説明

貯湯式給湯装置

【課題】不凍水抜き栓を介して設置された貯湯式給湯装置において、配管の水抜きをされた場合に、給湯開始時に予期しない高温給湯がされる恐れがあった。
【解決手段】給湯開始直後は貯湯温度センサ18で検出する貯湯温度を用いて混合制御弁5をフィードフォワード制御し、その後給湯温度センサ20で検出する給湯温度を用いてフィードバック制御を行うようにした貯湯式給湯装置において、一日の最初の給湯を判定する初回給湯判定手段30を設け、初回給湯開始時は、混合制御弁5をフィードフォワード制御し、給湯温度センサ20が所定温度を検出してから混合制御弁5をフィードバック制御するように切り換えることで、配管内が湯水で満たされた状態になってからフィードバック制御が開始されるので予期しない高温給湯を防止すると共に、初回給湯以外の給湯開始時の給湯温度の立ち上がりを早くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不凍水抜き栓を介して設置される貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置においては、図5に示すように、湯水を貯湯する貯湯タンク101と、貯湯タンク101の湯水を加熱する加熱手段102と、この貯湯タンク101下部に給水する給水管103と、貯湯タンク101上部から出湯する出湯管104と、給水管103から分岐された給水バイパス管105と、出湯管104からの湯と給水バイパス管105からの水とを所望の給湯設定温度に混合する混合制御弁106と、この混合制御弁106の出口側に接続された給湯管107と、貯湯タンク101内が所定の負圧状態となると空気を吸引する負圧吸気弁108と、貯湯タンク101の貯湯温度を検出する複数の貯湯温度センサ109と、給湯管107を流れる湯の流量を検出する流量センサ110と、給湯管107を流れる湯の温度を検出する給湯温度センサ111と、給水の温度を検出する給水温度センサ112とを備え、流量センサ110が流量を検出開始した給湯開始時には、貯湯温度センサ109が検出していた貯湯タンク101上部の貯湯温度と給水温度とに基づいて混合制御弁106の混合比を決定するフィードフォワード制御を行い、流量センサ110で一定量の給湯をカウントした後に給湯温度センサ111の検出温度と給湯設定温度との偏差に基づいて混合制御弁106の混合比をフィードバック制御するものであった。(特許文献1参照)。
【0003】
また、寒冷地においては、地表近くあるいは家屋内の給水管103および給湯管107の凍結を防止するために、給水管103および給湯管107内の湯水を排水するための不凍水抜き栓113を介して貯湯式給湯装置を設置する場合がある。なお、不凍水抜き栓113は地域ごとに定められている凍結深度以下に埋設され、手動あるいは電動で排水状態、給水状態に切り換えられるもので、特許文献2や特許文献3に示されるようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−206804号公報
【特許文献2】実開昭60−175963号公報
【特許文献3】特開2001−4056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような不凍水抜き栓113を介して設置された貯湯式給湯装置においては、夜間に不凍水抜き栓113を排水状態とすると、給水管103、出湯管104、給水バイパス管105、および給湯管107の湯水が抜かれ、さらに貯湯タンク101の頂部付近の湯水も一部空気と置換する場合があるため、朝になって不凍水抜き栓113を給水状態に切り換えて蛇口を開いた時に、給水によって給湯管107へ排出される空気によって流量センサ110の羽根車が回転され、流量センサ110を通過する空気を湯水と同様に検出するため、一定量をカウントすると混合制御弁106をフィードバック制御することとなる。
【0006】
しかし、このようにフィードバック制御を開始した時、給湯温度センサ111が検出している温度は湯水の温度ではなく空気の温度であるため、給湯設定温度に対して低いままで推移し、混合制御弁106は出湯管104側が過剰に開いた状態へと制御されることとなる。そこへ貯湯タンク101や出湯管104の空気が抜けきり、貯湯タンク101上部の高温の湯が供給されると、貯湯タンク101上部の高温の湯がそのままあるいは給湯設定温度に対して高い温度に混合されて給湯されてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、請求項1では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯する出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記出湯管からの湯と前記給水バイパス管からの水とを所望の給湯設定温度になるように混合する混合制御弁と、この混合制御弁からの湯水を給湯する給湯管と、この給湯管を流れる湯水の流量を検出する流量センサと、前記給湯管を流れる湯水の温度を検出する給湯温度センサと、前記貯湯タンクの貯湯温度を検出する貯湯温度センサとを備え、給湯開始直後は前記貯湯温度センサで検出する貯湯温度を用いて前記混合制御弁をフィードフォワード制御し、その後前記給湯温度センサで検出する給湯温度を用いてフィードバック制御を行うようにした貯湯式給湯装置において、一日の最初の給湯を判定する初回給湯判定手段を設け、初回給湯開始時は、前記混合制御弁をフィードフォワード制御し、前記給湯温度センサが所定温度を検出してから前記混合制御弁をフィードバック制御するように切り換えるようにした。
【0008】
また、請求項2では、前記請求項1において、前記初回給湯判定手段は、初回給湯開始時に前記給湯温度センサが前記所定温度を検出したことを以て、それ以降の給湯を一日の最初の給湯ではないと判定するようにした。
【0009】
また、請求項3では、前記請求項2において、前記所定温度は、前記給湯設定温度より一定温度低い温度とした。
【0010】
また、請求項4では、前記請求項2または3において、前記初回給湯判定手段は、所定時刻以降の最初の給湯を一日の最初の給湯と判定するようにした。
【0011】
また、請求項5では、前記請求項4において、凍結の恐れのある状態を検出する温度センサを設け、前記初回給湯判定手段は、凍結の恐れがない場合には、一日の最初の給湯と判定しないようにした。
【0012】
また、請求項6では、前記請求項2または3において、給水管および給湯管の湯水を排水する不凍水抜き栓の作動を検知する排水検知手段を設け、前記初回給湯判定手段は、前記排水検知手段による不凍水抜き栓の作動を検知したことを以て、それ以降の最初の給湯を一日の最初の給湯と判定するようにした。
【0013】
また、請求項7では、前記請求項1〜6のいずれか一項において、初回以外の給湯開始時は、給湯開始直後は前記貯湯温度センサで検出する貯湯温度を用いて前記混合制御弁をフィードフォワード制御し、その後、給湯開始からの時間が一定時間経過した、あるいは給湯開始からの累積流量が一定流量に到達したことを以て前記給湯温度センサで検出する給湯温度を用いて前記混合制御弁をフィードバック制御するように切り換えるようにした。
【発明の効果】
【0014】
このように、一日の最初の給湯開始を判定する初回給湯判定手段によって一日の最初の給湯開始とそれ以外を判定するので、配管内が湯水で満たされている際の給湯開始時は、給湯温度が給湯設定温度になるように早期に混合制御弁をフィードバック制御することが可能であると共に、一日の最初の給湯開始時は、不凍水抜き栓の作動によって配管内に存在することとなった空気を確実に排出したことを検出した後に混合制御弁のフィードバック制御が開始されるため、予期しない高温給湯が行われることがなく、不凍水抜き栓を介した貯湯式給湯装置において安全に給湯開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態の概略構成図。
【図2】第1実施形態の作動を説明するフローチャート。
【図3】第2実施形態の概略構成図。
【図4】第2実施形態の作動を説明するフローチャート。
【図5】従来の貯湯式給湯装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の第1の実施形態の貯湯式給湯装置を図1、図2に基づいて説明する。
【0017】
図1において、1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1底部に接続された給水管、3は貯湯タンク1頂部に接続された出湯管、4は給水管2から分岐した給水バイパス管、5は出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを混合し、その混合比を制御して所望の給湯設定温度を給湯するための混合制御弁、6は混合弁7で混合された湯を蛇口(図示せず)に給湯するための給湯管、7は貯湯タンク1の下部と上部を湯水が循環可能に接続した循環回路、8は循環回路7途中に設けられ、その回転数を可変できる循環ポンプである。
【0018】
9は冷媒を圧縮吐出し回転数可変の圧縮機、10は一次側に圧縮機9からの冷媒が流通されると共に二次側に循環回路7の水が流通し、高温高圧冷媒から放熱して水を加熱するための水冷媒熱交換器、11は水冷媒熱交換器10からの冷媒を減圧膨張させる開度可変の減圧器、12は減圧器11で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器、13は蒸発器12に大気熱を供給するための回転数可変の送風機であり、圧縮機9、水冷媒熱交換器10、減圧器11、蒸発器12で加熱手段14を構成している。
【0019】
15は給水管2途中に設けられ市水を一定の給水圧に減圧する給水減圧弁、16は貯湯タンク1の上部に連通して設けられ貯湯タンク1内が負圧になった場合に開弁して貯湯タンク1内に空気を導入する負圧吸気弁、17は給水減圧弁15の一次側および給湯管6から分岐した位置に介在して凍結深度以下の地中に埋設され、給水を止水すると共に給水管2および給湯管6の水抜きを行うための不凍水抜き栓、17aは不凍水抜き栓17の操作ハンドル、17bは不凍水抜き栓17の排水口、17cは不凍水抜き栓17の排湯口である。
【0020】
18a〜eは貯湯タンク1の側面上下に複数設けられ貯湯タンク1内の貯湯温度を検出する貯湯温度センサ、19は給湯管6途中に設けられ給湯流量を内部の羽根車の回転数により検出する流量センサ、20は給湯温度を検出する給湯温度センサ、21は給水温度を検出する給水温度センサ、22は循環回路7途中に設けられ水冷媒熱交換器10に流入する湯水の温度(入水温度)を検出する入水温度センサ、23は循環回路7途中に設けられ水冷媒熱交換器10から貯湯タンク1に戻る湯水の温度(沸き上げ温度)を検出する沸き上げ温度センサ、24は圧縮機9から水冷媒熱交換器10に流入する冷媒の温度(吐出温度)を検出する吐出温度センサ、25は外気温度を検出する外気温度センサである。
【0021】
26は所望の給湯設定温度を設定する給湯温度設定スイッチ26aとその他の設定スイッチ26bと給湯設定温度を表示する表示器26cを有したリモートコントローラである。
【0022】
27は貯湯温度センサ18a〜e、流量センサ19、給湯温度センサ20、給水温度センサ21、入水温度センサ22、沸き上げ温度センサ23、吐出温度センサ24、外気温度センサ25の検出値が入力されると共にリモートコントローラ26と通信可能に接続され、混合制御弁5、循環ポンプ8、圧縮機9、減圧器11、送風機13の作動を予め記憶されたプログラムに従って制御する制御部である。
【0023】
そして、制御部27には、混合制御弁5を最上部の貯湯温度センサ18aで検出する貯湯温度と給水温度センサ21で検出する給水温度に基づいてフィードフォワード制御するFF制御手段28と、混合制御弁5を給湯温度センサ20で検出する給湯温度に基づいてフィードバック制御するFB制御手段29と、一日の最初の給湯を判定する初回給湯判定手段30が設けられている。
【0024】
ここで、初回給湯判定手段30は、所定時刻になると初回フラグをONし、初回フラグがONされている際の給湯を一日の最初の給湯と判定し、最初の給湯が行われたことを検知すると初回フラグをOFFし、初回フラグがOFFされている際の給湯は一日の最初の給湯ではないと判定するようにしている。前記所定時刻は、給湯する頻度が低く、かつ不凍水抜き栓17が排水状態となる時間帯である深夜時間帯の時刻であることが好ましい。
【0025】
次に、この第1実施形態の作動を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0026】
ここでは、冬期の夜間にユーザーが不凍水抜き栓17を操作して、給水管2および給湯管6の湯水が水抜きをされた状態を前提として説明する。
【0027】
次に、電力料金単価の安価な深夜時間帯となると、制御部27は、加熱手段14の定格加熱能力を沸き上げ目標温度と最下部の貯湯温度センサ18eで検出する貯湯タンク1底部の被加熱水の温度との温度差で除して加熱手段14を通過させる被加熱水の目標循環量を算出し、予め記憶されている目標循環量と目標回転数との関係(式またはデータマップ)から、この目標循環量に応じた循環ポンプ8の目標回転数を設定し、圧縮機9、減圧器11、送風機13の作動を開始して加熱手段14を駆動すると共に循環ポンプ8を目標回転数で駆動して沸き上げ運転を開始する。
【0028】
そして、貯湯タンク1最下部の貯湯温度センサ18eが所定温度以上に達したことを検出するか、現在時刻が深夜時間帯の終了時刻に達すると、制御部26は、圧縮機9、減圧器11、送風機13の作動を停止して加熱手段14を停止すると共に循環ポンプ8を停止して沸き上げ運転を終了するようにしている。
【0029】
この沸き上げ運転の最中に、所定時刻(ここではAM3:00)になると(ステップS1)、外気温度センサ25で検出する外気温度が凍結の恐れのある所定の低外気温度以下の場合(ステップS2でY)、初回給湯判定手段30は初回フラグをONにする(ステップS3)。
【0030】
そして、不凍水抜き栓17の給水状態への切り換えの後に蛇口が開かれると、不凍水抜き栓17の排水動作によって導入された給水管2、出湯管3、および給水バイパス管4の空気、さらに場合によっては貯湯タンク1頂部付近の一部の空気が給水によって蛇口へ向けて排出される。
【0031】
この空気の排出によって流量センサ19が所定の流量(ここでは1.5l/min)以上を不安定ながらも検出し(ステップS4)、FF制御手段28が貯湯温度センサ18aで検出する貯湯温度と給水温度センサ21で検出する給水温度とに基づいて混合制御弁5の混合比をフィードフォワード制御する(ステップS5)。
【0032】
次に、ステップS6で初回給湯であるかを判定し、ここでは初回フラグがONされているため初回給湯であるので、ステップS7へ進み、給湯温度センサ20で検出する給湯温度が所定温度(ここでは給湯設定温度より一定温度X低い温度)に到達したかどうかを判定する。
【0033】
そして、給湯温度が所定温度に到達すると初回給湯判定手段30は初回フラグをOFFし(ステップS8)、次いで混合制御弁5の制御をFF制御手段28からFB制御手段29へ切り換え、FB制御手段29が給湯温度センサ20で検出する給湯温度と給湯設定温度との偏差に基づいて混合制御弁5の混合比をフィードバック制御するようにしている(ステップS9)。
【0034】
このようにして、初回給湯である場合には、給湯温度センサ20が給湯設定温度より一定温度低い温度を検出するまでフィードフォワード制御を行うようにしたので、配管内の空気が抜けきるまではフィードバック制御を行わずに確実にフィードフォワード制御を継続することができ、予期しない高温給湯が行われることがないものである。
【0035】
また、初回フラグのOFF条件を給湯温度センサ20が所定温度を検出したこととしたので、初回の給湯を空気を排出しきる前で止めたり、流量センサ19が検出する空気の流量が不安定であることに起因する給湯終了判定があったりした場合は、配管内の空気が抜けきらず給湯温度センサ20の位置まで湯水が到達しないため、初回フラグがOFFされず、給湯管6の給湯温度センサ20の位置まで確実に湯水で満たされたことにより初回フラグがOFFされるため、確実に予期しない高温給湯を防止することができる。ここで、前記所定温度は、給湯設定温度より一定温度低い温度が好ましく、給湯設定温度より一定温度低い温度とすることによって、給湯設定温度の高低に関わらず、より確実に配管内に湯水が満たされたことを検知できる。
【0036】
そして、流量センサ19が給湯終了判定となる所定の流量(ここでは1.0L/min)以下を検出すると(ステップS10でY)、給湯終了と判定し、混合制御弁5を待機時の制御に移行する(ステップS11)。ここで、待機時の制御は、例えば給湯終了判定から一定時間は混合制御弁5を給湯終了判定時の混合比のままで継続し、その後、混合制御弁5の混合比を湯側を閉じ、水側を開くようにすることとする。このように、待機時の制御によって、給湯終了から一定時間は再出湯時の給湯温度の立ち上がりを早くすることができると共に、一定時間内に再出湯がなかった場合は、出湯管3と給水バイパス管4とを混合制御弁5によって遮断し、出湯管3と給水バイパス管4とを介した貯湯タンク1内の湯水の回り込みを防止することができる。
【0037】
そして、一日の二回目以降の給湯開始時には、初回フラグがOFFされているため、前記ステップS6でNとなり、ステップS12へ進み、給湯開始から予め定められた一定時間が経過するとFF制御手段28によるフィードフォワード制御からFB制御手段29によるフィードバック制御へ切り換えられ、予期しない高温給湯を行うことなく安全に素早く給湯設定温度の給湯を行うことができる。ここで、前記ステップS12では給湯開始から一定時間が経過するとフィードバック制御に切り換えられるようにしているが、一定時間ではなく、流量センサ19が検出する給湯開始からの累積流量が予め定められた一定流量に達したことを以てフィードフォワード制御からフィードバック制御に切り換えるようにしてもよいものである。
【0038】
なお、前記ステップS2で凍結の恐れのない場合は、初回フラグをONにしないようにしているので、不凍水抜き栓17が操作されることがない冬期以外の時期においては、一日の最初の給湯においても二回目以降の給湯と同じく、フィードフォワード制御から素早くフィードバック制御に切り換えることができるので、給湯開始時の給湯温度の立ち上がりを安全かつ素早くすることができる。また、この第1実施形態では凍結の恐れを外気温度センサ25の検出する外気温度に基づいて判断しているが、複数日分の給水温度の最低温度の平均値が予め定められた温度以下であると凍結の恐れがあると判断するようにしてもよく、給水温度を検出するセンサとして、給水温度センサ21以外にも入水温度センサ22や貯湯タンク1最下部の貯湯温度センサ18eを用いることも可能である。
【0039】
このように、一日の最初の給湯開始を判定する初回給湯判定手段30によって一日の最初の給湯開始とそれ以外を判定するので、配管内が湯水で満たされている際の給湯開始時は、給湯温度が給湯設定温度になるように早期に混合制御弁5をフィードバック制御することが可能であると共に、一日の最初の給湯開始時は、不凍水抜き栓17の作動によって配管内に存在することとなった空気を確実に排出したことを検出した後に混合制御弁5のフィードバック制御が開始されるため、予期しない高温給湯が行われることがなく、不凍水抜き栓17を介した貯湯式給湯装置において安全に給湯開始することができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態の貯湯式給湯装置を図3、図4に基づいて説明する。なお、前記第1実施形態と同じ構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図3において、この第2実施形態の不凍水抜き栓17は操作ハンドルの代わりに電動モータ17dが設けられ、ユーザーのボタン操作によってこの電動モータ17dを排水状態、給水状態に切り換える指示を出力する操作盤17eが設けられている。そして、操作盤17eからの操作信号はリモートコントローラ26を介して制御部27に入力されるようにして排水検知手段31を構成している。
【0042】
次に、この第2実施形態の作動について図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0043】
ユーザーが操作盤17eを操作して不凍水抜き栓17を排水状態にすると、操作盤17eからの操作信号(排水信号)がリモートコントローラ26を介して制御部27へ入力され、排水検知手段31は不凍水抜き栓17が排水状態であると判断し(ステップS13)、初回給湯判定手段30は初回フラグをONとする(ステップS3)。
【0044】
そして、不凍水抜き栓17の給水状態への切り換えの後に蛇口が開かれると、不凍水抜き栓17の排水動作によって導入された給水管2、出湯管3、および給水バイパス管4の空気、さらに場合によっては貯湯タンク1頂部付近の一部の空気が給水によって蛇口へ向けて排出される。
【0045】
この空気の排出によって流量センサ19が所定の流量(ここでは1.5l/min)以上を不安定ながらも検出し(ステップS4)、FF制御手段28が貯湯温度センサ18aで検出する貯湯温度と給水温度センサ21で検出する給水温度とに基づいて混合制御弁5の混合比をフィードフォワード制御する(ステップS5)。
【0046】
次に、ステップS6で初回給湯であるかを判定し、ここでは初回フラグがONされているため初回給湯であるので、ステップS7へ進み、給湯温度センサ20で検出する給湯温度が所定温度(ここでは給湯設定温度より一定温度低い温度)に到達したかどうかを判定する。
【0047】
そして、給湯温度が所定温度に到達すると初回給湯判定手段30は初回フラグをOFFし(ステップS8)、次いで混合制御弁5の制御をFF制御手段28からFB制御手段29へ切り換え、FB制御手段29が給湯温度センサ20で検出する給湯温度と給湯設定温度との偏差に基づいて混合制御弁5の混合比をフィードバック制御するようにしている(ステップS9)。
【0048】
このようにして、初回給湯である場合には、給湯温度センサ20が給湯設定温度より一定温度低い温度を検出するまでフィードフォワード制御を行うようにしたので、配管内の空気が抜けきるまではフィードバック制御を行わずに確実にフィードフォワード制御を継続することができ、予期しない高温給湯が行われることがないものである。
【0049】
また、前記ステップS13で不凍水抜き栓17が排水状態でなかったと排水検知手段31が判断した場合は、初回フラグがONにされないため、その後のステップS6で初回給湯でないと判断し、ステップS12へ進み、給湯開始から予め定められた一定時間が経過するとFF制御手段28によるフィードフォワード制御からFB制御手段29によるフィードバック制御へ切り換えられ、予期しない高温給湯を行うことなく安全に素早く給湯設定温度の給湯を行うことができる。
【0050】
なお、排水検知手段31は、操作盤17eからの排水操作信号によって排水状態であると判断することに代えて、操作盤17eからの給水操作信号によって排水状態であったと判断するようにしてもよい。また、操作盤17eからの信号をリモートコントローラ26を介して制御部27へ伝達するようにしているが、操作盤17eの信号線を制御部27へ直接接続する構成としてもよい。また、排水検知手段31として操作盤17eの操作信号を制御部27へ伝達する構成に代えて、ユーザーがリモートコントローラ26を操作することにより不凍水抜き栓17を作動させた旨を手動で入力する構成としてもよいものである。
【0051】
このように、排水検知手段31によって不凍水抜き栓17の作動の有無を検知し、初回給湯判定手段30は、不凍水抜き栓17が排水状態とされた場合に初回給湯と判定し、排水状態とされなかった場合は初回給湯と判定しないようにしているので、配管内が湯水で満たされている際の給湯開始時は、給湯温度が給湯設定温度になるように早期に混合制御弁5をフィードバック制御することが可能であると共に、一日の最初の給湯開始時は、不凍水抜き栓17の作動によって配管内に存在することとなった空気を確実に排出したことを検出した後に混合制御弁5のフィードバック制御が開始されるため、予期しない高温給湯が行われることがなく、不凍水抜き栓17を介した貯湯式給湯装置において安全に給湯開始することができる。
【0052】
なお、本発明ははこの一実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変することを妨げるものではない。例えば、加熱手段として貯湯タンク1内に電熱ヒータを配する構成を採用したり、混合制御弁5のフィードフォワード制御において、貯湯温度センサ18eまたは入水温度センサ22で検出した複数日分の温度の最低温度の平均値を記憶して給水温度として用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 貯湯タンク
2 給水管
3 出湯管
4 給水バイパス管
5 混合制御弁
6 給湯管
14 加熱手段
17 不凍水抜き栓
18a〜e 貯湯温度センサ
19 流量センサ
20 給湯温度センサ
30 初回給湯判定手段
31 排水検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯する出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記出湯管からの湯と前記給水バイパス管からの水とを所望の給湯設定温度になるように混合する混合制御弁と、この混合制御弁からの湯水を給湯する給湯管と、この給湯管を流れる湯水の流量を検出する流量センサと、前記給湯管を流れる湯水の温度を検出する給湯温度センサと、前記貯湯タンクの貯湯温度を検出する貯湯温度センサとを備え、給湯開始直後は前記貯湯温度センサで検出する貯湯温度を用いて前記混合制御弁をフィードフォワード制御し、その後前記給湯温度センサで検出する給湯温度を用いてフィードバック制御を行うようにした貯湯式給湯装置において、一日の最初の給湯を判定する初回給湯判定手段を設け、初回給湯開始時は、前記混合制御弁をフィードフォワード制御し、前記給湯温度センサが所定温度を検出してから前記混合制御弁をフィードバック制御するように切り換えることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記初回給湯判定手段は、初回給湯開始時に前記給湯温度センサが前記所定温度を検出したことを以て、それ以降の給湯を一日の最初の給湯ではないと判定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記所定温度は、前記給湯設定温度より一定温度低い温度としたことを特徴とする請求項2記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記初回給湯判定手段は、所定時刻以降の最初の給湯を一日の最初の給湯と判定するようにしたことを特徴とする請求項2または3記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
凍結の恐れのある状態を検出する温度センサを設け、前記初回給湯判定手段は、凍結の恐れがない場合には、一日の最初の給湯と判定しないようにしたことを特徴とする請求項4記載の貯湯式給湯装置。
【請求項6】
給水管および給湯管の湯水を排水する不凍水抜き栓の作動を検知する排水検知手段を設け、前記初回給湯判定手段は、前記排水検知手段による不凍水抜き栓の作動を検知したことを以て、それ以降の最初の給湯を一日の最初の給湯と判定するようにしたことを特徴とする請求項2または3記載の貯湯式給湯装置。
【請求項7】
初回以外の給湯開始時は、給湯開始直後は前記貯湯温度センサで検出する貯湯温度を用いて前記混合制御弁をフィードフォワード制御し、その後、給湯開始からの時間が一定時間経過した、あるいは給湯開始からの累積流量が一定流量に到達したことを以て前記給湯温度センサで検出する給湯温度を用いて前記混合制御弁をフィードバック制御するように切り換えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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