説明

走行ペース表示制御装置および腕装着型装置

【課題】 マラソン競技などの走行中において、簡単な操作で通過地点の直前の走行ペースをユーザに提示することが可能な走行ペース表示制御装置および腕装着型装置を提供する。
【解決手段】 予め定められている地点通過である3km、7km、15kmでスプリットスイッチが操作される都度、当該スプリットスイッチが前回操作された時点からの走行時間「15’30”」「36’42”」・・・と、予め定められた走行ペース「5分」とに基づいて、その地点通過に対応する距離を計算し、この計算された距離と計測された走行時間とに基づいて、スプリットスイッチが操作される直前の走行ペースを計算し、この計算された直前の走行ペースの表示「5分10秒」「5分18秒」・・・をスプリットスイッチが操作された直後に行う。これらにより簡単なスイッチ操作で、直前の走行ペースをユーザに提示できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行ペースの表示を行う走行ペース表示制御装置および腕装着型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、マラソンなどの競技において、スタートから任意の地点を通過したタイミングまでの経過時間(スプリットタイムと呼ぶ)や、任意の区間の走行にかかった時間(ラップタイムと呼ぶ)を計測表示するストップウォッチ装置、或いは、このような機能を備えた腕装着型装置としての電子時計がある。
【0003】
また、このようなストップウォッチ装置において、ユーザがトータルの目標時間を入力することで、ユーザに合った区間毎の目標時間を自動的に求めて、ユーザに表示する機能の提案もなされている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−61558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、マラソンランナーは、自分や他人の走行ペースを表わすのに、「キロ6分」「キロ4分半」などと単位距離の走行時間を用いて表現し、レース中もこのペースを考慮しながら走ることが多い。
【0005】
上記の走行ペースは、2点間を走るのに要した時間をその2点間の距離で割って算出することができるが、このような演算を装置に行わせるためには、例えば装置にGPS(全地球測位システム)などを搭載し、この測位モジュールによって任意の2点間の距離を測定して、2点間の走行時間を測定距離で除算して求める必要がある。しかしながら、測位モジュールの搭載は、装置を大型化させ、また、製品コストも高騰させる。
【0006】
また、測位モジュールを搭載しない装置の場合、ユーザは、例えば、コース中の「〜キロ地点」の距離表示等を頼りに、距離が既知となる区間のラップタイムをストップウォッチ装置により計測するとともに、距離表示から暗算により区間距離を求め、さらに、上記のラップタイムを区間距離で割って走行ペースを求めるしかなかった。
【0007】
この発明の目的は、測位モジュールなどを用いずに、簡単な操作で走行ペースの測定結果をユーザに提示することが可能な走行ペース表示制御装置および電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
装置本体と表示部とを備えている走行ペース表示制御装置において、
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際に操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合に、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの走行時間と、予め定められた走行ペースとに基づいて、前記地点通過に対応する距離を計算する距離計算手段と、
この距離計算手段により計算された距離と、前記計時手段により計測された走行時間とに基づいて、前記操作手段が操作される直前の走行ペースを計算する走行ペース計算手段と、
この走行ペース計算手段により計算された直前の走行ペースの表示を前記操作手段が操作された直後に行う表示制御手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の発明は、
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際にユーザにより操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合において前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間と予め定められた走行ペースとに基づいて、前記地点通過に対応する距離と前記操作手段が操作される直前の走行ペースを前記操作手段が操作された直後に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする走行ペース表示制御装置である。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の走行ペース表示制御装置において、
前記表示制御手段の制御により表示された距離を変更するために操作される変更操作手段と、
この変更操作手段により変更された距離を表示させる変更距離表示制御手段と、
を更に備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の発明は、
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際にユーザにより操作される第1の操作手段と、
この第1の操作手段が操作された場合に前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間と予め定められた走行ペースとに基づいて、前記地点通過に対応する距離を表示させる第1の表示制御手段と、
この第1の表示制御手段の制御により前記地点通過に対応する距離を表示したあとにユーザにより操作される第2の操作手段と、
この第2の操作手段の操作がなされた際に予め定められている地点までの走行距離に基づいた新たな走行ペースを計算する走行ペース計算手段と、
この走行ペース計算手段により計算された新たな走行ペースを前記第2の操作手段が操作された直後に表示させる第2の表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする走行ペース表示制御装置である。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行ペース表示制御装置において、
走行する前に前記予め定められた走行ペースを入力する入力手段をさらに備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1に記載の走行ペース表示制御装置において、
前記距離計算手段は、
前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの走行時間を前記予め定められた走行ペースで除算する除算手段と、
この除算手段により除算した算出値の端数の除去又は繰り上げを行い、この結果値を前記地点通過に対応する距離として処理する端数処理手段と、
を備えていることを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項4に記載の走行ペース表示制御装置において、
前記第2の操作手段は、前記第1の表示制御手段の制御により表示された距離を変更するために操作される距離変更手段を備えていることを特徴としている。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の走行ペース表示制御装置において、
前記距離変更手段は、
前記地点通過に対応する距離より長い距離に一段ずつ修正していくアップ操作部と、
前記地点通過に対応する距離より短い距離に一段ずつ修正していくダウン操作部とを備えていることを特徴としている。
【0016】
請求項9記載の発明は、
装置本体と表示部とを備えている走行ペース表示制御装置において、
走行時間を計測する計時手段と、
ゴール地点で操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合に、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの走行時間と予め定められた走行ペースとに基づいて、前記ゴール地点通過に対応する走行ペースを計算する距離計算手段と、
前記ゴール地点通過に対応する走行ペースの表示を行う表示制御手段と、
を備えていることを特徴とする走行ペース表示制御装置である。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項1記載の走行ペース表示制御装置において、
前記距離計算手段は、前記走行ペース計算手段により操作手段が操作される直前の走行ペースが算出されている場合に、この走行ペースを新たに前記予め定められた走行ペースとして用いて前記地点通過に対応する距離を計算するように構成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項11記載の発明は、
請求項1〜10の何れか1項に記載の走行ペース表示制御装置を備え、
装置本体が腕に装着される腕装着型に形成されていることを特徴とする腕装着型装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に従うと、例えば、マラソンのコース中に設置される「〜キロ地点」などの距離表示を頼りに、ユーザがその地点を通過する際に操作手段を操作することで、装置内でその地点の距離が自動的に計算され、それにより、例えば、スタートからのトータルの走行ペースや距離表示のある地点間の走行ペースなどを自動的に計算してユーザに提示することができる。
【0020】
また、装置により計算された距離が間違っていた場合にユーザにより修正可能な操作手段を備えることで、例えばユーザの走行ペースが想定されるペースから大きく逸脱している場合でも、ユーザが簡単な操作で距離計算の修正を行って、それにより正確な走行ペースの算出を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の走行ペース表示制御装置を有する電子時計の内部構成を示すブロック図、図2は、この電子時計の外観を示す正面図である。
【0023】
第1実施形態の電子時計1は、例えばマラソン競技者等により使用される腕時計型の電子時計であり、その内部には、装置の全体的な制御を行うCPU(中央演算処理装置)10と、CPU10により実行される制御プログラムや制御データが格納されるROM(Read Only Memory)13と、CPU10に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)14と、これらの間でデータを伝送するバス17と、時間表示や計測表示等の種々の表示を行う液晶パネルなどの表示部12と、表示部12を駆動する表示駆動回路11と、複数のスイッチSW1〜SW5を有しユーザ操作によって信号入力を行う操作部18と、計時を行うための計時回路15および発振回路16等が設けられている。
【0024】
計時回路15には、例えば、年月日時分秒などの現在時刻を計時するための日時カウンタ15aと、ストップウォッチの機能動作時にスタートからの時間を計時する計測時間カウンタ15bとが設けられ、CPU10の制御と発振回路16から供給される発振信号とに基づき各カウンタにより計時動作が行われるようになっている。
【0025】
図2に示すように、この電子時計1は、正面側に上記表示部12が風防ガラスに覆われて露出されているとともに、正面部の上側と下側とにスイッチB1とスイッチB2が設けられている。また、側面部にスイッチB3〜B5が設けられている。これらのスイッチB1〜B5は、上記操作部18のスイッチSW1〜SW5をオン・オフする操作部を構成するものである。
【0026】
表示部12は、特に制限されるものではないが、例えば、上下2段の表示領域12a,12bと12cに分割され、さらに、上段には左右に2つの表示領域12a,12bが設けられている。時計モードの場合には、図2に示すように、表示領域12aに西暦年が、表示領域12bに月日が、表示領域12cに時分秒が表示されるようになっている。
【0027】
次に、上記構成の電子時計1の動作説明を行う。
【0028】
図3には、CPU10により実行されるメイン制御処理のフローチャートを示す。
【0029】
この実施形態の電子時計1においては、電源投入時からこのメイン制御処理が開始され、そのステップS1〜S6のループ処理が繰り返し実行されるようになっている。
すなわち、ループ処理では、先ず、モードスイッチB3の出力を読み取り、この出力に基づいてRAM14のモード設定領域の情報を切り替える(ステップS1)。例えば、モードスイッチB3が長押しされて一定時間以上のオン信号が入力されれば、CPU10はRAM14のモード設定領域を、ペース設定モードを示す情報に書き換え、スイッチSW3の出力が短時間オン状態であればCPU10はRAM14のモード設定領域を、ストップウォッチモードを示す情報に書き換え、スイッチSW3の出力がオフ信号のままであればRAM14のモード設定領域の情報をそのままとする。
【0030】
続いて、上記のように設定されたRAM14のモード設定領域に格納されたモード情報に従って各モードの処理ルーチンに分岐する(ステップS2,S3)。
【0031】
すなわち、RAM14のモード設定領域の情報がペース設定モードになっていればステップS4のペース設定ルーチン(図4)に移行し、ストップウォッチモードになっていればステップS5のストップウォッチ動作ルーチン(図6)に移行し、時計モードになっていればステップS6の日時等の表示ルーチン(図2)に移行する。
【0032】
そして、この分岐後のルーチン(ステップS4〜S6)を遂行したら、再びステップS1に戻って、これらのステップS1〜S6のループ処理を繰り返す。つまり、このメイン制御処理によって、ユーザがスイッチB3を操作してペース設定モードやストップウォッチモードに移行して、これらの処理を実行させることが可能になっている。
【0033】
図4には、上記メイン制御処理のステップS4で実行されるペース設定ルーチンのフローチャートを、図5には、ペース設定モードにおける表示内容の一例を表わした正面図を示す。
【0034】
ペース設定ルーチンは、後述の距離推定の演算に使用される個人ペース設定値をユーザにより装置に設定させる処理である。個人ペース設定値は、自分の想定される走行ペースを表わすもので、例えば、1kmの走行時間「何分何秒」として表されるものである。スイッチB1〜B5のいずれかのキー操作により設定入力された個人ペース設定値は、例えば、RAM14の領域14aに格納される。
【0035】
ペース設定ルーチンに移行すると、先ず、現在RAM14の領域14aに格納されている個人ペース設定値を読み出して、これを表示部12に出力させる(ステップS11)。
【0036】
図5に示すように、個人ペース設定値は、例えば、「4’50”」と表示部12の第2表示領域12bに表示され、また、個人ペース設定値の表示中には1kmの走行時間であることを示すために、第1表示領域12aに「1km」の表示がなされ、第2表示領域12bの上下には「PERSONAL PACE」等の題目表示と、「/km」等の単位表示がなされるようになっている。
【0037】
上記のような表示出力を行ったら、次に、操作部18からの入力に応じた分岐処理を行う(ステップS12〜S15)。すなわち、スクロールアップスイッチB4の入力に応じた判別(ステップS12)、スクロールダウンスイッチB5の入力に応じた判別(ステップS13)、モードスイッチB3の入力に応じた判別(ステップS14)、或いは、一定時間スイッチ入力がない場合の判別(ステップS15)を行う。
【0038】
そして、スクロールアップスイッチB4が押されていれば、ステップS12の判別処理でイエス側に分岐して、個人ペース設定値を1秒ずつ加算する処理を行う(ステップS12)。そして、加算処理が済んだらステップS11に戻る。これらの処理により、ユーザはスクロールアップスイッチB4を間欠的に押したり連続的に押し続けたりすることで、RAM14に設定されている個人ペース設定値を逐次大きな値にしていくことができる。
【0039】
一方、スクロールダウンスイッチB5が押されていれば、ステップS13の判別処理でイエス側に分岐して、個人ペース設定値を1秒ずつ減算する処理を行う(ステップS17)。そして、減算処理が済んだらステップS11に戻る。このような処理により、ユーザはスクロールダウンスイッチB5を間歇的に押したり連続的に押し続けたりすることで、RAM14に設定されている個人ペース設定値を逐次小さな値にしていくことができる。
【0040】
さらに、モードスイッチB3が押されたか、或いは、一定時間以上のスイッチ入力がない場合には、ステップS14,S15の判別処理でステップS18に分岐して、次に時計モードに移行するためにRAM14中のモード設定領域に時計モードを示すデータを書き込む(ステップS18)。そして、このペース設定ルーチンを終了する。一方、ステップS12〜S15の判別処理の何れもノーであればステップS11に戻って、再び、ステップS11からのループ処理を繰り返す。
【0041】
つまり、このペース設定ルーチンにより、ユーザは表示部12の表示を見ながら、スクロールアップスイッチB4とスクロールダウンスイッチB5を押すことで、距離推定に必要な個人ペース設定値を1秒単位で設定変更できるようになっている。そして、設定が済んだらスイッチB3を押すか、一定時間放置することでペース設定ルーチンを抜けて時計モードに戻るようになっている。
【0042】
図6には、メイン制御処理(図3)のステップS5で実行されるストップウォッチ動作ルーチンのフローチャートを、図7には、ストップウォッチ動作中の表示内容の一例を示す。
【0043】
ストップウォッチ機能は、例えば、スタート/ストップスイッチB1を押すことで計測時間カウンタ15bの計時をスタートさせたりストップさせたりして、スタートからストップまでの時間を計測するものである。さらに、この実施形態のストップウォッチ機能においては、後に詳述するが、ユーザが、例えば「3km地点」や「7km地点」などの距離表示の地点を通過した際にスプリットスイッチB2を押すことで、その時点の走行距離の推定演算や走行ペースの演算が行われて、その推定距離や走行ペースの表示が行われるようになっている。
【0044】
ストップウォッチ動作ルーチンに移行すると、先ず、計時回路15の計測時間カウンタ15bの値の表示処理を行う(ステップS21)。例えば、計測のスタート前には計測時間カウンタ15bの値はゼロなので、表示領域12cに「00:00’00”」の表示が行われる。また、計測のスタート後にはカウントアップされていく計測時間カウンタ15bの値が表示される。
【0045】
表示処理をしたら、次いで、スイッチ操作の入力確認を行う(ステップS22〜S24)。すなわち、スタート/ストップスイッチB1の押下、例えば「3km地点」や「7km地点」などの距離表示の地点を通過した際にユーザにより操作されると想定されるスプリットスイッチB2の押下、モードスイッチB3の押下を確認し、これらの押下がなければステップS21に戻って、ステップS21〜S24のループ処理を繰り返し実行する。一方、何れかのスイッチB1〜B3が押下されれば、それらに応じた分岐処理を行う。
【0046】
その結果、スタート/ストップスイッチB1の押下が確認されたら、ステップS22の判別処理でイエス側に分岐し、先ず、今現在、ストップウォッチの計測中か否かを判別する(ステップS25)。そして、計測中でないと判断されたら、スイッチB1の押下は計測スタートの要求を表わすものと認識して、ストップウォッチ機能に使用する各種変数等の初期化を行い(ステップS26)、続いて、計時回路15の計測時間カウンタ15bをカウントアップ状態にして計測を開始させる(ステップS27)。そして、ステップS21に戻る。
【0047】
一方、ステップS25で計測中であると判別されたら、スタート/ストップスイッチB1の押下は計測ストップの要求を表わすものと認識して、先ず、計時時間カウンタ15bの値を最後のスプリットタイムとして記憶し(ステップS28)、前回のスプリットスイッチB2の押下時からの走行ペースの計算処理を行い(ステップS29:後に詳述)、次いで、計時時間カウンタ15bを停止させる(ステップS30)。そして、ステップS21に戻って、停止時のカウンタ値を表示する。
【0048】
また、ステップS23のスイッチ操作の判別処理において、スプリットスイッチB2の押下が確認された場合には、まず、この時点での計時時間カウンタ15bの値を読み込んでこの値をスプリットタイムとして記憶する(ステップS31)。そして、このスプリットタイムの値から前回のスプリットスイッチB2の押下時からの走行ペースの計算処理を行い(ステップS32:後に詳述)、ステップS21に戻る。
【0049】
また、ステップS24のスイッチ操作の判別処理において、モードスイッチB3の押下が確認された場合には、このストップウォッチ動作ルーチンのループ処理を抜けて、次に時計モードに移行するためにRAM14中のモード設定領域に時計モードを示すデータを書き込む(ステップS33)。そして、このストップウォッチ動作ルーチンを終了する。
【0050】
図8には、ストップウォッチ動作ルーチン(図6)のステップS29,S32において実行されるペース計算ルーチンのフローチャートを、図9には、ペース計算の処理内容を説明する図を示す。
【0051】
ペース計算処理は、例えばユーザが「3km地点」や「7km地点」などの距離表示の地点を通過してスプリットスイッチB2を押下した場合、或いは、ゴール地点でスタート/ストップスイッチB1を押下した場合に移行される処理である。
【0052】
ペース計算処理に移行すると、まず、CPU10はRAM14中に記憶されている前回のスプリットタイムと今回のスプリットタイムとから、これらの区間タイムdtを計算する(ステップS41)。
【0053】
次いで、CPU10は、上記の区間タイムdtと、ユーザにより設定された個人ペース設定値とから、区間距離ddの推定演算を行う(ステップS42)。個人ペース設定値は、ユーザの走行ペースの想定値を示すものなので、先ず、区間距離を個人ペース設定値で除算することで、想定される走行ペースで走っていた場合における区間距離が計算される。図9の例に示すように、例えば、3km地点での距離推定では、区間タイム15.5(分)を個人ペース設定値5(分)で除算して区間距離3.1(km)が得られている。また、7km地点での距離推定では、区間タイム21.2(分)を個人ペース設定値5(分)で除算して区間距離4.24(km)、15km地点での距離推定では、区間タイム44.9(分)を個人ペース設定値5(分)で除算して区間距離8.98(km)が得られている。
【0054】
しかし、実際の走行ペースと、想定される走行ペースとでは誤差があるため、上記の除算結果の区間距離には誤差が生じているはずである。一方、このペース計算処理が実行されるタイミングは、ユーザが距離表示の地点を通過してスプリットスイッチB2が押した際などである。したがって、推定される区間距離としては単位距離の整数倍の距離が候補となる。それゆえ、上記除算結果の値からその端数を四捨五入する処理を行うことで、上記の誤差を除去して、推定される区間距離の候補の中から一番近い区間距離ddが得られる。例えば、図9の例では、3km地点では3.1[km]を3[km]に、7km地点では4.24[km]を4[km]に、15km地点では8.98[km]を9[km]のように端数を処理して、候補中の単位距離の整数倍の距離の中から一番近い距離が得られている。
【0055】
上記のような端数処理により、ユーザの走行ペースが予め設定した個人ペース設定値とさほどずれていない場合には、誤差をうまく除去して、正確な距離の推定値を得ることができる。例えば、図9の3kmの地点や7kmの地点では、誤差が除去されて、実際の距離と一致した推定距離ddが得られている。一方、走行ペースが個人ペース設定値から大きくずれている場合には、誤差がうまく除去されないことも生じる。例えば、図9の15kmの地点では、推定距離ddが実際の距離と1kmずれてしまっている。
【0056】
区間距離ddを演算したら、続いて、RAM14に記憶してある前回の総距離と区間距離ddとを足し合わせて総距離dを計算し(ステップS43)、また、区間タイムdtを上記推定した区間距離ddで除算して現在の走行ペース(区間の走行ペース)pを計算する(ステップS44)。
【0057】
そして、上記ステップで算出した走行距離d、実際の走行ペースp、並びに、RAM14に記憶してある今回のスプリットタイムを表示部14に表示出力する(ステップS45)。
【0058】
図10には、ペース計算処理において表示部14に出力される表示内容の一例と、距離修正を行った場合の表示の切り換わり内容の一例を示す。同図(a)はペース計算処理により最初に出力された表示例、(b)はダウンスイッチを押した際の表示例である。
【0059】
図10(a)は、15kmの通過地点における表示例であるが、同図に示すように、ステップS45の表示出力処理によって、第1表示領域12aには推定された総距離d「16km」が、第2表示領域12bには推定区間距離dd「9km」を元に計算された走行ペースp「4’59”」が、第3表示領域12cにはスプリットタイム「1:21’35”」が、それぞれ表示出力される。ユーザはこのうちの走行ペースp「4’59”」の表示を見て、スプリットスイッチB2が操作された直前の自分の走行ペースを確認することができる。
【0060】
表示処理を行ったら、次に、スイッチ入力を判別するループ処理を行う(ステップS46,S48,S50)。すなわち、距離アップスイッチB4または距離ダウンスイッチB5の押下があるか、或いは、一定時間(例えば10秒など)何れのスイッチB4,B5の操作がないかを判別する。そして、何れの条件も発生しなければ、このスイッチ入力のループ処理(ステップS46,S48,S50)を繰り返し行う。
【0061】
ここで、距離アップスイッチB4と距離ダウンスイッチB5の押下は、ステップS42の距離推定が間違っていた場合に、ユーザが距離表示を見てそれを修正するために行われるものである。上述したように、区間距離ddの計算処理においては、距離の推定値が間違った値になる場合があり、例えば、図9の15kmの地点の例では、推定距離が16kmと1kmずれて推定されている。
【0062】
図11には、ペース計算処理においてダウンスイッチが押された場合の処理内容の説明図を示す。
【0063】
ユーザは、このような距離推定の間違いを、表示部12の第1表示領域12aに表示される総距離の値と、コース上の距離表示の値とを比べることですぐに認識できるので、このような間違いがあった場合に、距離アップスイッチB4か、距離ダウンスイッチB5を押下して推定距離の修正操作を行う。
【0064】
ここで、距離推定の間違いは、1kmの整数倍の差異で生じているはずである。したがって、距離アップスイッチB4または距離ダウンスイッチB5の押下により、1km単位で推定距離をずらす修正を行う。例えば、図11の例では、15kmの距離表示の地点で、推定距離が16km(区間距離9km)と1km長く推定されているので、距離ダウンスイッチB5を1回押して、推定距離を15km(区間距離8km)に修正する。推定距離が短い場合には、同様に距離アップスイッチB4を押して1km長く修正することができるし、また、2kmや3kmなど複数kmずれている場合には、スイッチB4,B5を複数回押すことでそれらを修正することができる。
【0065】
上述のスイッチ判別のループ処理(ステップS46,S48,S50:図8)において、距離アップスイッチB4が押下された場合には、ステップS46の判別処理のイエス側に分岐して、推定総距離dと推定区間距離ddとの値を「1」ずつ加算する処理を行う(ステップS47)。これにより、推定区間距離や推定総距離が単位距離ずつ加算されて修正される。
【0066】
また、距離ダウンスイッチB5が押下された場合には、ステップS48の判別処理でイエス側に分岐して、推定総距離dと推定区間距離ddとの値を「1」ずつ減算する処理を行う(ステップS47)。これにより、推定区間距離や推定総距離が単位距離ずつ減算されて修正される。
【0067】
ステップS47,S49で修正処理が行われたら、次いで、ステップS44に戻って実際の走行ペースpの計算処理からやり直す。そして、続くステップS45において、修正後の総距離dの表示や走行ペースpの表示が行われて、ユーザは修正内容を確認することができる。その際の表示内容の遷移は、図10(a)〜(b)に示すごとくである。
【0068】
そして、推定区間が正しい値になって、或いは、初めから正しい値であって、距離アップスイッチB4や距離ダウンスイッチB5が押されないまま予め定められている一定時間(たとえば、10秒)が経過すると、ステップS50の判別処理でループ処理を抜けて、上記の演算処理により得られた総距離dや走行ペースpと今回のスプリットタイムとをRAM14に保存する(ステップS51)。そして、このペース計算処理を終了する。
【0069】
このようなペース計算処理により、ストップウォッチ動作中、ユーザが距離表示の地点を通過するときに、スプリットスイッチB2を押すことで、図10(a)に示すように、その時点でのスプリットタイムに加え、その地点の総距離や走行ペースが表示出力されてユーザに提示されるようになっている。また、総距離の推定値が間違っている場合には、距離アップスイッチB4や距離ダウンスイッチB5を押すことで、図10(b)に示すように、総距離を修正して正しい走行ペースをユーザに提示できるようになっている。
【0070】
以上のように、この実施形態の電子時計1によれば、ユーザはマラソンなどの競技において、スタートからストップウォッチ動作により計時を開始することで、その後、競技に有用な区間ごとの走行ペースの情報を簡単な操作で取得することができる。すなわち、コース上の距離表示があった地点でユーザがスプリットスイッチB2を押すことで、そこまでの走行距離や区間距離が自動的に推定され、それにより現在の走行ペース(1キロあたりの走行時間)が算出されてこれらが表示される。ユーザは、この走行ペースの表示により、現在の走行ペースがいつもより遅いか早いか、或いは、レース中の走行ペースの変動量などを直ちに判断することができる。さらに、このような機能のために測位システムなどを利用していないので、電子時計1の大型化やコストの高騰を回避できる。
【0071】
また、距離推定の際に使用されるユーザの想定される走行ペースの値である「個人ペース設定値」は、ユーザが設定入力できるようになっているので、ユーザの能力に合わせて個人ペース設定値を設定することで、走行ペースの速いユーザから遅いユーザまで様々なユーザに対応して距離推定を行わせることができる。
【0072】
また、距離推定の際には、区間タイムを想定される走行ペースで除算し、その値の端数を四捨五入することで、推定区間距離を得るようにしているので、負荷の小さな処理で距離の推定が可能になっている。
【0073】
また、ユーザの体調変化により、個人ペース設定値と実際の走行ペースが大きくことなってしまった場合は距離推定が実際の走行距離と異なる場合がある。その場合には、ユーザは推定された表示と地点に表示されているスタート地点までの距離を比べてその差異を容易に確認することができ、またユーザの操作によりそれを修正することができる。さらに、修正後の走行距離の値を用いて実際の走行ペースが計算し直されるので、それによりユーザは正しい走行ペースの情報を取得することができる。また、推定距離を修正は2個のスイッチB4,B5を用いて単位距離ずつ距離を増減する方式で行われるので、ユーザは走行中でも簡単に推定距離の修正を行うことができる。
【0074】
なお、上記の実施形態では、距離推定の際に、1kmを単位距離とし、この単位距離の整数倍の距離を走行距離の候補として推定計算を行っているが、例えば、1マイルを単位距離としてこの単位距離の整数倍の距離を走行距離の候補として距離推定の計算を行うようにしたり、或いは、400mトラックの一周分を単位距離として、この単位距離の整数倍の距離を走行距離の候補として距離推定の計算を行うようにしたりすることも出来る。また、このような単位距離をユーザが選択的に切り換えられるように構成しても良い。
【0075】
また、上記の実施形態では、区間タイムを想定される走行ペースで除算する処理を用いて推定区間距離を算出するようにしているが、スタートからの計測時間を想定される走行ペースで除算する処理を用いてスタートからの総距離を推定計算するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、実際の走行ペースとして、スプリットスイッチB2が押された区間ごとの走行ペースを算出し表示するようにしているが、スタートから通した走行ペースを算出し表示するようにすることもできる。また、これらを切り替えられるようにしてもよい。
【0076】
また、上記の実施形態では、想定される走行ペースを「個人ペース設定値」としてユーザが設定入力できるようにしているが、予め一般的な走行ペースの値を装置に設定しておき、この値を用いて距離推定を行うように構成することも出来る。また、上記実施の形態では、ストップウォッチの計時スタートから終了まで、想定される走行ペースを固定値として距離推定の計算に用いているが、例えば、計時スタートから終了にかけて走行ペースに既知の変化パターンがある場合には、この変化パターンに合わせて想定される走行ペースの値を設定値から変化させて距離推定の計算に用いるようにしてもよい。
【0077】
[第2実施形態]
図12と図13には、本発明の第2実施形態の電子時計に備わるペース計算処理のフローチャートを示す。
【0078】
第2実施形態の電子時計は、推定距離の修正時において推定距離の候補として、単位距離の整数倍の距離に加えて、次の特別な距離を追加したものである。通常、マラソンコース上の距離表示は、1kmの任意の整数倍の距離地点で行われ、半端な距離では行われない。しかしながら、例えば、フルマラソンのゴール地点である42.195kmと、ハーフマラソンのゴール地点である21.098kmだけば、距離表示と同様にランナーにより認識可能な距離となる。したがって、推定距離の修正時に、推定距離の候補となる距離すなわち修正可能な推定距離として、上記の21.098kmと42.195kmとを加えたものである。その他の構成は第1実施形態と同様であり、同様の構成は説明を省略する。
【0079】
特別な距離を推定距離の修正候補に加えるため、第2実施形態ではペース計算処理のフローチャートの一部を、第1実施形態のものから変更している。すなわち、図12,図13に示すように、ステップS41〜S46,S48,S50,S51までは第1実施形態のものと同様であり、修正操作である距離アップスイッチB4が押された場合のステップS46からの分岐処理と、距離ダウンスイッチB5が押された場合のステップS48からの分岐処理を変更している。
【0080】
第2実施形態のペース計算処理では、距離アップスイッチB4が押されてステップS46の判別処理でイエス側に分岐すると、図13に示すように、先ず、推定距離として選択されている総距離dが、推定距離を長く修正する際に上記の特別な距離「21.098km」,「42.195km」に関係する距離であるか否かを判別する(ステップS61〜S64)。
【0081】
そして、これらの特別な距離に関係した距離でなければ、ステップS69に移行して推定された総距離dや区間距離ddに「1」加算する処理を行うが、特別な距離に関係した距離(d=21,21.098,42,42.195)であれば、ステップS61〜S64の何れかの判別処理でイエス側に分岐して、現在選択されている総距離dに対応した小数点以下の数値を含んだ値を加算して修正後の総距離dと区間距離ddを得る(ステップS65〜S68の何れか)。そして、距離の加算処理が済んだら、第1実施形態と同様にステップS44に戻る。
【0082】
一方、距離ダウンスイッチB5が押されてステップS48の判別処理でイエス側に分岐すると、図13に示すように、先ず、推定距離として選択されている総距離dが、推定距離を短く修正する際に上記の特別な距離「21.098km」,「42.195km」に関係する距離であるか否かを判別する(ステップS71〜S74)。
【0083】
そして、特別な距離に係る距離でなければ、ステップS79に移行して推定された総距離dや区間距離ddを「1」減算する処理を行うが、特別な距離に関係する距離(d=21.098,22,42.195,43)であれば、ステップS71〜S74の何れかの判別処理でイエス側に分岐して、現在選択されている総距離dに対応した小数点以下の数値を含んだ値を減算して修正後の総距離dと区間距離ddとを得る(ステップS75〜S78の何れか)。そして、距離の減算処理が済んだら、第1実施形態と同様にステップS44に戻る。
【0084】
このようなペース計算処理により、ユーザは総距離の推定値を修正する際に、距離アップスイッチB4や距離ダウンスイッチB5を押すことで、総距離が1km単位で長く修正されたり短く修正されるとともに、特別な距離「21.098km」,「42.195km」の前後では、21km→21.098km→22km、42km→42.195km→43km、またその逆に、42km→42.195km→43km、22km→21.098km→21kmのように、特別な距離を含めた状態で推定距離の修正が可能になっている。
【0085】
この第2実施形態の電子時計によれば、例えば、ハーフマラソンやフルマラソンのゴール地点など、単位距離の整数倍の距離とは異なる特別な距離についても、推定距離の候補としてユーザにより修正選択させることが出来る。したがって、このような距離地点においても、正確な走行ペースの演算を行ってユーザに提示することができる。
【0086】
なお、第2実施形態では、修正時の推定距離の候補にのみ特別な距離を追加するように構成しているが、距離推定の演算時にこのような特別な距離を推定距離の候補として追加することもできる。その場合、推定区間距離ddの計算処理(図12のステップS42)において、除算後の値を単に四捨五入するのではなく、除算後の値から端数を含めたまま総距離の推定距離を算出し、この端数を含んだ総距離の推定値が、特別な距離を含めた推定距離の候補(1kmの整数倍、21.098km、42.195km)のうち何れに一番近いかを判別して、その値を推定距離として決定するように構成すれば良い。
【0087】
[第3実施形態]
図14は、本発明の第3実施形態の電子時計に備わるペース計算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0088】
第3実施形態の電子時計は、推定区間距離ddの計算処理で使用する走行ペースの値を、第1実施形態のものと異ならせるようにしたもので、その他の構成は第1実施形態と同様である。同様の構成については説明を省略する。
【0089】
図14に示すように、この第3実施形態のペース計算処理では、その推定区間距離ddの算出処理(ステップS82)において、区間タイムdtを除算する走行ペースの値として、1回目の距離推定の計算処理ではRAM14の記憶領域14aに設定された個人ペース設定値を使用する一方、2回目以降の距離推定の計算処理からは、前回のペース計算処理にて算出されRAM14に記憶されている前回の走行ペースpの値を使用するようにしている。
【0090】
その他の処理は、図8の第1実施形態のペース計算処理と同様である。
【0091】
このような構成とすることで、コース状況の変化やランナーの体調の変化などにより走行ペースが徐々に変化して、実際の走行ペースが個人ペース設定値から大きくずれてしまうような状況になっても、常に、最新の走行ペースを元に距離推定の計算が行われるので、誤った距離推定がなされる可能性を少なくすることができる。また、たとえ誤って推定された場合でも、その誤り量は小さい値となって、少ない操作で正しい距離に修正することが可能となる。
【0092】
なお、この第3実施形態では、前回の走行ペースの値を用いて推定区間距離ddの計算処理を行うようにしているが、走行ペースに距離や時間に応じた既知の変化パターンがある場合には、この変化パターンに合わせて想定される走行ペースの値を前回の走行ペースの値から少しずらして推定区間距離ddの計算処理に使用するようにしても良い。
【0093】
また、上記第1〜第3実施形態では腕時計型の電子時計にストップウォッチ機能を搭載した構成について説明したが、種々の形態のストップウォッチ装置に本発明を適用することもできる。その他、実施の形態で示した細部構成および処理方法は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態のストップウォッチ機能を有する電子時計の内部構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子時計の外観を示す正面図である。
【図3】CPUにより実行されるメイン制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS4のペース設定ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】ペース設定モードでの表示内容の一例を示す正面図である。
【図6】図3のステップS5のストップウォッチ動作ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】ストップウォッチ動作中の表示内容の一例を示す正面図である。
【図8】図6のステップS29,S32のペース計算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】ペース計算処理の内容の一例を示す説明図である。
【図10】ペース計算処理で距離修正を行う際の表示の切り換わりの一例を示すもので、(a)はダウンスイッチを押す前、(b)はダウンスイッチを押した後の表示内容の一例を示す説明図である。
【図11】ペース計算処理においてダウンスイッチが押された場合の処理内容の一例を示す説明図である。
【図12】本発明の第2実施形態の電子時計に備わるペース計算処理の処理手順を示すフローチャートの一部である。
【図13】本発明の第2実施形態の電子時計に備わるペース計算処理の処理手順を示すフローチャートの残りの部分である。
【図14】本発明の第3実施形態の電子時計に備わるペース計算処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 電子時計
10 CPU
12 表示部
13 ROM
14 RAM
14a 個人ペース設定値の記憶領域
15 計時回路
15b 計測時間カウンタ
16 発振回路
18 操作部
B1〜B5 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と表示部とを備えている走行ペース表示制御装置において、
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際に操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合に、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの走行時間と、予め定められた走行ペースとに基づいて、前記地点通過に対応する距離を計算する距離計算手段と、
この距離計算手段により計算された距離と、前記計時手段により計測された走行時間とに基づいて、前記操作手段が操作される直前の走行ペースを計算する走行ペース計算手段と、
この走行ペース計算手段により計算された直前の走行ペースの表示を前記操作手段が操作された直後に行う表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする走行ペース表示制御装置。
【請求項2】
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際にユーザにより操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合において前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間と予め定められた走行ペースとに基づいて、前記地点通過に対応する距離と前記操作手段が操作される直前の走行ペースを前記操作手段が操作された直後に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする走行ペース表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御手段の制御により表示された距離を変更するために操作される変更操作手段と、
この変更操作手段により変更された距離を表示させる変更距離表示制御手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項4】
走行時間を計測する計時手段と、
予め定められている地点通過をする際にユーザにより操作される第1の操作手段と、
この第1の操作手段が操作された場合に前記計時手段により計測された当該操作手段が操作された前回の地点通過時点からの走行時間と予め定められた走行ペースとに基づいて、前記地点通過に対応する距離を表示させる第1の表示制御手段と、
この第1の表示制御手段の制御により前記地点通過に対応する距離を表示したあとにユーザにより操作される第2の操作手段と、
この第2の操作手段の操作がなされた際に予め定められている地点までの走行距離に基づいた新たな走行ペースを計算する走行ペース計算手段と、
この走行ペース計算手段により計算された新たな走行ペースを前記第2の操作手段が操作された直後に表示させる第2の表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする走行ペース表示制御装置。
【請求項5】
走行する前に前記予め定められた走行ペースを入力する入力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項6】
前記距離計算手段は、
前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの走行時間を前記予め定められた走行ペースで除算する除算手段と、
この除算手段により除算した算出値の端数の除去又は繰り上げを行い、この結果値を前記地点通過に対応する距離として処理する端数処理手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項7】
前記第2の操作手段は、前記第1の表示制御手段の制御により表示された距離を変更するために操作される距離変更手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項8】
前記距離変更手段は、
前記地点通過に対応する距離より長い距離に一段ずつ修正していくアップ操作部と、
前記地点通過に対応する距離より短い距離に一段ずつ修正していくダウン操作部とを備えていることを特徴とする請求項7記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項9】
装置本体と表示部とを備えている走行ペース表示制御装置において、
走行時間を計測する計時手段と、
ゴール地点で操作される操作手段と、
この操作手段が操作された場合に、前記計時手段により計測された当該操作手段が前回操作された時点からの走行時間と予め定められた走行ペースとに基づいて、前記ゴール地点通過に対応する走行ペースを計算する距離計算手段と、
前記ゴール地点通過に対応する走行ペースの表示を行う表示制御手段と、
を備えていることを特徴とする走行ペース表示制御装置。
【請求項10】
前記距離計算手段は、前記走行ペース計算手段により操作手段が操作される直前の走行ペースが算出されている場合に、この走行ペースを新たに前記予め定められた走行ペースとして用いて前記地点通過に対応する距離を計算するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の走行ペース表示制御装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の走行ペース表示制御装置を備え、
装置本体が腕に装着される腕装着型に形成されていることを特徴とする腕装着型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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