赤外線ガスセンサ
【課題】簡便な構造で、急加熱が可能であるとともにヒータの耐食性に優れた赤外線ガスセンサを提供する。
【解決手段】赤外線ガスセンサ1は、赤外線光源部11、ガス流通部13、及び赤外線受光部15を備え、赤外線光源部11から放射された赤外線のうち、ガス流通部13内の被測定ガスによって吸収された赤外線量を、赤外線受光部15で検出して、被測定ガスに含まれた成分ガスの濃度を測定する赤外線ガスセンサであって、ガス流通部13の内部空隙Xを構成するとともに、内部空隙Xと外部雰囲気Yの間で被測定ガスを流通できる通気部133を有したセラミック製の構造体131を備え、構造体131は、構造体131を構成する壁132内に埋設されたヒータパターン141を備える。
【解決手段】赤外線ガスセンサ1は、赤外線光源部11、ガス流通部13、及び赤外線受光部15を備え、赤外線光源部11から放射された赤外線のうち、ガス流通部13内の被測定ガスによって吸収された赤外線量を、赤外線受光部15で検出して、被測定ガスに含まれた成分ガスの濃度を測定する赤外線ガスセンサであって、ガス流通部13の内部空隙Xを構成するとともに、内部空隙Xと外部雰囲気Yの間で被測定ガスを流通できる通気部133を有したセラミック製の構造体131を備え、構造体131は、構造体131を構成する壁132内に埋設されたヒータパターン141を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外線ガスセンサに関する。更に詳しくは、放射された赤外線のうち被測定ガスによって吸収される赤外線量を検出し、被測定ガス中の成分ガス濃度を測定する赤外線ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、測定環境下において、直接的且つ連続的に測定を行うことができる赤外線ガスセンサが求められている。特に被測定ガスによって吸収される赤外線量を検出し、被測定ガス中の成分ガス濃度を測定できる高い起動性を有する赤外線ガスセンサが望まれている。
この測定環境下において、直接的且つ連続的に成分ガスの濃度を測定しようとした場合、結露及び氷結が問題となる。即ち、被測定ガスに水蒸気が含まれるとともに、結露によって水を生じることや、氷結によって氷を生じることがある。しかし、水{液体及び固体(氷)の状態等を含む}は、赤外線を吸収したり、反射や屈折したりする特性を有する。このため、赤外線ガスセンサのガス流通部や空隙の内表面に水が存在すると、赤外線の吸収や乱反射を生じて、ガスの濃度を測定する際の妨げとなる。このため、被測定ガス中の水蒸気による結露及び氷結をどのように防止するかが問題となる。このような問題に対して、下記特許文献1に開示された技術が知られている。
尚、下記特許文献2として、赤外線光源にセラミックヒータを用いた赤外線ガスセンサが、更に、下記特許文献3として、赤外線ガスセンサの赤外線受光部に好適に利用できる赤外線検知素子が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−105947号公報
【特許文献2】特開平9−33431号公報
【特許文献3】特開2010−107299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の赤外線ガス分析計は、測定セル部とヒータにより所定の温度に加熱された筒状フィルタと、測定ガスの出入口を持ち、内面が同軸の筒状外筐体とで構成し、さらに外筐体の両側面に赤外線透過窓を配置した構成を有する(特許文献1の図3参照)。この赤外線ガス分析計は、ヒータを有するためにヒータで筒状フィルタを加熱することにより、結露防止を行うことができる点で優れている。
【0005】
しかし、上述の構造を得るためには、筒状フィルタにヒータを巻回する必要があること、加えて、複雑な二重管構造を呈していることから、このような赤外線ガスセンサを得るには高いコストを生じる。更に、ヒータが筒状フィルタの表面に巻回されているために、ヒータの熱が筒状フィルタの外側へと逃げてしまう一方、急加熱を行うとヒータが溶断してしまうおそれがあり、ヒータの熱を筒状フィルタ内に十分に伝達し難いという問題ある。ヒータからの熱伝達が劣ると結果的に筒状フィルタ内の温度を上昇させるのに時間を要し、赤外線ガスセンサとしての起動時間を増大させることとなる。このため、より優れた起動性を得る観点からより早い加熱特性が望まれる。また、ヒータが被測定雰囲気に曝されているため、腐食され易く耐久性の観点からこれを抑制することが望まれる。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、より簡便な構造で、急加熱が可能であるとともにヒータの耐食性に優れた赤外線ガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は以下に示す通りである。
〈1〉赤外線光源部、ガス流通部、及び赤外線受光部を備えた赤外線ガスセンサであり、
前記赤外線光源部から放射された赤外線のうち、前記ガス流通部内の被測定ガスによって吸収された赤外線量を、前記赤外線受光部で検出して、前記被測定ガスに含まれた成分ガスの濃度を測定する赤外線ガスセンサであって、
前記ガス流通部の内部空隙を構成するとともに、該内部空隙と外部雰囲気の間で前記被測定ガスを流通できる通気部を有したセラミック製の構造体を備え、
前記構造体は、該構造体を構成する壁内に埋設されたヒータパターンを備えることを特徴とする赤外線ガスセンサ。
〈2〉前記構造体は、筒形状をなし、
前記赤外線光源部は前記構造体の一端側に配置され、前記赤外線受光部は前記構造体の他端側に配置されて、前記赤外線光源部及び前記赤外線受光部が前記ガス流通部を介して対向して配置する前記〈1〉に記載の赤外線ガスセンサ。
〈3〉前記構造体は、該構造体を構成する壁内に埋設された温度測定用導電パターンを備える前記〈1〉又は〈2〉に記載の赤外線ガスセンサ。
〈4〉前記構造体は、該構造体の外表面に前記赤外線光源部を駆動する光源部制御用導電パターンを備える前記〈1〉乃至〈3〉のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
〈5〉前記ヒータパターンは、その埋設箇所により発熱量が異なる前記〈1〉乃至〈4〉のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
〈6〉前記構造体の外表面、前記構造体の内壁面、及び、前記構造体の壁内、のうちの少なくともいずれかの部位に金属層を備える前記〈1〉乃至〈5〉のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
【発明の効果】
【0008】
本発明の赤外線ガスセンサによれば、簡便な構造で、急加熱が可能であるとともにヒータの耐食性に優れた赤外線ガスセンサとすることができる。即ち、セラミック製の構造体の内部にヒータが埋設されているために、構造体の外表面にヒータが配設されている場合に比べて構造体内部に対して熱を伝達し易い。このために、構造体内のガス流通部の温度をより高速に制御でき、被測定ガスの結露を防止することができる。このため、高い起動性を得ることができる。加えて、セラミック製の構造体内にヒータパターンが埋設されているために、ヒータパターンが直接被測定ガスに曝されることがなく耐食性に優れた赤外線ガスセンサを得ることができる。
【0009】
構造体が筒形状をなし、赤外線光源部が構造体の一端側に配置され、赤外線受光部が構造体の他端側に配置されて、赤外線光源部及び赤外線受光部がガス流通部を介して対向して配置されている場合には、赤外線の反射による減衰を小さく抑制でき、より大きな信号を得ることができるために、より正確な濃度測定を行うことができる。
【0010】
構造体を構成する壁内に埋設された温度測定用導電パターンを備える場合は、実際に測定される被測定ガスに近い位置で温度測定を行うことができ、ガス流通部の温度をより正確且つ早く制御できる。加えて、セラミック製の構造体内に温度測定用導電パターンが埋設されているために、温度測定用導電パターンが直接被測定ガスに曝されることがなく耐食性に優れた赤外線ガスセンサを得ることができる。
【0011】
構造体の外表面に赤外線光源部を駆動する光源部制御用導電パターンを備える場合は、リードフレーム等の別体の導体を用いる場合に比べて、部品点数を減らすことができコスト面及び製造工程上有利である。加えて、別体の導体を用いる場合に比べて断線のおそれが低減され、より信頼性に優れた赤外線ガスセンサとすることができる。
【0012】
ヒータパターンが、その埋設箇所により発熱量が異なる場合には、本赤外線ガスセンサ(特に構造体)の構成、構造、形状等に起因して、本赤外線ガスセンサの各部位による比熱や熱引きが異なる場合であっても、本赤外線ガスセンサ全体の温度をより適切に制御できる。とりわけ、全体により均一な温度に制御しつつ(温度分布を抑制しながら)、すみやかに所望の温度に昇温させることができる。これにより、赤外線検出部の出力安定性を向上させて、測定精度をよりよくすることができる。
【0013】
構造体の外表面、構造体の内壁面、及び、構造体の壁内、のうちの少なくともいずれかの部位に金属層を備える場合は、この金属層を熱伝導層として機能させて、本赤外線ガスセンサの温度をより均一に制御でき、これによってより精度の高い測定を行うことができる。また、特に構造体の内壁面に金属層を備える場合には、この金属層が赤外線反射層として機能されて、赤外線光源部から赤外線受光部まで減衰をより抑えて赤外線を到達させることができる。そして、これにより測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の赤外線ガスセンサを説明する模式的な断面図である。
【図2】図1に備えられた赤外線受光部を説明する模式的な断面図である。
【図3】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図4】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図5】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図6】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図7】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図8】赤外線ガスセンサのバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図9】赤外線ガスセンサのバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図10】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図11】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図12】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図13】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図14】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図15】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図16】金属層のバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図17】金属層のバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図18】金属層のバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図19】赤外線ガスセンサのバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図20】赤外線ガスセンサのバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明について、図1〜図20を参照しながら以下詳細に説明する。
〈1〉赤外線ガスセンサ
本発明の赤外線ガスセンサ1は、赤外線光源部11、ガス流通部13、及び赤外線受光部15を備え、赤外線光源部11から放射された赤外線のうち、ガス流通部13内の被測定ガスによって吸収された赤外線量を、赤外線受光部15で検出して、被測定ガスに含まれた成分ガスの濃度を測定する赤外線ガスセンサであって、
ガス流通部13の内部空隙Xを構成するとともに、内部空隙Xと外部雰囲気Yの間で被測定ガスを流通できる通気部133を有したセラミック製の構造体131を備え、
構造体131は、構造体131を構成する壁132内に埋設されたヒータパターン141を備えることを特徴とする。
【0016】
上記「赤外線光源部(11)」は、赤外線を放射する部位である。通常、赤外線光源部11は、少なくとも1つ以上の赤外線光源111を有する。赤外線光源111は、1つのみを有してもよく、2つ以上を有してもよい。また、赤外線光源111の態様は特に限定されず、赤外線を放射することができるものであればどのようなものを用いてもよい。
【0017】
即ち、赤外線光源111としては、(1)抵抗体を発熱させて赤外線を放射する赤外線光源、(2)赤外線を放射する半導体レーザーなどを利用することができる。これらの赤外線光源111は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、(1)抵抗体を発熱させて赤外線を放射する赤外線光源が好ましい。この(1)の赤外線光源としては、金属抵抗体を発熱源とする赤外線光源、セラミックス抵抗体を発熱源とする赤外線光源が挙げられる。これらのうちでは、応答性の観点から金属抵抗体を発熱源とする赤外線光源が好ましい。
【0018】
赤外線光源部11は、上記赤外線光源111を備える他、他の構成を備えることができる。他の構成としては、赤外線光源111に電源を供給するための光源配線112が挙げられる。この光源配線112としては、通常の線材を用いてもよく、また、リードフレーム等を用いてもよい。
【0019】
上記「赤外線受光部(15)」は、通常、少なくとも1つ以上の受光素子150を有する。受光素子150は、1つのみを有してもよく、2つ以上を有してもよい。また、受光素子150の態様は特に限定されず、赤外線の光量を検知できるものであればどのようなものを用いてもよい。即ち、受光素子150としては、(1)サーモパイル素子、(2)焦電素子、(3)フォトダイオード素子などを利用することができる。これらの受光素子150は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、赤外線ガスセンサ全体の小型化が容易であることから(1)サーモパイル素子を用いることが好ましい。
【0020】
この赤外線受光部15は、上記受光素子150を備える他、他の構成を備えることができる。他の構成としては、フィルタ155が挙げられる。フィルタ155としては、受光素子150へ到達する光を選択するためのバンドパスフィルタが挙げられる。フィルタ155は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を備える場合には、透過帯域の異なる2種以上のフィルタを併用することができる。
【0021】
より具体的には、例えば、被測定ガスに含まれる成分ガスによって吸収されない帯域(即ち、成分ガスに影響されない帯域)の赤外線を透過させつつ、被測定ガスに含まれる成分ガスによって吸収される帯域の赤外線を透過させないバンドパスフィルタ(例えば、図2におけるバンドパスフィルタ156)をフィルタ155として利用することができる。このようなフィルタ155を、赤外線光源111と受光素子150(例えば、図2の受光素子151)の間に介在させた場合には、成分ガスに影響されない帯域の赤外線を測定し、赤外線量の基準値を測定する受光素子151として機能させることができる。
【0022】
また、被測定ガスに含まれる成分ガスによって吸収され易い所定の帯域(即ち、成分ガスに影響される帯域)の赤外線のみを透過させるバンドパスフィルタ(例えば、図2におけるバンドパスフィルタ157)をフィルタ155として利用することができる。このようなフィルタ155を、赤外線光源111と受光素子150(例えば、図2の受光素子152)の間に介在させた場合には、成分ガスによって吸収された後の赤外線の光量を測定する受光素子152として機能させることができる。
【0023】
更に、これらを組合せて用いた赤外線受光部15(図2参照)を用いた場合には、高い測定精度を有する赤外線ガスセンサ1を得ることができる。即ち、バンドパスフィルタ156と受光素子151とによって赤外線光源部11から放射された赤外線量の総量A(基準値)に基づいて、バンドパスフィルタ157と受光素子152とが成分ガスによって吸収された後の赤外線量Bを補正することができる。これにより、バンドパスフィルタ157と受光素子152とが成分ガスによって吸収された後の赤外線量Bのみを測定する場合に比べて高い精度の測定を行うことができる。
【0024】
上記「ガス流通部(13)」は、被測定ガスを滞留できる内部空隙Xを有する部位である。このガス流通部13は後述するセラミック製の構造体131により構成される。ガス流通部13は、構造体131全体を利用して構成されてもよく、構造体131の一部を利用して構成されてもよい。
ガス流通部13及び内部空隙Xの態様は特に限定されず、例えば、図8に例示されるように、赤外線光源部11と赤外線受光部15との間に挟まれるようにして配置することができる。このような態様である場合には、一端134側に配置された赤外線光源部11から放射された赤外線は、ガス流通部13の内部空隙Xを通過して、他端135側に配置された赤外線受光部15へ到達されることとなる。
【0025】
更に、図9に例示されるように、赤外線光源部11と赤外線受光部15とが備えられた一端に対して、その他の部位をガス流通部13として利用してもよい。このような態様である場合には、一端134側に配置された赤外線光源部11から放射された赤外線は、ガス流通部13の内部空隙Xを通過して、他端135側で反射されて再び一端134側に戻ってきた赤外線を赤外線受光部15で受光することとなる。
【0026】
上記「構造体(131)」は、ガス流通部13の内部空隙Xを構成するとともに、内部空隙Xと外部雰囲気Yの間で被測定ガスを流通できる通気部133を有したセラミック製の構造体である。更に、構造体131は、この構造体131を構成する壁132(以下、単に「構成壁132」ともいう)内に埋設されたヒータパターン141を備える。即ち、構造体131は、それ自体がセラミックヒータとして機能するものである。
【0027】
この構造体131の形状は特に限定されず、例えば、筒形状、立方体形状などとすることができるが、筒形状であることが好ましい。筒形状とは、略均一な厚さの構造壁132によって囲まれた細長い内部空間Xを有する形状である。この構造体131の端部は各々開放されていてもよく、閉じられていてもよいが、通常、開放されている。即ち、例えば、図1に例示されるように、一端134側には、赤外線光源111を収容するための開口を有し、他端135側には、赤外線受光素子部15を収容するための開口を有することができる。
構造体131が、筒形状である場合には、赤外線光源11から放射された赤外線がガス流通部13の内部空隙Xの壁面を反射して一端134から他端135の方向に進む際に、効率よく反射できることから赤外線の反射による減衰を少なくすることができ、より精度の高い赤外線ガスセンサ1とすることができる。
【0028】
更に、構造体131が筒形状である場合には、図1及び図8に例示されるように、赤外線光源部11は構造体131の一端134側に配置され、赤外線受光部15は構造体131の他端135側に配置されて、赤外線光源部11及び赤外線受光部15がガス流通部13を介して対向して配置された態様を容易に図ることができる。このような態様である場合には、一端134側に配置された赤外線光源部11から放射された赤外線は、内部空隙Xを通過して、他端135側に配置された赤外線受光部15へ到達されることとなる。
【0029】
一方、構造体131が筒形状である場合には、図9に例示されるように、赤外線光源部11及び赤外線受光部15の両方を、構造体131の一端134側に配置して、他端135側を赤外線の反射に利用(即ち、例えば、構造体131の他端135の内側に赤外線反射層を設ける)することができる。このような態様である場合には、一端134側に配置された赤外線光源部11から放射された赤外線は、内部空隙Xを通過して、他端135側へ到達し、他端135で反射されて、再び内部空隙Xを通過して、一端134側に戻ってきた赤外線を赤外線受光部15で受光することとなる。この図9に例示される態様は、図1及び図8に例示される様態と同じ大きさの構造体131で比較すると、復路分の光路長を長くすることができ好ましい。
【0030】
更に、構造体131に形成された内部空隙Xは、図1及び図8に例示されるように、赤外線光源部11の側(即ち、構造体131の一端134の側)においてR形状をなすことができる。図1及び図8のように赤外線光源部11の側においてR形状をなす場合には、赤外線光源部11から放射された赤外線を集光して、他端135により効率的に放射でき、赤外線受光部15に到達される赤外線量をより大きくできる。同様に、図9に例示されるように、一端134側に赤外線光源部11及び赤外線受光部15を備える場合には、他端135側をR形状とすることで、赤外線受光部15に到達される赤外線量をより大きくできる。
【0031】
構造体131を構成するセラミックス(セラミック焼結体)は特に限定されないが、高温(特に温度200〜300度)においても絶縁性を十分に得ることができるセラミックスであることが好ましい。このようなセラミックスとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素等が挙げられる。これらのなかでは、熱伝導率に優れ、耐食性にも優れていることからアルミナが好ましい。更に、このアルミナは、通常、緻密であり、内部空隙Xと外部雰囲気Yとの間は上記通気部133以外の部位においては非通気であることが好ましい。具体的には、例えば、アルミナにおいては、相対密度の割合(理論密度3.9g/cm3に対する実際の密度の割合)が90〜100%の緻密性を有することが好ましい。
【0032】
また、構造体131の内表面には、赤外線を反射するのに適した金属層(以下、単に「内部金属層」ともいう)を備えることができる。内部金属層を備えることにより、赤外線光源部11から放射された赤外線が構造体131内部でより効率的に反射されて赤外線受光部15へ到達する光量を大きくすることができる。この内部金属層を構成する金属の種類は特に限定されないが、銀、アルミニウム、金、銅、ニッケル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく併用してもよい。内部金属層の形成手段は特に限定されないがめっき、蒸着、塗装、焼付け、或いは樹脂等の母材上に金属層を形成したシートや金属箔を内表面に接着して形成する手段などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく併用してもよい。
尚、後述する、構造体の外表面、構造体の内壁面、及び、構造体の壁内、のうちの少なくともいずれかの部位に備える金属層のうちの、構造体の内壁面に備えられた金属層は、上記赤外線を反射するのに適した金属層を含むものである。
【0033】
上記「ヒータパターン(141)」は、構造体131の構成壁132内に埋設された導電パターンであって、通電により発熱するパターンである。このヒータパターン141を構造体131がその構造壁132内に備えることにより、構造体131はセラミックヒータとして機能される。これにより、構造体131の外側に熱源を備える場合に比べて熱効率に優れ、より優れた起動性を得ることができる。
即ち、前述のように、赤外線ガスセンサ1では、赤外線の光路内に水を生じると赤外線の吸収や乱反射を誘発しガス濃度測定の妨げとなるため、各測定のたびに早く結露及び氷結等を防止できる環境を形成する必要がある。この環境は、被測定ガスの温度よりも構造体131内の温度を高くすることで形成できる。従って、この昇温時間を短縮することで濃度測定を開始できるまでの時間を短縮(即ち、暖気時間の短縮)できることとなる。本構造では、構造体131の構造壁132内にヒータパターン141を有することで、優れた熱効率が発揮され、ヒータからの熱を構造体131内へ効率的に伝搬でき、従来に比べてより早く構造体131内の温度を非測定ガスの温度よりも高くすることができる。
【0034】
また、このヒータパターン141は、構造壁132とともに一体的に焼成されたものであることが好ましい。構造壁132とともに一体的に焼成されたヒータパターン141は、構造壁132を構成するセラミックス内に密閉された状態にあるため、とりわけヒータパターン141から内部空隙Xへの熱伝達性に優れ、赤外線ガスセンサ自体の立ち上がり時間を短縮することができる。また、急速な加熱を行ったとしてもヒータパターン141の部分的な過加熱が防止される。更に、外気(被測定ガスを含む)及び水等に曝されないためヒータパターン141の酸化や浸食を防止できヒータパターン141の耐久性を向上させることができる。これらの作用により、内部空隙X内の被測定ガスの温度をより的確且つ早く制御することができ、高い起動性と高い信頼性を得ることができる。
【0035】
更に、ヒータパターン141は、構造壁132内にどのように配置されてもよいが、図1に例示されるように、赤外線光源部11の少なくとも一部をカバーするように配置されることが好ましく、更には、赤外線光源111の全部をカバーするように配置されることがより好ましい。これにより赤外線光源部11に対する結露を防止でき、より正確な測定を行うことができる。
また、ヒータパターン141は、図1に例示されるように、赤外線受光部15の少なくとも一部をカバーするように配置されることが好ましい。更には、図1に例示されるようにバンドパスフィルタ(図2における符号156)を備える場合には、バンドパスフィルタ(図2における符号156)をカバーするように配置されることがより好ましい。これにより赤外線受光部15に対する結露を防止でき、より正確な測定を行うことができる。
【0036】
更に、ヒータパターン141は、その埋設箇所により発熱量が異なるものとすることができる。即ち、換言すれば、2箇所以上の発熱量が異なる領域を有することができる。ヒータパターン141が、その埋設箇所により発熱量が異なる場合には、本赤外線ガスセンサ1(特に構造体131)の構成、構造、形状等に起因して、本赤外線ガスセンサ1の各部位における比熱や熱引きなどが異なる場合であっても、本赤外線ガスセンサ全体の温度をより適切に制御できる。とりわけ、昇温時にヒータの発熱量に分布を持たせることで、構造体131全体においては温度分布を生じることを抑制しつつ所望の温度にまですみやかに昇温させることができる。これによって、ヒータ通電後に、赤外線ガスセンサ1の出力を早期に安定させることができ、赤外線ガスセンサ1の起動時間を短縮できるとともに、より優れた測定精度を得ることができる。
尚、必要であれば、特定の箇所の温度を他の部位に比べて高く制御することや、特定の箇所の温度を他の部位に比べて低く制御すること等もできる。
【0037】
このようなヒータパターン141は、(1)ヒータパターンを構成するパターン配線の単位面積あたりの抵抗値が異なること、(2)ヒータパターンのパターン密度が異なること、などによって得ることができる。より具体的には、上記(1)の場合として、(1−1)パターン配線の断面積が異なること、(1−2)パターン配線に配合される金属成分の含有量が異なること、などによって、単位面積あたりの抵抗値を所望の領域で変化させることができる。また、上記(2)の場合として、(2−1)ヒータパターンのパターン密度(パターン配線の粗密)が異なることによって、上記発熱量を所望の領域で変化させることができる。
【0038】
即ち、例えば、図10及び図11に例示されるように、ヒータパターン141を構成する配線の断面積を中央部146bで大きく(配線幅を広く)し、端部146aで小さく(配線幅を狭く)することにより、ヒータパターン141内で抵抗値が低い領域146bと、この領域に対して抵抗値がより高い領域146aとを形成できる。これによって発熱量の小さい領域146bと、この領域に対して発熱量がより大きい領域146aとを形成できる。
また、図12〜図15に例示されるように、ヒータパターン141を構成する配線密度(単位面積あたりに占める配線面積の割合)を中央部146bで粗くし、端部146aで密とすることにより、発熱量の小さい領域146bと、この領域に対して発熱量がより大きい領域146aとを形成できる。
更には、これらを組み合わせて、配線の断面積と配線密度との両方を所望の領域で各々変化させて、発熱量の小さい領域と、この領域に対して発熱量がより大きい領域とを形成することもできる。
【0039】
更に、通常、ヒータパターン141は、このヒータパターン141に対して外部から電力を供給するためにランドパターン144を備える。このランドパターン144は、図10、図12及び図14に例示されるように、発熱量がより大きい領域146aに配置してもよいし、図11、図13及び図15に例示されるように、発熱量がより小さい領域146bに配置してもよい。このうちでは、後者であれば、発熱ロスを抑制して、埋設箇所により発熱量が異なるヒータパターン141をより効果的に活用することができる。
【0040】
尚、図10〜図15における点線141aは、ヒータパターン141を、図3に適用した場合におけるヒータ用未焼成シート172の外形に相当する線である。更に、図10〜図15におけるヒータパターン141は、図3におけるヒータパターン172bに対応し、図10〜図15におけるランドパターン144は、図3におけるランドパターン172cに、対応する。
【0041】
また、特に図10〜図15に例示されたヒータパターン141は、図1、図16−図18に例示された筒形状をなす構造体131に適用することがとりわけ好ましい。即ち、構造体131が筒形状をなし、赤外線光源部11が構造体131の一端側134に配置され、赤外線受光部15が構造体131の他端側135に配置されて、赤外線光源部11及び赤外線受光部15がガス流通部13を介して対向して配置された形態(図1、図16−図18参照)の赤外線ガスセンサ1に対して好適である。このような赤外線ガスセンサ1の構造体131では、一端側134及び他端側135の熱引きが中央部に比べて大きいために、両端部の温度が低下し易い。これに対して、図10〜図15に例示されたヒータパターン141を、筒形状をなす構造体131を備えた赤外線ガスセンサ1に適用した場合には、熱引きの大きい構造体131の両端部にヒータパターン141のうちのより発熱量が大きい領域146aが配置されることとなり、熱引きの大きい両端部で多くの熱量を加えることができる。更に、熱引きが相対的に小さい領域では熱供給を抑えることもでき、構造体131の全体をより均一な温度に維持することができる。
【0042】
更に、通気部133は、構造体131の構造壁132に設けられた通気路であって、内部空隙Xと外部雰囲気Yの間で被測定ガスを流通できる部位(経路)である。この通気部133は、少なくとも1つを備えればよいが、2つ以上を備えてもよい。また、通気部133は、貫通孔であってもよく、また、貫通孔が通気性材料により充填された形態であってもよい。通気性材料により通気部133が充填されている場合には、通気性材料がフィルタとして機能され、内部空隙X内に塵などが侵入することを防止できる。
【0043】
構造体131は、上記構造壁132、上記通気部133及び上記ヒータパターン141以外に、他部を備えることができる。他部としては、例えば、温度測定用導電パターン142が挙げられる。温度測定用導電パターン142は、構造体の温度を測定できる導体パターンである。この温度測定用導体パターン142を備える場合には、このパターン142により測定される温度情報をフィードバックして、ヒータパターン141への通電制御を行うことで、より正確な温度コントロールを行うことができる。
【0044】
温度測定用導体パターン142は、ヒータパターン141とどのような位置関係で配置されてもよい。即ち、例えば、温度測定用導体パターン142をヒータパターン141よりも内側(内部空隙Xにより近い側)に配置することができる。また、温度測定用導体パターン142をヒータパターン141よりも外側(内部空隙Xにより遠い側)に配置することができる。これらのうちでは前者が好ましい。即ち、温度定用導体パターン142がヒータパターン141よりも内部空隙Xに近く配置されることが好ましい。このように配置することで、内部空隙X内の温度をより正確にコントロールすることができる。
【0045】
更に、構造体131は、他部として、赤外線光源部11を駆動する光源部制御用導電パターン143を備えることができる。光源部制御用導電パターン143は、構造体131の内部に備えてもよいが、図1に例示されるように、構造体131の外表面に配置できる。これにより、赤外線ガスセンサ1の大きさをより小さく抑制して、コンパクトなセンサとすることができる。光源部制御用導電パターン143は、構造体131を構成するセラミックスとともに一体的に焼成されていてもよいし、めっき等の方法を用い構造体131の焼成後に形成されてもよい。
【0046】
また、構造体131は、構造体131の外表面(図18参照)、構造体の内壁面、及び、構造体の壁内(図16及び図17参照)、のうちの少なくともいずれかの部位に、ヒータパターン141と接続しない形で金属層20を備えることができる。このように金属層20を備える場合には、金属層20を熱伝導体として機能させて、ヒータパターン141による熱をより無駄なく利用して、本赤外線ガスセンサ1の温度をより均一に制御することができる。そして、これによってより精度の高い測定を行うことができる。
また、特に構造体131の内壁面に金属層20を備える場合(図16及び図17参照)には、この金属層20(詳細には金属層20の最表面)が赤外線反射部として機能されて、赤外線光源部11から赤外線受光部15まで減衰をより抑えて赤外線を到達させることができる。そして、これにより測定精度を向上させることができる。
【0047】
上記金属層20の材質及び形状等は特に限定されない。その材質としては、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル等を利用することができる。これらの金属は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよく、更には、これらの金属を主成分(当該金属を50質量%以上を含有)とする合金を用いてもよい。更に、この金属層20の形成手段は特に限定されず、めっき、蒸着、塗装、焼付け、或いは樹脂等の母材上に金属層を形成したシートや金属箔を接着して形成する手段などが挙げられる。また、特に構造体の壁内に金属層20を配置する場合には、ヒータパターン141等の形成と同様に未焼成ペーストをグリーンシートに対して印刷した層を他層と一体的に焼成して得ることもできる。
尚、構造体の壁内に金属層20を配置したときには、金属層20の最表面を用いて赤外線を効果的に反射させられる態様にできるが、赤外線の反射率の向上を図る目的で、金属層20の最表面を研磨するようにしても良い。この研磨は適宜の手法で行えばよい。また、金属層を形成したシートや金属箔を接着して形成する場合には、金属層20の形成前又は後に研磨を行い、それ以外の手法(めっき、蒸着、焼付け等)では金属層20の形成後に研磨を行えばよい。
【0048】
この金属層20の平面形状は特に限定されず、構造体131の外表面、構造体の内壁面、及び、構造体の壁内の各々全面に配置されてもよく、これらの一部の領域にのみ配置されてもよい。また、構造体131の内壁面に配置される場合には、金属層20は、前述の通り赤外線反射層として機能されるとともに、熱伝導層(均熱層とも言える)としても機能されるために、その全面に配置されることが好ましい。
【0049】
また、構造体の内壁面に金属層20を配置した場合には、金属層20を耐食性被膜で被覆することができる。耐食性被膜で金属層20を覆うことにより、被検ガスや環境ガスによる腐食を防止して、長期間安定した測定を行うことができる。この耐食性被膜の材質は特に限定されないものの、化学的な安定性に優れ、赤外線の反射率が高い材質が好ましく、更には、熱伝導率が高い材質であることが好ましいことから、金(Au)が好適である。
【0050】
本発明の赤外線ガスセンサ1は、上記以外の他の構成を更に備えることができる。他の構成としては、外部雰囲気Yから内部空隙Xへの異物の混入を防止するためのエアフィルタ22が挙げられる。このエアフィルタ22は、通気部133を覆うように配置することができる(図16〜図18参照)。更に、図17に例示するように、構造体の一端側134(赤外線光源部11の側)に、赤外線光源部11から発射された赤外線をより効果的に赤外線受光部15側へ反射させるための反射鏡21を備えることができる。このような反射鏡21としては、内部表面が鏡面とされた金属等を用いることができる。
【0051】
更に、上記以外の他の構成としては、断熱材160(断熱層)が挙げられる(図19参照)。断熱層160は、構造体131を覆うように配置することが好ましい。即ち、例えば、構造体131を巻回するように配置できる。断熱材160の材質は特に限定されないが、温度100度以上の耐熱性を有する材料であることが好ましい。より具体的には、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ガラスウール等を利用できる。これらの材質は、緻密体として利用してもよく、発泡体として利用してもよい。
【0052】
また、本発明の赤外線ガスセンサ1は、他の構成として、温度スイッチ165を備えることができる(図11参照)。温度スイッチを備えることで過加熱を確実に防止してより高い安全性を得ることができる。この温度スイッチは、例えば、断熱材160を備える場合には、断熱材160と構造体131との間に介在させることができる。また、温度スイッチとしては、温度ヒューズ(電力ヒューズ)、バイメタルスイッチなどを利用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0053】
更に、その他、赤外線ガスセンサ1の外部機能として、内部空隙Xと外部雰囲気Yとの間で被測定ガスを流通させるためのポンプ(排気ポンプ又は給気ポンプ)を用いることができる。更に、赤外線ガスセンサに搭載された受光素子150から出力された信号を処理するための演算回路を用いることができる。加えて、温度測定用導電パターン142を備える場合には、温度測定用導電パターン142から得られる情報を処理するとともに、その情報をフィードバックして、光源部制御用導電パターン143への通電を制御する演算回路を用いることができる。
【0054】
本発明の赤外線ガスセンサは、その用途も特に限定されない。例えば、呼気センサ(呼気中のCO2濃度測定、呼気中のアルコール濃度測定など)、生体センサ(呼気中のCO2濃度測定)、農業用センサ(植物育成環境のCO2濃度測定)、家庭内の各種燃焼機器用センサ(燃焼排気中のCO濃度測定、燃焼排気中のCH4濃度測定)、自動車用センサ(排気ガス中のCO濃度測定、排気ガス中のNO濃度測定)などが挙げられる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
〈1〉赤外線ガスセンサの製造
(1)温度測定用未焼成シート171の作製
セラミックグリーンシート(アルミナ粉末、バインダ及び可塑剤など含む)に対して、1組の貫通孔171aを孔設する。更に、一方の表面に導体ペースト(タングステン粉末、アルミナ粉末、バインダ及び溶剤などを含む)を印刷して、温度測定用導電パターン171b及びランドパターン171cを形成する。
【0056】
(2)ヒータ用未焼成シート172の作製
セラミックグリーンシート(アルミナ粉末、バインダ及び可塑剤など含む)に対して、1組の貫通孔172aを孔設する。更に、一方の表面に導体ペースト(タングステン粉末、アルミナ粉末、バインダ及び溶剤などを含む)を印刷して、ヒータパターン172b及びランドパターン172cを形成する。
【0057】
(3)外側未焼成シート173の作製
セラミックグリーンシート(アルミナ粉末、バインダ及び可塑剤など含む)に対して、1組の貫通孔173aを孔設する。更に、一方の表面に導体ペースト(タングステン粉末、アルミナ粉末、バインダ及び溶剤などを含む)を印刷して、光源部制御用導電パターン173b及びランドパターン173cを形成する。
【0058】
(4)未焼成積層体の作製
上記(1)−(3)までに得られた各未焼成シートの他面(一方の表面には各種未焼成導体パターン等が形成されている)に溶剤を塗布し、上記(1)で得られた温度測定用未焼成シート171を最下層とし、図3に示す順に順次積層して、更に、圧着プレスして未焼成積層体17を得る。得られる未焼成積層体17は、未焼成積層体の表面17A側に外側未焼成シート173が配置され、未焼成積層体の裏面17B側に温度測定用未焼成シート171が配置される(図3及び図4参照)。
尚、図示されないスルーホールがランドパターン171c、172c及び173cに形成されており、各未焼成シートを積層した後に、導体ペーストを印刷充填することで、焼成後に各層間に配置されたパターン同士の導通を得ることができる。
【0059】
(5)未焼成内管18の作製
アルミナ粉末をバインダとともに造粒した造粒粉末を円筒型内に投入し、次いで、この円筒型内に投入された造粒粉末を、先窄まりに前端が絞り込まれた略円柱形状をなすプレス内型で押圧して、一端側(図1における符号134の側)において集光可能なR付けされた内部形状(図1参照)を有する未焼成プレス体を得る。
次いで、貫通孔181a及び赤外線光源部収容孔181bとなる各貫通孔をドリル形成して、1組の貫通孔181aと赤外線光源部収容孔181bと赤外線受光部収容孔181cとを有した未焼成内管18を得る(図5参照)。尚、この後、(4)までに得られた未焼成積層体17の裏面17B(図5参照)を、得られた未焼成内管18の外表面に当接させるようにして未焼成積層体17を未焼成内管18に巻回する(図6参照)こととなる。
【0060】
(6)未焼成構造体19の作製
上記(4)で得られた未焼成積層体17の裏面17Bに溶剤を塗布した後、上記(5)で得られた未焼成内管18の表面に、この未焼成積層体17を貫通孔同士が対応するように巻回(図6参照)し、未焼成積層体17が内管18の表面に巻回された一体となった未焼成構造体19(図7参照)を得る(図9に示す通気部133は、焼成後の符号を共通して用いる)。尚、各未焼成シートの貫通孔171a、172a、173a及び未焼成内管18に形成された貫通孔181aが対応して積層・巻回されることで、各貫通孔は連通されて焼成されて通気部133となる経路を形成する。
【0061】
(7)未焼成構造体19の焼成
上記(6)までに得られた未焼成構造体19を焼成炉に投入し、所定の温度で焼成することにより構造体131を得る。この構造体の断面は図1に示される。
【0062】
(8)赤外線光源部11及び赤外線受光部15の配設
予め組み立てられた赤外線光源部11及び赤外線受光部15を上記(7)で得られた構造体131に配設する。即ち、図1に示すように、カップ状の導体の中心部に赤外線光源111が取り付けられた状態の赤外線光源部11を、構造体131の一端134に被せるようにして取り付けることで、赤外線光源111が赤外線光源部収容孔181b内に収容されて、カップ状の導体の先端が構造体131の外表面の光源部制御用導電パターン143の端部と接続部149として接続されることとなる(図1参照)。
【0063】
更に、図2に示すように、2つのバンドパスフィルタ155と、2つの赤外線受光素子150とを備える赤外線受光部15を、構造体131の赤外線受光部収容孔181cに収容する。赤外線受光部15は、成分ガスによって吸収されない帯域の赤外線を透過するバンドパスフィルタ156と、成分ガスによって吸収される帯域の赤外線を透過するバンドパスフィルタ157と、を各々赤外線受光素子としてのサーモパイル151とサーモパイル152の前方(赤外線光源111が配置される側)に備えるものである。
このようにして、赤外線ガスセンサ1を得ることができる。
【0064】
本実施例の赤外線ガスセンサ1は、赤外線光源111から放射された赤外線のうち、内部空隙Xに滞留された成分ガスによって吸収されない帯域の光は、バンドパスフィルタ156を透過して、サーモパイル151(参照側、即ち、基準側)に到達し、この赤外線の光量が測定される。更に、赤外線光源111から放射された赤外線のうち、内部空隙Xに滞留された成分ガスによって吸収される帯域の光は、バンドパスフィルタ157を透過して、サーモパイル152(検知側、即ち、測定側)に到達し、この赤外線の光量が測定される。サーモパイル151で測定される光量は、成分ガスの影響を受けないため赤外線光源111の放射量に応じた値となる。一方、サーモパイル152で測定される光量は、成分ガスによって吸収された残部の値となる。従って、これらの2つのサーモパイル150の出力を比較することによって成分ガスの濃度を測定できる。
【0065】
そして、上記測定の際に、構造体131内に密閉されたヒータパターン141を発熱させることによって、極めて早い時間で内部空隙X内の温度を昇温させることができる。この時には、例えば、被測定ガスの露点よりも僅かに高い温度に内部空隙X内の温度を維持することで結露を防止した測定を行うことができる。更に、ヒータパターン141が、図1に示すように赤外線光源部11及び赤外線受光部15を覆って配置されているために確実に内部空隙X内の温度を全域にわたって制御することができ、特に高い精度で測定を行うことができる。また、温度測定用導電パターン142を備えるために、温度測定用導電パターン142から得られる情報をフィードバックして、光源部制御用導電パターン143への通電を制御して、特に正確に内部空隙X内の温度を制御できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の赤外線ガスセンサは、その用途も特に限定されない。例えば、呼気センサ(呼気中のCO2濃度測定、呼気中のアルコール濃度測定など)、生体センサ(呼気中のCO2濃度測定)、農業用センサ(植物育成環境のCO2濃度測定)、家庭内の各種燃焼機器用センサ(燃焼排気中のCO濃度測定、燃焼排気中のCH4濃度測定)、自動車用センサ(排気ガス中のCO濃度測定、排気ガス中のNO濃度測定)などが挙げられる。
【符号の説明】
【0067】
1;赤外線ガスセンサ、
11;赤外線光源部、111;赤外線光源、112;光源配線、
13;ガス流通部、
131;構造体、132;構造壁(構造体を構成する壁)、133;通気部、134;構造体の一端、135;構造体の他端側、
141;ヒータパターン、142;温度測定用導電パターン、143;光源部制御用導電パターン、149;接続部(光源配線と光源部制御用導電パターンとの接続部)、144;ランドパターン、146b;発熱量の小さい領域、146a;発熱量が大きい領域、
15;赤外線受光部、150;受光素子、151;第1の受光素子、152;第2の受光素子、155;フィルタ、156;第1のバンドパスフィルタ、157;第2のバンドパスフィルタ、
160;断熱材、165;温度スイッチ、
17;未焼成積層体、17A;未焼成積層体の表面、17B;未焼成積層体の裏面、
171;温度測定用未焼成シート、171a;貫通孔、171b;温度測定用導電パターン、171c;ランドパターン、
172;ヒータ用未焼成シート、172a;貫通孔、172b;ヒータパターン、172c;ランドパターン、
173;外側未焼成シート、173a;貫通孔、173b;光源部制御用導電パターン、173c;ランドパターン、
18;未焼成内管、181a;貫通孔、181b;赤外線光源部収容孔、181c;赤外線受光部収容孔、
19;未焼成構造体、
20;金属層、
21;反射鏡、
22;エアフィルタ
X;内部空隙、Y;外部雰囲気。
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外線ガスセンサに関する。更に詳しくは、放射された赤外線のうち被測定ガスによって吸収される赤外線量を検出し、被測定ガス中の成分ガス濃度を測定する赤外線ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、測定環境下において、直接的且つ連続的に測定を行うことができる赤外線ガスセンサが求められている。特に被測定ガスによって吸収される赤外線量を検出し、被測定ガス中の成分ガス濃度を測定できる高い起動性を有する赤外線ガスセンサが望まれている。
この測定環境下において、直接的且つ連続的に成分ガスの濃度を測定しようとした場合、結露及び氷結が問題となる。即ち、被測定ガスに水蒸気が含まれるとともに、結露によって水を生じることや、氷結によって氷を生じることがある。しかし、水{液体及び固体(氷)の状態等を含む}は、赤外線を吸収したり、反射や屈折したりする特性を有する。このため、赤外線ガスセンサのガス流通部や空隙の内表面に水が存在すると、赤外線の吸収や乱反射を生じて、ガスの濃度を測定する際の妨げとなる。このため、被測定ガス中の水蒸気による結露及び氷結をどのように防止するかが問題となる。このような問題に対して、下記特許文献1に開示された技術が知られている。
尚、下記特許文献2として、赤外線光源にセラミックヒータを用いた赤外線ガスセンサが、更に、下記特許文献3として、赤外線ガスセンサの赤外線受光部に好適に利用できる赤外線検知素子が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−105947号公報
【特許文献2】特開平9−33431号公報
【特許文献3】特開2010−107299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の赤外線ガス分析計は、測定セル部とヒータにより所定の温度に加熱された筒状フィルタと、測定ガスの出入口を持ち、内面が同軸の筒状外筐体とで構成し、さらに外筐体の両側面に赤外線透過窓を配置した構成を有する(特許文献1の図3参照)。この赤外線ガス分析計は、ヒータを有するためにヒータで筒状フィルタを加熱することにより、結露防止を行うことができる点で優れている。
【0005】
しかし、上述の構造を得るためには、筒状フィルタにヒータを巻回する必要があること、加えて、複雑な二重管構造を呈していることから、このような赤外線ガスセンサを得るには高いコストを生じる。更に、ヒータが筒状フィルタの表面に巻回されているために、ヒータの熱が筒状フィルタの外側へと逃げてしまう一方、急加熱を行うとヒータが溶断してしまうおそれがあり、ヒータの熱を筒状フィルタ内に十分に伝達し難いという問題ある。ヒータからの熱伝達が劣ると結果的に筒状フィルタ内の温度を上昇させるのに時間を要し、赤外線ガスセンサとしての起動時間を増大させることとなる。このため、より優れた起動性を得る観点からより早い加熱特性が望まれる。また、ヒータが被測定雰囲気に曝されているため、腐食され易く耐久性の観点からこれを抑制することが望まれる。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、より簡便な構造で、急加熱が可能であるとともにヒータの耐食性に優れた赤外線ガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は以下に示す通りである。
〈1〉赤外線光源部、ガス流通部、及び赤外線受光部を備えた赤外線ガスセンサであり、
前記赤外線光源部から放射された赤外線のうち、前記ガス流通部内の被測定ガスによって吸収された赤外線量を、前記赤外線受光部で検出して、前記被測定ガスに含まれた成分ガスの濃度を測定する赤外線ガスセンサであって、
前記ガス流通部の内部空隙を構成するとともに、該内部空隙と外部雰囲気の間で前記被測定ガスを流通できる通気部を有したセラミック製の構造体を備え、
前記構造体は、該構造体を構成する壁内に埋設されたヒータパターンを備えることを特徴とする赤外線ガスセンサ。
〈2〉前記構造体は、筒形状をなし、
前記赤外線光源部は前記構造体の一端側に配置され、前記赤外線受光部は前記構造体の他端側に配置されて、前記赤外線光源部及び前記赤外線受光部が前記ガス流通部を介して対向して配置する前記〈1〉に記載の赤外線ガスセンサ。
〈3〉前記構造体は、該構造体を構成する壁内に埋設された温度測定用導電パターンを備える前記〈1〉又は〈2〉に記載の赤外線ガスセンサ。
〈4〉前記構造体は、該構造体の外表面に前記赤外線光源部を駆動する光源部制御用導電パターンを備える前記〈1〉乃至〈3〉のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
〈5〉前記ヒータパターンは、その埋設箇所により発熱量が異なる前記〈1〉乃至〈4〉のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
〈6〉前記構造体の外表面、前記構造体の内壁面、及び、前記構造体の壁内、のうちの少なくともいずれかの部位に金属層を備える前記〈1〉乃至〈5〉のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
【発明の効果】
【0008】
本発明の赤外線ガスセンサによれば、簡便な構造で、急加熱が可能であるとともにヒータの耐食性に優れた赤外線ガスセンサとすることができる。即ち、セラミック製の構造体の内部にヒータが埋設されているために、構造体の外表面にヒータが配設されている場合に比べて構造体内部に対して熱を伝達し易い。このために、構造体内のガス流通部の温度をより高速に制御でき、被測定ガスの結露を防止することができる。このため、高い起動性を得ることができる。加えて、セラミック製の構造体内にヒータパターンが埋設されているために、ヒータパターンが直接被測定ガスに曝されることがなく耐食性に優れた赤外線ガスセンサを得ることができる。
【0009】
構造体が筒形状をなし、赤外線光源部が構造体の一端側に配置され、赤外線受光部が構造体の他端側に配置されて、赤外線光源部及び赤外線受光部がガス流通部を介して対向して配置されている場合には、赤外線の反射による減衰を小さく抑制でき、より大きな信号を得ることができるために、より正確な濃度測定を行うことができる。
【0010】
構造体を構成する壁内に埋設された温度測定用導電パターンを備える場合は、実際に測定される被測定ガスに近い位置で温度測定を行うことができ、ガス流通部の温度をより正確且つ早く制御できる。加えて、セラミック製の構造体内に温度測定用導電パターンが埋設されているために、温度測定用導電パターンが直接被測定ガスに曝されることがなく耐食性に優れた赤外線ガスセンサを得ることができる。
【0011】
構造体の外表面に赤外線光源部を駆動する光源部制御用導電パターンを備える場合は、リードフレーム等の別体の導体を用いる場合に比べて、部品点数を減らすことができコスト面及び製造工程上有利である。加えて、別体の導体を用いる場合に比べて断線のおそれが低減され、より信頼性に優れた赤外線ガスセンサとすることができる。
【0012】
ヒータパターンが、その埋設箇所により発熱量が異なる場合には、本赤外線ガスセンサ(特に構造体)の構成、構造、形状等に起因して、本赤外線ガスセンサの各部位による比熱や熱引きが異なる場合であっても、本赤外線ガスセンサ全体の温度をより適切に制御できる。とりわけ、全体により均一な温度に制御しつつ(温度分布を抑制しながら)、すみやかに所望の温度に昇温させることができる。これにより、赤外線検出部の出力安定性を向上させて、測定精度をよりよくすることができる。
【0013】
構造体の外表面、構造体の内壁面、及び、構造体の壁内、のうちの少なくともいずれかの部位に金属層を備える場合は、この金属層を熱伝導層として機能させて、本赤外線ガスセンサの温度をより均一に制御でき、これによってより精度の高い測定を行うことができる。また、特に構造体の内壁面に金属層を備える場合には、この金属層が赤外線反射層として機能されて、赤外線光源部から赤外線受光部まで減衰をより抑えて赤外線を到達させることができる。そして、これにより測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の赤外線ガスセンサを説明する模式的な断面図である。
【図2】図1に備えられた赤外線受光部を説明する模式的な断面図である。
【図3】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図4】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図5】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図6】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図7】本発明に用いられる構造体の構成を説明するとともに、本赤外線ガスセンサの製造方法を説明する模式的な斜視図である。
【図8】赤外線ガスセンサのバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図9】赤外線ガスセンサのバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図10】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図11】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図12】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図13】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図14】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図15】ヒータパターンのバリエーションを説明する模式的な斜視図である。
【図16】金属層のバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図17】金属層のバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図18】金属層のバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図19】赤外線ガスセンサのバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【図20】赤外線ガスセンサのバリエーションを説明する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明について、図1〜図20を参照しながら以下詳細に説明する。
〈1〉赤外線ガスセンサ
本発明の赤外線ガスセンサ1は、赤外線光源部11、ガス流通部13、及び赤外線受光部15を備え、赤外線光源部11から放射された赤外線のうち、ガス流通部13内の被測定ガスによって吸収された赤外線量を、赤外線受光部15で検出して、被測定ガスに含まれた成分ガスの濃度を測定する赤外線ガスセンサであって、
ガス流通部13の内部空隙Xを構成するとともに、内部空隙Xと外部雰囲気Yの間で被測定ガスを流通できる通気部133を有したセラミック製の構造体131を備え、
構造体131は、構造体131を構成する壁132内に埋設されたヒータパターン141を備えることを特徴とする。
【0016】
上記「赤外線光源部(11)」は、赤外線を放射する部位である。通常、赤外線光源部11は、少なくとも1つ以上の赤外線光源111を有する。赤外線光源111は、1つのみを有してもよく、2つ以上を有してもよい。また、赤外線光源111の態様は特に限定されず、赤外線を放射することができるものであればどのようなものを用いてもよい。
【0017】
即ち、赤外線光源111としては、(1)抵抗体を発熱させて赤外線を放射する赤外線光源、(2)赤外線を放射する半導体レーザーなどを利用することができる。これらの赤外線光源111は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、(1)抵抗体を発熱させて赤外線を放射する赤外線光源が好ましい。この(1)の赤外線光源としては、金属抵抗体を発熱源とする赤外線光源、セラミックス抵抗体を発熱源とする赤外線光源が挙げられる。これらのうちでは、応答性の観点から金属抵抗体を発熱源とする赤外線光源が好ましい。
【0018】
赤外線光源部11は、上記赤外線光源111を備える他、他の構成を備えることができる。他の構成としては、赤外線光源111に電源を供給するための光源配線112が挙げられる。この光源配線112としては、通常の線材を用いてもよく、また、リードフレーム等を用いてもよい。
【0019】
上記「赤外線受光部(15)」は、通常、少なくとも1つ以上の受光素子150を有する。受光素子150は、1つのみを有してもよく、2つ以上を有してもよい。また、受光素子150の態様は特に限定されず、赤外線の光量を検知できるものであればどのようなものを用いてもよい。即ち、受光素子150としては、(1)サーモパイル素子、(2)焦電素子、(3)フォトダイオード素子などを利用することができる。これらの受光素子150は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、赤外線ガスセンサ全体の小型化が容易であることから(1)サーモパイル素子を用いることが好ましい。
【0020】
この赤外線受光部15は、上記受光素子150を備える他、他の構成を備えることができる。他の構成としては、フィルタ155が挙げられる。フィルタ155としては、受光素子150へ到達する光を選択するためのバンドパスフィルタが挙げられる。フィルタ155は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を備える場合には、透過帯域の異なる2種以上のフィルタを併用することができる。
【0021】
より具体的には、例えば、被測定ガスに含まれる成分ガスによって吸収されない帯域(即ち、成分ガスに影響されない帯域)の赤外線を透過させつつ、被測定ガスに含まれる成分ガスによって吸収される帯域の赤外線を透過させないバンドパスフィルタ(例えば、図2におけるバンドパスフィルタ156)をフィルタ155として利用することができる。このようなフィルタ155を、赤外線光源111と受光素子150(例えば、図2の受光素子151)の間に介在させた場合には、成分ガスに影響されない帯域の赤外線を測定し、赤外線量の基準値を測定する受光素子151として機能させることができる。
【0022】
また、被測定ガスに含まれる成分ガスによって吸収され易い所定の帯域(即ち、成分ガスに影響される帯域)の赤外線のみを透過させるバンドパスフィルタ(例えば、図2におけるバンドパスフィルタ157)をフィルタ155として利用することができる。このようなフィルタ155を、赤外線光源111と受光素子150(例えば、図2の受光素子152)の間に介在させた場合には、成分ガスによって吸収された後の赤外線の光量を測定する受光素子152として機能させることができる。
【0023】
更に、これらを組合せて用いた赤外線受光部15(図2参照)を用いた場合には、高い測定精度を有する赤外線ガスセンサ1を得ることができる。即ち、バンドパスフィルタ156と受光素子151とによって赤外線光源部11から放射された赤外線量の総量A(基準値)に基づいて、バンドパスフィルタ157と受光素子152とが成分ガスによって吸収された後の赤外線量Bを補正することができる。これにより、バンドパスフィルタ157と受光素子152とが成分ガスによって吸収された後の赤外線量Bのみを測定する場合に比べて高い精度の測定を行うことができる。
【0024】
上記「ガス流通部(13)」は、被測定ガスを滞留できる内部空隙Xを有する部位である。このガス流通部13は後述するセラミック製の構造体131により構成される。ガス流通部13は、構造体131全体を利用して構成されてもよく、構造体131の一部を利用して構成されてもよい。
ガス流通部13及び内部空隙Xの態様は特に限定されず、例えば、図8に例示されるように、赤外線光源部11と赤外線受光部15との間に挟まれるようにして配置することができる。このような態様である場合には、一端134側に配置された赤外線光源部11から放射された赤外線は、ガス流通部13の内部空隙Xを通過して、他端135側に配置された赤外線受光部15へ到達されることとなる。
【0025】
更に、図9に例示されるように、赤外線光源部11と赤外線受光部15とが備えられた一端に対して、その他の部位をガス流通部13として利用してもよい。このような態様である場合には、一端134側に配置された赤外線光源部11から放射された赤外線は、ガス流通部13の内部空隙Xを通過して、他端135側で反射されて再び一端134側に戻ってきた赤外線を赤外線受光部15で受光することとなる。
【0026】
上記「構造体(131)」は、ガス流通部13の内部空隙Xを構成するとともに、内部空隙Xと外部雰囲気Yの間で被測定ガスを流通できる通気部133を有したセラミック製の構造体である。更に、構造体131は、この構造体131を構成する壁132(以下、単に「構成壁132」ともいう)内に埋設されたヒータパターン141を備える。即ち、構造体131は、それ自体がセラミックヒータとして機能するものである。
【0027】
この構造体131の形状は特に限定されず、例えば、筒形状、立方体形状などとすることができるが、筒形状であることが好ましい。筒形状とは、略均一な厚さの構造壁132によって囲まれた細長い内部空間Xを有する形状である。この構造体131の端部は各々開放されていてもよく、閉じられていてもよいが、通常、開放されている。即ち、例えば、図1に例示されるように、一端134側には、赤外線光源111を収容するための開口を有し、他端135側には、赤外線受光素子部15を収容するための開口を有することができる。
構造体131が、筒形状である場合には、赤外線光源11から放射された赤外線がガス流通部13の内部空隙Xの壁面を反射して一端134から他端135の方向に進む際に、効率よく反射できることから赤外線の反射による減衰を少なくすることができ、より精度の高い赤外線ガスセンサ1とすることができる。
【0028】
更に、構造体131が筒形状である場合には、図1及び図8に例示されるように、赤外線光源部11は構造体131の一端134側に配置され、赤外線受光部15は構造体131の他端135側に配置されて、赤外線光源部11及び赤外線受光部15がガス流通部13を介して対向して配置された態様を容易に図ることができる。このような態様である場合には、一端134側に配置された赤外線光源部11から放射された赤外線は、内部空隙Xを通過して、他端135側に配置された赤外線受光部15へ到達されることとなる。
【0029】
一方、構造体131が筒形状である場合には、図9に例示されるように、赤外線光源部11及び赤外線受光部15の両方を、構造体131の一端134側に配置して、他端135側を赤外線の反射に利用(即ち、例えば、構造体131の他端135の内側に赤外線反射層を設ける)することができる。このような態様である場合には、一端134側に配置された赤外線光源部11から放射された赤外線は、内部空隙Xを通過して、他端135側へ到達し、他端135で反射されて、再び内部空隙Xを通過して、一端134側に戻ってきた赤外線を赤外線受光部15で受光することとなる。この図9に例示される態様は、図1及び図8に例示される様態と同じ大きさの構造体131で比較すると、復路分の光路長を長くすることができ好ましい。
【0030】
更に、構造体131に形成された内部空隙Xは、図1及び図8に例示されるように、赤外線光源部11の側(即ち、構造体131の一端134の側)においてR形状をなすことができる。図1及び図8のように赤外線光源部11の側においてR形状をなす場合には、赤外線光源部11から放射された赤外線を集光して、他端135により効率的に放射でき、赤外線受光部15に到達される赤外線量をより大きくできる。同様に、図9に例示されるように、一端134側に赤外線光源部11及び赤外線受光部15を備える場合には、他端135側をR形状とすることで、赤外線受光部15に到達される赤外線量をより大きくできる。
【0031】
構造体131を構成するセラミックス(セラミック焼結体)は特に限定されないが、高温(特に温度200〜300度)においても絶縁性を十分に得ることができるセラミックスであることが好ましい。このようなセラミックスとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素等が挙げられる。これらのなかでは、熱伝導率に優れ、耐食性にも優れていることからアルミナが好ましい。更に、このアルミナは、通常、緻密であり、内部空隙Xと外部雰囲気Yとの間は上記通気部133以外の部位においては非通気であることが好ましい。具体的には、例えば、アルミナにおいては、相対密度の割合(理論密度3.9g/cm3に対する実際の密度の割合)が90〜100%の緻密性を有することが好ましい。
【0032】
また、構造体131の内表面には、赤外線を反射するのに適した金属層(以下、単に「内部金属層」ともいう)を備えることができる。内部金属層を備えることにより、赤外線光源部11から放射された赤外線が構造体131内部でより効率的に反射されて赤外線受光部15へ到達する光量を大きくすることができる。この内部金属層を構成する金属の種類は特に限定されないが、銀、アルミニウム、金、銅、ニッケル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく併用してもよい。内部金属層の形成手段は特に限定されないがめっき、蒸着、塗装、焼付け、或いは樹脂等の母材上に金属層を形成したシートや金属箔を内表面に接着して形成する手段などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく併用してもよい。
尚、後述する、構造体の外表面、構造体の内壁面、及び、構造体の壁内、のうちの少なくともいずれかの部位に備える金属層のうちの、構造体の内壁面に備えられた金属層は、上記赤外線を反射するのに適した金属層を含むものである。
【0033】
上記「ヒータパターン(141)」は、構造体131の構成壁132内に埋設された導電パターンであって、通電により発熱するパターンである。このヒータパターン141を構造体131がその構造壁132内に備えることにより、構造体131はセラミックヒータとして機能される。これにより、構造体131の外側に熱源を備える場合に比べて熱効率に優れ、より優れた起動性を得ることができる。
即ち、前述のように、赤外線ガスセンサ1では、赤外線の光路内に水を生じると赤外線の吸収や乱反射を誘発しガス濃度測定の妨げとなるため、各測定のたびに早く結露及び氷結等を防止できる環境を形成する必要がある。この環境は、被測定ガスの温度よりも構造体131内の温度を高くすることで形成できる。従って、この昇温時間を短縮することで濃度測定を開始できるまでの時間を短縮(即ち、暖気時間の短縮)できることとなる。本構造では、構造体131の構造壁132内にヒータパターン141を有することで、優れた熱効率が発揮され、ヒータからの熱を構造体131内へ効率的に伝搬でき、従来に比べてより早く構造体131内の温度を非測定ガスの温度よりも高くすることができる。
【0034】
また、このヒータパターン141は、構造壁132とともに一体的に焼成されたものであることが好ましい。構造壁132とともに一体的に焼成されたヒータパターン141は、構造壁132を構成するセラミックス内に密閉された状態にあるため、とりわけヒータパターン141から内部空隙Xへの熱伝達性に優れ、赤外線ガスセンサ自体の立ち上がり時間を短縮することができる。また、急速な加熱を行ったとしてもヒータパターン141の部分的な過加熱が防止される。更に、外気(被測定ガスを含む)及び水等に曝されないためヒータパターン141の酸化や浸食を防止できヒータパターン141の耐久性を向上させることができる。これらの作用により、内部空隙X内の被測定ガスの温度をより的確且つ早く制御することができ、高い起動性と高い信頼性を得ることができる。
【0035】
更に、ヒータパターン141は、構造壁132内にどのように配置されてもよいが、図1に例示されるように、赤外線光源部11の少なくとも一部をカバーするように配置されることが好ましく、更には、赤外線光源111の全部をカバーするように配置されることがより好ましい。これにより赤外線光源部11に対する結露を防止でき、より正確な測定を行うことができる。
また、ヒータパターン141は、図1に例示されるように、赤外線受光部15の少なくとも一部をカバーするように配置されることが好ましい。更には、図1に例示されるようにバンドパスフィルタ(図2における符号156)を備える場合には、バンドパスフィルタ(図2における符号156)をカバーするように配置されることがより好ましい。これにより赤外線受光部15に対する結露を防止でき、より正確な測定を行うことができる。
【0036】
更に、ヒータパターン141は、その埋設箇所により発熱量が異なるものとすることができる。即ち、換言すれば、2箇所以上の発熱量が異なる領域を有することができる。ヒータパターン141が、その埋設箇所により発熱量が異なる場合には、本赤外線ガスセンサ1(特に構造体131)の構成、構造、形状等に起因して、本赤外線ガスセンサ1の各部位における比熱や熱引きなどが異なる場合であっても、本赤外線ガスセンサ全体の温度をより適切に制御できる。とりわけ、昇温時にヒータの発熱量に分布を持たせることで、構造体131全体においては温度分布を生じることを抑制しつつ所望の温度にまですみやかに昇温させることができる。これによって、ヒータ通電後に、赤外線ガスセンサ1の出力を早期に安定させることができ、赤外線ガスセンサ1の起動時間を短縮できるとともに、より優れた測定精度を得ることができる。
尚、必要であれば、特定の箇所の温度を他の部位に比べて高く制御することや、特定の箇所の温度を他の部位に比べて低く制御すること等もできる。
【0037】
このようなヒータパターン141は、(1)ヒータパターンを構成するパターン配線の単位面積あたりの抵抗値が異なること、(2)ヒータパターンのパターン密度が異なること、などによって得ることができる。より具体的には、上記(1)の場合として、(1−1)パターン配線の断面積が異なること、(1−2)パターン配線に配合される金属成分の含有量が異なること、などによって、単位面積あたりの抵抗値を所望の領域で変化させることができる。また、上記(2)の場合として、(2−1)ヒータパターンのパターン密度(パターン配線の粗密)が異なることによって、上記発熱量を所望の領域で変化させることができる。
【0038】
即ち、例えば、図10及び図11に例示されるように、ヒータパターン141を構成する配線の断面積を中央部146bで大きく(配線幅を広く)し、端部146aで小さく(配線幅を狭く)することにより、ヒータパターン141内で抵抗値が低い領域146bと、この領域に対して抵抗値がより高い領域146aとを形成できる。これによって発熱量の小さい領域146bと、この領域に対して発熱量がより大きい領域146aとを形成できる。
また、図12〜図15に例示されるように、ヒータパターン141を構成する配線密度(単位面積あたりに占める配線面積の割合)を中央部146bで粗くし、端部146aで密とすることにより、発熱量の小さい領域146bと、この領域に対して発熱量がより大きい領域146aとを形成できる。
更には、これらを組み合わせて、配線の断面積と配線密度との両方を所望の領域で各々変化させて、発熱量の小さい領域と、この領域に対して発熱量がより大きい領域とを形成することもできる。
【0039】
更に、通常、ヒータパターン141は、このヒータパターン141に対して外部から電力を供給するためにランドパターン144を備える。このランドパターン144は、図10、図12及び図14に例示されるように、発熱量がより大きい領域146aに配置してもよいし、図11、図13及び図15に例示されるように、発熱量がより小さい領域146bに配置してもよい。このうちでは、後者であれば、発熱ロスを抑制して、埋設箇所により発熱量が異なるヒータパターン141をより効果的に活用することができる。
【0040】
尚、図10〜図15における点線141aは、ヒータパターン141を、図3に適用した場合におけるヒータ用未焼成シート172の外形に相当する線である。更に、図10〜図15におけるヒータパターン141は、図3におけるヒータパターン172bに対応し、図10〜図15におけるランドパターン144は、図3におけるランドパターン172cに、対応する。
【0041】
また、特に図10〜図15に例示されたヒータパターン141は、図1、図16−図18に例示された筒形状をなす構造体131に適用することがとりわけ好ましい。即ち、構造体131が筒形状をなし、赤外線光源部11が構造体131の一端側134に配置され、赤外線受光部15が構造体131の他端側135に配置されて、赤外線光源部11及び赤外線受光部15がガス流通部13を介して対向して配置された形態(図1、図16−図18参照)の赤外線ガスセンサ1に対して好適である。このような赤外線ガスセンサ1の構造体131では、一端側134及び他端側135の熱引きが中央部に比べて大きいために、両端部の温度が低下し易い。これに対して、図10〜図15に例示されたヒータパターン141を、筒形状をなす構造体131を備えた赤外線ガスセンサ1に適用した場合には、熱引きの大きい構造体131の両端部にヒータパターン141のうちのより発熱量が大きい領域146aが配置されることとなり、熱引きの大きい両端部で多くの熱量を加えることができる。更に、熱引きが相対的に小さい領域では熱供給を抑えることもでき、構造体131の全体をより均一な温度に維持することができる。
【0042】
更に、通気部133は、構造体131の構造壁132に設けられた通気路であって、内部空隙Xと外部雰囲気Yの間で被測定ガスを流通できる部位(経路)である。この通気部133は、少なくとも1つを備えればよいが、2つ以上を備えてもよい。また、通気部133は、貫通孔であってもよく、また、貫通孔が通気性材料により充填された形態であってもよい。通気性材料により通気部133が充填されている場合には、通気性材料がフィルタとして機能され、内部空隙X内に塵などが侵入することを防止できる。
【0043】
構造体131は、上記構造壁132、上記通気部133及び上記ヒータパターン141以外に、他部を備えることができる。他部としては、例えば、温度測定用導電パターン142が挙げられる。温度測定用導電パターン142は、構造体の温度を測定できる導体パターンである。この温度測定用導体パターン142を備える場合には、このパターン142により測定される温度情報をフィードバックして、ヒータパターン141への通電制御を行うことで、より正確な温度コントロールを行うことができる。
【0044】
温度測定用導体パターン142は、ヒータパターン141とどのような位置関係で配置されてもよい。即ち、例えば、温度測定用導体パターン142をヒータパターン141よりも内側(内部空隙Xにより近い側)に配置することができる。また、温度測定用導体パターン142をヒータパターン141よりも外側(内部空隙Xにより遠い側)に配置することができる。これらのうちでは前者が好ましい。即ち、温度定用導体パターン142がヒータパターン141よりも内部空隙Xに近く配置されることが好ましい。このように配置することで、内部空隙X内の温度をより正確にコントロールすることができる。
【0045】
更に、構造体131は、他部として、赤外線光源部11を駆動する光源部制御用導電パターン143を備えることができる。光源部制御用導電パターン143は、構造体131の内部に備えてもよいが、図1に例示されるように、構造体131の外表面に配置できる。これにより、赤外線ガスセンサ1の大きさをより小さく抑制して、コンパクトなセンサとすることができる。光源部制御用導電パターン143は、構造体131を構成するセラミックスとともに一体的に焼成されていてもよいし、めっき等の方法を用い構造体131の焼成後に形成されてもよい。
【0046】
また、構造体131は、構造体131の外表面(図18参照)、構造体の内壁面、及び、構造体の壁内(図16及び図17参照)、のうちの少なくともいずれかの部位に、ヒータパターン141と接続しない形で金属層20を備えることができる。このように金属層20を備える場合には、金属層20を熱伝導体として機能させて、ヒータパターン141による熱をより無駄なく利用して、本赤外線ガスセンサ1の温度をより均一に制御することができる。そして、これによってより精度の高い測定を行うことができる。
また、特に構造体131の内壁面に金属層20を備える場合(図16及び図17参照)には、この金属層20(詳細には金属層20の最表面)が赤外線反射部として機能されて、赤外線光源部11から赤外線受光部15まで減衰をより抑えて赤外線を到達させることができる。そして、これにより測定精度を向上させることができる。
【0047】
上記金属層20の材質及び形状等は特に限定されない。その材質としては、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル等を利用することができる。これらの金属は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよく、更には、これらの金属を主成分(当該金属を50質量%以上を含有)とする合金を用いてもよい。更に、この金属層20の形成手段は特に限定されず、めっき、蒸着、塗装、焼付け、或いは樹脂等の母材上に金属層を形成したシートや金属箔を接着して形成する手段などが挙げられる。また、特に構造体の壁内に金属層20を配置する場合には、ヒータパターン141等の形成と同様に未焼成ペーストをグリーンシートに対して印刷した層を他層と一体的に焼成して得ることもできる。
尚、構造体の壁内に金属層20を配置したときには、金属層20の最表面を用いて赤外線を効果的に反射させられる態様にできるが、赤外線の反射率の向上を図る目的で、金属層20の最表面を研磨するようにしても良い。この研磨は適宜の手法で行えばよい。また、金属層を形成したシートや金属箔を接着して形成する場合には、金属層20の形成前又は後に研磨を行い、それ以外の手法(めっき、蒸着、焼付け等)では金属層20の形成後に研磨を行えばよい。
【0048】
この金属層20の平面形状は特に限定されず、構造体131の外表面、構造体の内壁面、及び、構造体の壁内の各々全面に配置されてもよく、これらの一部の領域にのみ配置されてもよい。また、構造体131の内壁面に配置される場合には、金属層20は、前述の通り赤外線反射層として機能されるとともに、熱伝導層(均熱層とも言える)としても機能されるために、その全面に配置されることが好ましい。
【0049】
また、構造体の内壁面に金属層20を配置した場合には、金属層20を耐食性被膜で被覆することができる。耐食性被膜で金属層20を覆うことにより、被検ガスや環境ガスによる腐食を防止して、長期間安定した測定を行うことができる。この耐食性被膜の材質は特に限定されないものの、化学的な安定性に優れ、赤外線の反射率が高い材質が好ましく、更には、熱伝導率が高い材質であることが好ましいことから、金(Au)が好適である。
【0050】
本発明の赤外線ガスセンサ1は、上記以外の他の構成を更に備えることができる。他の構成としては、外部雰囲気Yから内部空隙Xへの異物の混入を防止するためのエアフィルタ22が挙げられる。このエアフィルタ22は、通気部133を覆うように配置することができる(図16〜図18参照)。更に、図17に例示するように、構造体の一端側134(赤外線光源部11の側)に、赤外線光源部11から発射された赤外線をより効果的に赤外線受光部15側へ反射させるための反射鏡21を備えることができる。このような反射鏡21としては、内部表面が鏡面とされた金属等を用いることができる。
【0051】
更に、上記以外の他の構成としては、断熱材160(断熱層)が挙げられる(図19参照)。断熱層160は、構造体131を覆うように配置することが好ましい。即ち、例えば、構造体131を巻回するように配置できる。断熱材160の材質は特に限定されないが、温度100度以上の耐熱性を有する材料であることが好ましい。より具体的には、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ガラスウール等を利用できる。これらの材質は、緻密体として利用してもよく、発泡体として利用してもよい。
【0052】
また、本発明の赤外線ガスセンサ1は、他の構成として、温度スイッチ165を備えることができる(図11参照)。温度スイッチを備えることで過加熱を確実に防止してより高い安全性を得ることができる。この温度スイッチは、例えば、断熱材160を備える場合には、断熱材160と構造体131との間に介在させることができる。また、温度スイッチとしては、温度ヒューズ(電力ヒューズ)、バイメタルスイッチなどを利用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0053】
更に、その他、赤外線ガスセンサ1の外部機能として、内部空隙Xと外部雰囲気Yとの間で被測定ガスを流通させるためのポンプ(排気ポンプ又は給気ポンプ)を用いることができる。更に、赤外線ガスセンサに搭載された受光素子150から出力された信号を処理するための演算回路を用いることができる。加えて、温度測定用導電パターン142を備える場合には、温度測定用導電パターン142から得られる情報を処理するとともに、その情報をフィードバックして、光源部制御用導電パターン143への通電を制御する演算回路を用いることができる。
【0054】
本発明の赤外線ガスセンサは、その用途も特に限定されない。例えば、呼気センサ(呼気中のCO2濃度測定、呼気中のアルコール濃度測定など)、生体センサ(呼気中のCO2濃度測定)、農業用センサ(植物育成環境のCO2濃度測定)、家庭内の各種燃焼機器用センサ(燃焼排気中のCO濃度測定、燃焼排気中のCH4濃度測定)、自動車用センサ(排気ガス中のCO濃度測定、排気ガス中のNO濃度測定)などが挙げられる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
〈1〉赤外線ガスセンサの製造
(1)温度測定用未焼成シート171の作製
セラミックグリーンシート(アルミナ粉末、バインダ及び可塑剤など含む)に対して、1組の貫通孔171aを孔設する。更に、一方の表面に導体ペースト(タングステン粉末、アルミナ粉末、バインダ及び溶剤などを含む)を印刷して、温度測定用導電パターン171b及びランドパターン171cを形成する。
【0056】
(2)ヒータ用未焼成シート172の作製
セラミックグリーンシート(アルミナ粉末、バインダ及び可塑剤など含む)に対して、1組の貫通孔172aを孔設する。更に、一方の表面に導体ペースト(タングステン粉末、アルミナ粉末、バインダ及び溶剤などを含む)を印刷して、ヒータパターン172b及びランドパターン172cを形成する。
【0057】
(3)外側未焼成シート173の作製
セラミックグリーンシート(アルミナ粉末、バインダ及び可塑剤など含む)に対して、1組の貫通孔173aを孔設する。更に、一方の表面に導体ペースト(タングステン粉末、アルミナ粉末、バインダ及び溶剤などを含む)を印刷して、光源部制御用導電パターン173b及びランドパターン173cを形成する。
【0058】
(4)未焼成積層体の作製
上記(1)−(3)までに得られた各未焼成シートの他面(一方の表面には各種未焼成導体パターン等が形成されている)に溶剤を塗布し、上記(1)で得られた温度測定用未焼成シート171を最下層とし、図3に示す順に順次積層して、更に、圧着プレスして未焼成積層体17を得る。得られる未焼成積層体17は、未焼成積層体の表面17A側に外側未焼成シート173が配置され、未焼成積層体の裏面17B側に温度測定用未焼成シート171が配置される(図3及び図4参照)。
尚、図示されないスルーホールがランドパターン171c、172c及び173cに形成されており、各未焼成シートを積層した後に、導体ペーストを印刷充填することで、焼成後に各層間に配置されたパターン同士の導通を得ることができる。
【0059】
(5)未焼成内管18の作製
アルミナ粉末をバインダとともに造粒した造粒粉末を円筒型内に投入し、次いで、この円筒型内に投入された造粒粉末を、先窄まりに前端が絞り込まれた略円柱形状をなすプレス内型で押圧して、一端側(図1における符号134の側)において集光可能なR付けされた内部形状(図1参照)を有する未焼成プレス体を得る。
次いで、貫通孔181a及び赤外線光源部収容孔181bとなる各貫通孔をドリル形成して、1組の貫通孔181aと赤外線光源部収容孔181bと赤外線受光部収容孔181cとを有した未焼成内管18を得る(図5参照)。尚、この後、(4)までに得られた未焼成積層体17の裏面17B(図5参照)を、得られた未焼成内管18の外表面に当接させるようにして未焼成積層体17を未焼成内管18に巻回する(図6参照)こととなる。
【0060】
(6)未焼成構造体19の作製
上記(4)で得られた未焼成積層体17の裏面17Bに溶剤を塗布した後、上記(5)で得られた未焼成内管18の表面に、この未焼成積層体17を貫通孔同士が対応するように巻回(図6参照)し、未焼成積層体17が内管18の表面に巻回された一体となった未焼成構造体19(図7参照)を得る(図9に示す通気部133は、焼成後の符号を共通して用いる)。尚、各未焼成シートの貫通孔171a、172a、173a及び未焼成内管18に形成された貫通孔181aが対応して積層・巻回されることで、各貫通孔は連通されて焼成されて通気部133となる経路を形成する。
【0061】
(7)未焼成構造体19の焼成
上記(6)までに得られた未焼成構造体19を焼成炉に投入し、所定の温度で焼成することにより構造体131を得る。この構造体の断面は図1に示される。
【0062】
(8)赤外線光源部11及び赤外線受光部15の配設
予め組み立てられた赤外線光源部11及び赤外線受光部15を上記(7)で得られた構造体131に配設する。即ち、図1に示すように、カップ状の導体の中心部に赤外線光源111が取り付けられた状態の赤外線光源部11を、構造体131の一端134に被せるようにして取り付けることで、赤外線光源111が赤外線光源部収容孔181b内に収容されて、カップ状の導体の先端が構造体131の外表面の光源部制御用導電パターン143の端部と接続部149として接続されることとなる(図1参照)。
【0063】
更に、図2に示すように、2つのバンドパスフィルタ155と、2つの赤外線受光素子150とを備える赤外線受光部15を、構造体131の赤外線受光部収容孔181cに収容する。赤外線受光部15は、成分ガスによって吸収されない帯域の赤外線を透過するバンドパスフィルタ156と、成分ガスによって吸収される帯域の赤外線を透過するバンドパスフィルタ157と、を各々赤外線受光素子としてのサーモパイル151とサーモパイル152の前方(赤外線光源111が配置される側)に備えるものである。
このようにして、赤外線ガスセンサ1を得ることができる。
【0064】
本実施例の赤外線ガスセンサ1は、赤外線光源111から放射された赤外線のうち、内部空隙Xに滞留された成分ガスによって吸収されない帯域の光は、バンドパスフィルタ156を透過して、サーモパイル151(参照側、即ち、基準側)に到達し、この赤外線の光量が測定される。更に、赤外線光源111から放射された赤外線のうち、内部空隙Xに滞留された成分ガスによって吸収される帯域の光は、バンドパスフィルタ157を透過して、サーモパイル152(検知側、即ち、測定側)に到達し、この赤外線の光量が測定される。サーモパイル151で測定される光量は、成分ガスの影響を受けないため赤外線光源111の放射量に応じた値となる。一方、サーモパイル152で測定される光量は、成分ガスによって吸収された残部の値となる。従って、これらの2つのサーモパイル150の出力を比較することによって成分ガスの濃度を測定できる。
【0065】
そして、上記測定の際に、構造体131内に密閉されたヒータパターン141を発熱させることによって、極めて早い時間で内部空隙X内の温度を昇温させることができる。この時には、例えば、被測定ガスの露点よりも僅かに高い温度に内部空隙X内の温度を維持することで結露を防止した測定を行うことができる。更に、ヒータパターン141が、図1に示すように赤外線光源部11及び赤外線受光部15を覆って配置されているために確実に内部空隙X内の温度を全域にわたって制御することができ、特に高い精度で測定を行うことができる。また、温度測定用導電パターン142を備えるために、温度測定用導電パターン142から得られる情報をフィードバックして、光源部制御用導電パターン143への通電を制御して、特に正確に内部空隙X内の温度を制御できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の赤外線ガスセンサは、その用途も特に限定されない。例えば、呼気センサ(呼気中のCO2濃度測定、呼気中のアルコール濃度測定など)、生体センサ(呼気中のCO2濃度測定)、農業用センサ(植物育成環境のCO2濃度測定)、家庭内の各種燃焼機器用センサ(燃焼排気中のCO濃度測定、燃焼排気中のCH4濃度測定)、自動車用センサ(排気ガス中のCO濃度測定、排気ガス中のNO濃度測定)などが挙げられる。
【符号の説明】
【0067】
1;赤外線ガスセンサ、
11;赤外線光源部、111;赤外線光源、112;光源配線、
13;ガス流通部、
131;構造体、132;構造壁(構造体を構成する壁)、133;通気部、134;構造体の一端、135;構造体の他端側、
141;ヒータパターン、142;温度測定用導電パターン、143;光源部制御用導電パターン、149;接続部(光源配線と光源部制御用導電パターンとの接続部)、144;ランドパターン、146b;発熱量の小さい領域、146a;発熱量が大きい領域、
15;赤外線受光部、150;受光素子、151;第1の受光素子、152;第2の受光素子、155;フィルタ、156;第1のバンドパスフィルタ、157;第2のバンドパスフィルタ、
160;断熱材、165;温度スイッチ、
17;未焼成積層体、17A;未焼成積層体の表面、17B;未焼成積層体の裏面、
171;温度測定用未焼成シート、171a;貫通孔、171b;温度測定用導電パターン、171c;ランドパターン、
172;ヒータ用未焼成シート、172a;貫通孔、172b;ヒータパターン、172c;ランドパターン、
173;外側未焼成シート、173a;貫通孔、173b;光源部制御用導電パターン、173c;ランドパターン、
18;未焼成内管、181a;貫通孔、181b;赤外線光源部収容孔、181c;赤外線受光部収容孔、
19;未焼成構造体、
20;金属層、
21;反射鏡、
22;エアフィルタ
X;内部空隙、Y;外部雰囲気。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線光源部、ガス流通部、及び赤外線受光部を備えた赤外線ガスセンサであり、
前記赤外線光源部から放射された赤外線のうち、前記ガス流通部内の被測定ガスによって吸収された赤外線量を、前記赤外線受光部で検出して、前記被測定ガスに含まれた成分ガスの濃度を測定する赤外線ガスセンサであって、
前記ガス流通部の内部空隙を構成するとともに、該内部空隙と外部雰囲気の間で前記被測定ガスを流通できる通気部を有したセラミック製の構造体を備え、
前記構造体は、該構造体を構成する壁内に埋設されたヒータパターンを備えることを特徴とする赤外線ガスセンサ。
【請求項2】
前記構造体は、筒形状をなし、
前記赤外線光源部は前記構造体の一端側に配置され、前記赤外線受光部は前記構造体の他端側に配置されて、前記赤外線光源部及び前記赤外線受光部が前記ガス流通部を介して対向して配置する請求項1に記載の赤外線ガスセンサ。
【請求項3】
前記構造体は、該構造体を構成する壁内に埋設された温度測定用導電パターンを備える請求項1又は2に記載の赤外線ガスセンサ。
【請求項4】
前記構造体は、該構造体の外表面に前記赤外線光源部を駆動する光源部制御用導電パターンを備える請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
【請求項5】
前記ヒータパターンは、その埋設箇所により発熱量が異なる請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
【請求項6】
前記構造体の外表面、前記構造体の内壁面、及び、前記構造体の壁内、のうちの少なくともいずれかの部位に金属層を備える請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
【請求項1】
赤外線光源部、ガス流通部、及び赤外線受光部を備えた赤外線ガスセンサであり、
前記赤外線光源部から放射された赤外線のうち、前記ガス流通部内の被測定ガスによって吸収された赤外線量を、前記赤外線受光部で検出して、前記被測定ガスに含まれた成分ガスの濃度を測定する赤外線ガスセンサであって、
前記ガス流通部の内部空隙を構成するとともに、該内部空隙と外部雰囲気の間で前記被測定ガスを流通できる通気部を有したセラミック製の構造体を備え、
前記構造体は、該構造体を構成する壁内に埋設されたヒータパターンを備えることを特徴とする赤外線ガスセンサ。
【請求項2】
前記構造体は、筒形状をなし、
前記赤外線光源部は前記構造体の一端側に配置され、前記赤外線受光部は前記構造体の他端側に配置されて、前記赤外線光源部及び前記赤外線受光部が前記ガス流通部を介して対向して配置する請求項1に記載の赤外線ガスセンサ。
【請求項3】
前記構造体は、該構造体を構成する壁内に埋設された温度測定用導電パターンを備える請求項1又は2に記載の赤外線ガスセンサ。
【請求項4】
前記構造体は、該構造体の外表面に前記赤外線光源部を駆動する光源部制御用導電パターンを備える請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
【請求項5】
前記ヒータパターンは、その埋設箇所により発熱量が異なる請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
【請求項6】
前記構造体の外表面、前記構造体の内壁面、及び、前記構造体の壁内、のうちの少なくともいずれかの部位に金属層を備える請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の赤外線ガスセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−177690(P2012−177690A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−20262(P2012−20262)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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