赤外線センサ測定装置
【課題】黒体炉を小型化し、複数の赤外線センサを同時測定できるようにする。
【解決手段】赤外線センサ測定装置は、赤外線センサの受光面に黒体面21bから赤外線を放射することによって、赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する。黒体炉21は、一部が開口し、内面が半球形または半円筒形に湾曲した黒体面21bにより形成される内部空間21dを有する。センサ載置部12は、黒体面21bと赤外線センサの受光面とを対向させ、かつ、赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に黒体面21bが対向するように赤外線センサを保持するとともに、赤外線センサの受光面が黒体炉21bの開口から内部空間21dの外側の位置となるように赤外線センサを保持する。
【解決手段】赤外線センサ測定装置は、赤外線センサの受光面に黒体面21bから赤外線を放射することによって、赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する。黒体炉21は、一部が開口し、内面が半球形または半円筒形に湾曲した黒体面21bにより形成される内部空間21dを有する。センサ載置部12は、黒体面21bと赤外線センサの受光面とを対向させ、かつ、赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に黒体面21bが対向するように赤外線センサを保持するとともに、赤外線センサの受光面が黒体炉21bの開口から内部空間21dの外側の位置となるように赤外線センサを保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサ測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤外線センサは、赤外線を感知して、その赤外線の赤外線量に対応する出力信号を出力するセンサである。
【0003】
各赤外線センサにおいて、赤外線の量が一定としても、その出力値が一定であるとは限らず、製造条件等により、ばらつきが生じる。
【0004】
赤外線センサの出力値は小さいため、赤外線センサには、この出力値を増幅する増幅器が接続される。そして、赤外線センサの出力値のばらつきを予め設定された範囲に抑えるため、この増幅器の増幅率は、赤外線センサの出力値に基づいて設定される。
【0005】
このような赤外線センサの出力値を測定する赤外線センサ測定装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この赤外線センサ測定装置は、黒体を備えている。黒体は、黒体自体の温度に対応した赤外線量の赤外線を放射するものであり、予め設定された温度に保持される。そして、この赤外線センサ測定装置は、測定対象の赤外線センサの出力信号の出力値を測定する。
【0007】
従来の赤外線センサ測定装置には、黒体炉として、図11(a)に示すような平面形の黒体面を有する平面黒体炉61を備えたもの、あるいは、図11(b)に示すような球形をした黒体面を有するキャビティ型黒体炉71を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−213705号公報(第2、3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、図11(a)に示すような平面黒体炉61を備えた従来の赤外線センサ測定装置では、測定できる赤外線センサの画角が制限されてしまい、赤外線センサの広い画角をカバーしようとすると、黒体面の面積を広くしなければならず、赤外線センサ測定装置が大型化する。
【0010】
また、図11(b)に示すキャビティ型黒体炉71を備えたものでは、赤外線を放射する開口部71a口径が3〜4cm程度で、赤外線の放射領域が狭く、赤外線センサの赤外線を受光する画角をカバーして赤外線を放射するためには、さらに赤外線センサ測定装置が大型化する。
【0011】
また、複数の赤外線センサをウェーハの状態で、あるいは、ウェーハから切り出した状態で、その出力値を測定するという要求もあり、このような要求に対しても、従来の赤外線センサ測定装置では、不都合が生じる。
【0012】
即ち、図11(a)に示すような平面黒体炉61を備えたものでは、赤外線センサの画角の有効領域が平面黒体の範囲内となるように、ウェーハ、複数の赤外線を固定する固定治具の位置を調整する必要があり、固定治具の位置を複数回替える必要がある。
【0013】
また、図11(b)に示すようなキャビティ型黒体炉を備えたものでは、この黒体炉を用いて、複数の赤外線センサを同時に測定することは困難である。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、小型化することが可能な赤外線センサ測定装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、複数の赤外線センサを容易に測定することが可能な赤外線センサ測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る赤外線センサ測定装置は、
赤外線センサの受光面に黒体面から赤外線を放射することによって、前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置において、
一部が開口し、内面が半球形または半円筒形に湾曲した黒体面により形成される内部空間を有する黒体炉と、
前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ、かつ、前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向するように前記赤外線センサを保持するとともに、前記赤外線センサの受光面が前記黒体炉の前記開口から前記内部空間の外側の位置となるように前記赤外線センサを保持するセンサ載置部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
前記センサ載置部は、複数の赤外線センサを保持するものであり、前記黒体面に対向して前記複数の赤外線センサの全ての画角が対応するよう保持するようにしてもよい。
【0017】
前記センサ載置部は、前記赤外線センサの温度が一定となるよう保持するようにしてもよい。
【0018】
なお、別の観点に係る赤外線センサ測定装置は、
赤外線センサに赤外線を放射することによって、前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置において、
凹面を内面とする黒体面を有し、前記黒体面から前記赤外線を放射する黒体炉と、
前記黒体炉の前記黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように前記赤外線センサを保持するセンサ載置部と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記センサ載置部は、複数の赤外線センサを保持するものであってもよい。
【0020】
前記黒体炉は、内面が略円筒形に彎曲した黒体面を有する略円筒型黒体部からなるものであって、
前記センサ載置部は、前記黒体炉の前記黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように前記赤外線センサを保持するようにしてもよい。
【0021】
前記黒体炉は、内面が球形に彎曲して一部が開口した黒体面を有し、開口した開口部と前記黒体面とで内部空間が形成された球型黒体部からなるものであって、
前記センサ載置部は、前記黒体炉の前記黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように、前記赤外線センサの受光面が前記球型黒体部の前記開口部から前記内部空間側の位置となるように前記赤外線センサを保持するようにしてもよい。
【0022】
前記黒体炉は、内面が略円筒形に彎曲した黒体面を有する略円筒型黒体部を、前記略円筒型黒体部の端面を互いに対向させて複数備えたものであり、
前記センサ載置部は、前記赤外線センサあるいは前記黒体炉の少なくともいずれかを移動することにより、前記略円筒型黒体部の黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように前記赤外線センサを保持するとともに、
前記略円筒型黒体部のそれぞれの黒体面から、互いに異なる赤外線量の赤外線を放射するように前記略円筒型黒体部の温度を制御する温度制御部を備えてもよい。
【0023】
前記黒体炉は、凹面を内面とする彎曲した黒体面を有する彎曲型黒体部が複数互いに隣接して略円筒型に形成されたものであり、
前記センサ載置部は、前記赤外線センサを回転して、前記黒体炉の各黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように前記赤外線センサを保持するとともに、
前記彎曲型黒体部のそれぞれの黒体面から、互いに異なる赤外線量の赤外線を放射するように前記彎曲型黒体部の温度を制御する温度制御部を備えてもよい。
【0024】
前記センサ載置部の動作を制御する移動装置を備えてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、赤外線センサ測定装置を小型化することができる。また、複数の赤外線センサを同時に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示すセンサ載置部とセンサ載置部に保持された複数の赤外線センサとを示す図であり、(a)は、16個の赤外線センサが4×4の平方型に配置された例を示し、(b)は、16個が直列に配置された例を示す。
【図3】アクチュエータがセンサ載置部を黒体炉の内部空間まで移送したときの円筒型黒体部の断面を示す図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図5】図4に示す球型黒体部の断面図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図7】図6に示す黒体炉の断面図である。
【図8】本発明の実施形態4に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態5に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態5の黒体炉の応用例を示す図である。
【図11】従来の黒体炉を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係る装置を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図1に示す。
実施形態1に係る赤外線センサ測定装置1は、赤外線を感知する赤外線センサに赤外線を放射することによって、赤外線センサから出力されるセンサ信号の出力値を測定するものであり、黒体炉11と、センサ載置部12と、アクチュエータ13と、温度検出部14と、温度制御部15と、出力値測定部16と、からなる。
【0028】
黒体炉11は、赤外線を放射する黒体炉であり、円筒型黒体部11aからなる。円筒型黒体部11aは、円筒形に彎曲し、凹面を内面とする黒体面11bと、開口した端部11cと、を有している。そして、端部11cと黒体面11bとによって内部空間11dが形成される。
【0029】
センサ載置部12は、複数の赤外線センサを保持するものである。センサ載置部12は、複数の赤外線センサをウェーハの状態で、あるいは、ウェーハから切り出した状態で保持する。
【0030】
本実施形態1のセンサ載置部12は、複数の赤外線センサとして、図2(a)、(b)に示すように、16個の赤外線センサ2を保持するものとする。図2(a)は、16個の赤外線センサ2が4×4個(素子)の平方型に配列されて保持された状態を示し、図2(b)は、16個の赤外線センサ2が直列に配列されて保持された状態を示す。センサ載置部12は、このいずれかの状態で16個の赤外線センサ2を保持する。
【0031】
センサ載置部12は、この16個の赤外線センサ2を、黒体炉11の端部11cの位置から内部空間11d側の位置で赤外線センサ2を保持する。
【0032】
尚、赤外線センサ2自身の温度が変化すると、赤外線センサ2の出力値も変化するため、センサ載置部12は、赤外線センサ2の温度を一定に保持するための温度保持機構(図示せず)を備える。
【0033】
図3に示すように、センサ載置部12は、16個の赤外線センサ2の受光面と円筒型黒体部11aの黒体面11bとが対応するように赤外線センサ2を保持する。
【0034】
従って、センサ載置部12は、16個の赤外線センサ2の受光面が黒体面11bの方向に向くように、内部空間11d側にて、16個の赤外線センサ2を保持する。
【0035】
アクチュエータ13は、センサ載置部12の動作を制御するものであり、黒体面11bと赤外線センサ2の画角θとが対応する位置までセンサ載置部12を移送する。
【0036】
温度検出部14は、黒体面11bの温度を検出するものであり、検出した黒体面11bの温度データを温度制御部15に供給する。
【0037】
温度制御部15は、黒体面11bの温度を予め設定された温度に制御するためのものである。温度制御部15は、温度検出部14から供給された黒体面11bの温度データと予め設定された温度との差を誤差信号として、この誤差信号が0となるように、黒体面11bの温度制御を行う。温度制御部15は、このような温度制御を行うため、メモリ(図示せず)を備え、この予め設定された温度データをメモリに記憶する。
【0038】
尚、円筒型黒体部11aは、側面に液体が循環するように構成され、温度制御部15は、この液体の温度を制御することにより、黒体面11bの温度を予め設定された温度に制御する。
【0039】
出力値測定部16は、16個の赤外線センサ2が出力した出力値を測定するためのものである。
【0040】
次に実施形態1に係る赤外線センサ測定装置1の動作を説明する。
温度検出部14は、黒体面11bの温度を検出し、検出した温度データを温度制御部15に供給する。
【0041】
温度制御部15は、温度検出部14から供給された黒体面11bの温度データと予め設定された温度との誤差信号に基づいて、黒体面11bの温度制御を行う。
【0042】
センサ載置部12は、16個の赤外線センサ2を保持し、アクチュエータ13は、このセンサ載置部12を、黒体炉11へと移送する。
【0043】
図3に示すように、アクチュエータ13は、16個の赤外線センサ2の受光面が黒体面11bと対応するように内側まで、センサ載置部12を移送する。
【0044】
このようにして、黒体面11bから、センサ載置部12に保持された16個の赤外線センサ2の画角θに対応する全有効領域内に、赤外線が放射される。
【0045】
出力値測定部16は、この状態で、16個の赤外線センサ2が出力した出力値を、ほぼ同時に測定する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態1によれば、赤外線センサ測定装置1は、円筒型黒体部11aからなる黒体炉11を備え、センサ載置部12は、16個の赤外線センサ2を保持して、黒体炉11の黒体面11bと赤外線センサ2の画角とが対応するように、端部11cよりも内部空間11d側で16個の赤外線センサ2を保持するようにした。
【0047】
従って、赤外線センサ2の画角θが大きくても、黒体炉11は、赤外線センサ2の画角θに対応する全有効領域に赤外線を放射することができ、黒体炉11を小型化することができる。
【0048】
また、センサ載置部12の位置を一度設定すれば、同じ位置ですべての赤外線センサ2の出力値を測定することができ、ウェーハの状態で、あるいは、並べた状態で、容易にほぼ同時測定することができる。
【0049】
(実施形態2)
実施形態2に係る赤外線センサ測定装置は、内面が球形に彎曲した黒体面を有する球型黒体部からなる黒体炉を備えて、複数の赤外線センサの出力値を測定するようにしたものである。
【0050】
実施形態2に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図4に示す。
実施形態2に係る赤外線センサ測定装置1は、黒体炉21と、温度検出部14と、温度制御部15と、出力値測定部16と、を備える。
【0051】
黒体炉21は、球型黒体部21aからなる。球型黒体部21aは、その内面がほぼ半球形に彎曲して一部が開口した黒体面21bと、開口した開口部21cと、を有している。そして、黒体面21bと開口部21cとによって内部空間21dが形成される。
【0052】
センサ載置部12は、図5に示すように、球型黒体部21aの黒体面21bと赤外線センサ2の画角θとが対応する位置として、赤外線センサ2の受光面が、球型黒体部21aの開口部21cから内部空間21d側の位置となるように、赤外線センサ2を保持する。アクチュエータ13は、この位置までセンサ載置部12を移送する。
【0053】
アクチュエータ13がこの位置までセンサ載置部12を移送すると、球型黒体部21aの黒体面21bは、16個の赤外線センサ2に赤外線を放射する。
そして、出力値測定部16は、この状態で、16個の赤外線センサ2が出力した出力値を、ほぼ同時に測定する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態2によれば、球型黒体部21aからなる黒体炉21を備え、センサ載置部12は、球型黒体部21aの開口部21cから内部空間21d側の位置にて赤外線センサ2を保持するようにした。
【0055】
従って、実施形態1と同様に、黒体炉21を小型化することができ、16個の赤外線センサ2の位置を一度設定すれば、容易に、すべての赤外線センサ2の出力値をほぼ同時に測定することができる。
【0056】
(実施形態3)
実施形態3に係る赤外線センサ測定装置は、球面の一部からなる黒体面を有する球型黒体部からなる黒体炉を備え、センサ載置部を複数備えて、複数の赤外線センサの出力値を測定するようにしたものである。
【0057】
実施形態3に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図6に示す。
実施形態3に係る赤外線センサ測定装置1は、黒体炉31と、温度検出部14と、温度制御部15と、出力値測定部16と、を備える。
【0058】
黒体炉31は、球型黒体部31aからなり、球型黒体部31aは、その内面が球型に彎曲した黒体面31bと、開口した開口部31cと、を有している。そして、黒体面31bと開口部31cとで内部空間31dが形成されている。
【0059】
この球型黒体部31aの開口部31cに、複数のセンサ載置部が備えられる。図6では、3つのセンサ載置部が備えられており、各センサ載置部12−1〜12−3は、図2に示すように16個の赤外線センサ2を保持する。
【0060】
このセンサ載置部12−1〜12−3は、平行に配置されてもよいし、図7に示すように、センサ載置部12−1,12−3が、センサ載置部12−2に対して角度を持って配置されてもよい。
【0061】
但し、図7に示すように配置された場合、センサ載置部12−1,12−3は、このセンサ載置部12−1,12−3にそれぞれ保持された赤外線センサ2の画角θ1,θ3が、いずれも球型黒体部31aの黒体面31bと対応するように配置される。
【0062】
このように、実施形態3によれば、球型黒体部31aの開口部31cに、複数のセンサ載置部12−1〜12−3を備えることにより、さらに、多くの赤外線センサ2の出力値をほぼ同時に測定することができる。
【0063】
(実施形態4)
実施形態4に係る赤外線センサ測定装置は、内面が円筒形に彎曲した黒体面を有する2つの円筒型黒体部からなる黒体炉を備え、各黒体面から赤外線センサに、それぞれ、異なる赤外線量の赤外線を放射して、複数の赤外線センサの出力値を測定するようにしたものである。
【0064】
実施形態4に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図8に示す。
実施形態4に係る赤外線センサ測定装置1は、黒体炉41と、温度検出部14−1,14−2と、温度制御部15−1,15−2と、を備える。
【0065】
黒体炉41は、実施形態1と同様の円筒型黒体部をその端面を互いに対向させて複数連ねたものである。図8は、2つの円筒型黒体部41−1a,41−2aからなる黒体炉41を示す。円筒型黒体部41−1aは、黒体面41−1bと、端部41−1cと、内部空間41−1dと、を有している。円筒型黒体部41−2aは、黒体面41−2bと、端部41−2cと、内部空間41−2dと、を有している。
【0066】
温度検出部14−1,14−2は、それぞれ、黒体面41−1b,41−2bの温度を検出して、その温度データを温度制御部15−1,15−2に供給する。
【0067】
温度制御部15−1は、温度検出部14−1から供給された温度データに基づいて、この黒体面41−1bの温度を、例えば、35°Cとなるように制御する。
【0068】
温度制御部15−2は、温度検出部14−2から供給された温度データに基づいて、この黒体面41−2bの温度を、例えば、70°Cとなるように制御する。
【0069】
このようにして、黒体炉41の2つの黒体面41−1b,41−2bは、互いに異なる赤外線量の赤外線を放射する。
【0070】
また、実施形態4に係る赤外線センサ測定装置1は、複数のセンサ載置部12を備え、アクチュエータ13は、黒体炉41の各黒体面41−1b,41−2bと赤外線センサ2の画角とが対応するように、この複数のセンサ載置部12を移送する。
【0071】
35°Cに制御された黒体面41−1bから赤外線センサ2に赤外線を放射する場合、アクチュエータ13は、黒体面41−1bから赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射されるように、センサ載置部12を移送する。
【0072】
アクチュエータ13が、このようにセンサ載置部12を移送すると、センサ載置部12は、黒体面41−1bと赤外線センサ2の画角とが対応する位置にて赤外線センサ2を保持する。そして、黒体面41−1bから赤外線センサ2に赤外線が放射され、出力値測定部16は、この状態で赤外線センサ2の出力値を測定する。
【0073】
出力値測定部16がこの状態で赤外線センサ2の出力値を測定すると、アクチュエータ13は、黒体面41−2bから赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射されるように、センサ載置部12を移送する。
【0074】
センサ載置部12は、黒体面41−2bと赤外線センサ2の画角とが対応する位置にて赤外線センサ2を保持し、黒体面41−2bから赤外線センサ2に赤外線が放射される。そして、出力値測定部16は、この状態で赤外線センサ2の出力値を測定する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態4によれば、赤外線センサ測定装置1は、それぞれ、異なる温度に制御された黒体面41−1b,41−2bを有する2つの円筒型黒体部41−1a,41−2aを備えるようにした。また、センサ載置部12は、赤外線センサ2を保持したまま、赤外線センサ2の画角と、黒体面41−1b,41−2bとがそれぞれ対応するように移動するようにした。
【0076】
従って、赤外線センサ測定装置1は、黒体面41−1b,41−2bから、それぞれ、異なる赤外線量の赤外線が放射されたときの出力値を連続して測定することができる。
【0077】
(実施形態5)
実施形態5に係る赤外線センサ測定装置は、内面が彎曲した黒体面を有する彎曲型黒体部が複数互いに隣接した黒体炉を備え、各黒体面から赤外線センサに、それぞれ、異なる赤外線量の赤外線を放射して、複数の赤外線センサの出力値を測定するようにしたものである。
【0078】
実施形態5に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図9に示す。
実施形態5に係る赤外線センサ測定装置1は、黒体炉51と、温度検出部14−1,14−2と、温度制御部15−1,15−2と、を備える。
【0079】
黒体炉51は、凹面を内面とする彎曲した黒体面を有する彎曲型黒体部51−1a,51−2aが互いに隣接して略円筒型に形成されたものである。
彎曲型黒体部51−1aは、その内面が半円筒形に彎曲した黒体面51−1bを有し、彎曲型黒体部51−2aは、その内面が半円筒形に彎曲した黒体面51−2bを有している。
【0080】
そして、黒体炉51は、この彎曲型黒体部51−1aの黒体面51−1bと、彎曲型黒体部51−2aの黒体面51−2bと、を対向させることにより、形成される。
【0081】
温度検出部14−1,14−2は、それぞれ、黒体面51−1b,51−2bの温度を検出し、その温度データを温度制御部15−1,15−2に供給する。
【0082】
温度制御部15−1,15−2は、それぞれ、温度検出部14−1,14−2から供給された温度データに基づいて、黒体面51−1b,51−2bの温度を、例えば、35°,70°Cとなるように制御する。
【0083】
温度制御部15−1,15−2が、このような制御を行うことによって、2つの黒体面51−1b,51−2bは、互いに対向して異なる赤外線量の赤外線を放射する。
【0084】
35°Cに設定された黒体面51−1bから赤外線センサ2の受光面に赤外線を放射する場合、アクチュエータ13は、黒体面51−1bと赤外線センサ2の画角とが対応するように、センサ載置部12を回転する。
【0085】
アクチュエータ13がこのようにセンサ載置部12を回転すると、黒体面51−1bから、赤外線センサ2に赤外線が放射される。そして、出力値測定部16は、この状態で赤外線センサ2の出力値を測定する。
【0086】
出力値測定部16がこの状態で赤外線センサ2の出力値を測定すると、アクチュエータ13は、黒体面51−2bから赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射されるように、センサ載置部12を回転する。
【0087】
センサ載置部12は、黒体面51−2bと赤外線センサ2の画角とが対応する位置にて赤外線センサ2を保持し、黒体面51−2bから赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射される。そして、出力値測定部16は、この状態で赤外線センサ2の出力値を測定する。
【0088】
以上説明したように、本実施形態5によれば、黒体炉51は、凹面を内面とする彎曲した黒体面を有する彎曲型黒体部51−1a,51−2aが互いに隣接して略円筒型に形成されたものである。そして、この2つの黒体面51−1b,51−2bを異なる温度に制御して、センサ載置部12は、赤外線センサ2を回転させて、それぞれ、黒体面51−1b,51−2bから、赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射されるように、保持するようにした。
【0089】
従って、赤外線センサ測定装置1は、実施形態4と同様に、黒体面51−1b,51−2bから、それぞれ、異なる赤外線量の赤外線が放射されたときの出力値を連続して測定することができる。
【0090】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施の形態に限られるものではない。
例えば、黒体面は、円筒形、球面の一部に限られるものではなく、例えば、多面体、円錐面のように、彎曲した面であれば、どのような形状のものであってもよい。
【0091】
上記実施形態1の円筒型黒体部11a、実施形態4の円筒型黒体部41−1a,41−2aは、円筒が彎曲したような形状のものであってもよいし、端部11c、41−1c、41−2cが閉じたものであってもよい。
【0092】
また、上記実施形態5の半円筒型黒体部51−1a,51−2aも、図10に示すように、閉じた端部を有するものであってもよい。
【0093】
上記実施形態1〜5のそれぞれの黒体部11a、21a、31a、41−1a、41−2a、51−1a、51−2aは、内面が彎曲していればよく、外面はどのような形状であってもよい。
【0094】
上記実施形態1〜5では、センサ載置部12の動作を制御するアクチュエータ13を備えるようにした。しかし、センサ載置部12の位置を手動で設定するのであれば、アクチュエータ13は備えなくても良い。
【0095】
上記実施形態1〜5では、赤外線センサ2を16個の素子を同時に測定する場合について説明した。しかし、赤外線センサ2を1つとしても、上記実施形態1〜5を適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 赤外線センサ測定装置
2 赤外線センサ
11,21,31,41,51 黒体炉
11b,21b,31b,41−1b,41−2b、51−1b,51−2b 黒体面
11d,21d,31d,41−1d,41−2d 内部空間
12,12−1〜12−3 センサ載置部
13 アクチュエータ
15,15−1,15−2 温度制御部
16 出力値測定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサ測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤外線センサは、赤外線を感知して、その赤外線の赤外線量に対応する出力信号を出力するセンサである。
【0003】
各赤外線センサにおいて、赤外線の量が一定としても、その出力値が一定であるとは限らず、製造条件等により、ばらつきが生じる。
【0004】
赤外線センサの出力値は小さいため、赤外線センサには、この出力値を増幅する増幅器が接続される。そして、赤外線センサの出力値のばらつきを予め設定された範囲に抑えるため、この増幅器の増幅率は、赤外線センサの出力値に基づいて設定される。
【0005】
このような赤外線センサの出力値を測定する赤外線センサ測定装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この赤外線センサ測定装置は、黒体を備えている。黒体は、黒体自体の温度に対応した赤外線量の赤外線を放射するものであり、予め設定された温度に保持される。そして、この赤外線センサ測定装置は、測定対象の赤外線センサの出力信号の出力値を測定する。
【0007】
従来の赤外線センサ測定装置には、黒体炉として、図11(a)に示すような平面形の黒体面を有する平面黒体炉61を備えたもの、あるいは、図11(b)に示すような球形をした黒体面を有するキャビティ型黒体炉71を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−213705号公報(第2、3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、図11(a)に示すような平面黒体炉61を備えた従来の赤外線センサ測定装置では、測定できる赤外線センサの画角が制限されてしまい、赤外線センサの広い画角をカバーしようとすると、黒体面の面積を広くしなければならず、赤外線センサ測定装置が大型化する。
【0010】
また、図11(b)に示すキャビティ型黒体炉71を備えたものでは、赤外線を放射する開口部71a口径が3〜4cm程度で、赤外線の放射領域が狭く、赤外線センサの赤外線を受光する画角をカバーして赤外線を放射するためには、さらに赤外線センサ測定装置が大型化する。
【0011】
また、複数の赤外線センサをウェーハの状態で、あるいは、ウェーハから切り出した状態で、その出力値を測定するという要求もあり、このような要求に対しても、従来の赤外線センサ測定装置では、不都合が生じる。
【0012】
即ち、図11(a)に示すような平面黒体炉61を備えたものでは、赤外線センサの画角の有効領域が平面黒体の範囲内となるように、ウェーハ、複数の赤外線を固定する固定治具の位置を調整する必要があり、固定治具の位置を複数回替える必要がある。
【0013】
また、図11(b)に示すようなキャビティ型黒体炉を備えたものでは、この黒体炉を用いて、複数の赤外線センサを同時に測定することは困難である。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、小型化することが可能な赤外線センサ測定装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、複数の赤外線センサを容易に測定することが可能な赤外線センサ測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る赤外線センサ測定装置は、
赤外線センサの受光面に黒体面から赤外線を放射することによって、前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置において、
一部が開口し、内面が半球形または半円筒形に湾曲した黒体面により形成される内部空間を有する黒体炉と、
前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ、かつ、前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向するように前記赤外線センサを保持するとともに、前記赤外線センサの受光面が前記黒体炉の前記開口から前記内部空間の外側の位置となるように前記赤外線センサを保持するセンサ載置部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
前記センサ載置部は、複数の赤外線センサを保持するものであり、前記黒体面に対向して前記複数の赤外線センサの全ての画角が対応するよう保持するようにしてもよい。
【0017】
前記センサ載置部は、前記赤外線センサの温度が一定となるよう保持するようにしてもよい。
【0018】
なお、別の観点に係る赤外線センサ測定装置は、
赤外線センサに赤外線を放射することによって、前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置において、
凹面を内面とする黒体面を有し、前記黒体面から前記赤外線を放射する黒体炉と、
前記黒体炉の前記黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように前記赤外線センサを保持するセンサ載置部と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記センサ載置部は、複数の赤外線センサを保持するものであってもよい。
【0020】
前記黒体炉は、内面が略円筒形に彎曲した黒体面を有する略円筒型黒体部からなるものであって、
前記センサ載置部は、前記黒体炉の前記黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように前記赤外線センサを保持するようにしてもよい。
【0021】
前記黒体炉は、内面が球形に彎曲して一部が開口した黒体面を有し、開口した開口部と前記黒体面とで内部空間が形成された球型黒体部からなるものであって、
前記センサ載置部は、前記黒体炉の前記黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように、前記赤外線センサの受光面が前記球型黒体部の前記開口部から前記内部空間側の位置となるように前記赤外線センサを保持するようにしてもよい。
【0022】
前記黒体炉は、内面が略円筒形に彎曲した黒体面を有する略円筒型黒体部を、前記略円筒型黒体部の端面を互いに対向させて複数備えたものであり、
前記センサ載置部は、前記赤外線センサあるいは前記黒体炉の少なくともいずれかを移動することにより、前記略円筒型黒体部の黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように前記赤外線センサを保持するとともに、
前記略円筒型黒体部のそれぞれの黒体面から、互いに異なる赤外線量の赤外線を放射するように前記略円筒型黒体部の温度を制御する温度制御部を備えてもよい。
【0023】
前記黒体炉は、凹面を内面とする彎曲した黒体面を有する彎曲型黒体部が複数互いに隣接して略円筒型に形成されたものであり、
前記センサ載置部は、前記赤外線センサを回転して、前記黒体炉の各黒体面と前記赤外線センサの画角とが対応するように前記赤外線センサを保持するとともに、
前記彎曲型黒体部のそれぞれの黒体面から、互いに異なる赤外線量の赤外線を放射するように前記彎曲型黒体部の温度を制御する温度制御部を備えてもよい。
【0024】
前記センサ載置部の動作を制御する移動装置を備えてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、赤外線センサ測定装置を小型化することができる。また、複数の赤外線センサを同時に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示すセンサ載置部とセンサ載置部に保持された複数の赤外線センサとを示す図であり、(a)は、16個の赤外線センサが4×4の平方型に配置された例を示し、(b)は、16個が直列に配置された例を示す。
【図3】アクチュエータがセンサ載置部を黒体炉の内部空間まで移送したときの円筒型黒体部の断面を示す図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図5】図4に示す球型黒体部の断面図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図7】図6に示す黒体炉の断面図である。
【図8】本発明の実施形態4に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態5に係る赤外線センサ測定装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態5の黒体炉の応用例を示す図である。
【図11】従来の黒体炉を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係る装置を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図1に示す。
実施形態1に係る赤外線センサ測定装置1は、赤外線を感知する赤外線センサに赤外線を放射することによって、赤外線センサから出力されるセンサ信号の出力値を測定するものであり、黒体炉11と、センサ載置部12と、アクチュエータ13と、温度検出部14と、温度制御部15と、出力値測定部16と、からなる。
【0028】
黒体炉11は、赤外線を放射する黒体炉であり、円筒型黒体部11aからなる。円筒型黒体部11aは、円筒形に彎曲し、凹面を内面とする黒体面11bと、開口した端部11cと、を有している。そして、端部11cと黒体面11bとによって内部空間11dが形成される。
【0029】
センサ載置部12は、複数の赤外線センサを保持するものである。センサ載置部12は、複数の赤外線センサをウェーハの状態で、あるいは、ウェーハから切り出した状態で保持する。
【0030】
本実施形態1のセンサ載置部12は、複数の赤外線センサとして、図2(a)、(b)に示すように、16個の赤外線センサ2を保持するものとする。図2(a)は、16個の赤外線センサ2が4×4個(素子)の平方型に配列されて保持された状態を示し、図2(b)は、16個の赤外線センサ2が直列に配列されて保持された状態を示す。センサ載置部12は、このいずれかの状態で16個の赤外線センサ2を保持する。
【0031】
センサ載置部12は、この16個の赤外線センサ2を、黒体炉11の端部11cの位置から内部空間11d側の位置で赤外線センサ2を保持する。
【0032】
尚、赤外線センサ2自身の温度が変化すると、赤外線センサ2の出力値も変化するため、センサ載置部12は、赤外線センサ2の温度を一定に保持するための温度保持機構(図示せず)を備える。
【0033】
図3に示すように、センサ載置部12は、16個の赤外線センサ2の受光面と円筒型黒体部11aの黒体面11bとが対応するように赤外線センサ2を保持する。
【0034】
従って、センサ載置部12は、16個の赤外線センサ2の受光面が黒体面11bの方向に向くように、内部空間11d側にて、16個の赤外線センサ2を保持する。
【0035】
アクチュエータ13は、センサ載置部12の動作を制御するものであり、黒体面11bと赤外線センサ2の画角θとが対応する位置までセンサ載置部12を移送する。
【0036】
温度検出部14は、黒体面11bの温度を検出するものであり、検出した黒体面11bの温度データを温度制御部15に供給する。
【0037】
温度制御部15は、黒体面11bの温度を予め設定された温度に制御するためのものである。温度制御部15は、温度検出部14から供給された黒体面11bの温度データと予め設定された温度との差を誤差信号として、この誤差信号が0となるように、黒体面11bの温度制御を行う。温度制御部15は、このような温度制御を行うため、メモリ(図示せず)を備え、この予め設定された温度データをメモリに記憶する。
【0038】
尚、円筒型黒体部11aは、側面に液体が循環するように構成され、温度制御部15は、この液体の温度を制御することにより、黒体面11bの温度を予め設定された温度に制御する。
【0039】
出力値測定部16は、16個の赤外線センサ2が出力した出力値を測定するためのものである。
【0040】
次に実施形態1に係る赤外線センサ測定装置1の動作を説明する。
温度検出部14は、黒体面11bの温度を検出し、検出した温度データを温度制御部15に供給する。
【0041】
温度制御部15は、温度検出部14から供給された黒体面11bの温度データと予め設定された温度との誤差信号に基づいて、黒体面11bの温度制御を行う。
【0042】
センサ載置部12は、16個の赤外線センサ2を保持し、アクチュエータ13は、このセンサ載置部12を、黒体炉11へと移送する。
【0043】
図3に示すように、アクチュエータ13は、16個の赤外線センサ2の受光面が黒体面11bと対応するように内側まで、センサ載置部12を移送する。
【0044】
このようにして、黒体面11bから、センサ載置部12に保持された16個の赤外線センサ2の画角θに対応する全有効領域内に、赤外線が放射される。
【0045】
出力値測定部16は、この状態で、16個の赤外線センサ2が出力した出力値を、ほぼ同時に測定する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態1によれば、赤外線センサ測定装置1は、円筒型黒体部11aからなる黒体炉11を備え、センサ載置部12は、16個の赤外線センサ2を保持して、黒体炉11の黒体面11bと赤外線センサ2の画角とが対応するように、端部11cよりも内部空間11d側で16個の赤外線センサ2を保持するようにした。
【0047】
従って、赤外線センサ2の画角θが大きくても、黒体炉11は、赤外線センサ2の画角θに対応する全有効領域に赤外線を放射することができ、黒体炉11を小型化することができる。
【0048】
また、センサ載置部12の位置を一度設定すれば、同じ位置ですべての赤外線センサ2の出力値を測定することができ、ウェーハの状態で、あるいは、並べた状態で、容易にほぼ同時測定することができる。
【0049】
(実施形態2)
実施形態2に係る赤外線センサ測定装置は、内面が球形に彎曲した黒体面を有する球型黒体部からなる黒体炉を備えて、複数の赤外線センサの出力値を測定するようにしたものである。
【0050】
実施形態2に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図4に示す。
実施形態2に係る赤外線センサ測定装置1は、黒体炉21と、温度検出部14と、温度制御部15と、出力値測定部16と、を備える。
【0051】
黒体炉21は、球型黒体部21aからなる。球型黒体部21aは、その内面がほぼ半球形に彎曲して一部が開口した黒体面21bと、開口した開口部21cと、を有している。そして、黒体面21bと開口部21cとによって内部空間21dが形成される。
【0052】
センサ載置部12は、図5に示すように、球型黒体部21aの黒体面21bと赤外線センサ2の画角θとが対応する位置として、赤外線センサ2の受光面が、球型黒体部21aの開口部21cから内部空間21d側の位置となるように、赤外線センサ2を保持する。アクチュエータ13は、この位置までセンサ載置部12を移送する。
【0053】
アクチュエータ13がこの位置までセンサ載置部12を移送すると、球型黒体部21aの黒体面21bは、16個の赤外線センサ2に赤外線を放射する。
そして、出力値測定部16は、この状態で、16個の赤外線センサ2が出力した出力値を、ほぼ同時に測定する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態2によれば、球型黒体部21aからなる黒体炉21を備え、センサ載置部12は、球型黒体部21aの開口部21cから内部空間21d側の位置にて赤外線センサ2を保持するようにした。
【0055】
従って、実施形態1と同様に、黒体炉21を小型化することができ、16個の赤外線センサ2の位置を一度設定すれば、容易に、すべての赤外線センサ2の出力値をほぼ同時に測定することができる。
【0056】
(実施形態3)
実施形態3に係る赤外線センサ測定装置は、球面の一部からなる黒体面を有する球型黒体部からなる黒体炉を備え、センサ載置部を複数備えて、複数の赤外線センサの出力値を測定するようにしたものである。
【0057】
実施形態3に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図6に示す。
実施形態3に係る赤外線センサ測定装置1は、黒体炉31と、温度検出部14と、温度制御部15と、出力値測定部16と、を備える。
【0058】
黒体炉31は、球型黒体部31aからなり、球型黒体部31aは、その内面が球型に彎曲した黒体面31bと、開口した開口部31cと、を有している。そして、黒体面31bと開口部31cとで内部空間31dが形成されている。
【0059】
この球型黒体部31aの開口部31cに、複数のセンサ載置部が備えられる。図6では、3つのセンサ載置部が備えられており、各センサ載置部12−1〜12−3は、図2に示すように16個の赤外線センサ2を保持する。
【0060】
このセンサ載置部12−1〜12−3は、平行に配置されてもよいし、図7に示すように、センサ載置部12−1,12−3が、センサ載置部12−2に対して角度を持って配置されてもよい。
【0061】
但し、図7に示すように配置された場合、センサ載置部12−1,12−3は、このセンサ載置部12−1,12−3にそれぞれ保持された赤外線センサ2の画角θ1,θ3が、いずれも球型黒体部31aの黒体面31bと対応するように配置される。
【0062】
このように、実施形態3によれば、球型黒体部31aの開口部31cに、複数のセンサ載置部12−1〜12−3を備えることにより、さらに、多くの赤外線センサ2の出力値をほぼ同時に測定することができる。
【0063】
(実施形態4)
実施形態4に係る赤外線センサ測定装置は、内面が円筒形に彎曲した黒体面を有する2つの円筒型黒体部からなる黒体炉を備え、各黒体面から赤外線センサに、それぞれ、異なる赤外線量の赤外線を放射して、複数の赤外線センサの出力値を測定するようにしたものである。
【0064】
実施形態4に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図8に示す。
実施形態4に係る赤外線センサ測定装置1は、黒体炉41と、温度検出部14−1,14−2と、温度制御部15−1,15−2と、を備える。
【0065】
黒体炉41は、実施形態1と同様の円筒型黒体部をその端面を互いに対向させて複数連ねたものである。図8は、2つの円筒型黒体部41−1a,41−2aからなる黒体炉41を示す。円筒型黒体部41−1aは、黒体面41−1bと、端部41−1cと、内部空間41−1dと、を有している。円筒型黒体部41−2aは、黒体面41−2bと、端部41−2cと、内部空間41−2dと、を有している。
【0066】
温度検出部14−1,14−2は、それぞれ、黒体面41−1b,41−2bの温度を検出して、その温度データを温度制御部15−1,15−2に供給する。
【0067】
温度制御部15−1は、温度検出部14−1から供給された温度データに基づいて、この黒体面41−1bの温度を、例えば、35°Cとなるように制御する。
【0068】
温度制御部15−2は、温度検出部14−2から供給された温度データに基づいて、この黒体面41−2bの温度を、例えば、70°Cとなるように制御する。
【0069】
このようにして、黒体炉41の2つの黒体面41−1b,41−2bは、互いに異なる赤外線量の赤外線を放射する。
【0070】
また、実施形態4に係る赤外線センサ測定装置1は、複数のセンサ載置部12を備え、アクチュエータ13は、黒体炉41の各黒体面41−1b,41−2bと赤外線センサ2の画角とが対応するように、この複数のセンサ載置部12を移送する。
【0071】
35°Cに制御された黒体面41−1bから赤外線センサ2に赤外線を放射する場合、アクチュエータ13は、黒体面41−1bから赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射されるように、センサ載置部12を移送する。
【0072】
アクチュエータ13が、このようにセンサ載置部12を移送すると、センサ載置部12は、黒体面41−1bと赤外線センサ2の画角とが対応する位置にて赤外線センサ2を保持する。そして、黒体面41−1bから赤外線センサ2に赤外線が放射され、出力値測定部16は、この状態で赤外線センサ2の出力値を測定する。
【0073】
出力値測定部16がこの状態で赤外線センサ2の出力値を測定すると、アクチュエータ13は、黒体面41−2bから赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射されるように、センサ載置部12を移送する。
【0074】
センサ載置部12は、黒体面41−2bと赤外線センサ2の画角とが対応する位置にて赤外線センサ2を保持し、黒体面41−2bから赤外線センサ2に赤外線が放射される。そして、出力値測定部16は、この状態で赤外線センサ2の出力値を測定する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態4によれば、赤外線センサ測定装置1は、それぞれ、異なる温度に制御された黒体面41−1b,41−2bを有する2つの円筒型黒体部41−1a,41−2aを備えるようにした。また、センサ載置部12は、赤外線センサ2を保持したまま、赤外線センサ2の画角と、黒体面41−1b,41−2bとがそれぞれ対応するように移動するようにした。
【0076】
従って、赤外線センサ測定装置1は、黒体面41−1b,41−2bから、それぞれ、異なる赤外線量の赤外線が放射されたときの出力値を連続して測定することができる。
【0077】
(実施形態5)
実施形態5に係る赤外線センサ測定装置は、内面が彎曲した黒体面を有する彎曲型黒体部が複数互いに隣接した黒体炉を備え、各黒体面から赤外線センサに、それぞれ、異なる赤外線量の赤外線を放射して、複数の赤外線センサの出力値を測定するようにしたものである。
【0078】
実施形態5に係る赤外線センサ測定装置1の構成を図9に示す。
実施形態5に係る赤外線センサ測定装置1は、黒体炉51と、温度検出部14−1,14−2と、温度制御部15−1,15−2と、を備える。
【0079】
黒体炉51は、凹面を内面とする彎曲した黒体面を有する彎曲型黒体部51−1a,51−2aが互いに隣接して略円筒型に形成されたものである。
彎曲型黒体部51−1aは、その内面が半円筒形に彎曲した黒体面51−1bを有し、彎曲型黒体部51−2aは、その内面が半円筒形に彎曲した黒体面51−2bを有している。
【0080】
そして、黒体炉51は、この彎曲型黒体部51−1aの黒体面51−1bと、彎曲型黒体部51−2aの黒体面51−2bと、を対向させることにより、形成される。
【0081】
温度検出部14−1,14−2は、それぞれ、黒体面51−1b,51−2bの温度を検出し、その温度データを温度制御部15−1,15−2に供給する。
【0082】
温度制御部15−1,15−2は、それぞれ、温度検出部14−1,14−2から供給された温度データに基づいて、黒体面51−1b,51−2bの温度を、例えば、35°,70°Cとなるように制御する。
【0083】
温度制御部15−1,15−2が、このような制御を行うことによって、2つの黒体面51−1b,51−2bは、互いに対向して異なる赤外線量の赤外線を放射する。
【0084】
35°Cに設定された黒体面51−1bから赤外線センサ2の受光面に赤外線を放射する場合、アクチュエータ13は、黒体面51−1bと赤外線センサ2の画角とが対応するように、センサ載置部12を回転する。
【0085】
アクチュエータ13がこのようにセンサ載置部12を回転すると、黒体面51−1bから、赤外線センサ2に赤外線が放射される。そして、出力値測定部16は、この状態で赤外線センサ2の出力値を測定する。
【0086】
出力値測定部16がこの状態で赤外線センサ2の出力値を測定すると、アクチュエータ13は、黒体面51−2bから赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射されるように、センサ載置部12を回転する。
【0087】
センサ載置部12は、黒体面51−2bと赤外線センサ2の画角とが対応する位置にて赤外線センサ2を保持し、黒体面51−2bから赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射される。そして、出力値測定部16は、この状態で赤外線センサ2の出力値を測定する。
【0088】
以上説明したように、本実施形態5によれば、黒体炉51は、凹面を内面とする彎曲した黒体面を有する彎曲型黒体部51−1a,51−2aが互いに隣接して略円筒型に形成されたものである。そして、この2つの黒体面51−1b,51−2bを異なる温度に制御して、センサ載置部12は、赤外線センサ2を回転させて、それぞれ、黒体面51−1b,51−2bから、赤外線センサ2の受光面に赤外線が放射されるように、保持するようにした。
【0089】
従って、赤外線センサ測定装置1は、実施形態4と同様に、黒体面51−1b,51−2bから、それぞれ、異なる赤外線量の赤外線が放射されたときの出力値を連続して測定することができる。
【0090】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施の形態に限られるものではない。
例えば、黒体面は、円筒形、球面の一部に限られるものではなく、例えば、多面体、円錐面のように、彎曲した面であれば、どのような形状のものであってもよい。
【0091】
上記実施形態1の円筒型黒体部11a、実施形態4の円筒型黒体部41−1a,41−2aは、円筒が彎曲したような形状のものであってもよいし、端部11c、41−1c、41−2cが閉じたものであってもよい。
【0092】
また、上記実施形態5の半円筒型黒体部51−1a,51−2aも、図10に示すように、閉じた端部を有するものであってもよい。
【0093】
上記実施形態1〜5のそれぞれの黒体部11a、21a、31a、41−1a、41−2a、51−1a、51−2aは、内面が彎曲していればよく、外面はどのような形状であってもよい。
【0094】
上記実施形態1〜5では、センサ載置部12の動作を制御するアクチュエータ13を備えるようにした。しかし、センサ載置部12の位置を手動で設定するのであれば、アクチュエータ13は備えなくても良い。
【0095】
上記実施形態1〜5では、赤外線センサ2を16個の素子を同時に測定する場合について説明した。しかし、赤外線センサ2を1つとしても、上記実施形態1〜5を適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 赤外線センサ測定装置
2 赤外線センサ
11,21,31,41,51 黒体炉
11b,21b,31b,41−1b,41−2b、51−1b,51−2b 黒体面
11d,21d,31d,41−1d,41−2d 内部空間
12,12−1〜12−3 センサ載置部
13 アクチュエータ
15,15−1,15−2 温度制御部
16 出力値測定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線センサの受光面に黒体面から赤外線を放射することによって、前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置において、
一部が開口し、内面が半球形または半円筒形に湾曲した黒体面により形成される内部空間を有する黒体炉と、
前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ、かつ、前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向するように前記赤外線センサを保持するとともに、前記赤外線センサの受光面が前記黒体炉の前記開口から前記内部空間の外側の位置となるように前記赤外線センサを保持するセンサ載置部と、を備えた、
ことを特徴とする赤外線センサ測定装置。
【請求項2】
前記センサ載置部は、複数の赤外線センサを保持するものであり、前記黒体面に対向して前記複数の赤外線センサの全ての画角が対応するよう保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ測定装置。
【請求項3】
前記センサ載置部は、前記赤外線センサの温度が一定となるよう保持する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線センサ測定装置。
【請求項1】
赤外線センサの受光面に黒体面から赤外線を放射することによって、前記赤外線センサから出力される信号の出力値を測定する赤外線センサ測定装置において、
一部が開口し、内面が半球形または半円筒形に湾曲した黒体面により形成される内部空間を有する黒体炉と、
前記黒体面と前記赤外線センサの受光面とを対向させ、かつ、前記赤外線センサの画角が対応する全有効領域内に前記黒体面が対向するように前記赤外線センサを保持するとともに、前記赤外線センサの受光面が前記黒体炉の前記開口から前記内部空間の外側の位置となるように前記赤外線センサを保持するセンサ載置部と、を備えた、
ことを特徴とする赤外線センサ測定装置。
【請求項2】
前記センサ載置部は、複数の赤外線センサを保持するものであり、前記黒体面に対向して前記複数の赤外線センサの全ての画角が対応するよう保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ測定装置。
【請求項3】
前記センサ載置部は、前記赤外線センサの温度が一定となるよう保持する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線センサ測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−215155(P2011−215155A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133717(P2011−133717)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2006−100736(P2006−100736)の分割
【原出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(390009667)セイコーNPC株式会社 (161)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2006−100736(P2006−100736)の分割
【原出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(390009667)セイコーNPC株式会社 (161)
【Fターム(参考)】
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