説明

貯蔵車

本発明は、ばら物(27)の貯蔵のための貯蔵車(1)に関し、貯蔵車は選択的にレール走行台車(3)若しくは無限軌道式の走行台車(4)によって支持可能な走行フレーム(2)から成っている。走行フレームには、貯蔵コンテナ(8)内に配置されていて貯蔵車長手方向に延びる底部ベルトコンベヤ(9)、底部ベルトコンベヤに対して傾斜して配置されかつ走行フレーム(2)の前側の端部を越えて突出する引き渡しベルトコンベヤ(11)が設けられている。貯蔵車(1)は、走行フレーム(2)の、底部ベルトコンベヤの搬送方向(10)で見て上流側の端部に、ばら物(27)を掘り出しかつ底部ベルトコンベヤ(9)上へ放出する掘り出し装置(13)を備えている。掘り出し装置(13)は、貯蔵コンテナ(8)の外側に配置されていて、駆動部(14,15)によって作動可能な掘り出し機構(31)を含んでいる。掘り出し装置(13)はさらに、受け取り端部(23)が下方に位置決めされかつ放出端部(24)が底部ベルトコンベヤ(9)の上側に位置決めされて成る受け取りベルトコンベヤ(22)を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばら物の貯蔵のための貯蔵車であって、選択的にレール走行台車若しくは無限軌道式の走行台車によって支持可能な走行フレーム、貯蔵コンテナ、該貯蔵コンテナ内に配置されていて貯蔵車長手方向に延びる底部ベルトコンベヤ、該底部ベルトコンベヤに対して傾斜して配置されかつ前記走行フレームの前側の端部(底部ベルトコンベヤの搬送方向で見て下流側の端部)を越えて突出する引き渡しベルトコンベヤ、並びに前記ばら物を掘り出しかつ前記底部ベルトコンベヤ上へ放出する掘り出し装置から成っている形式のものに関する。
【0002】
前記形式の貯蔵車は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第19623940A1号明細書により公知である。2つの手段で走行可能な該公知の貯蔵車の掘り出し装置は、線路道床のためのクリーニング機械にも用いられているようなスラット若しくはバケット付きのチェーンコンベヤとして形成されている。チェーンコンベヤの受け取り端部は、底部ベルトコンベヤの下側でレール走行台車間に配置されている。チェーンコンベヤの放出端部は、貯蔵コンテナ(ばら積みコンテナ又はバルクコンテナ)内で底部ベルトコンベヤの上側に位置決めされている。この種の貯蔵車は、道床の掘り起こされた領域で付加的な取り出し装置を伴わずに用いられるものである。チェーンコンベヤの有効な使用のために、貯蔵車は作業方向で常に連続的に移動させられねばならない。
【0003】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の貯蔵車を改善して、該貯蔵車が簡単な構造で形成されていて、掘り出し作業に効率的に、特に狭い掘り出し穴に用いられるようにすることである。
【0004】
前記課題を解決するために本発明の構成では、掘り出し装置は、貯蔵コンテナの外側で走行フレームの、底部ベルトコンベヤの搬送方向で見て上流側の端部に配置されていて、駆動部によって作動可能な掘り出し機構(掘り出し機器)及び、走行フレームの上流側の端部に配置された受け取りベルトコンベヤから成っており、該受け取りベルトコンベヤは、下方に位置する受け取り端部と底部ベルトコンベヤの上側に位置決めされた放出端部とを有している。
【0005】
掘り出し装置の前記構成により、掘り出し作業は、貯蔵車自体が軌道上で処理すべき掘り出し穴の直前にある状態で行われ得るようになっている。掘り出し装置は、貯蔵車のわずかな走行操作によってあらゆる箇所の掘り出し穴を処理できるように、つまりあらゆる箇所の掘り出し穴(掘り出し箇所)で掘り出し作用を行えるように柔軟に構成されている。これによって、掘り出し装置を新たに位置決めするために、貯蔵車の頻繁に行われる時間及び費用のかかる移動は避けられるようになっている。さらに掘り出し装置は、貯蔵車の連続的な前進走行に依存することなしに、つまり前進運動を伴うことなしに使用されるようになっている。
【0006】
次に本発明を図示の実施例に基づき詳細に説明する。図面において、
図1は、貯蔵車の1つの実施例の側面図であり、
図2は、貯蔵車の1つの実施例の部分的な平面図であり、
図3は、貯蔵車の別の実施例の部分的な側面図であり、
図4は、貯蔵車のさらに別の実施例の部分的及び概略的な側面図であり、
図5は、貯蔵車のさらに別の実施例の部分的及び概略的な側面図であり、
図6は、貯蔵車のさらに別の実施例の部分的及び概略的な側面図である。
【0007】
図1に示す貯蔵車1は、走行フレーム2を有しており、走行フレーム2は端部側で各レール走行台車3に支持されるようになっている。両方のレール走行台車間に、レールに拘束されない走行台車、つまり道床走行式若しくは無限軌道式の2つの走行台車4を設けてあり、該走行台車は走行駆動部5を備えていて、かつ高さ調節され、つまり昇降操作されるようになっている。さらに走行フレーム(シャーシ)2は、貯蔵車1の軌道進入及び軌道走出のための補助走行台車6並びに、全駆動部へのエネルギー供給のためのエネルギー供給ユニット7を備えている。
【0008】
走行フレーム2上に貯蔵コンテナ8を配置してあり、貯蔵コンテナ8の底部領域には、走行フレーム長手方向に延びる底部ベルトコンベヤ9を配置してある。搬送方向10で見て底部ベルトコンベヤ9の下流側に、引き渡しベルトコンベヤ11を配置してある。引き渡しベルトコンベヤ11は、底部ベルトコンベヤ9に対して傾斜して配置され、かつ走行フレーム2を越えて突出するように形成されている。走行フレーム2の、搬送方向10で見て上流側の端部に、それも貯蔵コンテナ8の外側に掘り出し装置13を配置してある。
【0009】
図2に示してあるように、掘り出し装置13は、掘り出し機構31を有しており、掘り出し機構(掘削機構)は、駆動部14,15によって作動可能若しくは操作可能でかつ垂直な軸16を中心として回動可能なジブ17に配置されていて、作業駆動部18及び該作動駆動部によって駆動可能なショベル19から成っている。掘り出し装置13に操縦室21を対応配置してあり、つまり図示の実施例では掘り出し装置13の側方に操縦室21を配置してあり、操縦室21は制御ユニット20を備えており、制御ユニット20によって貯蔵車1及び掘り出し装置13は作業現場で操縦されるようになっている。掘り出し装置13の、軌道の側方へ旋回させられた位置は、図2に鎖線で示してある。
【0010】
さらに走行フレーム2の上流側の端部12では掘り出し装置13に受け取りベルトコンベヤ22を対応配置してあり、つまり図1の実施例では掘り出し装置13の側方に受け取りベルトコンベヤ22を配置してある。受け取りベルトコンベヤ22は、低く位置決めされた受け取り端部、つまり下方に位置する受け取り端部23と底部ベルトコンベヤ9の上側に位置する放出端部24とを有している。受け取り端部23は、垂直方向で見て走行フレーム2の下側に配置されている。駆動部25によって、受け取りベルトコンベヤ22は運転位置(ばら物搬送位置若しくは作業位置)から非運転位置(図2、鎖線)へ移されるようになっている。
【0011】
作業現場では、貯蔵車1はまずレール走行台車3で掘り出し穴26に近づけられる。次いで受け取りベルトコンベヤ22が運転位置へ移される。この時点で、掘り出し装置13は掘り出し穴26からばら物27を取り出せるようになっている。別の例では、貯蔵車1は走行台車4の降下及び走行によって掘り出し穴26上に移動させられる。駆動部14,15及び作業駆動部18の作動によって、ばね荷27はショベル19ですくわれて、受け取りベルトコンベヤ22の受け取り端部23上へ放出される。そこからばら物27は、貯蔵コンテナ8内へ搬送されて、そこに貯蔵される。
【0012】
図3に示す変化例では、受け取りベルトコンベヤ22の放出端部24の下側で、若しくは底部ベルトコンベヤ9の受け取り端部28の上側で貯蔵コンテナ8に、ふるい30を設けてあり、該ふるい30は駆動部29を備えている。ふるい30によってばら物27はクリーニングされ、底部ベルトコンベヤに放出された後に、引き渡しベルトコンベヤ11(図1)を介して直ちに再利用されるようになっている。ふるい(メッシュ)30は、掘り出し装置13から直接に供給を受けるようになっていてよい。ばら物27からふるい出される土砂を、掘り出し装置13によってすくって、掘り出し穴26の外側に投棄することも可能である。鎖線で示すベルトコンベヤ39を用いて、ばら物(例えばバラスト)27をふるい30から直接に掘り出し穴26内へ送り込むこともできる。
【0013】
図4に示す掘り出し機構31は、エンドレスなチェーンコンベヤ32によって形成されている。コンベヤチェーン32は、受け取りベルトコンベヤ22の受け取り端部23の上側に位置する放出端部33を有している。
【0014】
図5に示す実施例では、掘り出し機構31は、周囲に分配された複数のショベル35を備えて成る回転可能なショベル車34によって形成されている。
【0015】
図6に示す掘り出し機構31は、軸線36を中心として回転可能なスクリューコンベヤー37として形成されている。スクリューコンベヤーの放出端部38は、受け取りベルトコンベヤ22の受け取り端部23の上側に位置決めしてある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】貯蔵車の1つの実施例の側面図
【図2】貯蔵車の1つの実施例の部分的な平面図
【図3】貯蔵車の別の実施例の部分的な側面図
【図4】貯蔵車のさらに別の実施例の部分的な側面図
【図5】貯蔵車のさらに別の実施例の部分的な側面図
【図6】貯蔵車のさらに別の実施例の部分的な側面図
【符号の説明】
【0017】
1 貯蔵車、 2 走行フレーム、 3 レール走行台車、 4 走行台車、 5 走行駆動部、 8 貯蔵コンテナ、 9 底部ベルトコンベヤ、 11 引き渡しベルトコンベヤ、 13 掘り出し装置、 14,15 駆動部、 16 軸、 17 ジブ、 18 作業駆動部、 19 ショベル、 20 制御ユニット、 22 受け取りベルトコンベヤ、 23 受け取り端部、 24 放出端部、 25 駆動部、 26 掘り出し穴、 30 ふるい、 31 掘り出し機構、 32 チェーンコンベヤ、 33 放出端部、 34 ショベル車、 35 ショベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばら物(27)の貯蔵のための貯蔵車(1)であって、選択的にレール走行台車(3)若しくは無限軌道式の走行台車(4)によって支持可能な走行フレーム(2)、貯蔵コンテナ(8)、該貯蔵コンテナ内に配置されていて貯蔵車長手方向に延びる底部ベルトコンベヤ(9)、該底部ベルトコンベヤに対して傾斜して配置されかつ前記走行フレーム(2)の前側の端部を越えて突出する引き渡しベルトコンベヤ(11)、並びに前記ばら物(27)を掘り出しかつ前記底部ベルトコンベヤ(9)上へ放出する掘り出し装置(13)から成っている形式のものにおいて、前記掘り出し装置(13)は、前記貯蔵コンテナ(8)の外側で前記走行フレーム(2)の、前記底部ベルトコンベヤ(9)の搬送方向(10)で見て上流側の端部(12)に配置されていて、駆動部(14,15)によって作動可能な掘り出し機構(31)及び、前記走行フレーム(2)の前記上流側の端部(12)に配置された受け取りベルトコンベヤ(22)から成っており、該受け取りベルトコンベヤ(22)は、下方に位置する受け取り端部(23)と前記底部ベルトコンベヤ(9)の上側に位置決めされた放出端部(24)とを有していることを特徴とする、貯蔵車。
【請求項2】
前記掘り出し機構(31)はショベル(19)として形成されており、該ショベルは、駆動部(14,15)によって作動可能でかつ垂直な軸線(16)を中心として回動可能なジブ(17)に取り付けられている請求項1に記載の貯蔵車。
【請求項3】
前記掘り出し機構(31)は、エンドレスなコンベヤチェーン(32)として形成されており、該コンベヤチェーンは前記受け取りベルトコンベヤ(22)の受け取り端部(23)の上側に位置決めされた放出端部(33)を有している請求項1に記載の貯蔵車。
【請求項4】
前記掘り出し機構(31)は、周囲に複数のショベル(35)を備えて成る回転可能なショベル車(34)として形成されている請求項1に記載の貯蔵車。
【請求項5】
前記掘り出し機構(31)は、1つの軸線(36)を中心として回転可能なスクリューコンベヤー(37)として形成されており、該スクリューコンベヤーの放出端部(38)は、前記受け取りベルトコンベヤ(22)の受け取り端部(23)の上側に位置決めされている請求項1に記載の貯蔵車。
【請求項6】
掘り出し装置(13)に操縦室(21)を対応配置してあり、該操縦室は制御ユニット(20)を備えている請求項1に記載の貯蔵車。
【請求項7】
前記受け取りベルトコンベヤ(22)の下方に位置する受け取り端部(23)は、垂直方向で前記走行フレーム(2)の下側に配置されている請求項1に記載の貯蔵車。
【請求項8】
前記受け取りベルトコンベヤ(22)は、駆動部(25)によって運転位置から非運転位置へ移動可能に構成されている請求項1に記載の貯蔵車。
【請求項9】
前記受け取りベルトコンベヤ(22)の放出端部(24)の下側に、ばら物(27)のためのふるい(30)を配置してあり、該ふるいは駆動部(29)を備えている請求項1に記載の貯蔵車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−533575(P2009−533575A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504839(P2009−504839)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000416
【国際公開番号】WO2007/116249
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508306439)マティサ マテリエル アンデュストリエル ソシエテ アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】MATISA Materiel Industriel SA
【住所又は居所原語表記】Rue Arc−en Ciel 2, CH−1023 Crissier−Lausanne, Switzerland
【Fターム(参考)】