説明

貯湯式給湯装置

【課題】 機種やバリエーションによる給湯混合弁71の最適開度特性マップの違いを無くす。
【解決手段】 給湯用混合弁71と風呂用混合弁81とを集約して配管経路で連結し、給水管50を接続する給水接続部40aと、貯湯タンク30へ給水するタンク給水管31を接続するタンク給水接続部40bと、貯湯タンク30から湯を流出させるタンク給湯管32を接続するタンク給湯接続部40cと、給湯管70を接続する給湯接続部40eと、風呂給湯管80を接続する風呂給湯接続部40fとを有する混合モジュール42を構成し、機種やバリエーションの異なる貯湯式給湯装置にて混合モジュール42を共通使用した。
これにより、貯湯タンク30の容量や外形寸法の違いなどによる機種とそのバリエーションおいても、接続配管の長さ・曲げ回数・分岐位置などのレイアウトの違いが無くなり、給湯用混合弁71の最適開度特性の違いが無くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置によって加熱された給湯用の温水を貯える貯湯タンクと、貯湯タンクから供給される温水と給水管から供給される冷水とを混合して給湯管から供給する温水の温度調節を行う給湯用混合弁と、貯湯タンクから供給される温水と給水管から供給される冷水とを混合して風呂給湯管から供給する温水の温度調節を行う風呂用混合弁とを備えた貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の貯湯式給湯装置(機種A)、図8は従来の貯湯式給湯装置(機種B)の全体構成を示す模式図である。いずれの機種も、加熱装置10によって加熱された温水を積層貯湯する貯湯タンク30と、その貯湯タンク30から供給される温水と給水管50から供給される冷水とを混合して給湯管70から供給する温水を所望の温度に温度調節する給湯用混合弁71と、貯湯タンク30から供給される温水と給水管50から供給される冷水とを混合して風呂給湯管80から供給する温水を所望の温度に温度調節する風呂用混合弁81とを備えた貯湯式給湯装置となっている。
【0003】
尚、機種Aと機種Bとの違いは、給湯用混合弁71が貯湯タンク30の上部付近に配置されている(機種A)か、貯湯タンク30の中間部付近に配置されている(機種B)かの違いである。また、主に貯湯タンク30が収納されたタンクユニット20には、他に、各種弁手段52・61・71・81・83や各種検出手段51・72・73・82などの機能部品が、塗装鋼板などの外板によるタンク筐体20a内に配置されている。
【0004】
そして、貯湯タンク30の下部から取り出された低温水は、例えば、ヒートポンプサイクルを用いた加熱装置10によって加熱され(例えば、90℃)、貯湯タンク30の上部に戻される。このため、貯湯タンク30の上部から高温水が積層貯湯され、最終的には貯湯タンク30内が全て高温水となるまで加熱される。
【0005】
一方、給湯時は、貯湯タンク30の上部から高温水が取り出され、その分、貯湯タンク30の下部には給水され、貯湯タンク30内の湯量は徐々に減少してゆく。このため、貯湯時・給湯時とも、途中状態で貯湯タンク30内は「高温部」・「中温部(温度境界層)」・「低温部」と、給湯用水の比重差によって積層された状態となる。尚、図7・図8中の符号は、後述する本発明の実施形態と対応するものである。
【0006】
図9は、従来の制御装置90における給湯混合弁71の制御概要を示すフローチャートである。先ず、ステップS11では、給湯用混合弁71から給湯管70を経て供給する温水の流量を検出する流量カウンター73にて、流量検出(言い換えれば、給湯)が有るか否かの判定を行う。その判定結果がNOで流量検出が無い場合は、流量検出されるまで当ステップを繰り返して待機する。そして、ステップS11での判定結果がYESで流量検出が有る場合はステップS12へと進む。
【0007】
ステップS12では、フィードフォワード制御として、図示しない検出手段から検出される貯湯温度・給水サーミスタ51から検出される給水温度・図示しない操作パネルで設定された目標給湯温度に応じて給湯混合弁71の適性開度を事前に設定したマップより目標開度を算出し、次のステップS13では算出した目標開度まで給湯混合弁71を駆動し、次のステップS14では、その目標開度にて所定時間だけ保持する。
【0008】
次のステップS15では、フィードバック制御として、給湯サーミスタ72で検出される給湯温度が目標給湯温度となるよう温度差分だけ給湯混合弁71の開度を補正することで所望の設定温度での給湯を可能としている。そして、ステップS16では、再度流量カウンター73で流量検出(給湯)が有るか否かの判定を行い、その判定結果がYESで、流量検出が有る間は当ステップを繰り返してステップS15のフィードバック制御による給湯状態を保持する。そして、ステップS16での判定結果がNOとなって流量検出がされなくなった場合はリターンして当ルーチンを繰り返すものである。
【0009】
次に図10は、給湯中に湯張りなどの風呂給湯作動が開始された場合などで、蛇口と風呂とに同時給湯する場合の従来の制御装置90における給湯混合弁71の制御概要を示すフローチャートである。このような同時給湯時には、給湯混合弁71の開度特性が急変するため(例えば、40℃にするための給湯混合弁71の湯側適正開度が、単独給湯時には30%であり、同時給湯時には40%となる。)、同時給湯状態が発生したときに給湯温度と風呂給湯温度とに応じた補正値を給湯混合弁71に加算して、給湯温度の変動を緩和させている。
【0010】
具体的に先ず、ステップS21では、上述したステップS15と同様に、給湯サーミスタ72で検出される給湯温度が目標給湯温度となるよう温度差分だけ給湯混合弁71の開度を補正するフィードバック制御にて所望の設定温度での給湯を行っている。そして、ステップS22では、風呂への給湯開始指示が有るか否かの判定を行う。その判定結果がNOで風呂への給湯開始指示が無い場合は、給湯開始指示が有るまで当ステップを繰り返して待機する。そして、ステップS22での判定結果がYESで風呂への給湯開始指示が有った場合はステップS23へと進む。
【0011】
ステップS23では、給湯温度と風呂給湯温度との同時給湯に応じた補正値を、事前に設定したマップより算出し、次のステップS24では算出した補正値分だけ給湯混合弁71を駆動させる。そして、ステップS25では、風呂への給湯停止指示が有るか否かの判定を行う。
【0012】
その判定結果がNOで風呂への給湯停止指示が無い場合は、給湯停止指示が有るまで当ステップを繰り返して待機する。そして、ステップS25での判定結果がYESとなって風呂への給湯停止指示が有った場合にはステップS26へと進み、ステップS24で駆動させた補正値分だけ給湯混合弁71の開度を元に戻し、リターンして当ルーチンを繰り返すものである。
【0013】
また、本発明に類似する従来技術として、下記の特許文献1・特許文献2に示されるものがある。図11は、特許文献1における自動風呂電気温水器1の全体構成を示す模式図である。貯湯タンク2と、貯湯タンク2内の水を加熱する発熱手段3と、貯湯タンク2に設けられた給湯口2aに給湯管7を介して接続され、貯湯タンク2の湯と水とを混合し、混合湯を送出する混合手段6と、混合手段6による混合湯を浴槽19へ給湯制御する注湯手段8と、浴槽19内の浴水を加熱するための発熱手段11および浴水を循環させる循環手段12を有する追い焚き回路9とを備えた自動風呂電気温水器1において、追い焚き回路9を、追い焚き回路9と浴槽19とを接続する配管が短くなるように配置し、混合手段6を給湯口2aの近傍に配置したことを特徴としている。
【0014】
また、図12は特許文献2における弁ユニット10の構成を示す模式図である。加熱手段により加熱昇温された温水を貯める貯湯槽13、この貯湯槽13に供給される水の圧力を所望圧力に設定する減圧弁1、この減圧弁1を経由して供給される水と貯湯槽13の温水とを混合して所定温度の温水を得る湯水混合弁2・3、および貯湯槽13に接続され、加熱手段による加熱昇温時に体積膨張した温水を排出するための逃がし弁7を備えた給湯器において、給湯器の給湯回路は、少なくとも各弁と各弁間を接続する配管とが集約化された弁ユニット10を有し、弁ユニット10を構成する減圧弁1と湯水混合弁2・3とが近接配置されていることを特徴としている。
【特許文献1】特開2000−186854号公報
【特許文献2】特開2004−11929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図7・図8に示した従来の貯湯式給湯装置において、タンクユニット20のタンク筐体20a内には、先ず貯湯タンク30が配置され、配置可能な空間に各種弁手段52・61・71・81・83や各種検出手段51・72・73・82などの機能部品を配置しているため、各機能部品の配置は、貯湯タンク30の容量(例えば、300L・370L・460L)に応じてバラバラにならざるを得なかった。
【0016】
図13は、図7の機種Aと図8の機種Bにおける給湯混合弁71の最適開度特性の違いを示すグラフである。給湯混合弁71の位置が、図7の機種Aのように貯湯タンク30の上部付近に配置されていたり、図8の機種Bのように貯湯タンク30の中間部付近に配置されていたり、また給湯混合弁71への接続配管の長さや曲げ回数などが違うと、給湯混合弁71の開度特性がそれぞれ異なってしまい、目標開度算出のためのマップを機種毎に設定しなければならないという問題点がある。また、図8の機種Bのように、給湯混合弁71が貯湯タンク30の中間高さ付近まで低い位置にあると、貯湯量が多い場合と少ない場合とに応じて最適開度特性が変化するという問題点がある。
【0017】
このために従来は、貯湯タンク30の容量や外形寸法の違いなどによる機種とそのバリエーション毎によって給湯混合弁71の高さ位置、接続配管の長さ・曲げ回数・分岐位置などのレイアウトが異なるため、機種とそのバリエーション毎に最適開度特性マップを実験により決定するため、多大な工数が掛かっている。本発明は上記従来の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、機種やバリエーションによる給湯混合弁の最適開度特性マップの違いを無くすことのできる貯湯式給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記、目的を達成するために、請求項1ないし請求項16に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、加熱装置(10)によって加熱された給湯用の温水を貯える貯湯タンク(30)と、貯湯タンク(30)から供給される温水と給水管(50)から供給される冷水とを混合して給湯管(70)から供給する温水の温度調節を行う給湯用混合弁(71)と、貯湯タンク(30)から供給される温水と給水管(50)から供給される冷水とを混合して風呂給湯管(80)から供給する温水の温度調節を行う風呂用混合弁(81)とを備えた貯湯式給湯装置において、
給湯用混合弁(71)と風呂用混合弁(81)とを集約して配管経路で連結し、給水管(50)を接続するための給水接続部(40a)と、貯湯タンク(30)から湯を流出させるタンク給湯管(32)を接続するためのタンク給湯接続部(40c)と、給湯管(70)を接続するための給湯接続部(40e)と、風呂給湯管(80)を接続するための風呂給湯接続部(40f)とを有する混合モジュール(42)を構成するとともに、機種やバリエーションの異なる貯湯式給湯装置にて混合モジュール(42)を共通使用したことを特徴としている。
【0019】
この請求項1に記載の発明によれば、貯湯タンク(30)の容量や外形寸法の違いなどによる機種とそのバリエーションおいても、全て同一の混合モジュール(42)を共通使用することにより、接続配管の長さ・曲げ回数・分岐位置などのレイアウトの違いが無くなり、給湯用混合弁(71)の最適開度特性の違いが無くなり、略同一特性とすることができる。
【0020】
このため、機種とそのバリエーション毎に多大な工数が掛けて給湯用混合弁(71)の最適開度特性マップを実験により作成する必要がなくなり、単一の最適開度特性マップを制御装置(90)に記憶させておけば良く、開発工数を大幅に削減することができる。
【0021】
また、給湯中に湯張りなどの風呂給湯作動が開始された場合などの蛇口と風呂との同時給湯時においても、混合モジュール(42)化により両混合弁(71、81)の配置や、それをつなぐ接続配管の長さ・曲げ回数・分岐位置などのレイアウトが機種によって変化しないため、単一の補正値を制御装置(90)に記憶させておけば良く、開発工数を大幅に削減することができる。
【0022】
また、従来は機種毎に配管設計をしているが、混合モジュール(42)化により部品共用化が図れ、コストダウンとなる。また、製造時に混合モジュール(42)を組み付ける際も、配管締結箇所や部品位置決め工程が削減されるため、組付け工数を削減することができてコストダウンとなる。
【0023】
尚、背景技術で示した特許文献2での弁ユニット10は、少なくとも減圧弁1、湯水混合弁2・3、逃がし弁7の各弁とこれら各弁間を接続する配管とが集約化された弁ユニット10を有し、弁ユニット10を構成する減圧弁1と湯水混合弁2・3とが近接配置されていることを特徴としているが、給湯流量の減少が少なく、かつシンプルな給湯回路構成を狙ったものであり、異なる機種間で共通使用して特性の違いを無くすことまでは考慮されていない。
【0024】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)を少なくとも貯湯タンク(30)内の温度境界層より上方、より好ましくは貯湯タンク(30)よりも上方となるように配置したことを特徴としている。この請求項2に記載の発明によれば、混合モジュール(42)として給湯用混合弁(71)の高さ位置を、少なくとも貯湯タンク(30)内の温度境界層より上方、より好ましくは貯湯タンク(30)よりも上方となるように揃えることにより、貯湯タンク(30)内の貯湯量が多い場合と少ない場合とで最適開度特性が変化するという問題点が解消され、貯湯量が変化しても給湯用混合弁(71)の最適開度特性の変化が無くなり、より同一特性とすることができる。
【0025】
尚、背景技術で示した特許文献1は、追い焚き回路9を、追い焚き回路9と浴槽19とを接続する配管が短くなるように配置し、混合手段6を給湯口2aの近傍に配置したことを特徴としているが、風呂保温時の放熱ロスと、給湯管を短く簡素にして給湯時の放熱ロスを防ぐことを狙ったものであり、異なる機種間での特性の違いに着目して設置位置を考慮するまでの記載はない。
【0026】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)を略上下分割構造の保温部材(41)で覆って混合ユニット(40)を構成したことを特徴としている。従来は、タンク筐体(20a)内の配置可能な空間に給湯用混合弁(71)や風呂混合弁(81)を配置して配管接続しているため、ある程度の配管長さが必要となり、その配管を個別の保温部材にて覆って放熱を抑制していた。
【0027】
しかし、この請求項3に記載の発明によれば、配管長さを必要最小限に短縮した混合モジュール(42)全体を保温部材(41)で覆う構造とできるため、従来よりも保温性能を向上することができる。また、略上下分割構造の保温部材(41)としたことより、上側保温ケース(41a)を開けて内蔵した機能部品のメンテナンスをすることができ、保守作業性が向上する。
【0028】
また、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の貯湯式給湯装置において、貯湯タンク(30)を覆って保温するタンク保温部材(33)の一部に混合ユニット(40)の支持部(33a)を設けるとともに、支持部(33a)と接続した各配管(32、50、70、80)とによって混合ユニット(40)を支持する構造としたことを特徴としている。この請求項4に記載の発明によれば、貯湯タンク(30)や混合モジュール(42)の保温性を損ねることなく、支持ブラケット類を削減することができ、組み付けも容易となり、コストを抑えることができる。
【0029】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の貯湯式給湯装置において、保温部材(41)の下側保温ケース(41b)の形状を、タンク保温部材(33)の上方側に一体にして形成したことを特徴としている。この請求項5に記載の発明によれば、下側保温ケース(41b)と、それを支持する支持部(33a)とが不要となり、より構成を簡素化してコストを抑えることができる。
【0030】
また、請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)に、貯湯タンク(30)へ給水するタンク給水管(31)を接続するためのタンク給水接続部(40b)を構成したことを特徴としている。この請求項6に記載の発明によれば、よりモジュール化度が進み、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。
【0031】
また、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)に、給湯用混合弁(71)から供給する温水の温度を検出する給湯サーミスタ(72)を構成したことを特徴としている。この請求項7に記載の発明によれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。
【0032】
また、請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)に、風呂用混合弁(81)から供給する温水の温度を検出する風呂サーミスタ(82)を構成したことを特徴としている。この請求項8に記載の発明によれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。
【0033】
また、請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)に、体積膨張した貯湯タンク(30)内の温水を排出するための逃がし弁(61)と、逃がし弁(61)の下流側にドレインホース(60)を接続するためのドレイン接続部(40d)とを構成したことを特徴としている。この請求項9に記載の発明によれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。また、タンクユニット(20)内の給湯回路をより簡素に構成することができる。
【0034】
また、請求項10に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)に、給湯用混合弁(71)から供給する温水の流量を検出する流量カウンター(73)を構成したことを特徴としている。この請求項10に記載の発明によれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。
【0035】
また、請求項11に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)に、風呂用混合弁(81)から供給する温水を断続させる風呂電磁弁(83)を構成したことを特徴としている。この請求項11に記載の発明によれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。また、タンクユニット(20)内の給湯回路をより簡素に構成することができる。
【0036】
また、請求項12に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)に、給水管(50)から供給される冷水の圧力を所望圧力に設定する減圧弁(52)を構成したことを特徴としている。この請求項12に記載の発明によれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。また、タンクユニット(20)内の給水回路をより簡素に構成することができる。
【0037】
また、請求項13に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)に、給水管(50)から供給される冷水の温度を検出する給水サーミスタ(51)を構成したことを特徴としている。この請求項13に記載の発明によれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。
【0038】
また、請求項14に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)に、貯湯タンク(30)上部のタンク給湯管(32)から供給される高温水と、貯湯タンク(30)中間部の中温水出口(30e)から中温水給湯管(34)を介して供給される中温水とを混合して給湯設定温度よりも略所定温度高い温度に調節する中温水混合弁(35)と、中温水給湯管(34)を接続するための中温水接続部(40g)とを構成したことを特徴としている。
【0039】
この請求項14に記載の発明によれば、中温水混合弁(35)が設定されている機種において、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。また、タンクユニット(20)内の給湯回路をより簡素に構成することができる。また、中温水混合弁(35)が設定されている機種間において、全て同一の混合モジュール(42)を共通使用することにより、接続配管の長さ・曲げ回数・分岐位置などのレイアウトの違いが無くなり、中温水混合弁(35)の開度特性の違いが無くなり、略同一特性とすることができる。
【0040】
また、請求項15に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)の給湯用混合弁(71)の冷水側に給湯水側逆止弁(74a)と温水側に給湯湯側逆止弁(74b)とを構成したことを特徴としている。この請求項15に記載の発明によれば、給湯停止時の湯や水の回り込みを防止することができて給湯温度の変動を小さくすることができる。また、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。
【0041】
また、請求項16に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置において、混合モジュール(42)の風呂用混合弁(81)の少なくとも冷水側に風呂水側逆止弁(84a)を構成したことを特徴としている。この請求項16に記載の発明によれば、給湯停止時の湯や水の回り込みを防止することができて信頼性を向上させることができる。また、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。ちなみに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について添付した図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図であり、図2は、図1におけるタンクユニット20の概略構造を示す模式図である。また、図3は、図1・図2における混合ユニット40の概略構造を示す展開斜視図である。
【0043】
加熱装置10によって加熱された給湯用の温水を貯える貯湯タンク30と、貯湯タンク30から供給される温水と給水管50から供給される冷水とを混合して給湯管70から供給する温水の温度調節を行う給湯用混合弁71と、貯湯タンク30から供給される温水と給水管50から供給される冷水とを混合して風呂給湯管80から供給する温水の温度調節を行う風呂用混合弁81とを備えた貯湯式給湯装置である。
【0044】
そして、本発明の要部として、先の混合ユニット40内に、給湯用混合弁71と風呂用混合弁81とを集約して配管経路で連結し、給水管50を接続するための給水接続部40aと、貯湯タンク30へ給水するタンク給水管31を接続するためのタンク給水接続部40bと、貯湯タンク30から湯を流出させるタンク給湯管32を接続するためのタンク給湯接続部40cと、給湯管70を接続するための給湯接続部40eと、風呂給湯管80を接続するための風呂給湯接続部40fとを有する混合モジュール42を構成している(図3参照)。
【0045】
給湯機能は、図1に示すように、給湯用水を内部に貯える貯湯タンク30と、この貯湯タンク30内の最下部から低温の給湯用水を取り出し、高温にして貯湯タンク30内の最上部に送る給湯用水加熱回路11と、この給湯用水加熱回路11を流れる給湯用水を加熱する加熱装置としてのヒートポンプ熱源機10と、貯湯タンク30内に水道水を給水する給水管50と、貯湯タンク30内の高温水を導出するタンク給湯管32と、給湯管70・風呂給湯管80と、本給湯装置の作動を制御する制御装置90とから構成されている。
【0046】
給湯機能を構成する構成部品についてより具体的に説明する。先ず給水管50には、給水温度を検出する給水サーミスタ51が設けられており、給水管50内の温度情報を制御装置90に出力するようになっている。また、給水管50には、本給湯装置に導入する水道水の水圧を所定圧となるように調節するとともに、断水などにおける湯の逆流を防止する減圧(逆止)弁52が設けられている。そして給水管50は、混合ユニット40の給水接続部40aに接続されている。
【0047】
貯湯タンク30は、縦長形状の耐食性に優れた金属製(例えば、ステンレス製)の容器で形成され、外周にタンク保温部材33が配設され(図2参照)、高温の給湯用水を長時間にわたって保温できるようになっている。また、貯湯タンク30内の底面には給水口30aが設けられている。この給水口30aには、先程の、給水管50から混合ユニット40内に入った水道水は、内部で分岐されてタンク給水接続部40bに出てくるため、このタンク給水接続部40bと給水口30aとをタンク給水管31にて接続して、貯湯タンク30内に給水するようになっている。
【0048】
貯湯タンク30内の給湯用水を加熱するヒートポンプ熱源機10は、例えば、二酸化炭素(CO)ガスを冷媒として使用することにより、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプサイクルを使用している。このヒートポンプサイクルは、周知のように図示しない冷媒圧縮機・冷媒凝縮器としての冷媒水交換器・膨張弁・冷媒蒸発器およびアキュムレータなどの冷凍サイクル機能部品より構成されている。
【0049】
ちなみに、冷媒圧縮機は、内蔵する電動モータによって駆動され、アキュムレータより吸引した気相冷媒を臨界圧力以上まで圧縮して吐出する。冷媒水交換器は、冷媒と給湯用水とを熱交換して給湯用水を加熱するもので、例えば、冷媒が流れる冷媒通路と給湯用水が流れる給湯用水通路とが二重管構造で設けられ、且つ冷媒の流れ方向と給湯用水の流れ方向とが対向するように構成された対向流式の冷媒水交換器である。
【0050】
膨張弁は、冷媒水交換器から流出する冷媒を減圧して冷媒蒸発器に供給する。冷媒蒸発器は、膨張弁で減圧された冷媒を大気との熱交換によって蒸発させる。アキュムレータは、冷媒蒸発器より流出する冷媒を気液分離して、気相冷媒のみ冷媒圧縮機に吸引させるとともに、サイクル中の余剰冷媒を蓄えるものである。
【0051】
また、冷媒水交換器の給湯用水通路は、上述した給湯用水加熱回路11を介して貯湯タンク30に接続されており、図示しない循環ポンプが作動することで、貯湯タンク30内の給湯用水が循環する。尚、給湯用水加熱回路11の上流端が貯湯タンク30の底部30bに接続され、給湯用水加熱回路11の下流端が貯湯タンク30の上部30cに接続されている。これにより、冷媒水交換器で冷媒との熱交換により加熱された給湯用水が貯湯タンク30の上部30cへ送り込まれるため、貯湯タンク30の上部側から下部側へ向かって順次高温水が積層して蓄熱されてゆく。
【0052】
そして、貯湯タンク30の外壁面には、給湯用水の貯湯量、もしくは貯湯温度を検出するための水温センサである複数の図示しない貯湯サーミスタが縦方向(タンクの高さ方向)にほぼ等間隔に配置され、貯湯タンク30内に満たされた給湯用水の各水位レベルでの温度情報を制御装置90に出力するようにしている。
【0053】
従って、制御装置90は、複数の貯湯サーミスタからの温度情報に基づき、貯湯タンク30内上方の沸き上げられた湯温と、貯湯タンク30内下方の沸き上げられる前の低温の給湯用水との温度境界層位置を検出することができるとともに、各水位レベルでの給湯用水の湯温が検出できる。尚、複数の貯湯サーミスタのうち、最上部に設けられた貯湯サーミスタは高温の給湯用水を出湯する出湯温度を検出する機能を有している。
【0054】
尚、ヒートポンプ熱源機10は制御装置90からの制御信号により作動されるとともに、作動状態を制御装置90に出力するようになっている。また、これらの動力源として交流電力を用い、主に料金設定の最も安い深夜時間帯における深夜電力を用いて、貯湯タンク30内の給湯用水を沸き上げる蓄熱運転を行っているが、昼間時間帯においても給湯用水の湯温が低下してくると沸き上げ運転を行うよう制御される。ちなみに、超臨界ヒートポンプサイクルによれば、一般的なヒートポンプサイクルよりも高温(例えば、85〜90℃)の給湯用水を内部に貯えることができる。
【0055】
貯湯タンク30の最上部には給湯口30dが設けられ、この給湯口30dには貯湯タンク30内に貯えられた給湯用水のうち、高温の給湯用水を導出するための給湯経路であるタンク給湯管32が接続され、その下流端は混合ユニット40のタンク給湯接続部40cに接続されている。
【0056】
このタンク給湯接続部40cの下流側と、先の給水接続部40aの下流側には給湯混合弁71および風呂混合弁81が並列に接続される。そして、給湯混合弁71で混合された温水の出口側は給湯接続部40eに接続され、給湯混合弁71と給湯接続部40eとの間には、混合された温水の温度を検出する給湯サーミスタ72、および流通する温水の流量情報を検出する流量カウンター73が設けられている。
【0057】
また、風呂混合弁81で混合された温水の出口側は風呂給湯接続部40fに接続され、風呂混合弁81と風呂給湯接続部40fとの間には、混合された温水の温度を検出する風呂サーミスタ82が設けられている。そして、これら給湯サーミスタ72・流量カウンター73・風呂サーミスタ82によって検出された温度情報および流量情報は、制御装置90に出力するようになっている。
【0058】
ところで、給湯混合弁71および風呂混合弁81は、給湯管70と風呂給湯管80とに供給する温水の温度を調節する温度調節弁であり、給湯管32側と給水管50側との開口面積比を調節することで高温水と水道水との混合比を調節するようにしている。つまり、ここで、使用者が設定した設定温度となるように温度調節している。
【0059】
尚、これらの混合弁71・81は、制御装置90に電気的に接続されており、給湯サーミスタ72や風呂サーミスタ82によって検出される温度情報に基づいて制御される。また、これらの混合弁71・81は給湯サーミスタ72や風呂サーミスタ82によって検出される温度情報に基づいてフィードバック制御を行うように制御される。
【0060】
そして、給湯接続部40eには給湯管70が接続される。給湯管70は、台所・洗面所・浴室などに配置された図示しない給湯水栓やシャワー水栓などに通じており、これらの給湯水栓やシャワー水栓が開弁したときに、使用者が設定した設定温度に調節された温水が出湯される。尚、流量カウンター73が給湯管70への温水の流れを検出したときは、給湯水栓やシャワー水栓などのいずれかで温水が使用されていることである。また、風呂給湯接続部40fには風呂給湯管80が接続され、風呂給湯管80の途中には風呂電磁弁83が設けられている。この風呂電磁弁83は、制御装置90により制御され、図示しない浴槽に湯張り・差し湯・足し湯などをする場合に開閉される電磁弁である。
【0061】
尚、本実施形態の混合モジュール42には、給湯管の途中から分岐させて逃がし弁61が構成されており、この逃がし弁61の下流側にはドレイン接続部40dが設けられている。このドレイン接続部40dにはドレインホース60が接続され、加熱昇温時に温水が体積膨張して貯湯タンク30内の圧力が所定圧力以上に上昇した場合、貯湯タンク30内の温水を逃がし弁61から機外へ排出して、貯湯タンク30などにダメージを与えないようになっている。
【0062】
尚、本発明の他の特徴として、図3に示すように、混合弁71・81、流量カウンター73、逃がし弁61を配管で所定の経路に接続して各接続部40a〜40fを設けたうえ、サーミスタ72・82を組み付けた混合モジュール42を、略上下分割構造の上側保温ケース41a・下側保温ケース41b(本発明の保温部材41に相当)で覆って混合ユニット40を構成している。尚、上下保温ケース41a・41bは、例えば、発泡ポリスチレンやグラスウールなどの成形品である。
【0063】
そして、図2に示すように、貯湯タンク30を覆って保温するタンク保温部材33の一部に、混合ユニット40を支持する支持部33aを設け、この支持部33aと混合ユニット40に接続した各配管31・32・50・70・80とによって混合ユニット40を支持する構造としている。また、図2に示すように、混合ユニット40(混合モジュール42)を貯湯タンク30よりも上方となるように配置している。
【0064】
例えば、貯湯タンク30内の湯量が常にタンク容積の半分以上貯湯されるシステムであればタンク缶体の上〜中部位置に配置すれば良いが、突発的な湯使用により貯湯タンク30内の湯が空近くまで使用される可能性が有る場合は、タンク缶体の最上部に配置することが望ましい。また、図示していない特徴として、機種やバリエーションの異なる貯湯式給湯装置にて、この混合ユニット40(混合モジュール42)を共通使用している。
【0065】
制御装置90は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵のROMには、予め設定された制御プログラムが設けられており、サーミスタ72・82からの温度情報、流量カウンター73からの流量情報および図示しない操作盤に設けられた操作スイッチからの操作信号などに基づいて、ヒートポンプ熱源機10、混合弁71・81、風呂電磁弁83などを制御するように構成されている。尚、制御装置90は、熱源制御部と給湯制御部とに分けて構成しても良い。
【0066】
次に、以上の構成による本貯湯式給湯装置の作動概要について説明する。先ず、図示しない電源スイッチがオンされると(例えば、深夜時間帯に達すると)、制御装置90によりヒートポンプ熱源機10内のヒートポンプサイクル部品と循環ポンプなどのアクチュエータ類を制御させて貯湯タンク30内の給湯用水を加熱して高温(例えば85℃)の給湯用水が貯えられる。
【0067】
そして、流量カウンター73によって給湯が検出された場合、給湯サーミスタ72が所定の設定温度になるように給湯混合弁71の開度調整を制御装置90によって制御する。温度調整された湯は、給湯接続部40eから給湯管70を通じて、台所・洗面所・浴室などの蛇口やシャワー水栓に導かれる。
【0068】
また、図示しない風呂操作パネルなどから湯張り・差し湯・足し湯などの風呂給湯指示が入力されたときは、制御装置90から風呂電磁弁83に開弁指示が伝達され、風呂混合弁81により風呂サーミスタ82の検出値が所望の風呂給湯温度となるように制御する。温度調整された湯は風呂給湯接続部40fから風呂給湯管80を通じて、図示しない浴槽に導かれる。
【0069】
また、ヒートポンプ熱源機10などの加熱装置によって貯湯タンク30内の給湯用水が加熱されると、水の体積膨張によりタンク缶体内の圧力が増加するため、所定の開放圧力に設定した逃がし弁61によって圧力開放する。ドレイン接続部40dにはドレインホース60が接続されており、タンクユニット20の機外に排水されるようになっている。尚、給湯管70からの給湯時、および給湯管70と風呂給湯管80との同時給湯時の制御概要は、「背景技術」にて図7・図8を用いて説明したものと同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0070】
次に、本実施形態での特徴と、その効果について述べる。先ず、給湯用混合弁71と風呂用混合弁81とを集約して配管経路で連結し、給水管50を接続するための給水接続部40aと、貯湯タンク30へ給水するタンク給水管31を接続するためのタンク給水接続部40bと、貯湯タンク30から湯を流出させるタンク給湯管32を接続するためのタンク給湯接続部40cと、給湯管70を接続するための給湯接続部40eと、風呂給湯管80を接続するための風呂給湯接続部40fとを有する混合モジュール42を構成するとともに、機種やバリエーションの異なる貯湯式給湯装置にて混合モジュール42を共通使用している。
【0071】
これによれば、貯湯タンク30の容量や外形寸法の違いなどによる機種とそのバリエーションおいても、全て同一の混合モジュール42を共通使用することにより、接続配管の長さ・曲げ回数・分岐位置などのレイアウトの違いが無くなり、給湯用混合弁71の最適開度特性の違いが無くなり、略同一特性とすることができる。このため、機種とそのバリエーション毎に多大な工数が掛けて給湯用混合弁71の最適開度特性マップを実験により作成する必要がなくなり、単一の最適開度特性マップを制御装置90に記憶させておけば良く、開発工数を大幅に削減することができる。
【0072】
また、給湯中に湯張りなどの風呂給湯作動が開始された場合などの蛇口と風呂との同時給湯時においても、混合モジュール42化により両混合弁71・81の配置や、それをつなぐ接続配管の長さ・曲げ回数・分岐位置などのレイアウトが機種によって変化しないため、単一の補正値を制御装置90に記憶させておけば良く、開発工数を大幅に削減することができる。
【0073】
また、従来は機種毎に配管設計をしているが、混合モジュール42化により部品共用化が図れ、コストダウンとなる。また、製造時に混合モジュール42を組み付ける際も、配管締結箇所や部品位置決め工程が削減されるため、組付け工数を削減することができてコストダウンとなる。
【0074】
尚、図14は本発明の他の実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図であり、図に示すように、給水管50からタンク給水管31を分岐する位置を混合ユニット40(混合モジュール42)外として構成しても良い。この場合、混合ユニット40とタンク給水管31を接続する部分との位置関係を、例えば図14に示すように共通部品の三方分岐管53を用いるなどして一定とすれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、混合モジュール42を少なくとも貯湯タンク30内の温度境界層より上方、より好ましくは貯湯タンク30よりも上方となるように配置している。これによれば、混合モジュール42として給湯用混合弁71の高さ位置を、少なくとも貯湯タンク30内の温度境界層より上方、より好ましくは貯湯タンク30よりも上方となるように揃えることにより、貯湯タンク30内の貯湯量が多い場合と少ない場合とで最適開度特性が変化するという問題点が解消され、貯湯量が変化しても給湯用混合弁71の最適開度特性の変化が無くなり、より同一特性とすることができる。
【0076】
また、混合モジュール42を略上下分割構造の保温部材41で覆って混合ユニット40を構成している。従来は、タンク筐体20a内の配置可能な空間に給湯用混合弁71や風呂混合弁81を配置して配管接続しているため、ある程度の配管長さが必要となり、その配管を個別の保温部材にて覆って放熱を抑制していた。
【0077】
しかし、これによれば、配管長さを必要最小限に短縮した混合モジュール42全体を保温部材41で覆う構造とできるため、従来よりも保温性能を向上することができる。また、略上下分割構造の保温部材41としたことより、上側保温ケース41aを開けて内蔵した機能部品のメンテナンスをすることができ、保守作業性が向上する。
【0078】
また、貯湯タンク30を覆って保温するタンク保温部材33の一部に混合ユニット40の支持部33aを設けるとともに、支持部33aと接続した各配管31・32・50・70・80とによって混合ユニット40を支持する構造としている。これによれば、貯湯タンク30や混合モジュール42の保温性を損ねることなく、支持ブラケット類を削減することができ、組み付けも容易となり、コストを抑えることができる。
【0079】
また、混合モジュール42に、貯湯タンク30へ給水するタンク給水管31を接続するためのタンク給水接続部40bを構成している。これによれば、よりモジュール化度が進み、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。
【0080】
また、混合モジュール42に、給湯用混合弁71から供給する温水の温度を検出する給湯サーミスタ72と、風呂用混合弁81から供給する温水の温度を検出する風呂サーミスタ82と、給湯用混合弁71から供給する温水の流量を検出する流量カウンター73とを構成している。これらによれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。
【0081】
また、混合モジュール42に、体積膨張した貯湯タンク30内の温水を排出するための逃がし弁61と、逃がし弁61の下流側にドレインホース60を接続するためのドレイン接続部40dとを構成している。これによれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。また、タンクユニット20内の給湯回路をより簡素に構成することができる。
【0082】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。上述した第1実施形態と異なる特徴として、混合モジュール42に、風呂用混合弁81から供給する温水を断続させる風呂電磁弁83と、給水管50から供給される冷水の圧力を所望圧力に設定する減圧弁52と、給水管50から供給される冷水の温度を検出する給水サーミスタ51とを構成している。これらによれば、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。また、タンクユニット20内の給湯回路をより簡素に構成することができる。
【0083】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。上述した各実施形態と異なる特徴として、混合モジュール42に、貯湯タンク30上部のタンク給湯管32から供給される高温水と、貯湯タンク30中間部の中温水出口30eから中温水給湯管34を介して供給される中温水とを混合して給湯設定温度よりも略所定温度高い温度に調節する中温水混合弁35と、中温水給湯管34を接続するための中温水接続部40gとを構成している。
【0084】
これによれば、中温水混合弁35が設定されている機種において、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。また、タンクユニット20内の給湯回路をより簡素に構成することができる。また、中温水混合弁35が設定されている機種間において、全て同一の混合ユニット40(混合モジュール42)を共通使用することにより、接続配管の長さ・曲げ回数・分岐位置などのレイアウトの違いが無くなり、中温水混合弁35の開度特性の違いが無くなり、略同一特性とすることができる。
【0085】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。上述した各実施形態と異なる特徴として、混合モジュール42の給湯用混合弁71の冷水側に給湯水側逆止弁74aと温水側に給湯湯側逆止弁74bと、風呂用混合弁81の冷水側に風呂水側逆止弁84aと温水側に風呂湯側逆止弁84bとを構成している。これらによれば、給湯停止時の湯や水の回り込みを防止することができて信頼性を向上させることができる。また、部品共用化が図れるうえ組み立て作業性が向上してコストを抑えることができる。
【0086】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、冷媒に二酸化炭素を用いた超臨界のヒートポンプ熱源機20を加熱装置として説明したが、これに限らず、フロンや代替フロンなどの冷媒を用いる一般的なヒートポンプサイクルであっても良いし、これらの他に、太陽熱・ガス・液体燃料による給湯機や湯沸かし機などの加熱手段と貯湯タンクとを組み合わせた給湯装置であっても良い。
【0087】
また、水道水などを導入し、貯湯タンク内で電気ヒータなどにより加熱して高温の給湯用水として貯えるものであっても良い。また、混合モジュール42の構成は、上述した実施形態での組み合わせに限るものではない。また、流量検出手段としての流量カウンター73は、流量センサやフロースイッチなどであっても良い。
【0088】
また、上述の実施形態では、タンク保温部材33の上に、上下保温ケース41a・41bで覆った混合モジュール42を載せているが、下側保温ケース41bの形状を、タンク保温部材33の上方側に一体にして形成し、その中に混合モジュール42を入れて上側保温ケース41aを被せる構造としても良い。これによれば、下側保温ケース41bと、それを支持する支持部33aとが不要となり、より構成を簡素化してコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1におけるタンクユニット20の概略構造を示す模式図である。
【図3】図1・図2における混合ユニット40の概略構造を示す展開斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第3実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図6】本発明の第4実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図7】従来の貯湯式給湯装置(機種A)の全体構成を示す模式図である。
【図8】従来の貯湯式給湯装置(機種B)の全体構成を示す模式図である。
【図9】従来の制御装置90における給湯混合弁71の制御概要を示すフローチャートである。
【図10】蛇口と風呂とに同時給湯する場合の従来の制御装置90における給湯混合弁71の制御概要を示すフローチャートである。
【図11】特許文献1における自動風呂電気温水器1の全体構成を示す模式図である。
【図12】特許文献2における弁ユニット10の構成を示す模式図である。
【図13】図7の機種Aと図8の機種Bにおける給湯混合弁71の最適開度特性の違いを示すグラフである。
【図14】本発明の他の実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0090】
10…ヒートポンプ熱源機(加熱装置)
30…貯湯タンク
30e…中温水出口
31…タンク給水管
32…タンク給湯管
33…タンク保温部材
33a…支持部
34…中温水給湯管
35…中温水混合弁
40…混合ユニット
40a…給水接続部
40b…タンク給水接続部
40c…タンク給湯接続部
40d…ドレイン接続部
40e…給湯接続部
40f…風呂給湯接続部
40g…中温水接続部
41…保温部材
41b…下側保温ケース
42…混合モジュール
50…給水管
51…給水サーミスタ
52…減圧弁
60…ドレインホース
61…逃がし弁
70…給湯管
71…給湯用混合弁
72…給湯サーミスタ
73…流量カウンター
74a…給湯水側逆止弁
74b…給湯湯側逆止弁
80…風呂給湯管
81…風呂用混合弁
82…風呂サーミスタ
83…風呂電磁弁
84a…風呂水側逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱装置(10)によって加熱された給湯用の温水を貯える貯湯タンク(30)と、
前記貯湯タンク(30)から供給される温水と給水管(50)から供給される冷水とを混合して給湯管(70)から供給する温水の温度調節を行う給湯用混合弁(71)と、
前記貯湯タンク(30)から供給される温水と前記給水管(50)から供給される冷水とを混合して風呂給湯管(80)から供給する温水の温度調節を行う風呂用混合弁(81)とを備えた貯湯式給湯装置において、
前記給湯用混合弁(71)と前記風呂用混合弁(81)とを集約して配管経路で連結し、前記給水管(50)を接続するための給水接続部(40a)と、前記貯湯タンク(30)から湯を流出させるタンク給湯管(32)を接続するためのタンク給湯接続部(40c)と、前記給湯管(70)を接続するための給湯接続部(40e)と、前記風呂給湯管(80)を接続するための風呂給湯接続部(40f)とを有する混合モジュール(42)を構成するとともに、機種やバリエーションの異なる貯湯式給湯装置にて前記混合モジュール(42)を共通使用したことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記混合モジュール(42)を少なくとも前記貯湯タンク(30)内の温度境界層より上方、より好ましくは前記貯湯タンク(30)よりも上方となるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記混合モジュール(42)を略上下分割構造の保温部材(41)で覆って混合ユニット(40)を構成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記貯湯タンク(30)を覆って保温するタンク保温部材(33)の一部に前記混合ユニット(40)の支持部(33a)を設けるとともに、前記混合ユニット(40)と接続した各配管(32、50、70、80)とによって前記混合ユニット(40)を支持する構造としたことを特徴とする請求項3に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記保温部材(41)の下側保温ケース(41b)の形状を、前記タンク保温部材(33)の上方側に一体にして形成したことを特徴とする請求項4に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項6】
前記混合モジュール(42)に、前記貯湯タンク(30)へ給水するタンク給水管(31)を接続するためのタンク給水接続部(40b)を構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項7】
前記混合モジュール(42)に、前記給湯用混合弁(71)から供給する温水の温度を検出する給湯サーミスタ(72)を構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項8】
前記混合モジュール(42)に、前記風呂用混合弁(81)から供給する温水の温度を検出する風呂サーミスタ(82)を構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項9】
前記混合モジュール(42)に、体積膨張した前記貯湯タンク(30)内の温水を排出するための逃がし弁(61)と、前記逃がし弁(61)の下流側にドレインホース(60)を接続するためのドレイン接続部(40d)とを構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項10】
前記混合モジュール(42)に、前記給湯用混合弁(71)から供給する温水の流量を検出する流量カウンター(73)を構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項11】
前記混合モジュール(42)に、前記風呂用混合弁(81)から供給する温水を断続させる風呂電磁弁(83)を構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項12】
前記混合モジュール(42)に、前記給水管(50)から供給される冷水の圧力を所望圧力に設定する減圧弁(52)を構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項13】
前記混合モジュール(42)に、前記給水管(50)から供給される冷水の温度を検出する給水サーミスタ(51)を構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項14】
前記混合モジュール(42)に、前記貯湯タンク(30)上部の前記タンク給湯管(32)から供給される高温水と、前記貯湯タンク(30)中間部の中温水出口(30e)から中温水給湯管(34)を介して供給される中温水とを混合して給湯設定温度よりも略所定温度高い温度に調節する中温水混合弁(35)と、前記中温水給湯管(34)を接続するための中温水接続部(40g)とを構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項15】
前記混合モジュール(42)の前記給湯用混合弁(71)の冷水側に給湯水側逆止弁(74a)と温水側に給湯湯側逆止弁(74b)とを構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。
【請求項16】
前記混合モジュール(42)の前記風呂用混合弁(81)の少なくとも冷水側に風呂水側逆止弁(84a)を構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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