説明

赤外線センサを用いた計測装置並びにキャリブレーション方法

【課題】赤外線センサのオフセットを自動的に補正する計測装置を提供すること。
【解決手段】赤外線センサ部1の出力信号をセンサ出力測定部2によって測定する。測定されたセンサ出力のうち必要なセンサ出力をセンサ出力選択部3で選択し、そのセンサ出力をセンサ出力格納部4に格納する。計測装置100は、センサ出力格納部4のデータに基づいて、センサオフセット補正部5によって赤外線センサ1のオフセットを自動的に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサを用いた計測装置並びにそのキャリブレーション方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の赤外線センサを含む一般のセンサは、センサ自身の特性の変化(温度特性など)若しくはセンサ出力を信号処理する電子デバイス(IC、LSI等)の特性の変化に起因するオフセット(平衡時理想出力からのずれ)、センサ1個1個に対するオフセットのばらつき(個体ばらつき)、オフセットの時間的変動(ドリフト)などが生じる場合がある。このうち、オフセットとオフセットばらつきが存在するために所望の動作に問題が発生するような場合には、予め製造工程にて個別に調整し、その調整値を記憶素子(書き換え可能なROM等)に記憶させておく手法がよく知られている。
【0003】
しかしながら、オフセットの時間的変動(以下オフセットドリフトと称す)が生じるような場合には、上記手法を取ることは現実的には不可能である。なぜなら、その時間的変動のパターンをすべて調整するのに、原理上無限のパターンが必要なためである。さらに、仮に有限既定のパターンに限って調整するとしてもコスト対効果の点からみて合理的でない。なぜなら、時間的変動を調整するためにはその時間的変動と同じ時間が必要なためである。この時間が必要なことによって、製造工程における生産性の著しい低下を来たし、その必然的結果としてコストの増大を招来する。
【0004】
したがって、上記オフセットドリフトの発生に起因して所望の動作に問題が発生するような場合には、センサ出力データをモニタして誤動作が発生しないようにする手法が提案されている。たとえば、特許文献1および特許文献2に開示された従来技術では、一般に焦電センサと呼ばれる赤外線センサを用い且つそのセンサ出力に対してしきい値を適宜定めて対象物(物体もしくは生体)の存在を検知判断している。
【0005】
【特許文献1】特開平9−33662号公報
【特許文献2】特開平11−6764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1および特許文献2がともに目的とするところは、あくまでも存在する対象物の有無だけを検知することである。したがって、赤外線センサを使った出力として、その2値化された有無の検知ではなく、レベルを欲するようなアプリケーション(温度測定もしくは距離測定)に対しては、両特許文献ともまったく無力である。
【0007】
両特許文献に開示の技術が上記のような2値化された有無検知しかできない主な理由は、赤外線センサとして微分出力タイプの焦電センサを使っているからである。つまり、対象物がずっと存在し続けている若しくはずっと存在していないという場合、焦電センサではセンサ自身の出力によって存在もしくは非存在の継続を検知することは原理的に不可能である。焦電センサを用いて存在もしくは非存在の継続を検知するには、焦電センサ出力を積分する必要がある。しかし、一般にこの積分演算を行うことは、背景技術の項で書いた「オフセット」および「オフセットドリフト」が大きすぎて、実現が非常に困難である。したがって、焦電センサを用いる場合、2値化された対象物有無検知の目的にアプリケーションが限られている。
【0008】
そこで本発明の目的は、静止した対象物の検出が可能な赤外線センサを用いて、アプリケーションとして温度測定もしくは距離測定のような連続的なレベルの変化を精度よく検出できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特許文献1のように2値化有無検知のためにしきい値を変更するのではなく、赤外線センサのオフセットもしくはオフセットドリフトを赤外線センサ自身の測定結果に基づいて自動的に補正することで上記の目的を達成するもので、以下の構成を備える。
【0010】
すなわち、本発明に係る計測装置は、赤外線センサと、前記赤外線センサの出力値を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された赤外線センサ出力値から複数の赤外線センサデータを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された赤外線センサデータを格納する格納手段と、前記格納手段によって格納された赤外線センサデータに基づいて、前記赤外線センサのオフセットを補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る計測装置は、赤外線センサと、前記赤外線センサの出力値を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された赤外線センサ出力値から複数の赤外線センサデータを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された赤外線センサデータを格納する格納手段と、前記格納手段によって格納された赤外線センサデータに基づいて、前記赤外線センサのオフセットを補正する補正手段とを備え、前記補正手段が前記格納手段によって格納された赤外線センサデータが、第1所定範囲内に入っているか否かを判定する第1判定手段と、前記第1判定手段が真と判定されたときに、前記赤外線センサのオフセットを推定する推定手段と、前記推定手段の結果に基づいて、赤外線センサのオフセットを更新する更新手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る計測装置は、赤外線センサと、前記赤外線センサの出力値を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された赤外線センサ出力値から複数の赤外線センサデータを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された赤外線センサデータを格納する格納手段と、前記格納手段によって格納された赤外線センサデータに基づいて、前記赤外線センサのオフセットを補正する補正手段とを備え、前記補正手段が前記格納手段によって格納された赤外線センサデータが、第1所定範囲内に入っているか否かを判定する第1判定手段と、前記格納手段によって格納された赤外線センサデータに基づいて、前記赤外線センサデータの時間的変化率を演算する時間的変化率演算手段と、前記時間的変化率演算手段によって演算された前記赤外線センサデータの時間的変化率が、第2所定範囲内に入っているか否かを判定する第2判定手段と、前記第1判定手段及び前記第2判定手段の双方により真と判定されたときに、前記赤外線センサのオフセットを推定する推定手段と、前記推定手段の結果に基づいて、赤外線センサのオフセットを更新する更新手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記選択手段は、前記測定手段によって測定された赤外線センサ出力値の直近の所定時間内における複数の赤外線センサデータを選択する手段であって良い。また、前記第1判定手段は、前記格納手段によって格納された赤外線センサデータと、予め定められた赤外線センサのオフセットとの差を演算する演算手段を含み、前記第1判定手段は、前記演算手段によって得られた演算結果が、第1の正のしきい値以上かつ第2の正のしきい値以下、もしくは、第1の負のしきい値以下かつ第2の負のしきい値以上、のどちらかの条件が成立した場合に真と判定する手段であって良い。或いは、前記第2判定手段は、前記時間的変化率演算手段によって演算された時間的変化率が、第3の正のしきい値以下、及び、第3の負のしきい値以上、の双方の条件が成立したときに真と判定する手段であって良い。また、前記推定手段は、前記第1判定手段及び第2判定手段の双方によって真と判定された判定時刻における測定値をオフセット推定値とし、前記更新手段は、オフセット値を前記オフセット推定値に更新することができる。或いは、前記推定手段は、前記第1判定手段及び第2判定手段の双方により真と判定された判定時刻以降における所定数の測定値に基づいて演算される値をオフセット推定値とし、前記更新手段は、オフセット値を前記オフセット推定値に更新することができる。さらに、所定のしきい値を予め設定するしきい値設定手段と、前記しきい値設定手段によって設定されたしきい値と、現在の赤外線センサ測定値とを比較する比較手段と、前記比較手段の結果に基づいて、前記赤外線センサが検知したか否かを判定する赤外線センサ検知判定手段と、をさらに備えることができる。
【0014】
本発明に係る計測装置は、センサと、前記センサの出力値を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定されたセンサ出力値から複数のセンサデータを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択されたセンサデータを格納する格納手段と前記格納手段によって格納されたセンサデータに基づいて、前記センサのオフセットを補正する補正手段とを備え、前記補正手段が、前記格納手段によって格納されたセンサデータが、第1所定範囲内に入っているか否かを判定する第1判定手段と、前記格納手段によって格納されたセンサデータに基づいて、前記センサデータの時間的変化率を演算する時間的変化率演算手段と、前記時間的変化率演算手段によって演算された前記センサデータの時間的変化率が、第2所定範囲内に入っているか否かを判定する第2判定手段と、前記第1判定手段及び前記第2判定手段の双方により真と判定されたときに、前記センサ出力オフセットを推定する推定手段と、前記推定手段の結果に基づいて、センサのオフセットを更新する更新手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
ここで、前記第1所定範囲は、第1の正の所定値乃至第2の正の所定値の範囲、及び、前記第1の正の所定値と絶対値が等しい第1の負の所定値乃至前記第2の正の所定値と絶対値が等しい第2の負の所定値の範囲であり、並びに、前記赤外線センサの出力オフセットの基準値に対して相対的に、前記第1の正の所定値、前記第2の正の所定値、第1の負の所定値、及び、前記第2の負の所定値が定められることができ。また、前記第2所定範囲は、正の所定値乃至該正の所定値と絶対値が等しい負の所定値の範囲であって良い。
【0016】
本発明に係る方法は、赤外線を用いた計測装置のキャリブレーション方法において、赤外線センサの出力値を測定するステップ、該ステップで測定した、赤外線センサ出力値の所定時間内における複数の測定値をバッファに格納するステップ、並びに、前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値に基づいて前記赤外線センサの出力オフセットを補正するステップであって、前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値が、前記赤外線センサの出力オフセットの基準値に対して所定量ドリフトした第1所定範囲内に入っているか否かを判定することと、前記所定時間内における複数の測定値が前記第1所定範囲内に入っていると判定されたときに、該測定値から前記赤外線センサの現在のオフセット値を推定して、該推定値で前記出力オフセットの値を更新することを含むステップを有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る方法は、赤外線センサを用いた計測装置のキャリブレーション方法において、赤外線センサの出力値を測定するステップ、該ステップで測定した、赤外線センサ出力値の所定時間内における複数の測定値をバッファに格納するステップ、並びに、前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値に基づいて前記赤外線センサの出力オフセットを補正するステップであって、前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値が第1所定範囲内に入っているか否か、及び、前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値に基づいて該所定時間内における前記赤外線センサ出力値の時間変化率を演算して該演算した時間変化率が第2所定範囲内に入っているか否かを判定することと、前記所定時間内における複数の測定値が前記第1所定範囲内に入っている、及び、前記所定時間内における前記赤外線センサ出力値の時間変化率が第2所定範囲内に入っていると判定されたときに、前記所定時間内における複数の測定値から前記赤外線センサの現在のオフセット値を推定して該推定値で前記出力オフセットの値を更新することを含むステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記構成を備える本発明装置及び方法によれば、赤外線センサをはじめとするセンサのオフセットおよびオフセットドリフトを自動的に補正することができる。この自動補正は、あくまでもセンサの測定データに基づいて実行されるものであり、ユーザに特別な操作等を要求するものではない。したがって、ユーザの利便性を損ねることなく、センサ測定の精度を向上させることが可能となる。
【0019】
さらに、そのセンサ測定精度の向上によって、必然的に赤外線センサを含む当該センサのアプリケーションの幅を格段に広げることができる。赤外線センサについては、これまであまり使用されることのなかったアプリケーション、例えば携帯電話や電子ゲームといった用途への開拓が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明に係る計測装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1において、参照番号1は赤外線センサを示す。なお、本発明の赤外線センサは発光部を持たなくても検出可能なパッシブ型のものとするが、本発明の趣旨はその検出原理には依存せず、その他のタイプの赤外線センサに対してもそのまま適用可能である。また、一般に焦電センサと呼ばれる微分出力型の赤外線センサに対しても適用可能である。
【0023】
参照番号2は赤外線センサ1の出力を測定するセンサ出力測定部を示す。一般的には、赤外線センサだけでは信号が小さいため、オペアンプ(Operational Amplifier)等の電子デバイスを用いて電気的に増幅される。また必要に応じて、上記の電気的増幅信号が参照番号AD(Analog to Digital)変換回路によってデジタルデータに変換される。
【0024】
参照番号3はセンサ出力測定部2で測定されたセンサ出力から必要なデータを選択するセンサ出力選択部を、参照番号4はセンサ出力選択部3で選択されたセンサ出力を格納するセンサ出力格納部を示す。このセンサ出力選択部3における出力選択の具体的手法、およびセンサ出力格納部4における出力格納(および出力廃棄)の具体的手法については、以下の具体的な演算手法とともに詳しく説明する。
【0025】
参照番号5はセンサオフセット補正部を示す。センサオフセット補正部5の構成をさらに細分化すると、図2、図3のように示すことができる。
【0026】
すなわち、図2においてはセンサオフセット補正部5を、センサ出力格納部4によって格納されたデータに基づいて、赤外線センサ1のオフセットを補正するか否かを自動的に判定するブロック(センサデータ第1判定部5−1)と、センサデータ第1判定部5−1で真と判定されたときに、赤外線センサ1のオフセットを推定するブロック(センサオフセット推定部5−4)と、その推定値に基づいてオフセットを自動的に更新するブロック(センサオフセット更新部5−5)とに分けて示した。
【0027】
図3においてはセンサオフセット補正部5を、赤外線センサ1のセンサデータが第1所定範囲内に入っているか否かを自動的に判定するブロック(センサデータ第1判定部5−1)と、赤外線センサデータの時間的変化率を演算するブロック(センサデータ時間的変化率演算部5−2)と、赤外線センサ1のセンサデータが第2所定範囲内に入っているか否かを判定するブロック(センサデータ第2判定部5−3)と、センサデータ第1判定部5−1およびセンサデータ第2判定部5−3で真と判定されたときに赤外線センサ1のオフセットを推定するブロック(センサオフセット推定部5−4)と、その推定値に基づいてオフセットを自動的に更新するブロック(センサオフセット更新部5−5)とに分けて示した。
【0028】
以下、センサ出力選択部3、センサ出力格納部4、センサオフセット補正部5の具体的な演算手法および判定手法について、第1の判定条件を用いた判定をして校正をする場合<第1実施形態>と、第1の判定条件を用いた判定及び第2の判定条件を用いた判定をして校正をする場合<第2実施形態>とに分けて説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図4は本発明の第1実施形態を説明するための図であり、横軸は時刻、たて軸はセンサ出力測定部2のセンサ出力値を示している。実線はセンサ出力測定部2の実際の出力特性の一例を示す。
【0030】
図5は、本実施形態におけるセンサ出力測定部2、センサ出力選択部3、センサ出力格納部4、オフセット補正部5による処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
はじめに、図4および図5に示すように、予め時刻t0において、センサオフセット(この値をirofとする、以下同様)、第1の正のしきい値(irthp1)、第2の正のしきい値(irthp2)、第1の負のしきい値(irthn1)、第2の負のしきい値(irthn2)を設定する(S500)。なお、これらの大小関係は、図4に示す通り
irthn2<irthn1<irof<irthp1<irthp2
となるように設定するものとする。
【0032】
さらに、上記設定値に対して、「第1の判定条件」として以下の条件を設定する。
irthp1≦センサ出力格納部4に格納されたセンサデータ≦irthp2、もしくは
irthn2≦センサ出力格納部4に格納されたセンサデータ≦irthn1。
【0033】
この判定が真となるセンサ出力範囲を図4において斜線で示した。
【0034】
なお、これらの値のうちirofには、本発明によって補正更新されたオフセット値を用いてもよいし、製造工程によって記憶保持されたオフセット値を用いてもよい。また、その他の4つの値、すなわちirthp1、irthp2、irthn1、irthn2は、一般には時刻t0において定められた固定値とするが、本発明においてはt0の設定は任意なので、このt0の設定毎に変化させるように定めることもできる。さらに、これら4つの値は、赤外線センサの特性、オペアンプ等周辺の電子デバイスの特性、用途(アプリケーション)、要求される補正の精度等を考慮して最適な補正結果が得られるように設定することが可能である。一般に、要求する精度が厳しいときは、これら4つの値とセンサオフセットirofとの差の絶対値である|irthp1−irof|、|irthp2−irof|、|irthn1−irof|、|irthn2−irof|を小さく設定すればよい。逆に、要求する精度が緩いときは、これらの絶対値を大きく設定すればよい。
【0035】
次に、図5に示すように、センサ出力測定部2で測定された測定値に対して、センサ出力選択部3によって本処理に必要なデータを選択し、さらにセンサ出力格納部4によって当該データを格納する(S501〜503)。現実のシステムでは、センサ出力格納部4の格納領域は有限の規定値であるので、センサ出力格納部4に格納されているセンサデータが満杯になったときに最も不要なセンサデータを廃棄する(S504,505)。
【0036】
このセンサデータの選択・格納および廃棄をするための最も簡単かつ実用上合理的なものは、FIFOバッファと呼ばれる先入れ先出しメモリである。すなわち、まずはじめはセンサ出力測定部2で測定された測定値を次々と選択し格納していく。そして、ある時刻まで経過すると、格納されているセンサデータが満杯になるが、そのときは最も古いセンサデータを廃棄する。以下において、FIFOバッファを用いる場合について説明するが、勿論、センサ出力の選択および格納・廃棄のタイミング等を適宜変更することが可能である。さらに、ここでの説明は、取り扱っているセンサ出力がAD変換後のデジタルデータであり、測定後の処理がデジタル信号処理である場合についてであるが、デジタルデータに限らず、センサ出力がアナログデータであり、測定後の処理がアナログ信号処理もしくはアナログデジタル混在の信号処理である場合であっても、本発明の処理を同様に行うことができきる。
【0037】
ステップS505までの上記各処理を完了すると、上記4つのしきい値で設定された「第1の判定条件」が本システムに対し課せられる(S506)。以下では、図4の時刻t2、t3、t4において、実線で示したような実際のセンサ出力の例に対して「第1の判定条件」を用いた判定結果が真となるか偽となるかを示すこととする。
【0038】
時刻t0からセンサ出力の測定が開始され、順次センサ出力が選択格納されていく。ここで、時刻t0から時間インターバルTが経過して時刻t2になったときに、センサ出力格納部4には時刻t0からt2までのセンサデータが格納され、格納領域が満杯となる。しかし、時刻t2においては、格納されたセンサデータは第1の判定条件を満たしていない。したがって、時刻t2ではセンサデータ第1判定部5−1の判定は偽と判定されてステップS506からステップS501に戻り、センサオフセット推定部5−4によるオフセット値の推定(S507)、センサオフセット更新部5−5におけるオフセット値の更新(S508)は実行されない。
【0039】
続いて、時刻t3になると、センサ出力測定値それ自身は第1の判定条件の真判定される範囲内に入る。しかし、格納されたセンサデータは、時刻t1から時刻t3まで(時間インターバルT)のセンサデータであるため、格納されたセンサデータのすべてが第1の判定条件の真判定される範囲内に入るわけではない。したがって、第1の判定条件は満足されず、時刻t2と同様、センサデータ第1判定部5−1の判定は偽と判定されて、再びステップS506からステップS501に戻る。
【0040】
図4の例の波形の場合、時間インターバルT内の複数のセンサデータ測定値の全部が初めて第1の判定条件を満たすのは時刻t4のときである。つまり、時刻t4においては、時刻t3から時刻t4まで(時間インターバルT)のセンサ出力がセンサ出力格納部4に格納されており、これらのデータのすべてが第1の判定条件を満たしている。したがって、時刻t4において、センサデータ第1判定部5−1による判定が真となる。前述したように、この場合のみステップS507以降に進んでセンサオフセットの補正を実行する。
【0041】
センサオフセットの補正を実行する場合、センサオフセット推定部5−4が、図5のフローチャートに示すようにまずセンサオフセットの推定値を演算する(S507)。オフセット推定値の演算方法としては、時刻t4での現在のセンサ出力データをそのまま用いても良いし、精度を高めるために、時刻t3から時刻t4までのセンサ出力の全部の平均値を計算して用いても良い。或いは、時刻t4を含む、現在時刻の直近の所定数のセンサ出力の平均値を計算して用いても良い。さらに、平均値を求めるに際しては単純平均とするのではなく、重み付け平均値などを計算して用いても良い。
【0042】
このような演算によって演算されたオフセット推定値が、センサオフセット更新部5−5により、赤外線センサ1を含む本システムの新たなセンサオフセット値として更新される(S508)。すなわち、この時刻t4よりも以降のセンサオフセット値は、予め定めたirofではなく別の値(たとえばirofnew)に更新される。
【0043】
<第2実施形態>
本実施形態では、以下で詳述する「第2の判定条件」を第1実施形態で用いた「第1の判定条件」と併用して校正をする。
【0044】
図6及び図7は本発明の第2実施形態を説明するための図であり、図6は図4と同様、横軸が時刻、たて軸がセンサ出力測定部2のセンサ出力を示している。図6における実線は、センサ出力測定部2の実際の出力特性の図4とは別の例を示す。図7は、横軸が時刻(図6の横軸とスケールを一致させてある)、たて軸がセンサ出力測定部2のセンサ出力の時間変化率(時間微分値)を示している。
【0045】
図8は、本実施形態におけるセンサ出力測定部2、センサ出力選択部3、センサ出力格納部4、オフセット補正部5による処理手順を示すフローチャートである。
【0046】
はじめに、図6乃至図8に示すように、予め時刻t0において、センサオフセット(irof)、第1の正のしきい値(irthp1)、第2の正のしきい値(irthp2)、第1の負のしきい値(irthn1)、第2の負のしきい値(irthn2)、0または正のしきい値(irdifp)、0または負のしきい値(irdifn)の6個の値をを設定する(S800)。これら6個の値のうち、はじめに記した4個のしきい値(irthp1、irthp2、irthn1、irthn2)は第1実施形態の場合と同様のものであり、これらの大小関係も同様に
irthn2<irthn1<irof<irthp1<irthp2
となるように設定するものとする。
【0047】
一方、0または正のしきい値(irdifp)と0または負のしきい値(irdifn)は、図7で示したようにセンサ出力の時間変化率に対して予め設定される値である。これらの大小関係については、図7に示す通り、
irdifn≦0≦irdifp
となるように設定するものとする。
【0048】
さらに、上記設定値に対して、「第2の判定条件」を後述の通りに設定し、以下の条件を設定する。
【0049】
条件:「第1の判定条件及び第2の判定条件が成立すること」
ここで、「第2の判定条件」を以下の通りに定める。
【0050】
irdifn≦センサ出力測定値の時間変化率≦irdifp
図7では、この判定が真となるセンサ出力範囲を斜線で示している。図6では、上記「第1の判定条件」が真となるセンサ出力範囲を斜線で示している。
【0051】
なお、これらの値のうちirof及びirthp1、irthp2、irthn1、irthn2については、第1実施形態と同様、固定値またはt0の設定毎に変化させる設定が推奨される。本実施形態で新たに用いる2つの値irdifp及びirdifnの設定についても同様である。すなわち、一般には時刻t0において定められた固定値とするが、本発明においてはt0の設定は任意なので、このt0の設定毎に変化させるように定めることもできる。さらに、これら2つの値は、赤外線センサの特性、オペアンプ等周辺の電子デバイスの特性、用途(アプリケーション)、要求される補正の精度、等を考慮して最適な補正結果が得られるように設定することが可能である。一般に、要求する精度が厳しいときは、これら2つの値の絶対値を小さく設定すればよい。逆に、要求する精度が緩いときは、これら2つの値の絶対値を大きく設定すればよい。
【0052】
次に、図8のフローチャートを参照して、本実施形態の特徴について説明する。図8における処理は、図5のステップS500における設定項目にirdifp、irdifn、「第2の判定条件」を追加した項目をステップS800で設定した後、ステップS801〜S806の「第1の判定条件」の真偽判定までの処理は図5におけるステップS410〜S406と同様である。ステップS806における「第1の判定条件」で偽と判定された場合も第1実施形態と同様であり、ステップS806における「第1の判定条件」で真と判定された場合の処理が、本実施形態と第1実施形態とで異なる。
【0053】
以下、図6及び図7の時刻t6、t8において、実線で示したような実際のセンサ出力の例に対して「第1の判定条件」及び「第2の判定条件」を用いた判定結果が真となるか偽となるかを示すこととする。
【0054】
時刻t5からセンサ出力の測定が開始され、順次センサ出力が選択格納されていく。ここで、時刻t5から時間インターバルTが経過して時刻t6になったときに、センサ出力格納部4には時刻t5からt6までのセンサデータが格納され、格納領域が満杯になる。しかし、時刻t6においては、格納されたセンサデータは第1の判定条件を満たしていない。したがって、時刻t6では第2の判定条件を考慮するまでもなく、センサデータ第1判定部5−1の判定は偽と判定されてステップS806からステップS801に戻り、センサオフセット推定部5−4によるオフセット値の推定(S809)、センサオフセット更新部5−5におけるオフセット値の更新(S810)は実行されない。
【0055】
なお、このとき、図7に示す通り、センサ出力測定部2の出力は実際には第2の判定条件を満たしており、仮に第2の判定条件について判定するなら結果は真となる。したがって、仮に第2の判定条件を先に判定すると、条件:「第1の判定条件及び第2の判定条件が成立すること」の判定結果を得るためにはさらに第1の判定条件の真偽判定が必要となる。本発明の原理から鑑みれば、第1の判定条件についての判定が先に実行されても第2の判定条件についての判定が先に実行されても、与えられる結果には何の差異も影響もない。しかし、判定をより合理的に行うという目的においては、第1の判定条件のほうが第2の判定条件よりも一般的に条件として厳しい(=真判定頻度が低い)ため、第1判定条件についての判定を先に行うと第2の判定条件についての判定を行うことなく上記条件の判定結果が得られるため、第2の判定条件よりも先に第1判定条件についての判定を行う処理フローが望ましい。第1条件を先に判定したほうが、例えば低コストに抑えたシステムを構築できる、といったメリットがある。
【0056】
続いて、時刻t8になると、時刻t7から時刻t8まで(時間インターバルT)のセンサ出力がセンサ出力格納部4に格納されており、これらのデータのすべてが第1の判定条件を満たしている。したがって、時刻t8において、センサデータ第1判定部5−1による判定が真となり、本実施形態ではこの場合にステップS807以降に進んで第2判定条件についての判定を行う。
【0057】
判定の前に図8のフローチャートに示すように、ステップS807において、センサデータ時間的変化率演算部5−2により、センサ出力の時間変化率を計算する。時間変化率であるから、解析数学的にはセンサ出力の1次微分値を計算すればよい。具体的な計算方法としては、現在のセンサ出力とセンサ出力格納部4に格納された任意の時刻のセンサ出力の2つのデータの差を計算し、上記時間で割ることによって求める方法が最も簡単である。さらに、より精密に求める場合には、センサ出力格納部4に格納されたセンサ出力を従属変数とし、その独立変数としてセンサ出力の時刻を割り当て、独立変数時刻に対して従属変数センサ出力のデータを最小二乗法によってあてはめ、そのあてはめ直線の傾きを時間変化率としてもよい。さらに、いわゆるアナログ微分回路を用いてもほぼ同様の時間変化率の計算が可能である。
【0058】
続いてステップS808で、ステップS807で求めたセンサ出力の時間変化率に対して、予め定めていた「第2の判定条件」を課す。図6のようなセンサ出力の場合、時刻t8での時間変化率(図7)は第2の判定条件を満たしている。したがって、時刻t8においてセンサデータ第2判定部5−3による判定(S808)が真となり、この結果、「第1の判定条件」及び「第2の判定条件」が真となる。前述したように、この場合のみステップS809以降に進んでセンサオフセットの補正を実行する。
【0059】
センサオフセットの補正を実行する場合、ステップS809,S810における処理は第1実施形態におけるステップS507,S508と同様であり、ここでの詳細説明は省略する。結論としては、図6および図7における時刻t8よりも以降のセンサオフセット値が、予め定めたirofではなく別の値(例えばirofnew)に更新される。
【0060】
最後に、本発明による補正結果を利用すると、2値化された対象物の有無検知におけるしきい値の設定を容易にすることができる。すなわち、赤外線センサのオフセットおよびオフセットドリフトが自動的に補正されているのだから、しきい値の設定もその補正値に従って行えばよい。具体的に数値を用い説明すると、オフセットが10増加したら、それに従いしきい値も10増加させるだけでよい。
【0061】
したがって、2値化された対象物の有無検知を目的とした場合でも、より簡単にしきい値の設定を含むシステム設計ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る計測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る計測装置の要部の構成をより詳細に示すブロック図である。
【図3】本発明に係る計測装置の要部の構成をより詳細に示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態を説明するための図であり、測定値の時間変化の例を表している。
【図5】本発明の第1実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態を説明するための図であり、測定値の時間変化の別の例を表している。
【図7】本発明の第2実施形態を説明するための図であり、測定値の時間変化の別の例における変化率(時間微分値)を表している。
【図8】本発明の第2実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 赤外線センサ部
2 センサ出力測定部
3 センサ出力選択部
4 センサ出力格納部
5 センサオフセット補正部
5−1 センサデータ第1判定部
5−2 センサデータ時間的変化率演算部
5−3 センサデータ第2判定部
5−4 センサオフセット推定部
5−5 センサオフセット更新部
100 計測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線センサと、
前記赤外線センサの出力値を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された赤外線センサ出力値から複数の赤外線センサデータを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された赤外線センサデータを格納する格納手段と、
前記格納手段によって格納された赤外線センサデータに基づいて、前記赤外線センサのオフセットを補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
赤外線センサと、
前記赤外線センサの出力値を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された赤外線センサ出力値から複数の赤外線センサデータを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された赤外線センサデータを格納する格納手段と、
前記格納手段によって格納された赤外線センサデータに基づいて、前記赤外線センサのオフセットを補正する補正手段と、
を備え、
前記補正手段が
前記格納手段によって格納された赤外線センサデータが、第1所定範囲内に入っているか否かを判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段が真と判定されたときに、前記赤外線センサのオフセットを推定する推定手段と、
前記推定手段の結果に基づいて、赤外線センサのオフセットを更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項3】
赤外線センサと、
前記赤外線センサの出力値を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された赤外線センサ出力値から複数の赤外線センサデータを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された赤外線センサデータを格納する格納手段と、
前記格納手段によって格納された赤外線センサデータに基づいて、前記赤外線センサのオフセットを補正する補正手段と、
を備え、
前記補正手段が
前記格納手段によって格納された赤外線センサデータが、第1所定範囲内に入っているか否かを判定する第1判定手段と、
前記格納手段によって格納された赤外線センサデータに基づいて、前記赤外線センサデータの時間的変化率を演算する時間的変化率演算手段と、
前記時間的変化率演算手段によって演算された前記赤外線センサデータの時間的変化率が、第2所定範囲内に入っているか否かを判定する第2判定手段と、
前記第1判定手段及び前記第2判定手段の双方により真と判定されたときに、前記赤外線センサのオフセットを推定する推定手段と、
前記推定手段の結果に基づいて、赤外線センサのオフセットを更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項4】
前記選択手段は、
前記測定手段によって測定された赤外線センサ出力値の直近の所定時間内における複数の赤外線センサデータを選択する手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項5】
前記第1判定手段は、前記格納手段によって格納された赤外線センサデータと、予め定められた赤外線センサのオフセットとの差を演算する演算手段を含み、
前記第1判定手段は、
前記演算手段によって得られた演算結果が、第1の正のしきい値以上かつ第2の正のしきい値以下、もしくは、第1の負のしきい値以下かつ第2の負のしきい値以上、
のどちらかの条件が成立した場合に真と判定する手段であることを特徴とする請求項2または3に記載の計測装置。
【請求項6】
前記第2判定手段は、
前記時間的変化率演算手段によって演算された時間的変化率が、第3の正のしきい値以下、及び、第3の負のしきい値以上、の双方の条件が成立したときに真と判定する手段であることを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項7】
前記推定手段は、前記第1判定手段及び第2判定手段の双方によって真と判定された判定時刻における測定値をオフセット推定値とし、
前記更新手段は、オフセット値を前記オフセット推定値に更新することを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項8】
前記推定手段は、
前記第1判定手段及び第2判定手段の双方により真と判定された判定時刻以降における所定数の測定値に基づいて演算される値をオフセット推定値とし、
前記更新手段は、オフセット値を前記オフセット推定値に更新することを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項9】
所定のしきい値を予め設定するしきい値設定手段と、
前記しきい値設定手段によって設定されたしきい値と、現在の赤外線センサ測定値とを比較する比較手段と、
前記比較手段の結果に基づいて、前記赤外線センサが検知したか否かを判定する赤外線センサ検知判定手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項10】
センサと、
前記センサの出力値を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定されたセンサ出力値から複数のセンサデータを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたセンサデータを格納する格納手段と
前記格納手段によって格納されたセンサデータに基づいて、前記センサのオフセットを補正する補正手段と、
を備え、
前記補正手段が、
前記格納手段によって格納されたセンサデータが、第1所定範囲内に入っているか否かを判定する第1判定手段と、
前記格納手段によって格納されたセンサデータに基づいて、前記センサデータの時間的変化率を演算する時間的変化率演算手段と、
前記時間的変化率演算手段によって演算された前記センサデータの時間的変化率が、第2所定範囲内に入っているか否かを判定する第2判定手段と、
前記第1判定手段及び前記第2判定手段の双方により真と判定されたときに、前記センサ出力オフセットを推定する推定手段と、
前記推定手段の結果に基づいて、センサのオフセットを更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項11】
前記第1所定範囲は、第1の正の所定値乃至第2の正の所定値の範囲、及び、前記第1の正の所定値と絶対値が等しい第1の負の所定値乃至前記第2の正の所定値と絶対値が等しい第2の負の所定値の範囲であり、並びに、
前記赤外線センサの出力オフセットの基準値に対して相対的に、前記第1の正の所定値、前記第2の正の所定値、第1の負の所定値、及び、前記第2の負の所定値が定められることを特徴とする請求項2または3または10のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項12】
前記第2所定範囲は、正の所定値乃至該正の所定値と絶対値が等しい負の所定値の範囲であることを特徴とする請求項3または10に記載の計測装置。
【請求項13】
赤外線を用いた計測装置のキャリブレーション方法において、
赤外線センサの出力値を測定するステップ、
該ステップで測定した、赤外線センサ出力値の所定時間内における複数の測定値をバッファに格納するステップ、並びに、
前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値に基づいて前記赤外線センサの出力オフセットを補正するステップであって、前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値が、前記赤外線センサの出力オフセットの基準値に対して所定量ドリフトした第1所定範囲内に入っているか否かを判定することと、前記所定時間内における複数の測定値が前記第1所定範囲内に入っていると判定されたときに、該測定値から前記赤外線センサの現在のオフセット値を推定して、該推定値で前記出力オフセットの値を更新することを含むステップ
を有することを特徴とするキャリブレーション方法。
【請求項14】
赤外線センサを用いた計測装置のキャリブレーション方法において、
赤外線センサの出力値を測定するステップ、
該ステップで測定した、赤外線センサ出力値の所定時間内における複数の測定値をバッファに格納するステップ、並びに、
前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値に基づいて前記赤外線センサの出力オフセットを補正するステップであって、前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値が第1所定範囲内に入っているか否か、及び、前記バッファに格納した前記所定時間内における複数の測定値に基づいて該所定時間内における前記赤外線センサ出力値の時間変化率を演算して該演算した時間変化率が第2所定範囲内に入っているか否かを判定することと、前記所定時間内における複数の測定値が前記第1所定範囲内に入っている、及び、前記所定時間内における前記赤外線センサ出力値の時間変化率が第2所定範囲内に入っていると判定されたときに、前記所定時間内における複数の測定値から前記赤外線センサの現在のオフセット値を推定して該推定値で前記出力オフセットの値を更新することを含むステップ
を有することを特徴とするキャリブレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−8166(P2010−8166A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166477(P2008−166477)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】