説明

赤外線センサモジュールおよび当該赤外線センサモジュールの製造方法

【課題】測定精度が低下してしまうのを抑制することのできる赤外線センサモジュールおよび当該赤外線センサモジュールの製造方法を得る。
【解決手段】基板2上に配置した赤外線センサ3の上方に、レンズ台座6を介してレンズ5が配置されている。また、レンズ台座6は、レンズ5を取り付ける開口部61が形成された座壁62と、赤外線センサ3の周囲を覆う側壁63とを有しており、基板2上に搭載されている。そして、レンズ5およびレンズ台座6の外側を全体的に覆う金属ケース7を設け、当該金属ケース7とレンズ5、金属ケース7と基板2とをそれぞれ接合することで、赤外線センサ3を金属ケース7内に中空封止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサモジュールおよび当該赤外線センサモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線センサモジュールとして、基板に実装した赤外線センサの外側を開口部が形成されたケースで覆い、当該ケースの開口部にレンズを配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、赤外線センサの視野角に入った対象物体からの赤外線をケースの開口部からレンズを介して赤外線センサに入射させることで、対象物体からの赤外線を赤外線センサにて検知するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−503586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の赤外線センサモジュールでは、赤外線を検知しようとする対象物体以外からの赤外線が赤外線センサに入射するおそれがあった。このように、従来の技術では、対象物体以外からの赤外線が赤外線センサに入射してしまい、本来測定しようとする対象物体の赤外線の測定精度が低下してしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、測定精度が低下してしまうのを抑制することのできる赤外線センサモジュールおよび当該赤外線センサモジュールの製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にあっては、基板に配置されて赤外線を受信する赤外線センサと、前記赤外線センサの上方に配置され、外部から入射する赤外線を前記赤外線センサに結像させるレンズと、前記赤外線が通過する開口部が形成された座壁と前記赤外線センサの周囲を覆う側壁とを有し、前記開口部が前記赤外線センサと前記レンズとの間に位置するように前記基板に搭載され、前記レンズを保持するレンズ台座と、前記赤外線を入射させる入射窓を有し、当該入射窓が前記レンズの位置に合うように前記基板に搭載され、前記赤外線センサを収納する金属ケースと、を備え、前記金属ケースと前記レンズ、前記金属ケースと前記基板とがそれぞれ接合されて、前記赤外線センサが前記金属ケース内に中空封止されていることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、座壁と側壁とを有するレンズ台座を備えているため、赤外線センサをレンズ台座の座壁と側壁によって覆うことができる。その結果、赤外線を検知しようとする対象物体以外からの赤外線をレンズ台座によって遮断することができ、本来測定しようとする対象物体の赤外線の測定精度が低下してしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる赤外線センサモジュールを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、図1のB−B断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる赤外線センサモジュールの製造方法を示す図であって、(a)は、赤外線センサをダイボンドおよびワイヤボンドする工程を行った段階における図2に対応した断面図、(b)は、図3に対応した断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる赤外線センサモジュールの製造方法を示す図であって、(a)は、レンズ台座を搭載する工程を行った段階における図2に対応した断面図、(b)は、図3に対応した断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる赤外線センサモジュールの製造方法を示す図であって、(a)は、レンズを搭載する工程を行った段階における図2に対応した断面図、(b)は、図3に対応した断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる赤外線センサモジュールの製造方法を示す図であって、(a)は、金属ケースとレンズとを樹脂で接合し、金属ケースを仮り固定する工程を行った段階における図2に対応した断面図、(b)は、図3に対応した断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる赤外線センサモジュールの製造方法を示す図であって、(a)は、仮り固定した金属ケースと基板とを金属接合する工程を行った段階における図2に対応した断面図、(b)は、図3に対応した断面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態にかかる赤外線センサモジュールの作用を説明する断面図である。
【図10】図10は、レンズ台座が存在しない赤外線センサモジュールの作用を図9と比較して説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
本実施形態にかかる赤外線モジュール1は、赤外線センサ3、処理回路(IC搭載部)4、レンズ5、レンズ台座6および金属ケース7などを備えており、回路基板(基板)2に実装されている。この赤外線モジュール1は、赤外線を受信して、例えば温度分布や熱源の有無などを検出するものである。
【0012】
赤外線センサ3は、測定しようとする対象物体の赤外線を受信するようになっており、この赤外線センサ3で受信した赤外線がICを用いた処理回路4で処理される。レンズ5は、入射する赤外線を赤外線センサ3に結像させるようになっており、このレンズ5はレンズ台座6に保持されている。そして、赤外線センサ3、レンズ台座6および処理回路4は、金属ケース7に収納されるようになっている。
【0013】
基板2は、ほぼ矩形の平板形状をなしており、セラミック基板などの多層基板として形成されている。そして、基板2の内層には図示せぬグランドパターンや電気回路配線が形成されている。グランドパターンはベタグランドパターンであり、基板2内を通って図示せぬ外部端子によってグランドに接続される。また、基板2の上面(表面)には、赤外線センサ3とレンズ5との位置合せに用いるアライメントマーク21(図1(a)参照)が設けられている。
【0014】
アライメントマーク21は、レンズ台座6が基板2に搭載されていない状態と、レンズ台座6が基板2に搭載された状態との両方の状態で視認可能な位置に形成されている。本実施形態では、アライメントマーク21は、矩形状の基板2の対角上の角部に2箇所設けられている。
【0015】
赤外線センサ3および処理回路4は、基板2の上面に配置されており、ダイボンド樹脂11およびワイヤ12によってダイボンドおよびワイヤボンドすることで実装されている。赤外線センサ3と処理回路4とは、ワイヤ12によって相互に電気的に接続されており、赤外線センサ3は、ワイヤ12によって基板2の図示せぬ電気回路配線に接続されている。
【0016】
赤外線センサ3は、多数の受光素子がアレイ(格子)状に配列されており、各受光素子毎に赤外線信号を受光して受光強度に対応する出力信号を出力するようになっている。処理回路4は、赤外線センサ3の出力信号を処理し、赤外線センサ3の出力信号に基づいて、例えば温度分布や熱源の有無などの検出処理を行うものである。
【0017】
レンズ5は、赤外線センサ3の受光面との間に所定距離をおいてレンズ台座6に保持されており、赤外線センサ3に赤外線を結像させるようにしている。また、レンズ5は、赤外線センサ3と対向するように赤外線センサ3の上方に配置されている。
【0018】
また、レンズ5には、赤外線透過率の良いSiなどにより赤外線の集光機能を司るレンズ母体が形成されており、このレンズ母体の表面に赤外線周辺波長を選択的に透過させる光学多層膜からなるバンドパスフィルタが形成されている。
【0019】
さらに、レンズ5は、図1に示すように、矩形状に形成されており、片面(上面)が平坦面、他面(下面)が凸面となる凸レンズとして形成されている。なお、レンズ5は、両面が凸面に形成されていてもよく、また、片面が凹面で他面がその凹面よりも曲率の大きな凸面で形成されていてもよい。すなわち、レンズ5は赤外線センサ3に集光させる機能を有していればよい。また、凸面や凹面が放物面であってもよい。
【0020】
レンズ台座6は、レンズ5を保持して赤外線センサ3とレンズ5との所定距離(赤外線センサ3に赤外線を結像させるための距離)を高精度に保つ機能と、赤外線を検知しようとする対象物体以外からの赤外線を遮断する機能を有している。
【0021】
本実施形態では、レンズ台座6は金属材料で形成されている。そして、レンズ台座6は、赤外線センサ3の対向部分(上方部分)を覆い、レンズ5を取り付ける開口部61が設けられた矩形状の座壁62と、赤外線センサ3の周囲を覆う側壁63と、を有している。
【0022】
開口部61はレンズ5の外側形状に沿った矩形状に形成されており、開口部61の内側寸法はレンズ5の外側寸法よりも若干小さく形成されている。そして、開口部61の内周縁部でレンズ5の下面の外周縁部を支持できるようにしている。また、レンズ台座6は、開口部61が赤外線センサ3の対向方向(真上)に配置されるようにした状態で、赤外線センサ3とレンズ5との間に位置するように基板2に搭載されている。
【0023】
また、レンズ台座6は、座壁62および側壁63の内側面が反射防止部67となっている。反射防止部67は、反射防止膜や反射防止塗料などで形成してもよく、壁面自体に反射防止処理を施すことで形成してもよい。
【0024】
側壁63は、座壁62の幅方向(図3の左右方向)に対向する二辺から連続して基板2方向に垂設される脚壁64と、座壁62の長さ方向(図2の左右方向)に対向する二辺から連続して基板2方向に垂設される補強壁65とによって構成されている。脚壁64の下端縁は、高熱伝導性材料13により基板2の台座接合部(グランドパターンの一部)と接合されている。高熱伝導性材料13としては、Agペーストなどの導電性樹脂を用いることができる。
【0025】
ここで、本実施形態では、レンズ台座6の側壁63が、赤外線センサ3のワイヤ12が接続されている部位を除いた周囲を覆うようにしている。
【0026】
具体的には、補強壁65の下部に、ワイヤ12を通すための切欠部66を形成し、この切欠部66を、ワイヤ12を通すのに必要な最小限度の切欠き面積とすることで、補強壁65の有効面積を可能な限り大きく確保できるようにしている。そして、有効面積を可能な限り大きくした側壁63によって、赤外線センサ3の周囲を可能な限り覆うことができるようにしている。
【0027】
また、レンズ5は、外周縁部を座壁62の開口部61の内周縁部に位置させた状態で接合材14により接合されている。このように、接合材14により座壁62の開口部61の内周縁部にレンズ5を接合することで、当該レンズ5が座壁62に搭載される。接合材14としては、弾性率の小さいシリコン系樹脂を主体とし、当該シリコン系樹脂にAgなどを含ませて導電性を持たせた導電性樹脂を用いることができる。なお、接合材14は、レンズ5の側面のレンズ母体(Si)が露出した部分(絶縁物質の多層膜からなるバンドパスフィルターが形成されていない部分)に接触するように塗布されている。
【0028】
金属ケース7は、矩形状の天壁71と、この天壁71の四辺から垂設して赤外線センサ3を囲繞する側壁72と、によってほぼ直方体の箱状に形成されている。天壁71には赤外線を入射させるための入射窓73が、赤外線センサ3に対応する部位に形成されている。この入射窓73は、レンズ5の外側形状に沿った矩形状に形成されている。そして、入射窓73の内側寸法は、レンズ5の外側寸法よりも若干小さく形成されており、入射窓73の内周縁部でレンズ5の上面の外周縁部を支持できるようにしている。
【0029】
また、周方向に配置される4面の側壁72は、それぞれの下端縁が面一に形成されている。そして、金属ケース7の入射窓73の内周縁部とレンズ5の外周縁部とが封止樹脂15によって接合され、金属ケース7の側壁72の下端縁の外周全周が、基板2の上面の外周部に設けた接合用電極16に接合される。こうして、金属ケース7とレンズ5と基板2とにより囲まれた空間が気密封止されるようにしている。そして、赤外線センサ3および処理回路4が気密封止された内方に中空封止されるようにしている。封止樹脂15としては、エポキシ樹脂に加えてAgペーストなどの導電性樹脂を用いることができ、接合用電極16は、基板2のグランドパターンと電気的に接続された導電部材により形成することができる。
【0030】
次に、赤外線センサモジュール1の製造方法について説明する。
【0031】
赤外線センサモジュール1は、図4(a)、(b)から図8(a)、(b)に示す第1から第5の工程を順次経て製造される。このとき、赤外線センサ3とレンズ5との相互の位置合せ(レンズ5の光軸合わせと焦点距離合わせ)が重要となる。
【0032】
まず、図4(a)、(b)に示すように、作業者は、基板2に設けたアライメントマーク21(図1(a)参照)を見ながら、赤外線センサ3を基板2上にダイボンドおよびワイヤボンドして搭載する(第1の工程)。このとき、処理回路4も基板2上にダイボンドおよびワイヤボンドする。ダイボンドおよびワイヤボンドはダイボンド樹脂11およびワイヤ12によって行われる。
【0033】
次に、図5(a)、(b)に示すように、レンズ台座6の座壁62に設けられた開口部61が赤外線センサ3の対向位置(真上)となるように、レンズ台座6を基板2上に搭載する(第2の工程)。このとき、赤外線センサ3は、その周囲がレンズ台座6の側壁63で覆われることとなる。
【0034】
次に、図6(a)、(b)に示すように、作業者は、レンズ5をアライメントマーク21を見ながら開口部61に一致するようにしてレンズ台座6に搭載する(第3の工程)。このレンズ5の搭載は、レンズ5を開口部61に一致させた状態で接合材14(図2参照)によって接合することで行われる。
【0035】
次に、図7(a)、(b)に示すように、レンズ5の外周(外周縁部)と金属ケース7(入射窓73の内周縁部)とを封止樹脂15(図2参照)で接合して硬化させながら、金属ケース7を基板2の接合用電極16に接触させた状態で仮り固定する(第4の工程)。なお、図7(a)、(b)では、封止樹脂15で接合する部分を一点鎖線円Aで囲んである。
【0036】
次に、図8(a)、(b)に示すように、第4の工程で仮り固定された金属ケース7と基板2の接合用電極16とを、それらの周囲を金属接合することで封止する。本実施形態では、金属ケース7と基板2の接合用電極16とを金属溶接することで封止している。なお、図8(a)、(b)では、溶接封止する部分を一点鎖線円Bで囲んである。
【0037】
こうして、赤外線センサモジュール1が製造される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、レンズ台座6によってレンズ5を保持するようにしている。そのため、赤外線センサ3とレンズ5との所定距離(赤外線センサ3に赤外線を結像させるための距離)を高精度に保つことができ、レンズ5を通して赤外線センサ3に入射される赤外線を精度良く検知することができる。
【0039】
また、レンズ台座6は、赤外線センサ3の上方を覆う座壁62と、赤外線センサ3の周囲を覆う側壁63とを有している。したがって、測定しようとする対象物体以外の赤外線を座壁62および側壁63によってより効果的に遮断することができるようになる。
【0040】
ところで、赤外線センサモジュール1は、本来は視野角α内に位置する対象物体からの赤外線8をレンズ5を通して赤外線センサ3に結像させるものである。ところが、赤外線センサモジュール1にレンズ台座が存在しない場合、視野角α外に有る対象物体以外からの赤外線9が、大きな傾斜角度をもってレンズ5から入射し、金属ケース7の内面に反射して赤外線センサ3に入射してしまう場合がある(図10参照)。また、視野角α外に有る対象物体以外からの赤外線9によって金属ケース7が加熱され、加熱された金属ケース7の輻射熱による赤外線9が直接または間接に赤外線センサ3に入射する場合がある(図10参照)。
【0041】
このように、赤外線センサモジュール1にレンズ台座が存在しない場合、視野角α外に有る対象物体以外からの赤外線9が直接または間接に赤外線センサ3に入射されてノイズ原因となる。
【0042】
これに対して本実施形態では、図9に示すように、視野角α外に有る対象物体以外からの赤外線9をレンズ台座6の座壁62や側壁63で遮断することができる。したがって、本実施形態では、視野角α外に有る対象物体以外からの赤外線9が赤外線センサ3に影響するのをレンズ台座6によって抑制することができ、赤外線センサ3による測定精度を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、レンズ台座6は、補強壁65に設けた切欠部66をワイヤ12を通すのに必要な最小限度の切欠き面積として、側壁63で赤外線センサ3の周囲を可能な限り覆うようにしている。そのため、視野角α外に有る対象物体以外からの赤外線9が側方から赤外線センサ3に入射されるのを極力抑制することができる。
【0044】
また、レンズ台座6を金属材料で形成したため、赤外線センサ3に向かって入射してくるノイズ(視野角α外に有る対象物体以外からの赤外線9)を、金属のレンズ台座6で反射させることができる。その結果、ノイズが赤外線センサ3に入るのをより効率良く抑制することができる。
【0045】
また、レンズ台座6を基板2に接合する際に高熱伝導性材料13を用いたため、レンズ台座6と基板2との間における熱のやり取りが行いやすくなる。その結果、赤外線センサ3の周囲で熱が部分的に籠るのを抑制することができ、赤外線センサ3による赤外線の測定精度をより一層高めることができる。
【0046】
また、レンズ台座6の内側面に反射防止部67を設けたため、レンズ台座6の内側に入り込んだノイズ(視野角α外に有る対象物体以外からの赤外線9)が反射するのを防止することができる。その結果、赤外線センサ3にノイズが入ってしまうのをより一層抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態の赤外線センサモジュール1の製造方法では、赤外線センサ3を基板2上にダイボンドおよびワイヤボンドして搭載する際に、作業者は基板2に設けたアライメントマーク21を見ながら行うようにしている(第1の工程)。また、レンズ5を開口部61に一致するようにしてレンズ台座6に搭載する際にも、作業者はアライメントマーク21を見ながら行うようにしている(第3の工程)。したがって、赤外線センサ3とレンズ5とを同一のアライメントマーク21を見ながら搭載することができ、両者の高精度な位置合せができるようになる。
【0048】
また、レンズ5をレンズ台座6の上面となる座壁62に搭載した状態で、金属ケース7がレンズ5およびレンズ台座の外側を全体的に覆うようにしている(第4の工程)。したがって、レンズ5を表面に位置させながら金属ケース7による気密封止ができ、レンズ5廻りの気密精度をより容易に高めることができる。
【0049】
また、第4の工程では、レンズ5の外周と金属ケース7とを樹脂で接合して硬化させながら、金属ケース7を基板2の接合用電極16に仮り固定するようにしている。したがって、レンズ5と金属ケース7との樹脂封止と、金属ケース7を本溶接する前の仮り固定とを一つの工程に集約させることができるため、工程の簡略化を図ることができる。
【0050】
また、第5の工程では、金属ケース7と基板2とを、それらの周囲を金属溶接(金属接合)することで封止するようにしている。このように、金属ケースと基板2とを金属接合することで、金属ケース7と基板2との間で熱のやり取りが行い易くなり、赤外線センサ3の周囲で熱が部分的に籠るのを抑制して赤外線測定精度を高めることができる。また、金属ケースと基板2とを金属接合することで、金属ケース7を図示せぬパッケージと同電位にすることができるため、金属ケース7に電磁シールド効果を持たせることができる。
【0051】
ところで、本実施形態では、レンズ台座6を金属材料で形成した場合を例示したが、これ以外にもレンズ台座6を樹脂材で形成することも可能である。このようにレンズ台座6を樹脂製とすれば、赤外線センサ3に向かってくるノイズ(視野角α外に有る対象物体以外からの赤外線9)を樹脂製のレンズ台座6で吸収することができ、ノイズが赤外線センサ3に入るのをより一層抑制することができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0053】
例えば、基板やレンズ、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 赤外線センサモジュール
2 回路基板(基板)
3 赤外線センサ
4 処理回路(IC搭載部)
5 レンズ
6 レンズ台座
7 金属ケース
8 赤外線
9 赤外線(対象物体以外からの赤外線)
11 ダイボンド樹脂
12 ワイヤ
13 高熱伝導性材料
15 封止樹脂(樹脂)
16 接合用電極
21 アライメントマーク
61 開口部
62 座壁
63 側壁
67 反射防止部
73 入射窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に配置されて赤外線を受信する赤外線センサと、
前記赤外線センサの上方に配置され、外部から入射する赤外線を前記赤外線センサに結像させるレンズと、
前記赤外線が通過する開口部が形成された座壁と前記赤外線センサの周囲を覆う側壁とを有し、前記開口部が前記赤外線センサと前記レンズとの間に位置するように前記基板に搭載され、前記レンズを保持するレンズ台座と、
前記赤外線を入射させる入射窓を有し、当該入射窓が前記レンズの位置に合うように前記基板に搭載され、前記赤外線センサを収納する金属ケースと、
を備え、
前記金属ケースと前記レンズ、前記金属ケースと前記基板とがそれぞれ接合されて、前記赤外線センサが前記金属ケース内に中空封止されていることを特徴とする赤外線センサモジュール。
【請求項2】
前記金属ケースと前記基板とが金属接合されていることを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサモジュール。
【請求項3】
前記赤外線センサはワイヤを介してIC搭載部に電気的に接続されており、
前記レンズ台座の側壁は、前記赤外線センサの前記ワイヤが接続されている部位を除いた周囲を覆っていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線センサモジュール。
【請求項4】
前記レンズ台座は、金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の赤外線センサモジュール。
【請求項5】
前記レンズ台座は、高熱伝導性材料によって前記基板に接合されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の赤外線センサモジュール。
【請求項6】
前記レンズ台座の内側面に反射防止部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の赤外線センサモジュール。
【請求項7】
前記レンズ台座は、樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の赤外線センサモジュール。
【請求項8】
赤外線を受信する赤外線センサを、基板に設けたアライメントマークを見ながら、当該基板上にダイボンドおよびワイヤボンドして搭載する第1の工程と、
レンズ取り付け用の開口部が形成された座壁と前記赤外線センサの周囲を覆う側壁とを有するレンズ台座を、前記開口部が前記赤外線センサの上方に位置するように前記基板上に搭載する第2の工程と、
前記レンズを、前記アライメントマークを見ながら前記開口部に一致するようにして前記レンズ台座に搭載する第3の工程と、
前記レンズおよび前記レンズ台座の外側を覆う金属ケースと前記レンズの外周とを樹脂で接合し、前記金属ケースを前記基板の接合用電極に接触させた状態で仮り固定する第4の工程と、
仮り固定した金属ケースと前記基板の接合用電極とを金属接合して封止する第5の工程と、
を有することを特徴とする赤外線センサモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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