説明

貯湯式給湯機

【課題】ミスト発生装置から冷水が噴出されることを防止するとともに、高温水が浴室内の洗い場に排出されることを防止することができる貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】湯水を貯える貯湯タンク1と、湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置9と、貯湯タンク1の高温水を出湯する出湯管3と、給水源から水を供給する給水管70と、出湯管3と給水管70が接続され湯と水とを混合する湯水混合装置6と、湯水混合装置6からの湯水の温度を検出するミスト温度検出手段48と、湯水混合装置6を制御する制御装置30とを備え、ミスト発生装置9から湯水をミスト状に噴出開始するミスト運転ON信号を、制御装置30が受信したときに、制御装置30はミスト温度検出手段48の値に基づいて湯水混合装置6を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置を有した貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のミスト発生装置は、水と湯とを適温に混合し、ミスト状に湯水を噴出するものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、従来のミスト発生装置の構成を示すものである。図8において、給水源101から給湯装置102に水が供給され、給湯装置102から湯が供給される。給湯装置102から出湯された湯は、混合弁103にて水と混合される。適温に混合された湯は、ミスト発生装置104からミスト状に噴出される。
【特許文献1】特開2005−342087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、ミスト運転開始直後には、配管内に残っている冷水がミスト発生装置に供給されるために、ミスト発生装置からは冷水がミスト状に噴出され、ユーザーに不快感を与えてしまっていた。
【0005】
これに対して、ミスト発生装置内の湯をミスト状に噴出するミストノズルよりも上流側に三方弁を設け、一方の出力側をミストノズルに、もう一方の出力側に配管を接続し、浴室などに湯水を排水できる構成とすることで、ミスト運転開始直後は、三方弁を浴室に繋がる配管側に切り替え、所定時間経過後に三方弁をミストノズル側に切り替えることで、配管内に残っている冷水は浴室に排出でき、所定時間経過して所定温度になった湯をミストノズルに通湯することで、冷水がミスト状に噴出されることを防止し、ユーザーに不快感を与えるのを防止することが考えられる。
【0006】
しかしながら、配管長が分からないために、どれくらいの間三方弁を切り替えて冷水を排出すればよいか分からず、排出時間を長時間設定した場合には、冷水の排出が終わり、熱湯が排出されてくるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ミスト発生装置から冷水が噴出されることを防止するとともに、高温水が浴室内の洗い場に排出されることを防止することができる貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置と、前記貯湯タンクの高温水を出湯する出湯管と、給水源から水を供給する給水管と、前記出湯管と前記給水管が接続され湯と水とを混合する湯水混合装置と、前記湯水混合装置からの湯水の温度を検出するミスト温度検出手段と、前記湯水混合装置を制御する制御装置とを備え、前記ミスト発生装置から湯水をミスト状に噴出開始するミスト運転ON信号を、前記制御装置が受信したときに、前記制御装置は前記ミスト温度検出手段の値に基づいて前記湯水混合装置を制御することにより、ミスト発生装置に供給される湯の温度が制御される構成となるので、配管内に残る水を浴室に排出するときも、高温水を流すことを防止し、また冷水をミスト発生装置から噴出する構成でないので、快適なミスト浴を楽しむことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ミスト発生装置から冷水が噴出されることを防止するとともに、高温水が浴室内の洗い場に排出されることを防止することができる貯湯式給湯機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置と、前記貯湯タンクの高温水を出湯する出湯管と、給水源から水を供給する給水管と、前記出湯管と前記給水管が接続され湯と水とを混合する湯水混合装置と、前記湯水混合装置からの湯水の温度を検出するミスト温度検出手段と、前記湯水混合装置を制御する制御装置とを備え、前記ミスト発生装置から湯水をミスト状に噴出開始するミスト運転ON信号を、前記制御装置が受信したときに、前記制御装置は前記ミスト温度検出手段の値に基づいて前記湯水混合装置を制御することにより、出湯温度を高温以外に設定して出湯することができ、浴室内に排出するときにも、洗い場に高温水を流すことを防止し、またミスト発生装置には冷水を供給しないので、快適なミスト浴を楽しむことができる。
【0011】
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を設定することができるリモコンを備え、制御装置がミスト運転OFF信号からミスト運転ON信号に切り替わったことを受信すると、第1の設定時間の間は、前記リモコンで設定した前記ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度よりも低い温度になるように湯水混合装置を制御することにより、第1の設定時間の間は、確実に設定温度よりも低い温度になるように湯水が混合されるので、浴室内に排出するときに、高温水を流すことを防止し、またミスト発生装置には冷水を供給しないので、快適なミスト浴を楽しむことができる。
【0012】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を設定することができるリモコンを備え、制御装置がミスト運転OFF信号を第2の設定時間以上受信したあとに、ミスト運転ON信号を受信すると、第1の設定時間の間は、前記リモコンで設定した前記ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度よりも低い温度になるように湯水混合装置を制御することにより、第2の設定時間を設けることで、前回のミスト運転から、次のミスト運転を行うまでの時間によっては、配管内の湯温は低下していないので、そのままミスト発生装置に湯を供給でき、排出する必要の無い湯水を、排出してしまって無駄に貯湯タンクに貯えている湯水を使用することを防止することができる。
【0013】
第4の発明の貯湯式給湯機は、特に第2または第3の発明において、ミスト運転ON信号を受信してから第1の設定時間経過後、ミスト運転ON信号を受信してから第3の設定時間が経過するまでは、リモコンで設定したミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度よりも高い温度になるように湯水混合装置を制御することにより、第1の設定時間の間は設定温度よりも低い温度で湯水を混合しているので、浴室内の温度を素早く立ち上げることができる。
【0014】
第5の発明の貯湯式給湯機は、特に第4の発明において、ミスト運転ON信号を受信してから第3の設定時間経過すると、リモコンで設定したミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度になるように湯水混合装置を制御することにより、浴室内の温度が十分に立ち上がったとして、設定温度になるように湯水を混合し、ミスト発生装置に湯水を供給するので、必要以上に貯湯タンク内の湯を使用することを防止する。
【0015】
第6の発明の貯湯式給湯機は、特に第4の発明において、外気温度を検出する外気温度
検出手段を備え、ミスト運転ON信号を受信してから第3の設定時間経過すると、リモコンで設定したミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を外気温度で補正した温度になるように湯水混合装置を制御することにより、浴室内の温度が十分に立ち上がったとして、外気温度によって夏季と判断した場合には、設定温度より低くすることによって湯の使用量を抑えることができ、また外気温度によって冬季と判断した場合には、設定温度より高くすることによってより快適なミスト環境を提供することができる。
【0016】
第7の発明の貯湯式給湯機は、特に第1〜第6の発明において、ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を設定することができるリモコンを備え、制御装置が第2の設定時間経過する前に、ミスト運転ON信号を受信すると、前記リモコンで設定した前記ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度になるように湯水混合装置を制御することにより、前回のミスト運転から時間があまり経過していないと判断し、浴室内に配管内の湯水を排出することなく、ミスト運転ON信号を受信するとミスト発生装置に湯水を供給するので、湯水を無駄にすることが無いと同時に、ユーザーは、早くミスト浴を楽しむことができる。
【0017】
第8の発明において、特に第1〜第6の発明において、ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を設定することができるリモコンと、外気温度を検出する外気温度検出手段とを備え、制御装置がミスト運転OFF信号を第2の設定時間経過する前に、ミスト運転ON信号を受信すると、前記リモコンで設定した前記ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を外気温度で補正した温度になるように湯水混合装置を制御することにより、前回のミスト運転から時間があまり経過していないと判断し、浴室内に配管内の湯水を排出することなく、ミスト運転ON信号を受信するとミスト発生装置に湯水を供給するので、湯水を無駄にすることが無いと同時に、ユーザーは、早くミスト浴を楽しむことができ、なおかつ設定温度を外気温度で補正するので、貯湯タンク内の湯の使用を抑えることができる。
【0018】
第9の発明において、特に第1〜第8の発明において、ミスト運転ON信号を受信してから第4の設定時間が経過すると、制御装置がリモコンで設定したミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度よりも低い温度になるように湯水混合装置を制御することにより、浴室内の温度は十分に安定したと判断し、設定温度よりも低い温度になるように制御しても使い勝手を損なうことなく、また貯湯タンク内の湯の使用を抑えることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態におけるミスト発生装置の構成図である。実線矢印は湯水の流通方向を示し、点線矢印は通信を示している。図1において、貯湯タンク1には、ヒートポンプや電気ヒーターなどで加熱された湯が貯えられる。本実施の形態では、ヒートポンプ2によって加熱を行い、貯湯タンク1に湯を貯えているが、本実施の形態に限定されることがなく、電気ヒーターなどで貯湯タンク1内の湯を加熱してもよい。
【0021】
ヒートポンプ2は、水冷媒熱交換器21、圧縮機22、蒸発器24、膨張弁23を冷媒配管により順次環状に接続して構成されており、冷媒には二酸化炭素を使用しているため、高圧側では臨界圧力を超えるので、水冷媒熱交換器21を流通する水に熱を奪われて温度が低下しても凝縮することがなく、水冷媒熱交換器で冷媒と水との間で温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ熱交換効率を高くすることができる。また、比較的安価でかつ安定な二酸化炭素を冷媒に使用しているので、製品コストを抑えるとともに、信頼性を向上させることができる。また、二酸化炭素はオゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も代替冷媒HFC−407Cの約1700分の1と非常に小さいため、地球
環境に優しい製品を提供できる。
【0022】
また、圧縮機22で冷媒が圧縮され、圧縮機22から吐出された冷媒が水冷媒熱交換器21で放熱し、膨張弁23で減圧されたあと、蒸発器24で空気から熱を吸収し、ガス状態で再び圧縮機22に吸入される。なお、圧縮機の能力制御および膨張弁23の開度制御は、圧縮機22の吐出側に設けたサーミスタ(図示せず)で検出される吐出冷媒の温度が予め設定された温度を維持するように制御される。また、貯湯タンク1内の湯水は、水ポンプ25が作動することで、水冷媒熱交換器21に流入し、冷媒と熱交換を行い、再び貯湯タンク1に戻り、積層状態で貯湯タンク1の上部に高温の湯が貯えられる。
【0023】
一方、給湯端末8や浴槽7、ミスト発生装置9への出湯に伴い、貯湯タンク1の上方部に配設された出湯管3から高温の湯が出湯され、風呂湯温制御手段である電動式混合弁4、給湯端末湯温制御手段である電動式混合弁5、ミスト湯温制御手段である電動式混合弁6にて水と適温に混合される。同時に、貯湯タンク1の下方部に接続されている水を供給する給水管70から水が供給される。本実施の形態1においては、電動式混合弁4で混合された湯水は浴槽7へ、電動式混合弁5で混合された湯水は給湯端末(蛇口)8へ、電動式混合弁6で混合された湯水はミスト発生装置9へ供給される。また、本実施の形態において、湯と水との混合手段には電動式混合弁を用いたが、ワックスサーモ混合弁を用いて出力温度を一定にした構成にしてもよい。
【0024】
また、水冷媒熱交換器21から貯湯タンク1に高温の湯として戻される戻り口51は、出湯管3とは別に設けてあり、このように構成することでミスト発生装置もしくはミスト発生装置以外の部位へ湯水を供給しながら、貯湯タンク1内の湯を沸き上げることができる。1つの熱源からミスト発生装置以外の部位に加えて、ミスト発生装置へ湯水を供給することで湯切れが発生しやすくなるが、このように構成することで、ミスト発生装置へ湯水を供給してもなお、湯切れの心配がない。以下、それぞれの装置への出湯回路の構成について説明する。
【0025】
浴槽7と電動式混合弁4との間には、貯湯タンク1から供給される湯水の停止を行う二方向の風呂回路遮断手段である電磁弁41と、浴槽7へ供給される湯水の流量を検出する風呂流量検出手段である流量センサ42と、浴槽7へ供給される湯水の温度を検出する風呂湯温検出手段であるサーミスタ43を設けており、サーミスタ43の検出値に基づいて電動式混合弁4の制御を行う。
【0026】
給湯端末(蛇口)8と電動式混合弁5との間には、貯湯タンク1から供給される湯水の流量を検出する給湯端末流量検出手段である流量センサ44と、給湯端末(蛇口)8へ供給される湯水の温度を検出する給湯端末湯温検出手段であるサーミスタ45を設けており、サーミスタ45の検出値に基づいて電動式混合弁5の制御を行う。
【0027】
ミスト発生装置9と電動式混合弁6の間には、貯湯タンク1から供給される湯水の停止を行う二方向のミスト回路遮断手段である電磁弁46と、ミスト発生装置9へ供給される湯水の流量を検出するミスト流量検出手段である流量センサ47と、ミスト発生装置9へ供給される湯水の温度を検出するミスト温度検出手段であるサーミスタ48を設けており、サーミスタ48の検出値に基づいて電動式混合弁6の制御を行う。また、ミスト発生装置9の湯水を噴出するミストノズルと電動式混合弁6との間の配管には、三方弁60を介設しており、一方の出口には、ミストノズルへ湯水を供給する配管を接続し、もう一方の出口には、浴室の洗い場に水を排出するための配管61に接続される。
【0028】
また、本実施の形態において、ミスト発生装置9を制御するミスト発生装置側の制御手段31であるマイクロコンピュータと、電動式混合弁4、5、6を制御する給湯ユニット
側の制御手段30であるマイクロコンピュータを有しているが、これに限定されることなく、制御手段30でミスト発生装置9を制御してもよい。また本実施の形態においては、リモコン10において、浴槽7への湯張り、給湯端末(蛇口)8の温度設定、ミスト発生装置9の各種設定を行っているが、適宜リモコンを複数設けて、例えば、ミスト発生装置9専用のリモコンを設ける構成としてもよい。また、リモコン10には、制御手段30および制御手段31からの指令で情報を表示したり、音声を発生する構成としているので、ユーザーが理解しやすいリモコンとなっている。
【0029】
以下、浴槽7、給湯端末(蛇口)8、ミスト発生装置9への出湯について説明する。
【0030】
ユーザーは、浴室内に設置されたリモコン10で、所望の浴槽への湯張り量、湯張り温度を設定し、それぞれの設定値をリモコン10から浴槽への湯張りを制御する制御手段30に送信することで、浴槽への自動湯張りができる。
【0031】
また、給湯端末(蛇口)8から出湯させたい時には、リモコン10で所望の給湯温度を設定し、リモコン10から給湯端末(蛇口)8の出湯温度を制御する制御手段30へと送信することにより、サーミスタ45の温度に基づいて電動式混合弁5を制御して給湯端末(蛇口)8から出湯することができる。
【0032】
ミスト発生装置9は、貯湯タンク1から供給される湯水をミストノズルから浴室内にミスト状に噴出させる装置であり、浴室内でのサウナ浴を実現することができる。リモコン10には、ミスト発生装置9の起動/停止のみならず、ミスト発生動作の詳細な設定(例えば、風量、温度など)も設定できる構成となっており、リモコン10からミスト発生装置9を制御する制御手段31へと運転開始の信号を送信することにより、ミスト発生装置を操作することができる。また制御装置31から制御装置30にミスト運転ON信号が送信されることにより、サーミスタ48の温度に基づいて電動式混合弁6が制御される。このようにサウナ浴の設定は、年齢、性別などにより個人差が大きく、リモコン10で各人が所望の設定に切り替えられるのは非常に利便性がよい。
【0033】
以上のように構成された貯湯式給湯機について、以下、ミスト発生装置9の動作・作用について説明する。
【0034】
リモコン10にてミスト運転をONにすると、制御装置31(マイクロコンピュータ)にミスト運転開始情報を送信し、給湯ユニット側の制御装置30(マイクロコンピュータ)にミスト運転開始情報を伝えられ、ミスト運転が開始される。
【0035】
一方、三方弁60が配管61側に駆動することにより、ミストノズルには湯水が供給されず、配管61を通じて配管内に溜まった冷水を排出する。そして所定時間経過後に、三方弁60がミストノズル側に駆動することにより、ミストノズルに湯水が供給され、ミストノズルからは冷水が噴出されることがないので、ユーザーを不快に感じさせることなく、快適なミスト浴を楽しむことができる。
【0036】
以下、場合に分けてミスト発生装置9に供給される湯水の温度の制御について説明する。
【0037】
1)ミスト運転停止状態が長い状態からミスト運転が開始された場合。
【0038】
図2は、ミスト発生装置9に供給される湯温のタイムチャートである。図2において、第2の設定時間(T2)を設けており、ミスト運転停止時間が第2の設定時間(T2)よりも長い状態からミスト運転が開始されると、ミスト運転が開始されてから第1の設定時
間(T1)の間は、リモコン10にて設定した温度よりも低い温度になるように電動式混合弁6が制御される。このように設定温度よりも低い温度になるように電動式混合弁6を制御することで、この時点では三方弁60が配管61側に駆動しており、浴室内に排出されるおそれがあるため、浴室内に高温水が排出することを防止している。
【0039】
そして第1の設定時間(T1)が経過後、ミスト運転が開始されてから第3の設定時間(T3)が経過するまでは、リモコン10にて設定した温度よりも高い温度になるように電動式混合弁6が制御される。このよう設定温度よりも高い温度になるように電動式混合弁6を制御することで、浴室内を素早くサウナ状態にすることができる。また、三方弁60をミスト発生装置側に切り替えるタイミングは、第1の設定時間が経過するまでが望ましく、第1の設定時間経過後に三方弁60を切り替えると、浴室内に高温水が排出するおそれがある。
【0040】
第3の設定時間(T3)経過後から第4の設定時間(T4)が経過するまでは、サーミスタ48の検出値がリモコン10で設定されたミスト温度になるように、電動式混合弁6の開度を制御する。
【0041】
また、外気温度を検出するサーミスタ62を設けて、サーミスタ62で検出される外気温度に基づいて設定温度を補正し、補正した温度になるように電動式混合弁6の開度を制御してもよい。図3、図4は外気温度で補正した温度になるように電動式混合弁6の開度を制御したタイムチャートである。図3は外気温度が高く夏季と判断した場合のタイムチャートで、設定温度よりも少し低い温度になるように電動式混合弁6の開度を制御している。また、図4は外気温度が低く冬季と判断した場合のタイムチャートで、設定温度よりも少し高い温度になるように電動式混合弁6の開度を制御している。このように制御することで、より快適なミスト浴を楽しむことができる。
【0042】
ミスト運転を開始してから第4の設定時間(T4)経過後は、十分に浴室が暖まり温度が安定しており、ミスト温度を下げても仕様感を損なうことがないため、リモコン10で設定した設定温度よりも低い温度になるように電動式混合弁6の開度を制御している。このように制御することで、貯湯タンク1から出湯される高温の湯の使用を抑え、湯切れを防止することができる。
【0043】
2)ミスト運転停止状態が短い状態からミスト運転が開始された場合。
【0044】
図5は、ミスト発生装置9に供給される湯温のタイムチャートである。図5において、第2の設定時間(T2)を設けており、ミスト運転停止時間が第2の設定時間(T2)よりも短い状態からミスト運転が開始されると、前回のミスト運転から時間が経過していないとして、三方弁60を配管61側にすることなく、ミスト発生装置9側のまま、湯水の供給を開始する。
【0045】
ミスト運転が開始されるとサーミスタ48の検出値がリモコン10で設定されたミスト温度になるように、電動式混合弁6の開度を制御する。
【0046】
また、外気温度を検出するサーミスタ62を設けて、サーミスタ62で検出される外気温度に基づいて設定温度を補正し、補正した温度になるように電動式混合弁6の開度を制御してもよい。図6、図7は外気温度で補正した温度になるように電動式混合弁6の開度を制御したタイムチャートである。図6は外気温度が高く夏季と判断した場合のタイムチャートで、設定温度よりも少し低い温度になるように電動式混合弁6の開度を制御している。また、図7は外気温度が低く冬季と判断した場合のタイムチャートで、設定温度よりも少し高い温度になるように電動式混合弁6の開度を制御している。このように制御する
ことで、より快適なミスト浴を楽しむことができる。
【0047】
ミスト運転を開始してから第4の設定時間(T4)経過後は、十分に浴室が暖まり温度が安定しており、ミスト温度を下げても仕様感を損なうことがないため、リモコン10で設定した設定温度よりも低い温度になるように電動式混合弁6の開度を制御している。このように制御することで、貯湯タンク1から出湯される高温の湯の使用を抑え、湯切れを防止することができる。
【0048】
また、各段階においてサーミスタ48の検出値に基づいて電動式混合弁6を制御するが、目標としている温度をサーミスタ48で検出しない場合には、何らかの異常があるとしてリモコン10に、例えば「ミスト異常です」などの表示をすることで、ミスト発生装置9の異常を知らせるとともに、給湯端末(蛇口)8や浴槽7の回路は異常ではないので、継続して使用することができる。
【0049】
また、本実施の形態で設定した第1〜第4の設定時間は、貯湯式給湯機の仕様によって適宜任意に設定できるが、第1の設定時間<第3の設定時間<第4の設定時間の関係を有するものであればどのような値に設定してもよい。
【0050】
以上のように、ミスト温度を時間経過ごとに設定することで、湯の使用を抑えた最適なミスト運転を行うことができ、ミスト運転開始初期段階には、配管内に残っている水を浴室内に排出することで、ミスト発生装置に冷水を供給することがなく、また、浴室内には高温の湯水を排出することがないので、ユーザーに不快感を与えることの無いミスト環境を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明はヒートポンプ式の貯湯式温水器に限らず、電気、ガス、石油、燃料電池などいずれの方式においても、一つの貯湯タンクから複数の給湯機器に湯水を供給する貯湯式温水器に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図
【図2】実施の形態1におけるミスト温度のタイムチャート
【図3】実施の形態1におけるミスト温度のタイムチャート
【図4】実施の形態1におけるミスト温度のタイムチャート
【図5】実施の形態1におけるミスト温度のタイムチャート
【図6】実施の形態1におけるミスト温度のタイムチャート
【図7】実施の形態1におけるミスト温度のタイムチャート
【図8】従来の実施の形態におけるミスト発生装置の構成図
【符号の説明】
【0053】
1 貯湯タンク
2 ヒートポンプ
3 出湯管
4 電動式混合弁
5 電動式混合弁
6 電動式混合弁
7 浴槽
8 給湯端末(蛇口)
9 ミスト発生装置
10 リモコン
21 水冷媒熱交換器
22 圧縮機
23 膨張弁
24 蒸発器
25 水ポンプ
30 マイクロコンピュータ(制御手段)
31 マイクロコンピュータ(制御手段)
41 電磁弁(風呂回路遮断手段)
42 流量検出装置(風呂流量検出手段)
43 サーミスタ(風呂湯温検出手段)
44 流量検出装置(給湯端末流量検出手段)
45 サーミスタ(給湯端末湯温検出手段)
46 電磁弁(ミスト回路遮断手段)
47 流量検出装置(ミスト流量検出手段)
48 サーミスタ(ミスト温度検出手段)
51 戻り口
60 三方弁
61 配管
62 サーミスタ(外気温度検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯える貯湯タンクと、湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置と、前記貯湯タンクの高温水を出湯する出湯管と、給水源から水を供給する給水管と、前記出湯管と前記給水管が接続され湯と水とを混合する湯水混合装置と、前記湯水混合装置からの湯水の温度を検出するミスト温度検出手段と、前記湯水混合装置を制御する制御装置とを備え、前記ミスト発生装置から湯水をミスト状に噴出開始するミスト運転ON信号を、前記制御装置が受信したときに、前記制御装置は前記ミスト温度検出手段の値に基づいて前記湯水混合装置を制御することを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を設定することができるリモコンを備え、制御装置がミスト運転OFF信号からミスト運転ON信号に切り替わったことを受信すると、第1の設定時間の間は、前記リモコンで設定した前記ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度よりも低い温度になるように湯水混合装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を設定することができるリモコンを備え、制御装置がミスト運転OFF信号を第2の設定時間以上受信したあとに、ミスト運転ON信号を受信すると、第1の設定時間の間は、前記リモコンで設定した前記ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度よりも低い温度になるように湯水混合装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
ミスト運転ON信号を受信してから第1の設定時間経過後、ミスト運転ON信号を受信してから第3の設定時間が経過するまでは、リモコンで設定したミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度よりも高い温度になるように湯水混合装置を制御することを特徴とする請求項2または3に記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
ミスト運転ON信号を受信してから第3の設定時間経過すると、リモコンで設定したミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度になるように湯水混合装置を制御することを特徴とする請求項4に記載の貯湯式給湯機。
【請求項6】
外気温度を検出する外気温度検出手段を備え、ミスト運転ON信号を受信してから第3の設定時間経過すると、リモコンで設定したミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を外気温度で補正した温度になるように湯水混合装置を制御することを特徴とする請求項4に記載の貯湯式給湯機。
【請求項7】
ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を設定することができるリモコンを備え、制御装置が第2の設定時間経過する前に、ミスト運転ON信号を受信すると、前記リモコンで設定した前記ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度になるように湯水混合装置を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の貯湯式給湯機。
【請求項8】
ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を設定することができるリモコンと、外気温度を検出する外気温度検出手段とを備え、制御装置がミスト運転OFF信号を第2の設定時間経過する前に、ミスト運転ON信号を受信すると、前記リモコンで設定した前記ミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度を外気温度で補正した温度になるように湯水混合装置を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の貯湯式給湯機。
【請求項9】
ミスト運転ON信号を受信してから第4の設定時間が経過すると、制御装置がリモコンで設定したミスト発生装置へ供給する湯水の設定温度よりも低い温度になるように湯水混合装置を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−95980(P2008−95980A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274920(P2006−274920)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】