と、
前記収納部から取り出された貨幣の量である取出貨幣量を計数する取出貨幣計数部と、
前記収納部からの貨幣の取り出しが許可された操作者に関する情報である許可情報を記憶する記憶部と、
操作者情報を入力するための操作部と、
外部の装置と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して、前記取出貨幣量と前記許可情報とを、前記第1の所有者から第2の所有者に引き渡した貨幣量を管理する管理装置に送信する制御部と、
を備えたことを特徴とする貨幣収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−68983(P2012−68983A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214204(P2010−214204)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】