走査荷電粒子顕微鏡
【課題】
走査荷電粒子顕微鏡の走査画像に外部擾乱により障害が現れた場合、外部擾乱を特定するためにその画像から擾乱周波数を簡単に精度よく解析することを目的とする。また、その解析可能な最大周波数を、走査荷電粒子顕微鏡の排気ポンプとしてよく使用するターボ分子ポンプなどの回転周波数である数kHzまで高めることを目的とする。
【解決手段】
走査画像の像障害である縞パターンのFFT解析において、Y方向(荷電粒子線の副偏向方向)の一次元FFT(1D−FFT)あるいはX方向(荷電粒子線の主偏向方向)の一次元DFT(1D−DFT)にて行う。また、解析可能な最大周波数を数kHzまで伸ばすには、荷電ビームの走査速度の速いX方向(荷電粒子線の主偏向方向)での1D−FFT(あるいは1D−DFT)解析を行う。
走査荷電粒子顕微鏡の走査画像に外部擾乱により障害が現れた場合、外部擾乱を特定するためにその画像から擾乱周波数を簡単に精度よく解析することを目的とする。また、その解析可能な最大周波数を、走査荷電粒子顕微鏡の排気ポンプとしてよく使用するターボ分子ポンプなどの回転周波数である数kHzまで高めることを目的とする。
【解決手段】
走査画像の像障害である縞パターンのFFT解析において、Y方向(荷電粒子線の副偏向方向)の一次元FFT(1D−FFT)あるいはX方向(荷電粒子線の主偏向方向)の一次元DFT(1D−DFT)にて行う。また、解析可能な最大周波数を数kHzまで伸ばすには、荷電ビームの走査速度の速いX方向(荷電粒子線の主偏向方向)での1D−FFT(あるいは1D−DFT)解析を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査荷電粒子顕微鏡に関し、特に半導体デバイスや新材料などの試料表面の観察する走査荷電粒子顕微鏡において、その走査画像に障害をもたらす外部擾乱の振動数を解析する手段を搭載した走査荷電粒子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査荷電粒子顕微鏡の代表である走査電子顕微鏡(SEM)において、その装置が外部環境の悪い所に設置された場合には、外部擾乱の影響を受けて電子線の試料に対する相対的な偏向が乱され、像障害が発生する。このような問題は、引用文献1に開示されている。
【0003】
外部擾乱の代表的なものとして、騒音などに起因する機械的な振動や、外部からの交流磁場が上げられる。像障害がある代表的なSEM画像を図5(a1)に示す。試料はシリコン(Si)材のマイクロスケール試料(直線状の平坦な凸領域と凹領域の繰り返し構成試料)である。画像の縦軸(Y軸)に少し傾斜している凸領域の両端が擾乱振動のため波状の縞パターンとなって観察されている。
【0004】
その縞パターンが簡単な場合、従来法では、その縞周期をY方向に数え、周波数を算出していた。縞パターンが複雑な場合は、図5(b1)に示すように、その画像(サイズ:imax×jmaxピクセル[pixel])の2次元高速フーリエ変換(以下、2D−FFTともいう。)のパワースペクトル像(FFT像とも呼ばれる)を利用していた。
【0005】
2D−FFT像において、縦軸(Y軸)および横軸(X軸)方向は、それぞれ実空間の縦軸および横軸方向に一致するが、それらが表示している物理量は波数(単位pixel長あたりの波の数)でリニアプロットの目盛りである。波数f[pixel-1]の原点(f=0)は像中心位置にあり、画像のX軸の左端および右端がそれぞれX方向の波f=−1/2およびf=+1/2、画像のY軸の下端および上端がそれぞれY方向の波f=−1/2およびf=+1/2に相当する。パワースペクトル像において、明るい領域はパワーの強い(成分の大きい)波数領域である。図5(b1)において、明るい領域が擾乱振動の波数領域に相当している。
【0006】
【特許文献1】特開平10−97836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この2D−FFT画像解析による擾乱波数の特定は、明るい領域が広く、かつ斜め方向にも分散しているためその特定アルゴリズムが複雑になり、かつその特定精度も低い。また、通常、解析可能な周波数は、数100Hz以下に制限されている。
【0008】
本発明の目的は、走査荷電粒子顕微鏡の走査画像に外部擾乱により障害が現れた場合、外部擾乱を特定するためにその画像から擾乱周波数を簡単に精度よく解析することである。また、その解析可能な最大周波数を、走査荷電粒子顕微鏡の排気ポンプとしてよく使用するターボ分子ポンプなどの回転周波数である数kHzまで高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
走査画像の像障害である縞パターンのFFT解析において、その擾乱周波数を明瞭に精度よく求めるには、Y方向(荷電粒子線の副偏向方向)の一次元FFT(1D−FFT)あるいはX方向(荷電粒子線の主偏向方向)の一次元DFT(1D−DFT)にて行う。また、解析可能な最大周波数を数kHzまで伸ばすには、荷電ビームの走査速度の速いX方向(荷電粒子線の主偏向方向)での1D−FFT(あるいは1D−DFT)解析を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、外部擾乱の振動周波数が走査画像から簡単に精度よく特定できる走査荷電粒子顕微鏡が提供できる。また、その振動周波数は数kHzの高周波領域までが解析可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例では、走査電子顕微鏡(SEM)の実施例について説明するが、これに限られず、走査形透過顕微鏡(STEM)や走査イオン顕微鏡(SIM)でも同様な効果が得られる。
【0012】
本発明の実施例として、走査荷電粒子の代表例である走査電子顕微鏡(SEM)を図4に示す。電子銃1から放出された電子2は集束レンズ3と対物レンズ4により試料5上に集束され、偏向器6にて走査される。試料5からは二次粒子(二次電子など)7が放出し、荷電粒子検出器8にて検出される。計算機を含む制御プロセッサ9は電子銃1,集束レンズ3および対物レンズ4,偏向器6,荷電粒子検出器8および試料5などの電気的制御を行う。表示手段10は、該電気的制御を行うための制御ウインドウや走査画像などを表示する。一次元(1D)FFT解析手段11は計算機を含む制御プロセッサ9の中にあり、その解析結果に関する情報を表示は、表示手段10にて行う。
【実施例1】
【0013】
まず、Hz[=s-1]単位の擾乱周波数fhを画像から求める方法について説明をする。
【0014】
図5(1a)は外部擾乱がある場合のSEM原画像(サイズ:640×480pixel,フレーム走査時間:40s)からの一部をコピーして作成した解析画像(サイズ:256×256pixel)である。試料はその断面を繰り返しの矩形波形状に加工作製したSi材マイクロスケールである。
【0015】
試料に関しては、マイクロスケール以外でも可能であるが、垂直の端面を持つ試料を用いると、エッジ部分が明るく見え、擾乱が画像から明確に分かりやすい。垂直端面は、その垂直方向に対する二次電子放出強度分布のピーク幅を狭めるため、高密度の縞パターンのコントラストを向上させる。
【0016】
矩形スケール左右端部の明部に、走査速度の速い主偏向の方向をX方向とすると、Y方向に縞パターンが重畳している。Y方向にこの縞パターンの周期を求めることにより擾乱波数fp[pixel-1]が求まる。Hz[=s-1]単位の擾乱周波数fhの変換は、ビームの走査速度VY[pixel/s]を用いて下式から算出できる。ここで、ビーム走査速度VYは、画像の取得条件から決まる量である。
【0017】
fh[Hz]=fp[pixel-1]×VY[pixel/s] (1)
従来方法では、擾乱波数fp[pixel-1]をSEM画像上で直接に1pixel当たりの縞を数えるか、あるいは、画像の2次元FFTのパワースペクトル画像(図5(b1)参照)から算出していた。
【0018】
本発明法では、擾乱周波数fh[Hz]を1D−FFTのパワースペクトル画像を用いて特定する。
【0019】
そのフローチャートを図1に示す。図1中のステップ3「規格化パワースペクトル画像データの計算と画像表示」およびステップ4「平均パワースペクトルのグラフデータの計算とグラフ表示」の詳細は、それぞれサブルーチンとして図2および図3に示す。この擾乱周波数の特定は、1D−FFT解析手段11にて行う。以下、解析画像(図5(a1))の擾乱周波数fh[Hz]をY方向の1D−FFTのパワースペクトル画像を用いて特定する実施例を説明する。
【0020】
ステップ1:解析画像の作成
図5(a2)は解析画像(図5(a1))を説明のために90度右回転した画像(サイズ:256×256pixel)である。なお、90度右回転させたのは、ソフトによる解析の容易さのためであり、必ずしも必要ない。SEM画像のY軸方向は、回転画像図5(a2)において紙面上で水平方向になっている。各ピクセル位置(Xi,Yj)でのSEM画像のピクセル強度をZ(Xi,Yj;i(or j)=0,1,‥,imax(or jmax),imax(or jmax)=256)で表す。
【0021】
ステップ2:解析方向(X or Y)の選択
本実施例では、Y方向を選択する。
【0022】
ステップ3:規格化パワースペクトル画像データPn(Y,ν)(or Pn(X,ν))の 計算と画像表示
各Xi位置におけるピクセル強度Z(Xi,Yj;j=0,1,‥,jmax)からY方向1D−FFTパワースペクトルを計算する。図5(b2)はその1D−FFTの規格化パワースペクトル画像であり、縦軸が解析画像と同じ実空間のX軸、横軸がそのパワースペクトルの波数f(×1/jmax)[pixel-1]、そして像輝度が対数表示の1D−FFT規格化パワーである。ただし、像表示(8ビットのグレー色表示)では、規格化パワーをその対数変換し、その最小値と最大値がそれぞれ0と255となるように像の輝度およびコントラスト補正を行っている。このパワースペクトル像において、横軸中央が波数fの原点であり、像は波数に対し正負対称となる。パワースペクトル画像は、表示手段10に表示される。
【0023】
ステップ4:平均パワースペクトルのグラフデータPAV,Y(ν)(or PAV,X(ν))の 計算とグラフ表示
上記のY方向1D−FFT規格化パワースペクトルをX方向に平均して平均パワースペクトルを計算する。図5(b3)は、そのグラフである。
【0024】
ステップ5:振動波数[pixel−1]の特定
平均パワースペクトルは、波数に対し正負対称であるので、擾乱波数fp[pixel-1]の周波数の特定は、正側の波数を用いて説明する。平均パワースペクトルのグラフ(図5(b3)参照)において、擾乱波数fp[pixel-1]はそのスペクトルピークの位置51および102(×1/256)に該当する。Y方向ビーム走査速度VYは、SEM原画像Y幅(480pixel数)とフレーム走査時間(40s)を用い、下式からVY=12[pixel/s]と算出される。
【0025】
VY[pixel/s]=SEM原画像Y幅pixel数/フレーム走査時間[s] (2)
ステップ6:特定周波数[Hz]に変換
擾乱周波数fhは、式(1)を用いて2.4および4.8Hzと変換できる。2.4Hz振動は4.8Hz振動の2倍周期に相当する。本発明法の1D−FFT画像(図5(b2))と従来の2D−FFT画像(図5(b1))との比較からわかる様に、前者では擾乱周波数が縦方向に幅の狭いストライプ状に表現されるため、その擾乱周波数の特定化が簡単で、その精度も高くできる。
【0026】
このような擾乱周波数は、表示装置に表示させて使用者に知らせることもできる。
【実施例2】
【0027】
次にX方向(荷電粒子線の主偏向方向)の1D−FFT解析について説明する。
【0028】
実施例1と同じマイクロスケール試料を用いたX方向1D−FFT解析の実施例について述べる。X方向ビーム走査速度VXは、SEM原画像の全pixel数(640×480pixel)とフレーム走査時間(40s)を用いて下式からVX=7680[pixel/s]と算出される。
【0029】
VX[pixel/s]=SEM原画像の全pixel数/フレーム走査時間[s] (3)
図6(a1)は外部擾乱がある場合のSEM画像(サイズ:256×256pixel)、図6(b1)はX方向1D−FFT規格化パワースペクトル像、図6(b2)はそのパワースペクトルのY方向に平均化したグラフである。このX方向1D−FFTグラフにおいて、擾乱振動は隣接した双子ピークとして現れており、特定すべき擾乱波数は双子ピーク間の谷位置の波数に相当する。高い波数fで振動しているマイクロスケール端は、走査ビームからは相対的に近づく場合と遠ざかる場合の繰り返しの振動にみなせる。その結果、走査ビームで検出した波数はfより少し高いものと低いものの双子となる。特定した擾乱波数はfp[pixel-1]=38および79(×1/256)であり、擾乱周波数fh[Hz]は、X方向ビーム走査速度VX=7,680[pixel/s]を用いて、下式からfh=1,140および2,370Hzと特定できる。前者は、後者の2倍周期の振動数に相当する。
【0030】
fh[Hz]=fp[pixel-1]×VX[pixel/s] (4)
X方向1D−FFT解析の解析画像では、マイクロスケールの左右端の一方のみを含ませるように作成することが望ましい。個々の端での縞パターンを形成している波が、通常、左右端で同位相とならないためである。つまり、解析する方向に2つ以上の擾乱が含まないようにすることが望ましい。
【0031】
X方向はビーム走査の主偏向方向であり、そのビーム走査速度VXはY方向走査速度VYと比べ、SEM原画像のY幅ピクセル数倍だけ速い。フレーム走査時間を40sから0.2sまで短縮する200倍の変化は、VXおよびVYに200倍の増大をもたらす。種々のフレーム走査時間でのSEM画像を用いたYおよびX方向の1D−FFT解析により、それぞれ数100Hz以下および数100Hz以上の擾乱周波数が解析できる。解析できる最大周波数はX方向1D−FFTにより10kHz程度以上となる。この結果、例えば、ターボ分子ポンプ(回転数:毎秒数千回)に起因する擾乱振動も、簡単かつ高精度に解析できるようになった。
【0032】
SEM装置には、機械的な共振振動数,ターボ分子ポンプなどの周期運動,制御電源などの電気的周波数など装置自体が持つ擾乱振動要素がある。床振動や外乱磁場などの擾乱を押さえた環境下にSEM装置を設置し、既定のSEM観察条件(電子照射エネルギー,ビーム電流,フォーカス条件,観察倍率,画像走査フレーム時間など)で特定の試料(例えば、マイクロスケール試料)の解析画像から擾乱振動を解析すると、通常のSEM動作下における装置自体の擾乱振動数とそのパワー値(その振動成分の大きさ)が得られる。この装置自体の擾乱振動数とそのパワー値は、SEM装置の設置環境で異なるので、設置環境が変わるごとに擾乱振動解析を行い、それらを設置環境情報とセットで制御プロセッサ9に記録しておく。その後の擾乱振動の解析(既定のSEM観察条件と同じ特定試料を採用)において、特定した擾乱振動数とそのパワー値は、この記録した装置固有振動数とパワー値との比較表示をすることもできる。新たな擾乱振動数が現れたり、既知の擾乱振動数でもパワー値が指定した許容値を超えていたりした場合は、その旨が表示装置に表示される。
【実施例3】
【0033】
図7(a1),(a2),(a3)および(a4)は、画像サイズがそれぞれ256×256,128×256,256×128、および128×128pixelの解析用SEM画像例であり、図7(b1)−(b4)は、それぞれそのX方向1D−FFTパワースペクトル画像である。図7(b1)−(b4)において、いずれの画像も殆ど同じパワースペクトルを示している。本発明の1D−FFT解析では、その1D−FFTの方向のサイズを、2m(整数mは実用的には5〜10)pixelに取れば、残り方向のサイズは任意でよく、縦長,横長の長方形や正方形でも解析可能となる。縞パターンが多くの割合で含まれるように解析画像の形状やサイズを調整することにより、パワースペクトルのSN比が向上できる。(従来法の2D−FFT解析では、画像サイズは、通常、2m(m=5〜10)pixelの正方形に限られる。)SEM原画像のサイズが、例えば512×512pixelと1D−FFT方向の画像サイズが2m(m=5〜10)pixel条件を満たしていれば、原画像の全体を解析画像にしても良い。
【0034】
なお、離散フーリエ変換(DFT)を用いることもできる。ここで、高速フーリエ変換と、離散フーリエ変換の関係について説明する。
【0035】
高速フーリエ変換(FFT)は、離散フーリエ変換(DFT)の対称性に着目して、その演算量を減らし高速に変換を行う手法である。周期NのDFTでは、複素数の乗算がN2回であるのに対し、FFTではN・log2N/2回に減らせる。Nが2のべき乗、すなわち=2mのとき、その乗算回数の比率は次式で表され、m(すなわちN)が大きいほど、その低減効果が大きい。
【0036】
[FFT]/[DFT]=m・2m-1/22m=m/2m+1
例えば、N=64,128,256および512の時、上記の比率はそれぞれ0.047,0.027,0.016および0.0088となる。DFTでは、FFTのN=2mという条件が外れるが処理時間が長くなる。
【0037】
FFTの代わりにDFTを採用すれば、画像サイズは、2m(m=5〜10)pixelに制限されなく、縞パターンがより多くの割合で含まれるように解析画像の形状やサイズの自由設定の長所が得られる。ただし、フーリエ変換の処理時間は長くなる欠点を伴う。サイズが大きい解析画像にて高速処理が必要な場合はFFTの方を用いる。これまでの実施例1および2、および以下の実施例4−7では、FFTを用いた例であるが、DFTを用いれば上述の長所と短所の特徴下でFFTと同等な結果が得られる。
【実施例4】
【0038】
擾乱周波数の特定は、特定者(装置オペレータ)が表示手段10に表示された1D−FFT規格化パワースペクトルの画像やグラフを目視確認しながら行える。図8および図9はその画像とグラフである。画像の下部には、図5(b3)のグラフと同様な波数軸が画像の波数とスケールを合わせて表示されている。画像に重畳している縦カーソル線は、特定者がマウスやキーボードの矢印キー(←および←)により任意の波数位置に移動できる。その移動中あるいは停止しているカーソル位置での波数[×(1/imax)or×(1/jmax)pixel-1]および周波数[Hz]は、波数軸右端下の波数および周波数表示枠内にそれぞれ左右に並べて表示されている。特定者が、カーソルを画像やグラフの上で擾乱波数位置に置くことにより、擾乱周波数が特定できる。
【実施例5】
【0039】
擾乱振動の波数に加えて、振幅およびその振動方向を特定する実施例について説明する。擾乱波数の振幅の大小は、1D−FFTパワーの大小にて評価できる。実空間における具体的な振幅値[長さ単位]は、以下の方法で算出する。(1)FFT規格化パワースペクトル像あるいはパワースペクトル・グラフにおいて、擾乱波数に関係した波数帯域を通過させる帯域通過(Band Pass)フィルターを設定する。(2)帯域通過(Band Pass)フィルターをかけたパワースペクトルの逆FFT変換して、その帯域波数が形成する縞パターンの実空間画像を作成する。(3)この縞パターンの幅を1D−FFTの方向軸に沿って計測する。(4)この縞パターンの幅[pixel]に解析画像の画素サイズ[例えば、nm/pixel]を乗算し、振幅値[例えば、nm]を得る。1D−FFT逆変換の機能は、1D−FFT機能と共に1D−FFT解析手段11が持っている。
【0040】
図10(a1)は解析画像、(b1)はFFT規格化パワースペククトル像を用いて通過帯域の開始と終了の波数を設定する窓画面、(b2)はパワースペクトル・グラフを用いて通過帯域の開始と終了の波数を設定する窓画面、および(a2)は逆FFT変換した実空間画像である。図10(b1)あるいは(b2)の窓画面下部のフィルター表示枠にてラジオボタンにて帯域通過(Band Pass)を選択する。通過帯域波数の設定は、それぞれのスペクトル画像あるいはスペクトル・グラフにて半透明マスクがかけられていない帯域通過フィルターのStart波数とEnd波数にて行う。Start波数とEnd波数の設定は、そのマスクの左端あるいは右端をマウスでクリックにて選択・保持し、マウスの左右の移動、あるいはキーボードの矢印キー入力により任意波数位置に移動できる(ただし、移動端は他端を越えられない)。StartとEnd波数は、その移動中も含め、波数表示枠内に表示される。パワースペククトルは、波数原点の縦軸に対して対称であるため、通過帯域波数の設定は、波数の正符号領域で行えば、逆符号の波数帯域にも計算機処理により自動的に通過帯域が設定される。本実施例では、主擾乱波数[×(1/256)pixel-1]である31に注目し、それを含む波数帯域は19−51である。
【0041】
次に、特定波数の振動方向を特定するには、以下の手順で行う。(1)擾乱観察用試料とビーム走査回転角θとを同期してステップ状に変え(例えば、θ=0−180度の範囲にて15度間隔)、それぞれの回転角位置にてSEM画像を取得する。ただし、試料座標のX軸とビーム主偏向方向(X軸方向)(ただし、θ=0)とのズレ角度を、補正角度θoとして保存しておく。(2)それぞれのSEM画像に対して、解析画像のFFTパワースペクトル・グラフを作成する。(3)パワースペクトル・グラフの注目波数fpにおけるパワーP(fp)を回転角θに対してプロットしたグラフを作成する。(4)このグラフにおいて、パワー値が最大になる回転角θmに補正角度θoを加えた方向が、注目波数の振動方向になる(ただし、正負の方向は区別しない)。図11は、パワーP(fp)のθ依存性のグラフである。ここで、P(fp)値は、図10(b2)のように波数fp=38(×1/256pixel-1)の擾乱が双子ピークで現れる場合、その双子ピーク値の平均値である。グラフからθm≒30度となり、波数fpの擾乱振動方向は30度+θoの方位方向と特定できた。この特定法では、試料の回転による擾乱への影響は無視できるという前提がある。この前提下で、θ依存性が弱いパワーP(fp)の擾乱要因は、走査回転信号に付随したものと判定できる。
【実施例6】
【0042】
次に、SEM装置の擾乱振動環境における日推移の解析例について述べる。先ず、(1)制御プロセッサ9は、定期的に(例えば、毎週の指定曜日)に指定のSEM像観察条件にて指定の試料(例えばマイクロスケール試料)のSEM像を取得し、解析画像を作成する。(2)その解析画像の規格化パワースペクトル画像および規格化パワースペクトル・グラフを作成する。(3)これらの画像およびグラフを制御プロセッサ9に記憶させる。(4)必要に応じ、これらの記憶させた画像およびグラフを時間推移情報とともに表示手段10に表示できる。画像の表示は、1枚ずつの表示,数枚毎の並列表示、および少しずつの下方にずらした重ね表示から選択できる。一方、グラフの表示は、1枚ずつの表示および数枚毎の重ね表示から選択できる。また特定波数のパワーP(fp)の日推移プロット表示もできる。
【0043】
この擾乱振動環境における日推移の解析において、規格化パワースペクトル・グラフのパワースペクトルにおいて、しきい値パワースペクトルを事前に設定し、これを超えた波数が現れた時に、その旨を表示手段10に表示、あるいは制御プロセッサ9に記憶させることができる。図12はしきい値パワースペクトル(破線表示)を書き込んだ規格化パワースペクトル・グラフである。制御プロセッサ9は、規格化パワースペクトルにおいて波数51と102(×1/256)[pixel-1]の2つの位置に擾乱波数ピークを見つけ、そこにカーソル線を引く。その2つの波数とそれらに相当する擾乱周波数[Hz]は、波数および周波数表示枠内に表示されている。制御プロセッサ9は、これらの擾乱波数の規格化パワーがしきい値を超えていることを判定し、波数および周波数表示枠内の数値を赤色で表示する(しきい値を超えていない場合は、黒色表示である)。
【実施例7】
【0044】
擾乱振動による像障害(縞パターン)が現れた走査画像において、擾乱周波数が特定できれば、この像障害の除去処理ができる。この実施例について説明する。図13(a1)は、図6(a1)と同じ解析画像である。図13(b1)および(b2)は、それぞれその規格化パワースペクトル画像および規格化パワースペクトル・グラフにマスクフィルターを掛けている表示窓画面である。画面下部のフィルター表示枠内の帯域マスク(Band Mask)フィルターを選択する。マスクフィルターのStart波数とEnd波数位置の設定の仕方は、〔実施例5〕の帯域通過フィルターの波数位置の設定と同じである。本実施例では、主擾乱波数[×(1/256)pixel-1]である31に注目し、それを含む波数帯域19−51をマスクした。マスク領域の決定後、マスク帯域波数のパワーをゼロにして1D−FFT逆変換をして変換画像を表示する。図13(a2)はその変換画像である。この変換画像が、擾乱振動による像障害が除去された実空間画像になる。
【0045】
なお、像障害の除去においては、実施例1のHz[=s-1]単位の擾乱周波数fhまで求める必要はなく、振動波数[pixel-1]の特定が求まれば像障害の除去ができる。
【実施例8】
【0046】
半導体製品等の生産ラインにおいては、図14に示すように半導体デバイスパターンなどの測長管理のために、複数台のSEM101〜104が管理用マスター計算機105にネットワーク接続されている。個々のSEMには、上記の擾乱振動解析法に基づく計算機能が該SEMの制御プロセッサの計算機に組み込まれており、装置オペレータの指示により、擾乱振動が自己評価できる。その擾乱振動評価値は、顕微鏡画像を表示していた画像表示装置を用いて表示する。また、長期にわたってデバイスパターンなどの測長管理に用いているSEMにおいては、各々のSEMが擾乱振動解析用試料(マイクロスケール試料など)を用いて定期的に擾乱振動を解析評価し、その評価値の推移情報と共に表示・記録する。この定期的な擾乱振動評価値は、マスター計算機105に吸い上げられ、ここで他のSEMからの情報と合わせて集中管理される。擾乱振動評価値(規格化パワースペクトラム)が設定許容範囲を超えた場合は、そのSEMにおいても、またマスター計算機105においても、その異常が装置オペレータに知らされる。マスター計算機105は画像表示モニタ106と、先に説明したような制御プロセッサを備えており、画像表示モニタ106に、擾乱振動評価値が設定許容範囲を超えた事実が表示される。具体的な表示形態としては、個々のSEM毎に図12に示したような設定許容範囲(しきい値スペクトラム)を書き込んだ規格化パワースペクトラム・グラフに擾乱振動評価値(規格化パワースペクトラム)の推移を重ね書きし、許容範囲外の波数が出現したスペクトラムを許容範囲内のスペクトラムと識別表示し、かつその該当SEMのグラフ自体も許容範囲内のスペクトラムのみを持つSEMのグラフと識別表示しても良い。あるいは、図14に示すように複数のSEMをモデル表示しておき、設定許容範囲、或いは設定値を外れたときに特定のSEMモデルを点滅させるようにしても良い。このように表示させることによって、各検査装置の経日変化や装置間の機差をも管理することが可能になる。異常が認められた場合には、解析した擾乱周波数を基に擾乱要因を特定し、その要因排除の作業を行う。
【0047】
上記は、マスター計算機105には各装置から擾乱振動評価値が吸い上げられていた実施例であったが、マスター計算機105は各装置から擾乱振動解析画像を吸い上げ、擾乱振動解析をマスター計算機105側で行っても良い。各装置側では擾乱振動解析の作業時間を他の作業時間回すことができ、多忙の場合には検査スループットを落とさない観点で有効となる。
【0048】
これまで、走査電子顕微鏡(SEM)の実施例について説明したが、走査形透過顕微鏡(STEM)や走査イオン顕微鏡(SIM)でも同様な効果が得られる。つまり、集束した荷電粒子を走査ビームとする顕微鏡であれば、そのいずれの装置においても本発明効果が得られる。また、1D−FFT(あるいは1D−DFT)解析を外部擾乱の振動周波数の特定に用いたが、マイクロファブリケーションなどで作製した単部品や複合体の固有振動数や励起振動数の特定に走査荷電粒子顕微鏡による観察を利用する場合にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の荷電粒子の走査画像における像振動の解析方法のフローチャート。
【図2】サブルーチン「規格化パワースペクトル画像データの計算と画像表示」のフローチャート。
【図3】サブルーチン「平均パワースペクトルのグラフデータの計算とグラフ表示」のフローチャート。
【図4】本発明の走査電子顕微鏡の概略構成図。
【図5】(a1)解析用SEM画像,(b1)画像(a1)の2D−FFTパワースペクトル画像,(a2)画像(a1)の90度右回転した解析用SEM画像,(b2)画像(a2)のY方向1D−FFTパワースペクトル画像,(b3)画像(b2)のY方向1D−FFTパワースペクトルのX方向平均のグラフ。
【図6】(a1)解析用SEM画像,(b1)画像(a1)のX方向1D−FFTパワースペクトル画像,(b2)画像(b1)のX方向1D−FFTパワースペクトルのY方向平均のグラフ。
【図7】(a1),(a2),(a3)および(a4)は、それぞれ画像サイズが256×256,128×256,256×128、および128×128pixelの解析用SEM画像。(b1)−(b4)は、それぞれ(a1)−(a4)の解析用SEM画像に対応したX方向1D−FFTパワースペクトル画像。
【図8】1D−FFT規格化パワースペクトル画像を用いた擾乱周波数の特定。
【図9】1D−FFT規格化パワースペクトル・グラフを用いた擾乱周波数の特定。
【図10】(a1)は解析画像、(b1)はFFT規格化パワースペククトル像を用いて通過帯域の開始と終了の波数を設定する窓画面、(b2)はパワースペクトル・グラフを用いて通過帯域の開始と終了の波数を設定する窓画面、および(a2)は逆FFT変換した実空間画像。
【図11】パワーP(fp)の走査回転角θ依存性のグラフ。
【図12】しきい値パワースペクトル(破線表示)を書き込んだ規格化パワースペクトル・グラフ。
【図13】(a1)解析画像,(b1)規格化パワースペクトル画像にマスクを掛けている表示画面、および(b2)規格化パワースペクトル・グラフにマスクを掛けている表示画面。
【図14】複数台のSEMとネットワーク接続されている管理用マスター計算機。
【符号の説明】
【0050】
1 電子銃
2 電子
3 集束レンズ
4 対物レンズ
5 試料
6 偏向器
7 二次電子
8 荷電粒子検出器
9 制御プロセッサ
10 表示手段
11 1D−FFT解析手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査荷電粒子顕微鏡に関し、特に半導体デバイスや新材料などの試料表面の観察する走査荷電粒子顕微鏡において、その走査画像に障害をもたらす外部擾乱の振動数を解析する手段を搭載した走査荷電粒子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査荷電粒子顕微鏡の代表である走査電子顕微鏡(SEM)において、その装置が外部環境の悪い所に設置された場合には、外部擾乱の影響を受けて電子線の試料に対する相対的な偏向が乱され、像障害が発生する。このような問題は、引用文献1に開示されている。
【0003】
外部擾乱の代表的なものとして、騒音などに起因する機械的な振動や、外部からの交流磁場が上げられる。像障害がある代表的なSEM画像を図5(a1)に示す。試料はシリコン(Si)材のマイクロスケール試料(直線状の平坦な凸領域と凹領域の繰り返し構成試料)である。画像の縦軸(Y軸)に少し傾斜している凸領域の両端が擾乱振動のため波状の縞パターンとなって観察されている。
【0004】
その縞パターンが簡単な場合、従来法では、その縞周期をY方向に数え、周波数を算出していた。縞パターンが複雑な場合は、図5(b1)に示すように、その画像(サイズ:imax×jmaxピクセル[pixel])の2次元高速フーリエ変換(以下、2D−FFTともいう。)のパワースペクトル像(FFT像とも呼ばれる)を利用していた。
【0005】
2D−FFT像において、縦軸(Y軸)および横軸(X軸)方向は、それぞれ実空間の縦軸および横軸方向に一致するが、それらが表示している物理量は波数(単位pixel長あたりの波の数)でリニアプロットの目盛りである。波数f[pixel-1]の原点(f=0)は像中心位置にあり、画像のX軸の左端および右端がそれぞれX方向の波f=−1/2およびf=+1/2、画像のY軸の下端および上端がそれぞれY方向の波f=−1/2およびf=+1/2に相当する。パワースペクトル像において、明るい領域はパワーの強い(成分の大きい)波数領域である。図5(b1)において、明るい領域が擾乱振動の波数領域に相当している。
【0006】
【特許文献1】特開平10−97836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この2D−FFT画像解析による擾乱波数の特定は、明るい領域が広く、かつ斜め方向にも分散しているためその特定アルゴリズムが複雑になり、かつその特定精度も低い。また、通常、解析可能な周波数は、数100Hz以下に制限されている。
【0008】
本発明の目的は、走査荷電粒子顕微鏡の走査画像に外部擾乱により障害が現れた場合、外部擾乱を特定するためにその画像から擾乱周波数を簡単に精度よく解析することである。また、その解析可能な最大周波数を、走査荷電粒子顕微鏡の排気ポンプとしてよく使用するターボ分子ポンプなどの回転周波数である数kHzまで高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
走査画像の像障害である縞パターンのFFT解析において、その擾乱周波数を明瞭に精度よく求めるには、Y方向(荷電粒子線の副偏向方向)の一次元FFT(1D−FFT)あるいはX方向(荷電粒子線の主偏向方向)の一次元DFT(1D−DFT)にて行う。また、解析可能な最大周波数を数kHzまで伸ばすには、荷電ビームの走査速度の速いX方向(荷電粒子線の主偏向方向)での1D−FFT(あるいは1D−DFT)解析を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、外部擾乱の振動周波数が走査画像から簡単に精度よく特定できる走査荷電粒子顕微鏡が提供できる。また、その振動周波数は数kHzの高周波領域までが解析可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例では、走査電子顕微鏡(SEM)の実施例について説明するが、これに限られず、走査形透過顕微鏡(STEM)や走査イオン顕微鏡(SIM)でも同様な効果が得られる。
【0012】
本発明の実施例として、走査荷電粒子の代表例である走査電子顕微鏡(SEM)を図4に示す。電子銃1から放出された電子2は集束レンズ3と対物レンズ4により試料5上に集束され、偏向器6にて走査される。試料5からは二次粒子(二次電子など)7が放出し、荷電粒子検出器8にて検出される。計算機を含む制御プロセッサ9は電子銃1,集束レンズ3および対物レンズ4,偏向器6,荷電粒子検出器8および試料5などの電気的制御を行う。表示手段10は、該電気的制御を行うための制御ウインドウや走査画像などを表示する。一次元(1D)FFT解析手段11は計算機を含む制御プロセッサ9の中にあり、その解析結果に関する情報を表示は、表示手段10にて行う。
【実施例1】
【0013】
まず、Hz[=s-1]単位の擾乱周波数fhを画像から求める方法について説明をする。
【0014】
図5(1a)は外部擾乱がある場合のSEM原画像(サイズ:640×480pixel,フレーム走査時間:40s)からの一部をコピーして作成した解析画像(サイズ:256×256pixel)である。試料はその断面を繰り返しの矩形波形状に加工作製したSi材マイクロスケールである。
【0015】
試料に関しては、マイクロスケール以外でも可能であるが、垂直の端面を持つ試料を用いると、エッジ部分が明るく見え、擾乱が画像から明確に分かりやすい。垂直端面は、その垂直方向に対する二次電子放出強度分布のピーク幅を狭めるため、高密度の縞パターンのコントラストを向上させる。
【0016】
矩形スケール左右端部の明部に、走査速度の速い主偏向の方向をX方向とすると、Y方向に縞パターンが重畳している。Y方向にこの縞パターンの周期を求めることにより擾乱波数fp[pixel-1]が求まる。Hz[=s-1]単位の擾乱周波数fhの変換は、ビームの走査速度VY[pixel/s]を用いて下式から算出できる。ここで、ビーム走査速度VYは、画像の取得条件から決まる量である。
【0017】
fh[Hz]=fp[pixel-1]×VY[pixel/s] (1)
従来方法では、擾乱波数fp[pixel-1]をSEM画像上で直接に1pixel当たりの縞を数えるか、あるいは、画像の2次元FFTのパワースペクトル画像(図5(b1)参照)から算出していた。
【0018】
本発明法では、擾乱周波数fh[Hz]を1D−FFTのパワースペクトル画像を用いて特定する。
【0019】
そのフローチャートを図1に示す。図1中のステップ3「規格化パワースペクトル画像データの計算と画像表示」およびステップ4「平均パワースペクトルのグラフデータの計算とグラフ表示」の詳細は、それぞれサブルーチンとして図2および図3に示す。この擾乱周波数の特定は、1D−FFT解析手段11にて行う。以下、解析画像(図5(a1))の擾乱周波数fh[Hz]をY方向の1D−FFTのパワースペクトル画像を用いて特定する実施例を説明する。
【0020】
ステップ1:解析画像の作成
図5(a2)は解析画像(図5(a1))を説明のために90度右回転した画像(サイズ:256×256pixel)である。なお、90度右回転させたのは、ソフトによる解析の容易さのためであり、必ずしも必要ない。SEM画像のY軸方向は、回転画像図5(a2)において紙面上で水平方向になっている。各ピクセル位置(Xi,Yj)でのSEM画像のピクセル強度をZ(Xi,Yj;i(or j)=0,1,‥,imax(or jmax),imax(or jmax)=256)で表す。
【0021】
ステップ2:解析方向(X or Y)の選択
本実施例では、Y方向を選択する。
【0022】
ステップ3:規格化パワースペクトル画像データPn(Y,ν)(or Pn(X,ν))の 計算と画像表示
各Xi位置におけるピクセル強度Z(Xi,Yj;j=0,1,‥,jmax)からY方向1D−FFTパワースペクトルを計算する。図5(b2)はその1D−FFTの規格化パワースペクトル画像であり、縦軸が解析画像と同じ実空間のX軸、横軸がそのパワースペクトルの波数f(×1/jmax)[pixel-1]、そして像輝度が対数表示の1D−FFT規格化パワーである。ただし、像表示(8ビットのグレー色表示)では、規格化パワーをその対数変換し、その最小値と最大値がそれぞれ0と255となるように像の輝度およびコントラスト補正を行っている。このパワースペクトル像において、横軸中央が波数fの原点であり、像は波数に対し正負対称となる。パワースペクトル画像は、表示手段10に表示される。
【0023】
ステップ4:平均パワースペクトルのグラフデータPAV,Y(ν)(or PAV,X(ν))の 計算とグラフ表示
上記のY方向1D−FFT規格化パワースペクトルをX方向に平均して平均パワースペクトルを計算する。図5(b3)は、そのグラフである。
【0024】
ステップ5:振動波数[pixel−1]の特定
平均パワースペクトルは、波数に対し正負対称であるので、擾乱波数fp[pixel-1]の周波数の特定は、正側の波数を用いて説明する。平均パワースペクトルのグラフ(図5(b3)参照)において、擾乱波数fp[pixel-1]はそのスペクトルピークの位置51および102(×1/256)に該当する。Y方向ビーム走査速度VYは、SEM原画像Y幅(480pixel数)とフレーム走査時間(40s)を用い、下式からVY=12[pixel/s]と算出される。
【0025】
VY[pixel/s]=SEM原画像Y幅pixel数/フレーム走査時間[s] (2)
ステップ6:特定周波数[Hz]に変換
擾乱周波数fhは、式(1)を用いて2.4および4.8Hzと変換できる。2.4Hz振動は4.8Hz振動の2倍周期に相当する。本発明法の1D−FFT画像(図5(b2))と従来の2D−FFT画像(図5(b1))との比較からわかる様に、前者では擾乱周波数が縦方向に幅の狭いストライプ状に表現されるため、その擾乱周波数の特定化が簡単で、その精度も高くできる。
【0026】
このような擾乱周波数は、表示装置に表示させて使用者に知らせることもできる。
【実施例2】
【0027】
次にX方向(荷電粒子線の主偏向方向)の1D−FFT解析について説明する。
【0028】
実施例1と同じマイクロスケール試料を用いたX方向1D−FFT解析の実施例について述べる。X方向ビーム走査速度VXは、SEM原画像の全pixel数(640×480pixel)とフレーム走査時間(40s)を用いて下式からVX=7680[pixel/s]と算出される。
【0029】
VX[pixel/s]=SEM原画像の全pixel数/フレーム走査時間[s] (3)
図6(a1)は外部擾乱がある場合のSEM画像(サイズ:256×256pixel)、図6(b1)はX方向1D−FFT規格化パワースペクトル像、図6(b2)はそのパワースペクトルのY方向に平均化したグラフである。このX方向1D−FFTグラフにおいて、擾乱振動は隣接した双子ピークとして現れており、特定すべき擾乱波数は双子ピーク間の谷位置の波数に相当する。高い波数fで振動しているマイクロスケール端は、走査ビームからは相対的に近づく場合と遠ざかる場合の繰り返しの振動にみなせる。その結果、走査ビームで検出した波数はfより少し高いものと低いものの双子となる。特定した擾乱波数はfp[pixel-1]=38および79(×1/256)であり、擾乱周波数fh[Hz]は、X方向ビーム走査速度VX=7,680[pixel/s]を用いて、下式からfh=1,140および2,370Hzと特定できる。前者は、後者の2倍周期の振動数に相当する。
【0030】
fh[Hz]=fp[pixel-1]×VX[pixel/s] (4)
X方向1D−FFT解析の解析画像では、マイクロスケールの左右端の一方のみを含ませるように作成することが望ましい。個々の端での縞パターンを形成している波が、通常、左右端で同位相とならないためである。つまり、解析する方向に2つ以上の擾乱が含まないようにすることが望ましい。
【0031】
X方向はビーム走査の主偏向方向であり、そのビーム走査速度VXはY方向走査速度VYと比べ、SEM原画像のY幅ピクセル数倍だけ速い。フレーム走査時間を40sから0.2sまで短縮する200倍の変化は、VXおよびVYに200倍の増大をもたらす。種々のフレーム走査時間でのSEM画像を用いたYおよびX方向の1D−FFT解析により、それぞれ数100Hz以下および数100Hz以上の擾乱周波数が解析できる。解析できる最大周波数はX方向1D−FFTにより10kHz程度以上となる。この結果、例えば、ターボ分子ポンプ(回転数:毎秒数千回)に起因する擾乱振動も、簡単かつ高精度に解析できるようになった。
【0032】
SEM装置には、機械的な共振振動数,ターボ分子ポンプなどの周期運動,制御電源などの電気的周波数など装置自体が持つ擾乱振動要素がある。床振動や外乱磁場などの擾乱を押さえた環境下にSEM装置を設置し、既定のSEM観察条件(電子照射エネルギー,ビーム電流,フォーカス条件,観察倍率,画像走査フレーム時間など)で特定の試料(例えば、マイクロスケール試料)の解析画像から擾乱振動を解析すると、通常のSEM動作下における装置自体の擾乱振動数とそのパワー値(その振動成分の大きさ)が得られる。この装置自体の擾乱振動数とそのパワー値は、SEM装置の設置環境で異なるので、設置環境が変わるごとに擾乱振動解析を行い、それらを設置環境情報とセットで制御プロセッサ9に記録しておく。その後の擾乱振動の解析(既定のSEM観察条件と同じ特定試料を採用)において、特定した擾乱振動数とそのパワー値は、この記録した装置固有振動数とパワー値との比較表示をすることもできる。新たな擾乱振動数が現れたり、既知の擾乱振動数でもパワー値が指定した許容値を超えていたりした場合は、その旨が表示装置に表示される。
【実施例3】
【0033】
図7(a1),(a2),(a3)および(a4)は、画像サイズがそれぞれ256×256,128×256,256×128、および128×128pixelの解析用SEM画像例であり、図7(b1)−(b4)は、それぞれそのX方向1D−FFTパワースペクトル画像である。図7(b1)−(b4)において、いずれの画像も殆ど同じパワースペクトルを示している。本発明の1D−FFT解析では、その1D−FFTの方向のサイズを、2m(整数mは実用的には5〜10)pixelに取れば、残り方向のサイズは任意でよく、縦長,横長の長方形や正方形でも解析可能となる。縞パターンが多くの割合で含まれるように解析画像の形状やサイズを調整することにより、パワースペクトルのSN比が向上できる。(従来法の2D−FFT解析では、画像サイズは、通常、2m(m=5〜10)pixelの正方形に限られる。)SEM原画像のサイズが、例えば512×512pixelと1D−FFT方向の画像サイズが2m(m=5〜10)pixel条件を満たしていれば、原画像の全体を解析画像にしても良い。
【0034】
なお、離散フーリエ変換(DFT)を用いることもできる。ここで、高速フーリエ変換と、離散フーリエ変換の関係について説明する。
【0035】
高速フーリエ変換(FFT)は、離散フーリエ変換(DFT)の対称性に着目して、その演算量を減らし高速に変換を行う手法である。周期NのDFTでは、複素数の乗算がN2回であるのに対し、FFTではN・log2N/2回に減らせる。Nが2のべき乗、すなわち=2mのとき、その乗算回数の比率は次式で表され、m(すなわちN)が大きいほど、その低減効果が大きい。
【0036】
[FFT]/[DFT]=m・2m-1/22m=m/2m+1
例えば、N=64,128,256および512の時、上記の比率はそれぞれ0.047,0.027,0.016および0.0088となる。DFTでは、FFTのN=2mという条件が外れるが処理時間が長くなる。
【0037】
FFTの代わりにDFTを採用すれば、画像サイズは、2m(m=5〜10)pixelに制限されなく、縞パターンがより多くの割合で含まれるように解析画像の形状やサイズの自由設定の長所が得られる。ただし、フーリエ変換の処理時間は長くなる欠点を伴う。サイズが大きい解析画像にて高速処理が必要な場合はFFTの方を用いる。これまでの実施例1および2、および以下の実施例4−7では、FFTを用いた例であるが、DFTを用いれば上述の長所と短所の特徴下でFFTと同等な結果が得られる。
【実施例4】
【0038】
擾乱周波数の特定は、特定者(装置オペレータ)が表示手段10に表示された1D−FFT規格化パワースペクトルの画像やグラフを目視確認しながら行える。図8および図9はその画像とグラフである。画像の下部には、図5(b3)のグラフと同様な波数軸が画像の波数とスケールを合わせて表示されている。画像に重畳している縦カーソル線は、特定者がマウスやキーボードの矢印キー(←および←)により任意の波数位置に移動できる。その移動中あるいは停止しているカーソル位置での波数[×(1/imax)or×(1/jmax)pixel-1]および周波数[Hz]は、波数軸右端下の波数および周波数表示枠内にそれぞれ左右に並べて表示されている。特定者が、カーソルを画像やグラフの上で擾乱波数位置に置くことにより、擾乱周波数が特定できる。
【実施例5】
【0039】
擾乱振動の波数に加えて、振幅およびその振動方向を特定する実施例について説明する。擾乱波数の振幅の大小は、1D−FFTパワーの大小にて評価できる。実空間における具体的な振幅値[長さ単位]は、以下の方法で算出する。(1)FFT規格化パワースペクトル像あるいはパワースペクトル・グラフにおいて、擾乱波数に関係した波数帯域を通過させる帯域通過(Band Pass)フィルターを設定する。(2)帯域通過(Band Pass)フィルターをかけたパワースペクトルの逆FFT変換して、その帯域波数が形成する縞パターンの実空間画像を作成する。(3)この縞パターンの幅を1D−FFTの方向軸に沿って計測する。(4)この縞パターンの幅[pixel]に解析画像の画素サイズ[例えば、nm/pixel]を乗算し、振幅値[例えば、nm]を得る。1D−FFT逆変換の機能は、1D−FFT機能と共に1D−FFT解析手段11が持っている。
【0040】
図10(a1)は解析画像、(b1)はFFT規格化パワースペククトル像を用いて通過帯域の開始と終了の波数を設定する窓画面、(b2)はパワースペクトル・グラフを用いて通過帯域の開始と終了の波数を設定する窓画面、および(a2)は逆FFT変換した実空間画像である。図10(b1)あるいは(b2)の窓画面下部のフィルター表示枠にてラジオボタンにて帯域通過(Band Pass)を選択する。通過帯域波数の設定は、それぞれのスペクトル画像あるいはスペクトル・グラフにて半透明マスクがかけられていない帯域通過フィルターのStart波数とEnd波数にて行う。Start波数とEnd波数の設定は、そのマスクの左端あるいは右端をマウスでクリックにて選択・保持し、マウスの左右の移動、あるいはキーボードの矢印キー入力により任意波数位置に移動できる(ただし、移動端は他端を越えられない)。StartとEnd波数は、その移動中も含め、波数表示枠内に表示される。パワースペククトルは、波数原点の縦軸に対して対称であるため、通過帯域波数の設定は、波数の正符号領域で行えば、逆符号の波数帯域にも計算機処理により自動的に通過帯域が設定される。本実施例では、主擾乱波数[×(1/256)pixel-1]である31に注目し、それを含む波数帯域は19−51である。
【0041】
次に、特定波数の振動方向を特定するには、以下の手順で行う。(1)擾乱観察用試料とビーム走査回転角θとを同期してステップ状に変え(例えば、θ=0−180度の範囲にて15度間隔)、それぞれの回転角位置にてSEM画像を取得する。ただし、試料座標のX軸とビーム主偏向方向(X軸方向)(ただし、θ=0)とのズレ角度を、補正角度θoとして保存しておく。(2)それぞれのSEM画像に対して、解析画像のFFTパワースペクトル・グラフを作成する。(3)パワースペクトル・グラフの注目波数fpにおけるパワーP(fp)を回転角θに対してプロットしたグラフを作成する。(4)このグラフにおいて、パワー値が最大になる回転角θmに補正角度θoを加えた方向が、注目波数の振動方向になる(ただし、正負の方向は区別しない)。図11は、パワーP(fp)のθ依存性のグラフである。ここで、P(fp)値は、図10(b2)のように波数fp=38(×1/256pixel-1)の擾乱が双子ピークで現れる場合、その双子ピーク値の平均値である。グラフからθm≒30度となり、波数fpの擾乱振動方向は30度+θoの方位方向と特定できた。この特定法では、試料の回転による擾乱への影響は無視できるという前提がある。この前提下で、θ依存性が弱いパワーP(fp)の擾乱要因は、走査回転信号に付随したものと判定できる。
【実施例6】
【0042】
次に、SEM装置の擾乱振動環境における日推移の解析例について述べる。先ず、(1)制御プロセッサ9は、定期的に(例えば、毎週の指定曜日)に指定のSEM像観察条件にて指定の試料(例えばマイクロスケール試料)のSEM像を取得し、解析画像を作成する。(2)その解析画像の規格化パワースペクトル画像および規格化パワースペクトル・グラフを作成する。(3)これらの画像およびグラフを制御プロセッサ9に記憶させる。(4)必要に応じ、これらの記憶させた画像およびグラフを時間推移情報とともに表示手段10に表示できる。画像の表示は、1枚ずつの表示,数枚毎の並列表示、および少しずつの下方にずらした重ね表示から選択できる。一方、グラフの表示は、1枚ずつの表示および数枚毎の重ね表示から選択できる。また特定波数のパワーP(fp)の日推移プロット表示もできる。
【0043】
この擾乱振動環境における日推移の解析において、規格化パワースペクトル・グラフのパワースペクトルにおいて、しきい値パワースペクトルを事前に設定し、これを超えた波数が現れた時に、その旨を表示手段10に表示、あるいは制御プロセッサ9に記憶させることができる。図12はしきい値パワースペクトル(破線表示)を書き込んだ規格化パワースペクトル・グラフである。制御プロセッサ9は、規格化パワースペクトルにおいて波数51と102(×1/256)[pixel-1]の2つの位置に擾乱波数ピークを見つけ、そこにカーソル線を引く。その2つの波数とそれらに相当する擾乱周波数[Hz]は、波数および周波数表示枠内に表示されている。制御プロセッサ9は、これらの擾乱波数の規格化パワーがしきい値を超えていることを判定し、波数および周波数表示枠内の数値を赤色で表示する(しきい値を超えていない場合は、黒色表示である)。
【実施例7】
【0044】
擾乱振動による像障害(縞パターン)が現れた走査画像において、擾乱周波数が特定できれば、この像障害の除去処理ができる。この実施例について説明する。図13(a1)は、図6(a1)と同じ解析画像である。図13(b1)および(b2)は、それぞれその規格化パワースペクトル画像および規格化パワースペクトル・グラフにマスクフィルターを掛けている表示窓画面である。画面下部のフィルター表示枠内の帯域マスク(Band Mask)フィルターを選択する。マスクフィルターのStart波数とEnd波数位置の設定の仕方は、〔実施例5〕の帯域通過フィルターの波数位置の設定と同じである。本実施例では、主擾乱波数[×(1/256)pixel-1]である31に注目し、それを含む波数帯域19−51をマスクした。マスク領域の決定後、マスク帯域波数のパワーをゼロにして1D−FFT逆変換をして変換画像を表示する。図13(a2)はその変換画像である。この変換画像が、擾乱振動による像障害が除去された実空間画像になる。
【0045】
なお、像障害の除去においては、実施例1のHz[=s-1]単位の擾乱周波数fhまで求める必要はなく、振動波数[pixel-1]の特定が求まれば像障害の除去ができる。
【実施例8】
【0046】
半導体製品等の生産ラインにおいては、図14に示すように半導体デバイスパターンなどの測長管理のために、複数台のSEM101〜104が管理用マスター計算機105にネットワーク接続されている。個々のSEMには、上記の擾乱振動解析法に基づく計算機能が該SEMの制御プロセッサの計算機に組み込まれており、装置オペレータの指示により、擾乱振動が自己評価できる。その擾乱振動評価値は、顕微鏡画像を表示していた画像表示装置を用いて表示する。また、長期にわたってデバイスパターンなどの測長管理に用いているSEMにおいては、各々のSEMが擾乱振動解析用試料(マイクロスケール試料など)を用いて定期的に擾乱振動を解析評価し、その評価値の推移情報と共に表示・記録する。この定期的な擾乱振動評価値は、マスター計算機105に吸い上げられ、ここで他のSEMからの情報と合わせて集中管理される。擾乱振動評価値(規格化パワースペクトラム)が設定許容範囲を超えた場合は、そのSEMにおいても、またマスター計算機105においても、その異常が装置オペレータに知らされる。マスター計算機105は画像表示モニタ106と、先に説明したような制御プロセッサを備えており、画像表示モニタ106に、擾乱振動評価値が設定許容範囲を超えた事実が表示される。具体的な表示形態としては、個々のSEM毎に図12に示したような設定許容範囲(しきい値スペクトラム)を書き込んだ規格化パワースペクトラム・グラフに擾乱振動評価値(規格化パワースペクトラム)の推移を重ね書きし、許容範囲外の波数が出現したスペクトラムを許容範囲内のスペクトラムと識別表示し、かつその該当SEMのグラフ自体も許容範囲内のスペクトラムのみを持つSEMのグラフと識別表示しても良い。あるいは、図14に示すように複数のSEMをモデル表示しておき、設定許容範囲、或いは設定値を外れたときに特定のSEMモデルを点滅させるようにしても良い。このように表示させることによって、各検査装置の経日変化や装置間の機差をも管理することが可能になる。異常が認められた場合には、解析した擾乱周波数を基に擾乱要因を特定し、その要因排除の作業を行う。
【0047】
上記は、マスター計算機105には各装置から擾乱振動評価値が吸い上げられていた実施例であったが、マスター計算機105は各装置から擾乱振動解析画像を吸い上げ、擾乱振動解析をマスター計算機105側で行っても良い。各装置側では擾乱振動解析の作業時間を他の作業時間回すことができ、多忙の場合には検査スループットを落とさない観点で有効となる。
【0048】
これまで、走査電子顕微鏡(SEM)の実施例について説明したが、走査形透過顕微鏡(STEM)や走査イオン顕微鏡(SIM)でも同様な効果が得られる。つまり、集束した荷電粒子を走査ビームとする顕微鏡であれば、そのいずれの装置においても本発明効果が得られる。また、1D−FFT(あるいは1D−DFT)解析を外部擾乱の振動周波数の特定に用いたが、マイクロファブリケーションなどで作製した単部品や複合体の固有振動数や励起振動数の特定に走査荷電粒子顕微鏡による観察を利用する場合にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の荷電粒子の走査画像における像振動の解析方法のフローチャート。
【図2】サブルーチン「規格化パワースペクトル画像データの計算と画像表示」のフローチャート。
【図3】サブルーチン「平均パワースペクトルのグラフデータの計算とグラフ表示」のフローチャート。
【図4】本発明の走査電子顕微鏡の概略構成図。
【図5】(a1)解析用SEM画像,(b1)画像(a1)の2D−FFTパワースペクトル画像,(a2)画像(a1)の90度右回転した解析用SEM画像,(b2)画像(a2)のY方向1D−FFTパワースペクトル画像,(b3)画像(b2)のY方向1D−FFTパワースペクトルのX方向平均のグラフ。
【図6】(a1)解析用SEM画像,(b1)画像(a1)のX方向1D−FFTパワースペクトル画像,(b2)画像(b1)のX方向1D−FFTパワースペクトルのY方向平均のグラフ。
【図7】(a1),(a2),(a3)および(a4)は、それぞれ画像サイズが256×256,128×256,256×128、および128×128pixelの解析用SEM画像。(b1)−(b4)は、それぞれ(a1)−(a4)の解析用SEM画像に対応したX方向1D−FFTパワースペクトル画像。
【図8】1D−FFT規格化パワースペクトル画像を用いた擾乱周波数の特定。
【図9】1D−FFT規格化パワースペクトル・グラフを用いた擾乱周波数の特定。
【図10】(a1)は解析画像、(b1)はFFT規格化パワースペククトル像を用いて通過帯域の開始と終了の波数を設定する窓画面、(b2)はパワースペクトル・グラフを用いて通過帯域の開始と終了の波数を設定する窓画面、および(a2)は逆FFT変換した実空間画像。
【図11】パワーP(fp)の走査回転角θ依存性のグラフ。
【図12】しきい値パワースペクトル(破線表示)を書き込んだ規格化パワースペクトル・グラフ。
【図13】(a1)解析画像,(b1)規格化パワースペクトル画像にマスクを掛けている表示画面、および(b2)規格化パワースペクトル・グラフにマスクを掛けている表示画面。
【図14】複数台のSEMとネットワーク接続されている管理用マスター計算機。
【符号の説明】
【0050】
1 電子銃
2 電子
3 集束レンズ
4 対物レンズ
5 試料
6 偏向器
7 二次電子
8 荷電粒子検出器
9 制御プロセッサ
10 表示手段
11 1D−FFT解析手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子の走査画像における一部あるいは全体にわたっての像振動を解析する方法であって、
前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向(Y方向)のいずれか一方につき、一次元高速フーリエ変換(1D−FFT)あるいは一次元離散フーリエ変換(1D−DFT)により前記像振動を解析することを特徴とする像振動の解析方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向につき、一次元高速フーリエ変換(1D−FFT)あるいは一次元離散フーリエ変換(1D−DFT)により、1D−FFTあるいは1D−DFTパワースペクトルが像を用いることを特徴とする像振動の解析方法。
【請求項3】
請求項2において、
該1D−FFT(あるいは1D−DFT)パワースペクトル画像のパワースペクトル強度を該1D−FFT(あるいは1D−DFT)方向と直角の方向に平均化した1D−FFT(あるいは1D−DFT)パワースペクトル・グラフを用いることを特徴とする像振動の解析方法。
【請求項4】
請求項2および3において、
該像振動の波数(単位:pixel-1)から該荷電粒子の走査速度(単位:pixel/s)を用いて換算した振動数(単位:s-1あるいはHz)を用いることを特徴とする像振動の解析方法。
【請求項5】
走査画像の像障害である擾乱振動を除去する画像処理方法であって、
前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向(Y方向)のいずれか一方につき、1D−FFT(あるいは1D−DFT)の解析により前記擾乱振動の波数を特定し、該波数のパワーを該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトルから除去し、該除去したパワースペクトルを逆1D−FFT(あるいは1D−DFT)変換して実空間画像を作成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出される荷電粒子の集束ビームを試料に照射することによって放出される二次粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて画像を形成する制御プロセッサを備えた走査荷電粒子顕微鏡において、
前記制御プロセッサは、前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向(Y方向)のいずれか一方につき、1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を作成することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項7】
請求項6において、
前記制御プロセッサは、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方における波数(単位:pixel-1)を該荷電粒子の走査速度(単位:pixel/s)を用いて振動数(単位:s-1あるいはHz)に換算することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項8】
請求項6において、
前記制御プロセッサは、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を定期的に算出し、当該算出された評価パワースペクトル画像あるいは評価パワースペクトル・グラフを日推移情報とともに表示、あるいは記憶することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項9】
請求項8において、
該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル・グラフにしきい値パワースペクトルを設定する機能を備え、該しきい値パワースペクトルを前記評価パワースペクトルが超えた時に、その旨を表示手段に表示、あるいは記憶することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項10】
請求項6又は7において、
前記制御プロセッサは、該走査荷電粒子顕微鏡の固有の機械的共振振動数又は電気的周波数の記憶機能を備え、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を用いて該走査画像における擾乱振動に相当する擾乱振動数を特定し、該擾乱周波数を該装置固有振動数と比較表示することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項11】
請求項6において、
前記制御プロセッサは、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を用いて該走査画像における擾乱振動の波数を特定し、該波数のパワーを該パワースペクトルから除去し、該除去したパワースペクトルを逆1D−FFT(あるいは1D−DFT)変換して実空間画像を作成することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項12】
複数の走査荷電粒子顕微鏡からネットワークを経由して得られた画像に基づいて当該画像の像振動を解析する像振動解析用計算機であって、
当該像振動解析用計算機は、前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向(Y方向)のいずれか一方につき、一次元高速フーリエ変換(1D−FFT)あるいは一次元離散フーリエ変換(1D−DFT)により前記像振動を解析することを特徴とする像振動解析用計算機。
【請求項13】
請求項12において、
像振動解析用計算機は、前記1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル強度を輝度信号、該1D−FFTの波数を横軸(あるいは縦軸)信号、および該1D−FFT(あるいは1D−DFT)方向と直角の方向を縦軸(あるいは横軸)信号とした該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像および該1D−FFT(あるいは1D−DFT)方向と直角の方向に平均化したパワースペクトル・グラフの少なくと一方を用いることを特徴とする像振動解析用計算機。
【請求項14】
請求項13において、
該像振動の波数(単位:pixel-1)から該荷電粒子の走査速度(単位:pixel/s)を用いて換算した振動数(単位:s-1あるいはHz)を用いることを特徴とする像振動解析用計算機。
【請求項15】
請求項14において、
前記像振動解析用計算機は、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を定期的に算出し、当該算出された評価パワースペクトル画像あるいは評価パワースペクトル・グラフを日推移情報とともに表示、あるいは記憶することを特徴とする前記像振動解析用計算機。
【請求項16】
請求項14又は15において、
走査荷電粒子顕微鏡毎に該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル・グラフにしきい値パワースペクトルを設定する機能を備え、該しきい値パワースペクトルを前記評価パワースペクトルが超えた時に、その旨を表示手段に表示、あるいは記憶することを特徴とする前記像振動解析用計算機。
【請求項17】
請求項15および16において、
前記像振動解析用計算機は、走査荷電粒子顕微鏡毎の装置固有の機械的共振振動数および電気的周波数の記憶機能を備え、ある特定の走査荷電粒子顕微鏡において、その走査画像から該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を用いて該走査画像における擾乱振動に相当する擾乱振動数を特定し、該擾乱周波数を該特定の走査荷電粒子顕微鏡の装置固有振動数と比較表示することを特徴とする像振動解析用計算機。
【請求項1】
荷電粒子の走査画像における一部あるいは全体にわたっての像振動を解析する方法であって、
前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向(Y方向)のいずれか一方につき、一次元高速フーリエ変換(1D−FFT)あるいは一次元離散フーリエ変換(1D−DFT)により前記像振動を解析することを特徴とする像振動の解析方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向につき、一次元高速フーリエ変換(1D−FFT)あるいは一次元離散フーリエ変換(1D−DFT)により、1D−FFTあるいは1D−DFTパワースペクトルが像を用いることを特徴とする像振動の解析方法。
【請求項3】
請求項2において、
該1D−FFT(あるいは1D−DFT)パワースペクトル画像のパワースペクトル強度を該1D−FFT(あるいは1D−DFT)方向と直角の方向に平均化した1D−FFT(あるいは1D−DFT)パワースペクトル・グラフを用いることを特徴とする像振動の解析方法。
【請求項4】
請求項2および3において、
該像振動の波数(単位:pixel-1)から該荷電粒子の走査速度(単位:pixel/s)を用いて換算した振動数(単位:s-1あるいはHz)を用いることを特徴とする像振動の解析方法。
【請求項5】
走査画像の像障害である擾乱振動を除去する画像処理方法であって、
前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向(Y方向)のいずれか一方につき、1D−FFT(あるいは1D−DFT)の解析により前記擾乱振動の波数を特定し、該波数のパワーを該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトルから除去し、該除去したパワースペクトルを逆1D−FFT(あるいは1D−DFT)変換して実空間画像を作成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出される荷電粒子の集束ビームを試料に照射することによって放出される二次粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて画像を形成する制御プロセッサを備えた走査荷電粒子顕微鏡において、
前記制御プロセッサは、前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向(Y方向)のいずれか一方につき、1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を作成することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項7】
請求項6において、
前記制御プロセッサは、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方における波数(単位:pixel-1)を該荷電粒子の走査速度(単位:pixel/s)を用いて振動数(単位:s-1あるいはHz)に換算することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項8】
請求項6において、
前記制御プロセッサは、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を定期的に算出し、当該算出された評価パワースペクトル画像あるいは評価パワースペクトル・グラフを日推移情報とともに表示、あるいは記憶することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項9】
請求項8において、
該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル・グラフにしきい値パワースペクトルを設定する機能を備え、該しきい値パワースペクトルを前記評価パワースペクトルが超えた時に、その旨を表示手段に表示、あるいは記憶することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項10】
請求項6又は7において、
前記制御プロセッサは、該走査荷電粒子顕微鏡の固有の機械的共振振動数又は電気的周波数の記憶機能を備え、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を用いて該走査画像における擾乱振動に相当する擾乱振動数を特定し、該擾乱周波数を該装置固有振動数と比較表示することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項11】
請求項6において、
前記制御プロセッサは、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を用いて該走査画像における擾乱振動の波数を特定し、該波数のパワーを該パワースペクトルから除去し、該除去したパワースペクトルを逆1D−FFT(あるいは1D−DFT)変換して実空間画像を作成することを特徴とする走査荷電粒子顕微鏡。
【請求項12】
複数の走査荷電粒子顕微鏡からネットワークを経由して得られた画像に基づいて当該画像の像振動を解析する像振動解析用計算機であって、
当該像振動解析用計算機は、前記走査画像の全部あるいは一部の矩形画像の荷電粒子の走査方向(X方向)または、当該方向に対して垂直の方向(Y方向)のいずれか一方につき、一次元高速フーリエ変換(1D−FFT)あるいは一次元離散フーリエ変換(1D−DFT)により前記像振動を解析することを特徴とする像振動解析用計算機。
【請求項13】
請求項12において、
像振動解析用計算機は、前記1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル強度を輝度信号、該1D−FFTの波数を横軸(あるいは縦軸)信号、および該1D−FFT(あるいは1D−DFT)方向と直角の方向を縦軸(あるいは横軸)信号とした該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像および該1D−FFT(あるいは1D−DFT)方向と直角の方向に平均化したパワースペクトル・グラフの少なくと一方を用いることを特徴とする像振動解析用計算機。
【請求項14】
請求項13において、
該像振動の波数(単位:pixel-1)から該荷電粒子の走査速度(単位:pixel/s)を用いて換算した振動数(単位:s-1あるいはHz)を用いることを特徴とする像振動解析用計算機。
【請求項15】
請求項14において、
前記像振動解析用計算機は、該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を定期的に算出し、当該算出された評価パワースペクトル画像あるいは評価パワースペクトル・グラフを日推移情報とともに表示、あるいは記憶することを特徴とする前記像振動解析用計算機。
【請求項16】
請求項14又は15において、
走査荷電粒子顕微鏡毎に該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル・グラフにしきい値パワースペクトルを設定する機能を備え、該しきい値パワースペクトルを前記評価パワースペクトルが超えた時に、その旨を表示手段に表示、あるいは記憶することを特徴とする前記像振動解析用計算機。
【請求項17】
請求項15および16において、
前記像振動解析用計算機は、走査荷電粒子顕微鏡毎の装置固有の機械的共振振動数および電気的周波数の記憶機能を備え、ある特定の走査荷電粒子顕微鏡において、その走査画像から該1D−FFT(あるいは1D−DFT)のパワースペクトル画像およびパワースペクトル・グラフの少なくとも一方を用いて該走査画像における擾乱振動に相当する擾乱振動数を特定し、該擾乱周波数を該特定の走査荷電粒子顕微鏡の装置固有振動数と比較表示することを特徴とする像振動解析用計算機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−92634(P2010−92634A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259186(P2008−259186)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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