説明

貼合装置及びその制御方法

【課題】ターンテーブルを用いて、ワークの位置決めと貼り合せと効率良く行うことができるとともに、安価で小型の貼合装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】ターンテーブルの少なくとも一ポジションに一対のワークを撮像する検出装置4が設けられ、撮像された画像に基づいて、一対のワークにおける方形の4頂点のうち3点を、それぞれ抽出する3点抽出部663と、抽出した3点のうち、方形の対角線の両端を構成する2点の中点を、ワークの重心として算出する重心算出部664と、抽出した3点のうち、方形の一辺を構成する2点に基づいて、ワークの傾きを算出する傾き算出部665と、重心及び傾きに基づいて、位置決め部の制御量を算出する位置決め演算部670と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶モジュールとカバーパネルのような平板状のワークを貼り合わせる技術に改良を施した貼合装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶パネルは、液晶モジュールと、その表面を保護する保護シート、操作用のタッチパネル等を積層することにより構成されている。これらの液晶モジュール、保護シート、タッチパネル等(以下、ワークと呼ぶ)は、液晶モジュールの筐体に組み込まれており、保護パネルやタッチパネルの変形による液晶ガラスへの接触を避けるために、互いの間には空間が形成されていた。
【0003】
しかし、液晶モジュール、保護シート、タッチパネル等(以下、ワークと呼ぶ)の間に空気の層が入ると、外光反射により表示面の視認性が低下する。これに対処するため、両面テープや接着剤などの貼着材によって、ワーク間を埋める層が形成されるように貼り合わせることが行われるようになってきている。
【0004】
このため、液晶パネルの製造には、少なくとも一方のワークに対して、かかる貼着材を準備して、貼り合せを行う貼合装置が必要となる。また、貼り合わされるワークの間に気泡等が混入することを防ぐために、貼り合せは真空中で行うことが望ましい。従って貼り合せ装置には、真空チャンバ等を備える必要もある。
【0005】
このようにワークを貼り合わせる技術としては、例えば、特許文献1〜3に示すものが提案されている。特許文献1及び2に記載された技術は、真空中でワークを貼り合せる方法である。特許文献3に記載された技術は、貼り合せを効率良く行うために、ワークを保持する装置が、間欠回転するターンテーブルによって移動しながら、順次処理を行う技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−170974号公報
【特許文献2】特開2004−170975号公報
【特許文献3】特許第3595125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ワークを正確に位置決めするためには、平面上を直交方向(X−Y方向)及び回転方向(θ方向)に変位可能な、X−Y−θテーブルを備えることが望ましい。しかし、かかるX−Y−θテーブルは、これを駆動する駆動源等を含めると、大型となる。このため、X−Y−θテーブルをターンテーブルに搭載すると、装置全体の大型化につながるとともに、電源及び制御線の処理が複雑になる。さらに、駆動源等を含めてX−Y−θテーブル全体を、真空チャンバ内に収容して、密閉を確保しようとすると、真空チャンバも大型になる。このような大型化は、結局、装置の製造コストを増大させることになる。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その主たる目的は、ターンテーブルを用いて、ワークの位置決めと貼り合せを効率良く行うことができるとともに、安価で小型の貼合装置及びその制御方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、安定した稼働を実現でき、気泡やゴミ等の混入がなく、高い精度での貼り合せが可能な貼合装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、貼合装置において、以下のような技術的特徴を有する。
【0011】
すなわち、本発明は、複数のポジションに応じて間欠回転するターンテーブルと、前記ターンテーブルに複数設けられ、一対のワークを保持する保持装置と、前記保持装置に設けられ、一対のワークの少なくとも一方を位置決めする位置決め部と、前記保持装置における一対のワークの少なくとも一方を付勢することにより、一対のワークを貼り合わせる押圧装置と、を有する。
【0012】
前記ターンテーブルの少なくとも一ポジションには、一対のワークを撮像するカメラを有する検出装置が設けられている。
【0013】
さらに、本発明は、前記カメラにより撮像された画像に基づいて、一方のワークにおける仮想的な方形の4頂点のうちの3点と、他方のワークにおける仮想的な方形の4頂点のうちの3点とを、それぞれ抽出する3点抽出部と、前記3点抽出部が抽出した3点のうち、各ワークごとの方形の対角線の両端を構成する2点の中点を、各ワークの重心として算出する重心算出部と、前記3点抽出部が抽出した3点のうち、各ワークごとの方形の一辺を構成する2点に基づいて、各ワークの傾きを算出する傾き算出部と、前記重心及び前記傾きに基づいて、前記位置決め部の制御量を算出する位置決め演算部と、を有する。
【0014】
他の態様は、貼合装置の制御方法において、以下のような技術的特徴を有する。
【0015】
すなわち、この態様では、複数のポジションに応じて間欠回転するターンテーブルと、前記ターンテーブルに複数設けられ、表示装置を構成する一対のワークを保持する保持装置と、前記保持装置に設けられ、一対のワークの少なくとも一方を位置決めする位置決め部と、前記保持装置における一対のワークの少なくとも一方を付勢することにより、一対のワークを貼り合わせる押圧装置とを有する貼合装置を、制御装置によって制御することにより、一対のワークを貼り合わせる。
【0016】
そして、前記制御装置は、3点抽出部と、重心算出部と、傾き算出部と、位置決め演算部とを有し、前記3点抽出部は、一対のワークを撮像した画像に基づいて、一方のワークにおける仮想的な方形の4頂点のうちの3点と、他方のワークにおける仮想的な方形の4頂点のうちの3点とを、それぞれ抽出し、前記重心算出部は、前記3点抽出部が抽出した3点のうち、各ワークごとの方形の対角線の両端を構成する2点の中点を、各ワークの重心として算出し、前記傾き算出部は、前記3点抽出部が抽出した3点のうち、各ワークごとの方形の一辺を構成する2点に基づいて、各ワークの傾きを算出し、前記位置決め演算部は、前記重心及び前記傾きに基づいて、前記位置決め部の制御量を算出する。
【0017】
以上のような発明では、一対のワークの重心と傾きを、それぞれの方形の3点を検出することによって算出し、位置決め量を決定できるので、処理負担を最小限にして、正確な位置合わせを行うことができる。
【0018】
他の態様は、前記4頂点は、方形のワークのコーナーである。
他の態様は、前記4頂点は、ワークに付されたマークである。
【0019】
他の態様は、前記4頂点は、ワークに付された方形の枠のコーナーである。
【0020】
他の態様は、一方のワークにおける4頂点は、一方のワークに付された方形の枠のコーナーであり、他方のワークが方形であり、他方の方形のワークにおける4頂点は、他方の方形のワークのコーナーである。
【0021】
他の態様は、一方のワークにおける4頂点は、一方のワークに付された方形の枠のコーナーであり、他方のワークが方形であり、他方の方形のワークにおける4頂点は、他方の方形のワークのコーナーであり、一方のワークの枠の辺と、他方のワークの辺とが平行に位置決めされるように、前記位置決め演算部が制御量を算出する。
【0022】
以上のような発明では、たとえば、ユーザが視認する枠が、表示可能領域に対して傾いてしまう事態がなくなり、不良品の発生を防止できる。
【0023】
他の態様は、前記保持装置は、一対のワークを、上下に対向させて保持する装置である。
【0024】
他の態様は、前記検出装置は、上方のワークを撮像する第1のカメラと、下方のワークを撮像する第2のカメラと、を有する。
【0025】
他の態様は、前記第1のカメラは、1台若しくは2台設けられ、前記第2のカメラは、1台若しくは2台設けられている。
【0026】
他の態様は、前記第1のカメラは、3台若しくは4台設けられ、前記第2のカメラは、3台若しくは4台設けられている。
【0027】
以上の発明では、上下に3〜4台ずつとして、上下の3点を同時に撮像できる。
【0028】
カメラの数が多いほど、これを駆動させる機構は簡素化でき、撮像も高速に行うことができる。
【0029】
他の態様は、前記第2のカメラを、上下のワークの間に挿入する駆動機構を有する。
【0030】
他の態様は、前記第2のカメラにおける前記第1のカメラに対向する面には、反射部が設けられている。
【0031】
以上のような発明では、ワークに湾曲等があった場合であっても、第1のカメラ側からの照射光が、第2のカメラの反射部によって反射して第1のカメラにおいて受光できるので、確実に検出できる。
【0032】
他の態様は、前記3点抽出部は、前記カメラによって撮像された前記4頂点のうち、抽出可能な若しくは画像が良好な3箇所から、3点を抽出する。
【0033】
他の態様は、前記位置決め演算部は、一対のワークの重心及び傾きを一致させるように、前記位置決め部の制御量を算出する。
【発明の効果】
【0034】
以上、説明したように、本発明によれば、ターンテーブルを用いて、ワークの位置決めと貼り合せを効率良く行うことができるとともに、安価で小型の貼合装置及びその制御方法を提供することができる。
【0035】
また、本発明によれば、安定した稼働を実現でき、気泡やゴミ等の混入がなく、高い精度での貼り合せが可能な貼合装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成を示す概略平面図である。
【図2】図1の実施形態における保持装置を示す縦断面図である。
【図3】図2の保持装置における保持部及び吸着部を示す斜視図である。
【図4】図1の実施形態における位置決め部を示す縦断面図である。
【図5】図4の位置決め部におけるX方向及びY方向の位置決めを示す平面図である。
【図6】図4の位置決め部におけるθ方向の位置決めを示す平面図である。
【図7】図4の位置決め部におけるロック部のロック解除時を示す縦断面図である。
【図8】図7のロック時を示す縦断面図である。
【図9】図7の平面図である。
【図10】図1の実施形態における圧着部の吸着時を示す縦断面図である。
【図11】図10の圧着部の吸着開放時を示す縦断面図である。
【図12】図10の3方向バルブ(A)、図11の3方向バルブ(B)を示す縦断面図である。
【図13】図1の実施形態における剥離装置(第1のユニット)を示す側面図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】図13の背面図である。
【図16】図1の実施形態における剥離装置(第2のユニット)を示す側面図である。
【図17】図13の剥離装置による剥離を示す説明図である。
【図18】図16の剥離装置による剥離を示す説明図である。
【図19】従来の剥離装置による下側の剥離(A)(B)、上側の剥離(C)(D)を示す説明図である。
【図20】図1の実施形態における検出装置を示す斜視図である。
【図21】図20の検出装置を示す側面図である。
【図22】図20の検出装置における同軸落射照明の受光を示す説明図である。
【図23】図1の実施形態における押圧装置の真空チャンバ上昇時を示す縦断面図である。
【図24】図23の押圧装置の真空チャンバ下降時を示す縦断面図である。
【図25】図23の押圧装置の加圧ヘッドの下降時を示す縦断面図である。
【図26】図1の実施形態の制御装置を示す機能ブロック図である。
【図27】図26の真空演算部を示す機能ブロック図である。
【図28】図1の実施形態における位置決め手順を示すフローチャートである。
【図29】図1の実施形態における位置決め手順を示す説明図である。
【図30】図1の実施形態における貼り合せ手順を示すフローチャートである。
【図31】従来の真空計による検出電圧と圧力との関係を表すテーブルを示す説明図である。
【図32】図31のテーブルをグラフ化した説明図である。
【図33】本実施形態における真空計による検出電圧と圧力との関係を表すグラフを示す説明図である。
【図34】図33のグラフの(1)区分を示す説明図である。
【図35】図33のグラフの(2)区分を示す説明図である。
【図36】図33のグラフの(3)区分を示す説明図である。
【図37】本発明の接着剤の塗布装置を用いた場合の一実施形態を示す簡略平面図である。
【図38】他の検出装置の一例を示す縦断面図である。
【図39】他の検出装置の一例を示す縦断面図である。
【図40】貼り合わせるワークの一例を示す斜視図である。
【図41】図40の位置合わせ例を示す説明図である。
【図42】図40の実施形態における位置決め手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本発明の実施の形態(以下、実施形態と呼ぶ)について、図面を参照して具体的に説明する。
[A.構成]
[1.全体構成]
まず、本実施形態の貼合装置(以下、本装置と呼ぶ)の全体構成を説明する。本装置は、図1に示すように、ターンテーブル1上に、4台の保持装置2を搭載したものである。ターンテーブル1は、インデックス機構11によって、投入取出しポジション1A、貼着材準備ポジション1B、位置決めポジション1C、真空貼り合せポジション1Dに合わせて、間欠回転するように構成されている。
【0038】
保持装置2は、図2及び図3に示すように、ワークS1及びワークS2を、上下に対向させて保持する装置である。本実施形態では、ワークS1,S2として、例えば、液晶モジュールとカバーパネルのような長方形状の基板を用いる。ワークS1,S2には、仮想的な長方形若しくは正方形の4頂点に対応して、検出用のマークM1,M2が設けられている。この保持装置2は、ワークS1,S2の位置を合わせる位置決め部300等を有している。
【0039】
貼着材準備ポジション1Bには、剥離装置3若しくは塗布装置が着脱自在に設けられている。剥離装置3は、図13〜19に示すように、ワークS1にあらかじめ貼着された両面テープT1の剥離紙(剥離シート等、材質は問わない)Fを剥離する装置である。塗布装置は、図示はしないが、ワークS1に接着剤を塗布する装置である。塗布装置としては、周知の装置を用いることができる。
【0040】
位置決めポジション1Cには、図20及び図21に示すように、ワークS1,S2の位置を検出する検出装置4が設けられている。この検出装置4によって検出された値に基づいて、位置決め部300におけるワークS2に対するワークS1の位置決め量が決定される。
【0041】
真空貼り合せポジション1Dには、図2、図23〜25に示すように、押圧装置5が設けられている。この押圧装置5は、真空チャンバ51内の減圧空間において、ワークS2をワークS1側に押圧することにより、両者を貼り合わせることができる。
【0042】
[2.保持装置]
次に、各部の詳細を説明する。まず、保持装置2は、図2〜9に示すように、保持部100、支柱部200、位置決め部300、駆動部400、ロック部350、吸着部500を備えている。
【0043】
[2−1.保持部]
保持部100は、図3に示すように、ワークS2の左右の辺縁を保持する略コの字状の枠である。
[2−2.支柱部]
支柱部200は、垂直方向に立ち上げられた2本の柱状部材である。この支柱部200によって、保持部100が昇降可能に支持されている。保持部100は、初期位置においては、ワークS1から離隔した上方にあり、ワークS2を水平方向に保持している。そして、貼り合せ時には、押圧装置5によって、ワークS2とともに保持部100が下方に押圧されて下降し、ワークS1とワークS2との貼り合せが行われる。
【0044】
[2−3.位置決め部]
位置決め部300は、図4に示すように、ターンテーブル1に固定された架台1aに支持された載置部310、X軸部320、Y軸部330、θ軸部340等を有している。
[2−3−1.載置部]
載置部310は、X−Y−θテーブル311、軸部312、可動台313、ベローズ314及びプーリ315等を有している。
【0045】
X−Y−θテーブル311は、ワークS1を位置決めするための水平なテーブルである。このX−Y−θテーブル311は、水平面上を、直交する直線方向(X方向及びY方向)に移動可能に、且つ、軸部312を中心に回動可能(θ方向)に設けられている。
【0046】
軸部312は、垂直方向の柱状部材である。軸部312の上端は、X−Y−θテーブル311に回動可能に連結されている。軸部312の下端は、ターンテーブル1を貫通して、可動台313に固定されている。可動台313は、後述するように、X軸部320及びY軸部330によって、X軸及びY軸方向に移動可能に設けられている。
【0047】
可動台313とターンテーブル1との間には、軸部312を覆うベローズ314が取り付けられている。ベローズ314の取り付け端は、気密が確保されている。また、ベローズ314は可とう性を有しているので、可動台313の移動に応じて、気密を保持した状態で柔軟に変位する。プーリ315は、X−Y−θテーブル311に固定されている。このプーリ315には、後述するタイミングベルト343が掛けられている。
【0048】
[2−3−2.X軸部]
X軸部320は、回転軸321、偏心ローラ322及びアーマチュア323等を有している。回転軸321は、駆動部400によって回転可能な垂直方向の部材である。偏心ローラ322は、回転軸321の上端に取り付けられている。この偏心ローラ322は、図5に示すように、可動台313に形成されたY方向の溝313aに挿入されている。
【0049】
このため、偏心ローラ322は、回転軸321の回転に従って、溝313aの内壁を付勢することにより、可動台313をX方向に移動させることができる。このとき、可動台313とともに、軸部312及びX−Y−θテーブル311がX方向に移動する。
【0050】
アーマチュア323は、回転軸321の下端に取り付けられている。このアーマチュア323は、後述するクラッチ420に着脱可能に設けられている。アーマチュア323がクラッチ420に接続されることにより、駆動部400による回転軸321の駆動が可能となる。
【0051】
[2−3−3.Y軸部]
Y軸部330は、回転軸331、偏心ローラ332及びアーマチュア333等を有している。回転軸331は、駆動部400によって回転可能な垂直方向の部材である。偏心ローラ332は、回転軸331の上端に取り付けられている。この偏心ローラ332は、図5に示すように、可動台313に形成されたX方向の溝313bに挿入されている。
【0052】
このため、偏心ローラ332は、回転軸331の回転に従って、溝313bの内壁を付勢することにより、可動台313をY方向に移動させることができる。このとき、可動台313とともに、軸部312及びX−Y−θテーブル311がY方向に移動する。
【0053】
アーマチュア333は、回転軸331の下端に取り付けられている。このアーマチュア333は、後述するクラッチ430に着脱可能に設けられている。アーマチュア323がクラッチ430に接続されることにより、駆動部400による回転軸331の駆動が可能となる。
【0054】
[2−3−4.θ軸部]
θ軸部340は、上回転軸341、プーリ342、タイミングベルト343、ベローズカップリング344、下回転軸345及びアーマチュア346等を有している。上回転軸341は垂直方向の部材であり、その上端に、プーリ342が固定されている。プーリ342には、タイミングベルト343が掛けられている。これにより、図6に示すように、上回転軸341が回動すると、その回動がタイミングベルト343を介してプーリ315に伝達されるので、X−Y−θテーブル311が回動する。
【0055】
上回転軸341の下端は、ベローズカップリング344の上端に連結されている。このベローズカップリング344は、X方向及びY方向のずれを吸収する可とう性のベローズによって構成された連結部材である。ベローズカップリング344の下端には、下回転軸345が連結されている。下回転軸345は垂直方向の部材であり、その回転は、ベローズカップリング344を介して、上回転軸341に伝達される。
【0056】
アーマチュア346は、下回転軸345の下端に取り付けられている。このアーマチュア346は、後述するクラッチ440に着脱可能に設けられている。アーマチュア346がクラッチ420に接続されることにより、駆動部400による下回転軸345、上回転軸341の駆動が可能となる。
【0057】
[2−4.駆動部]
駆動部400は、固定テーブル410、クラッチ420,430,440、モータ450,460,470等を有している。固定テーブル410は、ターンテーブル1の下部に固定されたテーブルである。この固定テーブル410におけるX軸部320、Y軸部330、θ軸部340に対応する位置に、クラッチ420,430,440が固定されている。また、クラッチ420,430,440には、それぞれに回転を伝達するモータ450,460,470が接続されている。
【0058】
クラッチ420,430,440は、コイル421,431,441に通電すると、ロータ422,432,442とアーマチュア323,333,346との間に発生する磁束により、アーマチュア323,333,346を吸着する。これにより、モータ450,460,470の駆動力が、X軸部320、Y軸部330、θ軸部340に伝達可能となる。
【0059】
[2−5.ロック部]
ロック部350は、図4、図7〜図9に示すように、ブレーキ板351、ブレーキ352、昇降軸353、バネ354、被押圧部355、シリンダ356等を有している。ブレーキ板351は、可動台313に固定された、例えば、バネ鋼板である。ブレーキ352は、架台1aの一部との間でブレーキ板351を挟んで圧着することにより、可動台313をロックする部材である。ブレーキ352のブレーキ板351との接触面には、例えば、ゴムライニング等の滑り止め部材が施されている。
【0060】
昇降軸353は、架台1aを貫通して昇降可能に設けられている。昇降軸353の上端には、ブレーキ板351が取り付けられている。バネ354は、昇降軸353を下方に付勢するスプリング等の付勢部材である。被押圧部355は、昇降軸353の下端に取り付けられている。シリンダ356は、固定テーブル410に固定され、その上部に来た被押圧部355を付勢することにより、ロックを解除する手段である。なお、図示したロック部350は、X軸部320に対応するものであり、その他、図示はしないが、Y軸部330、θ軸部340に対応して、同様の構造のロック部が、それぞれ設けられている。
【0061】
[2−6.吸着部]
吸着部500は、図10及び図11に示すように、吸着プレート510、3方向バルブ520、吸着ポンプ530(図26参照)等を有している。吸着プレート510は、X−Y−θテーブル311上に固定されている。吸着プレート510上には、ゴム等の弾性部材の表面にポリウレタン多孔質フィルム製のシートを貼り付けた保護部材511が取り付けられている。吸着プレート510及び保護部材511には、図示しない吸着穴が形成されている。この吸着穴は、吸着プレート510内に形成された通気経路を介して、配管512の一端に接続されている。
【0062】
3方向バルブ520は、ターンテーブル1に固定されている。この3方向バルブ520は、内管部521、上側弁522、下側弁523、ロッド524及び被押圧部525等を有している。内管部521は、垂直方向に連続した管である。この内管部521は、ターンテーブル1を貫通してその上面側及び下面側に突出している。
【0063】
ターンテーブル1の上面側に突出した内管部521には、上述の配管512の他端が接続されている。これにより、X−Y−θテーブル311の吸着穴と内管部521とが、通気経路を介して連通している。ターンテーブル1の下面側に突出した内管部521の側面には、配管526の一端が接続されている。この配管526の他端は、真空源である吸着ポンプ530に接続されている。なお、ターンテーブル1が回転しても、吸着ポンプ530と配管526との連通が確保されるように、吸着ポンプ530と配管526との間は、図示しないロータリージョイントを介して接続されている。
【0064】
上側弁522は、昇降することにより、内管部521の上端を開閉する弁である。下側弁523は、内管部521内を昇降することにより、吸着ポンプ530との連通を開閉する弁である。ロッド524は、内管部521内を昇降可能に設けられている。このロッド524は、上側弁522と下側弁523とを連結している。被押圧部525は、ロッド524の下端に設けられている。この被押圧部525は、シリンダ等により構成された押圧部527によって、上方に付勢される。押圧部527は、固定テーブル410に固定されている。
【0065】
このような3方向バルブ520は、ワークS1の吸着時は、図12(A)に示すように、吸着穴と吸着ポンプ530を連通するラインを接続している(黒矢印線参照)。そして、図12(B)に示すように、下端の被押圧部525を押圧部527によって押し上げると、上側弁522が開き、下側弁523が閉じるので、吸着穴と周囲とが同気圧になるとともに、吸着ポンプ530との連通が閉止されるように構成されている(黒矢印線参照)。
【0066】
[3.剥離装置]
剥離装置3は、ワークS1若しくはワークS2に貼り付けられた両面テープT1の剥離紙Fを、粘着テープT2に貼り付けて剥離する装置である。この剥離装置3は、図13〜15に示すように、供給部31、変換部32、剥離部33及び巻取部34等を有している。
【0067】
供給部31は、送出リール31a及びリール回転機構31b(図26参照)を有している。送出リール31aは、供給される粘着テープT2が巻回されたリールである。リール回転機構31bは、図示しない送出リール31aのブレーキを制御する機構である。変換部32は、図14に示すように、供給部31からの粘着テープT2の進行方向を、直角に変換するピン若しくはローラである。
【0068】
剥離部33は、剥離ヘッド33a、シリンダ33b、ガイドローラ33c〜33e等を有している。剥離ヘッド33aは、供給部31から供給された粘着テープT2を、その貼着面の裏面から押圧することにより、ワークS1上の剥離紙Fに押しつけるローラである。剥離ヘッド33aは、ワークS1の端から粘着テープT2の圧着が開始するように、傾斜が付けられている。シリンダ33bは、剥離ヘッド33aを前方向(図中左方向)に移動させる機構であり、この動作の際に、供給部31aのブレーキを解除して、粘着テープT2を引き出すことができる。ガイドローラ33c〜33eは、変換部32から剥離ヘッド33a、剥離ヘッド33bから巻取部34へと、粘着テープT2の移動をガイドするローラである(ガイド部材)。
【0069】
巻取部34は、巻取リール34a、リール昇降機構34b、リール回転機構34c(図26参照)等を有している。巻取リール34aは、剥離ヘッド33aからの粘着テープT2を巻き取るリールである。この巻取リール34aの軸は、供給部31の軸と直交する方向に設けられている。リール昇降機構34bは、例えば、送りネジの回転等により、巻取リール34aを昇降させる機構である。リール回転機構34cは、図示しない駆動源等を有し、巻取リール34aの回転及びブレーキを制御する機構である。
【0070】
なお、上記の剥離装置3は、下側のワークS1から剥離紙Fを剥離するための第1のユニットU1を装着したものである。この剥離装置3において、第1のユニットU1は、図16に示すように、上側のワークS2から剥離紙Fを剥離するための第2のユニットU2と交換可能に設けられている。
【0071】
第1のユニットU1は、図13及び図17に示すように、変換部32からの粘着テープT2が、剥離ヘッド33aの下側から供給され、上側を通過して、巻取リール34aへ誘導されるように、ガイドローラ33c〜33eが設けられている。第1のユニットU1におけるガイドローラ33eは、剥離ヘッド33aを通過した粘着テープT2の進行方向を下方に変換する。
【0072】
一方、第2のユニットU2は、図16及び図18に示すように、変換部32からの粘着テープT2が、剥離ヘッド33aの上側から供給され、下側を通過して、巻取リール34aへ誘導されるように、ガイドローラ33f,33gが設けられている。第2のユニットU2におけるガイドローラ33gは、剥離ヘッド33aを通過した粘着テープT2の進行方向を下方に変換する。
【0073】
さらに、第1のユニットU1及び第2のユニットU2は、シリンダ35によって、昇降可能に設けられている。第1のユニットU1は、下降時に、剥離ヘッド33aにおける粘着テープT2を、ワークS1の剥離紙Fに押し付けることができる。第2のユニットU2は、上昇時に、剥離ヘッド33aにおける粘着テープT2を、ワークS2の剥離紙Fに押し付けることができる。
【0074】
かかる剥離装置3による剥離は、次のように行われる。すなわち、図17(A)、図18(A)に示すように、シリンダ33bによって剥離ヘッド33aを前方に移動させるとともに、粘着テープT2を供給部31aより引き出し、シリンダ35によって第1のユニットU1を下降若しくは第2のユニットU2を上昇させることにより、剥離紙Fに粘着テープT2を押し付け、リール回転機構31b,34cが送出リール31a及び巻取リール34aの回転をブレーキさせた状態で、リール昇降機構34bによって巻取リール34aを下降させる。
【0075】
すると、図17(B)、図18(B)に示すように、粘着テープT2が下方に引かれるとともに、剥離ヘッド33aが粘着テープT2を剥離紙Fに押しつけながら後退する。これにより、剥離紙Fが粘着テープT2に貼り付けられて、ワークS1若しくはS2から剥離される。
【0076】
[4.検出装置]
検出装置4は、図20及び図21に示すように、2台のCCDカメラ41,42、これらを支持するアーム45,46、カメラ駆動機構49(図26参照)等を有している。上方に配置されたCCDカメラ41は、レンズ面が下方を向いていて、上方のワークS2のコーナー若しくはマークM2を撮像するカメラである(第1のカメラ)。下方に配置されたCCDカメラ42は、レンズ面が下方を向いていて、下方のワークS1のコーナー若しくはマークM1を撮像するカメラである(第2のカメラ)。
【0077】
カメラ駆動機構49は、図示しない駆動源等を有し、アーム45,46を駆動する機構である(例えば、X−Y軸駆動機構)。アーム45は、カメラ駆動機構49によって水平方向(前後左右方向)に移動することにより、ワークS2の上方に対して、CCDカメラ41を出し入れ可能に設けられている。同様に、アーム46も、カメラ駆動機構49によって水平方向(前後左右方向)に移動することにより、ワークS1の上方に対して、CCDカメラ42を出し入れ可能に設けられている。
【0078】
各CCDカメラ41,42は、内蔵された光源(同軸落射照明)の反射光を検出することにより、検出対象の撮像を行うカメラである。各CCDカメラ41,42の撮像は、後述するように、撮像制御部662によって制御される。さらに、下部のCCDカメラ42の上面には、上部のCCDカメラ41からの光を反射するための反射面42aが設けられている。この反射面42aは、例えば、アルミテープ等の簡易的な部材とすることができる。
【0079】
[5.押圧装置]
押圧装置5は、図2、図23〜25に示すように、真空チャンバ51、加圧ヘッド52、昇降機構53及びシリンダ54等を有している。真空チャンバ51は、ターンテーブル1上の保持装置2を覆って密閉するチャンバである。加圧ヘッド52は、真空チャンバ51内に設けられ、ワークS2を下方に加圧する手段である。
【0080】
昇降機構53は、図示しない駆動源等により、真空チャンバ51を加圧ヘッド52とともに昇降させる機構である。シリンダ54は、進退する駆動ロッドによって、加圧ヘッド52を昇降させる機構である。また、加圧ヘッド52には、ゴムの表面にポリウレタン多孔質フィルム製のシートを貼り付けた保護部材52aが取り付けられている。
【0081】
さらに、真空チャンバ51には、真空源である減圧ポンプ55が、配管を介して接続されるとともに、内部の圧力を検出するための真空計56が設けられている(図26参照)。
【0082】
[6.制御装置]
ターンテーブル1、保持装置2、剥離装置3、検出装置4、押圧装置5等の構成要素は、それぞれの駆動源、スイッチ、電源等が、図26に示す制御装置6によって作動することにより、制御される。この制御装置6は、例えば、専用の電子回路若しくは所定のプログラムで動作するコンピュータ等によって、次のような各機能を実現することによって構成できる。
【0083】
以下、この制御装置6を、仮想的な機能ブロック図である図26を参照して説明する。なお、作業者が、制御装置6を操作するためのスイッチ、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力装置、制御装置6の状態を確認するためのディスプレイ、ランプ、メータ等の出力装置については、説明を省略する。
【0084】
すなわち、制御装置6は、テーブル制御部610、記憶部620、タイミング制御部630、入出力インタフェース640、剥離制御部650、位置検出部660、位置決め制御部670、真空制御部680等の機能を有している。
【0085】
[6−1.テーブル制御部]
テーブル制御部610は、インデックス機構11の間欠回転動作を制御する手段である。
[6−2.記憶部]
記憶部620は、動作タイミング、演算式、演算結果等、各種の設定やデータ等を記憶する手段である。
【0086】
[6−3.タイミング制御部]
タイミング制御部630は、あらかじめ設定されたタイミングで、各部の動作タイミングを制御する手段である。
[6−4.入出力インタフェース]
入出力インタフェース640は、制御対象となる各部との間での信号の変換や入出力を制御する手段である。
【0087】
[6−5.剥離制御部]
剥離制御部650は、剥離装置3の動作を制御する手段である。この剥離制御部650は、ヘッド制御部651、回転制御部652、昇降制御部653等を有している。
【0088】
ヘッド制御部651は、剥離ヘッド33aを駆動するシリンダ33b、第1のユニットU1若しくは第2のユニットU2を駆動するシリンダ35を制御する手段である。回転制御部652は、供給部31のリール回転機構31b、巻取部34のリール回転機構34cを制御する手段である。昇降制御部653は、リール昇降機構34bを制御する手段である。
【0089】
[6−6.位置検出部]
位置検出部660は、検出装置4を制御する手段である。この位置検出部660は、カメラ駆動部661、撮像制御部662、3点抽出部663、重心算出部664、傾き算出部665等を有している。カメラ駆動部661は、アーム45〜48を移動させるカメラ駆動機構49を制御する手段である。撮像制御部662は、CCDカメラ41〜44による撮像を制御する手段である。
【0090】
3点抽出部663は、CCDカメラ41,42によって撮像された画像から、ワークS1,S2のコーナー若しくはマークM1,M2の3点を抽出する手段である。重心算出部664は、3点抽出部663により抽出された点から重心を算出する手段である。傾き算出部665は、3点抽出部663により抽出された点から傾きを算出する手段である。
【0091】
[6−7.位置決め制御部]
位置決め制御部670は、位置決め部300を制御する手段である。この位置決め制御部670は、クラッチ制御部671、位置決め演算部672、モータ制御部673等を有している。クラッチ制御部671は、コイル421,431,441への通電を制御することにより、アーマチュア323,333,346とクラッチ420,430,440との着脱を行わせる手段である。なお、クラッチ制御部671は、コイル421,431,441への通電と同期させて、シリンダ356を作動させることにより、ロック部350によるロックも行う。位置決め演算部672は、重心算出部664及び傾き算出部665によって算出されたワークS1,S2の重心及び傾きに基づいて、X−Y−θテーブル311の移動量を算出する手段である。
【0092】
[6−8.真空制御部]
真空制御部680は、吸着部500及び押圧装置5を制御する手段である。この真空制御部680は、チャンバ制御部681、減圧制御部682、真空演算部683、バルブ制御部684、押圧制御部685及び吸着制御部686等を有している。チャンバ制御部681は、真空チャンバ51を昇降させる昇降機構53を制御する手段である。
【0093】
減圧制御部682は、真空チャンバ51内を減圧する減圧ポンプ55を制御する手段である。真空演算部683は、真空計の検出値に基づいて、真空チャンバ51内の圧力を演算する手段である。
【0094】
真空演算部683は、図27に示すように、電圧判定部683a、式選択部683b、圧力演算部683c等を有している。電圧判定部683aは、真空計56からのアナログ出力(電圧値)が、記憶部620に設定された電圧範囲のいずれにあるかを判定する手段である。式選択部683bは、記憶部620に設定された電圧範囲とこれに対応する多項近似式に基づいて、電圧判定部683aにより判定された電圧範囲に応じた多項近似式を選択する手段である。圧力演算部683cは、判定された電圧値と選択された多項近似式に基づいて、圧力値を演算する手段である。
【0095】
バルブ制御部684は、真空演算部683の演算結果に基づいて、3方向バルブ520の開閉を切り替える押圧部527を制御する手段である。押圧制御部685は、加圧ヘッド52を昇降させるシリンダ54を制御する手段である。吸着制御部686は、吸着プレート510上にワークS1を吸着させるための吸着ポンプ530を制御する手段である。
【0096】
ここで、上記の真空演算部683による演算例を、図31〜36を参照して説明する。すなわち、一般的な真空計からのアナログ出力と指示圧力が、図31のような関係を持つ場合を考える。かかる場合に、アナログ値から圧力を導出する方法としては、あらかじめ記憶装置内へ、図31のようなテーブル(アナログデータテーブル)を記憶しておき、逐次、このテーブルと現在のアナログ値とを比較する方法がある。しかし、この方法では、該当するデータを、逐次検索する必要があり、演算処理プログラムが大きくなり処理時間も長くなる。
【0097】
次に、テーブルにおける各データ間の変化量は線形とみなして、演算処理する方法がある。しかし、圧力導出結果の精度を向上させるために、記憶装置へ記憶するテーブルのデータ数を増やすと、演算処理装置内の処理は遅くなる。逆に、データ数を抑えると、圧力導出結果の精度は悪くなるが、演算処理は速くなる。つまり、精度と演算処理時間は相反関係にある。
【0098】
その他の方法としては、多項近似式を用いて演算する方法がある。しかし、テーブルが複雑な場合には、必要精度を満足する多項近似式をたてると、近似関数の次数も増えることになり、演算処理に膨大な時間がかかる。例えば、上記のテーブルをグラフ化した場合、図32に示すように、電圧と圧力の関係は非線形であり、全範囲で高い精度が得られる多項近似式をたてることは困難である。なお、図32は、図33〜36にも対応しているが、圧力範囲を広く表示するために、片logグラフとなっている。
【0099】
本実施形態においては、テーブルを任意の複数区間に分割し、それぞれの区間に対応した多項近似式をたてる。そして、検出された電圧値に応じて、多項近似式のいずれかを選択して、圧力算出演算を行う。
【0100】
例えば、真空計56からのアナログの検出電圧値と、これが指示する圧力が、図33のグラフの関係を有する場合、電圧値の範囲を以下の3つに区分する。
(1) 0V以上〜3V未満
(2) 3V以上〜8V未満
(3) 8V以上〜10V以下
【0101】
そして、これらの(1)〜(3)の範囲に対応させて、次の3つの多項近似式を設定する。
(a) PL= -36.837V3+320.94V2−1104.9V+1724.7 [Pa]
(b) Pm= -0.8021V3+23.787V2−240.08V+832.07 [Pa]
(c) Ph= -0.6572V3+21.162V2−231.87V+859.72 [Pa]
【0102】
各範囲の多項近似式は、3次関数で十分精度が満足できる。すなわち、図34に示すように、(1)の範囲での基準となるグラフと、演算結果のグラフとを比較すると、ほぼ一致したラインとなる。これは、図35及び図36に示す(2)(3)の範囲でも同様である。
【0103】
なお、図27に示すように、記憶部620には、バルブ制御部684が3方向バルブ520を切り替えるためのしきい値となるバルブ用圧力値、押圧制御部685が加圧ヘッド52を下降させるためのしきい値となる押圧用圧力値が設定されている。このため、圧力演算部683cによって演算された圧力値が、バルブ用圧力値となった場合には、3方向バルブ520が切り替わり、押圧用圧力値となった場合には、加圧ヘッド52が下降する。
【0104】
[B.作用]
以上のような構成を有する本実施形態の作用は、次の通りである。なお、以下に説明する手順で貼合装置を制御する方法及び制御装置を動作させるコンピュータプログラムも、本発明の一態様である。
【0105】
[1.ワークの装着]
まず、保持装置2へのワークS1,S2の装着について説明する。なお、ワークS1には、両面テープT1の一方の粘着面が貼り付けられているものとする。このとき、両面テープT1の他方の面には剥離紙Fが貼着されたままである。
【0106】
すなわち、図1に示す投入取出しポジション1Aにおいて、作業者は、図2〜4に示すように、両面テープT1を粘着した面が上になるように、ワークS1を吸着プレート510の保護部材511上に載せる。このとき、吸着制御部686が、吸着ポンプ530を作動させて、吸着プレート510及び保護部材511の吸着穴により、ワークS1を吸着させる。また、作業者は、ワークS2を、保持部100にセットする。なお、人手によるワークの投入でなく、オートローダ等の供給機構によって、ハンドリング等されたワークを自動的に投入することも可能である。
【0107】
[2.剥離紙の剥離]
上記のように、ワークS1,S2を保持した保持装置2は、ターンテーブル1の回転によって、貼着材準備ポジション1Bに来る。ここで、剥離装置3が、ワークS1の剥離紙Fを剥離する。すなわち、図13及び図17(A)に示すように、ヘッド制御部651が、シリンダ33bを駆動することにより剥離ヘッド33aを前方に移動させるとともに、シリンダ35を駆動することにより第1のユニットU1を上昇させて、ワークS1の両面テープT1の剥離紙Fの縁に、剥離用の粘着テープT2を当接させる。
【0108】
回転制御部652が、リール回転機構31b,34cを制御することにより、送出リール31a及び巻取リール34aにブレーキをかけた状態で、昇降制御部653が、リール昇降機構34bを作動させて、巻取リール34aを下降させる。すると、粘着テープT2が下方に引っ張られながら、剥離ヘッド33aが後退する。このとき、図17(B)に示すように、粘着テープT2が接している剥離紙Fは、両面テープT1に貼り付いて剥離される。
【0109】
そして、回転制御部652が、リール回転機構34cを作動させて巻取リール34aを回転させながら、昇降制御部653が、リール昇降機構34bを作動させて巻取リール34aを上昇させることにより、次のワークS1から剥離紙Fを剥離する状態に復帰させる。
【0110】
なお、上記は、第1のユニットU1を用いて、下側のワークS1から剥離紙Fを剥離した場合を説明したが、第2のユニットU2を用いて、上側のワークS2から剥離紙Fを剥離する場合にも、基本的な動作手順は同様である(図18(A)(B)参照)。
【0111】
[3.ワークの位置決め]
次に、ワークS1,S2を保持した保持装置2が、ターンテーブル1の回転によって位置決めポジション1Cに来る。このとき、ロック部350のシリンダ356によって被押圧部355が付勢されることにより、位置決め部300のロックが解除される(X,Y,θ軸全て)。すると、検出装置4による位置検出、位置決め部300による位置決めが行われる。かかる手順を、図28のフローチャートに沿って、図20〜22、図29を参照しながら、以下に説明する。
【0112】
[3−1.位置検出]
カメラ駆動部661は、カメラ駆動機構49を作動させることによりアーム45,46を移動させる。これにより、図20及び図21に示すように、CCDカメラ41がワークS2の上方に移動し、CCDカメラ42はワークS1とワークS2との間に移動する(ステップ101)。
【0113】
そして、CCDカメラ41,42は、ワークS1,S2のコーナー若しくはマークM1,M2に対応する位置に、順次停止する(ステップ102)。撮像制御部662は、CCDカメラ41に、ワークS1及びワークS2のコーナー若しくはマークM1,M2を、順次撮像させる(ステップ103)。撮像された画像は、制御装置6に入力される(ステップ104)。
【0114】
なお、上記の撮像の際、ワークS2が正常な場合には、図22(A)に示すように、同軸落射照明によるワークS2からの反射光が、CCDカメラ41に戻るので、問題なく撮像できる。しかし、図3に示すように、ワークS2は、ワークS1のように吸着プレート510に吸着されているのではなく、保持部100によって空中で保持されている。このため、図22(B)に示すように、ワークS2の湾曲、歪み等が生じ易く、その場合、ワークS2からの反射光がCCDカメラ41に戻らなくなる可能性がある。
【0115】
本実施形態では、かかる場合であっても、図22(C)に示すように、CCDカメラ41からの照明が、CCDカメラ42に取り付けられた反射面42aに反射して、確実にCCDカメラ41に戻るので、撮像が可能となる。なお、マークM1,M2を検出対象とする場合には、反射光の受光のために、ワークS2におけるマークM1,M2に該当する部分は、光を透過する箇所を有することが望ましい。
【0116】
上記のようにして、少なくとも3点を撮像した後(ステップ105)、3点抽出部663は、撮像した画像から、ワークS1のコーナー若しくは識別マークM1の3点を抽出するとともに、これに対応するワークS2のコーナー若しくはマークM2の3点を抽出する(ステップ106)。なお、画像から点を抽出する処理は、従来の一般的な画像処理技術によって実現可能であるため、説明を省略する。
【0117】
重心算出部664は、図29(A)に示すように、各ワークS1,S2の3点(一点鎖線の円で囲まれた点)のうち、対角2点の中点を、ワークS1,S2の重心座標G1,G2として算出する(ステップ107)。また、傾き算出部665は、各ワークS1,S2の3点のうち、長辺若しくは短辺の2点を結ぶ直線の傾きを、ワークS1,S2の傾きとして算出する(ステップ108)。
【0118】
次に、位置決め制御部670における位置決め演算部672は、両ワークS1,S2の重心と傾きが一致するように、ワークS1の移動量を演算する(ステップ109)。つまり、重心を合わせるためのX−Y方向の移動量(回転軸321,331の回動量)を算出するとともに、傾きを合わせるためのθ方向の回動量(下回転軸345の回動量)を算出する。
【0119】
クラッチ制御部671は、コイル421,431,441に通電させることにより、ロータ422,432,442とアーマチュア323,333,346を接続させる(ステップ110)。そして、モータ制御部673が、モータ450,460,470を作動させて、回転軸321,331,345を回動させる(ステップ111)。モータ450,460,470は、算出された回動量だけ回転軸321,331,345が回動すると、停止する(ステップ112)。
【0120】
さらに、クラッチ制御部671は、ロック部350のシリンダ356を作動させて、被押圧部355への付勢を解除することにより、バネ354の付勢力によってブレーキ352を下降させて、ブレーキ板351を挟んでロックする(ステップ113)。これは、X,Y,θ軸全てについて、ほぼ同時に行う。そして、クラッチ制御部671は、コイル421,431,441の通電を停止して、クラッチ420〜440によるX軸部320、Y軸部330及びθ軸部340と駆動部400との接続を解除する。
【0121】
これにより、両ワークS1,S2の位置が合うように、X−Y−θテーブル311の位置が調節される。例えば、ワークS1,S2に、図29(A)のようなずれがある場合に、図29(B)に示すように、X−Y方向への移動によって、重心G1,G2が一致し、図29(C)に示すように、回動によって、傾きを一致させることができる。
【0122】
なお、コーナーやマーク等の検出対象が、ワーク毎のばらつきが少ない場合には、対角の2点を検出すれば、重心と対角線の傾きを合わせることによって、位置合わせが可能となる。従って、本実施形態においても、ワークS1,S2の対角の2点を検出し、X−Y方向への移動によって、互いの重心G1,G2を合わせて、回動によって、対角線の傾きを一致させてもよい。これにより、演算処理の負担を軽減することができる。
【0123】
[4.真空貼り合せ]
次に、ワークS1,S2を保持した保持装置2が、ターンテーブル1の回転によって真空貼り合せポジション1Dに来る。すると、押圧装置5によって、真空貼り合せが行われる。かかる手順を、図30のフローチャートに沿って、図2、図10〜12、図23〜25を参照して説明する。
【0124】
すなわち、図23及び図24に示すように、チャンバ制御部681は、昇降機構53を作動させることにより、真空チャンバ51を下降させて、保持装置2の周囲を密閉する(ステップ201)。そして、減圧制御部682は、減圧ポンプ55を作動させて、真空チャンバ51内を減圧する(ステップ202)。
【0125】
真空計56は、検出した電圧値を制御装置に出力する(ステップ203)。真空演算部683においては、電圧判定部683aが、真空計56により検出された電圧値が、上記の(1)〜(3)のいずれの範囲内かを判定する(ステップ204)。この判定結果に応じて、式選択部683bが多項近似式を選択する(ステップ205−1〜3)。圧力演算部683cは、検出された電圧値と選択された多項近似式に基づいて、圧力を算出する(ステップ206)。
【0126】
バルブ制御部684は、算出された圧力値が、所定のバルブ用圧力以下となったと判定した場合には(ステップ207)、押圧部527を上昇させて、3方向バルブ520の被押圧部525を付勢する。すると、図11及び図12(B)に示すように、3方向バルブ520のロッド524が上昇して、上側弁522が内管部521の上端を開放し、下側弁523が閉状態となる(ステップ208)。これにより、吸着プレート510内と真空チャンバ51内とが同圧となり、吸着穴からの吹き出しが防止される。
【0127】
さらに、押圧制御部685は、算出された圧力値が、所定の押圧用圧力以下になったと判定した場合には(ステップ209)、図25に示すように、シリンダ54を作動させて、加圧ヘッド52を下降させ、ワークS2をワークS1に押しつける(ステップ210)。その後、減圧制御部682は、減圧ポンプ55を停止させ(ステップ211)、チャンバ制御部681が、加圧ヘッド52及び真空チャンバ51を上昇させて、大気開放する(ステップ212,213)。
【0128】
[5.ワークの取出し]
上記のように、貼り合わされたワークS1,S2を保持した保持装置2が、ターンテーブル1の回転によって投入取出しポジション1Aに来ると、作業者は、ワークS1,S2を保持部100から取り出す。なお、この作業も、搬出機構等による自動化が可能である。
【0129】
[C.効果]
以上のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。すなわち、一対のワークS1,S2の供給を一カ所のポジションで行うことができるとともに、貼り合せ後のワークS1,S2の取出しも、同一のポジションで行うことができるので、作業スペースが小さくて済む。
【0130】
剥離装置3における剥離ヘッド33aは、傾斜しているので、ワークS1,S2の端から粘着テープT2の圧着を開始することができ、剥離紙Fを確実に剥離できる。また、剥離ヘッド33aが傾斜していること、変換部32により、剥離部33における粘着テープT2の長手方向から、供給部31が外れていること、巻取リール34aの移動方向が上下であることから、奥行き方向の所要スペースを小さくすることができる。このような剥離装置3の利点は、例えば、図19(A)〜(D)に示すように、巻取リールL1、送出リールL2、剥離ヘッドL3が配置され、巻取リールL1が粘着テープT2の長手方向に移動するように構成された従来例と比べても明らかである。
【0131】
また、剥離装置3は、ユニットU1、U2を交換することにより、下側のワークS1からの剥離紙Fの剥離と、上側のワークS2からの剥離紙Fの剥離に容易に対応できる。このような剥離装置3の利点は、例えば、図19(A)(B)に示す下側のワークS1のための従来例と、図19(C)(D)に示す上側のワークS2のための従来例とでは、巻取リールL1、送出リールL2の配置自体を変更させなければならないため、ユニット化が困難であることからも明らかである。なお、例えば、図17、図18に示したローラ33c〜33gを備えた装置とすることにより、ユニット交換式としなくても、粘着テープT2を、図17若しくは図18に示すように掛け替えるだけで、上側剥離用と下側剥離用に対応できる。
【0132】
また、剥離装置3は、貼合装置に着脱可能な独立構成としつつも、移載機等は不要となるため、ゴミの付着等を防止できる。さらに、剥離装置3と塗布装置とが交換可能なので、多様な製品への対応が可能となる。
【0133】
ターンテーブル1上のX−Y−θテーブル311を、クラッチ420,430,440により、モータ450,460,470から切り離して、そのまま移動させることができる。このため、ターンテーブル1には、駆動源等を搭載する必要がなく、電源及び制御線も不要となり、簡素な構成により安定した稼働を実現できる。また、保持装置2を、ターンテーブル1に複数台搭載することができるので、高速で効率のよい貼り合せを実現できる。
【0134】
また、駆動源等は、一カ所に備えるだけでよいため、安価に構成できる。また、X−Y−θテーブル311は、小型で済むので、真空中への収容も容易であり、気泡等の混入防止も簡単に実現できる。さらに、位置決め後のX−Y−θテーブル311上で、ワークS1,S2を貼り合せることができるので、精度の高い貼り合せが可能となる。
【0135】
特に、検出装置4は、ワークS1,S2の重心及び傾きの検出を、3点で行うため、処理負担を最小限にして正確な検出ができる。また、ワークS1,S2に湾曲等があった場合であっても、CCDカメラ41側からの照射光が、CCDカメラ42の反射面42aによって反射するので、正確な検出ができる。したがって、正確な検出に基づく、高精度の貼り合せが可能となる。
【0136】
ターンテーブル1上の1ポジションにおいて、真空貼り合せを行うことができるので、省スペース化が可能となる。また、真空チャンバ51内で位置決めする必要がないので、装置を小さく簡素化できる。また、真空チャンバ51内を減圧する際に、3方向バルブ520によって、吸着部500における吸着ラインを遮断すると同時に、真空チャンバ51内と同圧にすることができるので、吸着穴からの吹き出しによるワークS1の外れを防止でき、安定した稼働を実現できる。また、単一の3方向バルブ520によって切り替えるので、小型で安価に製造できる。
【0137】
真空チャンバ51内の圧力の検出に際して、電圧値に応じた適切な近似式を選択して、圧力を算出するので、低い次数の近似関数で、高い精度の圧力算出が可能となる。また、常に、単純な1つの関数による演算処理を行えばよいので、処理負担が軽減される。
【0138】
吸着部500の保護部材511及び押圧装置5の保護部材52aとして、弾性部材に多孔質のシートを貼り付けたものを使用しているので、ワークS1,S2への衝撃を吸収しつつ、ワークS1,S2の保護部材511,52aへの貼り付きを防止でき、安定した貼り合せを実現できる。また、ゴムの表面を機械加工により粗くする場合に比べて、滑りが良く、摩耗し難い。また、ゴムを低エネルギー照射処理を行う場合に比べて、安価である。さらに、劣化した場合に、ゴム全体を交換する場合に比べて、シートの貼り替えが容易となる。
【0139】
[D.他の実施形態]
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではない。例えば、上述のように、剥離装置に代えて、接着剤の塗布装置を用いる場合には、接着剤としては、現在又は将来において利用可能なあらゆる材質のものが適用可能である。紫外線硬化型や放射線硬化型の樹脂のように、外部から広義の電磁波を照射したり、熱硬化型の樹脂のように、温度変化を加えることによって硬化するものも適用可能である。塗布装置としては、上述のように、周知の装置を用いることができる。例えば、インクジェット塗布装置、スクリーン印刷装置、スクイーズ塗布装置、ディスペンスノズル塗布装置などが考えられるが、これらには限定されない。
【0140】
塗布装置による接着剤の塗布を行う場合には、図37に示すように、ターンテーブル1の停止ポジションとして、接着剤の硬化ポジション1Eを設けることが考えられる。この場合、硬化ポジション1Eに、電磁波を照射する装置、加熱する装置等を設置して、貼り合せ後のワークが硬化ポジション1Eに来たときに、電磁波の照射若しくは加熱を行うことによって、接着剤を硬化させる。
【0141】
また、剥離装置における細部の構成は、上記の実施形態で示したものには限定されない。例えば、剥離ヘッドは、粘着テープを移動可能にしつつ、剥離紙に押しつけることができる構成であればよく、その駆動機構も剥離紙に接離させることができる構成のものであればよい。また、ガイドローラの配置位置や数も、自由である。さらに、変換部の変換角度も、剥離ヘッドの粘着テープの長手方向から送出部が外れる角度であれば、直角には限定されない。なお、剥離装置として、他の周知の装置を適用することもできる。
【0142】
位置決め部と駆動部とを着脱する着脱部材も、周知のあらゆるものを適用可能である。例えば、コイルの励磁によらない機械式のクラッチでもよい。カップリング、ベローズとしても、軸の変位を許容する構造の接続部材であれば、周知のあらゆるものを適用可能である。
【0143】
保護部材の材質、厚さ、硬さ等も自由である。例えば、加圧ヘッド側としては、硬度40のウレタンゴムにポリウレタン多孔質フィルム製のシートを両面テープで貼り付けたもの、吸着プレート側としては、硬度80のウレタンゴムにポリウレタン多孔質フィルム製のシートと貼り付けたものを用いることが考えられるが、これらには限定されない。
【0144】
検出装置におけるカメラの数は、上記の数には限定されない。1台のみ、水平方向に2台のみ若しくは水平方向に3〜4台のみとして、これを上側と下側に順次移動させてもよい。また、上下に2台づつとして、前後に移動させてもよい。さらに、上下に3〜4台ずつとして、上下の3点を同時に撮像してもよい。まず、対角の2点を撮像して、ここから抽出できない点がある場合には、別の点を撮像してもよい。4箇所を撮像した後、抽出可能な若しくは画像が良好な3箇所から3点を抽出してもよい。カメラの数が多いほど、これを駆動させる機構は簡素化でき、撮像も高速に行うことができる。
【0145】
また、図38に示すように、下側のCCDカメラ42に、プリズムにより光源からの光を上下に照射可能な構成を採用して、上方に照射した光を、上側のCCDカメラ41が受光するようにしてもよい。図39に示すように、下側のCCDカメラ42が、上下を撮像可能に、且つ、光源からの光を上下に照射可能として、上方の光を反射面42aにより反射させる構成としてもよい。また、反射面の材質としては、金属、ガラス、樹脂等が考えられるが、照射光を反射させることができるものであれば、どのような材質であってもよい。さらに、反射面をカメラの筐体と一体に形成してもよい。
【0146】
貼り合せ対象となるワークは、カバーパネルと液晶モジュール(表示パネル、バックライトを積層したもの)とが、典型例であるが、表示装置を構成する要素を貼り合わせる装置として、広く適用可能である。したがって、例えば、タッチパネルと液晶モジュールとを貼り合わせる場合にも適用できる。
【0147】
位置決めのための検出対象も、ワークの態様に応じて適宜変更可能である。例えば、図40に示すように、液晶モジュールであるワークS1にカバーパネルであるワークS2を貼り合わせる場合に、ワークS2に印刷等された枠Hのコーナーを検出することも可能である。この場合、図41に示すように、ワークS1(若しくは表示可能領域、以下同様)の辺と枠Hの辺とが一致するように位置決めすることが望ましい。特に、枠Hの辺は、製品を購入したユーザが視認する部分であるため、ワークS1に対して枠Hが傾いていると、不良品となる可能性が高い。
【0148】
これを防止するためには、以下のような理由から、2点検出による位置決めよりも、3点検出による位置決めが有効となる。すなわち、枠Hのサイズや形状は、印刷等により形成されるために、ワークS2毎にばらつきが生じる場合がある。例えば、図42(A)に示すように、ワークS1と、枠Hの形状が一致しない場合には、それぞれの対角の2点を検出して、重心及び対角線の傾きを一致させても、図42(B)に示すように、ワークS1に対して、枠Hが傾いた状態で位置決めされてしまう。
【0149】
これに対して、上記の実施形態と同様に、3点を検出して、重心及び長辺の傾きを一致させると、図42(C)に示すように、ワークS1と枠Hの辺が平行になる。これにより、製品を購入したユーザが視認する枠Hが、表示可能領域に対して傾いてしまう事態がなくなり、不良品の発生を防止できる。
【符号の説明】
【0150】
1…ターンテーブル
1a…架台
2…保持装置
3…剥離装置
4…検出装置
5…押圧装置
6…制御装置
11…インデックス機構
31…供給部
31a…送出リール
31b,34c…リール回転機構
32…変換部
33…剥離部
33a…剥離ヘッド
33b,35,54,356…シリンダ
33c〜33g…ガイドローラ
34…巻取部
34a…巻取リール
34b…リール昇降機構
41〜44…CCDカメラ
43a,44a…反射面
45〜48…アーム
49…カメラ駆動機構
51…真空チャンバ
52…加圧ヘッド
52a,511…保護部材
53…昇降機構
55…減圧ポンプ
56…真空計
100…保持部
200…支柱部
300…位置決め部
310…載置部
311…X−Y−θテーブル
312,320,330,340…軸部
313…可動台
313a,313b…溝
314…ベローズ
315…プーリ
321,331,345…回転軸
322,332…偏心ローラ
323,333,346…アーマチュア
341…上回転軸
342…プーリ
343…タイミングベルト
344…ベローズカップリング
345…下回転軸
350…ロック部
351…ブレーキ板
352…ブレーキ
353…昇降軸
354…バネ
355,525…被押圧部
400…駆動部
410…固定テーブル
420,430,440…クラッチ
421,431,441…コイル
422,432,442…ロータ
450,460,470…モータ
500…吸着部
510…吸着プレート
512,526…配管
520…3方向バルブ
521…内管部
522…上側弁
523…下側弁
524…ロッド
527…押圧部
530…吸着ポンプ
610…テーブル制御部
620…記憶部
624…算出部
630…タイミング制御部
640…入出力インタフェース
650…剥離制御部
651…ヘッド制御部
652…回転制御部
653…昇降制御部
660…位置検出部
661…カメラ駆動部
662…撮像制御部
663…3点抽出部
664…重心算出部
665…傾き算出部
670…位置決め制御部
671…クラッチ制御部
672…位置決め演算部
673…モータ制御部
680…真空制御部
681…チャンバ制御部
682…減圧制御部
683…真空演算部
683a…電圧判定部
683b…式選択部
683c…圧力演算部
684…バルブ制御部
685…押圧制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を構成する一対のワークを貼り合わせる貼合装置において、
複数のポジションに応じて間欠回転するターンテーブルと、
前記ターンテーブルに複数設けられ、一対のワークを保持する保持装置と、
前記保持装置に設けられ、一対のワークの少なくとも一方を位置決めする位置決め部と、
前記保持装置における一対のワークの少なくとも一方を付勢することにより、一対のワークを貼り合わせる押圧装置と、
を有し、
前記ターンテーブルの少なくとも一ポジションには、一対のワークを撮像するカメラを有する検出装置が設けられ、
前記カメラにより撮像された画像に基づいて、一方のワークにおける仮想的な方形の4頂点のうちの3点と、他方のワークにおける仮想的な方形の4頂点のうちの3点とを、それぞれ抽出する3点抽出部と、
前記3点抽出部が抽出した3点のうち、各ワークごとの方形の対角線の両端を構成する2点の中点を、各ワークの重心として算出する重心算出部と、
前記3点抽出部が抽出した3点のうち、各ワークごとの方形の一辺を構成する2点に基づいて、各ワークの傾きを算出する傾き算出部と、
前記重心及び前記傾きに基づいて、前記位置決め部の制御量を算出する位置決め演算部と、
を有することを特徴とする貼合装置。
【請求項2】
前記4頂点は、方形のワークのコーナーであることを特徴とする請求項1記載の貼合装置。
【請求項3】
前記4頂点は、ワークに付されたマークであることを特徴とする請求項1記載の貼合装置。
【請求項4】
前記4頂点は、ワークに付された方形の枠のコーナーであることを特徴とする請求項1記載の貼合装置。
【請求項5】
一方のワークにおける4頂点は、一方のワークに付された方形の枠のコーナーであり、
他方のワークが方形であり、
他方の方形のワークにおける4頂点は、他方の方形のワークのコーナーであることを特徴とする請求項1記載の貼合装置。
【請求項6】
前記保持装置は、一対のワークを、上下に対向させて保持する装置であることを特徴とする請求項1記載の貼合装置。
【請求項7】
前記検出装置は、
上方のワークを撮像する第1のカメラと、
下方のワークを撮像する第2のカメラと、
を有することを特徴とする請求項6記載の貼合装置。
【請求項8】
前記第1のカメラは、1台若しくは2台設けられ、
前記第2のカメラは、1台若しくは2台設けられていることを特徴とする請求項7記載の貼合装置。
【請求項9】
前記第1のカメラは、3台若しくは4台設けられ、
前記第2のカメラは、3台若しくは4台設けられていることを特徴とする請求項7記載の貼合装置。
【請求項10】
前記第2のカメラを、上下のワークの間に挿入する駆動機構を有することを特徴とする請求項7記載の貼合装置。
【請求項11】
前記第2のカメラにおける前記第1のカメラに対向する面には、反射部が設けられていることを特徴とする請求項7記載の貼合装置。
【請求項12】
前記3点抽出部は、前記カメラによって撮像された前記4頂点のうち、抽出可能な若しくは画像が良好な3箇所から、3点を抽出することを特徴とする請求項1記載の貼合装置。
【請求項13】
前記位置決め演算部は、一対のワークの重心及び傾きを一致させるように、前記位置決め部の制御量を算出することを特徴とする請求項1記載の貼合装置。
【請求項14】
複数のポジションに応じて間欠回転するターンテーブルと、前記ターンテーブルに複数設けられ、表示装置を構成する一対のワークを保持する保持装置と、前記保持装置に設けられ、一対のワークの少なくとも一方を位置決めする位置決め部と、前記保持装置における一対のワークの少なくとも一方を付勢することにより、一対のワークを貼り合わせる押圧装置とを有する貼合装置を、制御装置によって制御することにより、一対のワークを貼り合わせる貼合装置の制御方法において、
前記制御装置は、3点抽出部と、重心算出部と、傾き算出部と、位置決め演算部とを有し、
前記3点抽出部は、一対のワークを撮像した画像に基づいて、一方のワークにおける仮想的な方形の4頂点のうちの3点と、他方のワークにおける仮想的な方形の4頂点のうちの3点とを、それぞれ抽出し、
前記重心算出部は、前記3点抽出部が抽出した3点のうち、各ワークごとの方形の対角線の両端を構成する2点の中点を、各ワークの重心として算出し、
前記傾き算出部は、前記3点抽出部が抽出した3点のうち、各ワークごとの方形の一辺を構成する2点に基づいて、各ワークの傾きを算出し、
前記位置決め演算部は、前記重心及び前記傾きに基づいて、前記位置決め部の制御量を算出することを特徴とする貼合装置の制御方法。
【請求項15】
一方のワークにおける4頂点は、一方のワークに付された方形の枠のコーナーであり、
他方のワークが方形であり、
他方の方形のワークにおける4頂点は、他方の方形のワークのコーナーであり、
一方のワークの枠の辺と、他方のワークの辺とが平行に位置決めされるように、前記位置決め演算部が制御量を算出することを特徴とする請求項13記載の貼合装置の制御方法。
【請求項16】
前記3点抽出部は、前記カメラによって撮像された前記4頂点のうち、抽出可能な若しくは画像が良好な3箇所から、3点を抽出することを特徴とする請求項13記載の貼合装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate


【公開番号】特開2012−190047(P2012−190047A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130452(P2012−130452)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【分割の表示】特願2010−527706(P2010−527706)の分割
【原出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】