説明

貯湯式給湯装置

【課題】中間混合弁から出湯する湯の温度を最適にフィードフォワード制御する。
【解決手段】給湯の停止を検知すると、中間混合弁5をその時点のフィードバック弁開度のまま給湯待機させると同時に、上部貯湯温度センサ33aの検出温度および中間貯湯温度センサ33dの検出温度を記憶し、制御手段39は、給湯の開始を検知した時点で、記憶していた上部貯湯温度センサ33aの検出温度および中間貯湯温度センサ33dの検出温度とそれぞれ現在の検出温度とを比較し、何れか一方の温度差が一定値以上であると、中間混合弁5をフィードフォワード開度に移動させる一方、その温度差が一定値以内であると、中間混合弁5をフィードフォワード開度に移動させずにフィードバック制御を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクの上部からの湯と中間部からの湯とを中間混合弁で混合して給湯する貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の貯湯式給湯装置においては、加熱手段で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、貯湯タンク上部から出湯する上部出湯管と、貯湯タンク中間部から出湯する中間出湯管と、上部出湯管からの湯水と中間出湯管からの湯水とを中間設定温度に混合する中間混合弁と、貯湯タンク上部温度を検出する上部貯湯温度センサと、貯湯タンク中間部温度を検出する中間貯湯温度センサとを備え、給湯待機中は、上部温度または中間部温度が所定温度以上変化する毎に、その時の上部温度と中間温度とから中間混合弁のフィードフォワード開度を算出して弁開度を変更して給湯待機するようにしたものがあった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−130459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この従来のものでは、所定温度毎の変化毎に待機開度を変更していたため、例えば3℃毎に待機開度を変更するとして、待機中に合計5.5℃の貯湯温度の変化があった場合、3℃変化した時点で待機開度は変更されるものの、最終的に5.5℃の貯湯温度の変化では、2.5℃分が待機開度に反映されず、給湯開始時のフィードフォワード開度が最適な弁開度からずれていて、目標の混合温度から離れてしまう場合が多くあった。
【0005】
仮に、所定温度を微小温度にして待機時にも常時フィードフォワード制御を実行するようにすると、中間混合弁の弁体が小さな変位で移動させられることが常時繰り返されるため、中間混合弁の寿命が縮まると共に、弁体を駆動するステッピングモータが脱調して温調制御が狂ってしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するため、請求項1では、加熱手段で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯する上部出湯管と、前記貯湯タンク中間部から出湯する中間出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記上部出湯管からの湯水と前記中間出湯管からの湯水とを中間設定温度に混合する中間混合弁と、この中間混合弁からの湯水を給湯する中間給湯管と、この中間給湯管を流れる湯水の温度を検出する中間給湯温度センサと、前記中間給湯管からの湯水と前記給水バイパス管からの湯水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁と、この給湯混合弁からの湯水を給湯する給湯管と、給湯の開始を検知する給湯検知手段と、前記貯湯タンク上部の湯水の温度を検出する上部貯湯温度センサと、前記貯湯タンク中間部の湯水の温度を検出する中間貯湯温度センサと、作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記上部貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間貯湯温度センサで検出する貯湯温度とから前記中間混合弁のフィードフォワード開度を算出すると共に、前記給湯検知手段が給湯の開始を検知した時点で前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させるようにし、前記給湯検知手段が給湯の停止を検知すると、前記中間混合弁を給湯停止時の開度で次の給湯開始まで待機させるようにした。
【0007】
また、請求項2では、加熱手段で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯する上部出湯管と、前記貯湯タンク中間部から出湯する中間出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記上部出湯管からの湯水と前記中間出湯管からの湯水とを中間設定温度に混合する中間混合弁と、この中間混合弁からの湯水を給湯する中間給湯管と、この中間給湯管を流れる湯水の温度を検出する中間給湯温度センサと、前記中間給湯管からの湯水と前記給水バイパス管からの湯水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁と、この給湯混合弁からの湯水を給湯する給湯管と、給湯の開始を検知する給湯検知手段と、前記貯湯タンク上部の湯水の温度を検出する上部貯湯温度センサと、前記貯湯タンク中間部の湯水の温度を検出する中間貯湯温度センサと、作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記上部貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間設定温度とから前記中間混合弁のフィードフォワード開度を算出すると共に、給湯中に前記中間給湯温度センサで検出する混合温度が中間設定温度になるように中間混合弁の弁体を移動させるフィードバック制御を行い、前記給湯検知手段が給湯の停止を検知すると、前記中間混合弁をその時点のフィードバック弁開度のまま給湯待機させると同時に、上部貯湯温度センサの検出温度および中間貯湯温度センサの検出温度を記憶するようにし、さらに、前記制御手段は、前記給湯検知手段が給湯の開始を検知した時点で、記憶していた上部貯湯温度センサの検出温度および中間貯湯温度センサの検出温度とそれぞれ現在の検出温度とを比較し、何れか一方の温度差が一定値以上であると、前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させる一方、その温度差が一定値以内であると、前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させずに前記フィードバック制御を行うようにした。
【0008】
また、請求項3では、加熱手段で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯する上部出湯管と、前記貯湯タンク中間部から出湯する中間出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記上部出湯管からの湯水と前記中間出湯管からの湯水とを中間設定温度に混合する中間混合弁と、この中間混合弁からの湯水を給湯する中間給湯管と、この中間給湯管を流れる湯水の温度を検出する中間給湯温度センサと、前記中間給湯管からの湯水と前記給水バイパス管からの湯水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁と、この給湯混合弁からの湯水を給湯する給湯管と、給湯の開始を検知する給湯検知手段と、前記貯湯タンク上部の湯水の温度を検出する上部貯湯温度センサと、前記貯湯タンク中間部の湯水の温度を検出する中間貯湯温度センサと、作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記上部貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間設定温度とから前記中間混合弁のフィードフォワード開度を算出すると共に、給湯中に前記中間給湯温度センサで検出する混合温度が中間設定温度になるように中間混合弁の弁体を移動させるフィードバック制御を行い、前記給湯検知手段が給湯の停止を検知すると、前記中間混合弁をその時点のフィードバック弁開度のまま給湯待機させると同時に、前記フィードバック弁開度を記憶するようにし、さらに、前記制御手段は、前記給湯検知手段が給湯の開始を検知した時点で、記憶していた前記フィードバック弁開度と算出された前記フィードフォワード開度とを比較し、その差が一定値以上であると、前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させる一方、その差が一定値以内であると、前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させずに前記フィードバック制御を行うようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、給湯開始時点での最適な開度に中間混合弁の開度を移動できるので、中間設定温度に近い混合状態での出湯が可能になると共に、中間混合弁の駆動回数が減少するので、中間混合弁の作動寿命を長期化でき、より正確な温調制御を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成図
【図2】第1の実施形態の中間混合弁の作動を説明するフローチャート
【図3】第2の実施形態の中間混合弁の作動を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の第1の実施形態のヒートポンプ式貯湯風呂給湯装置を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯するステンレス製の貯湯タンク、2は貯湯タンク1底部に市水を給水する給水管、3は貯湯タンク1上部から出湯する上部出湯管、4は貯湯タンク1中間部から出湯させて出湯管3へ合流させるための中間出湯管、5は上部出湯管3からの湯と中間出湯管4からの湯水を中間設定温度になるように混合する中間混合弁、6は中間混合弁5からの湯水を供給する中間給湯管、7は給水管2から分岐された給水バイパス管、8は中間給湯管6からの湯水と給水バイパス管7からの水とを給湯設定温度になるように混合する給湯混合弁、9は給湯混合弁5で混合された湯が流通する給湯管、10は給湯管9からの湯を給湯する給湯栓である。なお、中間設定温度は給湯設定温度よりも一定温度もしくは一定温度以上高い温度である。
【0012】
11は中間給湯管6途中に設けられ混合温度を検出する中間給湯温度センサ、12は給湯管9途中に設けられ給湯温度を検出する給湯温度センサ、13は給湯管9途中に設けられ給湯量を検出することで給湯の開始を検知する給湯検知手段としての給湯流量センサ、14は給水管2に設けられ市水の給水圧を一定の圧力に減圧する減圧弁、15は貯湯タンク1内の過圧を逃がす過圧逃がし弁、16は中間出湯管4に設けられ中間混合弁5側から貯湯タンク1中間部への湯水の逆流を阻止する逆止弁である。
【0013】
17は浴槽、18は貯湯タンク1内の上部に設けられ貯湯タンク1内の湯の熱で浴槽水を加熱するための風呂熱交換器、19は浴槽16と風呂熱交換器18とを浴槽水が循環可能に接続する風呂循環回路、20は風呂循環回路19途中に設けられ浴槽水を循環させる風呂循環ポンプ、21は給湯管9から分岐され風呂循環回路19に接続された湯張り管、22は湯張り管21途中に設けられ湯張り管21を開閉する湯張り開閉弁、23は風呂循環回路19途中に設けられ浴槽17から風呂熱交換器18へ流れる浴槽水の温度を検出する風呂温度センサである。ここで、風呂熱交換器18はステンレス管を螺旋状に巻回した構成としている。
【0014】
24はヒートポンプ式加熱手段で、冷媒を圧縮する圧縮機25と、冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器26と、冷媒の圧力を減圧する減圧器27と、液冷媒を蒸発させる蒸発器28とを備え、蒸発器28で吸熱した冷媒を圧縮機25で圧縮して冷媒水熱交換器26を介して水を加熱するようにしている。このヒートポンプ式加熱手段24には冷媒として二酸化炭素冷媒が用いられ、高圧側が超臨界状態となることにより水を90℃の高温まで加熱することができるものである。
【0015】
29は貯湯タンク1の下部と冷媒水熱交換器26の水側と貯湯タンク1の上部とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路、30は加熱循環回路29途中に設けられた加熱循環ポンプ、31は冷媒水熱交換器26へ流入する水の温度を検出する入水温度センサ、32は冷媒水熱交換器26で加熱された湯の温度を検出する沸き上げ温度センサである。
【0016】
33は貯湯タンク1の側面の上下方向に複数設けられた貯湯温度センサで、貯湯タンク1内の湯水の温度を検出するためのものであり、上から33a、33b、33c、33d、33e、33fとし、最上部の貯湯温度センサ33aは上部出湯管3から出湯する湯水の温度を検出する上部貯湯温度センサとして機能し、中間出湯管4の接続高さよりわずかに下方に位置する貯湯温度センサ33dは中間出湯管4から出湯する湯水の温度を検出する中間貯湯温度センサとして機能するものである。
【0017】
34はリモコンで、給湯装置に関する各種の情報(給湯設定温度、風呂設定温度、残湯量、給湯装置の作動状態等)を表示する表示部35と、給湯設定温度および風呂設定温度を設定操作するための温度設定スイッチ36と、浴槽17へ一定量の湯張りを指示する湯張りスイッチ37と、浴槽水の追焚きを指示する追焚きスイッチ38とを備えている。
【0018】
39は中間給湯温度センサ11、給湯温度センサ12、給湯流量センサ13、風呂温度センサ23、入水温度センサ31、沸き上げ温度センサ32、貯湯温度センサ33a〜33fの検出値が入力され、中間混合弁5、給湯混合弁8、風呂循環ポンプ20、湯張り開閉弁22、圧縮機25、減圧器27、加熱循環ポンプ30の作動を制御すると共に、リモコン34と通信可能に接続された制御手段である。この制御手段39は、予め給湯装置の作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、時計機能を有しているものである。
【0019】
<沸き上げ動作>
電力料金単価の安価な所定時間帯の開始時刻になると、制御手段39はそれまでの給湯負荷量に見合う湯量を沸き上げ開始するべく、圧縮機24と減圧手段26と加熱循環ポンプ29を駆動開始して貯湯タンク1下部から取り出した湯水を冷媒水熱交換器25で沸き上げ設定温度まで加熱して貯湯タンク1上部へ戻し、貯湯タンク1上部から沸き上げ設定温度の湯を積層状に貯湯し、最下部の貯湯温度センサ33fが所定の沸き上げ終了判定温度を検出すると、沸き上げ運転を終了する。
【0020】
<追焚き動作>
ここで、追焚きスイッチ38が操作されると、浴槽水の温度を風呂設定温度+一定温度(例えば2℃)まで追い焚きするように、制御手段39は風呂循環ポンプ20を駆動させ、浴槽水を風呂熱交換器18へ循環させ、風呂熱交換器18で貯湯タンク1内上部の湯の熱を吸熱して浴槽水を加熱する。そして、風呂温度センサ23が検出する温度が風呂設定温度+一定温度を検出すると風呂循環ポンプ20の駆動を終了して追焚き動作を終了する。
【0021】
<沸き増し動作>
次に、多量に給湯されるなどして貯湯タンク1内の貯湯量が少なくなって湯切れの可能性がある場合は、制御手段39は、圧縮機25と減圧手段27と加熱循環ポンプ30を駆動開始して貯湯タンク1下部から取り出した湯水を冷媒水熱交換器26で沸き上げ設定温度まで加熱して貯湯タンク1上部へ戻し、それまで貯湯されていた湯の上部に沸き上げ設定温度の湯を積層状に貯湯し、一定時間の沸き増し動作を行うと沸き増し動作を終了する。
【0022】
<給湯動作>
給湯動作について図2に基づいて説明すると、給湯栓10が開かれるか、または湯張りスイッチ37が操作されて湯張り開閉弁22が開かれると、貯湯タンク1の底部に給水管2から市水が流入すると共に貯湯タンク1の頂部から上部出湯管3および中間出湯管4を介して高温の湯が出湯し、中間混合弁5で混合されて中間給湯管6を流れ、給湯混合弁8で給水バイパス管7からの水と混合されて給湯管9を通過する。
【0023】
このとき、給湯流量センサ13が最低作動水量以上を検出して、給湯が開始されたことを検知すると(ステップS1でYes)、制御手段39は、上部貯湯温度センサ33aおよび中間温貯湯度センサ33dの検出温度をチェックし(ステップS2)、以前に記憶した上部貯湯温度と現在の上部貯湯温度、または以前に記憶した中間貯湯温度と現在の中間貯湯温度とを比較し、少なくとも何れか一方の温度差が一定値以上かどうかを判別する(ステップS3)。
【0024】
ここでは、以前に記憶した値がクリアされて、値がない場合、ステップS3でNoと判別し、制御手段39は、現在の上部貯湯温度と中間貯湯温度と中間設定温度とから中間混合弁5のフィードフォワード開度を演算し(ステップS4)、このフィードフォーワード開度を給湯待機時の待機開度として一旦記憶すると共に(ステップS5)、上部貯湯温度センサ33aで検出していた上部貯湯温度と中間貯湯温度センサ33dで検出していた下部貯湯温度とをそれぞれ記憶する(ステップS6)。
【0025】
そして、制御手段39は、算出されたフィードフォワード開度に中間混合弁5の弁体の位置が一致するように中間混合弁5のモータを駆動して弁体を移動させ(ステップS7)、給湯開始初期の中間混合弁5の混合温度を中間設定温度に近づけるようにし、同時に給湯混合弁8の弁開度を給湯温度センサ12が検出する温度が給湯設定温度と一致するようにフィードバック制御するようにしている。
【0026】
制御手段39は、中間混合弁5をフィードフォワード開度に移動させてから一定時間が経過しているかどうかを判別し(ステップS8)、一定時間が経過していなければ、給湯流量センサ13が最低作動水量未満を検出して、給湯が停止されたことを検出しているかどうかを判別し(ステップS9)、給湯を継続したまま一定時間が経過すると(ステップS8でYes)、中間給湯温度センサ11が検出する混合温度が中間設定温度に一致するようにフィードバック制御する(ステップS10)。
【0027】
フィードバック制御が開始されて、中間給湯温度センサ11で検出する混合温度が中間設定温度とほぼ一致した状態が一定時間継続すると、安定状態が検出されたとして、その時の中間混合弁5の開度(フィードバック開度)を給湯待機時の開度として一旦記憶していたフィードフォワード開度に上書きして記憶する(ステップS11)。
【0028】
そして、給湯栓10が閉じられるか、湯張りが終わって湯張り開閉弁22が閉じられ、給湯流量センサ13が最低作動水量未満を検出して、給湯が停止されたことを検出すると(ステップS12でYes)、制御手段39は、給湯停止時に上部貯湯温度センサ33aで検出していた上部貯湯温度と中間貯湯温度センサ33dで検出していた下部貯湯温度とをそれぞれ更新して記憶し(ステップS13)、中間混合弁5を待機開度で固定して、次の給湯開始まで待機するようにしている。
【0029】
次に、給湯栓10が開かれるか、または湯張りスイッチ37が操作されて湯張り開閉弁22が開かれて、給湯流量センサ13が最低作動水量以上を検出して、給湯が再開されたことを検知すると(ステップS1でYes)、制御手段39は、上部貯湯温度センサ33aおよび中間温貯湯度センサ33dの検出温度をチェックし(ステップS2)、記憶している上部貯湯温度と現在の上部貯湯温度、または記憶している中間貯湯温度と現在の中間貯湯温度とを比較し、少なくとも何れか一方の温度差が一定値以上かどうかを判別する(ステップS3)。
【0030】
給湯停止から再給湯開始までの時間が短く、かつ、追焚き動作や沸き増し動作が行われていない場合は、貯湯温度の上昇や低下がほとんどないため、ステップS3でYesとなり、記憶していた待機開度のまま給湯が開始されると共に、中間給湯温度センサ11が検出する混合温度が中間設定温度に一致するようにフィードバック制御するようにしている(ステップS10)。
【0031】
また、給湯が再開されたことを検知し、記憶している上部貯湯温度と現在の上部貯湯温度、または記憶している中間貯湯温度と現在の中間貯湯温度とを比較した際に、追焚き動作や沸き増し動作が行われて上部貯湯温度あるいは中間貯湯温度の何れか一方が記憶されていた温度よりも一定値以上変動していた場合は、ステップS3でNoとなり、現在の上部貯湯温度と中間貯湯温度と中間設定温度とから中間混合弁5のフィードフォワード開度を演算し(ステップS4)、このフィードフォワード開度を給湯待機時の待機開度として一旦記憶すると共に(ステップS5)、上部貯湯温度センサ33aで検出していた上部貯湯温度と中間貯湯温度センサ33dで検出していた下部貯湯温度とをそれぞれ記憶する(ステップS6)。
【0032】
そして、制御手段39は、算出されたフィードフォワード開度に中間混合弁5の弁体の位置が一致するように中間混合弁5のモータを駆動して弁体を移動させ(ステップS7)、給湯開始初期の中間混合弁5の混合温度を中間設定温度に近づけるようにし、同時に給湯混合弁8の弁開度を給湯温度センサ12が検出する温度が給湯設定温度と一致するようにフィードバック制御するようにしている。
【0033】
また、中間混合弁5の弁体がフィードフォワード開度位置で出湯している間に給湯停止された場合は、フィードフォワード開度が待機開度として上書き記憶されると共に、上部貯湯温度と中間貯湯温度も更新記憶されるので、次の再給湯時には、貯湯温度がほぼ変わっていない場合にはほぼ最適な開度で給湯開始され、貯湯温度が変わっている場合には最適なフィードフォワード開度が再計算されるので、いつでも中間設定温度での出湯が行える。
【0034】
このように、記憶していた待機開度のまま給湯が開始されると、給湯開始初期の混合温度が中間設定温度からずれてしまうことが予想される場合には、その時点までの貯湯温度の変化が反映されたフィードフォワード開度での給湯を行うので、給湯開始初期から中間設定温度での出湯が行われると共に、中間混合弁5の過剰な駆動が行われないため、中間混合弁の作動寿命を長期化でき、さらには、給湯待機時の微小な変位での弁体駆動が行われないため、弁体を駆動するステッピングモータが脱調して温調制御が狂ってしまうことを予防できる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態の給湯動作について、図3に基づいて説明する。なお、この第2の実施形態は制御手段39の中間混合弁5を制御するプログラムの中身が異なるもので、第1の実施形態と同一のものには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
<給湯動作>
給湯流量センサ13が最低作動水量以上を検出して、給湯が開始されたことを検知すると(ステップS21でYes)、制御手段39は、上部貯湯温度センサ33aおよび中間温貯湯度センサ33dの検出温度をチェックし(ステップS22)、現在の上部貯湯温度と中間貯湯温度と中間設定温度とから中間混合弁5のフィードフォワード開度を算出する(ステップS23)。
【0037】
そして、算出されたフィードフォワード開度と、以前に記憶した現在の中間混合弁5の待機開度とを比較し、その差が一定値以上かどうかを判別し(ステップS24)、以前に記憶した現在の待機開度がクリアされて、値がない場合、ステップS24でNoと判別し、制御手段39は、算出されたフィードフォワード開度に中間混合弁5の弁体の位置が一致するように中間混合弁5のモータを駆動して弁体を移動させ(ステップS25)、給湯開始初期の中間混合弁5の混合温度を中間設定温度に近づけるようにし、同時に給湯混合弁8の弁開度を給湯温度センサ12が検出する温度が給湯設定温度と一致するようにフィードバック制御すると共に、このフィードフォーワード開度を給湯待機時の待機開度として一旦記憶する(ステップS26)。
【0038】
制御手段39は、中間混合弁5をフィードフォワード開度に移動させてから一定時間が経過しているかどうかを判別し(ステップS27)、一定時間が経過していなければ、給湯流量センサ13が最低作動水量未満を検出して、給湯が停止されたことを検出しているかどうかを判別し(ステップS28)、給湯を継続したまま一定時間が経過すると(ステップS27でYes)、中間給湯温度センサ11が検出する混合温度が中間設定温度に一致するようにフィードバック制御する(ステップS29)。
【0039】
フィードバック制御が開始されて、中間給湯温度センサ11で検出する混合温度が中間設定温度とほぼ一致した状態が一定時間継続すると、安定状態が検出されたとして、その時の中間混合弁5の開度(フィードバック開度)を給湯待機時の開度として一旦記憶していたフィードフォワード開度に上書きして記憶する(ステップS30)。
【0040】
そして、給湯栓10が閉じられるか、湯張りが終わって湯張り開閉弁22が閉じられ、給湯流量センサ13が最低作動水量未満を検出して、給湯が停止されたことを検出すると(ステップS31でYes)、制御手段39は、中間混合弁5を待機開度で固定して、次の給湯開始まで待機するようにしている。
【0041】
次に、給湯栓10が開かれるか、または湯張りスイッチ37が操作されて湯張り開閉弁22が開かれて、給湯流量センサ13が最低作動水量以上を検出して、給湯が再開されたことを検知すると(ステップS21でYes)、制御手段39は、現在の上部貯湯温度と中間貯湯温度と中間設定温度とから中間混合弁5のフィードフォワード開度を算出し(ステップS23)、算出されたフィードフォワード開度と、以前に記憶した現在の中間混合弁5の待機開度とを比較し(ステップS24)、給湯停止から再給湯開始までの時間が短く、かつ、追焚き動作や沸き増し動作が行われていない場合は、貯湯温度の上昇や低下がほとんどないため、ステップS24でYesとなり、記憶していた待機開度のまま給湯が開始されると共に、中間給湯温度センサ11が検出する混合温度が中間設定温度に一致するようにフィードバック制御するようにしている(ステップS29)。
【0042】
また、給湯が再開されたことを検知し、記憶している待機開度と算出されたフィードフォワード開度とを比較した際に、追焚き動作や沸き増し動作が行われて貯湯温度が変わって位いることによって開度に一定値以上の開きがあった場合は、ステップS24でNoとなり、制御手段39は、算出されたフィードフォワード開度に中間混合弁5の弁体の位置が一致するように中間混合弁5のモータを駆動して弁体を移動させ(ステップS25)、給湯開始初期の中間混合弁5の混合温度を中間設定温度に近づけるようにし、同時に給湯混合弁8の弁開度を給湯温度センサ12が検出する温度が給湯設定温度と一致するようにフィードバック制御すると共に、このフィードフォーワード開度を給湯待機時の待機開度として一旦記憶する(ステップS26)。
【0043】
また、中間混合弁5の弁体がフィードフォワード開度位置で出湯している間に給湯停止された場合は、フィードフォワード開度が待機開度として上書き記憶されるので、次の再給湯時には、貯湯温度がほぼ変わっていない場合には待機開度のままほぼ最適な開度で給湯開始され、貯湯温度が変わっている場合には最適なフィードフォワード開度が再計算されるので、いつでも中間設定温度での出湯が行える。
【0044】
このように、記憶していた待機開度のまま給湯が開始されると、給湯開始初期の混合温度が中間設定温度からずれてしまうことが予想される場合には、その時点までの貯湯温度の変化が反映されたフィードフォワード開度での給湯を行うので、給湯開始初期から中間設定温度での出湯が行われると共に、中間混合弁5の過剰な駆動が行われないため、中間混合弁の作動寿命を長期化でき、さらには、給湯待機時の微小な変位での弁体駆動が行われないため、弁体を駆動するステッピングモータが脱調して温調制御が狂ってしまうことを予防できる。
【0045】
なお、本発明は上記の第1、第2の実施形態に限定されるものではなく、例えば、加熱手段として貯湯タンク1内に配した電熱ヒータを用いてもよく、また、風呂熱交換器として貯湯タンク1の上部から取り出した湯を貯湯タンク1下部に戻す経路の途中に水水熱交換器を配し、これを風呂熱交換器としてもよい。また、風呂熱交換器の代わりに暖房用温水を加熱するための熱交換器を配置してもよいものである。
【0046】
このように、貯湯タンク1内の貯湯温度は浴槽水の追焚き動作によって温度低下したり、沸き増し動作によって温度上昇したりするが、給湯開始時にその時の貯湯温度に応じたフィードフォワード開度へ中間混合弁5を弁体を移動させるようにしているため、いつ給湯開始されてもその時点での最適なフィードフォワード制御を行え、中間設定温度に近い混合状態での出湯が可能になると共に、中間混合弁5の駆動回数が減少するので、中間混合弁5の作動寿命を長期化でき、より正確な温調制御を実行できる。また、中間混合弁5を小さな変位で移動させる機会が少ないので、弁体を駆動するステッピングモータが脱調して温調制御が狂ってしまう可能性も少なくすることができるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 貯湯タンク
2 給水管
3 上部出湯管
4 中間出湯管
5 中間混合弁
6 中間給湯管
7 給水バイパス管
8 給湯混合弁
9 給湯管
13 給湯流量センサ(給湯検知手段)
24 ヒートポンプ式加熱手段(加熱手段)
33a 上部貯湯温度センサ
33d 中間貯湯温度センサ
39 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯する上部出湯管と、前記貯湯タンク中間部から出湯する中間出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記上部出湯管からの湯水と前記中間出湯管からの湯水とを中間設定温度に混合する中間混合弁と、この中間混合弁からの湯水を給湯する中間給湯管と、この中間給湯管を流れる湯水の温度を検出する中間給湯温度センサと、前記中間給湯管からの湯水と前記給水バイパス管からの湯水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁と、この給湯混合弁からの湯水を給湯する給湯管と、給湯の開始を検知する給湯検知手段と、前記貯湯タンク上部の湯水の温度を検出する上部貯湯温度センサと、前記貯湯タンク中間部の湯水の温度を検出する中間貯湯温度センサと、作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記上部貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間貯湯温度センサで検出する貯湯温度とから前記中間混合弁のフィードフォワード開度を算出すると共に、前記給湯検知手段が給湯の開始を検知した時点で前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させるようにし、前記給湯検知手段が給湯の停止を検知すると、前記中間混合弁を給湯停止時の開度で次の給湯開始まで待機させるようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
加熱手段で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯する上部出湯管と、前記貯湯タンク中間部から出湯する中間出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記上部出湯管からの湯水と前記中間出湯管からの湯水とを中間設定温度に混合する中間混合弁と、この中間混合弁からの湯水を給湯する中間給湯管と、この中間給湯管を流れる湯水の温度を検出する中間給湯温度センサと、前記中間給湯管からの湯水と前記給水バイパス管からの湯水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁と、この給湯混合弁からの湯水を給湯する給湯管と、給湯の開始を検知する給湯検知手段と、前記貯湯タンク上部の湯水の温度を検出する上部貯湯温度センサと、前記貯湯タンク中間部の湯水の温度を検出する中間貯湯温度センサと、作動を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記上部貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間設定温度とから前記中間混合弁のフィードフォワード開度を算出すると共に、給湯中に前記中間給湯温度センサで検出する混合温度が中間設定温度になるように中間混合弁の弁体を移動させるフィードバック制御を行い、前記給湯検知手段が給湯の停止を検知すると、前記中間混合弁をその時点のフィードバック弁開度のまま給湯待機させると同時に、上部貯湯温度センサの検出温度および中間貯湯温度センサの検出温度を記憶するようにし、
さらに、前記制御手段は、前記給湯検知手段が給湯の開始を検知した時点で、記憶していた上部貯湯温度センサの検出温度および中間貯湯温度センサの検出温度とそれぞれ現在の検出温度とを比較し、何れか一方の温度差が一定値以上であると、前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させる一方、その温度差が一定値以内であると、前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させずに前記フィードバック制御を行うようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項3】
加熱手段で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯する上部出湯管と、前記貯湯タンク中間部から出湯する中間出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記上部出湯管からの湯水と前記中間出湯管からの湯水とを中間設定温度に混合する中間混合弁と、この中間混合弁からの湯水を給湯する中間給湯管と、この中間給湯管を流れる湯水の温度を検出する中間給湯温度センサと、前記中間給湯管からの湯水と前記給水バイパス管からの湯水とを給湯設定温度に混合する給湯混合弁と、この給湯混合弁からの湯水を給湯する給湯管と、給湯の開始を検知する給湯検知手段と、前記貯湯タンク上部の湯水の温度を検出する上部貯湯温度センサと、前記貯湯タンク中間部の湯水の温度を検出する中間貯湯温度センサと、作動を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記上部貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間貯湯温度センサで検出する貯湯温度と前記中間設定温度とから前記中間混合弁のフィードフォワード開度を算出すると共に、給湯中に前記中間給湯温度センサで検出する混合温度が中間設定温度になるように中間混合弁の弁体を移動させるフィードバック制御を行い、前記給湯検知手段が給湯の停止を検知すると、前記中間混合弁をその時点のフィードバック弁開度のまま給湯待機させると同時に、前記フィードバック弁開度を記憶するようにし、
さらに、前記制御手段は、前記給湯検知手段が給湯の開始を検知した時点で、記憶していた前記フィードバック弁開度と算出された前記フィードフォワード開度とを比較し、その差が一定値以上であると、前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させる一方、その差が一定値以内であると、前記中間混合弁の弁体を前記フィードフォワード開度に移動させずに前記フィードバック制御を行うようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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