説明

赤外線透過による基板温度測定

熱処理中に基板の温度を測定するための方法及び装置を提供する。一実施形態において、熱処理中に基板の温度を測定するための装置は、排気可能なチャンバと、チャンバ内の基板を加熱するための基板ヒータと、基板ヒータによる基板の加熱中に基板を透過したエネルギーを受け取るためのセンサとを含み、センサは、透過率を表す数的指標を検出するように構成されている。別の実施形態において、基板の温度を測定するための方法は、チャンバ内の基板を加熱し、加熱しながら基板の透過率における変化を検出し、透過率の変化に基づいて基板の温度を求めることを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本発明の態様は概して、半導体基板の温度を測定するための方法及び装置に関する。より具体的には、本発明の態様は、赤外線の基板透過により半導体基板の温度を測定するための方法及び装置に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
超大規模集積回路(ULSI)は、半導体基板(シリコン(Si)基板等)上に形成され、協働して様々な機能をデバイス内で果たす100万を越える電子デバイス(例えば、トランジスタ)を含む。加工中、多数の熱処理工程が基板表面上で必要に応じて行われる。熱処理には通常、プロセス制御のために精密な基板温度測定が必要とされる。基板温度の制御が不正確だと、処理結果が不良となり、デバイスの性能に悪影響がでる及び/又は基板膜材料の損傷につながる恐れがある。
【0003】
熱処理中、様々なタイプの温度測定ツールを用いて基板温度を測定することができる。例えば、熱電対を用いて、基板表面の既定の位置でもって基板に物理的に接触させることにより基板温度を測定することが多い。しかし、直径の大きい基板だと、測定位置同士の距離が大きく離れているため、基板表面全域での全体的な温度ムラを求めるのが困難となる。更に、熱電対の基板表面への熱的及び物理的接触の信頼性は制御が困難であり、汚染の心配もある。
【0004】
或いは、光高温法を用いて基板の温度を測定することもある。熱処理中に基板表面から放出される放射光を光高温センサにより測定して基板の温度を求める。しかし、基板表面からの発光の測定では、バックグラウンドノイズ(加熱ランプからの強い光、チャンバ壁部からの発光及び/又はウィンドウからの迷光等)との区別が困難である。基板表面からの発光が正確に測定されず、バックグラウンドノイズによる誤差も温度測定に含まれることから、実際の基板表面温度を精密に測定するのは難しく、基板温度の決定に狂いが生じ、結果的に処理結果が不良となる可能性がある。
【0005】
従って、熱処理中に基板の温度を測定するための改善された方法及び装置が必要とされる。
【概要】
【0006】
熱処理中に基板の温度を測定するための方法及び装置を提供する。一実施形態において、熱処理中に基板の温度を測定するための装置は、排気可能なチャンバと、チャンバ内の基板を加熱するための基板ヒータと、基板の加熱中に基板を透過したエネルギーを受け取るためのセンサとを含み、センサは、透過率を表す数的指標を検出するように構成されている。
【0007】
別の実施形態において、基板の温度を測定するための方法は、チャンバ内の基板を加熱し、加熱しながら基板の透過率における変化を検出し、透過率の変化に基づいて基板の温度を求めることを含む。
【0008】
更に別の実施形態において、基板の温度を測定するための方法は、ハロゲン含有要素の存在下で加工された基板を処理し、基板をランプアセンブリを有する排気可能なチャンバ内の台座部上に搬送し、ランプアセンブリからの赤外光により基板を加熱し、基板を透過する赤外光を検出し、検出した光に基づいて基板温度を計算することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上記の構成が詳細に理解されるように、上記で簡単に要約した本発明のより具体的な説明をその実施形態を参照して行う。実施形態の一部は添付図面に図示されている。ただし、添付図面は本発明の典型的な実施形態しか図示しておらず、本発明はその他の同等に効果的な実施形態も含み得ることから、本発明の範囲を限定すると解釈されないことに留意すべきである。
【図1】本発明の実践に適した例示的な処理装置の簡略化概略図である。
【図2】異なる基板温度でのシリコン基板の吸収と赤外光波長との関係を示すグラフである。
【図3】透過エネルギーと時間との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態による基板温度の測定方法を示すプロセス図である。
【図5】本発明を実施するために構成された例示的な処理装置の概略図である。
【図6】図5のロードロックチャンバの断面図である。
【0010】
円滑な理解のために、可能な限り、図面で共通する同一要素は同一参照番号を用いて表した。一実施形態における要素及び構成は、特記することなくその他の実施形態において便宜上利用できる。
【0011】
ただし、添付図面は本発明の例示的な実施形態しか図示しておらず、本発明はその他の同等に効果的な実施形態も含み得ることから、本発明の範囲を限定すると解釈されないことに留意すべきである。
【詳細な説明】
【0012】
本発明の実施形態は、熱処理中に基板の温度を測定するための方法及び装置を提供する。一実施形態において、基板温度は、基板のエネルギー透過率における変化をモニタすることにより求められる。
【0013】
図1は、本発明の実践に適した処理装置の簡略化概略図である。簡略化された処理装置100は、真空下で運転される。装置100は、装置100内に配置された基板102に熱エネルギーを供給する熱供給源108を含む。一実施形態において、熱供給源は、ランプアセンブリ等の加熱モジュールである。或いは、熱供給源108は、熱せられた基板ホルダ、熱せられた支持台座部、抵抗ヒータ又は基板温度を上げるのに適したその他の熱供給源であってよい。信号発生器104及びセンサ106は、基板102を挟んだ両側に配置されている。信号発生器104は基板102の上方に配置されており、基板102を透過する信号110を生成する。センサ106は、信号発生器110からの基板102を透過した信号110を受け取るように位置決めされている。コントローラ108がセンサ106に接続されており、信号発生器104から受け取った信号を分析する。信号発生器104は、基板にある波長透過率でエネルギーを供給するいずれのエネルギー供給源であってもよく、レーザ及び広帯域光源を含む。一実施形態において、信号発生器104及び熱供給源108は、加熱ランプ等の単一の装置である。
【0014】
基板材料が異なると、温度、波長によって光透過率が異なる。熱供給源108により基板表面に熱エネルギーが供給されるにつれ、基板の温度は変化する。信号110の一部は基板102を透過し、別の一部は吸収される。基板102を透過する信号の量は、基板102の温度に依存する。従って、基板102が加熱されるにつれ、基板102を透過する信号110の量は変化する。センサ106は、信号110における変化を検出する。検出した信号110の変化に基づいて、基板温度がしかるべく求められる。
【0015】
一実施形態において、信号発生器104は、様々な波長を有する光発生装置である。例えば、信号発生器104により、約1150nm〜約1250nmを中心とした狭帯域の波長を有し、基板102からセンサ106へと伝達される信号を生成するレーザービームを供給する。別の実施形態において、信号発生器104は、約1100nm〜約1300nmの波長を有する光エネルギーを供給する。別の実施形態において、信号発生器104は、基板102を加熱するための光エネルギーを供給し、光エネルギーを基板102を通してセンサ106に伝達する熱供給源108として構成される。例えば、信号発生器104は、波長範囲約400nm〜約14000nmの高出力でもって赤外線(IR)を発生させて基板102を加熱し及び透過させる、ランプアセンブリ等の加熱モジュールである。
【0016】
図2は、基板材料としてシリコンを用いた基板の、異なる基板温度、異なる波長での光吸収挙動を示す。吸収トレース線202、204、206は、シリコン半導体材料の吸収を、異なる温度での波長の関数として示している。トレースは、吸収が基板温度と相関関係にある可能性を示している。基板温度が上昇するにつれ、各吸収トレース線202、204、206の傾き216、218、220における変化は、より長い波長で生じ始める。つまり、各波長について、基板には、吸収の変化が急激に起こる温度範囲がある。従って、目的の温度を良好な分解能で求めるために、基板が吸収において急激な変化を示す波長を、目的の温度を含む温度範囲から選択する。例えば、所定の波長(約1100nmの波長208等)では、基板による光の吸収の増大に伴う加熱モジュールからの赤外光での加熱に負うところの基板温度の上昇により、シリコン基板による吸収量が、トレース線202の第1点210から第2点212、第3点214へと急速に変化する。このため、加熱してもシリコン基板を透過する光が少なくなり、これを利用して、透過率の変化を測定することで温度を求めることができる。
【0017】
図3は、基板102を透過した赤外光エネルギーの、基板温度の関数としてのトレース302を示す。エネルギートレース302は、基板温度の上昇に伴う、基板102を透過する光エネルギーの変化を表している。装置100に進入する基板は、低温T1と高い透過率を有する。従って、熱供給源108及び/又は信号発生器104からの光エネルギーのかなりの部分が、基板102からセンサ106へと透過する。トレース302の点304で表されるように、センサ106は、初期検出時t1、低温T1での高い透過率を示している。赤外光は基板102に一定レベルで供給されるため、基板の温度は上昇する。基板温度が高温T2へと上昇するにつれ、熱くなった基板がより多くの赤外光を吸収することからシリコン基板の透過率の変化が低下し、透過赤外線エネルギーの量が低下する。t2の点306に示されるように、センサ106によって検出された光エネルギーは低く、これは高い基板温度T2での高吸収によるものである。
【0018】
図4は、本発明の一実施形態による、熱処理中に基板の温度を測定するための方法400のフロー図である。方法400は、図1に図示されるような処理装置100又はその他の、図4、5を参照して後に詳述するような処理システムの適切な装備の領域で実行されるように構成されている。方法400を、その他の製造業者によるものを含む、その他の適切な装備の処理システムで行うことも考えられる。
【0019】
方法400は、チャンバ内で加熱モジュールにより基板を加熱する工程402から始まる。工程404で、加熱モジュールが定常出力状態に達するのと同時に、センサを用いて、基板からセンサへと透過する光の透過率のベースラインを測定する。工程406で、センサは、熱処理中、基板の光透過率を連続的に検出し、分析する。工程408で、測定された、基板の部分光透過率を用いて、基板の温度を計算する。基板温度は、最初にセンサで検出したベースラインと相対しての光透過率における変化に対応している。任意の工程410で、基板の処理終点を、基板がセンサによって求められた既定の温度に達した時点で確定する。
【0020】
図5は、例示的な処理システム500の概略上面図であり、処理システム500は、本発明の熱処理400を実行するための図1に記載の装置100を含むように構成された少なくとも1つの領域を含む。一実施形態において、処理システム500は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されている、適切な構成のセンチュラ(CENTURA、商標名)統合処理システムである。(その他の業者からのものを含む)その他の処理システムを本発明が有益となるように構成することも考えられる。
【0021】
システム500は、真空気密処理プラットフォーム504と、ファクトリインターフェース502と、システムコントローラ544とを含む。プラットフォーム504は、真空基板搬送チャンバ536に連結された複数の処理チャンバ510、512、532、528、520と少なくとも1つのロードロックチャンバ522とを含む。図5では2つのロードロックチャンバ522を図示している。ファクトリインターフェース502は、ロードロックチャンバ522によって搬送チャンバ536に連結されている。
【0022】
一実施形態において、ファクトリインターフェース502は、少なくとも1つのドッキングステーション508と、基板の搬送を円滑に行うための少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット514とを備える。ドッキングステーション508は、1つ以上のFOUP(front opening unified pod)を受け入れるように構成されている。2つのFOUP506A、Bが、図5の実施形態に図示されている。ファクトリインターフェースロボット514はその一端にブレード516を有しており、基板をファクトリインターフェース502から処理プラットフォーム504のロードロックチャンバ522へと搬送するように構成されている。任意で、1つ以上の計測ステーション518をファクトリインターフェース502のターミナル526に連結して、ファクトリインターフェース502内にある間の基板の測定を円滑に行ってもよい。
【0023】
各ロードロックチャンバ522は、ファクトリインターフェース502に連結された第1ポートと、搬送チャンバ536に連結された第2ポートとを有する。ロードロックチャンバ522は、圧力制御システム(図示せず)に連結されており、圧力制御システムは、ロードロックチャンバ522のポンプダウン及び通気を行うことにより搬送チャンバ536の真空環境とファクトリインターフェース502の実質的な周囲環境(例えば、大気)との間での基板の受け渡しを円滑にしている。
【0024】
搬送チャンバ536の内部には、真空ロボット530が配置されている。真空ロボット530は、ロードロックチャンバ522と処理チャンバ510、512、532、528、520との間での基板524の搬送が可能なブレード534を有する。
【0025】
一実施形態において、少なくとも1つの処理チャンバ510、512、532、528、520はエッチチャンバである。例えば、エッチチャンバは、アプライドマテリアルズ社から入手可能なデカップルド・プラズマ・ソース(Decoupled Plasma Source:DPS)チャンバである。DPSエッチチャンバは、誘導源を用いて高密度プラズマを発生させる。また、基板にバイアスを印加するための高周波(RF)電力の供給源を備えている。或いは、処理チャンバ510、512、532、528、520の少なくとも1つが、同じくアプライドマテリアルズ社から入手可能なHART(商標名)、E−MAX(商標名)、DPS(商標名)、DPS II、プロデューサE(PRODUCER E)、イネーブラ(ENABLER、商標名)の1つ又はその他の製造業者からのものを含む別のチャンバであってよい。エッチチャンバ、例えば、エッチチャンバ510は、ハロゲン含有ガスを用いてチャンバ内に配置された基板524をエッチする。ハロゲン含有ガスの例には、臭化水素(HBr)、塩素(Cl)、四フッ化炭素(CF)等が含まれる。基板524をエッチすると、ハロゲン含有残留物が基板表面上に残ることがあり、ハロゲン含有残留物は熱処理工程により除去することができる。熱処理工程は、システム500においてインシチュで行うことができ、例えば、エネルギー発生装置(赤外線(IR)ランプアセンブリ等)を備えた処理チャンバ510、512、532、528、520の1つにおける熱処理工程が挙げられる。センサを用いて、基板温度と相関関係にある熱処理工程中、基板をモニタする。或いは、熱処理工程をシステム500の別の領域(エネルギー発生装置と透過率センサを備えた搬送チャンバ536、ロードロックチャンバ522、計測ステーション518、ファクトリインターフェース502等)で行ってもよい。一実施形態例において、熱処理工程は、ロードロックチャンバ522で行われる。或いは、システム500の適切な装備の領域で行われる。
【0026】
システムコントローラ544が、処理システム500に連結されている。システムコントローラ544は、システム500の処理チャンバ510、512、532、528、520を直接制御することにより又は処理チャンバ510、512、532、528、520及びシステム500と関連付けられたコンピュータ(又はコントローラ)を制御することにより、システム500の運転を制御する。運転中、システムコントローラ544は、チャンバからのデータ回収及びシステムコントローラ544からのフィードバックにより、システム500の性能を最適化している。
【0027】
システムコントローラ544は通常、中央演算処理装置(CPU)538と、メモリ540とサポート回路542とを含む。CPU538は、工業環境で使用可能などんな形態の汎用コンピュータプロセッサであってもよい。サポート回路542は通常、CPU138に連結され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力回路、サブシステム、電源等を含み得る。ソフトウェアルーチン(図4に図示したようなハロゲン含有残留物を除去するための方法400等)は、CPU538によって実行されると、CPU538を特定用途のコンピュータ(コントローラ)544に変える。ソフトウェアルーチンを、システム500とは離れた位置にある第2コントローラ(図示せず)で保存し及び/又は実行することもできる。
【0028】
図6は、基板への熱処理を実行するために利用するロードロックチャンバ522の一実施形態を示す。ロードロックチャンバ522は通常、チャンバ本体部602と、第1基板ホルダ604と、第2基板ホルダ606と、温度制御台座部640とエネルギー供給源(加熱モジュール670等)とを含む。センサ698が、温度制御台座部640内に配置されている。チャンバ本体部602は、アルミニウム等の材料の単塊から作製してもよい。チャンバ本体部602は、チャンバ容積618を規定する第1側壁部608と、第2側壁部610と、上部614と底部616とを含む。典型的には石英から成るウィンドウ650がチャンバ本体部602の上部614に設けられており、加熱モジュール670によって少なくとも部分的に覆われている。一実施形態において、複数のランプ694を加熱モジュール670内に配置することで基板熱処理用の熱を発生させる。一実施形態において、ランプ694は赤外線ランプであり、約1000nm〜約1300nm(約1050nm〜約1200nm等)、例えば約1100nm〜約1150nmの波長の赤外線を発生する。ランプ694によって発生した赤外線は基板に熱を供給し、基板温度を最高約500℃にまで上昇させる。一般に、ランプ694の波長は、測定しようとしている温度(例えば、熱処理終点の温度)の範囲で、加熱対象の材料及び/又は膜の透過率が大きな変化を見せるようなものが選択される。
【0029】
一実施形態において、センサ698は、約150℃〜約350℃の基板温度範囲を測定できるようなInGaAsダイオードセンサである。センサ698は、光コリメータ692とフィルタ678と光学的に整合させられている。光コリメータ692は、光学コンジット676(すなわち、光ファイバ)の端部674と基板696との間の台座部640内に配置される。光学コンジット676は、回収された、基板696とコリメータ692とを通ってフィルタ678に流れるエネルギーを検出する。フィルタ678は、光コリメータ692から回収した信号をフィルタにかけ、所望の波長の赤外光だけをセンサ698に送る。
【0030】
一実施形態において、光コリメータ692は、エネルギーが光学コンジット676に角度690で進入し、散乱エネルギー及びその他のノイズは除外されるような口径を有している。例えば、光コリメータ692の選択角度690により、基板を角度690で透過する光688だけが回収され、選択角度690から外れた角度で入射する光686が光学コンジット676に進入するのを防止している。コリメータ692を通過して光学コンジット676に進入し、フィルタ678を通過して最終的にセンサ698に達する信号の、チャンバ壁部684からの望ましくない反射光及び/又はバックグラウンドで発生したノイズ682、680による干渉は防止される。センサ698に達した光エネルギーは、次に、基板698の温度を計算するために更に分析される。
【0031】
チャンバ容積618の圧力を制御することにより、ロードロックチャンバ522を、搬送チャンバ536の環境と実質的に合致するように排気し、ファクトリインターフェース502の環境と実質的に合致するように通気することができる。チャンバ本体部602は、1本以上の通気路630と1本のポンプ路632とを含み、通気・排気中にチャンバ容積618内で層流を起こし、微粒子汚染を最小限に抑えている。通気路630を更にガス供給源652に連結して、チャンバ容積618にガス混合物を供給してもよい。ガス供給源652から供給し得るガスの例には、窒素(N)、アルゴン(Ar)、水素(H)、アルカン、アルケン、ヘリウム(He)、酸素(O)、オゾン(O)、水蒸気(HO)等が含まれる。ポンプ路632はポンプ636に連結されており、ガスをポンプダウンし、ロードロックチャンバ522を所望の圧力に制御する。
【0032】
第1ローディングポート638が、チャンバ本体部602の第1壁部608に設けられており、ロードロックチャンバ522とファクトリインターフェース502との間での基板524の搬送を可能にしている。第1スリットバルブ644が、第1ローディングポート638を選択的に封止して、ロードロックチャンバ522をファクトリインターフェース502から隔離する。第2ローディングポート639が、チャンバ本体部602の第2壁部610に設けられており、ロードロックチャンバ522と搬送チャンバ536との間での基板524の搬送を可能にしている。実質的に第1スリットバルブ644と同じである第2スリットバルブ646が、第2ローディングポート639を選択的に封止して、ロードロックチャンバ522を搬送チャンバ536の真空環境から隔離する。
【0033】
第1基板ホルダ604が、チャンバ底部616の上方に配置された第2基板ホルダ606に同心円状に連結されている(すなわち、第2基板ホルダ上に積み重ねられている)。基板ホルダ604、606は通常、フープ620上に取り付けられており、フープ620は、チャンバ本体部602の底部616を貫通して延びる軸682に連結されている。各基板ホルダ604、606は、1つの基板を保持するように構成されている。軸682は、ロードロックチャンバ522の外部に配置された昇降機構660に連結されており、昇降機構660が、基板ホルダ604、606のチャンバ本体部602内での高さを制御している。第1基板ホルダ604を用いて、ファクトリインターフェース502からの未加工の基板を保持し、第2基板ホルダ606を用いて、搬送チャンバ536から返却された加工済み基板(例えば、エッチ済みの基板)を保持する。図6に図示の実施形態において、加工済みの基板696は、処理チャンバ510、512、532、528、520のいずれか1つでの加工後、第2基板ホルダ606上に位置決めされる。
【0034】
図4を再度参照するが、方法400は、加熱モジュールを有するチャンバ(図5に図示されるロードロックチャンバ522等)内に基板を供給することにより実行される。一実施形態において、基板は、熱処理が可能ないずれの基板又は材料であってもよい。一実施形態において、基板は、シリコン半導体基板であり、ゲート構造等の構造の形成に利用する単数又は複数の層をその上に有している。或いは、基板は、基板上のマスク層をエッチマスク及び/又はエッチストップ層として利用して、特徴部又は構造の基板への転写を円滑に行う。別の実施形態において、基板は、多数の層(例えば、膜積層体)を有するシリコン半導体基板であり、異なるパターン及び/又は特徴部(デュアルダマシン構造等)を形成するのに利用される。基板は、結晶シリコン(例えば、Si<100>又はSi<111>)、酸化ケイ素、歪シリコン、シリコン・ゲルマニウム、ドープ又は非ドープポリシリコン、ドープ又は非ドープシリコンウェハ、パターン形成又は非パターン形成ウェハ、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)、炭素ドープ酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、シリコン上に配置された金属層等の材料であってよい。基板の寸法は様々であってよく、例えば直径200mm又は300mmのウェハ、長方形又は正方形のパネルである。本発明に記載の実施形態において、基板はシリコン半導体基板である。
【0035】
一実施形態において、ロードロックチャンバ522に搬送される基板は、少なくともハロゲン含有ガスを含むガス混合物を供給することにより、処理チャンバ510、512、532、528、520の1つにおいて事前にエッチされる。ハロゲン含有ガスの適切な例には、以下に限定されるものではないが、臭化水素(HBr)、塩素(Cl)、四フッ化炭素(CF)等が含まれる。エッチング中、基板上の加工済みの材料は、エッチング剤の成分や、マスク層がある場合にはマスク層の成分、エッチ処理の副生成物と結合して、基板表面上でハロゲン含有残留物を生成する。ロードロックチャンバ522で行うような熱処理によりハロゲン含有残留物は熱せられ、基板表面から蒸発する揮発性の化合物となるため、ハロゲン含有残留物の基板表面からの除去が促進される。
【0036】
一実施形態において、熱処理を行うためにロードロックチャンバ522に搬送される基板102は、温度約80℃〜約120℃を有する。別の実施形態において、ロードロックチャンバ522に搬送される基板102は、約80℃より低い温度を有する。更に別の実施形態において、ロードロックチャンバ522に搬送される基板102は、事前に行われた処理温度と同じ温度を有する。
【0037】
工程402で、ランプアセンブリ670等のエネルギー供給源の電源を入れ、基板表面を加熱する。図6を併せて参照するが、基板102が搬送チャンバ536からロードロックチャンバ522へと搬送される際、搬送完了後、スリットバルブ646が続いて閉鎖される。スリットバルブ646が閉鎖され、基板102が第2ホルダ606上に位置決めされたら、加熱モジュール670の電源を入れて熱処理を基板100に行う。加熱モジュール670のランプ694は、基板表面を加熱する赤外光を発生する。一実施形態において、ランプ694は、波長約400nm〜約14000nmの赤外光を発生し、測定波長1200nmで極めて高い強度を有する。
【0038】
一実施形態において、ガス混合物が、エッチ済みの基板の加熱中、ガス供給源652からロードロックチャンバ522へと供給される。加工済みの基板100をガス混合物に暴露し、反応させる。ハロゲン含有残留物が加工済みの基板表面上に存在する実施形態例において、ガス混合物は、放出されたハロゲン系反応物を非腐食性の揮発性化合物に変え、この揮発性化合物はロードロックチャンバ522から排出される。ガス混合物には、酸素含有ガス(O、O、水蒸気(HO)等)、水素含有ガス(H、フォーミングガス、水蒸気(HO)、アルカン、アルケン等)、不活性ガス(窒素ガス(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等)が含まれる。例えば、ガス混合物には、酸素、窒素、水素含有ガスが含まれる。一実施形態において、水素含有ガスは、水素(H)及び水蒸気(HO)の少なくとも1つである。基板上にマスク層が存在する実施形態において、マスク層は、ハロゲン含有残留物と同時に除去してもよい(例えば、マスクをロードロックチャンバ内でフォトレジストから剥離する)。
【0039】
工程404で、ランプアセンブリ670が定常状態の出力に達してベースラインとなる透過率が確立されたら、センサ698を用いて、基板102を透過した加熱モジュール670からの赤外光を検出する。センサ698は、加熱モジュール670からの出力が安定した後に用いる。一実施形態において、熱出力は、約2秒〜約5秒後に安定する。センサ698の遅延時間には2つの利点がある。まず第1に、加熱モジュール670の出力が、透過率を読み取る間、基板に一定量のエネルギーが供給されるようなものとなる。第2に、吸収が急激に変化することから測定にとって良好な分解能が得られる温度範囲にまで基板を熱することができる。
【0040】
前述したように、基板温度によって異なる基板の吸収は、基板696を透過し、更にはセンサ698に届く光エネルギーの量に大きな影響を及ぼす。基板温度が上昇するにつれ、基板102を透過する光エネルギーの量は変化するため、センサ698にまで伝達される光エネルギーの量が変化する。従って、センサ698は、工程406での吸収における変化を表す数的指標をこの期間中に得ると、この数的指標を用いて、工程408で基板の温度を求める。
【0041】
工程408で、基板温度を求める。波長には、基板温度とシリコン基板吸収とが目的の範囲内で線形に反比例するようなものが選択されるため、赤外光の基板透過率における変化を測定することにより、基板の温度を計算することができる。センサ698は、基板の温度と相関関係がある比として表される、赤外線透過率の数的指標を2つ得る。表1は、基板温度と透過率比との関係の一具体例である。この例において、約1の比は、約70℃〜約120℃の基板温度と相関関係にある。基板温度が上昇するにつれ、基板の赤外線透過率は低下し、それに伴ってセンサ698に伝達される赤外光エネルギーが低下する。センサ698が記録する赤外線エネルギーが徐々に減少していくにつれ、透過率比は低下する。センサ698によって検出される基板の赤外線透過率の段階的な変化に基づいて、基板温度をしかるべく計算する。このようにして、熱処理中の基板の温度を、シリコン材料固有の性質(温度に応じた関数としての、エネルギー吸収における変化等)を利用して、基板の赤外線透過率を測定することにより正確に測定し、計算する。透過率比と温度との関係を計算する又は実験により求めることも考えられる。
【0042】
【表1】

【0043】
一実施形態において、基板表面で熱処理を行うと、熱により基板表面の温度が上昇し、(存在する場合は)加工した基板の表面上のハロゲン系反応物が放出又は排気される。加熱モジュール670で基板を急速に加熱することにより、加工済みの基板上のハロゲン含有残留物を、処理サイクル時間を延長することなく除去することができ、この処理サイクル時間の延長は、処理チャンバの1つで残留物を除去する場合に起こる。
【0044】
任意で、工程410で、基板が所望の基板温度に達したため加熱モジュール670の電源を切る終点を決定する。終点温度は、透過率比を用いて求めることができる。計算した比は、基板温度が所望の温度に達したことを示しているため、センサ698は信号をコントローラ544に送り、加熱モジュール670を停止させる。
【0045】
一実施形態において、加熱モジュール670は、基板温度が約250℃〜約400℃に達してから停止させられる。別の実施形態において、加熱モジュール670は、センサ698によって計算された既定の期間で停止させられる。既定の期間は、約5秒〜約180秒の範囲であってよく、モジュール670の熱発生容量に依存する。ハロゲン含有残留物が基板表面上に存在する更に別の実施形態において、加熱モジュール670は、加工済みの基板上のハロゲン含有残留物が基板表面から除去される既定の期間で停止させられる。ハロゲン含有残留物を除去するための終点期間は、約10秒〜約120秒(約30秒〜約90秒等)であってよい。或いは、残留ガス分析装置(RGA)を利用して、エッチ済み基板表面上に残っているハロゲン含有残留物を検出することもできる。
【0046】
従って、本発明は、熱処理中に基板の温度を測定するための方法及び装置を提供する。本発明の方法及び装置は、基板の赤外線透過率を測定することによって熱処理中にセンサで基板の実際の温度をモニタするため、有利である。温度によって基板の不透過性は異なるため基板の赤外線透過率に違いが生じ、センサによる実際の基板温度の測定に役立つ。
【0047】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく本発明のその他及び更に別の実施形態を創作することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気可能なチャンバと、
チャンバ内の基板を加熱するための基板ヒータと、
基板ヒータによる基板の加熱中に基板を透過したエネルギーを受け取るためのセンサとを含み、センサは、透過率を表す数的指標を検出するように構成されている、熱処理中に基板の温度を測定するための装置。
【請求項2】
基板ヒータが、1つのランプ又は複数のランプである請求項1記載の装置。
【請求項3】
基板ヒータが、チャンバ内外への基板の搬送を行うための熱せられたロボットブレードである請求項1記載の装置。
【請求項4】
基板ヒータが、チャンバ内に配置された基板支持体である請求項1記載の装置。
【請求項5】
基板とセンサとの間に配置された光コリメータを更に含む請求項1記載の装置。
【請求項6】
光学コンジットを更に含み、光コリメータが、既定の角度で基板から光学コンジット内へと入射するエネルギーを回収するために位置決めされている請求項5記載の装置。
【請求項7】
光コリメータとセンサとの間に配置されたフィルタを更に含む請求項5記載の装置。
【請求項8】
ランプアセンブリが、波長約400nm〜約14000nmの赤外光を供給する請求項2記載の装置。
【請求項9】
チャンバが、ロードロックチャンバ、搬送チャンバ及び処理チャンバの少なくとも1つである請求項1記載の装置。
【請求項10】
チャンバが、処理システム内に配置されたロードロックチャンバである請求項1記載の装置。
【請求項11】
チャンバ内の基板を加熱し、
加熱しながら基板の透過率における変化を検出し、
透過率の変化に基づいて基板の温度を求めることを含む、熱処理中に基板の温度を測定するための方法。
【請求項12】
基板を加熱する工程が、
ロードロックチャンバ内で基板を加熱することを更に含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
基板を加熱する工程が、
基板を熱せられたロボットブレード上で加熱することを更に含む請求項11記載の方法。
【請求項14】
基板を加熱する工程が、
基板を処理チャンバ内で加熱することを更に含む請求項11記載の方法。
【請求項15】
基板を加熱する工程が、
基板を真空環境下で加熱することを更に含む請求項11記載の方法。
【請求項16】
基板を加熱する工程が、
検出中、基板に一定量のエネルギーを供給することを更に含む請求項11記載の方法。
【請求項17】
透過率における変化を検出する工程が、
基板を透過する光を光コリメータを介してセンサに送ることを更に含む請求項17記載の方法。
【請求項18】
基板を加熱する工程が、
光により基板を加熱することを更に含み、その光の一部を用いて透過率の変化を測定する請求項11記載の方法。
【請求項19】
透過率における変化を検出する工程が、
基板を透過する、約1200nmを中心とした約10nmの波長帯域を有する赤外光を読み取ることを更に含む請求項11記載の方法。
【請求項20】
基板の加熱に先立って、ハロゲン含有要素により基板を処理することを更に含む請求項11記載の方法。
【請求項21】
ハロゲン含有要素の存在下で加工された基板を処理し、
基板をランプアセンブリを有する排気可能なチャンバ内の台座部上に搬送し、
ランプアセンブリからの赤外光により基板を加熱し、
基板を透過する赤外光を検出し、
透過した光に基づいて基板温度を計算することを含む、熱処理中に基板の温度を測定するための方法。
【請求項22】
赤外光を検出する工程が、
基板を透過した光を光学コンジットを介してセンサへと方向付けることを更に含む請求項21記載の方法。
【請求項23】
ハロゲン含有要素を、加熱しながら基板表面から除去することを更に含む請求項21記載の方法。
【請求項24】
赤外光を検出する工程が、
基板を透過する、約1200nmを中心とした約10nmの波長帯域を有する赤外光を読み取ることを更に含む請求項21記載の方法。
【請求項25】
排気可能なチャンバが、処理システム内に配置されたロードロックチャンバである請求項21記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−519521(P2010−519521A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550108(P2009−550108)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/053998
【国際公開番号】WO2008/101106
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】