説明

赤外線センサ装置

【課題】外乱が加わった際にも検出精度が低下しにくい赤外線センサ装置を提供する。
【解決手段】赤外線センサ装置1は、回路基板10と、赤外線センサチップ11とを備えている。赤外線センサチップ11は、回路基板10に実装されている。回路基板10の赤外線センサチップ11が実装された領域の周辺部に貫通孔10aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサ装置に関する。特に、本発明は、回路基板と、回路基板に実装された赤外線センサチップとを備える赤外線センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線センサ装置が知られている。例えば特許文献1には、赤外線センサ装置の一例として、セラミック基板と、セラミック基板の上に実装されており、赤外線センサ素子を有するパッケージとを備える赤外線センサ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−294757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、赤外線センサ装置に対する検出精度向上が強く望まれるようになってきている。これに伴い、赤外線センサ装置に対して振動や応力などの外乱が加わった際における赤外線センサ装置の検出精度の低下を抑制したいという要望がある。
【0005】
本発明の目的は、外乱が加わった際にも検出精度が低下しにくい赤外線センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る赤外線センサ装置は、回路基板と、赤外線センサチップとを備えている。赤外線センサチップは、回路基板に実装されている。回路基板の赤外線センサチップが実装された領域の周辺部に貫通孔が形成されている。
【0007】
本発明に係る赤外線センサ装置のある特定の局面では、貫通孔は、赤外線センサチップの外形に沿った細長形状を有する。
【0008】
本発明に係る赤外線センサ装置の別の特定の局面では、赤外線センサチップは、平面視矩形状である。貫通孔は、赤外線センサチップの少なくとも2辺に沿って設けられている。
【0009】
本発明に係る赤外線センサ装置の他の特定の局面では、赤外線センサチップは、回路基板に面実装されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外乱が加わった際にも検出精度が低下しにくい赤外線センサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る赤外線センサ装置の略図的斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る赤外線センサ装置の略図的平面図である。
【図3】第2の実施形態に係る赤外線センサ装置の略図的平面図である。
【図4】第3の実施形態に係る赤外線センサ装置の略図的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0013】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る赤外線センサ装置の略図的斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る赤外線センサ装置の略図的平面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、赤外線センサ装置1は、回路基板10と、赤外線センサチップ11とを備えている。赤外線センサチップ11は、回路基板10の上に実装されている。具体的には、赤外線センサチップ11は、回路基板10の上に面実装されている。ここで、「面実装」とは、ワイヤ等を用いずに直接する実装することである。
【0016】
赤外線センサチップ11は、赤外線センサ素子11a(図2を参照)と、筐体11bとを備えている。赤外線センサ素子11aは、赤外線を検出できるものである限りにおいて特に限定されない。赤外線センサ素子11aは、例えば、焦電基板と、焦電基板上に配された一対の電極とを有する焦電型赤外線センサ素子により構成することができる。
【0017】
本実施形態では、赤外線センサチップ11が平面視矩形状である例について説明するが、本発明において、赤外線センサチップの形状は特に限定されない。
【0018】
回路基板10には、赤外線センサ素子11aに接続された図示しない配線等が設けられている。回路基板10は、例えば、配線等が配されたセラミック基板、樹脂基板等により構成することができる。
【0019】
回路基板10には、貫通孔10aが形成されている。貫通孔10aは、回路基板10の赤外線センサチップ11が実装された領域の周辺部に形成されている。本実施形態では、貫通孔10aは、赤外線センサチップ11の外形に沿った細長形状を有する。貫通孔10aは、赤外線センサチップ11の少なくとも2辺に沿って設けられている。具体的には、貫通孔10aは、赤外線センサチップ11の3辺に沿って設けられており、略U字状の形状を有する。
【0020】
以上説明したように、赤外線センサ装置1では、回路基板10の赤外線センサチップ11が実装された領域の周辺部に貫通孔10aが設けられている。このため、例えば、赤外線センサ装置1に振動や応力が加わることにより、回路基板10が振動したり変形したりした場合であっても、赤外線センサチップ11に振動や応力が伝わり難い。従って、赤外線センサチップ11に振動や応力が伝わることに起因してノイズが生じることを抑制することができる。その結果、外乱が加わった際における検出精度の低下を抑制することができる。
【0021】
外乱が加わった際における検出精度の低下をより効果的に抑制する観点からは、貫通孔10aは、赤外線センサチップ11の外形に沿った細長形状を有することが好ましい。貫通孔10aが赤外線センサチップ11の少なくとも2辺に沿って設けられていることがより好ましく、赤外線センサチップ11の3辺に沿って設けられていることがさらに好ましい。
【0022】
なお、本実施形態の外乱が加わった際における検出精度の低下を抑制できる技術は、赤外線センサチップ11が回路基板10に面実装されており、回路基板10の振動や変形の影響が赤外線センサチップ11に及びやすい場合に特に有効である。
【0023】
具体的に、本実施形態に係る赤外線センサ装置1(実施例)と、貫通孔を設けなかったこと以外は赤外線センサ装置1と実質的に同様の構成を有する赤外線センサ装置(比較例)とを作製し、回路基板にねじれを加えた。その結果、比較例では、42.7V〜−37.9Vの大きな電位の信号が出力されたのに対して、実施例では、2.3V〜−2.1Vの小さな電位の信号が出力されたにすぎなかった。この結果から、貫通孔を設けることによって外乱が加わったときの誤出力を小さくできることが分かる。
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0025】
(第2及び第3の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る赤外線センサ装置の略図的平面図である。図4は、第3の実施形態に係る赤外線センサ装置の略図的平面図である。
【0026】
第2及び第3の実施形態に係る赤外線センサ装置2,3は、貫通孔10aの形状を除いては、第1の実施形態に係る赤外線センサ装置1と実質的に同様の構成を有する。
【0027】
赤外線センサ装置2,3では、貫通孔10aが赤外線センサチップ11の2辺に沿って設けられている。具体的には、赤外線センサ装置2では、赤外線センサチップ11の対向する2辺に沿って複数の貫通孔10aが設けられている。一方、赤外線センサ装置3では、赤外線センサチップ11の隣接する2辺に沿ってひとつの貫通孔10aが略L字状に設けられている。このような構成においても、第1の実施形態と同様に外乱が加わった際における検出精度の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0028】
1〜3…赤外線センサ装置
10…回路基板
10a…貫通孔
11…赤外線センサチップ
11a…赤外線センサ素子
11b…筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
回路基板に実装された赤外線センサチップと、
を備え、
前記回路基板の前記赤外線センサチップが実装された領域の周辺部に貫通孔が形成されている、赤外線センサ装置。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記赤外線センサチップの外形に沿った細長形状を有する、請求項1に記載の赤外線センサ装置。
【請求項3】
前記赤外線センサチップは、平面視矩形状であり、
前記貫通孔は、前記赤外線センサチップの少なくとも2辺に沿って設けられている、請求項2に記載の赤外線センサ装置。
【請求項4】
前記赤外線センサチップは、前記回路基板に面実装されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の赤外線センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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