説明

貫通部に火炎止めを設けるための方法および装置

貫通部に火炎止めバリヤを作るための装置であって、貫通部内に配列された支持機構と、支持機構と移動可能に連結された火炎止め材料と、支持機構と移動可能に連結された火炎止め材料と貫通部の内面との間に配列された火炎止め材料と、を含む装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、火炎止めを設けることに関し、より詳細には、ケーブルまたはワイヤなどのアイテムが通る、壁、床、または天井の開口部に、火炎止めを設けるための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
煙および火炎が建物の1つのコンパートメントから別のコンパートメントに広がることがある1つの機構が、床、壁、天井などの、しばしば貫通部(through−penetration)と呼ばれる貫通通路または開口部である。そのような開口部は、建物内の、ケーブル、ワイヤ、パイプなどの通過を考慮するように設けられる。
【0003】
そのような開口部を通る火炎の広がりおよび煙の通過を防止するために用いられる現在の方法は、貫通するケーブルの輪郭に従うように切断された膨張性シートを使用する。成形可能な膨張性パテのビードが、シートの周囲に沿って設けられる。
【0004】
そのような技術は、一般に、1つのコンパートメントから別のコンパートメントへの、火炎の広がりに抵抗し、煙の通過を防止するために満足のいくものであるが、設置は、労働集約的であり、時間がかかり、高価である。さらに、膨張性シート、れんが、またはピローが使用される場合、ASTM E814−02に規定された火災テストのホースストリーム部分をパスするために、それらは、開口部に機械的に取付けるか、開口部内で物理的に圧縮するか、または両方でなければならない。このように製造された火炎止めは、また、検査のための繰返される再入に向いておらず、付加的なケーブルまたはワイヤが開口部を通されることを容易に可能にせず、ケーブルが開口部から容易に除去されることを可能にしない。典型的な貫通部からケーブルを除去するには、たとえば、存在する膨張性材料が、除去され、廃棄され、完全に新たな膨張性材料と取替えられることが必要である。この手順は、時間がかかり、高価であり、無駄が多い。アイテムを加えるか開口部から除去するために、建物の寿命の間、貫通部を多数回開閉することがあるので、そのようなシステムと関連するコストは、著しいことがある。
【0005】
さらに、そのようなシステムは、火災要求および建築要求を満たすために、カバープレートを必要とする。カバープレートは、典型的には、0.25インチ(6.4ミリメートル)の鋼から製造され、これは、それらを製造することを困難にする。典型的には、そのようなカバープレートは、必要な修正を行うために、貫通部の領域から、または建物からさえ除去しなければならない。
【0006】
本発明がカバープレートを必要としないとしても、何らかの形態のカバーが、安全性の理由で床の用途に望ましいであろう。しかし、本発明が床の開口部のためのカバープレートを必要としないので、最終使用者は、修正がより容易であり、より費用のかからない、好みの材料を選択してもよい。あるいは、本発明による装置を、開口部を通るアイテムに適合するように延在したり引っ込めたりすることができるカバープレートと組合せてもよい。
【0007】
貫通部に火炎止めを設けるための技術は、また、先行技術において知られている。特許文献1(スペンサー(Spencer))は、たとえば、床の一方の側から他方の側への火炎の広がりを防止するように設計された、床の通路を通る通信および/または電気配線の延長のための自己固定突き通し(self−anchoring poke−thru)配線デバイスを開示している。
【0008】
特許文献2(コハウト(Kohaut))は、それを通って1つまたは複数のケーブルおよびケーブル導管を通すか連結するために使用される、床または壁などの構造の開口部に位置決めするためのケーブル通路閉鎖およびシーリングデバイスを開示している。このデバイスは、過度の熱または火炎に曝されると、自動的に膨張し、それ自体ならびに構造的開口部のケーブルおよびケーブル導管をシールする。
【特許文献1】米国特許第4,496,790号明細書
【特許文献2】米国特許第4,493,173号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらの先行するデバイスおよび技術には、いくつかの欠点または短所がある。したがって、開口部を通るアイテムが、容易に加えられるか除去されることを可能にする、開口部に火炎止めを設けるための方法および装置の必要が、産業においてある。除去または修正される必要がなく、かつ開閉することが容易である調整可能な火炎止めデバイスが、現在利用可能なシステムおよび技術に対して、かなりの長期コスト節減を火炎止め使用者にもたらすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、開口部を通るアイテムが、迅速にかつ容易に加えられるか除去されることを可能にするように調整可能である、壁、床などの開口部に火炎止めを設けるための方法および装置を提供する。いったん設置されると、デバイスは、好ましくは、開口部の寿命の間、その位置にとどまる。したがって、デバイスは、開口部を通るアイテムの迅速かつ容易な設置または除去を可能にするが、デバイス自体は、いったん開口部に設置されると、除去または修正される必要がない。本発明は、たとえば、ケーブル通過のための、壁、床、および天井の開口部が一般的であり、ケーブルがしばしば開口部に加えられるか開口部から除去される電気通信産業において、特定の用途を見出す。
【0011】
一態様において、本発明は、少なくとも1つのアイテムが通る貫通部に火炎止めバリヤを作るための装置であって、貫通部内に配列された支持機構と、支持機構と移動可能に連結された火炎止め材料と、支持機構と移動可能に連結された火炎止め材料と貫通部の内面との間に配列された火炎止め材料と、を含む装置を提供する。
【0012】
別の態様において、本発明は、貫通部に火炎止めを設ける方法であって、火炎止め材料を、貫通部の内壁面の少なくとも一部に固定する工程と、貫通部の内壁面に固定された火炎止め材料内の貫通部に、火炎止め材料が移動可能に連結された支持機構を配列する工程と、を含む方法を提供する。
【0013】
本発明を、添付の図面を参照してさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の目的のため、次の用語がここで使用される。
【0015】
「火炎止め材料」とは、構造の1つのコンパートメントから別のコンパートメントへの火炎および煙の広がりに抵抗するのに有用な膨張性材料、吸熱材料、およびアブレーティブ材料を指す。火炎止め材料は、膨張性化合物、吸熱化合物、または膨張性化合物および吸熱化合物の両方を含んでもよい。
【0016】
「膨張性材料」とは、典型的には火災のような条件において遭遇する温度に加熱すると、その元の体積の少なくとも約1.5倍に膨張する材料を指す。
【0017】
「吸熱材料」とは、典型的には、水和の水を放出することによって、熱を吸収する相変化(すなわち液体から気体)を経ることによって、または、反応が、熱の正味の吸収が行われることを必要とする、他の物理的もしくは化学的変化によって、熱を吸収する材料を指す。
【0018】
ここで図面を参照すると、図1〜3は、床、天井、または壁などのパーティション6の開口部または貫通部4に配列された装置2を示す。ケーブル、ワイヤなどの束などの、複数の個別のアイテム8aが、貫通部4を通る束8を形成する。装置2は、貫通部4に配列された支持機構10と、支持機構10と移動可能に連結された第1の火炎止め材料12と、貫通部4の内面に隣接して装置2の周りに配列された第2の火炎止め材料14と、を含む。
【0019】
支持機構10は、貫通部4の対向した内面に隣接して束8の両側に沿って延在する1対の支持レール10aを含む。支持機構10は、貫通部4の内面と係合するか、床設置の場合は、単にパーティション6の上面16上に載っている、各支持レール10aの両端に設けられたブラケット10bを介して貫通部4に固定される。
【0020】
蝶ねじ、ターンバックル、ばね式デバイスなどの手で操作可能なねじデバイス、または拡大して支持ラックを貫通部内の所定位置にしっかりと保持することができる他の機械的デバイスを含む非常にさまざまなデバイスを使用して、支持機構10を貫通部内に固定してもよいことが認められるであろう。そのようなデバイスは、また、デバイスの偶発的な解放を防止するためにロックを含んでもよい。さらに、釘、ねじなどの従来のファスナを使用して、支持ラックを貫通部に固定してもよい。
【0021】
本発明の特徴的な特徴によれば、第1の火炎止め材料12は、第1の火炎止め材料12が繰返し可能にかつ可逆的に延在されたり引っ込められたりすることを可能にする、各々が交互の折り畳み線20によって分けられた複数の隣接したパネル18を備えた、一般にジグザグ断面を有する、材料の1つのピースである。このようにして、第1の火炎止め材料12は、第1の火炎止め材料12の前縁22が束8から隔置される、引っ込められた状態(図示せず)と、第1の火炎止め材料12の前縁22が束8に接する延在された状態との間で移動させることができる。火炎止め材料12を引っ込めることによって、火炎止め材料12を永久的に変更することなく、個別のアイテム8aを、迅速にかつ容易に束8に加えるか束8から除去してもよい。いったんアイテムが束に加えられるか束から除去されると、火炎止め材料12をもう一度延在させて、開口部4の最大カバー範囲(coverage)をもたらしてもよい。
【0022】
第1の12火炎止め材料および第2の14火炎止め材料は、金属箔の層などの赤外線遮断層の少なくとも1つの外層と、膨張性材料、吸熱材料、または膨張性材料と吸熱材料との組合せの層と、ガラス繊維布の層と、プラスチックフィルム層と、を含んでもよい。第1の12火炎止め材料および第2の14火炎止め材料の好ましい構造は、ステンレス鋼箔の外層と、膨張性層と、ガラス繊維布と、薄いプラスチックおよび/または金属フィルムまたは箔の対向した外層とを含む多層ラミネートである。ステンレス鋼は、膨張性層のキャリヤとして作用する。ガラス繊維布は、火災の間絶縁体として作用し、それにより、火炎止めの熱伝導性を減少させる。ガラス繊維布は、また、必要なASTM火災テストのホースストリーム部分の間、システム全体を強化するために役立つ。対向した外側のフィルムまたは箔層は、システムを閉じ込め、指示またはロゴが火炎止め材料上に印刷されることを可能にする。
【0023】
適切な赤外線遮断層としては、大量の赤外線を反射する金属箔が挙げられる。好ましい赤外線遮断層材料は、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,Minnesota)から入手可能なネクステル・フレームストッピング・ドット・ペーパー(NEXTEL Flamestopping Dot Paper)である。この材料および他のガラス状材料は、赤外線スペクトルの放射線の大部分を反射し、したがって、赤外線遮断体として有用である。そのような材料は、ほとんどの火災で見出される温度より高い融点を有するというさらなる利点がある。さらに、それらの可撓性/ドレープ性(drapability)は、多くの金属箔より高い。
【0024】
膨張性材料は、材料の総体積を増加させ、貫通部のアイテムの周りに一般に密なシールを作ることによって、火炎止め材料の絶縁能力に寄与する。膨張性材料は、閉じ込められていない状態の本発明の火炎止め材料の、火災のような条件に曝されたときの、材料の元の厚さの少なくとも約1.5倍、好ましくはその元の厚さの少なくとも約3倍、より好ましくはその元の厚さの4倍への膨張に備える。いくつかの用途の場合、火炎止め材料が、その元の厚さの少なくとも約9倍に膨張することが好ましい。好ましい膨張性材料は、インテラム(Interam)(商標)ウルトラ(Ultra)GS、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニーから入手可能な黒鉛ベースの大部分無機の可撓性耐火性膨張性マットである。
【0025】
適切な吸熱材料としては、典型的には、蒸発するか、システムによる熱エネルギーの正味の取込みをもたらすように、火炎止め材料または周囲の雰囲気内に存在する1つ以上の他の化合物をと反応する、アンモニア、二酸化炭素、および/または水などの1つ以上の小さい分子の発生で、熱分解する材料が挙げられる。
【0026】
適切な吸熱材料としては、194から2732°F(90から1500°C)の間で発熱分解または燃焼せずに吸熱反応または相変化をもたらす無機化合物が挙げられる。例示的な化合物としては、アルミニウム三水和物(ATH)、Al(OH)ホウ酸亜鉛水和物(ZnB・6HO)、石膏としても知られている硫酸カルシウム(CaSO・2HO)、リン酸マグネシウムアンモニウム(MgNHPO・6HO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、およびカプセル化されたHOが挙げられる。好ましい吸熱剤としては、リン酸マグネシウムアンモニウム六水和物(magnesium ammonium phosphate hexahydrate)、MgO・・9HO、石膏、およびMgHPO・3HOが挙げられる。
【0027】
第1の火炎止め材料12は、束8の側に沿って領域内におよび領域から移動させることができる任意の側部12aを含む。さらに、取外し可能なインサート24を、任意に、第1の火炎止め材料12の前縁に沿って設けてもよい。インセット(inset)24は、さまざまなサイズおよび形状の束が、第1の火炎止め材料12自体を切断するか他の態様で永久的に変更することなく、容易に対応されることを可能にすることによって、装置のフレキシビリティを向上させる。インサート24は、インサート24を第1の火炎止め材料12と重なる関係で配列してもよいように、第1の火炎止め材料12の構成と適合するジグザグ構成を有する。したがって、比較的少ないアイテム8aが最初に開口部4に設置される場合、インサート24を使用して、開口部4を充填することができる。アイテム8aが後で開口部4に加えられる場合、インサート24を容易に除去して、アイテムのための付加的な領域を提供してもよい。インサート24を、図1〜3に示されているような第1の火炎止め材料12の前縁22、または、第1の火炎止め材料12と貫通部の内面との間の、前縁22と反対側の端縁のいずれに設けてもよいことが認められるであろう。
【0028】
インサート24は、また、たとえば2アイテムの厚さから4アイテムの厚さのアイテム8aの層を有する、図1〜3に示された束などの、不均一なまたは逆の(countered)形状を有する束8に対応するようにカスタマイズしてもよい。そのような設置の場合、インサートは、単に束のプロファイルに適合するように切断される。アイテムが後で加えられる場合、インサートをそれに応じて修正することができるか、または、新たな束のプロファイルに合せてカスタマイズされた新たなインサートを使用することができる。インサート24が使用されなかった場合、第1の火炎止め材料12自体が、アイテムが加えられるか貫通部から除去されたとき、変更され、おそらくは取替えられなければならないことになる。したがって、インサート24は、さまざまな束サイズおよびジオメトリに対応するため、フレキシビリティおよびかなりのコスト節減をもたらす。
【0029】
第1の火炎止め材料12は、支持レール10aと摺動可能に連結する穴を含み、それにより、第1の火炎止め材料12を支持機構10と摺動可能に連結する、整列されたハンギング部材26を含む。さまざまなクリップ、クランプ、および従来の機械的デバイスを使用して、第1の火炎止め材料12を支持機構と摺動可能に取付けてもよいことが認められるであろう。
【0030】
第2の火炎止め材料14は、好ましくは厚さが約1/8インチ(3.2ミリメートル)から約1/2インチ(12.7ミリメートル)の、火炎止め材料のシートまたはマットである。火炎止め材料14は、貫通部の内面に隣接して第1の火炎止め材料12の周りに配列される。第2の火炎止め材料14を、接着剤または機械的ファスナを含む従来の手段を使用して、貫通部の内面に取付けてもよい。
【0031】
支持機構10は、任意に、隣接したパネルの間に配列され、それにより、第1の火炎止め材料12を選択された延在された状態で維持することができるV字形スペーサ28を含んでもよい。
【0032】
図4は、本発明による第2の装置102を示し、図1〜3の特徴と機能的に同様の特徴は、同じ参照符号が100だけ増分されて言及される。
【0033】
装置102は、ケーブル、ワイヤなどの束などの束108を形成する複数の個別のアイテム108aが通る、床、天井、または壁などのパーティション106の貫通部104に配列される。装置102は、1対の支持レール110aを有する支持機構110と、支持レール110aと移動可能に連結された第1の火炎止め材料112と、貫通部104の内面に隣接して装置102の周りに配列された第2の火炎止め材料114と、を含む。支持レール110aは、貫通部104の対向した内面に隣接して束108の両側に沿って第1の火炎止め材料112を通って延在する。したがって、図1〜3の実施形態と対照的に、第1の火炎止め材料112は、それらを通って支持レールが延在する、第1の火炎止め材料112の整列された穴130を設けることによって、支持レール110aと移動可能に連結される。このようにして、第1の火炎止め材料112は、支持レール110aと直接摺動可能に連結され、クリップ10bはなくなる。
【0034】
第1の火炎止め材料112の対向した側縁表面は、貫通部の対向した内面と係合し適合し、それにより、関連した表面の間の密なシールを形成するように配列されたガスケット状表面132を含む。付加的なガスケット表面を、また、第1の火炎止め材料112の前縁および/または後縁に設け、それにより、それぞれ、束108および/または貫通部104の内面と密なシールを形成してもよい。あるいは、第2の火炎止め材料114は、第1の火炎止め材料112の側縁と係合し適合し、それにより、関連した表面の間の気密シールを形成するように配列されたガスケット状表面(図示せず)を含んでもよい。
【0035】
装置102は、貫通部を通る煙の通過を防止するために、装置102の上に貫通部104内に配列された任意のバリヤ134をさらに含んでもよい。バリヤ134を、代わりに、装置102の下に配列してもよいし、または、バリヤを装置102の上および下の両方に設けてもよい。さらに、バリヤ134を、貫通部内に配列してもよいし、パーティション106の上面116または下面に固定してもよい。バリヤ134を、プラスチックフィルムまたは独立気泡フォームなどのフォームを含む、非常にさまざまな気体または空気不透過性材料から形成してもよい。バリヤ134を、接着剤または機械的ファスナを含むさまざまな従来の手段を使用して、パーティション106または貫通部の内面に取付けてもよい。
【0036】
装置102に、また、好ましくは、カバー136を設けてもよい。装置102が床に設置される場合、安全性の理由で、そのようなカバーを装置102および貫通部104の上に設けることが特に望ましい。カバー136は、従来の固定手段を使用して、パーティション106の上面116に固定してもよく、好ましくは、装置102へのアクセスを可能にするためにカバーが容易に除去されることを可能にするように固定される。
【0037】
貫通部104に、装置102を使用して、最初に、火炎止め材料114を、貫通部104の内壁面の少なくとも一部に固定し、次に、火炎止め材料114内の貫通部に、火炎止め材料112が移動可能に連結された支持機構110を配列することによって、火炎止めを設けてもよい。任意のバリヤ134を、貫通部104を通る煙の通過を防止するために、貫通部104内にまたは貫通部104に隣接して配列してもよく、任意のカバー136を、バリヤ134に隣接して貫通部104の上に設けてもよい。
【実施例】
【0038】
ここで説明された本発明がより十分に理解されることができるために、次の実施例を述べる。実施例が、例示的な目的のためにすぎず、本発明をいかなる態様で限定すると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【0039】
バリヤ134およびカバー136が含まれない以外は、図4に示されたものと同様の設計を有する火炎止め装置を、ASTM E814−02に従って、厚さ8インチのコンクリートの床に形成された貫通部に設置した。第1の火炎止め材料12および第2の火炎止め材料14は、ステンレス鋼箔の第1の外層と、ステンレス鋼箔層に隣接して配列されたインテラム(商標)ウルトラGS膨張性マットの層と、インテラム(商標)ウルトラGS膨張性マットに隣接して配列されたガラス繊維布と、ガラス繊維布に隣接して配列されたステンレス鋼箔の第2の外層と、を含む多層ラミネートであった。第2の火炎止め材料14を、貫通部の内壁面に接着した。
【0040】
テストを行う前、装置は、繰返して開閉して(すなわち、引っ込んだり延在したりして)、装置の再入能力を実証した。次に、装置を、ASTM E814−02の火災部分およびホースストリーム部分に従ってテストした。テストの間、第1および第2の火炎止め材料の膨張圧力が、貫通部の内壁面および貫通部を通るアイテムに対して力を加えることが観察された。装置は、テストの両方の部分をパスした。したがって、本発明による装置は、カバーを使用せずに、ASTM E814−02に記載されたテスト規格の火災部分およびホースストリーム部分の両方をパスすることができた。
【0041】
上で述べられた本発明の概念から逸脱することなく、さまざまな変更および修正がなされてもよいことが当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、本出願で説明された構造に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の文言によって説明された構造およびそれらの構造の均等物によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による、貫通部に設置された火炎止め装置の斜視図である。
【図2】図1の火炎止め装置の分解図である。
【図3】装置の正面を示す、図1の火炎止め装置の斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通部に火炎止めバリヤを作るための装置であって、
(a)前記貫通部内に配列された支持機構と、
(b)前記支持機構と移動可能に連結された第1の火炎止め材料と、
(c)前記第1の火炎止め材料と前記貫通部の内面との間に配列された第2の火炎止め材料と、を含む装置。
【請求項2】
前記第1の火炎止め材料が、繰返し可能にかつ可逆的に、前記貫通部を通るアイテムの方に延在可能であり、かつ前記貫通部を通るアイテムから離れて引っ込み可能であり、それにより、アイテムが前記貫通部に加えられるかアイテムが前記貫通部から除去されることを可能にする、ワンピースの火炎止め材料である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の火炎止め材料が、折り畳み線によって分けられた複数のパネルを画定するジグザグ断面を有し、各前記パネルが、前記第1の火炎止め材料が延在可能かつ引っ込み可能である方向に垂直に延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の火炎止め材料が、前記貫通部を通るアイテムの側に隣接した領域に移動可能な側部を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、ASTM E814−02に記載された火災基準およびホースストリーム基準を満たすのに十分な火炎止め特性を示す、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の火炎止め材料と前記貫通部を通るアイテムとの間に配列された取外し可能な火炎止めインサートをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の火炎止め材料および前記取外し可能なインサートがジグザグ断面を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記支持機構が、前記貫通部を通るアイテムの両側に沿って延在する1対の支持レールを含み、各前記支持レールが前記貫通部の両側と係合する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の火炎止め材料が、各前記支持レールを摺動可能に受けるための複数の整列された穴を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の火炎止め材料が、整列されたハンギング部材を含み、各前記ハンギング部材が、前記ハンギング部材を前記支持機構に摺動可能に取付けるための穴を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第2の火炎止め材料が、約1/8インチから約1/2インチの厚さを有し、かつ、前記貫通部の方向に延在し、同じ方向に延在する前記貫通部の深さに一般に対応する深さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置の上面および下面の少なくとも1つに隣接して配列された煙バリヤをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記煙バリヤがプラスチックフィルムから形成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記煙バリヤが独立気泡フォームから形成される、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記貫通部の少なくとも1つの端部に隣接して配列されたカバーをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の火炎止め材料と前記第2の火炎止め材料との間に配列されたガスケットをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の火炎止め材料と前記貫通部を通るアイテムとの間に配列されたガスケットと、前記第1の火炎止め材料と前記貫通部の内面との間に配列されたガスケットとをさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の火炎止め材料を選択された位置で維持するための、隣接したパネルの間に配列されたスペーサをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の火炎止め材料が、第1の金属箔層と、膨張性材料の層と、ガラス繊維布と、プラスチックフィルムおよび第2の金属箔層の少なくとも1つと、を含む多層ラミネートである、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
貫通部に火炎止めを設ける方法であって、
(a)火炎止め材料を、前記貫通部の内壁面の少なくとも一部に固定する工程と、
(b)前記貫通部の内壁面に固定された前記火炎止め材料内の貫通部に、火炎止め材料が移動可能に連結された支持機構を配列する工程と、
(c)前記支持機構と連結された前記火炎止め材料を、前記貫通部を横切って延在させる工程と、を含む方法。
【請求項21】
(a)前記貫通部を通る煙の通過を防止するために、バリヤを、前記貫通部にまたは前記貫通部に隣接して配列する工程と、
(b)カバーを前記バリヤに隣接して設ける工程と、をさらに含む、請求項20に記載の貫通部に火炎止めを設ける方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−506169(P2006−506169A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553462(P2004−553462)
【出願日】平成15年10月22日(2003.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/033420
【国際公開番号】WO2004/047247
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】